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Intel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUから、TDP65Wで6コア6スレッドのスタンダードユーザー向けモデル「Intel Core i5 9400F(型番:BX80684I59400F)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。
iGPU非搭載でグラフィックボード必須な添え字”F”付きの6コア6スレッドCore i5である「Intel Core i5 9400F」が、RTX 2060やRTX 2070を組み合わせたミドルクラスゲーミングPCに最適なCPUなのかどうか徹底検証していきます。2019年1番人気かつベストバイなCPUになるポテンシャルを感じます。
製品公式ページ:https://ark.intel.com/ja/products/190883/Intel-Core-i5-9400F
Intel Core i5 9400F レビュー目次
1.Intel Core i5 9400Fの外観・付属品・概要
2.Intel Core i5 9400Fの検証機材・動作設定
3.Intel Core i5 9400Fの動作クロック・消費電力・温度
4.Intel Core i5 9400Fの基礎ベンチマーク
5.Intel Core i5 9400Fのクリエイティブ性能
・3Dレンダリング性能
・動画エンコード性能
・RAW現像性能
・PCゲーム/スマホアプリのビルド性能
6.Intel Core i5 9400Fのゲーミング性能
・4K解像度/60FPSターゲット
・フルHD解像度/ハイフレームレート
・バトルロイヤル系PCゲーム/240FPSターゲット
7.CPUエンコーダとリアルタイム配信について
8.Intel Core i5 9400Fのレビューまとめ
・温度・消費電力について
・クリエイティブ性能について
・ゲーム性能について
・総評 - Core i5 9400FをRyzen 5 3600と比較すると
Intel Core i5 9400Fの外観・付属品・概要
「Intel Core i5 9400F」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。またこの章では「Intel Core i5 9400F」の仕様等について簡単に触れておきたい概要もあれば紹介します。下はCore i5 9600KとCore i5 8600Kの写真です。Core i5 9600KはCPUダイとヒートスプレッダの間のTIMにシリコングリスではなく、ソルダリングに近い熱伝導性能のSTIMが採用されてヒートスプレッダの形状が変わり(先祖返りし)ましたが、Core i5 9400FはCore i5 8600Kと同じ形状のヒートスプレッダなので、TIMにはシリコングリスが採用されているのだと思います。
Core i5 9400Fは6コア6スレッドのCPUであり、TDP65Wでベースクロックは2.9GHz、単コア最大ブーストクロックは4.1GHzとなります。
Core i5 9400Fを先んじて発売された第9世代Core i5の倍率アンロックモデルCore i5 9600Kや、前世代同クラスCPUのCore i5 8400と比較すると次のようになっています。
コアスレッド数やキャッシュ容量などCPUのハードウェア面ではいずれも一致しており、添え字”F”付きモデルのCore i5 9400FはiGPU非搭載となります。動作クロックはTDP95WのCore i5 9600Kが高めに設定されていますが、TDP65WのCore i5 9400FとCore i5 8400を比較すると0.1GHzの向上に留まっています。
Core i5 9400F スペック簡易比較 | ||||
Core i5 9400F | Core i5 9600K |
Core i5 8500 |
Core i5 8400 |
|
コアスレッド | 6コア6スレッド | |||
ベースクロック | 2.9GHz | 3.7GHz | 3.0GHz | 2.8GHz |
TB2.0 | 4.1GHz | 4.6GHz | 4.1GHz | 4.0GHz |
オーバークロック |
X | O |
X | |
キャッシュ | 9MB | |||
TDP | 65W | 95W | 65W | |
CPUクーラー | 付属 |
X | 付属 | |
iGPU |
X | UHD グラフィックス 630 | ||
対応チップセット |
Intel 300シリーズチップセット (第9世代CPUはZ370/H370/B360で要BIOSアップデート) |
|||
希望小売価格 |
182ドル | 262~263ドル |
192~202ドル | 182~187ドル |
Intel第9世代Core-S CPUの中で6コア6スレッドのCore i5シリーズは、AAAゲーミングタイトルの快適なプレイや、一般的なマルチタスキングに最適なCPUとしてIntel公式に推奨されています。
ハイコストパフォーマンスなCPUとして候補に挙がる「Intel Core i5 9400F」と「AMD Ryzen 5 3600」はどちらがオススメなのか、実際のクリエイティブタスクやPCゲーミングにおけるベンチマークの性能比較した記事も公開中です。
・Ryzen 5 3600とCore i5 9400Fはどちらが買いか徹底比較!
Intel Core i5 9400Fの検証機材・動作設定
以下、「Intel Core i5 9400F」の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。Intel LGA1151(Z390)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | 【第9世代Core】 Intel Core i9-9900KS(レビュー) Intel Core i9-9900K(レビュー) Intel Core i7-9700K(レビュー) Intel Core i5-9600K(レビュー) Intel Core i5-9400F(レビュー) 【第8世代Core】 Intel Core i7-8700K(レビュー) Intel Core i5-8600K(レビュー) Intel Core i3-8350K(レビュー) Intel Pentium Gold G5600(レビュー) |
マザーボード | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
その他 |
レビュー対象CPUのベンチ機と共通 |
Intel LGA1151(Z390)環境では検証機材マザーボードとして「ASUS WS Z390 PRO」を使用しています。Intel第9世代CPUに対応するZ390マザーボードの多くでは、CPU動作設定を標準設定のAutoとした場合、各CPUのPerCore最大動作倍率は単コア/全コアは仕様通りですが、PL1/PL2が無効化される傾向にあります。
Core i9-9900KとCore i7-9700K以外についてはAuto設定でもIntel仕様値のTDP内に収まる動作となるのでAuto設定のまま検証を行っています。しかしながらCore i9-9900KとCore i7-9700KはAuto設定では消費電力が大幅にTDPから超過するため、標準設定のAuto設定に加えて、下のようなBIOS設定(9900Kの例)によってIntelの仕様に合わせたPerCore最大動作倍率および電力制限を適用した”定格動作”についても測定を行っています。
上の設定はASUS製マザーボードのBIOSメニューから設定した例ですが、ASRock、GIGABYTE、MSIなど主要4社のマザーボードであれば同種の設定項目が用意されているはずなので、同じように電力制限を課すことができます。再起動等で初期化されることもあるので、確実性の高いBIOSからの設定が推奨なのですが、「Intel Extreme Tuning Utility」からも設定が可能です。
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。Thermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスで適量が塗布されていれば、CPUクーラー固定時の圧着でヒートスプレッダ全体へ自然に伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
Intel Core i5 9400Fの動作クロック・消費電力・温度
「Intel Core i5 9400F」に関する検証のはじめに、「Intel Core i5 9400F」の動作クロック、消費電力、温度など同CPUの基本的な動作についてチェックしていきます。「Intel Core i5 9400F」は6コア6スレッドのCPUであり、定格動作において1コア~6コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率はコア数1~6に対して順番に[41, 40, 40, 40, 39, 39]です。前世代同クラスのCore i5 8400は[40, 39, 39, 39, 38, 38]、1つ上のCore i5 8500は[41, 40, 40, 40, 39, 39]なので、「Intel Core i5 9400F」の動作倍率設定は前世代よりも若干引き上げられ、1つ上のモデルと同等になっています。
またIntel第9世代Core-S CPUの製品仕様を確認すると「Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」は65W、「Turbo Boost Short Power Max(短期間電力制限/Power Limit 2)」は81W(PL1×1.25)になっているはずですが、BIOS標準設定ではいずれも無制限に変更されていました。
「Intel Core i5 9400F」をZ390マザーボード「ASUS ROG MAXIMUS XI HERO」と組み合わせてCPU動作をBIOS標準設定とし、CinebenchとAviult&x264エンコードを実行したところ、いずれのケースにおいても全6コアへ同時に大きな負荷がかかった時の動作クロックは3.9GHzで、全コア最大動作倍率に一致しました。このときCPU Package PowerはTDP65W未満に収まっています。
続いてCPU消費電力の検証結果をチェックしていきますが、当サイトのCPUレビューでは主として”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力として比較します。
個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの消費電力に関する評価基準の補足として下記の記事も参考にしてください。
・2019年最新CPUの消費電力・発熱・TDP・温度について - 爆熱評価のウソほんと
CPU消費電力の測定には電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた入力電力をチェックしています。
また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子を除いた、各種電源端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。そのため測定値にはEPS電源端子を経由して供給されるCPU消費電力以外の消費電力は含まれません。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
CPUの消費電力や温度の測定を行う負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTやPrimeなど専用負荷ソフトを使用しているレビューもありますが、管理人の私見としてはCPU負荷が非現実的なので、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースを想定した場合、ほぼ最大のCPU負荷となるx264による動画エンコードとストレステストに採用しています。
「Intel Core i5 9400F」と比較対象の各CPUについて、上記負荷テスト中の”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”と表記した場合、消費電力測定結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
「Intel Core i5 9400F」をAuto設定の全コア3.9GHzで動作させるとCPU消費電力は66Wとなり、公称値でTDP65WのCPUとしては妥当な数値に収まっています。上位モデルCore i5 9600Kや前世代Core i5 8600Kと比較すると、いずれも6コア6スレッドCPUですが、全コア同時ブーストクロックが高い分、Core i5 9600KやCore i5 8600Kのほうが消費電力は大きくなっています。
最近のCPUは定格(BIOS標準設定)の動作が組み合わせるマザーボードによって異なる傾向にありますが、Intel Core i5 9400FをZ390マザーボード「ASUS ROG MAXIMUS XI HERO」と組み合わせた場合、『Intel Core i5 9400Fの実際の動作は、TDP(長時間電力制限)の範囲内で仕様通りに全コアブーストクロック3.9GHzで動作する』となっているようです。そのため今回の検証において、Intel Core i5 9400Fの動作は公式に発表されている製品仕様を過不足なく満たしていると考えていいと思います。
Intel Core i5 9400Fの基礎ベンチマーク
Intel Core i5 9400Fの基本的なCPU性能を専用ベンチマークソフトで検証しました。この章ではPCMark 8とPCMark 10という総合ベンチマークソフトを使用していますが、デスクトップ向けの高性能CPUの性能比較ベンチマークとしては頭打ちな傾向があります。レビュー項目の1つとして参考までにスコア比較していますが、実用的なCPU性能については後半の個別性能比較を参考にしてください。
また同ベンチマークはシングルスレッド性能(動作クロックの高さ)が重要になる傾向も強く、近年のCPUを見ると、Intel第8/9世代Coreに比べて第2世代以前のAMD Ryzen CPUでは低めのスコアが出ていましたが、AMD第3世代RyzenはIntel第8/9世代Coreとそん色ないパフォーマンスを発揮できるようになっています。
まずは「PCMark 8 Creative Test (Run Accelerated)」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 8」は動画再生能力、DirectX9のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
「Intel Core i5 9400F」を含めた各CPU環境のPCMark 8ベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
「PCMark 10 Extended」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 10」はPCMark 8と同様にPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトですが、DirectX11に対応するなどPCMark 8よりも最近のPCの性能測定に最適化されています。
「Intel Core i5 9400F」を含めた各CPU環境について、PCMark 10ベンチマークの総合スコアを比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、個別にベンチマークスコアを比較してみました。
PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro(2017)との比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Essentials」について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro(2017)との比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Productivity」について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
クリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation」は、写真に対するフィルタリング処理の性能をシミュレートする「Photo Editing」、動画編集の性能をシミュレートするワークロード「Video Editing」、レイトレーシングによる3Dグラフィクス制作(3Dレンダリング)をシミュレーションする「Rendering and Visualization」の3つのワークロードで構成されています。
「Digital Content Creation」について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
ゲーム性能を測る「Gaming」は、グラフィックボードの性能測定で幅広く活用されているベンチマークソフト「3DMark」に収録された「Fire Strike」と同じベンチマークテストを実行するワークロードです。
「Gaming」について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Intel Core i5 9400Fのクリエイティブ性能
Intel Core i5 9400Fについて3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像、PCゲーム/スマホアプリのビルドなどクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトや実際のアプリケーションで検証しました。Intel Core i5 9400Fの3Dレンダリング性能
CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られている「Cinebench R15」をはじめとして、Cinebenchの2019年最新バージョン「Cinebench R20」、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用して、CPUの3Dレンダリング性能についてベンチマーク測定を行いました。Cinebench R15は3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。また2019年最新バージョンのCinebench R20についてはマルチスレッド性能を測定するテストのみを実行しました。
Cinebench R15 マルチスレッド性能テストについて「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Cinebench R15 シングルスレッド性能テストについて「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Cinebench R20 マルチスレッド性能テストについて「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
「Blender」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 7600Kを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ】
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 7600Kを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ】
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 7600Kを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ】
Intel Core i5 9400Fの動画エンコード性能
続いて無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」と、商用動画編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」と「Adobe Premiere Pro(Media Encoder)」を使用して、「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較していきます。AviutlとTMPGEnc Video Mastering Works 7はいずれも、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
Aviutlのx264/x265のエンコード設定は次のスクリーンショットのようになっています。TMPGEnc Video Mastering Works 7については固定ビットレートで1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsに設定しています。
なおエンコーダと解像度設定が同じであればaviutlとTMPGEncのCPU別エンコード速度の傾向は概ね一致するので、aviutlのケースを抜粋してグラフを掲載します。厳密にはソフトウェアによって若干CPUメーカー別で得意不得意もあるので、aviutlとTMPGEncの全CPU比較データはリンクから各自で参照してください。x2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。
x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)】
加えてAdobe Premiere Pro(Media Encoder)による動画エンコードについても、「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較しました。
Adobe Premiere Proのエンコード設定はCPUリソースのx264エンコードで、1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsの固定ビットレートです。Media Encoderでは1つのプロジェクトを複数の設定で同時にエンコードできますが、複数のプロジェクトを同時にエンコードすることができないので単一エンコードのみを比較しています。
Adobe Premiere Proによる動画エンコードについてはAMD Ryzen CPUは苦手である評価されていることが多いですが、2019年現在では最適化も進んでおり、コアスレッド数とコアクロックに比例した性能が発揮できるようになっています。
【Adobe Premiere Pro 全CPU比較データ:1920to1920 / 3840to1920 / 3840to3840】
Intel Core i5 9400FのRAW現像性能
続いてDxO PhotoLabによるRAW現像を行って「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。「SONY DSC-RX100M5」で撮影した5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLabの画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去を「PRIME」に変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。なおDxO PhotoLabによるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分もしくはそれより一つ少ないくらいの並列処理で最速になるようです。DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Intel Core i5 9400FのPCゲーム/スマホアプリのビルド性能
最後に「Unreal Engine 4」や「Unity」などフリーウェアながら高画質なPCゲームやスマホゲームを製作可能なゲームエンジンを使用したゲーム制作におけるCPU性能の検証として、「Unreal Engine 4」で「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。検証にはEpic Games Storeで無料配布されているデモプロジェクト「Infiltrator」を使用したビルド時間の比較を行います。検証設定としてリアルタイム表示はオフ、ライティングの品質をプロダクションとしています。Unreal Engine 4のバージョンは4.22.3、Windows10のバージョンは1903で統一しています。
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間について「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ】
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i3 8350Kを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ】
Intel Core i5 9400Fのゲーミング性能
Intel Core i5 9400FのPCゲームに関する性能を実ゲームを用いたベンチマーク測定で検証しました。なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、Intel第7/8/9世代Core-SやAMD第2/3世代Ryzenなどここ数年で発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは多くありません。そのためCPUゲーム性能比較の具体的な内容は”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”と表現するのが実状に即しています。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとして6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。
ゲームタイトルにもよりますがPCゲームにおけるCPU負荷は基本的にTDP内に収まることが多く、CPUコアクロックは全コア最大動作倍率に張り付きます。フレームレートに対するCPUボトルネックの緩和においては、この全コア最大動作倍率の高さが重要になり、クリエイティブタスクと違って電力制限は支配的ではなくなります。(PCゲームではIntel製CPUのPL1、AMD製CPUのPPTは影響をほとんど及ぼさなくなる)
Core i9 9900KやRyzen 7 3700XのようにTDPに対して全コア動作倍率の高いCPUでは、PCゲームにおいてもCPU使用率が高くなるハイフレームレートでCPU消費電力がTDPを超過するタイミングもありますが、TDP内に制限した場合と比較して大きな差は出ません。
そのためクリエイティブタスクなどここまでの検証において複数の電力制限で測定していたCPUも、PCゲームでは簡単のため電力制限が緩い方だけを使用して性能を測定します。
各CPUのゲーミング性能を測定するため統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
CPU別ゲーミング性能の比較には2019年最新PCゲームから、Assassin's Creed Odyssey、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、Shadow of the Tomb Raider、Middle-Earth: Shadow of Warの4種類を使用しています。60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定と、100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定の2種類について、各ゲームで平均フレームレートと最小フレームレートを測定しました。
なおCPUボトルネック比較の性質上、平均FPSと最小FPSをある程度の精度で測定する必要があるため、検証ではほぼ同一シーンで測定が可能なゲーム内ベンチマークを使用しています。
Intel Core i5 9400Fのゲーム性能 - 4K解像度/60FPSターゲット
まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i5 9400F」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。なお上述の通り60FPSターゲットでは基本的にCPUボトルネックは発生しないので、グラフの掲載順は性能(平均フレームレート)による昇順ではなく、当サイト既定のCPU分類順としています。
Assassin's Creed Odyssey(4K解像度、超高-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(4K解像度、非常に高い-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、最高-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Middle-Earth: Shadow of War(4K解像度、ウルトラ-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Intel Core i5 9400Fのゲーム性能 - フルHD解像度/ハイフレームレート
続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i5 9400F」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。Assassin's Creed Odyssey(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Middle-Earth: Shadow of War(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ】
Intel Core i5 9400Fのゲーム性能 - バトルロイヤル系PCゲーム
最後に近年流行りのオンライン対戦PCゲームの中でも競技ゲーマーにも愛用される240Hzの超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのユーザーが多いであろうバトルロイヤル系PCゲームにおけるCPU別ゲーム性能をチェックしていきます。検証にはバトルロイヤルというジャンルにおける4大タイトルと言っても過言ではない、Apex Legends、Call of Duty: Black Ops 4、Fortnite、PlayerUnknown’s Battlegroundsを使用します。
Apex Legends(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
一応、平均FPSの昇順で並べましたが、Apex Legendsは240FPSターゲットでもCPUボトルネックの影響が小さいタイトルとなっており、第1/2世代Ryzenが若干劣る程度で、第3世代Ryzenや第9世代Coreなど最新CPUは6コア6スレッド以上なら横並びです。
Call of Duty: Black Ops 4(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Fortnite(フルHD解像度、高-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PUBGのベンチマーク測定に使用しているトレーニングモードは他プレイヤーの影響を受けやすく測定精度は他の検証に比べるとやや劣るのですが、今回検証した中ではCore i9 9900Kが頭1つ飛びぬけ、第3世代Ryzen各種やCore i7は測定誤差の範囲内でほぼ同性能といった具合でした。それ以下ではCore i5(6C6T)、Core i3(4C4T)、第2世代Ryzenと順に性能がスケーリングしていきます。
CPUエンコーダとリアルタイム配信について
ゲーム実況やライブ配信と呼ばれるPCゲームのリアルタイム配信について、現在ではNVIDIA GeForce GTX 1660やAMD Radeon RX 580などミドルクラスGPUをエンコーダとすることでフルHD解像度で必要十分な画質とフレームレートが得られます。GPUエンコーダは動作自体も軽いので、これらGPUエンコーダの登場によってリアルタイム配信やプレイ動画の録画におけるCPUエンコーダの役目は終わったというのが一時期の私見でしたが、メインストリーム向けCPUのコアスレッド数の増加に伴い、x264 Mediumのような高画質プリセットのプレイ&録画が一般ユーザー的にも現実的になってきています。
Youtube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲーム機やPCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに必要なCPU性能については、現在、連載を続けている【快適配信】シリーズで詳細に解説しています
一口にゲーム実況と言っても、『1.ビデオキャプチャを使用してPCは録画配信作業のみを行う』、『2.PC1台で同時にゲームプレイと録画配信を行う』の2つのケースに大別され、どちらで使用するのかで要求されるCPU性能やCPUメーカー毎の得手不得手など事情が変わってくるので注意してください。
・【快適配信】シリーズの記事一覧へ
画質と快適性を求めるなら録画・配信専用マシンもオススメ
ビデオキャプチャ業界の進歩も目覚ましく、2018年に発売された「AVerMedia Live Gamer Ultra」は4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSの映像ソースを無遅延なパススルー表示しつつ、フルHD/60FPSのプレイ動画として録画・配信できるUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャとなっており、プレイ動画の録画・配信に関する多様なニーズを網羅し得る名機です。・4K/HDRや240FPSのパススルー対応「AVerMedia Live Gamer Ultra」をレビュー
前述の通りフルHD/60FPSの録画・配信であればGTX 1060程度の性能のGPUをエンコーダとすることで必要十分な画質が得られて動作も軽いので、録画配信のために高性能な反面、非常に高額なCPUに投資するよりも、多少コストがかかっても「AVerMedia Live Gamer Ultra」などのビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するほうが、録画・配信の手法としてはわかりやすくてハードルが低いと思います。
・AVerMedia製ビデオキャプチャの最新おすすめ機種を機能比較
「AVerMedia Live Gamer Ultra」などUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するのであれば、ASRock Deskmini GTX 1060ベアボーン採用BTO PCの「G-GEAR alpha」や「GALLERIA Mini 1060」がおすすめです。
PCサイズはコンパクトなのでサブ機としてもあまり余分にスペースを占有せず、GPUにはGTX 1060を搭載しておりフルHD/60FPSのGPUエンコードにも余裕で対応できて、CPUには最大で「G-GEAR alpha」ならCore i7 8700、「GALLERIA Mini 1060」ならCore i7 7700を選択可能、2基の2.5インチSATA SSDと3基のM.2 SSDを搭載可能なのでストレージ拡張性も十分です。ASRock Deskmini GTXシリーズについてはレビューも公開しているので参考にしてみてください。
・GTX 1060搭載で容積2.7LのスーパーコンパクトPC「GALLERIA Mini 1060」をレビュー
・G-GEAR alphaシリーズの販売ページへ
Intel Core i5 9400Fのレビューまとめ
「Intel Core i5 9400F」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ or 概要
- Intelのメインストリーム向け6コア6スレッドCPU
- TDP65W制限下で全コア同時3.9GHz動作が可能
- 空冷CPUクーラーでも問題なく運用可能
- 1.8万円程度と安価な販売価格
- iGPU非搭載なのでグラフィックボードが別途必要
- H370/B360など安価な対応マザーボードは第9世代CPU対応BIOSへのアップデート必須
マザーボード購入時にBIOSアップデート済みかどうか注意
温度・消費電力について
補足の章で解説した通りIntel Core i9 7900Xの登場以降、Intel CPUは検証機材に使用するマザーボードに依るとはいえ基本的にIntelの仕様を満たす電力制限が無効化されているため、上位モデルのCore i9 9900KやCore i7 9700Kは多くのレビューでCPU温度と消費電力が非常に高いと評価されることが多く、また実際に電力制限が無効化された状態での冷却には高性能なCPUクーラーを要するという実状があります。しかしながら「Intel Core i5 9400F」に関しては、定格の全コア最大動作倍率である全コア3.9GHzで動作しても、仕様値TDP65W内に収まる消費電力(発熱)なので、特段の注意も必要なく額面通りにTDP65WのCPUとして運用することができます。
付属のCPUクーラーはかなり小さいので消費電力が65W程度と標準的とはいえ静音性にはあまり期待できませんが、一般的な120サイズ冷却ファンの空冷/簡易水冷CPUクーラーと組み合わせれば簡単に静音動作で運用できます。
クリエイティブ性能について
「Intel Core i5 9400F」のクリエイティブ性能については、6コア6スレッドで全コア3.9GHz動作のCPUという額面通りのパフォーマンスです。第8世代からの大幅な性能向上はありませんが、第7世代以前のIntelメインストリーム向けCore i5シリーズは4コア4スレッドCPUだったので、今回比較対象になっているCore i5 7600Kよりも、3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像など各種クリエイティブタスクにおいて50%近い高速化を果たしており、4コア8スレッドのCore i7と比較しても勝ったり負けたりな性能です。価格も手の伸ばしやすい2万円台前半なので、7世代以前のCPUを使用しているユーザーにとっては有力な買い替え候補だと思います。
一方で競合CPUであるAMD Ryzen 5 3600と比較すると、Ryzen 5 3600はマルチスレッディングに対応した6コア12スレッドCPUなので50%程度高いパフォーマンスを発揮し、クリエイティブ性能において基本的に「Intel Core i5 9400F」はRyzen 5の後塵を拝する結果となります。
価格的にはCore i5 9600KがRyzen 5 3600と、また上位モデルのCore i7 9700KがRyzen 7 3700Xとほぼ同じ価格なので、クリエイティブ性能のコスパはRyzenに軍配が上がるかなと。
ゲーム性能について
ゲーム性能検証の冒頭でも述べたようにフルHD~4K解像度の60FPSターゲットであれば4コア4スレッド以上の最新CPUであればどれを使用しても大差はありません。ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとしては6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。あとは60FPSターゲットであってもAssassin's Creed OdysseyのようにCPUによって差が出るケースもあるので、Intelのメインストリーム向け最新CPUのPCゲーミングにおける安定性にはやはり信頼がおけます。
Intelが第9世代CoffeeLake Refresh-S CPU、特にCore i9 9900Kの発表スライドの最初に掲げた”世界最高のゲーミングCPU(World's Best Gaming processor)”の売り文句の通り、100FPSオーバーハイフレームレートにおけるCPUボトルネック緩和に関しては、Core i9 9900KやCore i7 9700Kが文句なしにトップランナーです。
200FPSオーバーのハイリフレッシュレートゲーミングモニタを使用してオンライン対戦ゲームで勝ちを狙うのであればCore i7 9700Kを、さらにプレイ動画の配信・編集も行うならCore i9 9900Kを検討してください。
Core i9 9900KやCore i7 9700Kにこそ及ばないものの、「Intel Core i5 9400F」はハイフレームレートゲーミングへの親和性も高く、ほんの2世代前までこの分野で最適解だった4コア8スレッドのCore i7 7700Kに並ぶ優秀な性能を発揮しています。クリエイティブタスクにおけるコスパでは競合のRyzen CPUに後れを取りましたが、60FPSターゲットでも安定性が高く、ハイフレームレートにも対応できるところをゲーム性能と見れば、競合よりも優れたゲーム性能は「Intel Core i5 9400F」の魅力です。
総評 - Core i5 9400FをRyzen 5 3600と比較すると
「Intel Core i5 9400F」はiGPU(CPU統合グラフィクス)を非搭載ということもあってグラフィックボードと組み合わせて使用することが前提になるCPUですが、1.8万円程度と2万円を切る価格で購入できる6コア6スレッドCPUは性能のバランスやコストパフォーマンスが非常に高く、RTX 2060やRTX 2070などミドルレンジからミドルハイクラスのゲーミングPCに最適なCPUだと思います。単純なCPU性能でこそ競合製品のRyzen 5 3600に一歩及びませんが、価格差が8000円程度あり、その予算をグラフィックボードに回せばGPUを1ランク上のものに上げることができます。動画配信等は行わずミドルクラスの環境でシンプルにPCゲーミングだけが目的であれば最もコスパに優れるCPUだと思います。非常に扱いやすいCPUなので2019年に自作PCに入門するというようなビギナーにもオススメです。
以上、「Intel Core i5 9400F」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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