快適配信-Ryzen


スポンサードリンク




【快適配信】シリーズは、Youtube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲーム機やPCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに役立つ予備知識を紹介していくコーナーです。

【快適配信】シリーズの第1弾ではOBSを使用したTVゲームの配信(厳密にはPCゲームも含めてビデオキャプチャを使用した配信)に必要なCPU性能についてIntel製CPUを例にして紹介しましたが、第2弾では同じ用途におけるAMD Ryzen CPUの性能を検証したので、その結果をご紹介します。価格あたりのコアスレッド数においてIntel製CPUよりも優位なAMD Ryzen CPUは、2~3万円でx264 Mediumプリセットの高画質なプレイ動画配信デビューが可能になる高コストパフォーマンスなCPUです。

TVゲームと限定していますが、同じくビデオキャプチャを使用してゲームプレイ機と動画配信機の2台構成でPCゲームを配信する場合についても、動画配信機に必要なCPU性能の参考にもなります。なおPC1台でPCゲームをプレイ&配信する場合は事情が変わってくるので後日公開予定の別記事をお待ちください。
国内サイトで唯一(たぶん)、録画動画のフレームレートを厳密に数値化して各種CPUのリアルタイム配信性能をベンチマーク測定することに成功、その結果を元に比較しています!


OBSの概要と設定、ビデオキャプチャについて

「OBS(Open Broadcaster Software)」はその名前の通りオープンソースかつ利用フリーで公開されているストリーミングアプリケーションで、Youtube LiveやTwitchなど主要なリアルタイム配信(ストリーミング)サービスには基本的にほぼ全て対応しており、ライブ配信業界随一のユーザー数を誇ります。
公式ページ:https://obsproject.com/ja
OBSDemoApp

「OBS(Open Broadcaster Software)」を使用してプレイ動画の配信を行う場合、エンコーダとしてはCPUを使用するx264のソフトウェアエンコーダと、NVEncのようにNVIDIA/AMD製GPUを使用するハードウェアエンコーダがあります。フルHD解像度ならGeForce GTX 1660やRadeon RX 580のようなミドルクラスGPUで十分な画質とフレームレートが得られたコストパフォーマンス的にGPUエンコーダのほうがオススメという本音もあるのですが、今回は画質の高さで定評のあるx264エンコードについて紹介します。
NVIDIAによると、旧NVEnc(GTX 10XXシリーズ以前)、x264のFastプリセット、新NVEnc(RTX 20XX/GTX 16XXシリーズ)、x264のMediumプリセットの順番に高画質になるとのことなので、FastプリセットとMediumプリセットで快適に配信できるCPUを調べてみました。
geforce-rtx-streaming-encoder-improves-image-quality
エンコード設定としては上述の通りエンコーダはCPUを使用するソフトウェアエンコーダのx264、CPU使用のプリセット(画質に影響)はFastとMedium、ビットレート制御はCBRでビットレートはフルHD解像度の配信で主流な6Mbpsです。ちなみにYoutube LiveはフルHD解像度で12Mbpsに対応していますが、6Mbpsと12Mbpsを比べると12MbpsのほうがCPU性能を要求される傾向にあります。(ビットレートが高くするとCPU性能の要求が上がる)
OBS_x264_Fast_CBR_6MbpsOBS_x264_medium_CBR_6Mbps

PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲーム機のプレイ画面を配信するには、PCにゲーム画面を取り込むためのビデオキャプチャが必要になります。
外付け/内蔵のビデオキャプチャについて詳細は当記事では割愛しますが、とりあえず当サイトでは同じくAVerMedia製品をオススメしています。最新機種の機能やスペックをまとめた比較記事を公開し、各製品の詳細レビューもあるので参考にしてください。
AVerMedia製ビデオキャプチャの最新おすすめ機種を機能比較
AVerMedia最新ビデオキャプチャのおすすめ



AMD Ryzen CPUのビデオキャプチャを使用したリアルタイム配信性能

PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲームや2台構成におけるPCゲームのプレイ画面をビデオキャプチャで取り込んでフルHD解像度で高画質に配信するシーンにおいて、AMD Ryzen CPUがどのようなパフォーマンスを発揮するのかチェックしていきます。

前回は比較サンプルとしてIntel製CPUでコアクロックを3.8GHzに固定し、4コア8スレッド、6コア6スレッド、6コア12スレッド、8コア8スレッドの4種類を検証しましたが、今回は第2世代Ryzenから6コア12スレッドのRyzen 5 2600Xと8コア16スレッドのRyzen 7 2700Xの2種類を使用して同様に検証しました。
DSC05304_DxO
検証に用いる映像ソースはMiddle-Earth: Shadow of War(フルHD解像度、高-画質プリセット)のベンチマークを使用しています。画面の変化が高速で比較的コマ落ちの発生しやすい映像ソースなので、この映像ソースに対応できれば、基本的に問題ないはずです。

プレイ動画の配信検証記事では実際に録画した動画の画面を見せてコマ落ちを読み手に確認させる形態が多いですが、当記事の特長として録画した動画のフレーム落ちを厳密に測定して、その推移や平均フレームレートから定量的に比較しています。おそらく国内でこの比較ができているのは当サイトだけ!


x264エンコーダのMediumプリセット、CBR 6Mbpsで録画した時の各CPUのフレームレート推移は次のグラフのようになっています。
前回のおさらいになりますが、Intel製CPUでは2017年初頭までメインストリーム向け最上位だった4コア8スレッドや、2019年現在メインストリーム向けミドルクラスに位置する6コア6スレッドではフレーム落ちが大幅に発生し、6コア12スレッドや8コア8スレッドのCore i7クラスでないとx264 Mediumプリセットに対応できませんでした。
OBS(VC)_x264_medium_6Mbps
AMD製CPUでも6コア12スレッドと8コア16スレッドの2種類でコアクロックを3.8GHzに固定して、同様に検証してみたところ、8コア16スレッドでは全くフレーム落ちは発生せず、6コア12スレッドでは僅かながらフレーム落ちが発生しましたが実用上は問題のないレベルに収まりました。
OBS(VC)_x264_Medium_Ryzen_1
x264エンコーダのMediumプリセットについて、AMDの6コア12スレッド、AMDの8コア16スレッド、Intelの6コア12スレッド、以上3種類で録画した動画を比較した様子が次のようになっています。(なお動画のFPSプロットは若干ズレがあるので厳密な推移は上のグラフを参照してください)


6コア12スレッドCPUのAMD Ryzen 5 2600Xと、Core i5 9400Fのような6コア6スレッドでコアクロックが3.8GHz前後のIntel Core i5シリーズという2万円台で購入できるCPU同士で比較してみると、ビデオキャプチャを使用してx264エンコーダ/Mediumプリセットにおける録画のフレームレートは歴然の差です。2万円ながらマルチスレッディングに対応したAMD Ryzen 5 2600Xのリアルタイム配信におけるコストパフォーマンスの高さが光ります。
OBS(VC)_x264_Medium_Ryzen_2
2万円前後という同じ価格帯のAMD Ryzen 5 2600XとIntel 第8/9世代Core i5シリーズで録画した動画を比較した様子が次のようになっています。(なお動画のFPSプロットは若干ズレがあるので厳密な推移は上のグラフを参照してください)



動画編集におけるエンコード性能では6コア12スレッドのAMD Ryzen 5 2600Xと6コア6スレッドのIntel Core i5シリーズの差は20%前後ですが、60FPSキープが至上命題になるリアルタイム配信(エンコード)を行う場合、CPUがマルチスレッディングに対応しているかどうかが非常に重要になるので注意してください。
動画エンコードにオススメなCPUは?最新20種のCPUで徹底比較
動画編集・エンコードにオススメなCPUは?最新20種のCPUで徹底比較



まとめ:AMD RyzenはTVゲーム配信で高コスパなCPU

以上、PC1台でPCゲームをプレイしながらOBSでx264エンコーダによってフルHD解像度の高画質動画を配信するのに必要なCPU性能についてAMD Ryzen CPUを加えた検証結果を確認しましたが、8コア16スレッドのRyzen 7シリーズは当然として、2万円ながら6コア12スレッドのRyzen 5 2600Xでも、高画質の基準となるx264のMediumプリセットで安定した配信が可能であることがわかりました。
Intel製CPUで同水準の配信を行うには4万円以上のCore i7シリーズが要求されることを考えると、2万円で購入できるRyzen 5 2600Xのコストパフォーマンスの高さが光ります。PC1台でプレイ&配信を行うようなケースでは傾向が変わってくるのですが、ビデオキャプチャを使用したリアルタイム配信に使用するCPUとしてはRyzen 5 2600XなどAMD製CPUは非常にオススメです。






【快適配信】シリーズの最新記事やバックナンバーについてはこちらの記事一覧を参照してください。
【快適配信】シリーズの記事一覧へ
【快適配信】シリーズの記事一覧へ



関連記事

CPUレビュー記事一覧へ
CPUレビュー記事一覧へ

Intel第9世代CoffeeLake Refresh-Sのレビュー記事一覧へ
Intel 9th Gen Core CoffeeLake Refresh

AMD第2世代Ryzenのレビュー記事一覧へ
AMD第2世代Ryzenのレビュー記事一覧へ

Intel第9世代Core-Xのレビュー記事一覧へ
Intel Core-X

AMD Ryzen Threadripperのレビュー記事一覧へ
AMD Ryzen Threadripperのレビュー記事一覧へ

「Intel Xeon W-3175X」をレビュー。9980XEや2990WXと徹底比較
Intel Xeon W-3175X




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク