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Kingstonから新たにリリースされた最新のTLC型3D NANDを採用するメインストリーム向け2.5インチSATA SSD「Kingston KC600 1TB(型番:SKC600/1024G)」をレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.kingston.com/jp/ssd/kc600-sata-solid-state-drive
データシート:https://s3.ap-northeast-2~/Samsung_SSD_860_EVO_M2_Data_Sheet_Rev1.pdf
Kingston KC600 1TB レビュー目次
1.Kingston KC600について
2.Kingston KC600 1TBの外観
3.Kingston KC600 1TBの検証機材と基本仕様
4.Kingston KC600 1TBのベンチマーク比較
5.Kingston KC600 1TBの連続書き込みについて
6.Kingston KC600 1TBの実用性能比較
7.Kingston KC600 1TBのレビューまとめ
Kingston KC600について
Kingston社が送る2.5インチSATA SSD「Kingston KC600」シリーズは同社にとってSATA SSDの普及帯メインストリーム向けモデルとなっています。Kingston KC600シリーズではメモリチップに最新のTLC型3D NANDを採用、メモリコントローラーにはSilicon Motion SM2259を使用しています。「Kingston KC600」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが最大で、シーケンシャル読出550MB/s、シーケンシャル書込520MB/s、4Kランダム読出90,000 IOPS、4Kランダム書込80,000 IOPSという、SATA SSDとしては理想的な速度を実現しています。
「Kingston KC600」のMTBF(平均故障間隔)は100万時間、書込耐性は256GBが150TBW、512GBが300TBW、1TBが600TBW、2TBが1200TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Kingston KC600 スペック一覧 |
||||
容量 | 256GB SKC600/256G |
512GB SKC600/512G |
1TB SKC600/1024G |
2TB SKC600/2048G |
メモリー | TLC型3D NAND |
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コントローラ | Silicon Motion SM2259 | |||
連続読出 | 550MB/s | |||
連続書込 | 500MB/s | 520MB/s | ||
4Kランダム読出 QD1 / QD32 |
90,000 IOPS | |||
4Kランダム書込 QD1 / QD32 |
80,000 IOPS | |||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | |||
MTBF | 100万時間 | |||
耐久性評価 | 150TBW | 300TBW | 600TBW | 1200TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Kingston KC600 1TBの外観
まず最初にKingston KC600 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。「Kingston KC600 1TB」のSSD本体についてはマットな黒色塗装の金属製外装に、非光沢な銀色でKingstonのアイコン&テキストロゴが表面に大きく刻印されています。モアイっぽいアイコンロゴは正直なところダサいので改善を期待したいのですが……。寸法は2.5インチストレージの規格通り縦70mm x 横100mmで、厚さは7mmです。
「Kingston KC600 1TB」のSSD背面にはモデル名やバーコード等の仕様に関するシールが貼られています。
Kingston KC600 1TBの検証機材と基本仕様
Kingston KC600 1TBの各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Kingston KC600 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
「Kingston KC600 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、使用可能な空きスペースは953GBでした。
Kingston KC600 1TBのベンチマーク比較
「Kingston KC600 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として2.5インチSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 QVO 4TB(レビュー)」、「WD Blue 3D NAND SATA SSD 1TB(レビュー)」、「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.2(8GiB)について、「Kingston KC600 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Kingston KC600 1TB」のベンチマークスコアは連続読み出し560MB/s、連続書き込み520MB/sでSATA3.0 SSDとしては理想的な性能です。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Kingston KC600 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Kingston KC600 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
PCMark8 ストレージテストについて、「Kingston KC600 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Kingston KC600 1TBの連続書き込みについて
「Kingston KC600 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型NANDやQLC型NANDと呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、書き込み速度の底上げのためNANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能が実装されています。SLCキャッシュ機能を有するSSDにおいて、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
「Samsung SSD 860 PRO(レビュー)」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持することが可能です。
SATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
しかしながら2018年から2019年初頭にかけて主流な3D NANDや、2019年以降に採用製品が増えつつある90層オーバーの最新3D NANDでは、SLCキャッシュを介さない書き込み速度が改善されています。
3D NANDを採用しているTLC型SATA SSDの「Kingston KC600(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」「Crucial MX500(レビュー)」などで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)
「Kingston KC600 1TB」ではどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、100GBの大容量書き込みに対して、最初の60GB程度はSATA3.0規格として理想的な500MB/sを維持できていますが、それ以降はSLCキャッシュを超過するようで、書き込み速度が僅かに下がって450MB/s程度になりました。
「Kingston KC600 1TB」はTLC型に分類されるSSDですが、最新の3D NANDを採用しているので容量1TB以上のモデルではTLC型SSDの欠点である大容量書き込み時の速度低下が概ね解消されています。SLCキャッシュ超過時には速度低下こそ発生するものの程度としては小さく、またSLCキャッシュ容量も数十GBが確保されているので、SLCキャッシュ超過の影響で不便を感じることはないと思います。
なお1TB容量のうち半分に当たる500GBを埋めた状態で同様の検証を行ったところ、SLCキャッシュ容量は40GB程度に減りました。「Kingston KC600 1TB」では使用済み容量に対してSLCキャッシュは可変となっているようです。
Kingston KC600 1TBの実用性能比較
続いて「Kingston KC600 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。ベンチマークソフトによる基礎検証同様に比較対象として2.5インチSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 QVO 4TB(レビュー)」、「WD Blue 3D NAND SATA SSD 1TB(レビュー)」、「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」でも測定を行いました。
まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを設置しています。
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
「Kingston KC600 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
「Kingston KC600 1TB」は動画ファイルのコピー読み出しにおいて、比較対象のSATA SSDも含めて、連続読み出し性能がどの製品でもSATA3.0の規格上限に達しているのでコピー読み出し時間も100秒程度で横並びになっており、読み出し速度は500MB/s程度となっています。
「Kingston KC600 1TB」は動画ファイルのコピー書き込みにおいて、コピー読み出しと同様にほぼ横並びな結果になっています。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
「Kingston KC600 1TB」はゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、動画ファイルと同様にSATA SSDはいずれも180秒程度で横並びになっており、読み出し速度は平均420MB/s程度となっています。
「Kingston KC600 1TB」はゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、同じくTLC型のSamsung 860 EVO 1TBよりも遅れ、WD Blue 3D SATA SSDと同程度の速度でした。総書き込み容量が80GBでSLCキャッシュ容量を超過するので書き込みの所要時間に差が出るようです。
続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。
以上の条件で「Kingston KC600 1TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ゲームロード時間を測定して比較してみたところ、SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。
今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
Kingston KC600 1TBのレビューまとめ
最後に「Kingston KC600 1TB(型番:SKC600/1024G)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- SATA3.0規格として理想的な連続リード560MB/s、連続ライト520MB/s
- TLC型SSDながら1TB以上のモデルは連続した大容量の書き込みでも450~500MB/sを維持
- 高価なMLC型SATA SSDと比較しても遜色ないリード・ライト性能
- TLC型SSDらしい安価な価格帯
- 1TB当たりの耐久性評価は600TBWで高寿命
- TLC型SSDなので容量下位モデルは大容量書き込み時に書込速度が低下する可能性あり
- SSD外装のメーカーロゴが人を選びそう (管理人的にはダサく見える)
「Kingston KC600 1TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークでは既存のSATA SSD同様にSATA3.0の規格上限を満たす理想的なスコアでした。
従来型のTLC SSDではSLCキャッシュ容量を超えるような連続した大容量の書き込み時、ステップ状に大幅な速度低下が発生するという欠点がありましたが、最新の3D NANDを採用するKingston KC600のうち容量1TB以上の大容量モデルはTLC SSDながらその欠点をほぼ解消しています。
「Kingston KC600 1TB」は実際のファイルコピー速度の比較においても従来型TLC SSDと違って大幅な書き込み速度の低下は発生せず、高価なMLC型SSDでありSATA SSDの中でも最高クラスの性能を誇るSamsung 860 PROと遜色ないパフォーマンスを発揮しています。
ただし250GB/500GBの容量下位モデルはSLCキャッシュを超過して大容量書き込みが発生すると書き込み速度は300MB/s程度まで低下する可能性が高いので注意が必要です。
Kingston KC600は耐久性についても容量1TBあたりで600TBWとなっており、TLC型3D NANDを採用する一般的な他社製品よりも高い書き込み耐性が保証されているところも魅力です。
以上、「Kingston KC600 1TB」のレビューでした。
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・「Crucial MX500 SSD 2TB」をレビュー
・大容量の書込でも遅くならない「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB」をレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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