MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4


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Core i9 12900Kなど第12世代Alder Lake-S CPUに対応するZ690チップセット搭載マザーボードとしてMSIからリリースされた、70A対応Dr. MOSで構成される18フェーズの堅牢VRM電源を搭載し、従来規格DDR4メモリをサポートするエントリークラスゲーミングモデル「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」をレビューします。
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製品公式ページ:https://jp.msi.com/Motherboard/MAG-Z690-TOMAHAWK-WIFI-DDR4






MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4 レビュー目次


1.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の外観・付属品
2.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の基板上コンポーネント詳細


3.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の検証機材

4.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のBIOSについて
5.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のOC設定について


6.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の動作検証・OC耐性

7.MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のレビューまとめ


【注意事項】
同検証は2021年11月下旬に行っておりMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のBIOSは1.14を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/MAG-Z690-TOMAHAWK-WIFI-DDR4/support#down-bios

【2021年11月23日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.14で検証



【機材協力:MSI Japan】



MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の外観・付属品

まず最初にMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の外観と付属品をチェックしていきます。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のパッケージは一般的なN式箱で、蓋を開くと上段にはマザーボード本体が収められており、下段には各種付属品が収められた小分けパッケージが入っていました。
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付属品一覧は次のようになっています。
マニュアルなど冊子類で必要なものが一通り揃っています。その他にもステッカーなどが付属します。
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注目ポイントとして「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のドライバはCDではなく専用のUSBメモリに収録されていました。光学ドライブを搭載しない環境も増えているので嬉しい配慮です。その他のマザーボード製品でもドライバはUSBメモリに移行して欲しいところ。
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組み立て関連の付属品として、SATAケーブル2本、M.2 SSD用固定ラッチ、WiFiアンテナが付属します。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4はATXフォームファクタのマザーボードです。フルブラックで重厚な装いです。
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マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクとPCIEスロット間のM.2 SSDヒートシンクは基本的にフラットなデザインですが、高級感のあるヘアライン仕上げ、スリット、サンドブラストなど複数の表面加工が組み合わさっているので立体感があります。ミリタリー要素が若干盛り込まれたMEG UNIFY的な印象です。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」はリアI/Oカバーもフルブラックカラー、光沢のあるヘアライン仕上げアルミニウムの素材&表面加工が美しい仕上がりです。
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CPUソケットの左側と上側はいずれも巨大かつ複雑なフィンカットが施されたヒートシンクが採用されており、特に左側はリアI/Oに覆い被さる部分も含めて全てアルミニウム製ヒートシンクです。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4にはメインストリーム向けマザーボードながら、18(16+1+1)フェーズの堅牢なVRM電源回路が実装されています。
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VRM電源回路を構成する素子も、定格70Aを処理可能なSmart Power Stage(所謂、低発熱で定評のあるDr. MOSの70A対応版)など厳選された高品質素子です。
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最大で16コア24スレッドのメニーコアに達するIntel第12世代CPUの大幅なマニュアルOCでも安定した大電力供給が行えるように「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」にはEPS電源端子として8PIN×2が実装されています。
EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」にはマザーボード一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
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以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。

リアI/Oには最新のUSB3.2 Gen2規格に対応した3基のType-A端子(赤色)と1基のType-C端子が設置されており、Type-C端子は20Gbpsの高速通信が可能なUSB3.2Gen2x2にも対応しています。
そのほかのUSB端子については2基のUSB3.0端子と2基のUSB2.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいてもVR HMDに十分対応可能です。ただUSB3.Xは無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、USB2.0は少し離れた場所に配置して欲しかったです。
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有線LANには一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するIntel製LANコントローラー I225-V(Foxville)による2.5Gb LANが搭載されています。
さらにWiFi6に対応したIntel AX200コントローラーによる無線LANも搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.2に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
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Intel I225-V(Foxville)、Intel AX211など「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」に搭載されているネットワーク機器はWindows11の標準ドライバでは動作しません。(I225-Vが標準ドライバで動作するかどうかはマザーボードに依る)
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条件次第では問題になることもあるので詳しくはこちらの記事を参照してください。



またリアI/Oには「BIOS Flash」ボタンが設置されており所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続してボタンを押すと「BIOS Flash」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の基板上コンポーネント詳細

続いて「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」を含め、Intel第12世代CPUに対応するIntel 600シリーズチップセット搭載マザーボードは新CPUソケット”LGA1700”が採用されています。
従来のLGA1200やLGA1151(LGA115X)のCPUクーラーマウントホールと互換性がないので注意してください。

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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」はシステムメモリの従来規格DDR4に対応しています。最新規格のDDR5には非対応なので注意してください。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメは両側ラッチとなっています。片側ラッチよりも固定が少し面倒ですが、しっかりとDDR5メモリを固定できるので信頼性は高い構造です。
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グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは上から[N/A、x16、N/A、x1、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。
上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。
2段目のx16サイズPCIEスロットはCPU直結PCIE5.0x16レーンに接続されていて他PCIEスロットとの帯域共有はありません。
5段目のx16サイズスロットはチップセット経由のPCIE3.0x4帯域、7段目のx16サイズスロットはチップセット経由のPCIE3.0x1帯域、x1サイズスロットはチップセット経由のPCIE3.0x1帯域となっており、排他利用はありません。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4にも最近のトレンドとして2段目のx16サイズスロットには1kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように補強用メタルアーマー搭載スロット「MSI PCI-E STEEL ARMOR」が採用されています。
金属製アーマーをハンダ付けすることによってPCIEスロットの固定を強化し、従来よりも4倍も頑丈になっており、PCIEスロットをシールドで覆うことによって外部ノイズEMIから保護する役割も果たします。
MSI PCIE Steel Armor
AMD Radeon RX 6000シリーズGPUとAMD Ryzen 5000シリーズCPUの組み合わせがサポートするAMD Smart Access Memoryの名前の方が有名ですが、PCIE規格で策定されているVRAMフルアクセス機能「Re-Size BAR (Base Address Register)」にもMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4は対応しています。
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SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に6基搭載されています。SATA_1~6はいずれもIntel Z690チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットは、CPUソケット下やPCIEスロットと並んで計5基が設置されています。
M2_1はCPU直結PCIE4.0x4レーンに接続されており、PCIE4.0x4接続のNVMe接続M.2 SSDに対応しています。
M2_2はチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE4.0x4)接続のM.2 SSDのみをサポートします。
M2_3はチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続のM.2 SSD両方に対応しています。
M2_4はチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE4.0x4)接続のM.2 SSDのみをサポートします。
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PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDのレビュー記事一覧へ
PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDのレビュー記事一覧へ

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のM.2スロットのうち、M2_1M2_3にはM.2 SSD自体の固定にはネジを使用しない、「EZ M.2 Clip」という独自の構造が採用されています。クリップを90度回すだけで簡単にM.2 SSDを固定できるので非常に楽です。
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4基のM.2スロットにはMSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield Frozr」が設置されており、同ヒートシンクを使用することで、グラフィックボードなど発熱から保護し、M.2 SSDがむき出しの状態よりもサーマルスロットリングを抑制する効果が期待できます。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のマザーボード右側には最新接続規格USB3.2 Gen2x2に対応する内部USB Type-Cヘッダーが実装されています。また内部USB3.0ヘッダーもマザーボード基板と垂直に実装されています。
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マザーボード下側には2基の内部USB2.0ヘッダーが設置されています。Corsair iCUEやNZXT CAM対応製品などUSB2.0内部ヘッダーを使用する機器も増えていますが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」であればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」はエンスージアストゲーマー向けマザーボードということで、MSI独自の高音質オンボードサウンド機能を、最新オーディオコーデックRealtek ALC4080によって、従来機種よりもさらに強化した「AUDIO BOOST 5」が採用されています。
日本ケミコン製のオーディオコンデンサを採用し、オーディオパートはマザーボードから物理的に分離され、左右のオーディオチャンネルがレイヤー分けされることでクリアな音質を実現します。FPSゲームなどで足音や銃声をゲーム内にOSD表示で可視化する「NAHIMIC 3 Sound Technology」も使用できます。
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冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタとしてCPUファン端子水冷ポンプ対応端子ケースファン端子6基の計8基が搭載されています。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。
水冷ポンプ対応の「PUMP_FAN1」端子は最大36W(12V、3A)の出力にも対応しているので変換ケーブルを噛ませれば本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても使用できます。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」にはCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、内部USB2.0端子の左上にあるジャンパーピンを使用してCMOSクリアを行います。ケーブルの長い2PINスイッチをあらかじめ装着しておいた方がよさそうです。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のリアI/OのUSB Type-CポートはThunderbolt4に対応していませんが、Thunderbolt4対応Type-Cポートを増設できるPCIE拡張ボードを使用するためのJTBT1ヘッダーが実装されています。
ただし「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」に実装されているThunderbolt4用ヘッダーは既存の拡張ボードがサポートしていない、見慣れない13PINとなっており、MSIからも今のところThunderbolt4増設PCIE拡張ボードは発表されていません。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の検証機材

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 12900K
レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z RGB
F4-4000C14D-32GTZR
DDR4 16GB×2=32GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB(レビュー
OS Windows 11 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー



360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。


グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_apprication


サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
Thermal Grizzly Carbonaut_Core i9 9900K


以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のBIOSについて

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)

BIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。右上には表示言語変更のプルダウンメニューがあります。MSIマザーボードはASUSの次くらいにしっかりとローカライズされているので日本語UIも使いやすいと思います。
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MSIのBIOS詳細モードでは「SETTING」「OC」「M-FLASH」「OC PROFILE」「HARDWARE」「BETA RUNNER」の6つのアイコンを選択することで中央のイラスト部分や画面全体に詳細設定項目が表示されるという構造になっています。キーボード操作も可能ですがマウス操作を重視したUIです。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出は「SETTING」アイコンの「保存して終了」の項目内に存在します。ASUS、ASRock、GIGABYTEなどと違ってカーソルキーのみの移動で設定保存と退出関連の項目にサクッと移動できないのが少し不便に感じます。起動デバイスを指定して再起動をかける「Boot Override」機能があるのは使い勝手が良くて好印象です。
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BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/MAG-Z690-TOMAHAWK-WIFI-DDR4/support#down-bios

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、詳細モード左下の「M-FLASH」を選択します。「M-FLASH」モードはBIOSとは完全に別で用意されており再起動するか尋ねられるので再起動します。ただし手動でOCを行っている場合は「M-FLASH」を選択しても一度設定をデフォルトに戻して再起動がかかるので、再度BIOSに入って「M-FLASH」を選択する必要があるようです。
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再起動して「M-FLASH」に入ったら下のようにUSBメモリ内のBIOSファイルを選択してアップデートを実行すればBIOSのアップデートが完了します。なおBIOSアップデート後は自動でBIOSへ入らないので注意してください。アップデート後はOC設定なども初期化されてしまうので初回は自動でBIOSに入って欲しいです。
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ブートとOSインストール周りについて紹介します。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のブートデバイス関連の設定は「SETTING」アイコンの「ブート」という項目にまとめられています。
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起動デバイスの優先順位は「FIXED BPPT ORDER Priorities」という項目で、ハードディスクやDVDドライブなど大別した優先順位が設定可能となっており、その下にある「〇〇 Drive BBS Priorities」で同じ種類のデバイスについて個別の起動優先順位の設定を行えます。
一般的にはWindows OSの入った「UEFI:HardDisk:Windows Boot Manager(〇〇)」を最上位に設定して、その他の起動デバイスは無効化しておけばOKです。
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Windows 11 OSのインストール手順(BIOSにおける設定)についても簡単に紹介しておきます。
Windows 11のOSインストールメディア(USBメモリ)については「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」という名前になります。「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」を起動優先順位の最上位に設定してください。
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起動優先順位でインストールメディアを最上位に設定したら設定を変更してBIOSから退出します。ただMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4はブートデバイスを指定できるBoot Overrideを使用できるので直接OSインストールメディアを起動デバイスとして指定して再起動してもOKです。
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ちなみにWindows11の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようです。その場合はマイクロソフト公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。大型アップデート適用済みのインストールメディアに都度更新できるので1つ用意しておくのがオススメです。



BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のファンコントロールや各種コンポーネント温度のハードウェアモニタリングはトップメニューの「HARDWARE」アイコンからアクセスできます。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のファンコン機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。またファンコンカーブの設定にはマウス操作が必須です。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」にはモニタリング可能な温度が5種類も用意されています。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」に搭載された8基のファン端子については、いずれも個別にファン制御モードをPWM制御とDC制御から選択でき、ファンコントロールソース温度やヒステリシス(Step Up/Down Time)の設定もできます。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」に搭載されたファン端子はファンコンソース温度として、CPU温度、MOS(VRM電源)温度、PCH(チップセット)温度などの5種類から自由に選択できます。
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制御ソース温度の変動に対して、ファン速度制御に遅延を加えてファン速度の変化を平滑化する「Fan Step Up/Down Time」の設定も可能です。
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MSI製マザーボードのファンコントロール機能はグラフィカルUIでわかりやすく設定できるよ、という機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。ただ個人的にはコンソール直打ちが好きなので管理人がMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つです。

あと細かいところですがBIOS内のスクリーンショットをF12キーで撮影できますがスクリーンショットファイルの名前がタイムスタンプではなく保存するUSBメモリのルートに存在するファイルで重複しない連番なのが少し使い難かったです。間違って上書き保存してしまうことがあるのでタイムスタンプにして欲しいです。



MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のOC設定について

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4ではオーバークロック関連の設定項目はトップメニューの「OC」アイコンに各種設定がまとめられています。下にスクロールしていくと概ね「コアクロック→メモリ→電圧」の順番で並んでいます。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
OCメニューのトップには「OC Explore Mode」という項目があり一般的なOC設定の可能な「Normal」モードに加えて、一部の高度なOC設定項目を解除できる「Expert」モードがあります。今回は「Expert」モードで紹介していきますが、基本的なOC設定は「Normal」モードでも十分行えるので初心者は無理せず「Normal」モード推奨です。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」では初回起動時にBIOSメニューで各自のCPU冷却環境を確認されます。
ただしCore i9 12900Kを組み合わせた時に通常はIntel公式仕様通りになる設定のBoxed Coolerでも、短期間電力制限PL2は241Wで公式仕様通りですが、長期間電力制限PL1は125Wから241Wへ引き上げられていました。
高性能空冷CPUクーラーを想定したTower Air Coolerでは長期間電力制限PL1が288Wに、AIO水冷クーラーを想定したWater Coolerでは長期間電力制限PL1が完全に無効化されます。
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このCPUクーラー設定は、OC設定ページの「CPU Cooler Tuning」に当たり、初回設定後も自由に切り替えが可能です。
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CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
Intel製CPUのコアクロックは定格では、負荷がかかっているコア数に対して最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定する”By Core Usage”という設定が採用されています。
一例として4コアCPUで負荷がかかっているコア数1~4に対する倍率として[45:43:43:42]のように設定されている場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作(BCLKが100MHzなら4.5GHz)、2つと3つの場合は43倍動作、4つの場合は42倍動作となります。

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」がサポートするIntel第12世代Core-Sは高性能コアP-Coreと高効率コアE-Coreの2種類の混成でCPUが構成されています。
OC設定に関して言えば、P-CoreとE-Coreは従来のIntel製CPUが2つ内蔵されているイメージで、それぞれ個別に動作倍率を設定します。なお電圧設定はP-CoreのOCではコア電圧を昇圧するだけ、E-CoreもOCする場合はコア電圧に加えてL2キャッシュ電圧も昇圧します。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_Intel Hybrid Computing Architecture

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」ではCPU内部クロック倍率の設定モードとして、標準では全コア動作倍率を指定するAll Coreモードだけが表示されます。
ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は、NormalモードもしくはExpertモードのAll Coreにおいて「CPUの内部倍率を変更」の項目で動作倍率を45と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその45倍の4.5GHzで動作します。
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All CoreモードやPer Coreモードでは通常、CPUコア負荷率に応じて動作倍率を下げる省電力機能が働きますが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」では、「CPU Ratio Mode」の設定項目から省電力機能による動作倍率の変動が発生する「Dynamic Mode」に加えて、指定の最大動作倍率に張り付き動作となる「Fixed Mode」を選択できます。(少コア負荷時の高倍率動作も無効化されます)
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OC Explore ModeでExpertを選択すると、「CPU Ratio Apply Mode」の項目名でいくつかの動作倍率モードを選択できるようになります。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」では、全コアの倍率を同じに設定する「All Core」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「Turbo Ratio」(一般に言うところのBy Core Usage)、定格のBy Core Usage倍率に対して一律に倍率オフセットを適用する「Turbo Ratio Offset」、コア別に倍率を適用する「Per Core」の4種類が選択できます。
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第9世代以前のIntel製CPUではオフセットやアダプティブのような大雑把な調整しか不可能でしたが、Intel第12世代CPUのP-CoreではV/Fカーブ(動作周波数と動作電圧の関係)を細かく調整できるようになっています。MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4ではCPUコア電圧設定のリストの中に「Advanced Offset Mode」の名前で同設定が配置されています。
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現時点では既定の周波数に対して設定されたCPU個体毎のストック電圧に対して、+/-のオフセット電圧を設定できます。設定可能なポイントはCPU毎に異なりますが、Core i9 12900Kの場合は800MHz、1800MHz、3600MHz、4000MHz、4200MHz、4800MHz、5300MHzに対してmV単位でコア電圧オフセット値を指定できます。
なお5300MHzについては7~11番のV-Fポイントが割り当てられていますが、7番と8番のV-Fポイントに同じ設定値を適用してください。(同時に操作してPOST失敗の場合は、降圧時は7番の設定を適用してから再度BIOSに入って7番、昇圧時はその逆、という手順で)
BCU倍率で最大倍率を既定最大値(53倍)より大きく設定した場合は11番も必要なら調整します。
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Intel第11世代CPUで新たなターボブースト機能としてアピールされていたThermal Velocity Boostは、Intel第12世代CPUでは無効化されていますが、機能自体はマザーボードBIOS設定に残っている、というかさらに強化されています。
Thermal Velocity Boostは、”閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能”のように説明されますが、機能の実装としては通常のBy Core Usage倍率に対して、TVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍など設定値に応じて引き下げるという形になっています。
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第12世代CPUではThermal Velocity Boostによって、個別コアに対して閾値温度/オフセット倍率のセットを2種類ずつ設定できます。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_BIOS_OC_13

前世代のIntel第11世代CPUは拡張命令AVX-512に対応していましたが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」がサポートするIntel第12世代CPUは高効率コアE-Coreがアーキテクチャ上、AVX-512に対応できないので、Intel第12世代CPUシリーズ全体がAVX-512に非対応です。
元々は発熱が非常に大きいAVX-512に対応するために用意されていた設定ですが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」でも、AVX2実行時の発熱を低減する方法として、従来の倍率動作オフセットに加えて、Voltage Guardband Scaleと呼ばれる電力制限に近い機能を使用できます。
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キャッシュ動作倍率にあたる「Ring Ratio」も変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でキャッシュの動作周波数を設定できます。
なおIntel第12世代CPUにおいてキャッシュ動作倍率はE-Core動作倍率を上限として制限され、E-Core動作倍率に合わせてキャッシュの動作倍率も下がります。E-Coreを無効化すると従来CPUのように4.0GHz以上の高いキャッシュ動作倍率も可能です。
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CPUクロック動作倍率の下にある「CPUベースクロック(CPU Base Clock)」の項目ではその名の通りベースクロック(BCLK)を変更可能です。デフォルトでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで0.05MHz刻みで設定できます。
CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
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「CPU Base Clock Apply Mode」ではBIOS設定を保存してから退出して再起動後にBCLKの変更を適用する「Next Boot」とリアルタイムで設定変更を反映させる「Immediate」の2つのモードを選択できます。
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続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第12世代CPUにおいてCPUコア(P-CoreとE-Coreの両方)とキャッシュ(Ring、L3キャッシュ)への電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定として、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」では「CPU Core Voltage」や「CPU Core Voltage Mode」を調整します。

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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」ではCPUコア電圧をマニュアルの設定値に固定する「Override」モードが標準動作ですが、Expertモードを選択すると、CPUに設定された比例値にオフセットかける「Offset」モード、ターボブースト時にのみ昇圧を行う「Adaptive」モードなどを使用できます。
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「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」でCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定するOverrideモードがおすすめです。
Core i9 12900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安として、P-Coreを固定倍率の全コア5.0GHzで1.150V前後、全コア5.1GHzで1.200前後で動作が安定します。360サイズ簡易水冷CPUクーラーを使用して長期的に冷やせるという意味では、最大で1.250~1.300V程度が上限になると思います。
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加えて、Intel第12世代CPUではL2キャッシュの電圧だけ個別に設定が用意されており、E-CoreのコアクロックをOCする場合は「CPU E-Core L2 Voltage」も昇圧します。
L2キャッシュ電圧の目安としてE-Coreを固定倍率で全コア4.0GHzにした時の設定値は1.100~1.150Vくらいで動作が安定します。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_BIOS_OC_21

CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として「DigitALL power」がCPUコア電圧の設定欄の直上にあります。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_BIOS_OC_22
「DigitALL power」内で特に調整した方がよい項目として「CPUロードラインキャリブレーション」があります。CPUロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。補正の強度としてMode1~Mode8まで設定可能となっており、Mode1を補正最大として、添え字の数字が小さくなるほど補正が強くなります。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUの発熱も大きくなるので、Mode3あたりを最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整するのがおすすめです。
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またCPU動作倍率設定の下にある「Advanced CPU Configuration」の下層には「短期間電力制限(Short Duration Power Limit)」「長期間電力制限(Long Duration Power Limit)」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。
電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4ではCPUコアクロックをOCするとパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。
基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
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メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動でSPDプロファイルのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4では「XMP(Extreme Memory Profile)」という項目をEnabledに設定する、もしくは適用したいプロファイルを選択することでXMPによるメモリのオーバークロックが可能です。
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XMPを使用せず、「DRAM Frequency(DRAM周波数)」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されているメモリ周波数(DDR4なら2133~3200MHz、DDR5なら4800MHzなど)およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから5000MHz以上の動作クロック(倍率)設定が可能です。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
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Intel第12世代CPUのメモリコントローラー(IMC)周波数は、メモリ周波数に対して1:1対応のGear1(メモリ周波数が3200MHzならメモコンも3200MHz)、1:2対応のGear2(メモコンが1600MHz)、1:4対応のGear4(メモコンが800MHz)という3つの動作モードがあります。
DDR5メモリはGear2とGear4、DDR4メモリではGear1とGear2をサポートします。
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DDR5のGear2やDDR4のGear1でメモリ周波数とIMC周波数を引き上げたい場合の豆知識として、IMCのOC耐性は厳密には周波数ではなく動作倍率に依存します。(第12世代CPUではIMC周波数にそのまま依存しているかも)
メモリ周波数とIMC周波数はリファレンスクロック(100MHz or 133MHz)に対する動作倍率で決まるため、3600MHzの場合はリファレンスクロック133MHzでIMC倍率が27倍となります。
リファレンスクロック100MHzでメモリ周波数を3800MHzや4000MHzにするとIMC倍率が38倍や40倍となってしまいますが、リファレンスクロック133MHzにするとメモリ周波数が上と同程度の3733MHzでもIMC倍率は28倍、3866MHzでもIMC倍率は29倍に下がるのでIMCのOC耐性からするとハードルが下がります。
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メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_BIOS_OC_29
メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
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メモリ周波数のOCを行う際はメモリ電圧「DRAM Voltage」の項目を昇圧します。
DDR5メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を5000MHz以上にOCする場合はメモリ電圧を1.250~1.300Vに盛ってください。
DDR4メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
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加えてメモリ周波数やIMC周波数をOCする時に調整した方がいい電圧設定として、DDR4メモリ対応マザーボードの場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」、「CPU VDDQ(CPU VDDQ Voltage)」の2つを調整すると良いようです。
CPU VDDQについては単純に昇圧すればいいというわけではなく、メモリ設定に応じてスイートスポットのようなものがあるかもしれないので設定の際は注意してください。
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MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」にCore i9 12900Kを組み込んだ場合の動作については、OC設定の章で解説した通り、初回起動時の「Select CPU Cooler Type」や「CPU Cooler Tuning」から選択できるプロファイルによって電力制限が変化します。
ただしCore i9 12900Kなど第12世代KシリーズCPUでは、Boxed Coolerの設定でも、長期間電力制限PL1はProcessor Base Power (Base, PBP)の125Wではなく、Maximum Turbo Power (Turbo, MTP)の241Wに引き上げられるというのがIntelの公式仕様となっています。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_BIOS_OC_2
BIOS設定でAdvanced CPU Configurationの下に配置されている「長期間電力制限(Long Duration Power Limit, PL1)」、「短期間電力制限(Short Duration Power Limit, PL2)」を任意に設定すれば、PL1=125Wのような電力制限を適用することも可能です。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_BIOS_OC_24

なお「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」は、他社のマザーボードと比較して標準設定におけるCPUコア電圧が高いせいか(他社製品が標準で低電圧化動作になっている可能性もありますが)、Core i9 12900Kに電力制限無効化で負荷をかけた時の消費電力が30W程度高いことを確認しています。
「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」でもV-Fカーブの設定で50~70mV程度の低電圧化が施すと他社製品と似たような動作になるので、標準設定でCPU温度が高い場合はV-Fカーブによる低電圧化を試してみてください。
Core i9 12900K_BIOS_PL-No+UV

電力制限以外にもCPU動作に大きく影響する項目についてまとめました。
Turbo Boost Max 3.0はアクティブなタスクに対して単コア最大動作倍率など最も高速に動作している(電圧特性に優れた)コアを割り当てる機能です。

Thermal Velocity Boostは閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能と説明されていますが、機能の実装としてはBy Core Usage倍率に対してTVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍に(正確にはCPU毎に設定された倍率に)引き下げるという形になっています。

AVX Voltage Guardband Scaleは該当するAVX命令実行時のコア電圧を調整する機能です。0~255の整数値で設定し、定格設定は128です。128以下では低電圧化、128以上では高電圧化します。(マザーボードに依っては1.00を基準に0.01~1.99で設定)
低電圧化というよりもAVX実行時の電力制限(AVX限定のPL1)に近い動作なので、Scale=1でもクラッシュすることはありませんが、性能は低下するものと思われます。

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4 (BIOS:1.14)
Core i9 12900Kの標準動作設定

標準設定
Boxed Cooler選択時
定格
単コア最大倍率 52 52
全コア最大倍率 49 49
Turbo Boost Max 3.0 On On
TVB Ratio Clipping
(70度以上で-1倍)
Off Off
PL1, PL2, Tau 無効化
(初期設定に依る)
241W, 241W, 56s
AVX Offset 0 0
AVX Voltage Guardband 128 128
備考
特になし


続いてMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用した場合のCPUやメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


CPUにOC設定を適用した際のCPU温度やVRM電源温度に関するストレステストについては、下記の動画エンコードを使用しています。
なおIntel第12世代CPUの場合、動画エンコードに比べてCinebench R23 30分ストレステストの方が負荷が大きく、安定動作に必要なコア電圧で10~20mV、CPU消費電力で30W程度の差が生じます。
ストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行います。Core i9 12900Kは16コア24スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを3つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 12900K-OC_Stress-Test


Core i9 12900KのマニュアルOCについては市販CPUクーラーで最高性能の360サイズ簡易水冷でもCPU消費電力250W程度がCPU温度を80~90度に収めることができる上限となっており、CPUコア電圧にすると1.200~1.250V程度が上限になります。DIY水冷でも1.300Vを超えると厳しいはずです。
この電圧に対してはCPU個体差にもよりますが、安定動作が可能なコアクロックは5.0~5.1GHz程度なので、全コア動作倍率の設定を行うと、標準動作の単コア5.2GHzブーストによるシングルスレッド性能が損なわれてしまいます。

全コア動作倍率設定&CPUコア電圧固定(Override)はやはり設定の手軽さが魅力で、Cinebench等でベンチマークスコアを狙うのには最適ですが、実用的に単コア5.2GHzの性能をキープしたいのであれば、By Core Usage設定で多コア負荷時の動作倍率を5.0~5.1GHzへ引き上げて(安定動作するようなら単コア最大動作倍率も5.3GHzに)、V-Fカーブ設定で48倍~53倍動作時の電圧をマイナスオフセットするのがオススメです。


ベンチマークスコアを重視するなら固定倍率かつ固定電圧のOCが最適ですが、実用的にはシングル性能が優秀なBy Core Usage&V-Fカーブがオススメで、なおかつ、OCレビューとしてあまり紹介されることがないので、こちらの設定例を紹介します。
Core i9 12900KのOC設定は「P-Core: 1c x53, 2c x52, 3-8c x51」「E-Core: 1-4c x41, 5-8c x40」「V-F Curve: Ratio x48 -300mV, Ratio x53 -300mV」「E-Core L2電圧:1.100V」としています。
メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」としています。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_OC-test_BIOS_12900K_VFc (1)
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_OC-test_BIOS_12900K_VFc (5)
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_OC-test_BIOS_12900K_VFc (4)
「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」におけるV-Fカーブの調整について、今回は300mVという単純に電圧の数値だけ見ると、異常に大きいマイナスのオフセットをかけています。BIOSバージョン等で設定値が変わるので、各自で行う場合は下記の手順に従ってください。
V-Fカーブ操作の正しい手順としては、まずは調整していない状態でCinebench等の短時間の負荷をかけ、HWiNFOなどのモニタリングソフトでP-Core X VIDやVcoreの数値を確認します。その値を基準にしてマイナスオフセットの数値を調整してみてください。目安としてP-Core All 5.1GHzの場合は負荷をかけた時のVIDが1.250~1.300になる設定値を探ります。
screenshot.1638093483
またP-Core All 5.0GHzまでならV-Fカーブの調整だけで安定すると思いますが、5.1GHzにするとHWiNFO上で確認できるマザーボードのタブ内のVcoreの電圧が不足するようでクラッシュする可能性があります。V-Fカーブだけで上手くいかない場合は、CPUロードラインキャリブレーションの補正値を上げて昇圧してみてください。


16コア24スレッド「Intel i9 12900K」をBy Core Usage&V-F Curveで全コア動作倍率をP-Core:5.1GHz、E-Core:4.0GHzにOCし、メモリ周波数も3600MHzにOCすると、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは29000程度になります。単コア最大動作倍率も5.3GHzに引き上げているのでシングルスレッドスコアは2080程度です。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_VFc_cinebench-r23

このOC設定においてストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。
マザーボードにMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用すると、Core i9 12900KをBy Core UsageモードでP-Core All:5.1Hz、E-Core All:4.0GHz(V-Fカーブ設定で48~53倍動作時について低電圧化)、メモリ3600MHzにOCしてストレステストをクリアできました。
CPUクーラーにはFractal Design Celsius S36を使用し、冷却ファンNoctua NF-A12x25 PWのファン回転数は1500RPMで固定しています。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_VFc-51-40_temp_1
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_VFc-51-40_temp_2


続いて、Core i9 12900Kを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト終盤において、MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のVRM電源周辺温度はどれくらいなのか、サーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してチェックします。


MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の環境でCore i9 12900KをBy Core Usage&V-F CurveでP-Core All:5.1Hz、E-Core All:4.0GHzにOCするとシステム全体の消費電力が330~360W、VRM電源への影響が大きいEPS電源経由の消費電力は250Wに達します。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_VFc-51-40_power
そんなCPU消費電力200W超級のVRM電源負荷に対して、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」は70A対応Dr. MOSで構成される超堅牢な18(16+1+1)フェーズVRM電源回路とパッシブ型のVRM電源クーラーという標準装備だけで、VRM電源温度はソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーのいずれも70度以下に収めることができました。
「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」であれば、市販CPUクーラーで最高性能な360サイズ簡易水冷はもちろん、DIY水冷も含めて、Core i9 12900Kの常用OCに標準装備のみで十分に対応が可能です。

MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_51-40_VFc


最後に「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のメモリOC性能についてもチェックしておきます。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(BIOS:1.14)のメモリOC検証では、検証機材メモリとして16GB×2枚組み=32GB容量のDDR4メモリキット「G.Skill Trident Z RGB F4-4000C14D-32GTZR」を使用しています。
メモリ周波数、主要タイミング、メモリ電圧だけのカジュアル設定で、メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング16-16-16-36-CR2という近年では定番の高パフォーマンスメモリ設定が安定動作しました。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_DDR4_3600_C16_G1

また検証機材メモリの「G.Skill Trident Z RGB F4-4000C14D-32GTZR」に収録されたOCプロファイルを適用するだけで、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング14-14-15-35-CR1という高速かつ超低レイテンシなメモリOCも安定動作しました。IMC周波数の同期設定は自動設定のGear2です。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_DDR4_4000_C14_G2

さらにMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(BIOS:1.14)におけるメモリOC検証として、メモリ周波数4000MHz/CL14において、IMC周波数がメモリ周波数と1:1で同期するGear1が安定動作するか検証してみました。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4ではメモリ周波数4000MHz/C14/Gear1の安定動作を確認できました。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_DDR4_4000_C14_G1
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_DDR4_4000_C14_G1_v
ただし、OC設定に再現性がないというか、マザーボードによる自動設定にその都度ランダム性があるのか、メモリ周波数3866MHz以上でGear1に設定するとサブタイミング等のPOSTで失敗することが非常に多いという問題点がありました。
一度安定動作すれば、シャットダウン等を挟んでも安定するのですが、CMOSクリア後に同じ設定を適用しても、正常動作するかどうかは運次第という感じで、再現性がなく、上のスクリーンショットの結果も偶々上手くいった感じです。
他社のマザーボードを使用した場合に、マザーボード以外は同じCPUやメモリでメモリ周波数4000MHz/C14/Gear1の安定動作とOC設定の再現性も確認しているので、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」については今後のBIOSアップデートでメモリタイミングの自動設定の最適化に期待したいところです。
上記の通り、現在のBIOS:1.14では再現性はないのですが、参考までにメモリ周波数4000MHz/C14/Gear1が安定動作した時のBIOS設定は下の通りです。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4_12900K_DDR4_4000_C14_G1_b



MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4のレビューまとめ

最後に「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • LEDなしのフルブラックで落ち着きある外観が魅力
  • Core i9 12900KのP-Core All:5.1GHz、E-Core All:4.0GHzのOCで安定動作
  • 200W超のCPU消費電力でもVRM電源温度は70度以下に収まる
  • DDR4メモリで4000MHz/CL14/Gear1のメモリOCが安定動作(HW性能的には)
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット
  • ヒートシンク付きのNVMe対応M.2スロットを4基搭載
  • M.2スロットのうち3基はPCIE4.0x4接続に対応
  • Intel製2.5Gbイーサ(Intel I225-V)をリアI/Oに標準搭載
  • WiFi 6&Bluetooth5.2対応無線LNA(Intel AX201)を標準搭載
  • Intel Z690マザーボードでは安価な税込み3.7万円
悪いところor注意点
  • Windows11(21H2)の標準ドライバで動作するネットワーク機器がない
  • BIOS:1.14ではメモリ3866MHz以上でGear1にすると高頻度でPOSTエラーになる

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」は80A対応Dr. MOSで構成された18フェーズVRM電源回路を搭載し、第12世代Alder Lake-S CPUの最上位、16コア24スレッド「Core i9 12900K」の性能を余すことなく引き出します。
ヒートシンク搭載のNVMe対応M.2スロットを4基搭載し、2.5Gb有線LANやWiFi6対応無線LANといった最新規格なコネクティビティを備えており、入手性の高いDDR4メモリにも対応するので、Intel第12世代CPUでハイパフォーマンスなゲーミングPCを構築したいユーザーにオススメできる製品です。

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」について、デザイン面ではミリタリー要素が若干残っているもののマザーボード備え付けのLEDイルミネーションがなく、フルブラックな装いからは、ハイエンドモデルMEG UNIFYのDDR4メモリ対応廉価版という印象を受けます。

「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のBIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、マウス&キーボード環境を想定したグラフィカルなUIが採用されており管理人的には少し使いづらいと感じてしまいました。個人的にMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つではあるのですが、グラフィカルUIが好きなユーザーにとっては嬉しい仕様だとも思うので個々人の好みで評価は分かれるところです。

BIOS標準設定でCore i9 12900Kを動作させると勝手に電力制限を無効化してしまうマザーボード製品も多いですが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」は初回起動時に環境(CPUクーラー)に合わせて、定格電力制限や電力制限無効化のどれを適用するか確認するガイドが表示されるという親切設計です。
近年のCPUでは全コア最大動作倍率を高く設定して電力制限でTDPを守る仕様が主流(昔はTDPに収まるような動作倍率になっていた)なので、こういったBIOS設計になったのは喜ばしいことだと思います。
ただし、Intel第12世代CPUのK付きモデルはPL1=PL2=Max Turbo Powerなので、Core i9 12900KやCore i7 12700Kを使用する場合、どちらにせよ発熱は大きく、組み合わせるCPUクーラーは240サイズ以上の簡易水冷CPUクーラーが推奨されます。


MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4を使用した検証機では16コア24スレッドのIntel Core i9 12900KのP-Coreを5.1GHz、E-Coreを4.0GHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。メモリOCについても条件付きではありますが、DDR4メモリで4000MHz/C14/Gear1の安定動作を確認できました。

マザーボードのOC耐性を評価する上で重要なファクターになるVRM電源について、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」は非常に優秀な性能を発揮しました。「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」であれば市販の簡易水冷やDIY水冷など環境を選ばず、VRM電源周りは標準装備のままでCore i9 12900KをガンガンOCできます。
Core i9 12900Kを常用限界までOCするとEPS電源経由のCPU消費電力が250Wに迫りますが、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」ではその強烈なVRM電源負荷に対しても、80A対応Dr. MOSなどで構成される18(16+1+1)フェーズの超堅牢なVRM電源回路が適切に熱を分散します。
VRM電源ヒートシンクはリアIOに覆い被さる超大型となっていて設計にこそ工夫が見られますが、あくまでパッシブ型という構造のまま、スポットクーラーの増設を必要とせずに、VRM電源温度を70度以下に収めることができました。


メモリOCについては、メモリ周波数と主要タイミングのみを指定するカジュアルOC設定でメモリ周波数3600MHzにおいてメモリタイミング16-16-16-36-CR2が安定動作しました。メモリ周波数3600MHzであればIMC周波数が1:1同期するGear1も難しくありません。価格がこなれていて同等スペックのメモリは各社から発売されているので、3600MHz/CL16は実用的な高パフォーマンス設定としてスイートスポットです。
一方、CPU個体差にも依存しますが、検証機材として使用している「G.Skill Trident Z RGB F4-4000C14D-32GTZR」においては、IMC周波数が1:1動作となるGear1のまま、メモリ周波数4000MHz/CL14も安定動作を確認できました。3600MHz/CL16のような定番設定だけでなく、3800~4000MHz以上の高メモリ周波数にも対応できる、高品質なメモリ回路が実装されていると考えていいと思います。
ハードウェア実装については上記の通り非常に優秀ですが、一方でサブタイミングの自動設定などBIOSのメモリOC最適化というソフトウェア面では、3866MHz以上のGear1でPOSTが不安定という問題もあるので、今後の改善に期待したいところです。


以上、「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」のレビューでした。
MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4



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