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B350チップセット搭載で安価なエントリー向けAM4マザーボード「ASRock AB350M Pro4」を購入したのでレビューします。Wraith Max目的でバルク1800Xを買いたかったので安価なB350マザボから見繕ったのですが、マイクロATXなB350の中でもVRM電源フェーズ数が9フェーズと多めに実装され、CPUソケット上左共にヒートシンクが装着されていたのでASRock AB350M Pro4を選びました。
製品公式ページ:http://www.asrock.com/mb/AMD/AB350M%20Pro4/index.jp.asp
マニュアル(英語):http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/AB350M%20Pro4.pdf
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Ryzen CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は17年4月中旬に行っておりASRock AB350M Pro4のBIOSはver2.10を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
なおASRockのAM4マザーボードの初期ロットではBIOSのアップデートが面倒な構造になっていたようですが、ASRock AB350M Pro4では「Instant FLASH」というBIOS上からのアップデートに対応しているので、簡単にBIOSのアップデートが可能です。
【17年4月23日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOSver2.10で検証
ASRock AB350M Pro4 レビュー目次
1.ASRock AB350M Pro4の外観・付属品
2.ASRock AB350M Pro4の基板上コンポーネント詳細
3.ASRock AB350M Pro4へのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASRock AB350M Pro4の検証機材セットアップ
5.ASRock AB350M Pro4のBIOSについて
6.ASRock AURA RGB LEDについて
7.ASRock AB350M Pro4のOC設定について
8.ASRock AB350M Pro4の動作検証・OC耐性
9.ASRock AB350M Pro4のレビューまとめ
ASRock AB350M Pro4の外観・付属品
まず最初にASRock AB350M Pro4の外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段には各種付属品が入っており、下段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。
マニュアル類は、英語のソフトウェアマニュアル、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
ASRockのマザーボード製品では多言語マニュアルの日本語のページのほかに、詳細な日本語マニュアルがオンラインで公開されていることが多いのですが、4月23日現在、詳細なマニュアルは英語版しか公開されておらず、日本語は付属の多言語マニュアルに掲載されている一部ページのみとなっています。
組み立て関連の付属品はSATAケーブル4本、リアI/Oパネル、M.2 SSD固定ネジ*2です。
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock AB350M Pro4はマイクロATXフォームファクタのマザーボードで、シルキーで滑らかなブラックのPCB基板を背景にしてホワイトカラーの帯がプリントされたシンプルなデザインです。PCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクも安価なB350チップセット搭載マザーボードということで簡素なアルミ製ヒートシンクです。
VRM電源部分にもシルバーのアルミニウム製ヒートシンクが設置されています。CPUソケット左と上のVRM電源両方にクーラーが設置されているのが注目ポイントです。
ASRock AB350M Pro4のVRM電源フェーズ数は9フェーズとなっており、4~6フェーズが多いB350チップセット搭載マザーボードの中では規模の大きいものになっています。従来比で飽和電流を最大3倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「プレミアム42Aパワーチョークコイル」などでタフなOC耐性を実現します。
ASRock AB350M Pro4で要求されるのはEPSコネクタは8PINが1つです。
重量計を使用して重さを測定してみたところ、ASRock AB350M Pro4は642gとなっており、ATXのASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingが958g、ASUS ROG CROSSHAIR VI HEROが941gと比較するとマイクロATXマザーボードなので軽量です。
リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したType-C端子が設置されています。そのほかのUSB端子についてはUSB3.0端子が4基とUSB2.0端子が2基搭載されています。マウス・キーボードなど各種周辺機器でも使用することを考えるとHTC Viveは問題なさそうですが、USB3.0端子を多く要求するOculus Riftの利用にはUSBハブを利用するなど工夫が必要になりそうです。USB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるのでUSB2.0が少し離れた場所に配置されている配慮も嬉しいです。加えてゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
ビデオ出力にはHDMI、DVI-D、D-Subの3つが設置されており将来的に発売されるかもしれないiGPU搭載Ryzen(APU)にも対応しています。DMI端子については4K・60FPSに非対応で4K・30FPSが上限となるver1.4でした。
ASRock AB350M Pro4の基板上コンポーネント詳細
続いて「ASRock AB350M Pro4」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。
固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
ASRock AB350M Pro4ではA1、A2、B1、B2と配置されているDDR4メモリスロットのうち、A2とB2から埋めるようにと指示があるので注意してください。Ryzen対応のAM4マザーボードでは信号反射などの影響からこのようなメモリスロットの埋め方が推奨されているようです。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[x1、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。プライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16スロットの帯域はPCI-E2.0x4となっています。
x16サイズPCI-Eスロットの固定パーツはスライド構造になっていました。
ASRock AB350M Pro4にはSATAストレージ用の端子は4基(SATA_1~4)搭載されています。いずれもチップセットのAMD X370チップセットのコントローラーによる接続です。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはチップセット左に2基設置されています。赤色のM.2スロットはNVMe(PCI-E3.0x4)のM.2 SSDのみに対応で、SATA接続タイプには非対応です。一方で緑色のM.2スロットはSATAのみ対応で、SATA_4と排他利用になっています。
USB3.0端子はATX 24PIN端子のすぐ左に設置されています。
マザーボード下には内部USB2.0端子も2基設置されていました。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、ASRock AB350M Pro4であればそれらの機器も問題なく使用可能です。
Ryzen CPUのパフォーマンスにおいてはメモリの動作クロックも重要になりますが、メモリOCの設定段階ではPOSTにすらたどり着けずCMOSクリア(BIOS設定の初期化)が必要になる場合があります。ASRock AB350M Pro4にはCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、マザーボード下部中央のジャンパーピンを使用してCMOSクリアを行います。
冷却ファンを接続するためのコネクタについてはファンコネクタがマザーボード上に3基設置されています。マザーボード上部のCPUソケット周辺にCPUファン端子とケースファン端子2基の計3基です。ケースファン用ファン端子のうちマザーボード下部のものはPWM非対応の3PINファン端子なので注意してください。ファン端子の数が少ないので冷却ファンを多用するようなユースには向かないかもしれません。
メモリスロットのすぐ左下にはRyzen CPUの一部モデルに付属するLEDイルミネーション対応WraithクーラーなどLEDイルミネーション機器を接続するための汎用4PIN LEDヘッダーが2基実装されており専用アプリのASRock RGB LEDから操作可能です。またUSB3.1内部ヘッダーの隣にある「USB_7」ヘッダーは本来、Wraith Max CPUクーラーとの接続に使用するための端子ですが、実態は内部USBヘッダーなのでNZXT KrakenやCorsair H110iなどとの接続にも使用できます。
ASRock AB350M Pro4へのパーツ組み込み
ASRock AB350M Pro4にDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。DDR4メモリには「Corsair Dominator Platinum Special Edition」(レビュー記事)、CPUクーラーには「Wraith Max」を使用しています。
ASRock AB350M Pro4の検証機材
ASRock AB350M Pro4を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock AB350M Pro4以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 7 1800X (レビュー) |
CPUクーラー | Cryorig C1 (レビュー) |
メインメモリ | Kingston HyperX Fury DDR4 HX424C15FB2K2/16 DDR4 8GB*2=16GB (レビュー予定) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
ASUS GeForce GT730 ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK |
システムストレージ |
CFD SATA SSD 120GB |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
検証機材のCPUにはAM4マザーボードで使用可能なAMD Ryzen CPUの最上位、8コア16スレッドの「Ryzen 7 1800X」を使用しています。
ASRock AB350M Pro4はマイクロATXのAM4マザーボードの中でも多めな9フェーズVRM電源を搭載していますが、Ryzen 7 1800XのOC検証には少々不安も残ったので、ちょうどCryorig C1用のAM4マウントアップグレードキットが届いたこともあり、VRM電源周りの冷却を補助するためにハイエンドトップフローCPUクーラーと組み合わせて検証を行いました。
またCPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASRock AB350M Pro4のBIOSについて
ASRock AB350M Pro4を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。)ASRock AB350M Pro4のBIOSに最初にアクセスすると従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
ASRock AB350M Pro4のBIOSについては多言語に対応しており、「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分はあるものの日本語にも対応しているので初心者ユーザーにも優しいBIOSだと思います。
ASRock AB350M Pro4のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
レビュー用サンプルのBIOSバージョンは「1.00」でした。公式ページで最新版の「2.10」が公開されているので最新版にアップデートしました。ASRockのAM4マザーボードの初期ロットではBIOSのアップデートが面倒な構造になっていたようですが、最新ロットでは「Instant FLASH」というBIOS上からのアップデートに対応しているので、簡単にBIOSのアップデートが可能です。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
http://www.asrock.com/mb/AMD/AB350M%20Pro4/index.jp.asp#BIOS
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock AB350M Pro4のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock AB350M Pro4のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
アドバンスドのストレージ設定からはSATAストレージだけでなく、M.2スロットに接続されたSATA接続M.2 SSDやNVMe接続M.2 SSDの一覧が確認できます。
ファンコントロール機能について紹介します。
ASRock AB350M Pro4のファンコン機能は設置されている2つのファン端子を個別に「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、ケースファンはソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
一部のASRockマザーボードでは、ワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能「Fan Tuning」とグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能「Fan-Tasticチューニング」がBIOSで搭載されていますが、「ASRock AB350M Pro4」は同機能に非対応でした。
ASRock AURA RGB LEDについて
ASRockでもAMD AM4マザーボードやIntel 200シリーズマザーボードから備え付けのLEDイルミネーションや4PIN RGB LEDテープに対応したLEDイルミネーション操作機能「ASRock AURA RGB LED」が追加されました。ASRock AB350M Pro4ではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションはありませんが、4PIN RGB LEDテープに対応した4PIN LEDヘッダーが2基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載してるLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」などが接続可能です。出力が何Wまでかについては記載がないので不明です。
「ASRock AURA RGB LED」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
発光パターンには「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」を選択できます。赤→緑→青に緩やかに変化するカラーサイクルについては「Cycling」ではなく「Wave」が対応しています。
「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットを使用して発光カラーを自由に設定できます。
ASRock AURA RGB LEDにはBIOS上のグラフィカルUIでLEDイルミネーションの調整をデスクトップアプリ同様に行えるという特徴があったのですが、「ASRock AB350M Pro4」には未実装でした。いちいち専用アプリをインストールするのが面倒なユーザーにとってBIOSから全て設定できるのは非常に便利なのでBIOSの更新で早く実装して欲しいです。
下はASRock Z270 SuperCarrierのものですが、BIOSの詳細モードでツールのAURA RGB LEDからLEDイルミネーションの設定画面にアクセスすると、使用しているマザーボードに合わせて写真も表示され、専用アプリ同様にLEDイルミネーションの操作が可能です。
ASRock AB350M Pro4のOC設定について
ASRock AB350M Pro4を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
AMD Ryzen CPUについてはX370チップセット搭載マザーボードと組み合わせた場合に使用できる純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
・AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
ASRock AB350M Pro4のオーバークロック設定はOCツールというトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。OCツールのページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧の順番で設定項目が表示されます。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
AMD Ryzen CPUについても定格では同様に例えばRyzn 7 1800Xでは、冷却性能依存の自動OC機能「XFR」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.0GHz、全コア負荷の場合は3.7GHzで動作します。しかしながら当レビュー記事執筆時点(4月13日)ではBIOSとRyzen専用OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」ともにRyzen CPUは全コア同時のコアクロック設定しか行えませんでした。
ASRock AB350M Pro4のコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の指定値を直に打ち込み形になっていました。「CPU Frequency and Voltage Change」の項目を「手動」に変更すると「CPU Frequency」の項目が表示されます。例えば「4025」のように「CPU Frequency」を設定すると4025MHzで動作するように設定されます。コアクロックは25MHz間隔で指定可能です
ASRock AB350M Pro4ではBIOSがver2.00以降であれば、AMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT: サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。
動作させるコア数をプルダウンメニューから指定することが可能な「Down Core Control」の項目は、トップメニュータブの「アドバンスド」から「AMD CBS」、「Zen Common Options」を選択していくと表示されます。8コアCPUのRyzen 7を使用している場合は2コア([1+1]or[2+0])、3コア([3+0])、4コア([2+2]or[4+0])、6コア([3+3])が選択可能です。
続いてコア電圧の調整を行います。
ASRock AB350M Pro4ではOCツールの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本的に「CPU Core電圧」「CPU SOC電圧」「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。
CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock AB350M Pro4では「CPU Frequency」のすぐ下にある「CPU Voltage」の項目を変更します。
ASRock AB350M Pro4ではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。AMD Ryzen CPUのコア電圧は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASRock AB350M Pro4」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では非対応ですが、ASRock AB350M Pro4ではXMPプロファイルの項目が表示されており、おそらくXMPプロファイルから適当なOCプロファイルを自動生成しているものと思われます。
ASRock AB350M Pro4ではメモリクロックをプルダウンメニューから最大3200MHz(32倍)までの動作クロック設定が可能です。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.300~1.350Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350VにDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
ASRock AB350M Pro4の動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところやOC設定の基本についての紹介はこのあたりにしてASRock AB350M Pro4を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずは高速ブートを無効にしてBIOS上の起動設定を次のようにしてOSの起動時間を測定しました。
ASRock AB350M Pro4の起動時間は17秒ほどとなりました。
続いてASRock AB350M Pro4を使用した場合のCPUのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Ryzen 7 1800XのOC設定は「CPU動作周波数:3900」「CPUコア電圧:1.300V固定」としています。メモリについては検証機材が定格でしか動作しなかったのでOC設定を行わずAutoのままにしています。
メモリ周波数についてはX370 XPOWER GAMING TITANIUMでは2933MHz、MSI X370 GAMING PRO CARBONでは2666MHz動作で安定動作した検証機材「Kingston HyperX Fury DDR4」はASRock AB350M Pro4では2400MHz動作が限界でした。メモリ相性問題は本当におみくじだと思います。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
Cinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 1800Xの場合15分ほどなので同じ動画で4周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASRock AB350M Pro4を使用することでRyzen 7 1800Xを全コア同時3.9GHzでストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してストレステスト終盤のASRock AB350M Pro4のマザーボード上の各所の温度をチェックしました。8コア16スレッドのRyzen 7 1800Xを3.9GHzにOCしていますが、トップフロー型のCPUクーラーを使用していることもありVRM電源部分の温度は70度半ばに収まってくれました。とはいえトップフローでも70度台なので、VRM電源周りに風の当たらない簡易水冷やサイドフロー型のCPUクーラーでOCを行うのは避けたほうがいいと思います。
ちなみにRyzen 7 1800Xの定格についてCPUクーラーにWraith Maxを使用してストレステスト時のサーモグラフィーを撮影したところ、最も熱いVRM電源部分も60度程度に収まっていました。Ryzen 7ユーザーはX370チップセットの上位マザーボードを選択するとは思いますが、定格使用であればASRock AB350M Pro4でもRyzen 7 1800Xに対応できそうです。
ASRock AB350M Pro4のレビューまとめ
最後に「ASRock AB350M Pro4」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- コンパクトなマイクロATXファームファクタ
- マイクロATXのB350マザボとしてはVRM電源が9フェーズと多めでヒートシンクも完備
- 検証機ではRyzen 7 1800Xの全コア同時3.9GHz OCで正常動作
- 起動時間が17秒とAM4マザーボードの中でも高速
- M.2スロットが2基設置されている (うち1基はSATA接続専用なので注意)
- 日本語マニュアルの冊子は付属せず、PDFファイルも用意されていない
(多言語マニュアルの日本語ページはある) - VRM電源は上位M/Bに比べると弱いのでOCするならトップフローCPUクーラー推奨
ASRock AB350M Pro4を使用した検証機ではRyzen 7 1800Xの全コア3.9GHzのオーバークロックで安定動作を実現するなど高いパフォーマンスが求められる最新のゲーミングPC事情にも答えられる性能を発揮してくれました。VRM電源もマイクロATXのB350チップセットとしては多めな9フェーズとなっており、トップフロー型のCPUクーラーと組み合わせてVRM電源周りの冷却も十分であればRyzen 7 CPUの軽いOCにも対応可能です。
ASRock AB350M Pro4のBIOSではクラシカルなUIが採用されており、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。細かい設定はできませんが、コアクロックやメモリの基本的なOC設定も可能でした。
1万円前後の安価なRyzen対応AM4マザーボードを探しているなら「ASRock AB350M Pro4」はお勧めできる製品だと思います。
【まとめの続きについてはBIOSの成熟やWindow OSのRyzen CPU向けアプデを待って追記予定です】
・AM4マザーボード:
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G.Skill
<PCショップアーク><PCワンズ>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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>同社製のRyzen用マザーボードの多くのモデルは2oz銅箔のレイヤーが採用されており、電源のロスや発熱の抑制、信号品質の向上などが図られているという。
これの補足です。2オンス銅箔が採用されてるマザーはチップセット種類に拠らずメモリスロット4本のモデルが該当するとChris氏は仰っていましたので、AB350M Pro4も2オンス銅箔マザーということになります。