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ハイパフォーマンスなファン性能はそのままに、Noctuaのイメージカラーとして根強いベージュ&ブラウンのカラーリングから脱却してブラックを基調に6色のアクセサリパーツでデコレーションが可能になった150mm径ラウンドフレーム冷却ファン「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」のサンプル機を国内正規代理店Techace様よりご提供いただけたのでレビューしていきます。冷却性能の検証では「Thermalright Silver Arrow TR4」に装着してPrecision Boost OverdriveによってOCした「AMD Ryzen Threadripper 2950X」の冷却を実演してみます。
国内正規代理店Techace:https://techace.jp/product_info.php/cPath/1_74_86/products_id/3096
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nf-a15-hs-pwm-chromax-black-swap
chromaxシリーズ:https://noctua.at/en/products/product-lines/line-chromax
Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swapについて
「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」の外観や仕様についてチェックしていきます。「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」のパッケージを開くと黒色のプラスチック製スペーサーにファン本体とラバーパッドの各種カラーが収められていました。スペーサーの下には紙製の小分けパッケージがあり、その中に残りのスペーサーが入っています。
「Noctua NF-A15 PWM」ではラバーブッシュやPWM分岐ケーブルや低ノイズケーブルなどファン機能に関するアクセサリが多数付属しましたが、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」は全6色のラバーパッドと黒色のPWMケーブルとテーパーネジのみというシンプルな構成になっています。
「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」は150mm径のラウンドフレームを採用した定格1500RPMの大型冷却ファンで、PWM速度調整対応により300~1500RPMの範囲内で速度調整が可能です。ファンの外寸は横150mm、縦140mmと独特なラウンドフレームです。0時と6時部分のフレームが薄くなって、空冷CPUクーラーに装着した時にヒートシンク付きメモリとの干渉回避の配慮が加えられています。ネジ穴は120mmサイズの汎用ケースファンと同じ位置に配置されていました。
色に違いがあったほうがわかりやすいので比較には標準モデルのNoctua NF-A15 PWMを使っていますが、下写真のように汎用の140mmファンとNoctua NF-A15のフレーム内側面積を比較してみると、140mmファンよりも若干広くなっていることがわかります。
Noctua製ファンというとベージュのファンフレームとブラウンのファンブレードのカラーリングが代表的で、『これぞNoctua!』という肯定的な意見もあれば、『ダサい、きたない』といった否定的な意見もある賛否両論なデザインでしたが、Noctuaが新たに投入したchromaxシリーズは従来機種と同じ仕様・性能のまま、万人受けしやすいブラックカラーで統一されています。
軸受けは従来機種でも採用されているNoctua第2世代「SSO2ベアリング」が使用され、MTBF150,000時間という長大な製品寿命、製品保証期間も6年間が確保されています。冷却ファンの軸を支えるフレームは細身の曲線になっておりエアフローを妨げない形状です。
「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」には乱流の発生により静音化を向上させるファンブレードに刻み込まれた溝構造「Flow Acceleration Channels」が採用されています。またファンフレーム内側の吸気面側の角を階段状のすり鉢形にする「Stepped Inlet Design」構造によって大風量の実現や、エア流れを最適化し静圧の改善やノイズの低減に寄与するそうです。
ファンフレームの四隅には着脱可能な防振ラバーパッドを装着が可能なので、冷却ファンの振動によるCPUクーラーヒートシンクやPCケースとの共振の発生が抑制されます。
防振ラバーパッドはファンフレームと同色のブラックだけでなく、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、ホワイトの計6色が8個ずつ付属するのでお好みのカラーにデコレーションできます。
なお「NH-D15」や「NH-D15S」の冷却ファンを「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」に換装する場合は問題ないのですが、「NH-U14S」や「NH-U14S TR4-SP3」のヒートシンク後方に増設する2基目のファンについてはファン高速回転時のファンノイズを抑制するため厚手のラバーパッドの仕様が推奨されているのですが、chromaxシリーズのカラフルなラバーパッドには厚手のものがないので注意してください。
ベージュ&ブラウンのカラーリングな「Noctua NF-A15 PWM」を標準で搭載する「Noctua NH-U14S TR4-SP3」に「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」を装着すると、万人受けするシンプルなデザインに一変します。
「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」は15mm径のラウンドフレーム冷却ファンという独特な形状ですが、他社製のRyzen Threadripper専用空冷CPUクーラー「Thermalright Silver Arrow TR4」もほぼ同じ形状のファンを採用しており、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」は問題なく装着できました。
「Thermalright Silver Arrow TR4」の標準ファンには防振ラバーパッド等はなく、ラバーシールをヒートシンクに貼って防振対策とするという少々モヤっとする構造でしたが、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」ならファンに防振ラバーパッドがあるのでそんなモヤモヤも解消されます。
Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swapの検証機材
「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」の検証機材は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen Threadripper 2950X 16コア32スレッド (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill FLARE X for AMD RYZEN TR F4-3200C14Q-32GFX DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUクーラー | Thermalright Silver Arrow TR4 (レビュー) |
マザーボード |
ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming(レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripper&X399のようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swapの冷却性能
さて本題となる「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」をThermalright Silver Arrow TR4に組み込んだ場合に、「AMD Ryzen Threadripper 2950X」のPrecision Boost Overdriveによるオーバークロックがどの程度運用できるか検証してみます。まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」のファンノイズをチェックしてみました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
Thermalright Silver Arrow TR4に「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」と標準ファンの「Thermalright TY-143」をそれぞれ装着してみた場合のファンノイズの騒音値はファン回転数別で次のようになっています。
「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」は標準ファンを装着した場合と比較して100RPM分程度ファンノイズが大きくなるようです。原因としては「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」自体がノイズ源になっているのではなく、ラバーパッドの厚み分だけ標準ファン装着時よりも前方のヒートシンク放熱フィンにファンが近寄るため、ファン回転数が大きくなると放熱フィンの風切り音が大きくなるようです。
Thermalright Silver Arrow TR4で使用した場合は標準ファンよりも若干ノイズレベルが上がりますが、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」の最大回転数でもファンノイズのノイズレベルは43dB程度なので十分に静音動作が期待できます。
続いて16コア32スレッドCPU「AMD Ryzen Threadripper 2950X」でPrecision Boost Overdriveを有効化し、『PPT = 400W、TDC(EDC) = 300A』に設定して冷却性能を検証してみました。メモリについてはG.Skill FLARE X F4-3200C14Q-32GFXのOCプロファイルでメモリ周波数3200MHz&メモリタイミング14-14-14-34-CR1にしています。
AMD Ryzen Threadripper 2990WXにこのOC設定を適用してCinebenchを回すと、CinebenchではCPUに負荷がかかる時間が十分に短いので、4.1GHz前後で動作してベンチマークスコアは3500程度となります。
続いてCPUに負荷をかけて冷却性能を検証しますが、検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen Threadripper 2950Xの場合8分ほどなので同じ動画で3つ平行して2周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Thermalright Silver Arrow TR4の標準ファン「Thermalright TY-143」は定格(最大)ファン回転数が2500RPMとなっており、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」に換装した場合、最大ファン回転数は1500RPMに下がってしまいますが、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」のファン回転数を1200RPMに固定した状態で、PBOを有効にしたRyzen Threadripper 2950Xに長時間の負荷をかけ続けても、全コアの動作周波数は定格を上回る実動平均3.8GHzで安定しました。
Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swapのレビューまとめ
最後に万人受けするブラックを基調にカラフルなデコレーションにも対応した150mm径ラウンドフレーム冷却ファン「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 万人受けするブラックを基調にしたカラーリング
- 防振ラバーパッドやケーブルなど全6色のアクセサリでデコレーションが可能
- 300~1500RPMのPWM速度制御に対応した150mm径ラウンドフレームファン
- 120mm角ケースファン互換のネジ穴
- ファンフレームのラバーパッドや固定用ブッシュなど防振対策も豊富
- MTTF(平均故障時間)15万時間以上の高耐久性
- メーカー保証期間は6年間
- ファン1基あたり5000円ほどと高価
Noctua製の空冷CPUクーラーは自作PC界隈でも屈指の性能を誇る一方、Noctuaを代表するベージュ&ブラウンのカラーリングの冷却ファンはかなりユニークなので総じて人を選ぶデザインになっているところで躊躇してしまう人も少なくありませんでした。しかしながら、余分に予算はかかるものの「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」などchromaxシリーズの冷却ファンに換装すれば、万人受けするブラックのカラーリングでまとめることができるのでNoctua製空冷CPUクーラーの間口はかなり広がると思います。
ラバーパッドや延長ケーブルなどアクセサリパーツによる多彩なデコレーションにも対応しているので、空冷CPUクーラーで自作PCをオシャレかつハイパフォーマンスにアップグレードしたいのであれば「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」などchromaxシリーズ冷却ファンは検討してみてもいい製品だと思います。
以上、「Noctua NF-A15 HS-PWM chromax.black.swap」のレビューでした。
Noctua NH-U14S TR4-SP3 (Ryzen Threadripper対応)
Noctua
<TSUKUMO:U14S/U12S/U9><PCワンズ>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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