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PlayStation 4 ProやXbox One Xなどコンシューマーゲーム機でも対応ソフトが増え始めている4K解像度/60FPS/HDRの超高解像度ハイダイナミックレンジなビデオ出力や、オンライン対戦FPSで勝ちを狙う競技ゲーマーがゲーミングPCで使用するフルHD/240FPSのハイフレームレートなビデオ出力を、パススルーによって遅延なく表示しながら、フルHD/60FPSで録画が可能なUSB外付け機器型ビデオキャプチャ「AVerMedia Live Gamer Ultra(型番:GC553)」をレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.avermedia.co.jp/product_swap/gc553.html
マニュアル:https://storage.avermedia.com/web_release_jp/gc553_QG.pdf
ドライバ:https://www.avermedia.co.jp/product_swap/gc553_download.html
FAQ:https://www.avermedia.co.jp/product_swap/gc553_qa.html
RECentral4マニュアル:https://storage.avermedia.com/web_release_jp/RECentral4_UM.pdf
AVerMedia Live Gamer Ultra (GC553)
AVerMedia Live Gamer 4K (GC573)
<TSUKUMO:4K/Ultra><PCショップアーク:4K/Ultra>
<PCワンズ:4K/Ultra><パソコン工房:4K/Ultra>
AVerMedia Live Gamer 4K (GC573)
AVerMedia
Amazon.co.jp で詳細情報を見る <米尼:4K/Ultra><TSUKUMO:4K/Ultra><PCショップアーク:4K/Ultra>
<PCワンズ:4K/Ultra><パソコン工房:4K/Ultra>
AVerMedia Live Gamer Ultra レビュー目次
1.AVerMedia Live Gamer Ultraの概要
2.AVerMedia Live Gamer Ultraの外観・付属品
3.AVerMedia Live Gamer Ultraの検証機材
4.AVerMedia Live Gamer Ultraとサードパーティ製ソフトとの互換性について
5.AVerMedia RECentral 4の基本操作・設定について
6.AVerMedia RECentral 4の録画・配信について
7.AVerMedia Live Gamer Ultraで4K/60FPS/HDRをフルHD/60FPSで録画してみる
8.AVerMedia Live Gamer Ultraで240FPSのPCゲームを60FPSで録画してみる
9.AVerMedia Live Gamer Ultraの表示遅延について
10.AVerMedia Live Gamer Ultraのレビューまとめ
AVerMedia Live Gamer Ultraの概要
「AVerMedia Live Gamer Ultra」はUSB3.1 Gen1接続のUSB外付け機器型ビデオキャプチャとなっており、別途キャプチャソフトは必要ですが、USB規格「USB Video Class」に対応しているのでWindows10 PCであればドライバ不要なプラグアンドプレイで使用できます。ビデオキャプチャ側USB端子はType-Cですが、Type-C to Type-Aケーブルが付属するのでPC側はUSB3.1 Gen1(USB3.0)以上のType-A端子があれば大丈夫です。USB2.0では正常に動作しないので注意してください。「AVerMedia Live Gamer Ultra」はUSB3.1 Gen1接続なので、HDMI2.0の帯域が18Gbpsに対して、録画のための帯域は5Gbpsに制限されるため上位モデル「AVerMedia Live Gamer 4K」よりも録画可能な解像度&フレームレートが小さくなっています。具体的には4K(3840×2160)/30FPSやフルHD(1920×1080)/120FPSなどの解像度&フレームレートの録画に対応しています。フルHD/60FPSであればHDR映像ソースをHDRのままで録画が可能です
また映像ソースをほぼ無遅延でモニタに表示可能なHDMIパススルー端子を搭載しており、4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSのパススルー表示は可能なので、録画が現在主流なフルHD/60FPSなどの標準的なものでいいのであればUSB接続で導入が簡単であり、安価な「AVerMedia Live Gamer Ultra」は魅力的な製品です。
なお「AVerMedia Live Gamer Ultra」はハードウェアエンコーダを搭載していないので、キャプチャにはCPUもしくはGPUのパワーが必要になります。4K/30FPSやフルHD/60FPS/HDRなど高解像度/高フレームレートのビデオキャプチャを行う場合はCPUエンコードを行うなら6コア以上のIntel Core i7やAMD Ryzen 7、GPUエンコードを行うならGTX 1060やRX 580などを搭載した相応に高性能なPCが必要になります。
AVerMedia Live Gamer Ultraの外観・付属品
早速、「AVerMedia Live Gamer Ultra」を開封していきます。AVerMedia Live Gamer Ultraは下のような感じで収められていました。
AVerMedia Live Gamer Ultra本体以外に、パススルー表示用のHDMIケーブルとクイックリファレンスや保証シートなどが付属します。
HDMIケーブルを個別に購入するのであれば、「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ」は、18Gbpsの高速伝送による4K/60FPS/HDR表示対応のPremium HDMI cable規格認証を取得しており、ケーブル径4.5mmのスリムケーブルで取り回しが良いのでおすすめです。
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.5m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m
エレコム
AVerMedia Live Gamer Ultra本体をチェックしていきます。
AVerMedia Live Gamer Ultraの外装はプラスチック製ですが、金属のような質感の塗装で重厚感があり、持ってみると軽いので少し驚きます。天面スリットから見える赤色のメッシュがアクセントになってゲーマー向けアイテムを主張しながらもダサくならず、カッコよくまとまったデザインです。
AVerMedia Live Gamer Ultraの寸法は幅112mm x 奥行65mm x 高さ24mとなっており、4.5インチくらいのスマートフォンを2.5枚重ねたくらいの大きさでとてもコンパクトです。
本体底面の四隅には滑り止めの円形ゴム足が付いています。
ビデオ入力としてはHDMIが1基実装されています。OUTと表記のあるHDMI端子はパススルー機能に対応しており、液晶モニターに接続することでキャプチャーボードへの入力機器(ゲーム機等)の映像を遅延なくモニターに表示することができます。
AVerMedia Live Gamer UltraのパススルーについてはHDCPに対応しており、プレビューや録画は行えませんが、著作権保護されたコンテンツでもパススルー経由でモニタへ表示が可能です。
AVerMedia Live Gamer Ultraは本体右側面に配置されたUSB Type-C端子にUSB Type-C to Type-Aケーブルを繋いでPCと接続します。USB接続規格はUSB3.1 Gen1(USB3.0)となっておりUSB2.0端子に接続しても正常に動作しないので注意して下さい。
AVerMedia Live Gamer Ultraの検証機材
AVerMedia Live Gamer Ultraの各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 7980XEやASRock X299 OC Formulaなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7980XE 殻割り&クマメタル化 (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK DDR4 8GB*4=32GB (4枚のみ使用) (レビュー) |
マザーボード |
ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
ビデオカード | Zotac GTX 1050 Ti OC (レビュー) EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
データストレージ |
SanDisk SSD Ultra 3D SATA SSD SDSSDH3-2T00-J25 (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
「AVerMedia Live Gamer Ultra」には冷却ファンが内蔵されており、ジーというファンノイズが若干聞こえました。煩いわけではありませんが、気になる人は気になる感じだと思います。また起動中にファンが動作するのはよしとして、問題に感じたのは、PCが電源OFFやスリープの状態でも「AVerMedia Live Gamer Ultra」のファンが動作し続けます。小型・軽量を優先したのかもしれませんが、個人的にはアルミニウム外装などをパッシブヒートシンクにしてファンレス構造を採用して欲しかったというのが正直なところです。
ちなみに4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSの映像ソースからフルHD/60FPSの映像をプレビュー表示および録画中の外部温度をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)で確認してみたところ、40度半ば程度でした。そこそこの発熱はあるようですが、冷却ファンがしっかりと仕事をしているようなので熱による破損の心配はなさそうです。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」でフルHD/120FPSや4K/30FPSで録画を行うためにはUSB3.1 Gen1規格として高速かつ安定したUSB接続帯域が要求されますが、純正アプリ「RECentral 4」では接続されているUSB端子とのUSB帯域に関するパフォーマンステストが可能で、ビットレートと録画可能な解像度&フレームレートが表示されます。下はIntel X299チップセットコントローラーのUSB3.0端子に接続した場合の結果ですが、300Mbps程度の帯域が確保できていれば「AVerMedia Live Gamer Ultra」のフルスペックが発揮できるようです。
公式サイトの仕様ではIntel製コントローラーのUSB3.1 Gen1(USB3.0)を推奨と記載されていますが、AMD X470チップセットコントローラーに接続されたUSB3.0でパフォーマンステストを実行してみたところ、上と同様にほぼ300Mbpsの良好な接続環境でした。AMD Ryzen環境でも「AVerMedia Live Gamer Ultra」は問題なく使用できると思います。
また公式サイトでもUSB3.1 Gen2は非対応なので接続しないようと表記がありますが、ASMedia製コントローラーのUSB3.1 Gen2端子に接続したところ簡単に確認した限りでは問題なく動作したものの、パフォーマンステストの接続帯域が240Mbps程度に下がり、フルHD/120FPSやWQHD/60FPSや4K/30FPSなど高解像度・高フレームレートの録画に非対応と表示されました。
ちなみに公式サイトやマニュアルでも非対応が公表されているので当然ですが、USB2.0端子に接続した場合はビデオ入力が検出されないと表示されて完全に使用できませんでした。帯域が狭くてもよい(録画解像度やフレームレートが低くてもいい)のでUSB2.0で接続して、というような使い方はできないようです。
AVerMedia Live Gamer Ultraとサードパーティ製キャプチャソフトとの互換性について
「AVerMedia Live Gamer Ultra」用には純正ソフトウェア「RECentral 4」が用意されていますが、「アマレコTV4 Live」と「OBS Studio」など特定の使い慣れたソフトがあるユーザーも多いと思うので、サードパーティ製キャプチャソフト互換について簡単に確認しておきます。「AVerMedia Live Gamer Ultra」はUSB3.1 Gen1接続(USB3.0と同等)のUSB外付け機器型ビデオキャプチャとなっており、USB規格「USB Video Class」に対応しているのでWindows10 PCであればドライバ不要なプラグアンドプレイで使用できます。そのため他のビデオキャプチャでアマレコやOBSなどのビデオキャプチャソフトを既に使用している場合、映像ソースに関する簡単な初期設定のみで簡単に環境の再構築が可能です。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」のサードパーティー製のビデオキャプチャソフトとの互換性についてですが、国内でユーザー数が比較的多い「アマレコTV4 Live」と「OBS Studio」において、4K/60FPSを試してみたところ、この2つのソフトでは正常にプレビューと録画が可能でした。
使用するキャプチャソフトによらず、「RECentral 4」と同様に「アマレコTV4 Live」と「OBS Studio」でも接続機器はHDRに対応と表示されました。実際に「アマレコTV4 Live」と「OBS Studio」の2つで4K/60FPS/HDR映像ソースのキャプチャを試してみたところ、この2つのソフトでは正常にプレビューと録画(SDRとして)が可能でした。
アマレコTV4 Liveでは映像ソースのカラーフォーマットに「fcc=I420」と表記されているものを選択してください。なおアマレコTV4 Liveでは4K/30FPSが正常にプレビューできるフォーマットがありませんでした。また「アマレコTV4 Live」はビデオレンダラーの設定を自動のままにしておくとプレビューが暗転して正常に表示されない場合があるので、その時は「EVR」に固定してください。
AVerMedia RECentral 4の基本操作・設定について
AVerMediaからは純正のビデオキャプチャソフトとして「RECentral 4」というソフトウェアが配布されているので、「RECentral 4」について簡単に紹介しておきます。AVerMediaの純正ビデオキャプチャソフト「RECentral 4」についてはかなり詳細な日本語マニュアルが公開されています。「RECentral 4」の諸機能について記事中でも簡単に触れますが、録画・配信の詳しい内容についてはこのマニュアルを参照するのがおすすめです。
マニュアル:https://storage.avermedia.com/web_release_jp/RECentral4_UM.pdf
「RECentral 4」はAVerMediaの公式ページからダウンロードできます。
公式ページ:https://www.avermedia.co.jp/sp/RECentral/index.html
GC553サポート:https://www.avermedia.co.jp/product_swap/gc553_download.html
上の公式ダウンロードリンクからインストーラーをダウンロードしたらインストーラーを起動します。「RECentral 4」のインストーラーは日本語にも対応していました。ポチポチとクリックしていくだけなのでソフトウェアの導入は簡単です。
インストールが完了したらデスクトップに作成されるショートカットアイコンから「RECentral 4」を起動します。
「RECentral 4」のUIは画面左上に録画/ライブラリ/設定の基本タブ、その下にキャプチャモードとキャプチャデバイスの設定、画面中央から右にかけて上側にはプレビュー画面、その下に録画・配信の設定が配置されています。
「RECentral 4」のウィンドウ左上にある3分割された円形タブの歯車マークを選択すると、「RECentral 4」に関する基本的な設定ページが表示されます。設定ページでは言語設定、録画ファイルの保存先、ショートカットキー、TwitterやYoutubeなどSNSアカウント登録など基本的な各種設定が行えます。
「RECentral 4」の一般設定には映像の滑らかさや安定性を向上させる機能として「V-SYNC(垂直同期)」が用意されています。試してみたところ注意事項のように実際に遅延が増えたので、基本的にはOFFにしておいて、問題があれば試してみるというスタンスでいいと思います。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」の公式ページのFAQでは次のように記載されており、垂直同期は遅延が30msから70ms程度増える代わりに、テアリングを抑制することができるようです。
Q: The video shown in RECentral 4 preview window will have drop frame with screen tearing, how to fix this situation?
A: On some platforms the video preview might not be so smooth. In order to improve on video preview experience please enter RECentral 4/Settings/General and under Display Performance enable VSync. Note however that with this setting activated the latency will increase slightly (about 30 to 70 ms).
キャプチャデバイスから「AVerMedia Live Gamer Ultra」を選択すると、HDCPなどハードウェア設定、パフォーマンステスト、ファームウェアアップデートが行えます。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」はHDCP検出機能の設定が可能になっており、ONではパススルーでHDCPによって保護されたコンテンツを再生可能になり。OFFではiOSデバイスのアプリでコンテンツ保護されていない映像のキャプチャが可能になります。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」を接続している場合、「RECentral 4」上でUSB3.0接続の接続帯域に関するパフォーマンステストが可能です。
フルHD/120FPSや4K/30FPSなど高解像度・高フレームレートで録画を行うためにはUSB3.1 Gen1規格として高速かつ安定したUSB接続帯域が要求されます。おおよそ300Mbps程度の帯域が確保できていれば「AVerMedia Live Gamer Ultra」のフルスペックが発揮できるようです。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」のドライバとファームウェアについては7月現在、ドライバがver10.0.17134.1、ファームウェアはver0.2.1.7が最新で入手時のまま更新はありませんでした
AVerMedia RECentral 4の録画・配信について
「RECentral 4」を使用したプレイ動画の録画と配信について簡単に紹介します。前章でも書いたように「RECentral 4」を使用したプレイ動画の録画・配信の詳しい内容については、詳細な日本語マニュアルがAVerMedia Japanから公開されているので、わからないことがあればこちらを参照するのがおすすめです。
マニュアル:https://storage.avermedia.com/web_release_jp/RECentral4_UM.pdf
「RECentral 4」は純正ソフトウェアだけあって、細かい設定は不要で「AVerMedia Live Gamer Ultra」に接続したXbox One Xのホーム画面やゲーム画面が簡単に表示できました。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」はHDCPで保護されたコンテンツのプレビューおよび録画は非対応ですが、Xbox One Xではホーム画面とゲームについてはHDCP等の設定も特に必要ありませんでした。ただしPS4 Proの場合はホーム画面の表示にもHDCPによるコンテンツ保護が働くので、プレビュー画面を表示する場合は予めHDCPオフの設定をしておくか、パススルー表示経由で設定を変更する必要がありました。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」は4K解像度/60FPSのビデオ表示に対応しており、さらに同じくUSB接続で下位モデルの「Live Gamer EXTREME 2 PLUS GC550」では非対応だったHDRにも対応しています。PS4 ProとXbox One Xで4K/60FPS/HDRの映像ソースからフルHD/60FPSなどの低解像度にダウンコンバートしてプレビュー表示や録画も正常動作が確認できました。
なお「AVerMedia Live Gamer Ultra」にPCを接続する場合、PC側ビデオ出力の規定のカラー設定で、出力カラーフォーマットがRGBではなくYCrCb、また出力ダイナミックレンジがフルではなく限定になっているかもしれません。そのままゲームを起動するとゲームによっては不具合が発生する可能性があるので、「AVerMedia Live Gamer Ultra」にPCを接続する場合は、「カラーフォーマット:RGB」と「ダイナミックレンジ:フル」になっていることを確認してください。NVIDIA製GPUの場合はNVコンパネから下のように設定できます。
「RECentral 4」のキャプチャモードは、上のように単純に接続されているビデオキャプチャへのビデオ入力のみを表示する「シングルモード」と、解像度で指定されるキャンパス上にビデオキャプチャの映像やWebカメラの映像やロゴ画像など各種ソースを自由に配置できる「マルチモード」の2種類が用意されています。
マルチモードではビデオキャプチャへのビデオ入力を全体に大きく表示しながら、その上に任意のサイズおよび任意の位置で、Webカメラの映像やロゴ画像などをオーバーレイ表示することができます。ビデオキャプチャへのビデオ入力のサイズや位置も自由に設定できます。
マルチモードを選択すると「シーン」と「ソース」の2つの設定項目が表示されます。シーンとは『複数ソースのレイアウト』のことで、シーン1は映像だけ、シーン2には映像とウェブカメラのように設定しておくと、録画・配信中にシーンをリアルタイムで切り替えたりできます。
ソースの+アイコンを選択すると、選択中のシーンにキャプチャやウェブカメラの映像、画像、テキスト等を追加することができます。またソースに一覧表示される中から1つを選んだ状態で、ペンの絵柄のアイコンを選択するとそのソースに関する詳細設定ウィンドウが表示されます。
下は「AVerMedia Live Gamer Ultra」の映像ソースに関する設定項目です。サイズ、位置、角度、透明度、スムージングやホワイトニングのフィルター等、設定可能な内容は非常に豊富です。
「RECentral 4」の録画や配信に関する設定はプレビュー画面の下側に配置され、左端上部のタブを切り替えることで「録画モード」、「ストリーミングモード」、そして複数サイトへの同時ライブ配信が可能な「マルチストリーミングモード」の3つのモードを切り替えることができます。右下の録画・配信ボタンの下にあるカメラボタンを押すとスクリーンショットが撮影できます。スクリーンショットのフォーマットはPNGでした。
録画・配信設定で赤丸アイコンのタブを選択すると録画モードになります。録画品質のプルダウンメニューからはプリセットやカスタム設定が選択できます。「AVerMedia Live Gamer Ultra」では「標準」、「良い」、「最高」の3つのプリセット(内容は入力の解像度で変化する)があり、4K解像度/60FPS(59.94FPS)のビデオ入力時に各プリセットの設定は次のようになっていました。
- 最高:3840x2160、30.00FPS、映像ビットレート150Mbps,H.264設定 High、音声ビットレート256kbps
- 良い:2560x1440、60.00FPS、映像ビットレート110Mbps,H.264設定 High、音声ビットレート192kbps
- 標準:1920x1080、59.94FPS、映像ビットレート60Mbps、H.264設定 High、音声ビットレート128kbps
録画品質プルダウンメニューの右隣の+ボタンを選択すると録画品質のカスタム設定が行えます。
コーデック(エンコーダ)からはNVIDIAやAMDのGPUハードウェアエンコーダを使用する「NVIDIA/AMD」と、CPUを使用するソフトウェアエンコーダの「H.264」が選択できます。「H.264」はCPU負荷が非常に重いですが、GPUエンコードよりも画質が上がります。
映像ビットレートはMbps単位で自由に指定することができます。大きいほど画質が上がりますが、録画時間当たりの動画ファイルの容量も大きくなります。
録画フォーマットはH.264とHEVC(H.265)の2種類から選択できます。基本的にH.264でOKです。録画フォーマットがHEVC(H.265)の場合はエンコーダは「NVIDIA/AMD」に固定されます。
H.264/HEVC設定では録画フォーマットの品質が設定でき、H.264では高画質な順にHIGH、MAIN、BASELINEの3種類が選択できます。HEVC(HDR)ではMAIN(MAIN10)のみとなります。
解像度はプルダウンメニューから選択する形式になっており、4K(3840x2160)、WQHD(2560x1440)、フルHD(1920x1080)など主要なものはそろっています。変わり種としてウルトラワイドの2560x1080がありました。しかし3440x1440がないのが少し解せません。マルチモードではこの解像度がキャンパスサイズおよびアスペクト比になり、その上に映像や画像を自由に配置できます。
フレームレートは解像度に依存し、4K(3840x2160)では最大30FPS、WQHD(2560x1440)や2560x1080は最大60FPS、フルHD(1920x1080)では最大120FPSのハイフレームレートにも対応します。
録画・配信設定で左右に電波マークのある青丸アイコンのタブを選択すると配信(ストリーミング)モードになります。ライブ配信プラットフォームの右の+ボタンを選択するとYoutubeやTwitchなど主要なライブ配信サイトを登録でき、1度登録するとプルダウンメニューから選択できるようになります。「RECentral 4」ではライブ配信プラットフォームとして、「Twitch」「USTREAM」「YouTube」「ニコニコ動画」「Smashcast」「Facebook」「mixer」「DOUYU.COM」など大手のライブ配信サイトに加えて、独自サーバーを使用する「RTMP」が使用できます。
品質からは録画同様に配信品質が設定できます。またリアルタイム配信を行いながら録画も同時に行う自動録画機能もあり、HD解像度で配信しながらフルHDで録画するといった異なる解像度での録画も可能です。
「RECentral 4」のリリース当初はライブ配信可能なサービスは1つだけでしたが、18年7月以降の「RECentral 4」最新バージョンではマルチ配信モードも実装され、YoutubeとTwitchとニコニコ動画など複数のライブ配信サービスに同時で配信が可能になっています。
AVerMedia Live Gamer Ultraで4K/60FPS/HDR表示のゲームをフルHD/60FPSで録画してみる
「AVerMedia Live Gamer Ultra」を使用して4K/60FPS/HDRの映像ソースの録画を試してみます。なお「AVerMedia Live Gamer Ultra」はH.265(HEVC)コーデックによってHDR映像ソースを最大でフルHD/60FPSの大きさでHDR対応動画として保存できますが、H.265(HEVC)コーデックのHDR動画については再生や編集可能なソフトや環境が限られるので、今回は『4K/60FPS/HDRの映像ソースをパススルーによって遅延なく表示しながら、フルHD/60FPSのSDR動画として録画する』という、「AVerMedia Live Gamer Ultra」の導入を検討しているユーザーにとっておそらく最も需要が高いであろうケースについて検証します。
動作検証の主な映像ソースにはコンシューマーゲーム機「Xbox One X」でネイティブ4Kかつ60FPSでHDR対応が売りになっている超高画質レーシングゲーム「Forza Motorsport 7」を使用します。
まずは上で紹介した「エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m DH-HDP14ES20BK」を2本使用して、「AVerMedia Live Gamer Ultra」のパススルー経由でモニタへ4K/60FPS/HDRの表示を行いました。Xbox One Xからモニタまでケーブル長は計4.0mですが4K/60FPS/HDRで問題なく表示ができました。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」で「RECentral 4」を使用している場合、録画モードにおいて録画ボタンの左上にある「HDR」ボタンの状態を確認することで、出力機器からHDR映像が出ているかが確認できます。SDR映像の場合はHDRボタンが左写真のように暗転し、HDR映像の場合は中写真のように白く点灯し、HDR映像かつHDR録画モードでは右写真のようにオレンジ色に点灯します。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」に対してHDR映像ソースが入力された場合の映像データの取り扱いについては、「RECentral 4」のHDR録画モードの仕組みやサードパーティー製キャプチャソフトとの互換性から推測するに、どうやらハードウェアレベルでHDR映像をSDR映像にダウンコンバートしているようです。このSDRダウンコンバートは「AVerMedia Live Gamer Ultra」へHDR映像が入力された場合の既定の動作となっており、「RECentral 4」でHDR録画モードを有効にした場合のみ例外的にHDR映像としてそのまま映像ソースを取り込んでいるものと思われます。
4K/60FPS/HDRのパススルー表示&ネイティブ録画に対応したPCIE拡張カード型の上位モデル「AVerMedia Live Gamer Ultra」についてもHDR映像ソースの取り扱いは同じだと思います。
HDR映像をSDR映像にダウンコンバートする場合に画質の劣化があるのか気になるところなので、PS4 Proのアンチャーテッド4を使用して(時間経過による変化がないので比較写真が撮りやすい)、HDR映像ソースとSDR映像ソースを比較してみます。(見た感じ同じ傾向だったので若干手抜きでLG4Kの比較を使い回し)
まずはプレビュー画面でHDR映像ソース(左)とSDR映像ソース(右)を比較してみました。シーンにもよると思いますが、HDRの広い輝度域をSDRに圧縮しているので、基本的に明るいシーンは暗く(明る過ぎるとクリップされる)、暗いシーンは明るくなり、加えて若干彩度が落ちる印象です。とはいえ色調に破綻があるわけでもないので違和感なく見られる絵になっていると思います。
録画の代わりに簡単のためスクリーンショットを比較してみました。当然かもしれませんが、プレビュー画面と同じ傾向です。SDR映像ソースについてですが、管理人が見た感想として「AVerMedia Live Gamer Ultra」で取り込んだSDR映像ソースはパススルー表示のネイティブなものと比較しても、全体的に暗めなのと、好みにもよりますが彩度が若干強めに感じました。
HDR映像ソースに対するSDRダウンコンバートで発症する問題の一例として確認できたものでは、画面の広範囲に渡って大きくグラデーションが表示された場合にカラーバンディング(帯)が出ました。大きく損なわれるわけではないものの、「高画質でプレイ」と「高画質で録画」の両者は若干トレードオフになるようです。
あと上位モデルの「AVerMedia Live Gamer 4K」ではSDR映像ソースとHDR映像ソースによらず、キャプチャデバイスの設定から明るさやコントラストなどのカラー設定が可能だったので、標準設定で違和感を感じたり、見辛かったりする場合は各自で調整できたのですが、「AVerMedia Live Gamer Ultra」(RECentral ver4.20.28)ではカラー設定が用意されていませんでした。ハード的に対応していないのか、ソフトがまだ対応できていないだけなのかわかりませんが、今のところ「AVerMedia Live Gamer Ultra」では個別のカラー設定は行えないので注意してください。
前置きが長くなりましたが、上で紹介した検証機材を録画マシンとして、「AVerMedia Live Gamer Ultra」のパススルーとプレビューをマルチモニタで同時に表示しながら録画してみました。
表示遅延については後ほど検証結果を詳しく紹介しますが、「RECentral 4」で「AVerMedia Live Gamer Ultra」の4K/60FPS/HDR映像ソースをフルHD/60FPSにダウンスケールしてプレビュー表示しても遅延は小さいので、Forza Motorsport 7についてはプレビュー表示でも違和感なくプレイできました。
今回は4K/60FPS/HDRの映像ソースからフルHD/60FPSのSDR動画を録画するので、録画品質には標準プリセット(1920x1080、59.94FPS、映像ビットレート60Mbps、H.264設定 High)を使用して録画してみました。エンコーダには2万円以下で購入可能なエントリー向けGPUのNVIDIA GeForce GTX 1050 Tiを使用していますが、フルHD/60FPS程度であれば安定して録画できています。
エンコーダにCPUソフトウェアエンコードを使用してみたところ、フルHD/60FPSの録画については4コア8スレッドのIntel Core i7 7700Tでも目立ったフレーム落ちもなく滑らかな動画を録画することができました。
なおコーデック(エンコーダ)以外の設定を揃えて録画してみたところ、ビットレートを60Mbpsに設定していても、GPUエンコードで録画した動画のビットレートがほぼ60Mbpsであるのに対して、CPUエンコードで録画した動画は50Mbps程度となりました。ビットレートを73Mbpsに設定するとCPUエンコードでも動画のビットレートは60Mbps程度になりました。
上のエンコーダによるビットレートの違いを踏まえて、エンコーダにGTX 1050 Ti、Core i7 7700T(4コア8スレッド、全コア3.7GHz)、Core i7 8086K(6コア12スレッド、全コア4.3GHz)、Ryzen 7 2700X(8コア16スレッド、全コア3.7~4.0GHz)を使用して、録画される動画のビットレートが60Mbps程度になるよう設定して、Project Cars2のリプレイを使用して同一シーンの録画を行ってみました。
GPUであれば2万円以下のエントリー向けGPUであるGTX 1050 Tiなど、CPUであれば4コア8スレッドのCore i7 7700Tくらいのエンコード性能があれば、「AVerMedia Live Gamer Ultra」を使用して4K/60FPSの映像ソースからフルHD/60FPSにダウンスケールして滑らかなプレイ動画を録画できそうです。
またCPUエンコード中のCPU使用率を確認してみたところ、「RECentral 4」において「AVerMedia Live Gamer Ultra」の4K/60FPS映像ソースに対する標準プリセット(1920x1080、59.94FPS、映像ビットレート60Mbps,H.264設定 High)の設定でCore i7 7700K、Core i7 8086K、Ryzen 7 2700Xによるソフトウェアエンコードを行っても、CPU使用率は20~40%程度までしか上がりませんでした。CPU使用率が上がり過ぎないようにRECentral 4では制御されているようなので、ウェブカメラなど映像ソースが増えても余裕で対応できそうです。OBSでエンコーダにx264を使用した時のCPU使用プリセットでいうところのSuperFastかUltraFastくらいの設定が「RECentral 4」では使用されているようです。
ただしCPU使用率的には4コア8スレッドのCore i7 7700K/7700Tでも余裕があるのですが、実際に録画を行ってみると、コアスレッド数/動作クロックが小さくなるにつれて、プレビュー画面でフレーム飛びが発生したり(録画ファイルは正常)、RECentralの操作レスポンスが悪くなったりしたので、フルHD/60FPSのプレイ動画を快適に録画・配信することを目指すのであれば6コア12スレッドのCore i7 8700や8コア16スレッドのRyzen 7 2700がおすすめだと思います。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」は4K/60FPS/HDRの映像ソースからフルHD/60FPSのプレイ動画を作成できるのでPS4 ProやXbox One Xを繋いで使用するユーザーも多いと思いますが、加えてフルHD/240FPSのパススルー&フルHD/60FPS録画にも対応しているので、PUBGやCSGOなど100FPSオーバーで最大240FPSに及ぶハイフレームレートで勝ちを狙うPCゲーマーにも対応できるビデオキャプチャとなっています。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」と組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するのであれば、ASRock Deskmini GTX 1060ベアボーン採用BTO PCの「G-GEAR alpha」や「GALLERIA Mini 1060」がおすすめです。サイズはコンパクトなのでサブ機としてもあまり余分にスペースを占有せず、GPUにはGTX 1060を搭載しておりフルHD/60FPSのGPUエンコードにも余裕で対応できて、CPUには最大で「G-GEAR alpha」ならCore i7 8700、「GALLERIA Mini 1060」ならCore i7 7700を選択可能、2基の2.5インチSATA SSDと3基のM.2 SSDを搭載可能なのでストレージ拡張性も十分です。ASRock Deskmini GTXシリーズについてはレビューも公開しているので参考にしてみてください。
TSUKUMO eX.computerから発売されている「G-GEAR alpha」は6コア12スレッドのCore i7 8700などIntel第8世代CoffeeLake-S CPUに対応しているので特におすすめです。
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以下、「AVerMedia Live Gamer 4K」による検証結果を転用しますが、エンコーダにNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiを使用したGPUエンコードとIntel Core i9 7980XE(全コア4.4GHz)を使用したCPUソフトウェアエンコードについて、いくつか比較してみたのでその結果を紹介します。
録画してできた動画のビットレートが150Mbps程度で揃うように設定して、GPUエンコードとCPUエンコードで動画を作成してみました。一般にはGPUハードウェアエンコードよりもCPUソフトウェアエンコードのほうが高画質と言われますが、動画のビットレートを揃えて比較してみた限りにおいては両者の間に大きな差は感じられませんでした。GTX 1060でも4K/60FPSの録画には対応できるようなので、GPUエンコードのほうがコスパは高そうです。
上のようにGPUハードウェアエンコードとCPUによるソフトウェアエンコードの間に基本的には大きな差はありませんが、NVENCについては特定の条件下でノイズが発生する可能性があるようです。CPUパワーがかなり要求されるので4K/60FPSに対応しようと思うと10コア以上のCPUが要求されるためコストパフォーマンスではGPUエンコードに劣りますが、画質の面で万全を期すのであればCPUによるソフトウェアエンコードのほうがいいかもしれません。
AVerMedia Live Gamer UltraでフルHD/240FPSのPCゲームをフルHD/60FPSで録画してみる
PUBGやCS:GOなどオンライン対戦FPSやLeague of LegendsなどMOBAで、1,2フレームを争って勝ちを狙うガチゲーマーの大きな武器となる240Hzリフレッシュレート/240フレームレートをパススルーでそのまま表示しながら、フルHD/60FPSのプレイ動画の録画を試してみました。「AVerMedia Live Gamer Ultra」のパススルーはフルHD/240FPSの映像ソースに対応しています。パススルーで映像ソースをモニタに遅延なく表示しながら、最大でフルHD/120FPSでプレビュー表示と録画が可能です。
純正ソフトRECentral 4だけでなく、アマレコやOBSでもフルHD/240FPSの映像ソースを60FPSでプレビュー&録画が可能でした。
エンコーダにGTX 1050 Tiを使用することでフルHD/240FPSの映像ソースからフルHD/60FPSのプレイ動画を作成することができました。60FPS映像ソースからの録画に比べると若干カクつきを感じますが、プレイ動画の録画配信には十分なレベルです。
またエンコーダにGTX 1050 Tiを使用することでフルHD/240FPSの映像ソースからフルHD/120FPSのプレイ動画を作成することもできました。この動画については「Media Player Classic - Homecinema」を使用することでスローモーションにならず120FPS動画として再生できました。
AVerMedia Live Gamer Ultraの表示遅延について
最後に「AVerMedia Live Gamer Ultra」を使用する上で気になっているユーザーも多いであろう、パススルーやプレビューの表示遅延について検証してみました。ビデオキャプチャの表示遅延を測定する具体的な方法としては、キー押下時にそのキーのLEDが点灯するキーボードを使用して、LEDの点灯から画面表示への反映までの間隔を遅延時間として測定します。画面表示の確認については簡単に検索テキストボックスを使用しています。この様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、遅延フレーム数を数えて遅延時間を算出します。
なおキー入力でテキストボックスの変化を確認する方法は画面変化が小さいですが、実際のゲーム中など画面変化が大きい場合の表示遅延と比較しても遅延時間には基本的に大差がないようなので、簡単のため上の手順を採用しています
「AVerMedia Live Gamer Ultra」の比較対象として、4K/60FPS/HDRのネイティブ録画にも対応するPCIE拡張ボード型の上位モデル「AVerMedia Live Gamer 4K」、4K/60FPS対応(HDRは非対応)の製品として昨年後半に先行して発売されたPCIE拡張ボード型ビデオキャプチャ「Elgato Game Capture 4K60 Pro」、フルHD/60FPS対応製品としては長らく定番となっているUSB3.0接続外付け機器型ビデオキャプチャ「MonsterX U3.0R」でも同様に測定を行いました。
上の手順で測定した非常遅延の生のデータを比較すると次のようになっています。なお「AVerMedia Live Gamer Ultra」については4K/60FPSからフルHD/60FPSにダウンスケールしてプレビュー表示した場合の遅延について測定を行っています。
Xbox One Xから直接HDMIケーブルでモニタに接続した場合の表示遅延が66msに対して、「AVerMedia Live Gamer Ultra」のパススルー経由の表示は72ms程度、4K/60FPS/HDR映像ソースをフルHD/60FPSにダウンスケールした場合のプレビュー表示についてはビデオキャプチャソフトにもよりますが、概ね120ms前後でした。フルHDをネイティブにプレビュー&録画する「MonsterX U3.0R」とほぼ同等の遅延で、「AVerMedia Live Gamer Ultra」は4K/60FPS/HDR映像ソースからフルHD/60FPSのプレビュー表示が可能になっています。
ネイティブからの差分で各表示遅延を比較すると次のようになります。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」のパススルー表示は7ms程度なので60FPSベースでネイティブ接続に比べて0.5フレーム程度遅延があるようです。パススルーの遅延については測定誤差だった可能性もありますが、キャプチャのパススルーには信号を強化復元するリピーター回路等が入っているのかもしれません。
フルHD/60FPSのプレビュー表示では純正ソフトのRECentralをはじめとして国内でもユーザーの多いOBSやアマレコでも、遅延時間が50msなので3,4フレーム程度の遅延が発生します。モニタの表示遅延が加わっても100ms程度のプレビュー表示遅延なので、プレビュー表示のままでもそこそこプレイできそうです。
AVerMedia Live Gamer Ultra レビューまとめ
最後に4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSのパススルー表示に対応したUSB外付け機器型ビデオキャプチャ「AVerMedia Live Gamer Ultra(型番:GC553)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ほぼ無遅延なパススルーで4K/60FPS/HDRやFHD/240FPSの表示が可能
PlayStation 4 ProやXbox One Xの4K/60FPS/HDR映像ソースに対応
ゲーミングPCによるフルHD/240FPSなど高フレームレートな映像にも対応 - 高解像度・高フレームレート映像をフルHD/60FPSにダウンスケールして録画可能
- 純正ソフト「AVerMedia RECentral 4」は導入から録画までが簡単で多機能
- HDR映像ソースはSDRにダウンコンバートする仕様になっている?ので、
パススルーでHDRの映像を表示しながら、SDRとして録画が可能 - 純正ソフト「AVerMedia RECentral 4」はH265/HEVCでフルHD/60FPS/HDR動画の録画が可能
- USB Video Class対応なのでドライバ不要なプラグアンドプレイで使用可能
- サード製ソフトの「アマレコTV4 Live」と「OBS Studio」でも録画が可能
- 4K映像ソースのフルHDダウンスケールならプレビュー表示遅延はフルHDキャプチャと同等
- 冷却ファン内蔵でファンノイズが若干耳障り
- RECentral 4(ver4.20.28)では映像ソースのカラー調整に非対応
- 製品本体価格3.0万円とフルHD録画対応ビデオキャプチャとしてはやや高価
主従逆転するようですが、「AVerMedia Live Gamer Ultra」は”4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSのパススルーが可能”なビデオキャプチャであるというところが最大の魅力だと思います。4Kのような高解像度や100FPSオーバーのハイフレームレートは録画性能としては必要ないけど、パススルーで表示しながらフルHD/60FPSで録画をしたいというユーザーの要望に見事に応えた製品です。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」はUSB Video Class対応なUSB外付け機器型ビデオキャプチャなので、ドライバ不要なプラグアンドプレイで使用可能となっており、国内ユーザーも多く今回のレビューで動作確認をしたアマレコやOBSなどで同社・他社製ビデオキャプチャによる録画・配信環境をすでに構築済みであれば、表示に関する簡単な初期設定だけですぐにアップグレード可能な手軽さも魅力です。
ゲーミングPCではNVIDIA Shadow PlayやAMD ReLiveなどGPUエンコーダを使用した動作の軽い録画配信機能があるので、PCゲーマー向けにはハードウェアビデオキャプチャは不要なのでは?と思われるかもしれません。しかしながらPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSなどハイフレームレートが勝ちを狙う上で大きなアドバンテージになるゲームが増えてきた昨今では、最高のプレイ環境を実現するためプレイ機と録画配信機を分業させるというのは当然の帰結であり、ハイフレームレートのアドバンテージを最大限維持したままプレイ動画の録画や配信を行いたいという競技ゲーマーの要望に応えて「AVerMedia Live Gamer Ultra」をリリースした点については、AVerMediaも非常にいいところに目を付けたな、というのが正直な感想です。
録画解像度で見ると一般的なフルHD/60FPSビデオキャプチャよりも1万円程高価ですが、4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSに対応できるハイクラスなプレイ環境を構築しているユーザーからは、パススルー表示の性能を考えれば必要経費として妥当な価格と評価されるのではないかと思います。
HDR映像ソースについては規定動作ではSDRにダウンコンバートする仕様になっている?ようなので、 パススルーで4K/60FPS/HDRの映像を表示しながら、SDRとしてフルHD/60FPSの録画が可能です。ソフトウェアがキャプチャデバイスから受け取る映像も普通のSDRなので、アマレコやOBSなどサードパーティ製ソフトウェアにも問題なく対応しています。
「AVerMedia Live Gamer Ultra」を購入するユーザーの多くが使用するであろうフルHD・60FPSへダウンスケールした時のプレビュー表示の表示遅延については、現在主流なフルHD/60FPSパススルー&録画対応製品と同等となる50ms程度(60FPSベースで3,4フレーム程度)なので、レーシングゲームやRPGなどは違和感なくプレイできると思います。ネイティブ接続に対して数msしか表示遅延の発生しないパススルー表示にも対応しているので、FPSや格闘ゲームなどにも対応できます。
検証してみて感じた欠点としては、冷却ファン内蔵であることがまず気になり、とりわけPCの電源OFFやスリープ状態でもファンが動作するところは明確にデメリットだと感じました。USB外付け機器型ビデオキャプチャということで軽量化を重視したのかもしれませんが、個人的にはアルミニウム外装をヒートシンクとしたパッシブ冷却構造を採用して欲しかったです。
あとハード的に非対応なのか、ソフトウェアがまだ対応していないだけなのかわかりませんが、上位モデルの「AVerMedia Live Gamer 4K」では使用できる機能として、映像ソースの明るさや色調に関する設定が、「AVerMedia Live Gamer Ultra」では行えないところは気になりました。
AVerMediaの純正ソフトウェア「RECentral」については過去に聞いた前情報ではあまり良い話を聞かなかったのですが、2017年後半にバージョン4の「RECentral 4」にアップデートされたからか、今回「AVerMedia Live Gamer 4K/Ultra」の検証で初めて実際に触ってみて非常に好感触でした。UIはシンプルでわかりやすく、デバイスや録画など詳細な設定も可能なので、キャプチャソフトに何を使えばいいかわからないところから始めて、かなり凝ったプレイ動画を作成するところまでたどり着いても十分通用するソフトウェアだと思います。
4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSなど高画質&高速な最高の環境でのプレイを妥協せず、プラグアンドプレイで手軽に快適な録画・配信環境を構築できるUSB外付け機器型ビデオキャプチャ「AVerMedia Live Gamer Ultra」はおすすめなビデオキャプチャです。
以上、4K/60FPS/HDR対応ビデオキャプチャ「AVerMedia Live Gamer Ultra」のレビューでした。
「AVerMedia Live Gamer 4K」の詳細レビューも公開中です。
・4K/60FPS/HDRのパススルー&録画対応「AVerMedia Live Gamer 4K」をレビュー
AVerMedia Live Gamer Ultra (GC553)
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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