Samsung Portable SSD X5 1TB


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現在普及の兆しを見せるUSB3.1 Gen2の10Gbpsの4倍となる40Gbpsの超高速帯域による通信を実現するThunderbolt 3接続に対応で、かつバスパワー駆動し、記憶領域には32GbpsのPCI-E3.0x4帯域によるアクセスが可能なNVMe SSDを採用する爆速外付けモバイルストレージ「Samsung Portable SSD X5 1TB(型番:MU-PB1T0B/IT)」のサンプル機をメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。連続読み出し2800MB/s、連続書き込み2300MB/sの超高速アクセススピードによって大容量データの持ち出しを変える、 次世代規格USB3.1 Gen2のさらに次をいくThunderbolt 3接続の最新外付けストレージを徹底検証します。
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国内代理店公式ページ:https://www.itgm.co.jp/product/portable-ssd-x5.php
製品公式ページ:https://www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp/portable/x5/

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Samsung Portable SSD X5 1TB レビュー目次


1.Samsung Portable SSD X5 1TBについて
2.Samsung Portable SSD X5 1TBの外観・付属品
3.Samsung Portable SSD X5 1TBの検証機材や動作環境について
4.Samsung Portable SSD X5 1TBの性能について

5.Samsung Portable SSD X5 1TBのレビューまとめ

付録:NVMe-Thunderbolt3変換によるボトルネックについて



Samsung Portable SSD X5について

「Samsung Portable SSD X5」シリーズは同社製の最新NVMe M.2 SSDを内蔵したThunderbolt3接続のモバイルストレージです。「Samsung Portable SSD X5」は容量別で500GB/1TB/2TBの3モデルがラインナップされています。販売価格は税込みで6.1万円、10.5万円、21.0万円ほどとなっており大容量上位モデルの価格は非常に高価ですが、500GBあたり5万円ほどなのでTB3ストレージとしては普及帯な価格になっています。

「Samsung Portable SSD X5」シリーズは内蔵されたNVMe(PCI-E3.0x4)接続M.2 SSDをさらに広帯域な40GbpsのThunderbolt3接続に変換してPCと接続するので、アクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出2800MB/s、シーケンシャル書込2300MB/sの高速アクセスを実現しています。メーカーによる製品保証期間は3年間です。
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Samsung Portable SSD X5 スペック
容量 500GB
(型番:MU-PB500B/IT)
1TB
(型番:MU-PB1T0B/IT)
2TB
(型番: MU-PB2T0B/IT)
インターフェース
Thunderbolt 3
(USB3.1等USB接続には非対応)
外形寸法
縦119mm x 横62mm x 高さ19.7mm
重量
最大150g
連続読出 2800MB/s
連続書込 2100MB/s 2300MB/s
動作温度範囲 動作時: 0℃~60℃ 、非動作時: -40℃~85℃
MTBF 150万時間
保証期間 メーカー3年



Samsung Portable SSD X5 1TBの外観

まずは「Samsung Portable SSD X5 1TB」の外観について紹介していきます。
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「Samsung Portable SSD X5 1TB」のパッケージを開くとモバイルストレージ本体に加えて、Thunderbolt3ケーブル、クイックガイドが付属していました。
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Samsung Portable SSD X5シリーズの本体は艶のあるガンメタルカラーの天面とサラッとしたラバーっぽい質感の赤色の底面のツートンカラーになっています。天面はツルツルですが、底面は細かい埃が付かず滑らない程度のマットさがあります。
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Samsung Portable SSD X5シリーズの製品寸法は縦119mm×横62mm×高さ19.7mmです。少し厚みのある小型スマートフォンくらいのサイズ感です。
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Samsung Portable SSD X5シリーズのデザインについては、『スーパーカーからヒントを得たダイナミックな形状と、光沢の入ったボディが、スピード感とプレミアムな質感を醸し出す』とのこと。たしかに外観からもストレージとして高速そうな印象を受けます。
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Samsung Portable SSD X5シリーズはDTG(Dynamic Thermal Guard)テクノロジーによって内蔵されたNVMe M.2 SSDを適切に冷却しており、ヒートシンクは表面温度が45度以下に保たれるので最適なパフォーマンスを維持できます。またマグネシウム合金製フレームProtection Guardで補強された外装は2メートルの高さからの落下にも耐えます。
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「Samsung Portable SSD X5 1TB」の下側には付属のThunderbolt3ケーブルを接続可能な、Thunderbolt3端子が実装されています。
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「Samsung Portable SSD X5 1TB」にThunderbolt3ケーブルを繋ぐと下のようになります。
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Samsung Portable SSD X5 1TBの検証機材や動作環境について

「Samsung Portable SSD X5 1TB」のファイルコピー性能を検証する前に、同製品の検証機材や動作環境について紹介します。
「Samsung Portable SSD X5 1TB」の各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i7 7700K
殻割り&クマメタル化(レビュー
Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz
CPUクーラー Intel TS15A
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
3200MHz, 14-16-16-36-CR2
マザーボード
ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
Samsung 860 EVO M.2 1TB


比較対象として同じくThunderbolt3接続モバイルストレージの「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」と「Dell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB」も使用しています。またSATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」のマザーボードM.2スロットによるSATAネイティブ接続に加えて、SATA-USB変換が可能なエンクロージャーキット「Micro Solution M2EN-CAL178(レビュー)」によるUSB3.1 Gen2変換や「SilverStone SST-MS09B(レビュー)」によるUSB3.0(USB3.1 Gen1)変換、およびUSBフラッシュメモリとしては最速クラスの「SanDisk Extreme PRO USB3.1フラッシュメモリ 256GB(レビュー)」についても「Samsung Portable SSD X5 1TB」と同様の測定を行いました。
Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSDDell Portable Thunderbolt3 SSD
Micro Solution M2EN-CAL178SilverStone SST-MS09BSanDisk Extreme PRO USB 256GB

「Samsung Portable SSD X5 1TB」は検証機材マザーボードの「ASRock Z270 SuperCarrier」のリアI/Oポートに設置されたThunderbolt 3に接続します。
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検証機材マザーボードの「ASRock Z270 SuperCarrier」のリアI/Oポートには2基のThunderbolt3ポートが標準で搭載されているので、事前にマザーボード公式サポートページで配布されているThunderbolt3ドライバーをインストールしておくだけで「Samsung Portable SSD X5 1TB」を問題なく認識、動作させることができました。
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「Samsung Portable SSD X5 1TB」のボリュームをWindows上で作製したところ容量は930GBでした。
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なお「Samsung Portable SSD X5 1TB」の注意点として、Thunderbolt 3はホスト側(PC)には下方互換がありますがクライアント側(周辺機器)には基本的に下方互換がないので、USB3.1 Gen2 Type-C端子に接続しても「Samsung Portable SSD X5 1TB」は正常に認識されず使用できません。
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USB3.1 Gen2に対応したUSBメモリ等はUSB3.0やUSB2.0のUSBポートでも帯域は制限されるものの使用できますが、「Samsung Portable SSD X5 1TB」はThunderbolt3に対応していないType-C端子では一切使用できません。今のところThunderbolt 3は外付けGPUやディスプレイアダプタを兼ねたハブなど限定された用途で普及しつつある規格なのでクライアント側の下方互換はなくとも問題ありませんが、モバイルストレージの用途を考えるとクライアント側でもUSB3.0やUSB3.1 Gen2との互換性の必要性を感じました。


デスクトップPCのThunderbolt 3ポートについては今回の検証機材マザーボード「ASRock Z270 SuperCarrier」のようにリアIOに標準で搭載しているマザーボードもありますが、標準では非搭載であっても、Intel Z370/Z270/X299チップセットを搭載した最新のマザーボードであれば、当サイトでもレビューしているThunderbolt 3端子増設PCIE拡張ボードの「ASRock Thunderbolt 3 AIC」(レビュー)や「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」(レビュー)を使用することでThunderbolt 3ポートの増設が可能です。
ASRock X299 OC Formula review_01188GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01730
Thunderbolt 3標準搭載マザーボードは現状で限られており、標準搭載マザーボードよりも拡張ボード対応マザーボードの方が多いというのが実情なので、Thunderbolt 3対応を目指すのであれば拡張ボードを利用するほうが手っ取り早いと思います。




Samsung Portable SSD X5 1TBの性能について

続いて本題となる「Samsung Portable SSD X5 1TB」のファイルコピー性能を検証していきます。
ファイルコピー検証の前にまずは「Samsung Portable SSD X5 1TB」の基本的な読み出し性能と書き込み性能を確認するためCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果を比較してみました。
Thunderbolt3の帯域はNVMe(PCI-E3.x4)の32Gbpsよりも高速な40Gbpsなので、「Samsung Portable SSD X5 1TB」のシーケンシャルリード性能は2800MB/s、シーケンシャルライト性能は2300MB/s程度とほぼ仕様値通りのアクセススピードをマークしており、自作PC向けのNVMe M.2 SSDと遜色ない高速アクセスを実現しています。
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Dell Portable Thunderbolt3 SSD_CDMDell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB_CDMSamsung 970 PRO 1TB_CDM
また比較対象としてSATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」のSATAネイティブ接続やUSB変換、およびUSBフラッシュメモリとしては最速クラスの「SanDisk Extreme PRO USB3.1フラッシュメモリ 256GB」についてもCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)でベンチマーク測定を行いました。
USB3.0は帯域が5GbpsでSATA3.0の6Gbpsに及ばないのでUSB3.0変換を行うとシーケンシャル性能も下がります。またSATAによるネイティブ接続と比較してUSB3.1 Gen2とUSB3.0ではランダム性能に大きく落差があるのは上と同様ですが、USB3.1 Gen2とUSB3.0ではランダム性能を見るとベンチマーク上の差はあまりないようです。「SanDisk Extreme PRO USB3.1フラッシュメモリ 256GB」についてはUSBフラッシュメモリとしては最速クラスの製品ですが、SATA SSDのUSB変換にはやはり及びません。
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また「Samsung Portable SSD X5 1TB」に内蔵されているNVMe M.2 SSDについては詳細が明らかになっていませんが、大容量データの連続書き込みを実行してみたところ、書き込み総量が42GB程度を超えると書き込み速度は1200MB/s前後まで低下する挙動が確認できたので、TLC型SSDとなっていることがわかります。
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TB3変換の影響で最大速度に差がありますが、以前レビューした「Samsung SSD 970 EVO 1TB」と同じ挙動なので、「Samsung Portable SSD X5 1TB」にはSamsung SSD 970 EVOシリーズとほぼ同スペックなNVMe M.2 SSDが内蔵されているようです。
Samsung 970 EVO 1TB_HDT
参考までにSamsung SSD 970 EVOシリーズのSLCキャッシュ機能「Intelligent TurboWrite」のキャッシュ容量や超過時の書き込み速度などの仕様は次のようになっており、Samsung Portable SSD X5の500GBモデルや2TBモデルもSamsung SSD 970 EVOシリーズの同容量モデルと同じような挙動になるのだと思います。
「Samsung SSD 970 EVO」シリーズ
Intelligent TurboWrite の仕様

容量 250GB 500GB 1TB 2TB
キャッシュ
サイズ
標準 4GB 6GB
可変領域 9GB 18GB 36GB 72GB
最大 13GB 22GB 42GB 78GB
連続書込 キャッシュ内 1500MB/s 2300MB/s 2500MB/s
キャッシュ外 300MB/s 600MB/s 1200MB/s 1250MB/s



続いて本題となる外付けストレージの性能評価で最重要項目となるファイルコピーにおける読み出し・書き込みについて性能比較をしてみました。
ファイルコピー性能の比較対象として、同じくThunderbolt3接続モバイルストレージの「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」、Samsung SSD 860 EVO M.2 1TBのSATAネイティブ接続、Samsung SSD 860 EVO M.2 1TBの「Micro Solution M2EN-CAL178」によるUSB3.1 Gen2変換、Samsung SSD 860 EVO M.2 1TBの「SilverStone SST-MS09B」によるUSB3.0(USB3.1 Gen1)変換、SanDisk Extreme PRO USBフラッシュメモリ 256GBを使用しています。

検証に使用するデータとしては次のような50GBの動画ファイル、80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)、1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBのフォルダ、5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBのフォルダの4種類を使用しています。
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データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
Copy_movieCopy_game
なお下で掲載している検証結果の比較グラフにおいて*の添え字が付いているものは、コピー相手にSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。SATA3.0 SSDが検証ストレージの場合は、コピー相手がSamsung 960 PRO 512GBとSamsung SSD 970 PRO 1TBのどちらであっても動画ファイルおよびゲームフォルダのコピー速度に大きな差はありません。

コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。
Copy_NVMe-NVMe
Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDIMM3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するものの、各NVMeストレージはCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
Copy_NVMe-NVMe



「Samsung Portable SSD X5 1TB」など各種検証ストレージとSamsung 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
「Samsung Portable SSD X5 1TB」による動画ファイルのコピー読み出し時間は27秒ほどとなっており、ファイルサイズが50GBなので読み出し速度は1800MB/sに達しています。18年最速のNVMe M.2 SSDであるSamsung SSD 970 PRO 1TB間のコピー時間は23秒程度なので、それに比べると若干遅いですが、一般的なPC内設のNVMe SSDとほぼ同等のコピー速度であり、同じくTB3ストレージの「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」や「Dell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB」よりも高速です。
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動画ファイルのコピー書き込みに関しては、Samsung SSD 970 PRO 1TB間が23秒に対して、「Samsung Portable SSD X5 1TB」は31秒となり読み出し同様に優秀な結果です。
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ただし「Samsung Portable SSD X5 1TB」の内蔵SSDはTLC型SSDなので、1TBモデルの場合は最大42GB程度のSLCキャッシュを超過した後は書き込み速度が1200MB/sまで低下します。今回は検証に使用したコピーデータのサイズが50GBだったので、ほぼ全てのデータがキャッシュ内2300MB/sで転送されたためこのような結果になりましたが、データサイズが大きくなるにつれて書き込み速度は低下するので注意してください。
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続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
動画ファイルのコピー読み出し同様にゲームフォルダのコピー読み出しにおいても「Samsung Portable SSD X5 1TB」はSATA接続SSDやUSB3.1 Gen2変換よりも大幅に高速で、Samsung SSD 970 PRO 1TB間のコピーに近いコピー読み出し速度を実現しています。「Samsung Portable SSD X5 1TB」のコピー時間は61秒程度なので読み出し速度は平均1300MB/sに達しています。
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ゲームフォルダのコピー書き込みについてはSLCキャッシュを倍上回るデータ容量になっていますが、同じくTB3ストレージの「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」や「Dell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB」よりも高速です。
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続いて1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBのフォルダのコピーについてですが、1つ1つのファイルサイズは1KB~1MBと比較的小さいのでゲームフォルダのコピーテストよりもベンチマークのランダム性能が重要になります。ただし合計サイズが3GBと小さいのでキャッシュ性能もコピー速度に効いてきます。
小容量画像ファイルを多数含むコピー読み出しについては、「Samsung Portable SSD X5 1TB」のコピー時間は18秒ほどとなっており、SATA SSDのUSB3.0変換と同程度で若干振るわない結果です。
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小容量画像ファイルを多数含むコピー書き込みについては12秒程度で比較的優秀な結果ですが、他のテストと相対的に見るとやはり「Samsung Portable SSD X5 1TB」のコピー速度として考えた場合若干遅い結果になっています。
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小容量画像ファイルを多数含むコピーについては、「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」の変換基盤でSamsung 960 PRO 512GBをTB3変換した場合、NVMe M.2 SSDのPCIE変換と同じコピー速度が実現できているので、「Samsung Portable SSD X5 1TB」がこのテストで若干遅いのは、NVMe-TB3変換基盤がランダムアクセスに弱いからではないかと思います。
TLC型SSDを変換した場合の現象という可能性もありますが、比較対象「Dell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB」は良い結果が出ているので、変換基盤の差というのが原因としては有力かなと。
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最後に5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBのフォルダのコピーについてですが、1つ1つのファイルサイズは5MB以上で比較的大きいので、完全にシーケンシャル性能というわけではありませんが、シーケンシャルに近い形でアクセスが発生します。やはりキャッシュ性能も効いてきます。
比較的大きい画像ファイルを多数含むフォルダのコピー読み出しにおいては、「Samsung Portable SSD X5 1TB」のコピー時間は6秒程度で、Samsung SSD 970 PRO 1TBに近いコピー読み出し速度になっています。モバイルストレージ間で比較するとSATA-USB3.1 Gen2変換やSATA-USB3.0変換よりも2倍以上高速という結果です
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比較的大きい画像ファイルを多数含むフォルダのコピー書き込みにおいて、「Samsung Portable SSD X5 1TB」はSamsung SSD 970 PRO 1TB間と同等のコピー時間になっています。
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Samsung Portable SSD X5 1TBのレビューまとめ

最後に「Samsung Portable SSD X5 1TB(型番:MU-PB1T0B/IT)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • Thunderbolt3接続により連続リード2800MB/s、連続ライト2300MB/sの高速アクセスを実現
  • 実際のコピーにおいてNVMe SSDとほぼ同じ性能で、コピー速度はUSB3.1 Gen2の2倍以上
  • 外部電源不要なThunderbolt3端子からのバスパワー駆動
  • Thunderbolt 3接続のモバイルストレージとしては小型かつ軽量
  • 500GBあたり5万円前後で購入可能なのでTB3外付けストレージとしては普及帯な価格
悪いところor注意点
  • USBフラッシュメモリと比べるとサイズは大きい
  • 内蔵SSDがTLC型なので連続した大容量書き込みでは書込速度の低下が発生
  • SSD側には下位互換がないのでホスト(PC)がThunderbolt3に対応している必要あり
  • 500GBで5万円なので外付けストレージの容量単価としては高価

接続帯域10GbpsのUSB3.1 Gen2が次世代規格として普及しつつある現在、その4倍の40Gbpsというさらに高速な接続帯域を実現する”次の次”をいく接続規格Thunderbolt3に対応したバスパワー駆動のモバイルストレージ「Samsung Portable SSD X5 1TB」を検証してみたところ、実際のファイルコピーテストにおいて、SATA-USB3.1 Gen2変換ストレージと比較してファイルコピーテストの多くでファイルコピー時間を半分以下に短縮できるという抜群の性能を発揮しました。
Samsung Portable SSD X5 1TB_Performance
Samsung Portable SSD X5シリーズの内蔵SSDは18年最新NVMe M.2 SSDのSamsung 970 EVOに近い仕様になっていることもあって、先行して発売された競合のThunderbolt3接続モバイルストレージよりも高速なところも魅力です。ただしTLC型SSDのため連続した大容量書き込みでは容量別に決まっているSLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度が低下し、例えば1TBモデルについては連続した書き込み総量が42GBを上回ると、仕様最大値の2300MB/sから1200MB/sまで書き込み速度が低下します。大容量書き込みのパフォーマンスを考えるとMLC型のSamsung 970 PRO相当のSSDを内蔵した上位モデルも個人的には需要があるのではないかと思います。

NVMe接続の内部ストレージが普及しておりPC内部におけるデータ転送の高速化に対して、PC外へデータを伝送する接続規格は未だにUSB3.0(USB3.1 Gen1)が標準、USB3.1 Gen2がやっと普及し始めている状態なので、PC内外間のデータ移動がボトルネックになっていましたが、Thunderbolt3に対応した外付けストレージを使用することによって数十GBの大容量データであってもPC内部で運用するのと同様のスピード感で別の環境に持ち運ぶことが可能になります。

「Samsung Portable SSD X5 1TB」は容量1TBで販売価格が5万円程度なので容量単価でみると外付けストレージとしては高価な部類ですが、ファイルコピー性能を考慮すればThunderbolt3対応モバイルストレージとして普及帯と言える価格に収まっていると思います。

欠点としてUSB3.1 Gen2にはホスト側(PC)だけでなくクライアント側(ストレージ)にも下位互換があり、例えばUSB3.1 Gen2対応外付けストレージはPCのUSB3.0ポートやUSB2.0ポートでも帯域は下方に制限されても接続して正常に動作しますが、「Samsung Portable SSD X5 1TB」には下位互換がないので物理的形状は同じでもThunderbolt 3非対応のUSB Type-Cでは使用できません。NVMe-USB3.1 Gen2変換キットも18年後半からは出始めてきているので、ホスト側への互換性は同製品の数少ない弱点かと思います。
デスクトップPCで使用する場合は、Thunderbolt 3端子増設PCIE拡張ボードの「ASRock Thunderbolt 3 AIC」や「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」を使用して利用環境を事前に構築しておく必要があるという点で汎用性においてデメリットがあります。

”次の次”をいく接続規格Thunderbolt3に対応したバスパワー駆動のモバイルストレージ「Samsung Portable SSD X5 1TB」は数十GBの大容量データを複数環境で運用するようなクリエイティブ作業を行うパワーユーザーにとって作業効率を爆上げする救世主と言っても過言ではない製品なので、USB3.1 Gen2でも速度が足りない!と感じている人にはお勧めです。

以上、「Samsung Portable SSD X5 1TB」のレビューでした。
Samsung Portable SSD X5 1TB






おまけ:NVMe-Thunderbolt3変換によるボトルネックについて

他社製品ですが「Samsung Portable SSD X5 1TB」同様に専用のNVMe-Thunderbolt3変換によってNVMe M.2 SSDをモバイルストレージ化してある「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」をしようして、NVMeをThunderbolt3に変換した場合のボトルネック(性能の低下)について検証していたのでその結果について紹介しておきます。
「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」を分解することによって、内部構造の実態は一般的なNVMe M.2 SSDを専用のNVMe-Thunderbolt3変換基板によってThunderbolt3に変換して接続しているだけということがわかったので、この変換基板の1つのサンプルケースとしてNVMeをThunderbolt3に変換した場合のボトルネック(性能の低下)について簡単に検証してみました。
NVMe-Thunderbolt3_1NVMe-Thunderbolt3_2
「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」の素の状態での性能評価に加えて、純正SSDを取り出し、SSDをヒートシンク付きM.2-PCIE変換ボード「Aquacomputer kryoM.2」に装着して同じ測定を行いました。
NVMe-Thunderbolt3_3NVMe-Thunderbolt3_4

まずは「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」に内蔵されたSSDの基本的な読み出し性能と書き込み性能を確認するためCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果を比較してみました。
「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」のThunderbolt3接続と、内蔵SSDのPCI-E接続を比較するとベンチマーク上では若干性能が下がっているもの、SATAネイティブ接続とUSB3.1 Gen2変換に比べると性能の落差は小さいことがわかります。
Dell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB (PCIE)_CDMDell Portable Thunderbolt 3 SSD 500GB_CDM
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実際のファイルコピー検証における、PCI-E接続に対するNVMe-Thunderbolt3変換の性能比率とSATAネイティブ接続に対するSATA-USB3.1 Gen2変換の性能比率を比較すると次のようになりました。

SATA-USB3.1 Gen2変換では特に書き込みにおいてSATA接続時の50~80%程度のパフォーマンスしか期待できないのに対して、SATA接続よりも倍以上のコピー速度を実現できるNVMe接続では、Thunderbolt3に変換しても読み出し・書き込みともにほぼ90~100%のパフォーマンスを維持できるという非常に良好な結果が得られました。「Cable Matters 480GB External Thunderbolt 3 SSD」に内蔵されたNVMe M.2 SSD程度の性能であればThunderbolt3変換がボトルネックとして強く影響することはないようです。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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