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Core i9 13900Kなど第13世代Raptor Lake-S CPUに対応するZ790チップセット搭載マザーボードとしてASUSからリリースされた、60A対応Dr. MOSで構成される17フェーズの堅牢VRM電源を搭載し、従来規格DDR4メモリをサポートするエントリークラスゲーミングモデル「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」をレビューします。

製品公式ページ:https://www.asus.com/jp/motherboards-components/motherboards/tuf-gaming/tuf-gaming-z790-plus-wifi-d4/
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4 レビュー目次
1.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の外観・付属品
2.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の基板上コンポーネント詳細
3.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の検証機材
4.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のBIOSについて
5.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のOC設定について
・By Core Usage倍率によるOCと低電圧化や電力制限について
・CPUコアクロックのマニュアルOCについて
・メモリのオーバークロックについて
6.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の動作検証・OC耐性
7.ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のレビューまとめ
【注意事項】
同検証は2023年3月中旬に行っておりASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のBIOSは0810を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asus.com/jp/motherboards-components/motherboards/tuf-gaming/tuf-gaming-z790-plus-wifi-d4/helpdesk_bios/?model2Name=TUF-GAMING-Z790-PLUS-WIFI-D4
【2023年3月20日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:0810で検証
【機材協力:ASUS Japan】
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の外観・付属品
まず最初に「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」の外観と付属品をチェックしていきます。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のパッケージは一般的なN式箱で、蓋を開くと上段にはマザーボード本体が収められており、下段には各種付属品が収められた小分けパッケージが入っていました。

マニュアルなど冊子類で必要なものが一通り揃っています。その他にもステッカーなどが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。ASUS製のマザーボードなので定評のある詳細日本語マニュアルも付属します。

組み立て関連の付属品として、SATAケーブル2本、M.2 SSD用スタンドオフ&スクリュー、M.2 SSD用スペーサーラバーパッド、WiFiアンテナが付属します。

マザーボード全体像は次のようになっています。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はATXフォームファクタのマザーボードです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のマザーボード右下に設置されたチップセット用ヒートシンクについてはデジタル迷彩パターンと並んでTUF Gamingを代表する、機械装甲を模したデザインが採用されています。ミリタリー感が漂うデザインです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「ASUS AURA Sync」に対応しています。


「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のマザーボード上にはライティング制御に対応したRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが1基、ARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーが3基実装されています。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のリアI/OカバーはVRM電源ヒートシンク一体型で、天面にはTUF GAMINGのテキストロゴとアイコンロゴが描かれたヘアライン仕上げアルミニウムのプレートが装着されています。

CPUソケットの左側と上側はいずれも巨大かつ複雑なフィンカットが施されたヒートシンクが採用されており、特に左側はリアI/Oに覆い被さる部分も含めて全てアルミニウム製ヒートシンクです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はメインストリーム向けかつエントリークラスのゲーミングマザーボードながら、80A対応Dr. MOSで構成される15フェーズの堅牢なVRM電源が実装されています。


その他にもVRM電源回路を構成する素子として、ミリタリーグレードで高耐久なTUF CHOKES、一般的なキャパシタよりも高温耐性の高い最大125度対応かつ寿命5000時間のTUF CAPACITORSが採用されています。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではEPS電源端子は最大24コアに達する第13世代CPUのオーバークロックにも対応すべく、8PIN+4PINが設置されています。
700W以下のメインストリーム電源ユニットではEPS端子が1つしかないものもあるので組み合わせて使用する電源ユニットには注意が必要です。
「ProCool」と呼ばれる設計のEPS電源コネクタは、低インピーダンスなソリッドピンによってホットスポットの発生を抑制します。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」には一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。

以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。
リアI/Oには最新のUSB3.2 Gen2規格に対応した2基のUSB Type-A端子と2基のType-C端子が設置されています。下写真で左側のType-Cポートについては20Gbpsの高速通信が可能なUSB3.2Gen2x2にも対応しています。その他に4基のUSB3.0端子も実装されています。
マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいてもVR HMDに余裕で対応可能です。USB3.Xは無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、欲を言えば追加でUSB2.0が少し離れた場所に設置されていると良かったのですが。

有線LANには一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するIntel製LANコントローラー I226-Vによる2.5Gb LANが搭載されています。
さらにWiFi6に対応したIntel AX201コントローラーによる無線LANも搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.2に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」に搭載されているネットワーク機器のうち、有線LANのIntel I226-Vと無線LANのIntel AX201はいずれも標準ドライバでは動作しません。

条件次第では問題になることもあるので詳しくはこちらの記事を参照してください。
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の基板上コンポーネント詳細
続いて「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」を始めとしてASUS製700/600マザーボードの多くは、Intel LGA1700標準のCPUクーラーマウントホールに加えて、従来のLGA1200/115X互換のマウントホールも併設されており、LGA1700対応マウント部品がないCPUクーラーも使用できます。
ROG MAXIMUSのようなハイエンドから、TUF Gaming/PRIMEのようなエントリークラスまで、LGA1200互換で設計されているので、CPUクーラー選びで迷ったらASUS製マザーボードにすると楽です。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はシステムメモリの従来規格DDR4に対応しています。最新規格のDDR5には非対応なので注意してください。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードを設置するPCIEスロットとは十分な距離があるのでメモリの着脱時に干渉の心配はありません。

グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは上から[N/A、x16、x1、x4、x1、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。
2段目のx16サイズPCIEスロットはCPU直結PCIE5.0x16レーンに接続されていて他PCIEスロットとの帯域共有はありません。
4段目のx4サイズスロットと7段目のx16サイズスロットはチップセット経由のPCIE4.0x4帯域、x1サイズスロットはチップセット経由のPCIE3.0x1帯域となっており、排他利用はありません。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4にも最近のトレンドとして2段目のx16サイズスロットには1kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように、従来のプラスチックスロットよりも垂直方向の力に対して1.6倍、水平方向の力に対して1.8倍も強靭になった補強用メタルアーマー搭載スロットが採用されています。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はPCIEスロット固定ラッチの解除を簡単にする新機能 PCIe Slot Q-Releaseに対応しています。

大型空冷CPUクーラーを組み合わせた場合など、グラフィックボードを取り外す際にPCIEスロットの固定ラッチ解除に苦戦した自作erは多いと思いますが、PCIe Slot Q-Releaseに対応しているマザーボードならPCIEスロット付近に実装されたボタンを押下するだけで簡単にPCIEスロットのロックを解除できます。

SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に4基搭載されています。いずれもチップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」には高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットが、CPUソケット下やPCIEスロットと並んで計4基設置されています。
M.2_1はCPU直結PCIE4.0x4レーンに接続されており、PCIE4.0x4接続のNVMe接続M.2 SSDに対応しています。
M.2_2とM.2_3チップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE4.0x4)接続のみをサポートします。いずれも排他利用はありません。
M.2_4はチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE4.0x4)接続とSATA接続のM.2 SSD両方に対応しています。

・PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDのレビュー記事一覧へ

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のM.2スロットにはM.2 SSD自体の固定にはネジを使用しない、M.2 Q-LATCHという独自の構造が採用されています。クリップを90度回すだけで簡単にM.2 SSDを固定できるので非常に楽です。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」に実装された4基のM.2スロットのうち3基には、大型M.2 SSDヒートシンクが設置されています。同ヒートシンクを使用することで、グラフィックボードなど発熱から保護し、M.2 SSDがむき出しの状態よりもサーマルスロットリングを抑制する効果が期待できます。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のマザーボード右側には最新接続規格USB3.2 Gen2(10Gbps)に対応する内部USB Type-Cヘッダー(正式名称はFront USB Type-E)が実装されています。内部USB Type-Cヘッダーと並んで内部USB3.0ヘッダーも1基実装されています。

マザーボード下側には2基の内部USB2.0ヘッダーが設置されています。Corsair iCUEやNZXT CAM対応製品などUSB2.0内部ヘッダーを使用する機器も増えていますが、ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4であればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はエントリークラスのゲーミングマザーボードですが、Realtek 7.1 Surround Sound High Definition Audio CODECを採用した高音質ゲーミングオンボードサウンド機能を搭載しています。

冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上の各場所に計8か所設置されています。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。
W_PUMP+ファン端子は最大36W(12V、3A)の出力にも対応しているので変換ケーブルを噛ませることで本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても使用できます。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」にはCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、内部USB2.0端子の左上にあるジャンパーピンを使用してCMOSクリアを行います。ケーブルの長い2PINスイッチをあらかじめ装着しておいた方がよさそうです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のリアI/Oに設置されたUSB Type-C端子はThunderbolt4には非対応ですが、マザーボード下側にTB Header(ASUS独自の13PIN)が実装されており、同社製のThunderbolt3拡張ボード「ASUS ThunderboltEX 4-TR」を使用することでThunderbolt4端子を増設可能です。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の検証機材
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 13900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZN DDR4 16GB*4=64GB (レビュー) G.Skill Trident Z RGB F4-4000C14D-32GTZR DDR4 16GB×2=32GB (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
OS | Windows 11 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1500i 2022 (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れ、16GB×4枚組み64GBの大容量で3600MHz/CL16という高性能PCで定番スペックのメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZN」を使用しています。
G.Skill Trident Z Neoシリーズは当初Ryzen向けにリリースされた製品ですが、2枚組み16GB容量から最大256GBまで、メモリOCについても3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされていて、最新のAMD環境だけでなく、最新のIntel環境でも高いパフォーマンスを発揮できるので、選んで間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZN」をレビュー

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材 Sterrox LCPの採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・Noctua NF-A12x25シリーズのレビュー記事一覧へ

ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。
Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のBIOSについて
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のBIOSに最初にアクセスするとEZモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。

次回起動時に初回から詳細モードを起動する場合は、「起動-ブート設定」にある「セットアップモード」の項目をアドバンスドモードに変更してください。

「Main」タブの「System language」-「English」と表記された項目のプルダウンメニューから言語設定が可能で日本語UIを選択できます。ASUSマザーボードは競合他社と比較してもBIOSメニューの日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「終了」から行えます。その他の設定を行っていても左右カーソルキーですぐに退出可能です。

特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能は「起動」タブメニューの最下段「起動デバイス選択」に配置されています。

BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:サポート:https://www.asus.com/jp/motherboards-components/motherboards/tuf-gaming/tuf-gaming-z790-plus-wifi-d4/helpdesk_bios/?model2Name=TUF-GAMING-Z790-PLUS-WIFI-D4
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール-ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからのアップデートでBIOSファイルを選択します。あとはガイドに従ってクリックしていけばOKです。


ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「Boot Option #1」に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
「Boot Option #1」の下にスクロールしていくとブートデバイスを個別に指定して再起動できる「Boot override」もあるのでこちらから、同様に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。

BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
従来のASUS製マザーボードでは「モニタ(Monitor)」のタブページを開くと、温度・電圧モニタリングやファン制御設定が一気に列挙されていたのですが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」を含め最新のIntel 500シリーズマザーボードでは、温度モニター、ファン回転数モニター、電圧・電流モニター、Q-Fan設定の4つの小項目に分けられ、より扱いやすくなっています。




モニタ - Q-Fan設定の順にアクセスするとファン制御設定ページが表示されます。

BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子とCPU OPT端子はCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、VRM電源温度などの各種温度ソースからファンコントロールが可能です。

ファン制御モードはPWM速度調整とDC(電圧)速度調整の2種類が用意されていますが、DC速度調整の場合は制御プロファイルを手動にすると、下限温度以下で冷却ファンを停止させる所謂セミファンレス機能を実現する「ファンの停止許可」の設定が表示されます。

ASUSマザーボードにもグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能「Q-Fan Control」があります。機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じですが、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のOC設定について
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のオーバークロック設定は「AI Tweaker」というトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。
「AI Tweaker」ページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧などの各種設定項目が表示されるので設定しやすいUIです。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。

ASUS Multicore Enhancementを「Disabled - Enforce All limits」にすると、Intel公式仕様通りの電力制限が適用されます。(Multicore Enhancementについては、単コア最大動作倍率を全コア最大動作倍率に適用、というのが従来の機能でしたが)

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のオーバークロック設定項目の最初にある「Ai Overclock Tuner」ではプルダウンメニューから「Auto(自動)/Default」「Manual(手動)」「XMP (D.O.C.P)」の3つの設定モードが選択できます。
Autoモードは基本的な設定項目に関する自動or手動設定が可能な一般ユーザー向けの設定モードとなっています。
ManualモードはBCLK等の詳細なOC設定項目が解放される上級者向けの設定モードです。
XMP(D.O.C.P.)モードはManualモードベースですが、OCメモリに収録されたXMPプロファイルを適用できる設定モードになっています。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」がサポートするIntel第12/13世代Core-Sは高性能コアP-Coreと高効率コアE-Coreの2種類の混成でCPUが構成されています。
OC設定に関して言えば、P-CoreとE-Coreは従来のIntel製CPUが2つ内蔵されているイメージで、それぞれ個別に動作倍率を設定します。なお電圧設定はP-CoreとE-Coreで共通です。

By Core Usage倍率によるOCと低電圧化や電力制限について
By Core Usage倍率によるオーバークロック、V-Fカーブによる低電圧化といった近年のIntel Core CPUのチューニングにオススメな設定について紹介します。近年のIntel製CPUはアクティブコア数(大きい負荷のかかっているコア数)に応じて最大動作倍率が変化するBy Core Usage倍率により、例えばCore i9 13900Kなら最大5.8GHzのような単コア最大動作倍率で動作が可能になっており、高いシングルスレッド性能を発揮します。
優良コアが電圧を盛れば6GHz近いコアクロックで動作できる一方、同じコアクロックで全コアを稼働させることは相対的な不良コアの電圧特性的にも、CPUパッケージ全体での発熱的にも難しいので、シングルスレッド性能を損なう全コア一律のコアクロックを適用するマニュアルOCはベンチマークスコアを重視したOC競技的な設定となっており、現在の常用OCにおける主流はBy Core Usage倍率とV-Fカーブを組み合わせた手法です。
まずはBy Core Usage倍率によるコアクロックの設定について説明します。
例えばCore i9 13900KのPコアは1~8コアのアクティブコア数に応じて[58, 58, 55, 55, 55, 55, 55, 55]のようなBy Core Usage倍率が適用されています。(コアクロックはベースクロックBCLK、通常100MHzに対する倍率で決まる)
アクティブコア数が2コアまでであれば、そのアクティブコアは最大5.8GHzで動作します。所謂、単コア最大ブーストクロックのことです。(1コアではなく2コアまでなどの時もありますが、便宜上、単コアと呼びます)

一方、Cinebench R23のマルチスレッドテストやx264動画エンコードのように全コアへ大きな負荷がかかるシーンでは全コアが最大5.5GHzで動作できます。
なぜ”最大”と注釈つくかというと、特にCPU全体の発熱が大きくなる全コア負荷時については、長期間電力制限(Long Duration Package Power Limit; PL1)や臨界温度(Tj Max)、Thermal Velocity Boostによるコアクロック制限が適用されることがあるからです。

ゲーム性能に対しては全コア最大動作倍率が重要である一方、電力や温度といったCPU負荷自体は軽いという特長があります。
ゲームシーンで高い性能を実現しつつ、CPU負荷の大きいクリエイティブタスクではCPU Package PowerやCPU温度を制御ソースとして各自冷却環境(CPUクーラー)で冷やせる範囲内で最大の性能を発揮できるようにする、というパフォーマンスデザインです。

なぜBy Core Usage倍率を使用するのか前置きの説明が長くなりましたが、OC設定に話を戻します。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」の場合は、Performance Core Ratioという項目のプルダウンメニューから、P-Core動作倍率の設定としてBy Core Usageを選択できます。
By Core Usage倍率の設定値は[60, 60, 59, 57, 57, 56, 55, 55]のようにバラけさせることも可能ですが後ほど電圧設定が面倒になります。
[60, 60, 55, 55, 55, 55, 55, 55]のように後述のTBM3.0で優先可能な2コアだけ単コア最大ブーストクロックを引き上げ、残りは同じ倍率に揃えるのがオススメです。

Intel第13世代Raptor Lake-SシリーズCPUのうち、Core i9/Core i7のP-Coreは「Intel Turbo Boost Max 3.0 Technology (TBM3.0)」に対応しています。
TBM3.0は、CPUダイ上で最も電圧特性の良いコア(CPU個体ごとに異なる)を自動で選別し、非常に高い単コア最大ブーストクロックで動作させ、アクティブタスクへ優先的に割り当ててくれる機能です。

電圧特性が優良なコアは、Windows上で使用できるIntel公式のOCツール Extreme Tuning Utility (XTU)から確認が可能です。優良コアには星マーク(☆)が付いています。

By Core Usage倍率で設定する単コア最大ブーストクロックは、TBM3.0に非対応のCPUの場合、全てのCPUコア(Pコア)へ無差別にタスクが振り分けられるので、不良コアが安定動作する倍率を指定する必要があります。
しかしながら、第13世代Core i9/Core i7はTBM3.0により優良コアがアクティブコアとして優先されるので、不良コアの電圧特性に引っ張られることなく、単コア最大ブーストクロックを引き上げることが可能になります。
優良コアだけが単コア最大ブーストクロックで動作するように設定するには、Performance Core Ratioの下にあるSpecific Performance Coreの項目を開き、XTUで確認した優良コア(マザーボードによってはBIOS上でも確認可能)の最大動作倍率 Performance Core〇 Specific Ratio Limitだけ単コア最大ブーストクロックに一致させます。その他のコアはBy Core Usage倍率の設定に応じて。

以上が高性能P-Coreの動作倍率設定ですが、高効率E-Coreも動作倍率の設定フォーマット自体は同じです。
Windows OSと協調するIntel Thread Directorで優先すべきタスクはP-Coreに割り当てられ、E-Coreの主な役割は、マルチスレッド性能を引き上げる補助コア、もしくは優先度の低いタスクのバックグラウンド処理用コアです。
E-Coreもアクティブコア数に応じたBy Core Usage倍率は設定が可能ですが、少ないアクティブコア数の時にブーストさせる意味があまりないので、OC設定を簡略化させる意味で、E-CoreはSync All Coreで一律に動作倍率を設定してしまうのがオススメです。

キャッシュ動作倍率は「CPUキャッシュ最大動作倍率(Max CPU Cache Ratio)」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でキャッシュの動作周波数を設定できます。
第12世代CPUにおいてキャッシュ動作倍率はE-Core動作倍率を超えない方が良いようでしたが、第13世代CPUでは定格でもキャッシュのほうがE-Coreよりも高速なのでそういった制限はないようです。
ただしキャッシュにはCPUコアとは別のV-Fカーブがある一方で、CPUコアとキャッシュの電圧は共有されているので、キャッシュを高倍率にし過ぎるとCPUコアの消費電力が増加してしまうので、キャッシュ倍率の設定には注意が必要です。

前述の通りCPUコアとキャッシュの電圧は共有されているので、キャッシュ倍率が後述のV-Fカーブによる低電圧化に悪影響を及ぼす可能性があります。
V-Fカーブによる低電圧化を行う場合は、「Ring Down Bin」を無効化しておいてください。

続いて電圧設定について説明していきます。
CPUには個体差がありますが、電圧特性に応じたCPUコア電圧とコアクロック(周波数)の比例関係を指定するV-Fカーブがそれぞれ収録されています。
CPUコア電圧モードを分類すると、まず定格モードがあり、定格のV-Fカーブに対して、周波数に依らず一定の昇圧or降圧を行うオフセットモード、さらに周波数に依らず一定の電圧を適用するオーバーライド(マニュアル)モードがあります。
Intel第13世代CPUをBy Core Usage倍率でオーバークロックする時に使用するのがアダプティブモードです。
一例としてCore i9 13900Kでは最小動作倍率800MHzから最大動作倍率5800MHz(a頂点)までのV-Fカーブが定格モードとして収録されています。
最大動作倍率を6000MHzにOCした時にV-Fカーブがどうなるかというと、5800MHz~6000MHzの間にはV-Fカーブがないので、Additional Turbo Mode Voltage(Adaptive Voltage Override)という電圧値を設定することで、OC最大倍率に対するb頂点が決まります。a頂点とb頂点の間は自動的に補間されます。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではGlobal Core SVID VoltageからAdaptive Modeを選択することで、Additional Turbo Mode Voltageを設定できます。
Core i9 13900Kの単コア最大ブーストクロックを6.0GHzにOCする場合、Additional Turbo Mode Voltageの目安は1.550V程度です。

Intel第13世代CPUにおいてCPUコア(P-CoreとE-Coreの両方)とキャッシュ(Ring、L3キャッシュ)は全てGlobal Core SVID Voltageによって電力供給され、単一のV-Fカーブで動作します。
Specific Performance/Efficient Coreの項目から個別に電圧を設定できるので紛らわしいのですが、この個別コア電圧設定で動作するのは、そのコアだけがアクティブな状態の時に限定されます。
複数のコアに対して個別コア電圧が設定されている場合、2コア以上がアクティブな状態では最も動作倍率が大きく、最もAdditional Turbo Mode Voltageが大きい設定が優先され、他全てのコアに適用されます。
個別コア電圧が設定されていないコアにはGlobal Core SVID Voltageと同じ設定が適用されるので、電圧設定はGlobal Core SVID Voltageだけ調整すればOKです。
あとActual VRM Core Voltage(Vcore)はマザーボードVRM電源からCPUへ供給される電圧値ですが、こちらは自動設定のままで問題ありません。
以上で基準となるV-Fカーブが決まったので、続いてV-Fカーブによる低電圧化を行います。
Intel第13世代CPUではV-Fカーブ(動作周波数と動作電圧の関係)を細かく調整できます。「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではV/F Point Offsetの名前で同設定が配置されています。

CPU個体毎のストック電圧に対して+/-のオフセット電圧を設定できます。
Core i9 13900Kの場合は800MHz、1400MHz、2400MHz、3400MHz、4300MHz、5100MHz、5400MHz、5700MHz、5800MHzに対してmV単位でコア電圧オフセット値を指定できます。
5800MHzについては9番と10番のV-Fポイントが割り当てられていますが、9番だけ設定すればOKです。
By Core Usage倍率で最大倍率を既定最大値(58倍)より大きく設定した場合、11番がOC最大倍率のV-Fポイントになります。

V-Fカーブによる低電圧化は各V-Fポイント毎に50mV程度の降圧が限界かもしれません。(マザーボードに依っても違うかも)
一定値を超えて各V-Fポイントへの降圧が上手く作用しない場合は、Global Core SVID VoltageのOffset VoltageでV-Fカーブ全体へ降圧をかけます。この時に降圧した分だけAdditional Turbo Mode Voltageと、定格最大動作倍率のV-Fポイントを昇圧することで、単コア最大ブースト時の安定性をキープできます。

By Core Usage倍率でオーバークロックを行う場合は、IccMaxを無制限に引き上げてください。電力制限や臨界温度と同様、高負荷時にコアクロック低下の原因になります。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」の場合は、CPU電力詳細設定に配置されているUnlimited ICCMAXで設定が可能です。

By Core Usage倍率によるオーバークロックで全コア最大動作倍率も引き上げている場合は、電力制限や臨界温度を使用して、高負荷時のCPUコアクロックに制限をかけ、CPU温度や消費電力を下げます。
CPU電力詳細設定には「瞬間許容電力制限値(Short Duration Power Limit、PL2)」「許容電力上限値(Long Duration Power Limit、PL1)」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。
電力制限がかかるとCPU Package Powerがその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。

CPU温度が一定以上(臨界温度, Tj Max)に達した時にCPUコアクロックを下げる、所謂、サーマルスロットリングが発生する閾値を指定するのがMaximum CPU Core Temperatureです。
Tj MaxはIntel製CPUでは一般的に100度に設定されています。基本的には上記のPL1/PL2の電力制限でCPUクーラーの性能に応じたコアクロック制限をかけ、Tj MaxはCPUクーラーに故障が発生した時のセーフティ的な使い方オススメです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はThermal Velocity Boostに対応しています。
Thermal Velocity Boostはコアクロックを上昇させる機能のような名前ですが、実際には、By Core Usage倍率に対して、TVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍など設定値に応じて引き下げる機能です。


第13世代CPUではThermal Velocity Boostにより、アクティブコア数に対して閾値温度/オフセット倍率のセットを2種類ずつ設定できます。
一定温度以下であれば非常に高い単コア最大ブーストクロックが動作するコアがある、ゲーム(低温)とクリエイティブタスク(高温)で全コア最大動作倍率をそもそも切り替えたい、という時に使用する機能です。

Intel第11世代CPUは拡張命令AVX-512に対応していましたが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」がサポートするIntel第12/13世代CPUは高効率コアE-Coreがアーキテクチャ上、AVX-512に対応できないので、Intel第12/13世代CPUシリーズ全体がAVX-512に非対応です。
元々は発熱が非常に大きいAVX-512に対応するために用意されていた設定ですが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」でもAVX2実行時の発熱を低減する方法として、従来の倍率動作オフセットに加えて、Voltage Guardband Scaleと呼ばれる電力制限に近い機能を使用できます。

CPUコアクロックのマニュアルOCについて
近年のCPUでは高い単コア最大ブーストクロックを維持できるBy Core Usage倍率&V-Fカーブの低電圧化が常用チューニングでは主流ですが、ここからはベンチマークスコアを追求するOC競技等に最適なCPUコアクロックを定格動作倍率よりも高く設定するマニュアルOCについて説明します。「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではSync All CoresモードにおいてAll-Core Ratio Limitから一律に全コア最大動作倍率を設定できます。50倍に設定した場合、デフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその50倍の5.0GHzで全てのコアが動作します。

Specific Performance/Efficient Coreの項目を開けば、P-Coreなら個別コア毎に、E-Coreなら4コア毎に最大動作倍率を設定できます。(By Core Usage倍率で説明した通り、個別電圧設定に意味はないのでAutoのままでOK)


キャッシュ動作倍率は「CPUキャッシュ最大動作倍率(Max CPU Cache Ratio)」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でキャッシュの動作周波数を設定できます。

「Ai Overclock Tuner」から「Manual」モードもしくは「XMP (D.O.C.P)」モードを選択するとベースクロック(BCLK)の設定項目が表示されます。
デフォルトのAutoでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで任意に設定が可能です。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。

続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第12/13世代CPUにおいてCPUコア(P-CoreとE-Coreの両方)とキャッシュ(Ring、L3キャッシュ)への電圧は共通です。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではGlobal Core SVID Voltageを調整します。CPUコアクロックを一律で設定するマニュアルOCを行うのであれば、分かりやすいので電圧値を固定するマニュアルモードを推奨します。
Global Core SVID Voltageの設定値に応じてActual VRM Core Voltageは調整されるのでこちらはAutoのままでいいと思います。

Intel第12/13世代CPUではL2キャッシュの電圧だけ個別に設定が用意されているので、E-Coreのコアクロックを大幅にOCする場合はCPU L2 Voltageも昇圧します。

またCPUのOCに関連する追加の電力設定として「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」では、コアクロックと電圧の設定項目の中間あたりにDigi+ VRMという項目が配置されています。

Digi+ VRMの中にはコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「ロードラインキャリブレーション」があります。
ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能となっており、補正の強度としてLevel 〇で何段階か用意されています。Levelの添え字の数字が大きくなるほど電圧降下の補正は強くなり、OCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。真ん中あたりから始めて安定する設定値を模索していくのがおすすめです。

Digi+ VRMではその他にも「CPU Current Capability」「CPU VRM スペクトラム拡散」「VDDR CPU VRM 動作モード」「VDDR CPU VRM 可動フェーズ設定」などCPUのオーバークロック時にマザーボードVRMからの電力供給を安定させる設定項目が用意されています。

メモリのオーバークロックについて
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。
そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
なお、 メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありません。メモリ設定を初期化できるようにCMOSクリアの手順を事前に確認しておいてください。
Intel XMPやAMD EXPOのOCプロファイルによるメモリOCは上の手順によるOC選別をメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はIntel環境に最適化されたXMP対応メモリだけでなく、AMD EXPO対応メモリのどちらでもOCプロファイルによるメモリOCが可能です。
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4などASUSマザーボードでは、メモリに収録されたAMD EXPOプロファイルからIntel製CPU環境でも使用可能なメモリOCプロファイルを自動生成する機能 D.O.C.Pがあります。
「Ai Overclock Tuner」から「XMP (D.O.C.P)」モードを選択することで、自動生成されたOCプロファイルによるメモリOC設定の適用が可能です。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」などASUS製Z790マザーボードではメモリOCプロファイルの適用に”XMP (D.O.C.P) 1”と”XMP (D.O.C.P) 2”の2つのモードがあります。
XMP 1では30-38-38-90のような主要タイミングのみが適用され(その他は全てマザーボードによる自動設定を適用)、XMP 2ではその他のサブタイミングもOCプロファイルの通りに適用されます。
Intel製CPUとIntel XMP対応メモリのような組み合わせであればサブタイミングまで適用される”XMP 2”で問題ありませんが、異なる組み合わせの場合は”D.O.C.P 1”が安定しやすいようです。

メモリ周波数は「DRAM周波数(DRAM Frequency)」という項目のプルダウンメニューから動作クロック(倍率)を任意に設定可能です。メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まります。
XMP/EXPOを使用せず、「DRAM Frequency」の設定値が自動(Auto)になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック4800MHz、5200MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。

Intel第12/13世代CPUのメモリコントローラー(IMC)周波数は、メモリ周波数に対して1:1対応のGear1(メモリ周波数が3200MHzならメモコンも3200MHz)、1:2対応のGear2(メモコンが1600MHz)、1:4対応のGear4(メモコンが800MHz)という3つの動作モードがあります。
DDR5メモリはGear2とGear4、DDR4メモリではGear1とGear2をサポートします。

DDR5のGear2やDDR4のGear1でメモリ周波数とIMC周波数を引き上げたい場合の豆知識として、IMCのOC耐性は厳密には周波数ではなく動作倍率に依存します。(第12/13世代CPUではIMC周波数にそのまま依存しているかも)
メモリ周波数とIMC周波数はリファレンスクロック(100MHz or 133MHz)に対する動作倍率で決まるため、3600MHzの場合はリファレンスクロック133MHzでIMC倍率が27倍となります。
リファレンスクロック100MHzでメモリ周波数を3800MHzや4000MHzにするとIMC倍率が38倍や40倍となってしまいますが、リファレンスクロック133MHzにするとメモリ周波数が上と同程度の3733MHzでもIMC倍率は28倍、3866MHzでもIMC倍率は29倍に下がるのでIMCのOC耐性からするとハードルが下がります。

メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。

メモリタイミングを手動で設定する場合、基本的にはOCメモリ製品のスペックとして公表されることの多い、「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Command Rate:1 or 2」と「Refresh Cycle Time (tRFC)」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。

高メモリクロックのOC時にWindowsの起動や軽い動作までは安定するものの、メモリストレステストでエラーが出る程度の状態であれば、「CAS Write Latency (tCWL)」をいくつか引き上げることで安定する可能性があります。

メモリの周波数OCを行う際は「DRAM電圧(DRAM VDD Voltage)」の項目を昇圧します。
DDR5メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を6000MHz以上にOCする場合はメモリ電圧を1.300~1.400Vに盛ってください。
DDR4メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。

加えてメモリ周波数やIMC周波数をOCする時に調整した方がいい電圧設定として、DDR4メモリ対応マザーボードの場合は「VCCSA(CPU System Agent Voltage)、「CPU VDDQ(IVR Transmitter VDDQ Voltage)」の2つを調整すると良いようです。
CPU VDDQについては単純に昇圧すればいいというわけではなく、メモリ設定に応じてスイートスポットのようなものがあるかもしれないので設定の際は注意してください。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」にCore i9 13900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、P-Coreは最大58倍、全8コアで55倍の動作倍率になっており、CPUコア動作倍率は仕様値通りです。
電力制限について、定格設定はPL1/PL2:253Wに対して、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」の初期設定ではPL1は253Wで定格通りですが、PL2は無制限に、短期間電力制限時間Tauは96秒へ緩和されています。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではASUS Multicore EnhancementをDisabled - Enforce All limitsにすると、Intel公式仕様通りの電力制限が適用されます。

長期間電力制限 PL1、短期間電力制限 PL2、短期間電力制限時間 TauはマザーボードBIOSから任意に設定も可能なので、各自の環境に合わせて調整してみてください。

電力制限以外にもCPU動作に大きく影響する項目についてまとめました。
Turbo Boost Max 3.0はアクティブなタスクに対して単コア最大動作倍率など最も高速に動作している(電圧特性に優れた)コアを割り当てる機能です。
Thermal Velocity Boostは閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能と説明されていますが、機能の実装としてはBy Core Usage倍率に対してTVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍に(正確にはCPU毎に設定された倍率に)引き下げるという形になっています。
AVX Voltage Guardband Scaleは該当するAVX命令実行時のコア電圧を調整する機能です。0~255の整数値で設定し、定格設定は128です。128以下では低電圧化、128以上では高電圧化します。(マザーボードに依っては1.00を基準に0.01~1.99で設定)
低電圧化というよりもAVX実行時の電力制限(AVX限定のPL1)に近い動作なので、Scale=1でもクラッシュすることはありませんが、性能は低下するものと思われます。
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4 (BIOS:0810) Core i9 13900Kの標準動作設定 |
||
標準設定 | 定格 | |
単コア最大倍率 | 58 | 58 |
全コア最大倍率 | 55 | 55 |
Turbo Boost Max 3.0 | On | On |
TVB Ratio Clipping (70度以上で-1倍) |
Off | Off |
PL1, PL2, Tau | 253, No, 96s |
253W, 253W, 56s |
AVX Offset | 0 | 0 |
AVX512 Voltage Guardband | 128 (設定値は0~199で100) |
128 |
備考 |
特になし |
続いてASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4を使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
まずは「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」に24コア32スレッドCPUのCore i9 13900Kを組み合わせて長時間負荷をかけ続けた時に、VRM電源周辺温度はどれくらいなのか、サーモグラフィーカメラ搭載スマートフォン CAT S62 PROを使用してチェックします。
CPUを定格で運用もしくはOC設定を適用した際のCPU温度やVRM電源温度を検証するストレステストについては、下記の動画エンコードを使用しています。
FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてHandBrake(x264)を使ってエンコードを行います。Core i9 13900Kは24コア32スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを4つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
なおIntel第13世代CPUの場合、動画エンコードに比べてCinebench R23 30分ストレステストの方が負荷が大きく、CPU消費電力には10~15W程度の差が生じます。

注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」の場合、Core i9 13900Kの定格設定であるPL1:253Wは適用されるので、ASUS Multicore Enhancementは初期設定のAutoのままにしています。
メモリについては「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZN」のOCプロファイルを適用し、メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング16-36-36-36、メモリ電圧1.350Vです。

「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」の初期設定(MCE:Auto)でCore i9 13900Kを運用すると、短期間電力制限PL2が無効化されていて、P-Core All 5.5GHz、E-Core All 4.3GHzにコアクロックが張り付くので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは41000前後まで上昇します。
短期間電力制限時間Tauを超過すると長期間電力制限PL1:253Wが効くので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは39000前後となり、EPS電源経由の消費電力は300W前後になります。
上記の動作設定においてストレステスト中のCPU温度やCPU使用率のログは次のようになりました。CPUクーラーにはFractal Design Celsius S36Bを使用し、冷却ファンNoctua NF-A12x25 PWのファン回転数は1500RPMで固定しています。
Core i9 13900KはCPUにフル負荷がかかるシーンだと臨界温度100度もしくはPL1/PL2:253Wを上限として動作しますが、360サイズAIO水冷CPUクーラーのように十分に冷却性能の高いCPUクーラーを組み合わせれば、CPU Package Powerが253Wに張り付いた状態で運用可能です。

電力制限が効くので動画エンコードなどのフル負荷においてCPUコアクロックが最大動作倍率に張り付くことはありませんが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のVRM電源温度などマザーボード原因でスロットリングが発生することはなく、Core i9 13900KをP-Core All 5.3~5.4GHz、E-Core All 4.2~4.3GHz程度の実動値で安定して動作させることができました。
(DDR4メモリ対応のASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4の場合、DDD5メモリ対応マザーボードと比較してコアクロックが高めですが、実際のエンコード速度はDDR5メモリ対応マザーボードの方が高速です)

Core i9 13900Kの定格動作で負荷をかけるとEPS電源経由のCPU消費電力は300W前後に達しますが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のVRM電源周りの温度をサーモグラフィーで確認したところ、80度前後に収まりました。
Core i9 13900Kは定格運用でもCPU Package Powerで253Wが許容されており、VRM電源負荷が非常に大きいCPUですが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ならAIO水冷CPUクーラーを組み合わせた、VRM電源周りがパッシブ空冷の状態でも標準装備だけで問題なく運用できます。


ベンチマークスコアを重視するなら固定倍率かつ固定電圧のOCが最適ですが、実用的にはシングル性能が優秀なBy Core Usage&V-Fカーブがオススメです。
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」はエントリー~ミドルクラスのマザーボードなので今回は検証を割愛していますが、同社製ハイエンドゲーミングマザーボードASUS ROG MAXIMUS Z790 HEROのレビュー記事内で、OC設定例を紹介しているので気になる人は参照してみてください。
最後に「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のメモリOC性能についてもチェックしておきます。
ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4(BIOS:0810)の検証では、検証機材メモリとして16GB 4枚組み64GB容量のDDR4メモリキット「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZN」を使用しています。
同メモリに収録されたOCプロファイルによって、メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング16-16-16-36-CR2という近年では定番の高パフォーマンスメモリ設定が安定動作しました。

ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4のレビューまとめ
最後に「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ミリタリー感のあるTUF Gamingデザイン
- Intel LGA1200互換のCPUクーラーマウントホール
- Core i9 13900Kの単コア最大6.0GHz、インゲームP-Core All:5.7GHzのOCで安定動作
- 60A対応Dr. MOSで構成された堅牢な17フェーズVRM電源
- 300W前後のCPU消費電力でもVRM電源温度は80度前後に収まる
- 従来規格のDDR4メモリに対応
- 16GB×4枚組みで3600MHz/CL16のメモリOCが安定動作
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット「SAFESLOT」
- PCIEスロット固定ラッチの解除を簡単にする新機能「PCIe Slot Q-Release」
- ヒートシンク付きのNVMe対応M.2スロットをマザーボード上に4基搭載
- マザーボード上のM.2スロット全てがPCIE4.0x4接続に対応
- Intel製2.5Gbイーサ(Intel I226-V)をリアI/Oに標準搭載
- WiFi 6&Bluetooth5.2対応無線LAN(Intel AX201)を標準搭載
- 無線LAN非搭載で若干安価なモデルもラインナップ
- Windows 11 22H2の標準ドライバでNICが動作しない(手動でドライバインストールが必要)
- CMOSクリアのハードウェアスイッチがリアI/Oにない
- DDR4メモリ対応マザーボードなので、最新規格のDDR5メモリには非対応
「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は、60A対応Dr. MOSで構成された17フェーズVRM電源回路を搭載し、第13世代Raptor Lake-S CPUの最上位、24コア32スレッド Core i9 13900Kの性能を余すことなく引き出します。
PCIE4.0x4対応のNVMe SSD用M.2スロットを4基搭載し、2.5Gb有線LANやWiFi6対応無線LANといった最新規格なコネクティビティを備え、既存環境から使いまわせる従来規格のDDR4メモリにも対応しており、さらに3.9万円前後(2023年3月現在)と価格面でも手を伸ばしやすく、Intel第13世代CPUでハイパフォーマンスなゲーミングPCを構築したいユーザーにオススメしたい製品です。
また「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は、ASUSの便利な独自機能、PCIEスロットのロック解除スイッチ PCIe Slot Q-Releaseに対応するマザーボードの中でも最安値クラスな製品なので、グラフィックボードを頻繁に取り換える(特に空冷CPUクーラー環境で)というユーザーには非常に魅力的です。


ASUS製マザーボードではお馴染みですがBIOSやマニュアルの日本語ローカライズ品質は主要4社の中でも随一となっており、BIOSのテキストベースUIの使い勝手も良好です。「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は初心者にも優しいマザーボードだと思います。
マザーボードのOC耐性を評価する上で重要なファクターになるVRM電源について、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」は非常に優秀な性能を発揮しました。「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」であれば市販の簡易水冷やDIY水冷など環境を選ばず、VRM電源周りは標準装備のままでCore i9 13900Kも運用できます。
Core i9 13900Kはアウトボックス時点で絶対性能を重視した電力制限が適用されており、標準でEPS電源経由のCPU消費電力が300W前後に達しますが、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」ではその強烈なVRM電源負荷に対しても、60A対応Dr. MOSなどで構成される17フェーズの堅牢なVRM電源回路が適切に熱を分散します。
VRM電源ヒートシンクはリアIOに覆い被さる超大型となっていて設計にこそ工夫が見られますが、あくまでパッシブ型という構造のまま、スポットクーラーの増設を必要とせずに、VRM電源温度を80度以下に収めることができました。
メモリOCについては、検証機材メモリG.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZNのOCプロファイルを適用するだけでメモリ周波数3600MHzにおいてメモリタイミング16-16-16-36-CR2が安定動作しました。
DDR4メモリの16GB×4枚組みで3600MHz/CL16がOCプロファイルを適用するだけで安定動作しているので、ゲーム/クリエイティブタスク用の実用OCなら不足することはないと思います。
メモリ周波数3600MHzであればIMC周波数が1:1同期するGear1も難しくありません。価格がこなれていて同等スペックのメモリは各社から発売されているので、3600MHz/CL16は実用的な高パフォーマンス設定としてスイートスポットです。
以上、「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」のレビューでした。

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60A対応Dr. MOSで構成される17フェーズの堅牢VRM電源を搭載し、従来規格DDR4メモリをサポートする「ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) March 19, 2023
PCIEスロットのロック解除スイッチ PCIe Slot Q-Releaseに
も対応!https://t.co/5NFvHmPQHL pic.twitter.com/C8KQoIS2xQ
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