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全長324mmまでの3スロット占有グラフィックボード対応、電源容量750Wの電源ユニット搭載など多くの改良が施された、小フットプリント縦長Mini-ITX対応PCケース NZXT H1の2022年アップグレードモデル「NZXT H1 Version 2(型番:CS-H11BW-JP)」をレビューします。
16コア24スレッドCPUのCore i9 12900KSとウルトラハイエンドGPUのGeForce RTX 3090を使って、コンパクトで全方位からカッコいいPCを簡単に組める「NZXT H1 V2」の魅力を徹底解説していきます。
紹介ページ:https://nzxt.com/collection/h1
製品公式ページ:https://nzxt.com/product/h1
NZXT H1 V2 レビュー目次
1.NZXT H1 V2について
2.NZXT H1 V2の梱包・内部アクセス・付属品
・NZXT H1 V2は2ステップで簡単な内部アクセス
3.NZXT H1 V2の外観
4.NZXT H1 V2の内部構造の概要
5.NZXT H1 V2のCPUクーラー
・NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの固定手順
・NZXT H1 V2の付属CPUクーラーのクリアランス
・NZXT H1 V2のファン制御について
・NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの冷却性能
6.NZXT H1 V2のグラフィックボード設置スペース
7.NZXT H1 V2のストレージ設置スペース
8.NZXT H1 V2の電源ユニットについて
・NZXT PS-7G1Bの負荷別のファンノイズについて
9.NZXT H1 V2の組み立て手順
10.NZXT H1 V2のビルドギャラリー
11.NZXT H1 V2のレビューまとめ
【機材協力:株式会社タイムリー】
NZXT H1 V2について
Mini-ITX対応PCケース「NZXT H1 V2」シリーズの概要について最初に紹介します。「NZXT H1 Version 2 (2022)」には初期モデルと同じくブラック(型番:CS-H11BB)とホワイト(型番:CS-H11BW)の2色がラインナップされています。
同社製PCケースのH710iやH510iと同様に質感の高いブラック/ホワイト塗装のスチールパネルと強化ガラスパネルを組み合わせたフルフラットでエレガントなデザインです。
初期モデルは幅187mm x 高さ387mm x 奥行187mm、容積13.6Lでしたが、3スロット占有グラフィックボード対応など内部スペースを拡張しているので、「NZXT H1 V2 (2022)」は幅196mm x 高さ405mm x 奥行196mm、容積15.6Lへと若干大型化しています。
「NZXT H1 V2 (2022)」はライザーケーブルを介してマザーボードと背中合わせ、縦方向に設置することによって全長324mmまで、PCIEスロット数は2スロットですが厚み58mmまでで3スロット占有のフルサイズグラフィックボードに対応しています。
初期モデルとの違いとして、付属ライザーケーブルもPCIE4.0x16対応にアップグレードされて、天面付近に排気用の92mm各ケースファン(RF-92RC1-B1)が標準で搭載されています。
ストレージ積載能力についてはPCケース天面付近に2.5インチストレージを2基設置可能なストレージベイが設置されています。吸気面となる左右のエアスリットには防塵ダストフィルターも搭載しています。
「NZXT H1 V2 (2022)」には同PCケースに最適化された140mmサイズ簡易水冷CPUクーラーや80Plus Gold認証取得750W容量のSFXサイズ電源ユニット(PS-7G1B)が標準で付属します。またNZXT CAMによるファン制御に対応したファンコントローラーも内蔵されています。
付属CPUクーラーはIntel LGA1200とAMD AM4に加えて、Intel LGA1700にも対応しており、「NZXT H1 V2 (2022)」は最新のIntel第12世代CPUを組み合わせることが可能です。
電源ユニットから伸びるPCIE補助電源 8PINケーブルは3本あるので、GeForce RTX 3080 Radeon RX 6800 XTといったTGP300W超のハイエンドグラフィックボードにも十分対応可能です。
初期モデルのフロントIOはUSB3.2 Gen1対応Type-A×1とUSB3.2 Gen2対応Type-C×1の2ポートでしたが、「NZXT H1 V2 (2022)」ではUSB3.2 Gen1対応Type-Aが1ポート追加されています。
NZXT H1 V2の梱包・付属品
まずは「NZXT H1 V2」の梱包と付属品を簡単にチェックしておきます。「NZXT H1 V2」はNZXT製品ではお馴染みのパープルとホワイトのツートンカラーを基調にしたシンプルなデザインです。PCケース本体に合わせて縦長の直方体となっており、寸法は幅270mm×奥行270mm×高さ480mmでコンパクトなサイズ感です。
天面を開くとPCケース本体を保護する白色の発砲スチロール製スペーサーが現れます。天面からスペーサーごと中身を引き抜く構造です。
「NZXT H1 V2」はPCケースフロントに強化ガラスパネルが採用されていますが、開封時は傷防止のための保護フィルムが貼られていました。
NZXT H1 V2は2ステップで簡単な内部アクセス
「NZXT H1 V2」の各種付属品はPCケース内部に収められており、外装パネルを取り外す必要があります。PCケース内部にアクセスするには、まずフロントのガラスパネルとリアのスチールパネルを取り外します。フロントパネル(強化ガラス)とリアパネルはボールキャッチで固定されており、ボトム側に掴むところがあるので、そこから外方向に引っ張るとツールレスで簡単に着脱できます。また上端にある出っ張りはトップ&左右のコの字外装パネルのロック機構になっています。
前後パネルを取り外すとロックが解除されるので、トップ&左右のコの字外装パネルを天面方向に引き出すことができます。
以上の2ステップで「NZXT H1 V2」のPCケース内部に簡単にアクセスできます。グラフィックボードスペースには茶色の小分けパッケージで各種付属品が収納されています。
小分けパッケージの中には、CPUクーラーマウントパーツの封入されたビニール袋、PCケース組み立て関連の付属品が封入されたビニール袋、マニュアル冊子、ACケーブルが入っています。
2つ目のビニール袋には、ケーブルタイ、フロントI/Oヘッダー分岐接続ケーブル、4極3.5mmプラグtoヘッドホン&マイク分岐ケーブル、マザーボード固定用ネジセット、ストレージセキュア固定カバーが入っています。
「NZXT H1 V2」ではPCケースから伸びる電源スイッチ、電源LED、ストレージLEDなどのフロントI/Oケーブルが1つのヘッダーにまとめられていますが、マザーボード側のヘッダーレイアウトが一致しない場合に備えて、各種コネクタを分岐させるケーブルが付属しています。
「NZXT H1 V2」のフロントI/Oに実装されたオーディオ用3.5mmジャックは、PS5やXbox Series X/Sのコントローラーにあるようなヘッドホン&マイク共用の4極端子ですが、ヘッドホンとマイクをそれぞれ接続できるように、ヘッドホン用3.5mmジャックとマイク用3.5mmジャックに分岐するケーブルが付属しています。
NZXT H1 V2の外観
「NZXT H1 V2」のPCケース本体の外観についてチェックしていきます。「NZXT H1 V2 (2022)」はMini-ITXマザーボードに対応したPCケースで、寸法は幅196mm x 高さ405mm x 奥行196mm、容積15.6Lと非常にコンパクトです。
初期モデルは幅187mm x 高さ387mm x 奥行187mm、容積13.6Lでしたが、3スロット占有グラフィックボード対応など内部スペースを拡張しているので若干大型化しています。
「NZXT H1 V2」をPlayStation 5と比較するとこんな感じです。
NZXT H1 V2は、同社製PCケースのH710iやH510iと同様に質感の高いブラック/ホワイト塗装のスチールパネルと強化ガラスパネルを組み合わせたフルフラットでエレガントなデザインです。
ブラックモデルは強化ガラスパネルのスモークや背面パネルも同色なのでフルブラックですが、ホワイトモデルは左右と天面のみがホワイトなのでホワイト&ブラックのコントラストを楽しめる外観です。
PCケース天面の正面から見て左側にはフロントI/Oが配置されています。前モデルでは左寄りでしたが、一般的なデスクトップ右置きレイアウトでアクセスし易いように改善されています。
フロントI/Oの構成は左から順にパワースイッチ(パワー/ストレージLED内蔵)、USB3.0(USB3.1 Gen1) Type-A端子×2、USB3.1 Gen2 Type-C端子、ヘッドホン&マイク用3.5mmジャックとなっています。
フロントI/Oと繋がっている内部ケーブルとしては内部USB3.0ヘッダーケーブル、内部USB Type-Cヘッダーケーブル、ヘッドホン・マイク用HDオーディオケーブル、フロントI/Oケーブルがあります。
パワーボタンやパワー/ストレージアクセスLEDについてはケーブルだけでなくコネクタも含めて1つにまとまっているのは着脱が容易になって好印象です。
「NZXT H1 V2」はCPUクーラーや電源ユニットがある左側面とグラフィックボードがある右側面の2面から吸気し、ガラスパネルと逆の背面から排気する構造になっており、スチールパネル上には丸型の通気口が広く設けられています。
「NZXT H1 V2」は左右側面から吸気を行う設計なので、上左右のコの字外装パネルの左右裏側にはナイロンメッシュの防塵ダストフィルターが設置されています。
コの字外装パネルの内側にマグネットで固定されているのでフィルター自体の着脱は簡単ですが、内部アクセスと同じ手順で一度、コの字外装パネルを取り外す必要があります。
「NZXT H1 V2」の底面には薄いラバーパッドが貼られていますが、3辺のフレームはほぼ地面に接し、唯一隙間のある後方もケーブルを通すためのスペースなので、通気性は高くありません。
底面の奥にはグラフィックボードのPCIEブラケットやマザーボードのリアI/Oが配置されています。コの字の隙間からACケーブルや各種ケーブル類を通せます。
「NZXT H1 V2」は底面から各種ケーブルを取り回す構造ですが、マザーボードリアI/Oやグラフィックボードビデオ出力からのクリアランスは65mm程度です。
一般的な各種ケーブルでは問題ないはずですが、アクティブタイプでコネクタの大きく、光ファイバー式でケーブルの曲げ径に制限のあるケーブルを使用する場合はスペースが足りない可能性があります。そういったケーブルを使用する場合は、短めの銅線タイプ延長ケーブルを挟むなど工夫が必要です。
NZXT H1 V2の内部構造の概要
NZXT H1 V2の内部構造をチェックしていきます。記事冒頭で紹介した通り、「NZXT H1 V2」の外装パネルは2ステップで簡単に取り外しができ、PCケースシャーシには4方向から自由にアクセスできます。
「NZXT H1 V2」を組み立てる上で重要なポイントについては英語ですが紫色のシールでガイドが記載されています。シールは糊が残らず綺麗に剥がせます。
NZXT H1 V2の外装パネルを外して4方向からPCケース内部を見ると次のようになっています。
電源ユニットが一番上にあり、その下にMini-ITXサイズのマザーボードを設置し、左側サイドパネルとの隙間に専用の140mmサイズ簡易水冷があります。マザーボードと背中合わせで右側にグラフィックボードのスペースがあり、付属のライザーケーブルを使用してマザーボードと接続します。
マザーボードトレイには予めMini-ITXマザーボード固定用のスペーサーが設置されています。
スペーサーはネジ式ではなく溶接でトレイに固定されているので、ネジを緩めるときにスペーサーごと外れる心配はありません。
「NZXT H1 V2」のマザーボードトレイにはメンテナンスホールが非常に広く取られていますが、付属CPUクーラーの固定用バックプレートは余裕を持って着脱できます。
またMini-ITXマザーボードでしばしば基板背面に設けられているM.2スロットへも簡単にアクセスできます。
マザーボードと電源ユニットのスペース隔壁には各種ケーブルをまとめるためのマジックテープ式ケーブルタイが装着されています。
ガラスパネル裏のPCケース正面上部にあるカバーは、シールに書かれた指示の通り、上側から下に開くようにするとボールキャッチが外れて開くことができます。
カバーの向こう側には2.5インチストレージ用のシャドウベイが設置されているのですが、カバー自体の裏側には、NZXT CAMに対応したファンコントローラーが設置されています。
「NZXT H1 V2」に標準搭載されているAIO水冷クーラーの水冷ポンプや冷却ファン、リアケースファンはいずれもこのファンコントローラーから電力供給と制御が可能です。
水冷ポンプのみ特殊端子ですが、CPUクーラー冷却ファンやリアケースファンは一般的なPWM対応4PIN端子なので、汎用部品に交換も可能です。
ファンコントローラーの制御は内部USB2.0ケーブルを使用します。ファンコントローラーへの給電はSATA電源を使用しますが、標準搭載の電源ユニットのSATA電源ケーブルに接続済みなので特に気にする必要はありません。
NZXT H1 V2のCPUクーラー
「NZXT H1 V2」のCPUクーラーについてチェックしていきます。「NZXT H1 V2」には標準で専用の140mmサイズ簡易水冷CPUクーラーが付属しています。
PCケース内部の正面(強化ガラスパネル)から見て左側中央にCPUクーラーやマザーボードのチャンバーが配置されています。
簡易水冷CPUクーラーのラジエーターが設置されているマウントブラケットは上の写真において右側をヒンジにした開閉構造になっており、シールで英語の注意書きがありますが、電源ユニットの傍の2か所のネジを外すことで開閉できます。
ブラケットをロックしている2か所のネジを外すと逆側を軸にして冷却ファン&ラジエーターごとマウントブラケットを開閉できます。
輸送中の振動で冷却ファンやマザーボードトレイとぶつかって破損することがないように、水冷ヘッドは発泡スチロールのスペーサーで保護されています。
マザーボード近辺のケーブルを巻き込まないように、マザーボードと向かい合う冷却ファンには格子状のファンガードが装着されています。
ちなみに付属の簡易水冷CPUクーラーはブラケットから簡単に取り外せるので、代わりに空冷CPUクーラーを設置することも可能です。高さ方向のクリアランスについてはIntel LGA1700のCPUヒートスプレッダからファンブラケットまで約95mmです。
付属の簡易水冷CPUクーラーについてチェックしていくと、
組み立ててしまうと見えない部分ですが水冷ヘッドは黒色プラスチック外装で中央にはNZXTのロゴが刻印されたシンプルな外観です。ポンプは内蔵されていないのでスリムな水冷ヘッドになっています。
銅製ベースプレートには予め熱伝導グリスが綺麗に塗られているので、特にこだわりがなければ初回の組み立て時にはグリスを用意する必要はありません。
銅製ベースプレートは完全な鏡面というわけではありませんが、綺麗に平滑化されています。
標準ではIntel LGA1700/1200/115X環境向けのリテンションブラケットが装着されていますが、スライド構造で簡単にAMD AM4環境向けのリテンションブラケットに交換できます。
ラジエーターは140サイズで、冷却ファンには同社製の簡易水冷ラジエーターに最適化された高静圧な「NZXT Aer P 140」という140mmサイズ冷却ファンが装着されています。「NZXT Aer P 140」は定格ファン回転数1800RPMでPWM速度調整に対応し、500~1800RPMの範囲内でファン回転数を制御可能です。
「NZXT H1 V2」の付属簡易水冷CPUクーラーは水冷ヘッドではなく、ラジエーターの中央に水冷ポンプが搭載されています。
ファン&ラジエーターからは、冷却ファンの給電およびPWM速度調整を行うPWM対応4PINファン端子ケーブルと、水冷ポンプ用ケーブルが伸びています。水冷ポンプ用ケーブルは「NZXT H1 V2」の付属ファンコントローラーに接続するための独自端子ですが、マザーボードからポンプ速度を参照するためタコメーターピンだけ有効になっている3PINファン端子が分岐しています。
NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの固定手順
NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの固定手順について説明していきます。Intel LGA1700環境ではバックプレート、スタンドオフスクリュー、スプリング付きローレットナットを使用して水冷ヘッドを固定します。
Intel LGA1200/115X環境で使用する固定部品もほぼ同じですが、プラットフォーム名が記載されたビニール袋にそれぞれ封入されているので間違うことはないはずです。
ちなみにバックプレートにはプラットフォーム名が刻印されています。スタンドオフスクリューはプラットフォーム毎に微妙に形状が異なります。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。
Mini-ITXマザーボードは背面のCPUソケット周りに素子の実装が多く、バックプレートと素子の干渉に注意する必要がありますが、バックプレートのネジ穴付近は盛り上がっていてマザーボード基板から数mm浮くので背面素子を破損させる心配はありません。
バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフスクリューと呼ばれる水冷ヘッドを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。
NZXT H1 V2に付属する簡易水冷CPUクーラーの水冷ヘッドには上で紹介したように標準でグリスが塗られているので初回は必須ではありませんが、グリスを使用する場合はこのタイミングでCPUのヒートスプレッダに塗布します。
今回はCPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen 9 3900Xを冷やせるか!?
熱伝導グリスを塗ったら、水冷ヘッドをスタンドオフに合わせてCPUに乗せ、プラスチック製ワッシャーを挟んでその上からスプリング付きローレットナットを締めたら、水冷ヘッドの固定は完了です。
AMD AM4環境における水冷ヘッドの固定方法はもっと簡単で、水冷ヘッドのリテンションブラケットをAM4用に交換し、フックをスプリング付きローレットナットで装着、マザーボードに標準で取り付けられている固定器具にフックを引っかけてローレットナットを締めるだけです。
NZXT H1 V2の付属CPUクーラーのクリアランス
NZXT H1 V2の付属CPUクーラーのクリアランスについてチェックしてみました。まずメモリの高さ方向のクリアランスについてですが、NZXTの公称スペックとして全高45mmまでのメモリに対応しています。
実機でも確認してみたところ、全高43mmのG.Skill Trident Z5が干渉することなく設置できました。余分にまだ若干ですが隙間があり、45mmくらいまでのメモリであれば設置できそうでした。
またNZXT H1 V2に付属する簡易水冷CPUクーラーの水冷ヘッドはチューブがメモリスロットに向く方向でしか設置できないので、メモリスロットとのクリアランスが重要になります。
Intel第12世代CPUに対応するLGA1700マザーボード「ASRock Z690 Phantom Gaming-ITX TB4」については、厚みの大きいメモリヒートシンクを搭載したG.Skill Trident Z5をCPU寄りのメモリスロットに設置しても水冷チューブとの間に1mm程度の隙間があります。
AMD Ryzen 5000/4000/3000シリーズCPUに対応するAMD AM4マザーボード「ASRock B550 Phantom Gaming-ITX/ax」については、厚みの大きいメモリヒートシンクを搭載したG.Skill Trident ZをCPU寄りのメモリスロットに設置しても水冷チューブとの間に5mm強の余裕があります。
CPUソケット上側のVRM電源クーラーやCPUソケット下側のPCH&M.2 SSDヒートシンクもNZXT H1 V2付属CPUクーラーの水冷チューブと干渉する可能性があります。
Intel Z690マザーボードなど最近のハイエンドMini-ITXマザーボードはこれらヒートシンクが非常に大型化しているので地味に注意が必要なポイントです。
CPUソケット上下にあるヒートシンクの全高が35mm程度を超えていると、水冷チューブがヒートシンクとファンの間に挟まってしまい、ファン&ラジエーターブラケットを閉じることができません。
下写真は「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」の例ですが、Intel Z690マザーボードだと他にも「GIGABYTE Z690I AORUS ULTRA DDR5/DDR4」も干渉するので使用できません。
NZXT H1 V2のファン制御について
NZXT H1 V2はファンコントローラーを標準で搭載しており、NZXT製品の統合ソフトウェア「CAM」からCPUクーラー冷却ファンやリアケースファンを制御できます。なおNZXT H1 V2の付属ファンコントローラーによる任意の制御設定はシステムをシャットダウン後も、スタンバイ電源が供給されている(電源ユニットにACケーブルが接続されていて、省電力タップ等でコンセントがオフになっていない)のであれば、再起動しても引き継がれます。
NZXT CAMをスタートアップ起動にする必要はなく、ファン制御の設定後はNZXT CAMをバックグラウンド動作させておく必要もありません。
一方、シャットダウン中にスタンバイ電源が切れるとファン制御は初期設定に戻るので、OS起動後にNZXT CAMを一度起動する必要があります。
「CAM」は公式サポートページからダウンロードできます。CAMのリニューアルの関連で2022年4月現在はまだダウンロードページが日本語ローカライズされていませんが、下のリンク先から「Download CAM」を選択すれば簡単にソフトウェアインストーラーのダウンロードが可能です
NZXT CAMダウンロード:https://camwebapp.com/download
インストールが完了したら「CAM」を起動します。
初回起動時はアカウントへのログインウィンドウが表示されますが、アカウントがない場合は小さく書かれているゲストアカウントでの使用を選択すればアカウント登録せずに使用することもできます。
2022年4月現在、アカウントを使用することで解放される機能等はないので、ゲストアカウントでいいと思います。
「NZXT CAM」はKraken X2シリーズ登場時の第1世代から複数のメジャーアップデートを経て、2020年現在では第4世代になりUIがよりシンプルで使いやすく、動作も軽快になっています。
基本的なデザインはパステルカラーなフラットデザインが踏襲されていますが、カラーリングがメーカーカラーのホワイト&パープルのツートンカラーになっています。
設定からダークモードを選ぶとブラック&パープルのカラーリングにUIを変更することもできます。
NZXT CAMでファン・ポンプを制御するには、左側タブの「冷却」を選択して設定画面を開きます。
NZXT CAMのファン制御ページを開くと、トップにプロファイル(各ファン端子の制御プロファイルの組み合わせ)を選択、保存するメニュー、システムに接続されたファンの速度やシステムの温度を表示するタイル、個別のファン設定が順番に表示されます。
システムに接続されたファン・ポンプの制御設定をまとめたプロファイルはプルダウンメニューから簡単に切り替えることができます。「Add Profile」を選択すれば新たなプロファイルを作成できます。
「NZXT H1 V2」にはCPUクーラー冷却ファンとケースリアファンの2基のファン端子が搭載されており、2チャンネルのファン制御アイコンが表示されています。なお水冷ポンプの速度は定格(最大)回転数で固定です。
NZXT CAMに対応した各種ファン・ポンプ端子は、「静音」と「パフォーマンス」の2つの既定プリセット、ファン速度デューティ比を指定する「固定」、任意のファンカーブを設定する「カスタム」の4つのモードで制御できます。
ファン制御ソースはCPU温度とGPU温度の2種類から選択できます。
「静音」と「パフォーマンス」の2つの既定プリセットのファンカーブ設定は次のようになっています。
「固定」では温度に依らずファンを一定速度で回すことができます。
「カスタム」ではソース温度に対して20度から95度までを5度刻みにして、16頂点のファンカーブを任意に設定できます。
NZXT H1 V2の付属ファンコントローラーはセミファンレス機能にも対応しています。
カスタムモードにおいて動作時のファン速度デューティ比の下限は20%ですが、0%にするとファン速度0%に指定されている最大温度よりもソース温度が低い時にファンを完全に停止させることができます。
NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの冷却性能と静音性
NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの冷却性能と静音性についてチェックしていきます。まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズを検証しました。
デスクトップでディスプレイの右隣にPCを置いた状況を想定し、50cm程度斜め前にサウンドレベルメーターを配置して測定を行っています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればエアコンの動作音と同じくらいなのでファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとデスク上で耳の近くにPCがあるとファンノイズが煩く感じ始めます。45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
NZXT H1 V2付属CPUクーラーのラジエーター冷却ファンのファンノイズを測定したところ次のようになりました。
NZXT H1 V2付属CPUクーラーはラジエーター冷却ファンを1000~1200RPM前後に収まるようにすると静音動作で運用できると思います。
GPUスペースの排気用に追加されたケースリアファンについては上のような測定条件(使用環境)だと最大速度の1800RPMまで回転数を引き上げてもノイズレベルはそれほど大きくならず、体感としても固定速度のポンプや電源ユニット冷却ファンのファンノイズに埋もれる感じでした。
続いてNZXT H1 V2付属CPUクーラーの冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Intel第12世代Alder Lake-S最上位モデル、16コア24スレッドCPUの「Intel Core i9 12900KS」を使用して、Intel第12世代Core-S環境における、NZXT H1 V2の付属CPUクーラーの冷却性能を検証していきます。
Core i9 12900KSの動作設定は、動作倍率をCore i9 12900Kと同じBy Core Usage倍率に下げています。Core i9 12900KSは標準動作では非常に消費電力が大きいCPUですが、動作倍率を標準モデルの12900Kと同じ値に下げると優れた省電力性能を発揮します。
さらに低電圧化設定としてVFカーブで『V/F Point 4(4.8GHz):-80mV、V/F Point 5(5.2GHz):-50mV』、さらにCPUコア電圧を『オフセット:-30mV』としました。
当然ですが、「Intel Core i9 12900KS」を12900Kと同じ動作倍率にするとマルチスレッド性能は12900Kと同等になります。
ただ、「Intel Core i9 12900KS」はP-Core All 5.2GHzで動作する素質がある個体だけあって、単コア最大5.2GHzの設定だと12900KSのほうがシングルスレッドは高いスコアをマークしやすくなっています。
まずはNZXT H1 V2付属CPUクーラーのファン回転数を1200RPMに固定してストレステストを実行してみました。
12900Kの動作倍率を適用、さらにVFカーブで低電圧化も施したCore i9 12900KSのCPU温度は最大98度、平均90.9度となりました。
動画エンコード程度のAVX使用であれば、電力制限無効化でCPU Package Powerは180~190W程度となり、CPU温度は高温ではあるものの強制的に制限がかかる臨界温度100度よりは低いので、P-Core All 4.9GHzとE-Core All 3.7GHzでいずれも最大動作倍率に張り付きます。
続いてNZXT H1 V2付属CPUクーラーのファン回転数を1500RPMに固定してストレステストを実行してみました。
12900Kの動作倍率を適用、さらにVFカーブで低電圧化も施したCore i9 12900KSのCPU温度は最大91度、平均85.5度となりました。
動画エンコード程度のAVX使用であれば、電力制限無効化でCPU Package Powerは180~190W程度となり、CPU温度は高温ではあるものの強制的に制限がかかる臨界温度100度よりは低いので、P-Core All 4.9GHzとE-Core All 3.7GHzでいずれも最大動作倍率に張り付きます。
検証結果の通り、「NZXT H1 V2」の付属CPUクーラーは12900Kと同等性能になる省電力化を施したCore i9 12900Kを高温ではあるものの安定して運用できる冷却性能を発揮しました。
机の上ですぐ傍に置いていてもファンノイズを煩く感じ難い設定として、まずはファン速度1200RPMで検証してみましたが、CPU温度90度前後と、臨界温度にこそ達しないもののCPU消費電力180~190W前後を冷やすのはギリギリという感じです。
静音性を重視するのであれば、200W以上の短期間電力制限PL2で短時間のターボブーストを許可しつつ、160W以下の長期間電力制限PL1を適用するのが良さそうです。
一方でファンノイズが多少煩く感じはするものの、ファン速度を1500RPMまで引き上げれば180~190WでCPUにフル負荷がかかっても問題なさそうな冷え具合に収まりました。
付属CPUクーラーの冷却ファンは定格(最大)回転数が1800RPMなので、静音性はトレードオフになるものの最大でCPU消費電力200W前後の発熱には対応できそうです。
NZXT H1 V2のグラフィックボード設置スペース
「NZXT H1 V2」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。内部構造の概要でも紹介したように、NZXT H1 V2ではグラフィックボードの設置スペースとして、マザーボードと背中合わせに右側で独立したチャンバーが設けられています。
「NZXT H1 V2」に使用されるライザーケーブルについては、市販でよく見られるような汎用品ではなく、同PCケース専用に設計されています。これだけでも5000円以上は余裕でコストがかかっていそうです。
ライザーケーブルを180度逆方向へ折り曲げる箇所には、ケーブルが内部断線しないようにプラスチック製コーナーガイドで保護されています。
「NZXT H1 V2」のグラフィックボード搭載スペースについて、製品スペックによると、長さ方向には324mm、厚み方向で58mm(PCIEスロットは2スロット)のクリアランスが確保されています。
実機で寸法を確認してみたところ、PCIEブラケットの内側から、右端(PCケース天面)の折り返し部分までがちょうど330mmほどでした。
仕様よりも実測のスペースは大きめですが、前モデルでは仕様ギリギリのサイズだとグラフィックボード側PCIEブラケットの折り曲げ部分が干渉することもあったので、「NZXT H1 V2」では実際に多少の余裕をもって設置できるサイズが仕様値になっているようです。
「NZXT H1 V2」のPCIEブラケット自体は2スロットですが、厚み方向のスペースには多少の余裕があり、製品仕様通り、厚み58mmまでのグラフィックボードなら問題なく設置可能です。
「NZXT H1 V2」はグラフィックボードに接続するPCIE補助電源として8PIN×3を使用できます。GeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTのようなTGP300W超GPUのオリファンモデルにも対応可能です。
「NZXT H1 V2」は前モデルと比較してグラフィックボード設置スペースが拡張されたことに加えて、グラフィックボード設置スペースに熱がこもらないようにする排気用ケースファンが追加されています。
リアファンは汎用の92mm角ケースファンで、テーパーネジによって固定されているだけなので、市販の92mm角ケースファンに交換も可能です。
「NZXT H1 V2」には、全長300mmかつ3スロット占有GPUクーラー搭載の超巨大オリファンモデル「ASUS TUF-RTX3090-O24G-GAMING」でも余裕をもって収納できるスペースがあります。
高さ方向のスペースも十分なのでPCIE補助電源ケーブルの取り回しも容易です。
「NZXT H1 V2」の付属ライザーケーブルはPCIE4.0対応品なので、マザーボードのPCIEスロットがPCIE4.0x16に対応していれば、GeForce RTX 30シリーズやRadeon RX 6000シリーズでPCIE4.0接続が正常に動作します。
NZXT H1 V2のストレージ設置スペース
「NZXT H1 V2」のストレージ設置についてチェックしていきます。「NZXT H1 V2」のPCケース内のストレージ設置スペースは2.5インチストレージ×2となっています。あとは組み合わせるマザーボード次第ですが1~2基のM.2 SSDが使用できるはずなので、「NZXT H1 V2」で作成する自作PCにおいて設置可能なストレージ数は最大でも4基と考えてください。
「NZXT H1 V2」にはストレージ設置スペースとして、ガラスパネル裏のPCケース正面上部にシャドウベイが設置されており、シールに書かれた指示に従ってカバーを上側から下に開くようにするとボールキャッチが外れて、カバー下のシャドウベイにアクセスできます。
シャドウベイには2.5インチストレージを2基設置可能です。
シャドウベイは手前にあるプラスチックのツメでロックする構造になっており、奥にある金属プレートがバネ仕掛けになっていて、ロックを外すと手前にストレージが飛び出して、ツールレスで着脱できます。
ストレージはプラスチックのツメで固定されているので、組み立て後、輸送時の振動で勝手に外れてしまわないか心配ですが、シャドウベイ右側中央にあるネジ穴に、付属のセキュア固定カバーを装着することで防止できます。
2.5インチストレージに使用するSATA電源ケーブルも、PCケースに最適化されたショートケーブルが電源ユニットから伸びているので、無理なく綺麗に配線できます。150~200mm程度のSATA接続ケーブルを2本用意すればこちらも綺麗に配線できます。
NZXT H1 V2の電源ユニットについて
「NZXT H1 V2」に標準で付属する電源ユニットについてチェックしていきます。「NZXT H1 V2」にはPCケース左側面のトップに電源ユニットの設置スペースが配置されており、延長ケーブルによってPCケースボトム後方にACケーブルの接続端子があります。
電源ユニット設置スペースの奥行クリアランスは、フロントIOケーブルまで140mm、反対側のシャーシと接触するまで160mm弱です。
SFX電源ユニットなら(付属電源はケーブルの長さも最適化されているので特に)余剰スペースは電源ケーブルやSATA通信ケーブルを収納しても余裕があります。
SFX-Lサイズ電源も設置できなくはありませんが、電源ケーブルの取り回しで難易度がかなり高そうです。
NZXT H1 V2には変換効率80PLUS Gold認証を取得し、電源容量が750WのSFXサイズ電源ユニット「NZXT C750 (型番:PS-7G1B)」が標準で付属します。
電源容量が750WあればIntel Core i9 12900KやAMD Ryzen 9 5950Xなどメインストリーム向け最上位CPUに、GeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTなどハイエンドグラフィックボードを組み合わせても対応が可能です。
NZXT H1 V2に標準で搭載されている電源ユニットについては取り外すと保証対象外になる恐れがありますが、今回は検証のためPCケースから取り出しています。前モデルではやや複雑な固定構造でしたが、NZXT H1 V2では通常のPCケース同様に電源ユニット背面の4つのネジで固定されています。
「NZXT H1 V2」に標準で搭載されている電源ユニットは同社製の「PS-7G1B」というSFXフォームファクタの電源ユニットでした。
仕様通り変換効率80PLUS Gold認証取得で電源容量750Wとなっています。EPS(CPU)やPCIE補助電源の電力供給で重要な+12Vについては最大出力62.5Aと表記されています。
「NZXT PS-7G1B」はスモールファームファクタ向けのSFX規格の電源ユニットなので寸法も完全に規格通りとなっており奥行きは100mm、天面に92mm角の大型冷却ファンを搭載しています。電源ケーブルについてはフルプラグイン式です。
「NZXT PS-7G1B」からは、ATX24PIN電源ケーブル、EPS電源 8PINケーブル(4+4PINに分離可能)、PCIE補助電源 8PINケーブル(6+2PINに分離可能)×3、SATA電源ケーブル(コネクタ数3)、以上で計6本のケーブルが伸びています。
電源ケーブルはいずれも取り回しに優れたフラットきしめん型なリボンケーブルが採用されており、長さも一般的なATX電源ユニットの半分以下なショートケーブルでコンパクトPCケースに最適化されています。
EPS電源 8PINコネクタは4PIN×2に分離可能で、8PINとして使用する場合はロックピンによって結合できます。
NZXT PS-7G1Bの負荷別のファンノイズについて
続いて「NZXT PS-7G1B」の電力負荷とファンノイズの関係について検証してみました。検証方法についてはCore i9 9900K&Z390をベースにしたベンチ機で、グラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce RTX 3050、GeForce RTX 3060 Ti、GeForce RTX 3070、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon RX 6800 XT、Radeon RX 6900 XTなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spy/Extreme グラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。
なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
・ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「NZXT PS-7G1B」は低負荷時にファンが停止するセミファンレス動作には非対応で常時ファンが動作します。ファン速度の制御は主に内部温度センサー依存なので、瞬間的に大きな負荷がかかってもファン速度が乱高下することはありません。
アイドル時など電源負荷250W以下の最小ファン速度でもノイズレベルは35dB程度となっており、ファンノイズは煩いわけではありませんが、PCケース内からもファン動作が分かる程度には聞こえると思います。
300W以降は電力負荷(内部温度の上昇)に比例してファンノイズが大きくなっていきます。40dB以下に収まる電力負荷500WまでならPCケースに組み込んでしまえば、電源ユニットのファンノイズが煩く感じるほどではないと思います。
電力負荷が500W以上になるとノイズレベルが40dB以上になるので、PCケースに組み込んだ状態でも、机の上などPCユーザーの近くにPCが置かれていると煩く感じることもあると思います。
「NZXT PS-7G1B」は市販のSFXサイズ電源ユニットと比較して特に静音性が低いというわけではないのですが、セミファンレス動作に非対応など、騒音上のボトルネックになり得るので少し注意が必要です。
NZXT H1 V2の組み立て手順
コンパクトPCケースは手順を誤るとケーブルが装着できなくなってやり直しになったりと、組み立てが急に難しく(面倒に)なるので、上手く組めるよう「NZXT H1 V2」の組み立て手順について解説していきます。以下、「NZXT H1 V2」の組み立てについて写真&文面でも簡単に解説していきます。
PCケースから外装パネルを取り外して、内部に収納されていた付属品のパッケージを取り出すまでは冒頭で解説した通りなので割愛します。
まずはCPUソケットにCPUを設置し、Intel LGA1700環境の場合は付属品パッケージからCPUクーラーマウントパーツを取り出して、バックプレートやスタンドオフを装着します。
AMD AM4環境についてはマザーボードに標準で付属する固定器具をそのまま使うので下準備は不要です。
後ほど各種ケーブルを接続する時、邪魔になる可能性が高いのでこのタイミングではメモリは装着しない方が良いです。
PCケースのシャーシでファン&ラジエーターのマウントブラケットを開いたら、プリマウント済みのマザーボードでない場合、まずリアI/Oシールドを装着します。リアI/Oシールドの装着後にライザーケーブルがないほうの側面からマザーボードを挿入します。
マザーボードトレイのスペーサー上にマザーボードのネジ穴を合わせたら、付属品パッケージからネジを取り出して、マザーボードをネジ止めします。この時に軸長が15cmくらいのプラスドライバーがあると便利です。
マザーボードを固定したら、ATX24PIN電源ケーブル、ライザーケーブル、フロントI/Oケーブル、USBケーブル、HDオーディオケーブル、SATAケーブル、ファン・ポンプ端子ケーブルなどの各種ケーブルをマザーボードに接続します。
EPS 8PIN(4+4PIN)電源ケーブルについては最初から、シャーシにケーブルタイで固定されてリアI/O付近まで引き込まれています。マザーボード左上にEPS電源端子があるので、そのまま上手く接続できるはずです。
SATAケーブルをマザーボードに接続したタイミングでついでに2.5インチストレージの設置とSATA通信&SATA電源ケーブルの接続も済ませてしまいます。
マザーボードに全てのケーブルを接続し終えたら、ここでメモリを装着します。
NZXT H1 V2に付属する簡易水冷CPUクーラーの水冷ヘッドには上で紹介したように標準でグリスが塗られているので初回は必須ではありませんが、グリスを使用する場合はこのタイミングでCPUのヒートスプレッダに塗布します。
今回はCPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen 9 3900Xを冷やせるか!?
マニュアルの方が分かりやすいので引用しますが、スタンドオフに合わせて水冷ヘッドを乗せたら、スプリング付きローレットナットを締めて、水冷ヘッドの固定は完了です。
水冷ヘッドを固定したら、水冷ヘッドとラジエーターの両方の水冷チューブの根本(エルボー)を180度に開き、チューブをシャーシのフレーム下側に回します。
あとはファン&ラジエーターと接触しやすいATX24PIN電源ケーブルや内部USBケーブルに注意しながら、マウントブラケットを閉じてネジ止めしたらマザーボード側の組み込みは完了です。
グラフィックボードをPCIEスロットに装着してPCIEブラケットのネジをしっかりと締めたら、PCIE補助電源ケーブルを接続します。あとは外装パネルを装着して「NZXT H1 V2」の組み立ては完了です。
NZXT H1 V2のビルドギャラリー
今回組んだ「NZXT H1 V2」を使用した自作PCのギャラリーです。NZXT H1 V2のレビューまとめ
最後に「NZXT H1 V2」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 196×196mmの小フットプリントな縦長PCケース
- ツールレスで簡単に着脱できる外装パネル構造
- 吸気スペースの左右パネルには防塵ダストフィルターを搭載
- 140サイズの専用簡易水冷CPUクーラーを標準搭載
150WクラスのCPUを静音性を維持したまま冷やしきれる
12900KSなど最大で200WクラスのCPUを運用できる - NZXT CAMに対応したファンコントローラーを標準搭載
- 電源容量750W、80PLUS Gold認証のSFX電源を標準搭載
PCケースに最適化されたショートケーブル付き - 最長324mm、厚み58mmのハイエンドグラフィックボードに対応
- PCIE4.0x16で安定した接続を実現する高品質なライザーケーブル
- ケース本体/CPUクーラー/ライザーケーブルは3年、電源ユニットは10年の長期保証
- ストレージ設置スペースは2基の2.5インチストレージのみ
- MBリアIOやグラボ出力に接続するケーブルのクリアランスは65mm程度
- CPUソケット上下にあるヒートシンクが35mmより高いマザーボードは非互換
「NZXT H1 V2」は、140mmサイズ簡易水冷CPUクーラーや80PLUS Gold認証取得750W電源ユニットが標準で付属し、小フットプリントで縦長の15.6L筐体にフルサイズグラフィックボードを搭載した高性能コンパクトPCを誰でも簡単に組めるところが魅力のPCケースです。
コンパクトなMini-ITX機を組む上で”干渉して組めない”といった問題が発生する可能性のあるCPUクーラーと電源ユニットの選択は1つ高いハードルですが、そこが最初からクリアできているという点で「NZXT H1 V2」は自作PC初心者にも優しいPCケースです。
同社製PCケースのH710iやH510iと同様に質感の高いブラック/ホワイト塗装のスチールパネルと強化ガラスパネルを組み合わせたフルフラットでエレガントなデザインも安定感があります。
「NZXT H1 V2」にはCPUクーラーとしてPCケース内へ綺麗に収納できるよう専用に設計された140mmサイズ簡易水冷CPUクーラーが標準で付属します。
同CPUクーラーの性能についてはレビュー記事内の検証結果の通り、150WクラスのCPU負荷なら静音性を維持したままで冷やすことができ、静音性をトレードオフにすれば最大で200WクラスのCPU負荷にも対応できます。
2022年最新のメインストリーム向け最上位CPUについて言えば、AMD Ryzen 9 5950X/5900Xは余裕ですし、そのまま使うと消費電力が高いCore i9 12900KS/12900Kについても電力制限や省電力化を上手く設定してやれば運用できるはずです。
「NZXT H1 V2」には変換効率80PLUS Gold認証取得で電源容量750WのSFXサイズ電源ユニットが標準で搭載されており、メインストリーム向け最上位CPUとTGP300W超のウルトラハイエンドグラフィックボードの組み合わせにも対応できます。
PCケースに電源ユニットが標準で搭載されるのは好みの分かれるところですが、PCケースに合わせたケーブル長およびコネクタ数の電源ケーブル構成になるところは1つ明確なメリットです。
特にMini-ITX対応PCケースでは長すぎるケーブルがスペースを圧迫したり、中途半端に余る長さで見栄えが悪くなることも多いですが、「NZXT H1 V2」ならケーブルが最初からPCケースに最適化されているので、初心者自作erでも比較的簡単にコンパクトなMini-ITX機を組むことができると思います。
以上、「NZXT H1 V2」のレビューでした。
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TGP300W超グラボ対応、750W電源搭載など多くの改良が施された「NZXT H1 Version 2」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) April 22, 2022
Core i9 12900KSとRTX 3090を使って、コンパクトで全方位からカッコいいPCを簡単に組めるH1 V2の魅力を徹底解説https://t.co/2qZTbsytxL pic.twitter.com/3tsW5Opji6
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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