Intel Turbo Boost Technology


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2019年最新CPUの消費電力、発熱、TDP、温度を正しく評価する上で重要な予備知識について簡単にまとめて紹介します。2017年に登場したCore i9 7900Xを皮切りに、Core i9 9900Kなど爆熱評価を受けるCPUが増えつつありますが、そういった爆熱評価のウソほんとを紐解いていきます。


最新CPUの温度と電力制御について

最初に最近のCPUの消費電力(CPU Package Power)やTDPに関する概要を簡単に解説しておきます。
以下の解説ではIntel/AMD環境を統一して評価できるように概要を簡単化、独自に定義し直している部分もありますが、おおむね近年のCPU事情に即した内容になっていると思います。
参考資料としてIntel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUのパワーマネジメント等の詳細な仕様が気になる人は公式データシート(英語)を参照してください。
https://www.intel.com/content/dam/www/public/us/en/documents/datasheets/8th-gen-core-family-datasheet-vol-1.pdf

まず大前提としてかなり大雑把な表現になりますが、1コアや2コアが主流だった昔のCPUは一定の動作クロックで動作しており、消費電力(発熱)は動作クロックに比例した一定値でした。CPUメーカーが決めた仕様(コア数や動作クロック)に対してその製品の消費電力(発熱)は決まるため、例えば消費電力(60W)のCPUを運用するには少なくとも60Wを放熱できるCPUクーラーが必要になります。そこで『CPUをオーバーヒートさせずに運用するために必要なCPUクーラーの放熱性能』を示す指標として「TDP(Thermal Design Power:熱電力設計)」という仕様値が生まれました。この時点では「CPU消費電力≒TDP」が成り立っていました。

しかしながら近年のCPUにおいては、下の概略図のように消費電力(発熱)はCPU負荷によって変動し、CPU温度もその時の発熱に応じて変動します。負荷によって消費電力が変動するのでパッと見では、CPU消費電力≒TDPが成り立たなくなっています。
CPU_power_TDP_Boost_1

上の概略図においてCPU消費電力(CPU負荷)は、CPU個別に設定された電力制限の範囲内で動作している青色のゾーンと、短期間/長期間電力制限が効いている赤色のゾーンの2種類に大別できます。

青色のゾーンでは基本的に電力制限の閾値よりも低い電力(CPU負荷)で変動しながら動作しており、CPU温度にも余裕があるので時折、高速(高消費電力)な動作をしています。オフィスワークやPCゲーミングのCPU負荷がこれに当たります。

赤色のゾーン(低)のうち消費電力の低い右側のゾーンは長期間にわたってCPUに90~100%の高い負荷がかかっており、長期間電力制限が機能していることを示しています。動画のエンコードや3Dレンダリングなど数十分から数時間以上の長期間に渡る高CPU負荷がこれにあたります。
赤色のゾーン(高)のうち消費電力の高い左側のゾーンは一定の短期間もしくは一定温度の閾値以下において、長期間電力制限よりも制限の緩い短期間電力制限の下で動作していることを示しています。Cinebenchなど十数秒以下のごく短期的な高CPU負荷がこれに当たります。Intel CPUであれば「Turbo Boost(2.0)」、AMD CPUであれば「Precision Boost&Pure Power」や「XFR (Extended Frequency Range)」によってこの動作が実現しています。

青色のゾーンはCPU負荷が変動しており平均的に見ても消費電力がそもそも低く、赤色のゾーン(高)は限られた短期間であり、かつ短期間電力制限はCPU温度によっても制御されているという前提もあるので、CPU温度が最も高くなる(冷却が難しい)のは赤色のゾーン(低)となります。
『CPUをオーバーヒートさせずに運用するために必要なCPUクーラーの放熱性能』という定義から考えれば最近のCPUにおいて「TDP」と同一視できる(すべきな)のは赤色のゾーン(低)の消費電力(長期間電力制限)になります。
CPU_power_TDP_Boost_temp
TDPの要旨や消費電力の現実的な意味(CPU温度への影響)を考えれば、”発熱”という意味でCPU消費電力として評価すべきなのは長期間電力制限時の消費電力(の平均値)となります。
しかしながらCPU温度に対する影響の小さい瞬間ピーク値や短期間電力制限値でCPUの消費電力を評価し、その数値とCPUの仕様値として公表されているTDPが大きく異なることを批判するレビューがかなり多いというのが現状です。瞬間的なピーク値で長期間動作するかのようなミスリーディングな内容で”爆熱”や”故障が心配”などと評価する記事も存在します。
CPU_power_TDP_Boost_powerー



最新CPUの動作クロックと電力制御の関係について

続いてCPUコアクロックとの関連について概要を簡単に紹介します。
簡単のため2コアCPUで考えますが、下は消費電力とCPU温度に加えてCPUコアクロックを追加した概略図になります。この例では単コアのブーストクロックは最大4.0GHz、短期間電力制限のゾーンでは全コアの動作クロックが3.8GHzになっています。
CPU_power_TDP_Boost_Clock_1
IntelとAMDの最新CPUではCPU消費電力(CPU Package Power)が低ければ短期間電力制限時の動作クロックよりも高い動作クロックで全コアは動作することができ、この動作によって、主に全コアが稼働するがCPU負荷自体は軽いワークロード、例えばPCゲームなどにおいてパフォーマンスが向上します。
CPU_power_TDP_Boost_Clock_2
最近のIntel CPUで顕著ですが(AMD CPUにも当てはまるケースがある)、ブーストクロックとして製品の仕様値に記載されている動作クロックが概略図における「a.単コアブースト:4.0GHz」、「b.最大全コアブースト:3.9GHz」、「c.短期間電力制限:3.8GHz」、「d.長期間電力制限:3.5GHz」のいずれを指しているのかが不明であるという問題があり、これがTDPや消費電力に関する評価や理解を大きく妨げています。
Intel第4世代Core CPUあたりまではd区間とb/c区間の差がそこまで大きくなかったので見逃されていましたが、Core i9 7900Xの登場辺りから、d区間とb/c区間の動作クロックの差が大きくなり(同時にTDPと消費電力の差も)、仕様と実動の差異が問題視されるようになりました。
CPU_power_TDP_Boost_Clock_3
さらに事態を複雑化させる要因としてCPU動作を決めるマザーボードBIOSの標準設定がマザーボードの各製品やBIOSバージョンで異なるという問題もあります。とくに最近のIntel CPUではマザーボードの選択がレビュアーに委ねられリファレンスとなる環境が実質存在しないので、”定格動作”というものがよくわからないことになっています。
そのせいでd区間の長期間電力制限が無効化(≒TDPが無視)され、長期間にわたってb区間やc区間の動作クロック(消費電力)で動作するような設定がデフォルトになっていて、長期間電力制限(≒TDP)を大幅に上回る消費電力や、その時のCPU温度がそのCPUの定格動作として評価されているケースも少なくありません。またCinebenchなど特定のワークロードを検出してその時だけ動作クロックが上がる(当然、消費電力も)、チートじみた動作をするケースもあります。
CPU_power_TDP_Boost_Clock_4



Intel CPUの動作クロック/電力制御の基本原理

概要解説の最後に、近年のIntel CPUとAMD CPUの動作クロック制御の基本原理についても簡単に説明しておきます。
Intel CPUについては、近年発売されている製品における大前提として、各CPUには負荷のかかっているコア数に応じた最大動作倍率が設定されています。8コアCPUのCore i9-9900Kの場合は1~2コアまでなら5.0GHz、3~4コアまでなら4.8GHz、5~8コアまでなら4.7GHzが標準の最大動作倍率です。
Intel CPUは最大動作倍率を上限として、次に紹介する電力制限に従って最大動作倍率の範囲内で動作します。なお1コア最大動作倍率で全コアを動作させる「Multi Core Enhancement(MCE)」という機能もあり、Intel公式の仕様では当然、無効化されている機能ですが、一部マザーボードでは標準で有効になっていることがあります。

Intel CPUの実際の動作倍率は「Intel Turbo Boost Technology(TB)」によって電力・温度・時間など様々な要因によって制御されています。Turbo Boostにおいて最も主要な制御ファクターは電力と時間で、それぞれ長期間電力制限(PL1)、短期間電力制限(PL2)、短期間電力制限時間(Tau)の3つのパラメーターが存在します。簡単にまとめると、Tauの時間内であれば、PL2というより閾値の高い制限電力内で高い動作クロックで動作できますが、その時間を超えるとPL1という制限電力内での動作を強制されます。Intel公式データシートではPL1 = TDPが推奨されていますが、実状としてはマザーボードによって標準設定はまちまちであり、無効化されていることが多いです。
Intel Turbo Boost Technology

Core i9-9900Kの仕様になっている『8コアで4.7GHzという最大動作倍率』に対して、動画のエンコードや3Dレンダリングなど全コアが稼働し、かつ重い負荷のかかるワークロードではTDP95Wの制限内では4.7GHzではとうてい動作しない、もしくはTDPを大幅に上回るので詐欺的ではないか勘違いがよくあります。
Intel CPUでは最大動作倍率をベースとして、それよりも優先される電力制限をさらに分けて設定することによって、PCゲームのようにTDP内で十分に収まるものの全コアが稼働するワークロードでは全コアが高速に動作するという高速化の恩恵が与えられ、同時にそのCPUを長期的に安定して運用できるサーマルソリューションがTDP(PL1)で明示されます。



AMD CPUの動作クロック/電力制御の基本原理

2019年最新のAMD CPU(Ryzenシリーズ)でもベースクロックや単コア最大動作クロックなど代表的な数値は仕様として決まっていますが、実際の動作クロックは複雑で、「Precision Boost」「Pure Power」「XFR (Extended Frequency Range)」などRyzen CPUの独自機能によってIntel CPUよりも能動的な動作クロック制御が実現されています。
AMD Ryzen CPUの動作クロック制御は、『数百個に及ぶ電圧、電流、温度などの各種センサーをプロセッサ内に実装し、そのデータをリアルタイムに参照しながら、適応型の内部操作処理を行う』というものになっています。つまりモニタリングしたデータをRyzen独自のインターコネクタ「Infinity Fabric」を介してフィードバックし、「Pure Power」や「Precision Boost」でパフォーマンス向上を図る、というループ制御をリアルタイムで行っています。
SenseMI Technology_Cotrol
AMD CPUでは上のようにリアルタイムなフィードバック制御を行っているので、『冷却環境に応じて最大動作倍率で動作するように制御する』という能動的な動作クロック制御が可能になっており、第2世代Ryzenではリアルタイムに各コアが25MHz刻みで制御されます。Intel Turbo Boostとの大きな違いとしては、負荷のかかっている時間(Tau)には基本的に依存せず、主にCPU温度(Tctl)と電力(PPT)によって制御されます。
Intelの長期間電力制限(PL1 ≒ TDP)のような設定値としてAMD CPUにはPPTという数値があります。例えばTDP105WのRyzen 7 2700XではPPT 141Wが設定されており、CPUクーラーの性能がTDP105W以上であればそれに応じて電力制限を最大141Wまで解除し、自動でオーバークロックさせる「XFR (Extended Frequency Range)」という機能があります。
precision-boost-overdrive



CPU仕様値のベースは最大動作倍率から電力制御に - そのメリットとデメリット

爆熱CPUの評価で話題になったIntel Core i9 7900Xの登場を境に、Intel製CPUの動作クロックに関する仕様が、最大動作倍率をベースにしたものから、電力制御をベースにしたものに変わったと言えます。(以前から後者も存在しましたが、Core i9 7900X登場以前は一般ユーザーが目にするCPUは前者が大半でした。)

どういうことかというと、Core i9 7900Xの登場以前のIntel製CPUは全コア最大動作倍率が仕様として公表され、またその数値はTDPの範囲内に収まるよう設定されていたので、『定格動作 = 最大動作倍率』と考えることができました。
しかしながら、Core i9 7900Xの登場以降、Intel初メインストリーム向け8コア16スレッドCPUのCore i9 9900Kでも顕著ですが、最大動作倍率で動作させるとCPUの消費電力がTDPを大幅に超過するCPUが現れ、『定格動作 = TDPによる電力制御』に変わりました。

Intelがある時期から最大動作倍率を使用として公表しなくなったのも、『定格動作 = TDPによる電力制御』へ変わったことに原因があると考えられます。CPUオーバークロック界隈では知られている事実ですが、CPUには「VID(コアクロックとCPU電圧の比例カーブ)」という個体差が存在します。
『定格動作 = 最大動作倍率』の時代であれば、全てのCPUは最大動作倍率(TDPの範囲内に収まる数値が予め設定されている)で動作するので、すべてのCPUが同じ動作クロックで動き、性能面で個体差が発生しませんが、『定格動作 = TDPによる電力制御』の時代になると、「VID」という個体差によって事情が変わってきます。
例えば4.5GHzで動作するのに1.1V必要な個体Aと1.15V必要な個体Bが存在した時、TDPを上限としてそれぞれを最大負荷で動作させた場合、個体Aのほうが高い動作クロックで動く、つまりCPUの個体差によって性能に差が出ることになるからです。
一例としてCore i9 9900KではTDP95W動作時の全コア負荷の実動平均値が4.1~4.4GHzの範囲内で個体差がありました。


個体差によって定格でも性能差が生じてしまうというデメリットを押してまで、なぜ『定格動作 = TDPによる電力制御』に変えたのかというと、PCゲームのように最大動作倍率が重要になるワークロードでの性能向上を目指したからというのが回答になります。
Core i9 7900Xの登場以前、第6世代以前のIntelエンスー向けCPUでは多コア多スレッドゆえに全コア負荷時の最大動作倍率がTDPに合わせて引き下げられていたため、手動OCをしないとメインストリーム向けCPUよりもゲーム性能で大きく劣るというのが通説でした。
『定格動作 = TDPによる電力制御』に変えた、つまりTDPの範囲内で動作できるのであれば全コアを高い動作クロックで維持できるようになったので、PCゲームのように全コアが稼働するものの負荷的には余裕でTDP範囲内に収まるワークロードにおいて、Core i9 9900KやCore i9 9980XEなど多コア多スレッドのCPUが定格のままで高いパフォーマンスを発揮できるようになりました。
Intel Core i9 9980XE_game_1920_sowIntel Core i9 9980XE_game_1920_sottr

簡単にまとめると、『定格動作 = TDPによる電力制御』に変わったことによるメリットとデメリットは次のようになります。
メリット:多コア多スレッドの高価なCPUでPCゲームなどの性能が向上した
デメリット:個体差によって定格でも性能差が生じてしまう




消費電力 = CPU温度ではない?

消費電力やTDPが必ずしも「CPU温度」や「CPUの冷やし易さ」に直結しないという一例を紹介します。

最初にこれまでの解説のおさらいとして、しばしば爆熱と評価される「Intel Core i9 9900K」が一般的な120サイズ冷却ファン搭載のサイドフロー型空冷CPUクーラーで運用できるかどうかを検証してみた結果を確認します。
検証負荷には動画のエンコードを実行しています。空冷CPUクーラー使用時のCPU温度検証の検証機材CPUクーラーには、Noctua製サイドフロー型CPUクーラーのスタンダードモデル「Noctua NH-U12S」を使用しており、冷却ファンは次世代120mmファン「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換しています。
CPU Air Cooler Temp Test
「Intel Core i9 9900K」を空冷CPUクーラーで冷やしてみると、マザーボード標準設定となる全コア4.7GHzではベンチ板上での測定でもCPU温度が80度後半に達しました。一方で定格動作の通りに電力制限を行うとCPU温度は60度台に収まっており、一般的な120サイズ冷却ファンの空冷CPUクーラーでも問題なく運用できます。またTDP95W動作時のIntel Core i9 9900Kの全コア動作クロックは実動平均で4.1GHz程度になるようです。ワークロードの重さでこれより低くなる可能性がありますが、ベースクロック仕様値の3.6GHzはTDP95W制限下でもクリアできていると見て問題なさそうです。
Core i9 9900K_temp_air

検証機材として組み合わせて使用されるマザーボード標準設定がTDP95Wを満たす定格動作を無視したものになっているので
、国内外の多くのレビューにおいて、Intel Core i9 9900Kはしばしば消費電力(発熱)が非常に大きく、CPU温度が高温になるためハイエンド空冷や簡易水冷のCPUクーラーが必要である、と評価されることが多いですが、仕様値通りにTDP95Wの動作設定であれば当然ながら消費電力は抑制され、一般的な空冷CPUクーラーでも問題なく運用できます。
当サイトではCore i9 7900Xのレビューから指摘していたことですが、『IntelはES品等の検証において定格動作設定を使用するガイドラインを示す』、『マザーボードベンダーはBIOS標準設定に定格動作を満たす設定を採用する』の2点を徹底してもらいたいというのが管理人の意見です。

一方で下のグラフは「Intel Core i9 9980XE」を空冷CPUクーラーや120サイズ簡易水冷CPUクーラーで冷やしてみた様子です。Intel公式の仕様値であるTDP165Wの定格動作の通りに電力制限を行うとCPU温度は60度前後に収まっており、一般的な120サイズ冷却ファンの空冷/簡易水冷CPUクーラーでも問題なく運用できることがわかります。
Intel Core i9 9980XE_air_temp
8コア16スレッドのメインストリーム向けCPUであるCore i9 9900Kを上と同じ空冷CPUクーラーで冷やした時の様子を振り返ると、Core i9 9900Kを全コア4.7GHzで動作させた場合、CPU消費電力が150W程度になるのに対して、Core i9 9980XEの定格消費電力180Wより低いにもかかわらず、空冷CPUクーラーの冷却が追いつかず、CPU温度が80度を軽くオーバーしています。
Core i9 9900K_temp_air
Core i9 9980XEなどCore-X CPUのほうがCPUダイが倍以上大きく、またヒートスプレッダも大きいので、上のように長時間負荷時の消費電力とCPU温度の逆転が発生しています。
Core-Xシリーズは消費電力だけを見て冷やすのが難しいと評価されることがありますが、接触面積の大きさ(熱交換効率の高さ)で有利なので、消費電力150WのCore i9 9900Kに比べて消費電力180WのCore i9 9980XEのほうが大きな消費電力(発熱)でも冷やしやすくなっています。
Intel Core i9 9980XE review_05390_DxO
上のようにCPUダイの大きさ、CPUヒートスプレッダのサイズ、TIMの種類などが変わると、CPU消費電力はCPU温度やCPUの冷やしやすさに直結しないケースがあります。
AMD Ryzen CPUはCPUクーラーの冷却性能に応じた自動OC機能があってIntel CPUよりも高い消費電力を示すケースが多いですが、AMD Ryzen CPUはIntel Core-S CPUよりもCPUヒートスプレッダが大きく、またCPUダイとヒートスプレッダ間にソルダリングが採用されているため、TDPや実際の消費電力に差があっても、CPUの冷やしやすさに大差はなかったりします。
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まとめ

長くなりましたが以上が最近のCPUの消費電力・発熱・TDP・温度に関する諸事情です。
管理人は”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、当サイトのCPUレビューでは動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力とします。

個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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