スポンサードリンク
東芝製TLCタイプ64層3D NANDメモリチップと4チャンネルのPhison製メモリコントローラーPhison PS5008-E8を採用するメインストリーム向けNVMe M.2 SSD「Kingston A1000」シリーズから、容量960GBモデル「Kingston A1000 960GB (型番:SA1000M8/960G)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.kingston.com/jp/ssd/consumer/SA1000M8
データシート:https://www.kingston.com/datasheets/SA1000M8_jp.pdf
Kingston A1000 960GB レビュー目次
1.Kingston A1000について
2.Kingston A1000 960GBの外観
3.Kingston A1000 960GBの検証機材と基本仕様
4.Kingston A1000 960GBのベンチマーク比較
5.Kingston A1000 960GBの連続書き込みについて
6.Kingston A1000 960GBの温度とサーマルスロットリングについて
7.Kingston A1000 960GBの実用性能比較
8.Kingston A1000 960GBのレビューまとめ
Kingston A1000について
「Kingston A1000」シリーズは東芝製TLC型64層3D NANDメモリチップと4チャンネルのメモリコントローラー「Phison PS5008-E8」を採用するメインストリーム向け製品としては重要な低価格化を実現した最新NVMe M.2 SSDです。「Kingston A1000」は容量別で240GB/480GB/960GBの3モデルがラインナップされています。「Kingston A1000」シリーズはメモリチップ東芝製TLC型64層3D NAND、メモリコントローラーに4チャンネルのコントローラー「Phison PS5008-E8」が採用された、M.2 2280フォームファクタのNVMe(PCI-E3.0x2)接続M.2 SSDです。既存のNVMe M.2 SSDの接続帯域はPCI-E3.0x4帯域が主流ですが、「Kingston A1000」シリーズはその半分のPCI-E3.0x2帯域となっています。「Kingston A1000」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出1500MB/s、シーケンシャル書込1000MB/s、4Kランダム読出120,000 IOPS、4Kランダム書込100,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。「Kingston A1000」シリーズのMTBF(平均故障時間)は100万時間、書込耐性は240GBが150TBW、480GBが300TBW、960GBが600TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Kingston A1000 スペック一覧 |
|||
容量 | 240GB (型番:SA1000M8/240G) |
480GB (型番:SA1000M8/480G) |
960GB (型番: SA1000M8/960G) |
コントローラー |
Phison PS5008-E8 | ||
メモリー | 東芝製 TLCタイプ 64層3D NAND |
||
連続読出 | 1500MB/s | ||
連続書込 | 800MB/s | 900MB/s | 1000MB/s |
4Kランダム読出 | 100,000 IOPS |
120,000 IOPS |
|
4Kランダム書込 | 80,000 IOPS | 90,000 IOPS | 100,000 IOPS |
消費電力 | 10mW(アイドル) 70mW(平均) 0.9W(最大) |
||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||
MTBF | 100万時間 | ||
耐久性評価 | 150TBW | 300TBW | 600TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Kingston A1000 960GBの外観
まず最初にKingston A1000 960GBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は仕様書と専用ソフトウェアのシリアルキー用紙となっています。
Kingston A1000シリーズのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズのM.2 SSDです。PCB基板は青色になっています。Kingston A1000シリーズの表面シールの下には左から順にDRAMキャッシュ、メモリコントローラー、4枚のメモリチップが実装されています。
NVMe M.2 SSDはM-keyタイプのものが多いですが、「Kingston A1000」のM.2端子にはM-Keyに加えてB-Keyの切込みもあります。
最大容量の960GBモデルでもメモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です。
Kingston A1000 960GBの検証機材と基本仕様
Kingston A1000 960GBの各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
「Kingston A1000 960GB」のボリュームをWindows10上で作成したところ空きスペースは894GBでした。
Kingston A1000 960GBのベンチマーク比較
「Kingston A1000 960GB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」と「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果です。「Kingston A1000 960GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
ATTO Disk Benchmark(512B-64MB, 256MB, QD4)の結果は次のようになっています。「Kingston A1000 960GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark(5GB)の結果は次のようになっています。「Kingston A1000 960GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
PCMark8 ストレージテストのベンチマーク結果は次のようになっています。「Kingston A1000 960GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
Kingston A1000 960GBの連続書き込みについて
「Kingston A1000 960GB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型SSDの多くは書き込み速度の底上げのため、TLC型NANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能を採用しているので、キャッシュ容量を超える大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、CrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下します。
2.5インチSATA SSDの「Samsung 860 PRO 2TB(レビュー)」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 PRO 1TB(レビュー)」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持しています。
一方でSATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
なお「Samsung SSD 860 EVO(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」など、64層3D NANDを採用している18年最新のTLC型SATA SSDで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)
TLC型の書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあり「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」は3bit-MLC NAND(TLC NAND)の一部を高速なSLC NANDとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超える書き込みが発生すると書き込み速度が低下します。
東芝製TLC型64層3D NANDをメモリチップに採用する「Kingston A1000 960GB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、書き込み開始直後は1000MB/s程度の書き込み速度を維持していますが、書き込み総量が24GB程度を超えるとSLCキャッシュを上回るため書き込み速度は500MB/s前後まで低下しました。
Kingston A1000 960GBの温度とサーマルスロットリングについて
NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Kingston A1000 960GB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。アクセススピードが数GB/sに及ぶ高速NVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られているので、「Kingston A1000 960GB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をモニタリングソフトとサーモグラフィーを使用して検証します。
Kingston A1000 960GBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値をHWinfoを使用してログを取得します。
Kingston A1000 960GBの検証結果を確認する前に、NVMe M.2 SSDとしてはおそらく18年現在でもいまだにNVMe M.2 SSDとしては最高クラスの性能を誇り、認知度が高く普及している「Samsung 960 PRO 1TB」を比較参考のサンプルとして上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung 960 PRO 1TBで負荷テストを実行した場合のSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung 960 PRO 1TBにはメモリチップとメモリコントローラーの2か所に温度センサーが実装されています。ベンチ2周目でメモコン温度は最大温度の98度、メモリ温度も最大温度に近い60度超をマークします。この状態で複数回ベンチマークを実行しても速度低下は発生せずサーマルスロットリングは発生しません。
サーモグラフィーによって負荷テスト終盤におけるSamsung 960 PRO 512GBのM.2 SSD上の温度を確認してみると、ソフトウェアモニタリング同様に右端に配置されたメモリコントローラーは91度、左半分に配置されたメモリチップは60~70度となっています。
さて本題のKingston A1000 960GBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるKingston A1000 960GBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Kingston A1000 960GBに関してはソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリコントローラー付近の温度になっているようです。ソフトウェアモニタリング上の温度は最大でも70度を下回っており、ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は確認できませんが、3周目に入ると連続リードおよび連続ライトの台形に乱れが生じているので、サーマルスロットリングは多少発生しているようです。
負荷テスト終盤におけるKingston A1000 960GBのサーモグラフィーは下のようになっています。「Kingston A1000 960GB」の右端にあるメモリコントローラー温度は80度を超えています。データシートでも80度を超えるとサーマルスロットリングがかかるとの注記があったので、ソフトウェアモニタリングよりも実際は10度ほど温度が高いようです。一方メモリチップは60度未満になっており、NVMe M.2 SSDのメモリチップ温度としては比較的低温になっています。
今回の負荷テストではサーマルスロットリングによる大幅な速度低下こそ確認できなかったものの、メモリコントローラーは80度に達しているので、長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をおすすめします。
・「AquaComputer kryoM.2 evo/micro」をレビュー
・「SilverStone SST-TP02-M2」をレビュー
SilverStone M.2 SSD専用放熱ヒートシンク/パッドセット SST-TP02-M2
SilverStone
Kingston A1000 960GBの実用性能比較
続いて「Kingston A1000 960GB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung 960 PRO 1TB(レビュー)」と「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」と「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
なお下で掲載している検証結果の比較グラフにおいて*の添え字が付いているものは、コピー相手にSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。SATA3.0 SSDが検証ストレージの場合は、コピー相手がSamsung 960 PRO 512GBとSamsung SSD 970 PRO 1TBのどちらであっても動画ファイルおよびゲームフォルダのコピー速度に大きな差はありません。
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。
Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDIMM3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するものの、各NVMeストレージはCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
「Kingston A1000 960GB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Kingston A1000 960GBは動画ファイルのコピー読み出しにおいては、同じく18年最新のTLC型NVMe M.2 SSDである「Samsung SSD 970 EVO」「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」「Intel SSD 760p 512GB」などと比較すると2倍程度のコピー時間がかかっています。これら競合製品がPCI-E3.0X4帯域であるのに対して、「Kingston A1000 960GB」はPCI-E3.0x2帯域なので概ね妥当な結果です。とはいえSATA3.0接続のSSDと比較すると2倍高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は1000MB/s程度となっています。
動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると、「Kingston A1000 960GB」のコピー書き込み時間は74秒ほどとなり、SATA3.0 SSDよりは速いもののPCIE3.0x4帯域のNVMe M.2 SSDと比較すると遅れを取ります。「Intel SSD 760p 512GB」と比較すると「Kingston A1000 960GB」のほうが高速な結果になっていますが、TLC型SSDのキャッシュ超過後の書き込み速度はストレージ容量にある程度比例するため、Intel SSD 760pの1TBモデルが比較対象になると逆転すると思われます。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Kingston A1000 960GBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいてTLC型でPCIE3.0x4接続の競合製品と比較すると2倍弱程度のコピー時間になっています。若干ランダム性能が効いてくるワークロードなので、NVMe SSD間のランダム性能の差が小さいこともあり、動画ファイルのコピーに比べるとコピー時間の差は縮まっています。
やはり動画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも2倍程度の高速な読み出し速度です。
Kingston A1000 960GBのゲームフォルダのコピー書き込み速度についてみてみると、Kingston A1000 960GBのSLCキャッシュ容量を大きく上回る書き込みのため、競合のNVMe M.2 SSDよりもSATA3.0 SSDに近い165秒程度のコピー時間を要しています。
続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフルHD解像度・最高設定としてノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高設定として製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
以上の条件で「Kingston A1000 960GB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Kingston A1000 960GB」含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。
しかしながらFinal Fantasy XV PC版で4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度・最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からハンマーヘッドまで(FF15_1)』および『ハンマーヘッドからレスタルムまでファストトラベル(FF15_2)』の2つについてロード時間を確認してみたところ、NVMe(PCIE3.0x4)SSDの「Kingston A1000 960GB」とSATA3.0 SSDとの間でロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
Kingston A1000 960GBのレビューまとめ
最後に東芝製TLC型64層3D NANDメモリチップを採用するNVMe M.2 SSD「Kingston A1000 960GB(SA1000M8/960G)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- SATA接続より高速な連続読み出し1500MB/sと連続書き込み1000MB/s(最大)
- SLCキャッシュの容量が24GBと大きい
- TLC型なので高速NVMe M.2 SSDとしては安価な価格帯
- 競合のPCIE3.0x4接続のNVMe M.2 SSDよりも2割程度安価
- 連続して負荷がかかってもメモリチップ温度は60度未満で比較的低温
- メーカー正規保証期間が5年間
- TLC型なので大容量の連続書き込みでは速度低下が発生する
960GBモデルのキャッシュ外書き込み速度は500MB/s - 連続して負荷がかかった時のメモコンは80度を超え、シーケンシャルアクセスは若干速度低下
- NVMe M.2 SSDで主流なPCIE3.0x4接続ではなくPCIE3.0x2接続
「Kingston A1000 960GB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークおよび実用性能検証において、比較対象として採用したSATA3.0 SSDや競合製品となる18年最新のTLC型NVMe M.2 SSDのおおむね中間に位置するパフォーマンスになりました。「Kingston A1000 960GB」は現在のNVMe M.2 SSDで主流なPCIE3.0x4帯域ではなく、その半分のPCIE3.0x2帯域による接続なので、この仕様を踏まえると妥当な結果だと思います。とはいえ実アプリを用いた性能ベンチマークであるPCMark 8 ストレージテストでは比較対象のNVMe M.2 SSDと同等のスコアをはじき出しているので、大容量データーのコピーなどシーケンシャル性能に比重の大きいワークロードでなければ、PCIE3.0x4帯域のNVMe M.2 SSDと実用上はそこまで大きな差は出ないと思います。
Kingston A1000 960GBにはTLCタイプの東芝製64層3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した960GBモデルでは24GB程度のSLCキャッシュを超える書き込みアクセスでは書き込み速度が理想値1000MB/sから500MB/sまで低下します。
「Kingston A1000 960GB」は競合他社と違ってPCIE3.0x2帯域によるNVMe接続のためM.2 SSDの温度面でPCIE3.0x4帯域の製品に比べてメリットがあることを期待したのですが、連続した負荷に対してメモリコントローラー温度は80度を上回り、若干サーマルスロットリングも発生する結果となりました。メモリチップ温度は10~2度ほど低い温度にはなったものの、PCIE3.0x2帯域であることに対して積極的に魅力を見出すことは難しそうです。
「Kingston A1000 960GB」をおおざっぱに一括りすると、”18年最新のTLC型64層3D NANDを採用したNVMe M.2 SSD”となりますが、同種の競合製品として「Intel SSD 760p」「Samsung SSD 970 EVO」「WD Black 3D NVMe SSD」「Plextor M9Pe」が存在します。前述の通り「Kingston A1000 960GB」はPCIE3.0x2帯域による接続なので、大容量データの取り扱いにおいてはSATA3.0 SSDよりは高速であるものの、これらの競合製品には性能面で遅れを取る形になります。
価格面(日本国内)では「Intel SSD 760p 1TB」が5.0万円、「Samsung SSD 970 EVO 1TB」が5.4万円、「Plextor M9Pe 1TB」が5.3万円に対して、「Kingston A1000 960GB」が4.3万円となっており、競合製品と比較した場合に2割程度の容量単価の低さはKingston A1000シリーズの魅力と言えると思います。ただ1TBクラスのSATA3.0 SSDは2.8~3.0万円で販売されているので、Kingston A1000シリーズはもう1割ほど価格が下がるとコストパフォーマンスがより一層高く感じられるかなとも思いました。
以上、「Kingston A1000 960GB」のレビューでした。
関連記事
・おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説・SSDレビュー記事の一覧へ <SATA SSD><NVMe SSD><M.2 SSD>
・「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」をレビュー
・「Samsung SSD 970 PRO 1TB」をレビュー
・「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」をレビュー
・「Samsung SSD 970 EVO 1TB」をレビュー
・「Intel SSD 760p 512GB」をレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク