Pixio PX5 HAYABUSA2


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フルHD解像度で240Hzリフレッシュレートの24.5インチサイズIPS液晶ゲーミングモニタ「Pixio PX5 HAYABUSA2」をレビューしていきます。可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync」に対応、フルHD解像度で240HzリフレッシュレートのIPS液晶パネルを採用という最速と高画質を兼ね備えたスペックで、近年流行りなバトルロイヤル系PCゲームにイチオシなゲーミングモニタの実力を徹底検証します。
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製品公式ページ:https://www.pixiogaming.jp/px5h2
マニュアル:https://87032f5c-d911-4c13-8626-997b3d898b3f.filesusr.com/ugd/349c0f_b7a69303d377441ebce52f4a8b92e306.pdf





Pixio PX5 HAYABUSA2 レビュー目次


1.Pixio PX5 HAYABUSA2の概要
2.Pixio PX5 HAYABUSA2の開封・付属品
3.Pixio PX5 HAYABUSA2の液晶モニタ本体
4.Pixio PX5 HAYABUSA2のOSD操作・設定
5.Pixio PX5 HAYABUSA2のパネルタイプ・発色・視野角
6.Pixio PX5 HAYABUSA2の240Hzリフレッシュレートについて
7.Pixio PX5 HAYABUSA2の応答速度・表示遅延
8.Pixio PX5 HAYABUSA2のFreeSync/G-Sync CPについて
9.Pixio PX5 HAYABUSA2のHDR表示やHDCP対応について
10.Pixio PX5 HAYABUSA2のレビューまとめ



【機材協力:Pixio Japan】


Pixio PX5 HAYABUSA2の概要

「Pixio PX5 HAYABUSA2」は解像度が1920×1080のフルHD解像度、画面サイズが24.5インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用されています。コントラスト比は通常1,000:1、応答速度は1ms(GTG)、輝度は標準400nits(cd/m^2)です。VESA DisplayHDRのような輝度認証はありませんが、HDR表示に対応しています。

「Pixio PX5 HAYABUSA2」のリフレッシュレートはネイティブ240Hzです。240Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。

「Pixio PX5 HAYABUSA2」はAMD/NVIDIA製グラフィックボードやXbox One Xを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。AMD FreeSyncに対応したビデオ出力はDisplayPortとHDMIの2系統で、いずれも対応フレームレートは48Hz~240Hzと広範囲です。

「Pixio PX5 HAYABUSA2」に搭載されたビデオ入力はHDMI1.4、HDMI2.0、DisplayPort1.2の3系統です。HDMI2.0とDisplayPort1.2はフルHD/240Hzに対応しますが、HDMI1.4はフルHD/144Hzが上限となります。

「Pixio PX5 HAYABUSA2」の寸法はモニタスタンド込みで幅552mm x 高さ415~505mm x 奥行172mm(モニタ単体では50mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整に対応しています。90度回転ピボットにも対応します。チルト角は上20度から下5度、スイーベル角は左右45度、高さ調整は最大90mmの範囲で調節可能です。本体重量はモニタスタンドありで7.7kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは4.2kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。


Pixio PX5 HAYABUSA2の開封・付属品

まずは「Pixio PX5 HAYABUSA2」を開封していきます。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」のパッケージサイズは幅555mm×厚さ150mm×高さ415mmとなっており、24インチモニタが入っている箱としては横幅が若干大きめで、重量は8kg程度です。天面には持ち手が付いているので女性でも問題なく持ち運べると思います。
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モニタのパッケージというと、天面を開いて中のスペーサーを抜き出す梱包形式が多いですが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」は外パッケージがN式箱になっていて、開く方向も短辺方向なので簡単に開封できます。
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蓋を開くと、上側に各種付属品が収められた小分けのパッケージとモニタスタンドのフットプレートが収納されており、その下にスポンジ製スペーサーで保護されたモニタ本体があります。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」の付属品を簡単にチェックしておくと、DisplayPortケーブル、ACアダプタ、ACケーブル、交換用ゴム足パッドが付属します。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」のビデオ入力はDisplayPort1.2とHDMI2.0とHDMI1.4の3つがありますが、付属するケーブルはDisplayPortケーブル 1本だけです。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」、HDMI2.0ケーブルなら「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ DH-HDP14ESBKシリーズ」がおすすめです。いずれも標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
おすすめDisplayPort1.4ケーブル


エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されていますがフレームは最初からモニタ本体に装着済みです。
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フットプレートは付属のネジを3つ使ってフレームに固定する構造です。簡易的なドライバーは標準で付属するので各自でドライバーを用意する必要はありません。
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Pixio PX5 HAYABUSA2の液晶モニタ本体

続いて「Pixio PX5 HAYABUSA2」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」の上と左右はフレームレス構造ですが、フレーム内パネル上には非表示領域があり、上左右の非表示領域の幅は7mm程度、フレームのある下は20mm程度です。下フレームの左端にはグレー文字でPX5 HAYABUSA 2のテキストロゴが刻印されています。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」の背面外装は黒色プラスチックで右上にPixioのメーカーロゴが薄っすらと刻印されているだけのシンプルなデザインです。
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モニタスタンドもシンプルな黒色塗装ですが、モニタスタンド中央には濃いめの黒色でHAYABUSA2のロゴが刻印されています。正面から見えるフットプレート部分もプラスチック製ですが、ヘアライン風の表面加工(どちらかちうと木目に見える)が施されています。
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スタンドのフットプレート側の根本にはダイヤルが付いているので、左右スイーベルの最適な角度を覚えておくのに便利です。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」のモニタ本体の厚さは最薄部で20mm、最厚部で50mmほどと最近の液晶モニタとしては厚標準的な厚みです。モニタ本体重量は2.9kg程度と軽量です。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」のモニタ本体背面のモニタスタンド根本の直下には下向きに各種I/OやAC端子が配置されています。右側に左から順に、ヘッドホン端子、DisplayPort1.2ビデオ入力、HDMI2.0ビデオ入力、HDMI1.4ビデオ入力、USB端子(ファームウェアアップデート用でユーザーは使用しない)、DC端子が設置されています。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に20度です。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右45度(90度)に対応しています。首振りの可動域は狭めです。
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モニターの高さはモニター本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、全高で415mm~505mmの範囲内で調整できます。
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付属のスタンドはピボットに対応しており、縦向きにして使用できます。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」はモニタスタンドのフレームが標準でモニタ本体に固定されていますが、根本4カ所のネジを外すとフレームを着脱できます。なおカバーもプラスチックのツメで固定されているので、強めに引っ張って外す感じです。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」はVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も4.5kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
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モニターアームについては管理人は「Lumen MA-GS102BK」、もしくは色違いでほぼ同機能な「サンワダイレクト 100-LA018」という製品をおすすめしています。モニターアームというとエルゴトロン製が一番の売れ筋ですが、クランプのネジが下に伸びているタイプのモニターアームは机に干渉して使えないという問題があり、MA-GS102BKはクランプを上側から六角レンチで締めるタイプでテーブル下の隙間が狭いデスクでも使用できるので管理人も使っています。
Lumen MA-GS102BK
「Lumen MA-GS102BK」はモニタとアームを接続する部分がクイックリリースのブラケット式になっていてモニタアームからモニタ本体の着脱が非常に簡単です。ピボット機能もあるので設置後にモニタを縦・横で向きを切り替えることもできます。ただ関節の滑りに若干難があるので潤滑剤を塗布するのがおすすめです。
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Pixio PX5 HAYABUSA2のOSD操作・設定

「Pixio PX5 HAYABUSA2」のOSD操作はモニタ背面左側(正面から見て右側)に配置された操作スティックを使用します。
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操作スティックは上下左右と押下の5つの操作が可能で、操作ボタン各種の応答も良好でした。同種の操作スティックを採用する他社製品の一部では操作スティックの応答が微妙なことがありますが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」は押下ボタンも含めて反応が良いので操作しやすく感じました。
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操作スティックの上下左右にはショートカット機能が割り当てられています。操作スティックを上方向に動かすとビデオ入力切替のショートカットメニューが画面中央下に表示されます。下方向に動かすと輝度調整メニューが表示されます。右方向に動かすとOSDクロスヘアの表示切替、左方向に動かすとプリセットモードが切り替わります。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」の操作スティックを押下すると詳細メニューが表示されます。メニューは24.5インチ画面の4分の1程度を占有するので見やすいサイズ感だと思います。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」は初めて起動した時にOSD言語として英語が適用されていますが、日本語UIにも対応しています。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」のOSDメニューには大きく分けて、「入力」「明るさ・コントラスト」「色設定」「画質設定」「ディスプレイ設定」「オーディオ設定」「OSD設定」「User Setup(ユーザー設定プロファイル)」「その他の設定」の9つの項目が用意されています。
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ゲーム向上モードという設定項目からは、リアルタイムの画面リフレッシュレートを表示する「フレームレート」(可変リフレッシュレートが有効な場合、OSD表示がリアルタイムで変化する)、カウントダウンを表示する「タイマー」があります。OSDで照準を表示する機能がないのは残念です。

一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「Pixio PX5 HAYABUSA2」では「応答速度」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度をOff/Low/Middle/Highの4段階で設定ができて、標準設定はOffになっています。
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黒の強弱を調節して暗がりの視認性を高める機能「暗さスタビライザー」も用意されており、補正強度はレベル0~20の21段階で設定が可能です。標準設定ではレベル0(機能OFFの状態)が設定されており、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。
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可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)は、その他の設定の項目内に「FreeSync(Adaptive Sync)」の名前で設定項目が配置されています。標準ではオフになっています。
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HDR表示についても、その他の設定の項目内に「HDR」の名前で設定項目が配置されています。標準ではオフになっています。
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その他の設定の項目内にはOSDクロスヘアに関する「Crosshair(LoS)」という設定項目も配置されています。「Pixio PX5 HAYABUSA2」は可変リフレッシュレート同期機能にも対応しているのでリアルタイムなリフレッシュレートをOSD表示する機能も実装していて欲しかったです。
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Pixio PX5 HAYABUSA2のパネルタイプ・発色・視野角

Pixio PX5 HAYABUSA2の画質についてチェックしていきます。
直接的な画質ではありませんがPixio PX5 HAYABUSA2の液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
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液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表

IPS VA TN
色再現性
コントラスト
視野角
応答速度
価格 (高RR)
△ (×)

液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
ゲーミングモニタの選び方[4] IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説
ゲーミングモニタの選び方[4] IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説


「Pixio PX5 HAYABUSA2」(画質設定は標準のまま)で、いくつかのカラーグラデーション画像を表示して確認してみたところ、発色に優れたIPS液晶パネルなので滑らかなグラデーションで綺麗に表示されました。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」は240Hzの超高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
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比較対象として下の写真は240Hzリフレッシュレート対応で一般的なTN液晶パネルですが、最近では左右の視野角は若干黄ばむものの大きな色の破綻はありませんが、上下については多少の角度でも色が破綻しています。
TN (2)

バックライトの輝度の均一性(Uniformity)についてIPS液晶パネルの一般的な特徴として左右の端、特に四隅は若干暗くなる傾向があります。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」については全体を白表示にして左右の端が若干暗く感じる程度なので、IPS液晶パネルとしてはそこそこ優秀な部類だと思います。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」の発色については前述の通りIPS液晶パネルなので良好なのですが、色設定は色温度:ノーマルでも青が強めで若干クセがあります。暖色に切り替えると今度は白がやや黄色がかるので苦手に感じる人もいそうなので、発色に違和感がある場合は、ユーザー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
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Pixio PX5 HAYABUSA2の240Hzリフレッシュレートについて

「Pixio PX5 HAYABUSA2」の最大の特徴の1つである240Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。

まずは「Pixio PX5 HAYABUSA2」の特徴の1つである”240Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、240Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの4倍となる1秒間に240回の画面更新を行います。
60Hz-144Hz-240Hz RefreshRate
1秒間に240回の画面更新を行う240Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。


「Pixio PX5 HAYABUSA2」ではNVIDIA GeForce RTX20/GTX16シリーズやAMD Radeon VII/RX Vega/5XXシリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.2もしくはHDMI2.0のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzや240Hzなどに自由に設定できます。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合はNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
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「Pixio PX5 HAYABUSA2」に搭載されている2基のHDMIビデオ入力のうち一方(HDMI1)はver2.0なので、こちらはフルHD/240Hzに対応しています。もう一方のHDMI2はver1.4なのでフルHD/144Hzが上限です。
Pixio PX5 HAYABUSA2_240Hz_HDMI

オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて240Hzリフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。


NVIDIA公式からもハイリフレッシュレートなゲーミングモニタとハイフレームレートに対応可能な高性能グラフィックボードを使用するメリットについて紹介する「動画が公開されています。



なお「Pixio PX5 HAYABUSA2」でフルHD解像度/240FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能がそれなりに要求されます。液晶モニタに「Pixio PX5 HAYABUSA2」を使用するのであれば2019年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 2080 SUPERやNVIDIA GeForce RTX 2080 Tiがおすすめです。
GeForce RTX 20XX/GTX 16XXシリーズのレビュー記事一覧へ
GeForce RTX 2080 Ti レビュー記事一覧へ



Pixio PX5 HAYABUSA2の応答速度・表示遅延

次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「ASUS TUF Gaming VG279QM」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。

まずは「Pixio PX5 HAYABUSA2」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて

「Pixio PX5 HAYABUSA2」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「応答速度」の名前で配置されており、オーバードライブ補正の強度をOff/Low/Middle/Highの4段階で設定ができて、標準設定はOffになっています。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」のオーバードライブ設定は240HzにおいてはHighが最適な設定ですが、144Hzや60Hzなどにリフレッシュレートを下げるとオーバーシュートの逆像が発生します。低リフレッシュレートでオーバーシュートの発生しない綺麗な応答を実現するには、144HzではLow、60HzではOffを選択する必要があるので注意してください。
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応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
UFO Test_Ghosting

「Pixio PX5 HAYABUSA2」に採用されているIPS液晶パネルは傾向として応答速度が比較的遅いのですが、最大リフレッシュレートの240Hzで動作させた場合、1つ前のフレームが残る程度となっており、TN液晶パネルの240Hzモニタと遜色ない性能です。
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さらに「Pixio PX5 HAYABUSA2」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
Response Test

まずはオーバードライブ設定をOFFのままで、「Pixio PX5 HAYABUSA2」のリフレッシュレートを60Hzと240Hzに変えて「UFO Test: Ghosting」の様子を比較してみました。
リフレッシュレートを上げるとそれに比例して応答速度も伸びてはいますが、リフレッシュレートの伸びに追いついていない様子で、240Hzでも1つ2つ前のフレームが見え残像感は残っています。


「Pixio PX5 HAYABUSA2」のリフレッシュレートを240Hzにした時、オーバードライブ設定を最大設定のHighに変更するとオーバーシュートの逆像が発生することなく、応答速度が改善します。


ハイリフレッシュレートで理想的な応答を見せるオーバードライブ設定は相対的に補正が強過ぎるため、リフレッシュレートを下げるとオーバーシュートが発生してしまうことが多いですが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」でも240Hzで最適な応答を見せるHigh設定は144Hzや60Hzでオーバーシュートが発生します。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」を60Hzリフレッシュレートで使用する時はOff、144Hzリフレッシュレートで使用する時はLowに設定するとオーバーシュートのない綺麗な応答を実現できます。可変リフレッシュレート同期機能有効時に180Hz~240Hzを想定するならMiddle設定がオススメだと思います。




240Hzリフレッシュレートに対応したゲーミングモニタでは一般的なTN液晶パネルの「ZOWIE XL2546」、240Hz対応IPS液晶モニタとして先行して発売された27インチサイズの「Alienware 27 AW2720HF」の2機種と240Hz動作時の応答速度を比較してみました。
実際のゲームシーンにおける応答速度の指標となるグレーバックでは、「Pixio PX5 HAYABUSA2」と「Alienware 27 AW2720HF」は素の表示を優先していて1つ2つ前のフレームがかすかに見え、一方で「ZOWIE XL2546」はオーバードライブが強めにかかっておりオーバーシュートによる逆像が見えるという具合にそれぞれ特徴は異なりますが、概ね同等の応答速度になっていると思います。


「Pixio PX5 HAYABUSA2」は240Hzモニタとしてだけでなく、144Hzに対応した安価なIPS液晶モニタとしても優秀です。3万円前後で購入できる安価なフルHD/144HzのIPS液晶ゲーミングモニタと144Hzリフレッシュレートで応答速度を比較すると、「Pixio PX5 HAYABUSA2」のほうが残像が少ないのは一目瞭然です。「Pixio PX5 HAYABUSA2」は240Hzを出せる環境にないミドル~ミドルハイクラスのGPUを使用しているユーザーにもオススメできます。



また「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3msを下回っていればOKです。
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まずは背景カラーがブラックの時の「Pixio PX5 HAYABUSA2」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
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続いて背景カラーがホワイトの時の「Pixio PX5 HAYABUSA2」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
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最後に背景カラーがグレーの時の「Pixio PX5 HAYABUSA2」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」は上で行った動画比較の通りですが、240Hzリフレッシュレート動作において、素の残像とオーバーシュートによる逆像という違いこそあれ競技ゲーマー向け製品のZOWIE XL2546と同等の応答速度を実現しています。応答速度が遅い傾向のあるIPS液晶モニタなので残像の発生度外視で強引にリフレッシュレートを引き上げたという心配もありましたが杞憂でした。
240HzかつIPS液晶な製品として先行して発売されたAlienware 27 AW2720HFは144Hz時に綺麗な応答を見せるオーバードライブ設定がないのが玉に瑕でしたが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」はオーバードライブ設定によって144Hzや60Hzでもオーバーシュートのない綺麗な応答を実現できます。ただ60Hz時についてはオーバードライブ設定が甘いせいか、実用上は問題ない程度ですが応答が若干遅めです
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最後に「Pixio PX5 HAYABUSA2」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。

モニタの表示遅延測定においてはモニタ以外の要因で表示遅延に差が出ると問題があるので、検証モニタへビデオ出力を行うPCはCore i9 9900KとGeForce RTX 2080 Tiを搭載した次のベンチ機で統一しています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー
キーボード HyperX Alloy FPS
メカニカルゲーミングキーボード (レビュー

Monitor Latency Test Bench

モニタの表示遅延を測定する具体的な方法としては、キー押下時にそのキーのLEDが点灯するキーボードを使用して、LEDの点灯から画面表示への反映までの間隔を遅延時間として測定します。画面表示の確認については簡単にメモ帳を使用しています。この様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、遅延フレーム数を数えて遅延時間を算出します。同計測を各モニタ(と各リフレッシュレート)ごとに10回ずつ行って、その平均値を表示遅延とします。


「Pixio PX5 HAYABUSA2」やその他の比較モニタの表示遅延の測定結果は次のようになりました。グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレート液晶モニタを選択するメリットは大きいです。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」については、同じく240Hz対応でガチの競技ゲーマー向け製品であるZOWIE XL2546と比べると同リフレッシュレートにおいて僅かに大きい表示遅延となりましたが、ほぼ誤差レベルの違いだと思います。
Pixio PX5 HAYABUSA2_latency
また上のグラフからはリフレッシュレートが上がると表示遅延が小さくなるという関係がわかります。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」のような240Hzリフレッシュレートでは2019年に入って普及しつつある120~144HzのIPS液晶モニタよりも表示遅延がさらに小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。





Pixio PX5 HAYABUSA2のFreeSync/G-Sync CPについて

続いて「Pixio PX5 HAYABUSA2」の大きな特徴の1つである可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync)」についてチェックしていきます。

モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
AMD FreeSync_NVIDIAG-Sync Compatible
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。


「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」には対応可能なフレームレート(リフレッシュレート)の上限と下限が製品ごとに設定されており、「Pixio PX5 HAYABUSA2」は48Hz~240Hzの範囲内で可変リフレッシュレート同期に対応しています。また「AMD FreeSync」に対応するビデオ入力はHDMI2.0(HDMI1)とDisplayPort1.2の両方です。「NVIDIA G-Sync Compatible」に対応するビデオ入力は機能の仕様上、DisplayPortのみとなっています。
Pixio PX5 HAYABUSA2_FreeSync_DisplayPort
Pixio PX5 HAYABUSA2_FreeSync_HDMI
「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」が正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「Pixio PX5 HAYABUSA2」のOSDメニュー右上に表示されるリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになるので(OSDメニューの開閉したタイミングでのリフレッシュレートが表示される)、機能が正しく動作しているかはここを見て確認してください。
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06105

以下、「Pixio PX5 HAYABUSA2」でAMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleを使用する手順について説明しますが、共通の確認事項として、最初に「Pixio PX5 HAYABUSA2」のOSDメニューのゲーミング設定の小項目にあるFreeSyncがONになっていることを確認します。「Pixio PX5 HAYABUSA2」では標準設定がOFFなので、OFFになっている場合はONに切り替えて下さい。
Pixio PX5 HAYABUSA2_OSD_FreeSync


AMD FreeSyncの使い方

可変リフレッシュレート同期「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。
AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
LG 38GL950G-B_FreeSync
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
Radeon_V-Sync_Setting


NVIDIA G-Sync Compatibleの使い方

可変リフレッシュレート同期「NVIDIA G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。
2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-SYNC、G-SYNCとの互換性を有効化(Enable G-SYNC, G-SYNC Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
Pixio PX5 HAYABUSA2_G-Sync-compatible
なお今回レビューする「Pixio PX5 HAYABUSA2」のようにG-SYNC Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
G-Sync-compatible_another


AMD FreeSync/NVIDIA G-Sync Compatibleの効果

可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。機能的にはほぼ同じなので以下まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。

AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleの検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06515

まずは同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレート60HzにおいてGPU側出力フレームレートが30FPS~60FPSの間で変動するようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なしでは盛大にテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でFreeSyncと垂直同期の両方を有効にした場合はテアリングもスタッターも発生しません。ただし例外として動画で50秒以降のフレームレートが40FPSを下回るとAMD FreeSyncの対応フレームレート外となるためスタッターが発生しています。またFreeSyncのみを有効にして垂直同期は無効の場合、同期なしと比べて圧倒的にテアリングが減っているのがわかります。ただし対応フレームレート内であっても稀にテアリングが発生し、対応フレームレート外では同期なし同様にテアリングが発生します。


続いて144Hzリフレッシュレートにおいて、GPU側出力フレームレートが100FPS前後で変動するようにして、先ほど同様に同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の様子を16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して比較してみました。
FreeSync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。FreeSyncの60Hz/50FPS前後と144Hz/100FPS前後を比較すると当然ですが後者の方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。


FreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生しますが、リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
Radeon_max-framerate_setting
なおNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを利用する場合も、フレームレートがリフレッシュレートを超過するとテアリングが発生するので、テアリングを完全になくすには垂直同期を有効化する必要があります。もしくは垂直同期無効においてテアリングをなくすには、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
GeForce_Max Frame Rate_setting
これの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することも可能です。
RivaTunerNvidia Profile Inspector

下の比較はいずれもFreeSyncが有効になっているのでスタッターもなく滑らかですが、単純にFreeSyncだけを有効にすると対応フレームレートの上限となるリフレッシュレートを超えた時にテアリングが発生します。
リフレッシュレートが144Hz(フレームレートの上限が144FPS)の場合は120FPS~140FPSが上限になるようにフレームレートに制限をかければ、マウス操作を低遅延しつつ、テアリングの発生も最小限に抑えて快適なゲームプレイが可能です。


またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。




Pixio PX5 HAYABUSA2のHDR表示やHDCP対応について

最後に「Pixio PX5 HAYABUSA2」のHDR表示やHDCP対応について簡単にチェックします。

「Pixio PX5 HAYABUSA2」はVESA DisplayHDRのような輝度認証はありませんが、HDR表示に対応しています。
「Pixio PX5 HAYABUSA2」でHDRを利用するには、大前提としてOSDメニューのその他の設定の項目内に「HDR」の名前で配置されている機能をONにする必要があります。標準ではオフになっているので、HDRコンテンツを利用したい場合は忘れずに設定を切り替えてください。
Pixio PX5 HAYABUSA2_OSD_HDR

「Pixio PX5 HAYABUSA2」はフルHD解像度/240Hz/FreeSync(G-Sync Compatible)有効において、HDR表示も問題なく併用することができました。
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06117

最近は4K未満の物理解像度でも仮想的に4K入力に対応し(実際の表示はモニタ側で物理解像度へスケーリング)、HDR10コンテンツやデジタル著作権保護HDCP2.2に対応するゲーミングモニタも少なくありませんが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」はそういった機能には対応しておらず、PS4 ProやXbox One Xを接続しても4KやHDCP2.2といったコンテンツは利用できません。
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06110
解像度はフルHDに限定されますが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」はHDRコンテンツに対応しています。
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06114
Xbox One Xを接続すると、可変リフレッシュレート同期機能やフルHD/120Hzなどが使用できます。
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06115
Pixio PX5 HAYABUSA2 review_06116

HDRについて簡単に説明すると、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、従来よりも細かい階調で明るさや暗さを表現できるようになり、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDR

HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は『明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗く』と大雑把に理解しています。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくくなります。逆に明るい場所が明るくなったら見えやすくなるかというと、再現可能な輝度の領域が増すので、ディスプレイによる描画は現実に近づきますが、太陽を覗き込んだ時のように特に明るい場所の周辺は光で潰れて(目の調光機能的な問題で)見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。
一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースです。SDRダイナミックレンジの範囲内で平滑化されていた時に比べて、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。

HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。



Pixio PX5 HAYABUSA2のレビューまとめ

最後に「Pixio PX5 HAYABUSA2」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 画面サイズ24.5インチでフルHD解像度のゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
  • 発色や視野角など画質に優れたIPS液晶パネル
  • 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
  • ビデオ入力はDisplayPort1.2とHDMI2.0とHDMI1.4の計3系統
  • DP1.2とHDMI2.0の2入力においてフルHD解像度で240Hzリフレッシュレートの高速動作
  • 可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応
    (DisplayPortとHDMIで48FPS~240FPSの範囲内で対応)
  • HDRコンテンツにも対応
  • モニタ本体重量4.5kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
  • 上記のハイスペックながら4万円台でお手頃(2020年2月)
悪いところor注意点
  • G-Sync Compatible認証は非取得(NVIDIA環境でもVESA Adaptive-Syncは使用可能だが)
  • モーションブラーリダクション、リフレッシュレートOSD等に非対応

「Pixio PX5 HAYABUSA2」は1920×1080のフルHD解像度、ネイティブ240Hzの高速リフレッシュレート、IPS液晶パネルというハイスペックな液晶パネルを採用したゲーミングモニタです。応答速度が遅いと言われていたIPS液晶パネル採用製品ながら、競技ゲーマーに愛用されるTN液晶パネルの240Hzゲーミングモニタと比較して遜色ない応答速度を実現しています。
また240HzかつIPS液晶と同スペックな他社製品の多くはフルHD解像度に対して画面サイズが27インチなのでピクセルが粗く感じるきらいがありますが、「Pixio PX5 HAYABUSA2」の24.5インチというサイズはフルHDに対してちょうどいいサイズであるところも魅力です
「Pixio PX5 HAYABUSA2」は240Hzの最速リフレッシュレートに加え、視野角・発色にも優れて高画質さまで兼ね備えているので近年流行りのバトルロイヤル系ゲームを高FPSでガチプレイするのに管理人イチオシのゲーミングモニタです。

「Pixio PX5 HAYABUSA2」は可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」に対応しています。FreeSync対応フレームレートとして48FPS~240FPSの幅広いフレームレートをカバーしており、60FPS前後しか維持できない最新の高画質な重いゲームから、100FPS以上を維持できる競技性の高い軽めなゲームまで、テアリングやスタッターのないクリアで滑らかな表示を実現します。
これまではAMD製GPUを搭載した環境でしか使用できない機能でしたが、19年1月からはNVIDIA製GPUでも可変リフレッシュレート同期機能Adaptive-Syncが利用できるようになったので間口もかなり広くなったと思います。

以上、「Pixio PX5 HAYABUSA2」のレビューでした。
Pixio PX5 HAYABUSA2


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