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Core i9 11900Kなど第11世代Rocket Lake-S CPUに対応するZ590チップセット搭載マザーボードとしてGIGABYTEからリリースされた、90A対応Dr. MOSで構成される16フェーズの超堅牢VRM電源を搭載するハイエンドゲーミングモデル「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/Z590-AORUS-ULTRA-rev-10#kf
マニュアル:https://download.gigabyte.com/FileList/Manual/mb_manual_z590-aorus-ultra_1002_210126_j.pdf
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA レビュー目次
1.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの外観・付属品
2.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの基板上コンポーネント詳細
3.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの検証機材
4.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのBIOSについて
5.多機能かつ使いやすいファンコン機能「Smart Fan 6」について
6.イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
7.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのOC設定について
8.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの動作検証・OC耐性
9.GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのレビューまとめ
【注意事項】
同検証は2021年3月下旬に行っておりGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのBIOSはver F4aを使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/Z590-AORUS-ULTRA-rev-10/support#support-dl-bios
【2021年3月30日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:F4aで検証
【機材協力:旭エレクトロニクス(GIGABYTE製マザーボード国内正規代理店)】
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの外観・付属品
まず最初にGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態でスポンジスペーサーの中央に収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
冊子類は、日本語の簡易マニュアルやステッカーセットが付属します。ドライバメディアは光学ディスクを含めて一切付属しないので、公式サポートページからダウンロードする必要があります。
組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル4本、RGB対応3PIN汎用LEDケーブル、サーモセンサー2本、ノイズセンサー、G-Connector、WiFiアンテナとなっています。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAは外部温度センサーに対応しているのでそれに接続できるサーモセンサーも付属しているところが特徴的です。
GIGABYTEの一部のマザーボードではフロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」が付属します。
今回は検証用スイッチ&LEDで試してみましたが次のように「G-Connector」へ各種コネクタを装着します。あとはこのまま「G-Connector」をマザーボードのフロントパネルヘッダーに挿せばOKという非常に便利な独自機能です。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」には、GIGABYTE RGB Fusionによるライティング制御に対応したLEDヘッダーの延長ケーブルとしてRGB対応4PIN汎用LEDヘッダー用ケーブルが1本付属します。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」にはPCケース内部の騒音値を測定するためのノイズセンサーも付属しています。マザーボード上のノイズ検出用2PINヘッダーと接続することで任意の位置からノイズを測定できます。
マザーボード全体像は次のようになっています。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」はATXフォームファクタのマザーボードです。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のマザーボード下側はチップセットクーラーとM.2 SSDヒートシンクが一体化して見えるアルミニウム製アーマーのような外観です。チップセットクーラー部分はグレー、M.2 SSDヒートシンク部分はブラックのヘアライン処理でツートンカラーをなしており、両者を隔てる斜めラインがスピード感を演出します。
マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクの中央にはブランドネームAORUSを示す「Speed(素早さ)」「Power(力強さ)」「Accuracy(精密さ)」を表現したという”鷹(ファルコン)”モチーフのロゴが描かれています。
リアI/Oカバー周辺はチップセットクーラー周辺とデザインを揃えるのが一般的ですが、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」は艶のあるアクリルプレートを採用しています。全体デザインの統一感を残しつつ、遊びを感じさせる意匠です。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」にはメインストリーム向けマザーボードながら、16フェーズの超堅牢なVRM電源回路が実装されています。
VRM電源回路にハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のある「Dr. MOS」を採用するのはハイエンドマザーボードでは定番ですが、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」には90A対応Dr. MOSが使用されています。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のVRM電源クーラーもまたGIGABYTEが開発してきた技術の粋を集めた設計です。放熱ヒートシンクは一般的なフィンカットの施されたアルミニウム塊ではなく、アルミニウム製放熱フィンを並べたフィンアレイ構造を採用することで放熱面積を300%に拡大しています。
またフィン1枚1枚にルーバー(気流穴)を搭載する独自の特殊二次フィン構造Fins-Array IIによってエアフローを最適化、熱効率を向上させています。
さらに放熱フィン1枚1枚には厚み200μmのナノカーボン膜が静電接着によってコーティングされています。ナノカーボンコーティングは放熱性能を高め、コーティングなしと比較して10%も温度を低下させるとのこと。
CPUソケットの上側と左側のフィンアレイ型ヒートシンクを連結する銅製ヒートパイプは、一般的な6mm径よりも太い8mm径を採用し、ヒートシンクとの連結部分のギャップ狭める新たな製造プロセスが採用されています。発熱の大きいMOS-FETとの接触部分には7.5W/mKの高性能サーマルパッドを使用し、さらにヒートパイプダイレクトタッチ構造も採用されています。
Intel第11世代CPUの大幅なマニュアルOCでも安定した大電力供給が行えるように「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」にはEPS電源端子として8PIN×2が実装されています。EPS電源コネクタに装着された金属アーマーはコネクタの補強とともに熱拡散も補助します。
なおEPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」には一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。
リアI/Oには最新のUSB3.2 Gen2規格に対応した4基のType-A端子(赤色)と1基のType-C端子が設置されており、Type-C端子は20Gbpsの高速通信が可能なUSB3.2Gen2x2にも対応しています。
そのほかのUSB端子については4基のUSB2.0端子と4基のUSB3.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいてもVR HMDに余裕で対応可能です。ただUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、USB2.0は少し離れた場所に配置して欲しかったです。
有線LANには一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するIntel製LANコントローラー I225-V(Foxville)による2.5Gb LANが搭載されています。
さらに次世代規格WiFi6に対応した無線LAN(Intel AX200)も搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.1に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」に搭載されているネットワーク機器のうち、Intel AX200の無線LANは問題ありませんが、Intel I225-V(Foxville)はWindows10(20H2)の標準ドライバでは動作しません。
『USB外付けやSATA接続の光学ドライブでドライバをインストール』、『スマホ等のインターネットに接続可能な機器からUSBメモリ等へドライバをコピー』、『Windows10標準ドライバで動作するUSB接続LANアダプタを使用』など代替手段はいくつかありますが、事前にこれらのようなネットワーク機器接続の準備ができていない場合、インターネットに接続できない状態になるので注意してください。
今時はほぼ全ての人がスマホを持っていると思うので、最終手段ではスマホからドライバをダウンロードして、USB接続でスマホからPCへドライバインストーラーを転送するという手もあります。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの基板上コンポーネント詳細
続いて「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメは両側ラッチとなっています。片側ラッチよりも固定が少し面倒ですが、しっかりとDDR4メモリを固定できるので信頼性は高い構造です。
DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護して安定したメモリOC環境を実現し、またメモリモジュールの挿抜によるPCB基板の歪みや破損を防止する金属シールド「Ultra Durable Memory Armor」が実装されています。
グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは上から[N/A、x16、N/A、N/A、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。
2段目と5段目のx16サイズPCIEスロットはCPU直結のPCIE4.0x16レーンを共有しており、[x16, N/A] or [x8, x8]で使用できます。7段目のx16サイズスロットの帯域はPCH経由のPCIE3.0x4となっており、排他利用はありません。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」に搭載された3基のx16サイズスロットにはPCIEスロット補強用メタルアーマー「Ultra Durable PCIe Armor」とPCIEスロット左右端の固定を補強するGIGABYTE特許取得済「Double Locking Bracket」による2重の保護が施されています。1kgを超える重量級グラボの重さに耐えるためのこれらの対策により垂直方向に3.2倍、水平方向に1.7倍と両方向の負荷に対する強度は大幅に向上しています。
AMD Radeon RX 6000シリーズGPUとAMD Ryzen 5000シリーズCPUの組み合わせがサポートするAMD Smart Access Memoryの名前の方が有名ですが、PCIE規格で策定されているVRAMフルアクセス機能「Re-Size BAR (Base Address Register)」にもGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAは対応しています。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAにはSATAストレージ用の端子は6基(SATA_1~6)搭載されています。SATA_1~6はいずれもIntel Z590チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットは、CPUソケット下やPCIEスロット間に計3基が設置されています。
M2A_CPUは第11世代CPUで新たに追加されたCPU直結PCIE4.0x4レーンに接続されており、PCIE4.0x4接続のNVMe接続M.2 SSDに対応しています。
M2P_SBはチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続のM.2 SSD両方に対応しています。M2P_SBでSATA接続M.2 SSDを使用している場合、SATA3_1が排他利用となります。
M2M_SBはチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDのみに対応しています。M2M_SBには排他利用はありません。
・PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDのレビュー記事一覧へ
3基のM.2スロットにはM.2 SSDヒートシンク「AORUS M.2 Thermal Guard II」が搭載されており、サーマルパッドを介してSSDと接触することで放熱ヒートシンクとして利用でき、高速な反面発熱の大きいNVMe M.2 SSDのサーマルスロットリングの発生を抑制します。
一般的なマザーボード備え付けM.2 SSDヒートシンクは表面のみに金属プレートが実装されていますが、「AORUS M.2 Thermal Guard II」は両面ヒートシンク設計を採用しており、背面金属プレートも表面同様にサーマルパッドを介してM.2 SSDと接します。
マザーボードの右端には、最新接続規格USB3.2 Gen2に対応する内部USB Type-Cヘッダーと、内部USB3.0ヘッダーが実装されています。
マザーボードの下端には内部USB2.0ヘッダーが2基設置されています。Corsair iCUEやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAであればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」はゲーミングブランドAORUSの名を冠するだけあって、GIGABYTE独自の高音質オンボードサウンド機能「AORUS AMP UP AUDIO」も採用されています。
Realtekの最新オーディオコーデックALC4080によって、SN比120dBで圧倒的なオーディオ再生能力を誇り、SN比110dBのマイク入力は音声ストリーム配信にも最適です。自動でヘッドホンのインピーダンスを検出して最適な出力を可能にするSmart Headphone Amp機能などもあり、サウンドボードや外部DAC要らずな高音質オンボードサウンドが実現されています。
マザーボード右上にはリセットスイッチが実装されていますが、なぜかスタートスイッチは非実装でした。POSTエラーのチェックができるDebug Code LEDも設置されています。オンボードでCMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでオーバークロック設定を失敗しても簡単に初期化が可能です。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」に搭載されたリセットボタンは名前の通り標準の機能はシステムリセットですが、BIOSメニューの設定から、LEDのオン/オフ、BIOSメニューへ入るブート、セーフモードブートなど機能を切り替えることができます。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」には冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用のファン端子がマザーボード上に計8基設置されています。またファン制御に使用できる温度センサーも8個実装されています。
加えて「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」には、本格水冷PCユーザーには嬉しい外部温度センサーの接続端子が2基設置されています。GIGABYTEのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので水冷ユーザーにもお勧めです。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のファンコン機能Smart Fan 6では外部温度センサー2基に加えてマザーボード上備え付けの温度センサー7基で計9基の温度センサーから自由にソース温度を選択して7基のファン端子を制御できます。
さらに「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」では付属のノイズセンサーを使用することで、静音性もソースにしてファン制御を最適化することが可能です。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」はCPUやメモリなし(MBと電源ユニットとUSBメモリだけでOK)でBIOSのアップデートや修復が可能なBIOSフラッシュバック機能Q-FLASH PLUSに対応しており、マザーボード下端にはQ-FLASH PLUSボタンが設置されています。
Q-FLASH PLUS機能はCPUやメモリなしの状態でも使用できます。具体的な使い方は、BIOSファイル(サポートページからダウンロードして、”gigabyte.bin”に改名)の入ったUSBメモリを所定のUSB端子に接続してボタンを押すだけで、BIOSの修復・アップデートが可能です。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のリアI/Oに設置されたUSB Type-C端子はThunderbolt3/4には非対応ですが、マザーボード下側にTHB-C1/2端子が実装されており、同社のThunderbolt4増設PCIE拡張ボード「GIGABYTE GC-MAPLE RIDGE」を使用することでThunderbolt4端子が増設可能です。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの検証機材
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 11900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB(レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL15の超低レイテンシなオーバークロックに対応する8GB×4=32GBのメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」を使用しています。かなりピーキーなOC設定なので一般にはオススメし難い製品ですが。
・「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」をレビュー
高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは当サイトでも特にオススメしているDDR4メモリです。第3世代Ryzen向けにリリースされた製品ですが、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされていて、Intel第11世代Rocket Lake-S CPU&Z590マザーボード環境でも高いパフォーマンスを発揮できるので、選んで間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのBIOSについて
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付が変になっている場合がありますが無視してください。また内容的に差異がなければ過去のスクリーンショットを流用しています。)
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのBIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F2」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
アドバンスドモードという従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。トップに表示されるシステムタブのシステム言語から日本語を選択可能です。トップメニューのタブは左右カーソルキーで簡単に移動できます。
GIGABYTE製マザーボードのBIOSの翻訳は一部誤訳もあるものの比較的まともなので日本語UIとしては使いやすいと評価していいと思います。未だに一部の漢字に違和感のあるフォントですが、フォントサイズが調整されて見切れることがないように2019年7月以降の製品では修正が加えられています。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「保存して終了(save and exit)」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
BIOSのアップデート方法は、まず公式サポートページから最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/Z590-AORUS-ULTRA-rev-10/support#support-dl-bios
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、BIOSメニューのSystem Infoタブの最下段に表示される「Q-FLASH」を選択するか、「F8」キーのショートカットキーでQ-FLASHを起動します。
Q-Flashの画面に移動したら、Update BIOSを選択し、USBメモリからアップデートファイルを選択します。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのブート回りは下画像のようにトップメニュータブ「BIOS」の中で非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。OSのインストールも「起動オプション #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
GIGABYTEのBIOSではブートデバイスの指定が可能なので起動オプションで設定せずに、「保存して終了(save and exit)」のタブメニューから「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなので、そういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」の2段目のx16サイズPCIEスロットはCPU直結のPCIE3.0x16帯域ですが、PCIE帯域の分割(PCIE Bifurcation)に対応しています。通常の「PCIE3.0x16」モード以外に、「PCIE x8/x8」、「PCIE x8/x4/x4」を選択できます。
多機能かつ使いやすいファンコン機能「Smart Fan 6」について
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「Smart Fan 6」が外部温度センサー対応など多機能かつ、ユーザービリティーにも優れたUIでかなり使いやすいので詳しくチェックしていきます。ちなみに「Smart Fan 6」はWindows OS上の専用アプリからも設定が可能ですが、BIOSからも専用アプリと同様にフルコントロール可能なので、一度設定したら頻繁に弄るものでもありませんし、余計なものを入れるよりもBIOS上からの操作に慣れておく方がおすすめです。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のファンコントロール機能「Smart Fan 6」には、「F6」のショートカットキーか、「Settings」タブの「Smart Fan 6」を選択することでアクセスできます。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のファンコントロール機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIでマウスを使って簡単にできる機能なのですが、マウスレスでも全て設定可能となっており、ASUSやASRockのBIOSのような直打ちUIが好きな管理人でも使いやすいと感じる良いファンコンでした。
前Smart Fan 5のUIではそれこそマウス操作主体でしたが、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」に採用されているSmart Fan 6ではファンカーブグラフの下に頂点座標を設定するテキストボックスがあり、ファンカーブの設定値を直打ち設定することが可能です。
同ファンコントロール機能でユーザーが主に触る部分は下のスクリーンショットで囲った、「設定を行うファン端子」「速度設定プリセットの選択」「手動設定時のファンカーブ」「ファン制御ソース温度」「複数ファン端子への設定の適用」の5つになると思います。
設定を行うファン端子は画面左側に列挙されたファン端子名から選択します。選択したファン端子について「〇〇ファン速度制御」の項目から、「通常」「静音」「フルスピード((定格)」の3つのプリセットに加えて、ユーザーが各自でファンカーブをカスタマイズできる「手動」の4種類を選択できます。
また選択しているファン端子の操作を行う温度ソースは「Fan Control Use Temperature input」から選択可能になっており、マザーボード備え付けの温度センサーに加えて、対応マザーボードでは増設可能な外部温度センサーを温度ソースに指定できます。ただしCPUファンについてはCPU温度ソース固定となります。
対応マザーボードであれば水温センサーを外部温度センサー端子に接続すれば水温ソースにしたラジエーターファンのファンコンにも対応可能なので水冷PC用のマザーボードとしても最適なファンコン機能です。
「〇〇ファン速度制御」の項目で「手動」を選択した場合はファンカーブのグラフにおいて、ファンストップ温度と、フルスピード温度に加えて、グラフ内で任意の6点についてファンカーブを設定できます。
「Monitor」と「〇〇ファン速度制御」の項目間で上下カーソルキーを使うことで各ファンカーブ頂点を指定することができます。Shiftキーを押したままでカーソルキーを操作することによってマウスレスでファンカーブの頂点を格子上で移動可能です。冒頭で紹介したようにSmart Fan 6ではテキストボックスを使用した頂点設定値の直打ちにも対応しています。
「〇〇_Fan Stop」という項目でソース温度が一定以下の時にファンを停止させるセミファンレス機能も用意されています。「0」と書かれたファンカーブの頂点はファンストップ温度となっており、指定した温度ソースがファンストップ温度以下の場合、設定を行ったファン端子に接続されたファンを停止させる、所謂セミファンレス機能が使用できます。
選択した特定のファン端子1つだけについて設定を適用することも可能なのですが、「Tune Alll」のボタンをクリックするとマザーボードに設置されたファン端子が全て列挙され、ファン端子名の左にあるチェックボックスのチェックを入れるもしくは外すことで、現在設定を行っているファン端子と同じ設定を他のファン端子にも一斉に適用することが可能です。ファン設定の同期適用機能があるというのはユーザービリティーに優れ非常に好印象です。
その他にも急激な温度変化へファンコンが過敏に反応しないようファン速度変化に1~3秒の猶予を設ける「Temperature Interval」、ファン操作モードを「DC/PWM/自動検出」から設定する「〇〇ファン Control Mode」などのファンコン設定項目があります。
またマザーボードにブザーユニットが接続されている場合は、特定温度ソースが一定温度を超えた場合にエラーを知らせる「Temperature Warning」や接続されているファンに不具合が発生した(回転数の検出ができない)場合に警告を行う「〇〇ファン異常警告」といった設定も可能です。
また画面左下にある「Save Fan Profile」、「Load Fan Profile」でファン制御設定を保存できます。外部ストレージだけでなく、BIOSメモリにも1つのプロファイルを保存しておくことが可能で、このプロファイルはBIOSをアップデートしても引き継がれます。
「Smart Fan 6」はWindows OS上のインフォメーションソフト「System Information Viewer」に統合されており同アプリ上から、BIOSと同じくファンコントロールが可能です。(System Information Viewerの利用にはAPP Centerのインストールも必要になります。)
上で紹介したBIOS上のファンコントロール同様に、個別のファンについてファンカーブの設定、セミファンレス機能のON/OFF、ヒステリシス間隔の変更など詳細なファンコントロール設定が可能です。
上のメニューで左にあるケースアイコンをクリックするとPCケース内におけるファン・ノイズセンサーの設置位置やファンコンのソース温度を設定するメニューが表示されます。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「Smartファン5」はおそらく一般ユーザーにとっては最も使いやすく機能の優れたファンコントロールだと思います。
イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「GIGABYTE RGB Fusion」に対応しています。「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」に備え付けられたLEDイルミネーションは非常にシンプルで、リアI/OパネルのAORUSロゴを装飾する斜めラインのみです。
マザーボードの左下にRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが計2基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」などが接続可能です。1端子当たりの出力は最大24W(12V, 2A)まで対応しており、最長2mのLEDテープを延長接続可能です。
またアドレッサブルLED機器を接続可能なARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーも2基実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープについては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「AINEX アドレサブルLEDストリップライト」が動作することが確認できています。
GIGABYTEのライティング制御機能「RGB Fusion」はWindows OS上の同名アプリ「RGB Fusion」からライティングに関する各種設定が可能です。プリセットも豊富でイラストも交えたUIが使いやすいソフトウェアです。
「RGB Fusion」を起動すると、マザーボードやメモリなどRGB Fusion対応機器一覧アイコンとライティング同期設定が表示されたホームページが表示されます。ホームページ右側から発光パターンや発光カラー設定を行うと左側にアイコンの表示されている対応機器全てに同じライティング設定が適用されます。
右上にある歯車アイコンで表示される設定ウィンドウにはスマホアプリとのペアリング設定があり、また「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中にLEDイルミネーションを点灯させるかどうかが設定できます。
同社製品の「GIGABYTE AORUS RGB Memory」や「GIGABYTE AORUS GeForce RTX 2080 Ti XTREME WATERFORCE 11G」、またはサードパーティ製品の「Corsair VENGEANCE RGB PRO」や「Kingston HyperX Predator RGB」など、RGB Fusionと互換性のあるイルミネーション機器を一括して制御できます。
なおBIOS内の「Settings - Miscellaneous」にある「LEDs in System Power On State」ではシステムがアクティブな状態、「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中にLEDイルミネーションを点灯させるかどうかが設定できます。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのOC設定について
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」ではオーバークロック関連の設定項目はトップメニュータブ「Tweaker」に各種設定がまとめられています。下にスクロールしていくと概ね「コアクロック→メモリ→電圧」の順番で並んでいます。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
数年前のモデルでは難点としては、テンキーの「+/-」キーで設定値の変更はできるものの、メモリ周波数やロードラインキャリブレーションの設定がプルダウンメニューでないところが非常に不便であると、ここ2,3年に渡って評価していたのですが、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」など最新製品ではこの部分が修正されて、OC設定もかなり扱いやすくなっています。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのコアクロックのOC設定方法はベースクロック(BCLK):100MHzに対する倍率指定となっており1倍単位でCPUコアクロックの倍率を設定できます。
「CPU クロック倍率: 50」と設定することでデフォルトのベースクロック100MHzの50倍で5.0GHzで全コアが一律に動作します。
CPU クロック倍率を使用したCPUコアクロック設定は所謂Sync All Cores設定ですが、その下にある「CPU詳細設定」の中で、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「アクティブターボ倍率」(一般に言うところのBy Core Usage)、コア別に倍率を適用する「コアあたりのターボ制限制御」(一般に言うところのPer Core)といった動作倍率設定も可能です。
Intel第10/11世代CPUは、従来ではオフセットやアダプティブのような大雑把な調整しか不可能だったV/Fカーブ(動作周波数と動作電圧の関係)を細かく調整できるようになっています。GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAではCPUコア電圧設定の1つ、Adaptive Modeを選択時に表示されるVF Offset ModeをSelectionにすることで設定が現れます。
現時点では既定の8点の周波数に対して設定されたCPU個体毎のストック電圧に対して、+/-のオフセット電圧を設定できます。設定可能なポイントはCPU毎に異なりますが、Core i9 11900Kの場合は800MHz、2500MHz、3500MHz、4300MHz、4800MHz、5100MHz、5200MHz、5300MHzに対してmV単位でコア電圧オフセット値を指定できます。
Intel第11世代CPUの新たな特長の1つとして、マルチコア負荷時のCPU動作倍率を2~3倍も引き上げ、さらに温度制限がかかる臨界温度をThermal Velocity Boostの70度から100度へと大幅に解除する新たなターボブースト機能「Intel Adaptive Boost Technology」があります。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」ではBIOSバージョンF4aからAdaptive Boost Technologyをサポートしており、BIOS設定メニューから有効化が可能です。
Intel第11世代CPUでは新たにAVX-512命令が追加されましたが、CPUコアクロックをOCする上でボトルネックになることもあるため、BIOS設定からAVX-512命令のみ、もしくは全てのAVX系命令を無効化できます。従来通りAVX系命令実行時にコアクロックを下げるオフセットも可能です。
CPUクロック動作倍率の下にある「CPUベースクロック(CPU Base Clock)」の項目ではその名の通りベースクロック(BCLK)を変更可能です。デフォルトでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで0.01MHz刻みで設定できます。
CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
キャッシュ動作倍率にあたる「キャッシュ動作倍率(Ring Ratioと表記されています)」を変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第11世代CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定として、GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAでは「Vcore電圧モード」や「CPU V Core」の項目を変更します。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAで選択可能な電圧モードには、CPU定格V-Fカーブにオフセットを適用するAdaptive Vcoreや、固定電圧を適用するOverride Vcore / Fixed Vcoreがあります。(Override Vcoreは、Fixed Vcoreとの違いとして、IVRのVIDとマザーボードVcoreの両方に指定電圧を適用します)
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」でCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定するOverride Vcoreモードがおすすめです。Autoのまま数値直打ちだけでもいいと思いますが。
8コア16スレッドCore i9 11900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として、Tweakerの下の方に配置された「高度な電圧設定 - CPU/VRM設定」からアクセスできる「CPU VRINロードラインキャリブレーション」が挙げられます。
「CPU VRINロードラインキャリブレーション」はCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUやVRM電源部分の発熱も大きくなるので、基本的にはMediumやHighあたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。
またCPU動作倍率設定の下にあるCPU詳細設定の中、Turbo Power制御を有効にすると、「短時間電力制限(Short Duration Power Limit)」「長時間電力制限(Long Duration Power Limit)」という2つの電力制限機能が表示され、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。
電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAではCPUコアクロックをOCするとパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAでは「エクストリーム・メモリ・プロファイル(X.M.P.)」という項目からOCプロファイルを選択することで、XMPによるメモリのオーバークロックが可能です。
「XMP設定の読み込み」の設定値が無効になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM周波数(システムメモリマルチプライヤ)」の項目でプルダウンメニューから最大6000MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」ではメモリ周波数もBCLKに対する倍率で表示されます。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
「高度なメモリ設定 - メモリチャンネル・タイミング」を選択するとメモリタイミングの個別打ち込み設定が表示されます。
メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
DDR4メモリの周波数OCを行う際はDRAM電圧(DRAM Voltage)を、メモリ周波数3000MHz以上の場合は1.300V~1.350V、メモリ周波数3800MHz以上の場合は1.370V~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
Intel第11世代CPUではメモリコントローラー周波数について、メモリ周波数に対して1:1対応のGear1(メモリ周波数が3200MHzならメモコンも3200MHz)と、1:2対応のGear2(メモコンが1600MHz)という2つの動作モードがあります。
Intel第11世代CPUのうち定格メモリ周波数3200MHzでGear1に対応するのはCore i9 11900K(F)のみですが、「CPU IMC : DRAM Clock」の項目からGear1/2を手動設定で切り替えが可能です。「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」では自動設定でもメモリ周波数3600MHzまではGear1動作です。
IMC周波数はリファレンスクロック(100MHz or 133MHz)に対する動作倍率で決まるため、3600MHzの場合はリファレンスクロック133MHzでIMC倍率が27倍となります。
単純にメモリ周波数を3800MHzや4000MHzにするとリファレンスクロック100MHzでIMC倍率が38倍や40倍となってしまい現実的に動作は不可能なのですが、リファレンスクロック133MHzでIMC倍率が28倍の3733MHzや、IMC倍率が29倍の3866MHzであれば、IMCのOC耐性次第では安定動作する可能性があります。
なおIMC周波数を定格(Core i9 11900K/11900KFでは3200MHz、その他は2933MHz)よりも高い値でGear1の1:1同期にする場合は、VCCSA(CPU SA Voltage)、VCCIO(CPU IO Voltage)、VCCIO Memory(CPU IO 2 Voltage)を調整してみてください。
VCCSAが一番重要な気がしますが、一応、3つの代表的な設定値として順番に1.350V、1.050V、1.250V程度に設定すると3600MHzでGear1が安定動作するはずです。
参考までに、3733MHzでGear1を狙う場合、VCCSAは1.400~1.450V程度が要求されます。3866MHzになるとさらに高くなり1.450~1.600Vが必要で、実際に動作するかはIMCのOC耐性次第になります。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」にCore i9 11900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、2コアまでは53倍、全10コアで48倍の動作倍率になっており、CPUコア動作倍率は仕様値通りです。しかしながら電力制限については無効化されていました
BIOS標準設定ではCore i9 11900Kは全コア4.8GHzに貼りついて動作するため、CPU消費電力は200Wオーバーになります。
なお「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」ではAVX512 Voltage Guardband Scaleによって低電力化されているためAVX512が有効なタスクでも無効なタスク実行時と消費電力は同等です。
TDPに対して全コア最大動作倍率が高く設定されているCPUに電力制限を適用してIntelの公式仕様通りに使用したい場合、例えばCore i9 11900Kでは長期間電力制限を125W、短期間電力制限時間を56sに設定してください。
電力制限以外にもCPU動作に大きく影響する項目についてまとめました。
Turbo Boost Max 3.0はアクティブなタスクに対して単コア最大動作倍率など最も高速に動作している(電圧特性に優れた)コアを割り当てる機能です。
Thermal Velocity Boostは閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能と説明されていますが、機能の実装としてはThermal Velocity Boost有効時の仕様値がBy Core Usage倍率として適用されており、TVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍に(正確にはCPU毎に設定された倍率に)引き下げるという形になっています。
AVX512 Voltage Guardband ScaleはAVX 512実行時のコア電圧を調整する機能です。0~255の整数値で設定し、定格設定は128です。128以下では低電圧化、128以上では高電圧化します。低電圧化というよりもAVX512実行時の電力制限(AVX512限定のPL1)に近い動作なので、Scale=1でもクラッシュすることはありませんが、性能は低下するものと思われます。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA (BIOS:F4a) Core i9 11900Kの標準動作設定 |
||
標準設定 | 定格 | |
単コア最大倍率 | 53 | 53 |
全コア最大倍率 | 48 | 48 |
Turbo Boost Max 3.0 | On | On |
TVB Ratio Clipping (70度以上で-1倍) |
On | On |
PL1, PL2, Tau | No, No, - | 125W, 251W, 56s |
AVX512 Offset | 0 | -3 |
AVX512 Voltage Guardband | 1 (128未満) |
128 |
備考 |
CPUコア電圧はAdaptiveで -50~60mVオフセットされているっぽい? |
続いてGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 11900KのマニュアルOCについては市販CPUクーラーで最高性能の360サイズ簡易水冷でもCPU消費電力300W程度がCPU温度を80~90度に収めることができる上限となっており、CPUコア電圧で1.300~1.350V程度になります。
この電圧に対してはCPU個体差にもよりますが、安定動作が可能なコアクロックは5.0~5.1GHz程度なので、全コア動作倍率の設定を行うと、標準動作の単コア5.3GHzブーストによるシングルスレッド性能が損なわれてしまいます。
全コア動作倍率設定&CPUコア電圧Overrideはやはり設定の手軽さが魅力ですが、単コア5.3GHzの性能をキープしたいのであれば、Adaptive Boost TechnologyやBy Core Usage設定で多コア負荷時の動作倍率を5.0~5.1GHzへ引き上げて、V-Fカーブ設定で51倍動作時の電圧をマイナスオフセットするのがオススメです。
またCore i9 11900Kの場合、全コア4.8GHzでもAVX512を有効にすると、AVX512を使用するタスクではCPU消費電力が300Wに達してしまいます。手動OCを行う場合は、AVX512を完全に無効化するか、AVX512の動作周波数が4.8GHz以下になるようにオフセット設定、AVX512 Voltage Guardbandによる電力制限を行ってください。
今回の検証において、Core i9 11900Kの動作設定は「TVB Ratio Clipping:無効」「AVX512 Voltage Guardband:128」として、シンプルに電力制限が無効化された状態にしています。
メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」としています。メモリOC関連の電圧については特に手を加えなくても問題ありませんでしたが「VCCSA:1.350V」「VCCIO Mem:1.200V」に設定しました。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAの環境(BIOS:F4a)においてメモリのオーバークロックを行ったところ、メモリ周波数とメモリタイミングだけのカジュアル設定で、メモリ周波数を3600MHz、メモリタイミング:14-15-15-35-CR2の高速周波数&低レイテンシで安定動作を確認できました。
Intel第11世代CPUではIMC(メモリコントローラー)周波数がメモリ周波数と1:1動作のGear1で安定するのは3600MHz辺りが限界のようなので、常用のメモリOC設定として3600MHz/CL14は最速クラスの設定です。
今回のOC検証ではメモリの検証機材として、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL15の超低レイテンシなオーバークロックに対応する8GB×4=32GBのメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」を使用しています。
上述の通り、Intel第11世代CPU環境ではメモリ周波数3800MHz以上ではIMC周波数が1:2動作のGear2になってしまいますが、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」のXMP OCプロファイルを適用することで4000MHz/CL15の安定動作も確認できました。
8コア16スレッド「Intel i9 11900K」を電力制限無効化によって全コア動作周波数が4.8GHzに張り付くようにし、3600MHz/CL16のメモリOCも適用していますが、Cinebench R23による30分ストレステストを問題なくクリアできました。ちなみにこの動作設定を適用した時のCore i9 11900KのCinebench R23スコアは15500程度です。
続いてこの動作設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。Core i9 11900Kは8コア16スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを2つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAを使用することでCore i9 11900Kを電力制限無効化による全コア同時4.8HzかつAVX512有効、さらにメモリ3600MHzにOCしてストレステストをクリアできました。
CPUクーラーにはFractal Design Celsius S36を使用し、冷却ファンNoctua NF-A12x25 PWのファン回転数は1500RPMで固定しています。
サーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してGIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのVRM電源温度をチェックしてみました。
まずは「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」の標準設定でCore i9 11900Kを運用した場合について、負荷テスト中の温度をチェックしていきます。
上のテーブルでまとめたように「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」の標準設定ではPL1/PL2による電力制限は無効化されていますが、AVX512用電力制限的な設定であるAVX512 Voltage Guardbandが使用されているため、CPU消費電力はAVX2まで、AVX512を使用のどちらでも200W程度になります。
標準設定で生じるCPU消費電力200Wという最大負荷に対して、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」は90A対応Dr. MOSで構成される超堅牢な16フェーズVRM電源回路とパッシブ型VRM電源クーラーという標準装備だけで、VRM電源温度はソフトウェアモニタリングと、サーモグラフィーのホットスポットの両方で85度以下に収めることができました。
続いてCore i9 11900Kを上記のBIOS設定によってAVX512も含めて完全に電力制限を解除した時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA環境でCore i9 11900Kを全コア4.8GHzでAVX512を有効、かつメモリも3600MHz/CL16/Gear1にOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が340W前後に達します。
Core i9 11900Kは定格コア倍率において電力制限を無効化しAVX512を使用するタスクで負荷をかけると、EPS電源経由の消費電力は300Wに達し、エンスージアスト向けCore-Xもかくや、というくらい非常に大きいCPU消費電力が発生します。
そんなCPU消費電力300W級のVRM電源負荷に対して、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のVRM電源温度はソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーの両方で100度を超過しました。
今回の検証ではVRM電源回路のオーバーヒートによるCPUコアクロックの強制低下こそ発生しませんでしたが、AVX512を使用するタスクでの電力制限無効化や、全コア5GHz超のマニュアルOCなどCPU消費電力が300Wに迫る設定を、VRM電源周りがパッシブ空冷のままで運用するのは難しそうです。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」において360サイズなど大型簡易水冷CPUクーラーで冷却可能なCPU消費電力300WクラスのOCを行うのであれば標準装備だけでVRM電源を十分低温に収めることは難しいので、スポットクーラーの増設を推奨します。
VRM電源の冷却を増強すべくスポットクーラーを使用するのであれば、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がオススメです。
・マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRAのレビューまとめ
最後に「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブラックカラー主体でLEDも控えめ、スタイリッシュな外観
- 90A対応Dr. MOSで構成される16フェーズVRM電源回路
- Core i9 11900Kの電力制限無効化による全コア4.8GHzで安定動作
- メモリ周波数3600MHz/CL14/Gear1のOCが安定動作
- 200Wクラスの負荷に対してパッシブ空冷のままVRM電源温度は80度台
- 外部センサーと搭載で水温ソースのファンコンも可能なので水冷PCにも最適
- 重量級グラボにも耐える2大独自機能「Ultra Durable PCIe Armor」と「Double Locking Bracket」
- 外部ノイズから保護することで安定したメモリOCを実現する「Ultra Durable Memory Armor」
- 温度/ノイズセンサーに対応したファンコン「Smartfan 6」は多機能で使いやすい
- ヒートシンク付きのNVMe対応M.2スロットを3基搭載
- M.2スロットのうち1基はPCIE4.0x4接続に対応
- Intel製2.5Gbイーサ(Intel I225-V)をリアI/Oに標準搭載
- WiFi6/Bluetooth5.0に対応したIntel AX200無線LAN搭載
- BIOS修復機能Q-FLASH PLUSに対応
- オンボードスタートスイッチを非搭載(CMOSクリアや多機能リセットスイッチは搭載)
- CPU消費電力300Wクラスの電力制限解除/OCではスポットクーラーの増設を推奨
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」は、90A対応Dr.MOSなどの高品質素子で構成される16フェーズの堅牢なVRM電源によってCore i9 11900Kを安定して運用でき、動作設定面でもユーザーが細かいことを気にしなくてもいいように電力制限や低電圧化など標準で上手くチューニングが施されています。
Intel製の2.5Gb有線LANやWiFi6対応無線LANを標準で搭載し、PCIE4.0対応も含めた3基のNVMe SSD用M.2スロットを備えるなど最新CPUのポテンシャルを引き出す上での足回りも十分です。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」ではカーソルキー操作を基本としたクラシカルなUIが採用されており管理人的に好みでした。ただグラフィカルUI好きにとっては物足りないかもしれません。日本語ローカライズの精度とフォントに若干の難は残るものの、メモリ周波数やLLCのメニューが選択式に改善されたことやフォントサイズが調整されたことで使いやすさも向上しています。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のBIOS標準設定でCore i9 11900Kを動作させるとTDP125W制限が無効化されます。BIOSから手動設定を行えばIntel公式仕様値通りに動作させることが可能ですが、電力制限無効化の場合、CPUクーラーは240サイズ以上の簡易水冷CPUクーラーが推奨されるくらいの発熱が生じるので注意が必要です。
ただ、標準設定のままでもCPUコアの低電圧化や、AVX512 Voltage GuardbandによるAVX512タスク実行時の電力制限が適用されているので、簡易水冷CPUクーラーさえ組み合わせておけば細かい心配は必要ありません。
GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA使用した検証機では8コア16スレッドのIntel Core i9 11900Kを電力制限解除による全コア4.8GHzに、メモリ周波数も3600MHz/CL14/Gear1にオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」については90A対応Dr. MOSを始めとした高品質素子で構成されるVRM電源回路、フィンアレイ型ヒートシンクやダイレクトタッチヒートパイプ構造ベースが採用されたVRM電源クーラーなどハードウェア実装も良く、標準設定の電力チューニングも上手いので、標準設定のまま運用するのであればCore i9 11900KでもCPU消費電力は200W程度となり(AVX512有効タスクでも)、VRM電源温度は80度程度に収まります。簡易水冷CPUクーラー環境でVRM電源周りがパッシブ空冷のままでも問題ありません。
一方で、AVX512有効時も含めた完全な電力制限の解除や、全コア5.0GHz超の手動OCなどCPU消費電力が300Wに迫る負荷が長期的にかかる場合、パッシブ空冷のままではVRM電源温度が100度を超えてしまいます。「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」で標準設定からさらに電力制限解除や手動OCを行う場合は、VRM電源を冷やすため追加のスポットクーラー増設を推奨します。
メモリOCについてはメモリ周波数と主要タイミングのみを指定するカジュアルOC設定で、デュアルチャンネル4枚刺しのメモリ周波数3600MHzにおいてメモリタイミング14-15-15-35-CR2まで詰めることができました。Intel第11世代CPUではIMC周波数が1:1動作になるGear1で安定する限界は3600MHzくらいなので、3600MHz/CL14は実用最速クラスの設定です。
一方、IMC周波数が1:2動作となるGear2であれば、検証機材として使用している「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」に収録されたメモリ周波数4000MHz/メモリタイミングCL15のXMPプロファイルも問題なく安定動作しました。競技向けになると思いますが、4000MHzオーバーにも耐える高品質なメモリ回路が実装されていると考えていいと思います。
以上、「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」のレビューでした。
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90A対応Dr. MOSで構成される16フェーズの超堅牢VRM電源を搭載するハイエンドゲーミングモデル「GIGABYTE Z590 AORUS ULTRA」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) April 5, 2021
Core i9 11900Kの全コア5.1GHz OCで徹底検証https://t.co/EDD04yWpc8 pic.twitter.com/4L8tYKTac5
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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