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二大PC向けVR HMDのHTC VIVEとOculus Riftから発売中の、2020年最新VR HMD普及機である「HTC VIVE Cosmos」と「Oculus Rift S」は”どちらが買いなのか”、時にスタンドアローン機のOculus Questやプロフェッショナル向け高級モデルHTC VIVE Proも交えて、ヘッドストラップの快適性やディスプレイ画質やトラッキング精度や価格など様々な角度から徹底比較していきます。
第1世代ではどちらが優れているかについては甲乙つけ難いというのが管理人の正直な感想で、使う人の環境にもよると思いますし、プレイしてみたいコンテンツが最終的には重要になってくるという評価でした。そのため当時の比較記事も優劣を決めるための比較というよりも各VR HMDにどんな特徴(メリットやデメリット)があるのかを浮き彫りにするための比較でしたが、第2世代VR HMDでは各社の戦略で明暗が分かれた気がします。
目次
1.VR HMDの価格や購入場所を比較
2.日本語対応やクライアント/プラットフォームを比較
3.VR HMDの動作環境を比較。最適なPCスペック
・VR用PCの購入はハードルが高い人にはOculus Questがオススメ
4.VR HMD本体を比較
・ディスプレイ画質を比較
・IPD調整や奥行調整について
・装着感・重量を比較
・オーディオ機能を比較
・VR HMD接続ケーブルを比較
5.VR HMDの専用コントローラーを比較
6.トラッキング方法とセンサーの比較
7.まとめ - HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはどちらが買いか
【執筆:2019年11月1日、最終更新:2020年1月14日】
VR HMDの価格や購入場所を比較
まずはHTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの価格を比較します。HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの価格について(いずれもVR HMD本体と専用コントローラーがセット)、2020年1月現在でHTC VIVE Cosmosが税込み9.8万円に対して、Oculus Rift Sは5.0万円となっており価格面ではほぼ半額で購入でき、製品価格自体も一般ユーザーが手を伸ばしやすいOculus Rift Sが圧倒的に優勢です。
VR HMDの価格比較 (2020年1月現在) | ||
HTC VIVE Cosmos | Oculus Rift S |
|
VR HMD本体価格 | 9.8万円 (699ドル) |
5.0万円 (399ドル) |
専用コントローラー |
本体に同梱 |
本体に同梱 |
専用コンを含めた価格 |
9.8万円 (699ドル) |
5.0万円 (399ドル) |
国内在庫の販売 (届くのが早い) |
Amazonや PCパーツショップで 購入可能 |
Amazonで購入可能 |
公式通販の有無 発送元 |
公式通販あり 発送元は台湾など海外から |
初期VR HMDの頃、PCパーツの国内代理店に取り扱いのあったHTC VIVEと違って、Oculus Rift CV1は台湾から発送される公式通販しか使用できなかったため、在庫状況が不透明だったり、注文から到着まで時間がかかったりと入手性が悪かったのですが、第2世代となるHTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはいずれも国内Amazonに対応しているので入手性の差はほぼないと思います。PCパーツショップで取り扱いのあるHTC VIVE Cosmosのほうが在庫状況が良く入手性が若干高いかなという程度の違いです。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはいずれも公式通販からも購入可能ですが、公式通販は台湾などの海外から発送されるので、即納在庫があるのであれば国内に倉庫のある国内AmazonやPCパーツショップで購入したほうが1,2日で届くのでオススメです。なおAmazonでは正規保証のない並行輸入品も販売されていることがあるので、正規ルートのものかしっかり確認してください。
日本語対応やクライアント、プラットフォームを比較
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの2020年1月現在の日本語のサポート(対応)状況を比較します。Oculus Rift CV1やHTC VIVE無印版など初期VR HMDの発売当時(2017年頃)は、各シーンにおける日本語サポートの有無には差がありましたが、HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sに普及機がアップデートされた2019年下半期現在においては、両陣営ともに基本的なところは日本語がサポートされているので、実際にゲームをプレイするまでの過程において言語面で不自由することはないと思います。
HTC VIVE Cosmosのソフトウェア回りのマイナスポイントとして、VIVE無印やVIVE Proと違って、VR HMDを動かす大本の管理がSteamVRに1本化されていません。
VIVE PORT、VIVE Console、SteamVRなど複数のソフトウェアにまたがる冗長な設計は扱いにくさを感じました。SteamVRに統合するか、VIVE PORTに一本化するか(OculusのようにSteamはオプション扱い)、ソフトウェア回りを簡略化して欲しいです。
ただし『結局、VRゲームはどちらもほぼ英語』である点については注意が必要です。
両VR HMDでは”入口や過程”で日本語サポートは十分ですが、最終的にゲームをプレイする"出口"では結局、最低限の英語力は必要になります。英語UIが標準で、日本語がゲーム内でもサポートされるのは一部のメジャータイトルや国内開発タイトルに限られるので、ゲームまで日本語フルサポートを期待するならPC向けVRは現状では諦めてPS4とPS VRを購入するのが無難です。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sなど第2世代VR HMDが発売された今となっては若干古いタイトルになりますがVRカノジョは当然ゲームも日本語です。
・VRカノジョのベンチマークから見るおすすめグラボとPC
VR HMDの動作環境を比較。最適なPCスペック
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの推奨動作環境について比較します。まず最初にPCにあまり詳しくない人のために便利なフレーズをお教えします。
HTC VIVE CosmosやOculus Rift SなどVR HMDに対応したPCが購入したい人は、
〇〇(HTC VIVE CosmosかOculus Rift S)に使用するPCを買いたいです。
CPUはCore i5 9400F、GPUはRTX 2060、メモリは16GB、
システムストレージは240GB SSD、データストレージは500GB SSD、
OSはWindows10 64bit Homeでお願いします。
このコピペで「サイコム」「TSUKUMO」「PCショップアーク」「ドスパラ」「パソコン工房」「マウスコンピューター」あたりのBTO PCメーカーに問い合わせればOKです。VRに対応するBTO PCについてさらに詳しく知りたい人はすぐ下で紹介しているBTO PCのまとめ記事を参考にしてください。
具体的にVR HMDの動作環境について紹介していきます。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの推奨/最小動作環境についてはそれぞれ公式サポートページでも説明されています。
HTC VIVE Cosmosの動作環境について:https://www.vive.com/jp/support/cosmos/category_howto/what-are-the-system-requirements.html
Oculus Rift Sの動作環境について:https://support.oculus.com/248749509016567/
2020年最新VR HMDの動作環境、推奨PCスペック | |||
管理人の推奨【2020年】 | HTC VIVE Cosmos |
Oculus Rift S |
|
CPU | Intel Core i5 9400F AMD Ryzen 5 3600 それ以上 |
Intel Core i5-4590 | Intel Core i5-4590 |
グラフィック | NVIDIA RTX 2060/S AMD RX 5700 それ以上 |
NVIDIA GTX 1070 AMD Radeon Vega 56 |
NVIDIA GTX 1060 AMD Radeon RX 480 |
システムメモリ | 16GB | 8GB以上 | 8GB以上 |
ストレージ |
システム:250GB データ:500GB以上 両方ともSSD |
- | - |
ビデオ出力 | DisplayPort 1.2 | ||
USBポート | USB3.0 × 1 |
最重要となるPCのグラフィック性能についてですが、HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sともに、CPUには6コア6スレッドのIntel Core i5 9400Fか6コア12スレッドのAMD Ryzen 5 3600、グラフィックボードには現行世代で言うとGTX 1660 TiのようなPCゲーム界隈における”ミドル帯”が一般に必須とされており、なお当サイト的にはGeForce RTX 2060 SUPERやRadeon RX 5700のようなミドルハイクラスGPUを搭載したゲームPCを推奨しています。
”ミドル帯”なので一般的なPCなら対応可能なのか?と誤解される人もいると思いますが、
『普通の家電量販店に売っているPCではVR HMDをまともに動かすことはできません。』
VR HMDに対応可能な性能を有するPCは、ビデオ編集や3D CGをガッツリと扱っている人でもなければPCゲーム用にPCを買おうと思わない限り、遭遇することはない類のPCです。GeForce GTX 1660やRadeon RX 580と聞いてピンとこない人は概ねVR HMD用に新しくPCを購入する必要があると考えてください。
VR HMDに対応したグラフィックボードの増設・換装やBTO PCの新調を検討している人には下の記事で必要な情報はまとめているので参考にしてください。
・おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方
・おすすめBTO PCまとめ。予算・性能別で比較。カスタマイズ指南も
・RTX 2060 SUPER搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 2070 SUPER搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
VR用PCの購入はハードルが高い人にはOculus Questがオススメ
VR HMDのためだけに10万円以上もする高価なPCを購入するのは躊躇してしまうという人は、VR HMD単独で手軽にVR体験ができるスタンドアローン型の「Oculus Quest」がオススメです。Oculus QuestはSoC(CPU&GPU)にハイエンドスマートフォンにも採用されているはSnapdragon 835を内蔵しており、PC不要なスタンドアローンで動作するVR HMDです。PC向けVRのメジャーなコンテンツは概ね移植されているので、単純な画質こそPC VRには劣りますが、同等と言っても過言ではないVR体験ができると話題のデバイスです。なおOculus Questの初期設定にはスマホが必要になるのでガラケーユーザーの人は注意してください。
・「Oculus Quest」をレビュー。Oculus Rift Sと画質比較も!
VR HMD本体を比較
HTC VIVE CosmosとOculus Rift SのVR HMD本体について比較していきます。HTC VIVE CosmosとOculus Rift SのVR HMD本体のスペックをざっくりと早見表にまとめると次のようになっています。
ディスプレイ画質を比較
両陣営の初期VR HMDではほぼ同スペックのディスプレイパネルが採用されていたため、レンズの仕様で多少の差がある程度でしたが、HTC VIVE Cosmosが片目1440×1700、Oculus Rift Sが片目1280×1440となっており、第2世代ではディスプレイパネルのスペック自体に差があります。またパネルタイプはいずれも有機ELパネルから液晶パネルに変わっており、初期VR HMDと比べるとコントラストが下がって若干白みがかった印象があります。サブピクセル構造はいずれもペンタイルではなくフルRGBですが、配列はHTC VIVE Cosmosがデルタ配列、Oculus Rift Sがストライプ配列(標準的な格子配列)となっており、スクリーンドアによる網目感の印象が違うのと、HTC VIVE Cosmosは高解像度に反して文字の線の境界がボヤける傾向があります。
リフレッシュレートについては、HTC VIVE Cosmosが前世代同様に90Hzであるのに対して、Oculus Rift Sは80Hzに下がっていますが、Oculus Rift Sで表示に遅延や残像を特別感じることもないので、この部分はそれほど気にしなくても良いと思います。
以下、レンズを含めたディスプレイ画質の比較写真となります。HTC VIVE Cosmosのレビュー記事から抜粋しているので、詳細な内容はレビュー記事本文の方を参照してください。あとサムネイルよりもオリジナル写真のほうがわかりやすいですが、オリジナル写真は画像サイズが大きい(1~3MBのものもある)ので、画像をクリックして確認する時は注意してください。
参考までに下はOculus Rift S(液晶パネル)とOculus Quest(有機ELパネル)の画質比較の写真となります。液晶パネルと有機ELパネルそれぞれの傾向として、HTC VIVE Pro(有機ELパネル)との比較にも概ね当てはまります。
自発光画素の有機ELパネルを搭載しているOculus Questのほうが、液晶パネルのOculus Rift Sよりも鮮やかであり、かつ細かい色調まで再現されているのが一目でわかると思います。Oculus Questは机の細かい模様や反射の様子も細かく再現されており、有機ELパネルの鮮やかさと1440×1660の高解像度を遺憾なく発揮しています。色の鮮やかさや黒の暗さについてはこれまでのVR HMDの画質比較ではあまり気にしていなかったのですが(喫緊の問題は文字認識だったため)、Oculus QuestとOculus Rift Sの比較で有機ELの偉大さを再認識しました。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sなどの画質を比較した管理人の評価を簡単にまとめると
オブジェクトの精細感: HTC VIVE Pro>HTC VIVE Cosmos> Oculus Rift S
色の鮮やかさ: HTC VIVE Pro > HTC VIVE Cosmos、Oculus Rift S
スクリーンドア: HTC VIVE Cosmos、HTC VIVE Pro、Oculus Rift S
文字認識: HTC VIVE Cosmos、Oculus Rift S > HTC VIVE Pro
総合評価: HTC VIVE Pro > HTC VIVE Cosmos > Oculus Rift S
概ね以上のような感じです。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sのどちらの画質が高いか、と聞かれると
HTC VIVE Cosmosはサブピクセルのデルタ配列で文字がボヤける傾向があり(スクリーンドアの印象を低減する効果があるようですが個人的にはあまり)、若干損をしているのですが、やはり解像度の差が影響してOculus Rift Sよりも綺麗です。
ただし「機能」のような常用漢字ですら認識に難のあったOculus Rift CV1やHTC VIVE無印版と違って、Oculus Rift Sは文字を問題なく認識できるようになっているので、価格差に応じた高画質がHTC VIVE Cosmosで得られるかというと微妙です。
IPD調整や奥行調整について
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの焦点調整に関する機能を比較していきます。画質に関わるファクターの1つとして、Oculus Rift Sでは非搭載で賛否を呼んだ部分ですが、「HTC VIVE Cosmos」は左右の瞳の距離にあたるIPD(Interpupillary distance)の調整にハードウェアレベルで対応しています。
「Oculus Rift S」のIPDについてはOculusのデバイス設定や、VR HMD内のOculusボタンで表示される設定メニューからソフトウェア的に調整できます。
IPD調整非対応のWindows MR HMDに良い思い出がないので、ちょっと心配なポイントでしたが、管理人は「Oculus Rift S」でも違和感なくピントが合いました。レンズが改良されているのかOculus Rift CV1よりもレンズ中心以外でピントが合いやすくなっており、それに伴ってソフトウェア調整のみにしたのかもしれません。ただし人によってはソフトウェア調整をしても「Oculus Rift S」でピントが上手く合わない可能性があるので、やはり注意したいポイントです。
なおHTC VIVE Proは対応しているフェイスクッションからレンズまでの前後距離を調整できる機能については、HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはどちらも非対応です。メガネの接触防止や焦点距離の調整に使っていたユーザーも少なくない機能なので注意が必要です。
装着感・重量を比較
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの装着感・重量を比較していきます。
まずHTC VIVE CosmosとOculus Rift SのVR HMDの重量については本体のみ(ケーブルなし、ヘッドバンドと標準ヘッドホンは含む)で比較すると、HTC VIVE Cosmosが約665g、Oculus Rift Sが約560gとなりました。なおHTC VIVE Cosmosは標準ヘッドホンを取り外すと約553gなのでイヤホンに交換すれば軽量化も可能となっており、VR HMD自体の重さはほぼ同等と考えていいと思います。ヘッドストラップの構造は、HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sともに額当てがあり、プラスチック製フレームをダイヤルで締めるという構造で共通しています。
両者のヘッドストラップの大きな違いの1つとして、HTC VIVE Cosmosはヘッドストラップを締めたままで通常の視界を簡単に得られるフリップアップにも対応しています。
Oculus Rift SではヘッドストラップとVR HMD本体の付け根の部分の角度が可動ではないため装着感に個人差が大きいとユーザーから報告がありました。「HTC VIVE Cosmos」ではフリップアップに対応していることからわかるように、付け根の角度に若干の遊びがあるためOculus Rift Sよりも装着感に個人差は出にくく、一般に良好な装着感を得やすい構造です。
「HTC VIVE Cosmos」のヘッドストラップの装着感について最初にざっくりとまとめると、HTC VIVE無印版はもちろんのこと、競合製品Oculus Rift Sよりも快適だと感じました。HTC VIVE Proと比較した場合は好みが分かれそうです。
従来のVR HMDは、HMDがずり落ちないように頬骨で支える感じでしたが、「HTC VIVE Cosmos」は”額で支える”感じが強い装着感です。ゴムっぽい質感で滑り難い額当てクッションによってHMDが保持されるので額の皮が下向きに引っ張られる感覚があり、従来のVR HMDに慣れていると最初は違和感を覚えそうです。ただ頬骨の圧迫感に比べると各段にマシで長時間使用しても、しんどくなり難い構造だと思いました。HMDと額当ての接続部分が可動なのでピントも合わせやすかったです。
「HTC VIVE Cosmos」と「Oculus Rift S」を比較すると、Oculus Rift Sもヘッドストラップの構造は似ていますが額当て部分があまり仕事をしていなくて、重量だけ増えている感があり、加重が前方にかなり寄っているので、ずり落ちないように頬骨で支える感じが依然として残っています。Oculus Rift CV1のように単純なストラップにあった不安定さは解消されており、きつめに装着すればVR HMDがズレそうな感じはしないのですが、やはり頬骨が締め付けられます。
オーディオ機能を比較
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sのオーディオ機能を比較していきます。まずHTC VIVE Cosmosは見ての通り標準でヘッドストラップに高音質ヘッドホンが装着されています。高音質な反面、上で解説したように重量は100g程度重くなっています。付属ヘッドホンは着脱に対応しており、3.5mmジャックを使用して好みのイヤホン・ヘッドホンを使用できます。
ただし各自でヘッドホン・イヤホンを用意して使用する場合、標準ヘッドホンの固定器具部分がVR HMDケーブルガイドを兼ねているため、単純に標準ヘッドホンを外すとケーブルが宙に浮いてしまいます。 そこで『イヤフォン用交換キット』というパーツがあるとマニュアルに記載されているのですが、製品には同梱されず、2020年1月現在、まだアクセサリパーツとして販売されていません。正直言ってこのレベルの部品であれば、VR HMD本体に標準付属として欲しいところです。
次にOculus Rift Sについてはヘッドストラップの耳付近にステレオスピーカーが埋め込まれています。VR HMD左側面に3.5mmジャックがあるので使用して好みのイヤホン・ヘッドホンを使用できます。
VR HMD接続ケーブルを比較
HTC VIVE CosmosとOculus Rift SのVR HMD接続ケーブルを比較していきます。HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはいずれもインサイドアウト式トラッキングが採用されて外部センサーが必要なくなったのでセットアップは非常に簡単になったのですが、VR HMDをPCと接続するケーブルや、VR HMDへ電力供給を行う構造に違いがあります。
Oculus Rift SはVR HMD接続ケーブルの部分が非常にシンプルで、VR HMDから伸びる1本のケーブルの先端がDisplayPortとUSB3.0の2つに分岐しており、これをPCに接続するだけです。VR HMDへの電力供給もこのUSB端子から行います。
比較してHTC VIVE CosmosはVR HMD接続ケーブルの部分が若干複雑になっており(VIVE無印版やVIVE Proと同じ構造)、VR HMD本体から伸びるケーブルをリンクボックスと呼ばれる中継機に接続し、そこからさらにDisplayPortケーブル、USB3.0ケーブル、ACアダプタに分岐します。DisplayPortとUSB3.0をPCに接続するのは同様ですが、VR HMDの電源としてACアダプタという別電源が要求されるのが少し面倒なところです。
コンバーターと呼ばれるHTC VIVE Cosmos用のコンパクトな中継器がアクセサリとして販売されていて、これを使えば多少スッキリとはしますが、ACアダプタはやはり必要ですし、コンバーターだけで8000円とかなり値が張ります。
VR HMDの専用コントローラーを比較
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの専用コントローラーを比較します。専用コントローラーの比較 | |||
HTC VIVE Cosmos |
Oculus Rift S Oculus Quest |
HTC VIVE Pro |
|
バッテリー | 単3電池 | 単3電池 | 内臓バッテリー |
充電方法 | 電池交換 | 電池交換 | micro-USB |
重量(片方) | 225g (eneloop pro×2) |
165g (eneloop pro×1) |
201g |
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはいずれも専用のVRコントローラーが標準で付属します。
Oculus Rift SやOculus Questに付属するOculus Touch(2019)と比較すると、VIVE Cosmos専用コントローラーは一回り大きくなったOculus Touch(2019)という具合です。
実際に手に持った感覚については下の写真を見てもらうと分かりやすいと思いますが、VIVE Cosmos専用コントローラーはOculus Touch(2019)よりそこそこ大きく感じました。重量も後述の通りズッシリしています。
コントローラーの重量を比較すると(電池式のものについてはeneloop proを使用)、VIVE Cosmos専用コントローラーは225g、VIVEコントローラーは205g、Oculus Touch(2019)は135gでした。VIVE Cosmos専用コントローラーはバッテリーが2本の単3電池に変わったため、VRコントローラーとしてはかなり重い部類になってしまっています。
単4電池を2本使用するのと比べると電池の持ちは悪くなりますが、単4電池を単3電池サイズに変換するアダプタを使用してeneloop proの単4電池に変えると重量は30gほど軽くなります。VIVE Cosmos専用コントローラーの重量が気になる人は試してみてください。
VIVE Cosmos専用コントローラーについてはOculus Rift SのOculus Touch(2019)と比較してゴツく、重量が大きいところが気になります。
両陣営の第1世代VR HMDではコントローラーの形状や機能がそもそも大きく異なったので個性の違いとも見ることもできましたが、VIVE Cosmos専用コントローラーとOculus Touch(2019)は形状が非常に似ているため、比較すると単純にVIVE Cosmos専用コントローラーが悪く見えるというのが正直な感想です。
ボタンに指が触れているかどうかを検知できる接触センサーも内蔵して多機能であり、かつ軽量・コンパクトとなると、専用コントローラーの完成度ではOculus Rift Sに軍配が上がります。
トラッキング方法やセンサーを比較
HTC VIVEとOculus Riftのセンサーやトラッキング方法について比較します。初期VR HMDの主流は外部センサーによってVR HMDやコントローラーのポジショントラッキングを行うアウトサイドイン形式でHTC VIVE無印版やOculus Rift CV1も同形式が採用されていましたが、第2世代となるHTC VIVE CosmosとOculus Rift SにはWindows Mixed Reality対応VR HMDでいち早く取り入れられた外部センサー不要のインサイドアウト形式が採用されています。
2大PC向けVR HMDのHTC VIVEとOculus Rift、両陣営が2020年最新VR HMDでインサイドアウト形式が採用を採用したので、普及帯のVR HMD製品では今後はこちらが主流になるようです。
ただし「HTC VIVE Cosmos」もオプションパーツで対応しますし、Steam VRのValve陣営は「Light House」と呼ばれるアウトサイドイン形式のポジショントラッキングを引き続き採用しており、2019年にはValve IndexというハイエンドなVR HMDが海外で発売されています。おそらくコストや導入ハードルが高い一方でトラッキング精度的にはアウトサイドイン形式の方が優れるのだと思います。
HTC VIVE Cosmosのフェイスプレート上には中央左右に2つ、枠上中央の見上げる方向と見下ろす方向に2つ、さらにHMDの左右側面に2つ、以上の6か所にはインサイドアウトトラッキングのセンサーとなるカメラが設置されています。広角レンズによって6基のカメラだけでカメラだけで前方270度くらいはカバーできています。
Oculus Rift Sの正面の右下と左下、上面の中央、側面の左右下角の5か所にはインサイドアウトトラッキングのセンサーとなるカメラが設置されています。広角魚眼レンズによって5基のカメラだけで前方270度くらいはカバーできています。
VR HMD上に設置されたカメラによってインサイドアウト式トラッキングを行うという根本的な構造自体は共通していますが、HTC VIVE Cosmosがカラーカメラを使用しているのに対して、Oculus Rift Sは赤外線カメラを使用しています。
そのためVR HMD画面上に実世界を表示するリアルビュー機能において、HTC VIVE Cosmosはカラー、Oculus Rift Sはモノクロで表示されます。HTC VIVE Cosmosではリアルビューがカラーで表示される反面、後述するようにトラッキング性能的にはOculus Rift Sのほうが構造的に優れているようです。
HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sの専用VRコントローラーのトラッキングについても、上述のVR HMD上に実装されたカメラで主に位置認識を行っています。
極端な例としてVR HMDのヘッドストラップのダイヤル付近のように、明らかにカメラからは見えそうにない場所でコントローラーを動かした場合についてですが、HTC VIVE Cosmosではポジショントラッキングの範囲外なのでコントローラーの位置は動かなくなりますが(カメラ内に移動すると正しい位置にワープしてくる)、コントローラーに内蔵された加速度センサー等によって方向(オリエンテーション)トラッキングは効きます。
一方でOculus Rift SやOculus Questではカメラ範囲外のポジショントラッキングについても、コントローラー側の加速度センサー等によってある程度サポートされているようです。
2019年11月に検証した時点で、HTC VIVE CosmosについてVR HMD本体のトラッキングには特に問題はありませんでしたが、VIVE Cosmos専用コントローラーのトラッキングについては正直なところかなり難を感じました。腕を伸ばした、もしくは軽く曲げた程度で体から(VR HMDから)コントローラーが離れている状態では正確にトラッキングされるのですが、VR HMDに近づいたり、左右のコントローラーが重なったりするとトラッキングが高頻度で狂います。
VR用チュートリアル的ゲームThe Labs内の弓を使うアトラクションをプレイするとすぐに分かりますが、左右のコントローラーが重なる時(弓に矢を掛ける動作)、コントローラーがセンサーカメラに接近する時(弓を目の傍まで引く動作)において、コントローラーのトラッキングが狂い、コントローラーが空中で止まったり、変なところにワープしたりします。
コントローラーをセンサーカメラ(VR HMD)の近くに寄せた時にトラッキングが狂いやすいという挙動は、Oculus Rift Sでも見られたので現時点において、インサイドアウト式トラッキングの特長なのだと思うのですが、Oculus Rift Sと比べても、トラッキングが狂う半径が広いです。またそもそものトラッキング精度(ポジショントラッキングのスムーズさ)においてもOculus Rift Sと比べて「HTC VIVE Cosmos」のほうが粗く感じます。
なおVIVE Cosmosは発売以後、コントローラーのトラッキングが最新ドライバ・ファームウェアのアップデートによって改善されたとのことで、2019年11月時点で最新版ソフトウェア(ver1.0.8.1)を使用して再度同様の検証をしてみましたが、やはり2つのコントローラーが重なる(接するほど近づく)などでトラッキングが高頻度で狂いました。Oculus Rift S&Touchコンに比べて、コントローラーの動きが粗いのも変わりありません。
HTC VIVE Cosmosのコントローラーのトラッキング関連は色々と報告されているので、中には改善されている症状もあるのだと思いますが、コントローラーのトラッキングが微妙なところはソフトウェアレベルで完全に改善するのは難しいようです。
ちなみにHTC VIVE Cosmosは外部トラッキングモッド(2020年に発売予定)と呼ばれるフェイスプレートを装着することで、HTC VIVE無印版やHTC VIVE Proが対応する、Light Houseトラッキングにも互換となります。
まとめ - HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはどちらが買いか
最後に『HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはどちらが買いか』について、管理人目線でまとめていきます。箇条書きでざっくりまとめるとこんな感じです。- Oculus Rift Sは5万円という圧倒的な高コスパでイチオシ
- HTC VIVE Cosmosはトラッキング精度で評価を落とす
- Oculus Rift Sの上をということならHTC VIVE Proのほうが満足度が高いと思う
端的に結論を述べると、2020年において両陣営の普及帯VR HMDのうち当サイト的に最もオススメの機種は「Oculus Rift S」です。
一般ユーザーでも手を出しやすい5万円の「Oculus Rift S」、一般ユーザーにはなかなか手を出しにくい10万円の「HTC VIVE Cosmos」、という2倍の価格差でまずもって大きく明暗を分けていると思います。
ディスプレイのスペックの高さやヘッドストラップの装着感の快適さ(レンズ焦点の合わせやすさ)ではHTC VIVE Cosmosが上回りますが、この価格差を埋めるほどのものかというと微妙で、むしろOculus Rift Sのコストパフォーマンスの高さを考えると多少の欠点には目を瞑れるという意見のほうが強いと思います。
加えて特にHTC VIVE Cosmosの評価を落としたのはVIVE Cosmos専用コントローラーのトラッキングです。2019年11月現在、VIVE Cosmos専用コントローラーはトラッキングについて難があり、同じくインサイドアウト式トラッキングのOculus Rift Sと比較してもトラッキング精度が明確に劣ると感じました。左右のコントローラーが重なったり、VR HMDに近づいたりした時にポジショントラッキングが高頻度で狂いますし、そもそもOculus Rift Sに比べてコントローラーのトラッキングに粗さを感じました。
フリップアップに対応しておりVR HMDとヘッドストラップの付け根が可動で、ハードウェアでのIPDにも対応しているのでピント調整も柔軟という長所もあるだけに勿体ない結果です。Oculus Rift Sでヘッドストラップが合わない、ピントが合わないといった問題がある場合はHTC VIVE Cosmosで解決する可能性が高いです。
2倍という価格差を考えると両陣営にとって同じインサイドアウト型VR HMDの普及機とはいえ競合製品とは呼び難く、Oculus Rift Sを前にするとHTC VIVE Cosmosはそもそも普及機じゃなくてハイエンド機という扱いが正しいのでは、との疑問もあります。しかし一方でトラッキング精度のことを考えるとインサイドアウト型VR HMDで10万円クラスのハイエンド機というのがそもそも難しいという意見も。
価格がさらに上がり、アウトサイドイン型なのでハードウェアセットアップのハードルも高くなりますが、Oculus Rift Sの上を狙うならHTC VIVE Cosmosよりも、VALVE INDEXやHTC VIVE Proを選択するのがベストだと思います。
以上、『HTC VIVE CosmosとOculus Rift Sはどちらが買いか徹底比較』でした。
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2019年最新PC向けVR HMD普及機、「HTC VIVE Cosmos」と「Oculus Rift S」はどちらが買いなのか、VIVE ProやOculus Questも交え、画質やトラッキングや価格など様々な角度から徹底比較 https://t.co/dfXKbRxi05
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 17, 2019
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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