Intelから16コア24スレッドのCore i9 12900Kなど、Alder Lake-Sのコードネームで呼ばれる第12世代Core-SシリーズCPUが正式発表。
16コア24スレッドのCore i9 12900Kは7.9万円で11月4日発売、予約も開始!
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Intelから16コア24スレッドのCore i9 12900Kなど、Alder Lake-Sのコードネームで呼ばれる第12世代Core-SシリーズCPUが正式発表されました。
初期ラインナップのCore i9 12900K(F)、Core i7 12700K(F)、Core i5 11600K(F)の6モデルは11月4日発売となっており、すでに予約受付も開始されています。(やっぱり初回の12900Kは人気でどこも完売)
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Intel第12世代Alder Lake-S CPUの基本仕様
Intel第12世代Core-Sの最上位モデルとなる「Core i9 12900K」は、8コア16スレッドの高性能P-Coreと8コア8スレッドの高効率E-Coreを組み合わせた16コア24スレッド(8C/16T+8C8T)のCPUです。
P-Coreの単コア最大ブーストクロックは5.2GHz(TBM3.0有効時)、全コア最大ブーストクロックは4.9GHzとなっています。CPU消費電力の指標となるProcessor Base Powerは125W、Maximum Turbo Powerは241Wです。
「Core i9 12900K」の北米希望小売価格(1/1000個あたり)は589ドルからとのことで、国内では11月4日解禁時の予定販売価格は税込み7.9となっています。
Intel第12世代Alder Lake-SシリーズCPUのうち、Core i9/Core i7のP-Coreは「Turbo Boost Max 3.0 Technology」に対応しています。(Intel第10世代でサポートが開始)
TBM3.0は、CPUダイ上で最も電圧特性の良いコア(CPU個体ごとに異なる)を自動で選別し、非常に高い単コア最大ブーストクロックで動作させ、アクティブタスクへ優先的に割り当ててくれる機能です。
Intel第12世代Alder Lake-Sシリーズの下位モデルについて、Core i7シリーズは上位モデルCore i9よりもE-Coreが4コア少なくなって12コア20スレッド(8C/16T+4C4T)、Core i5シリーズではさらにP-Coreが6コアに減って10コア16スレッド(6C/12T+4C4T)となります。
また高効率E-Coreは省電力に性能を振っており、もともとAtomシリーズ、Montの系譜なので性能に不安を感じる人もいるかもしれませんが、第10世代Core CPUと同等のシングルスレッド性能です。AMD製CPUでいうとRyzen 3000シリーズと同等なので、E-Coreの性能についても心配は全くありません。
Intel第12世代Alder Lake-Sシリーズの最上位モデル、16コア24スレッドのCore i9 12900Kは最新アーキテクチャ採用による性能向上で、PCゲーミングとクリエイティブタスクの両方において前世代最上位のCore i9 11900Kを大幅に上回るとアピールされています。
またAMD Ryzen 5000シリーズの最上位モデルRyzen 9 5950Xと比較すると、Core i9 12900Kはさらに上回るPCゲーミング性能を発揮し、世界最速のゲーミングCPUであるとのこと。
クリエイティブタスクについては、Core i9 12900KにおいてAdobe Premiere Proで作成した動画をバックグラウンドで出力しながら、Adobe Lightroomで写真を編集・出力するという作業を行った場合、全てをフォアグラウンドで行うとCore i9 11900Kとの性能差は29%ですが、マルチタスキングなら47%の時間短縮になります。
またCore i9 12900KのPCゲーミング性能については単純なゲームプレイならCore i9 11900Kと比較して19%程度の性能向上ですが、バックグラウンドでゲーム実況のストリーミングを行った場合、Core i9 12900Kは84%も高いフレームレートを発揮できるとのこと。
Core i9 12900Kのマルチスレッド性能は250W動作のCore i9 11900Kと比較して、電力制限を65Wに設定した時に同等、Processor Base Powerの125Wで30%上回り、Maximum Turbo Powerの240Wなら50%上回るという優れた省電力性能も実現しています。
Intel第12世代Alder Lake-SシリーズCPUは新たに「Intel Dynamic Memory Boost Technology」に対応し、JEDECが策定する定格動作(SPDプロファイル)と各メモリメーカーが独自に設定したOC動作(XMPプロファイル)の2種類のメモリ周波数&タイミングをシステムの負荷に応じで自動的に切り替えることができます。
Core i9 12900Kなど末尾K付きCPUは従来通り倍率アンロックとなっており、CPUコアクロックのオーバークロックに対応しています。P-CoreとQ-CoreはいずれもコアクロックのOCが可能です。
メモリOC回りについても大きく改良があり、Intel XMP(エクストリーム・メモリー・プロファイル)がDDR5メモリでは新バージョンの「XMP 3.0」にアップデートされました。
従来のXMP2.0でメモリに収録可能なプロファイルは2つまででしたが、XMP 3.0では計5つのプロファイルを保存できるようになり、このうちの3つはメモリメーカーが使用し、残り2つは書き換え対応でユーザーが利用可能になりました。プロファイルの名前も16文字まででユーザーが設定できます。
XMP 3.0ではメモリOC関連でDRAM電圧以外の細かい電圧設定もOCプロファイルから指定できるようになっています。
なお初期の情報では単純に”メモリ周波数4800MHzに対応”と伝えられていましたが、10月28日にIntelから一部メディアに伝えられた情報によると、『メモリ周波数4800MHzが定格としてサポートされるのは、メモリスロットが2基のマザーボードで2枚までのメモリを使用した場合』とのこと。
Intel 600シリーズチップセット搭載ATXマザーボードで一般的な1チャンネル当たり2基のメモリスロットがあり4基のメモリスロットを搭載したマザーボードの場合、メモリを2枚搭載した場合の定格メモリ周波数は4400MHzになるようです。
さらに4枚組みにした場合、1Rankのメモリなら4000MHz、2Rankのメモリなら3600MHzが定格メモリ周波数となります。
Intel第12世代Core-Sでは組み合わせて使用するマザーボードによってサポートされるメモリ規格が変わるので注意が必要です。
ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIの主要4社の製品を見たところ、ハイエンドからアッパーミドルまでの上位製品は基本的にDDR5対応となっています。ミドルクラス以下ではDDR5対応とDDR4が混在し、メーカー毎にラインナップ展開が異なります。
ASUS製Z690マザーボードを例に挙げるとDDR5対応の「ASUS PRIME Z690-P」とDDR4対応の「ASUS PRIME Z690-P D4」のようにほぼ似た名前、対応メモリ以外の仕様もほぼ同じ、といった製品もあるので使用するメモリに合わせて購入するマザーボードには注意してください。(各社表記なしはDDR5対応、DDR4対応の場合は”DDR4”や”D4”の表記が末尾に付くことが多いようです)
PCIEレーンについてはCPU直結PCIEレーンとして、前世代同様にNVMe SSD用のPCIE4.0x4レーンを備えますが、主にグラフィックボード接続使用されるx16レーンは、PCIE4.0と比較して2倍の帯域で最大64GB/sの通信が可能な次世代規格のPCIE5.0対応へアップデートされています。
またIntel第12世代Alder Lake-Sがサポートする600シリーズチップセットの最上位Z690チップセットでは、CPU-PCH間の接続は前世代とレーン数ですがPCIE4.0相当のDMI4.0に更新されて帯域は倍増しており、PCHを介してPCIE4.0x12レーンとPCIE3.0x16レーンを利用できます。
その他にも600シリーズチップセットの特長として、USB3.2 Gen2x2 (20Gbps)対応、内部コントローラによるWiFi 6E対応、外部コントローラーによるThunderbolt4対応などが挙げられます。
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Intel第12世代Alder Lake-S CPUに対応する600シリーズチップセットではCPUソケットがIntel LGA1700に更新されています。従来のIntel LGA1200/115XとはCPUクーラーマウントに互換性がありません。
ASUS ROG RYUJIN IIシリーズのようにIntel LGA1700対応マウントパーツがすでに同封されている、NoctuaやCorsairのようにCPU発売以降に既存CPUクーラーへの対応マウントパーツの配布が始まるなど、各社・各製品で対応は異なるので注意してください。
なお、ASUS製Z690マザーボードの多くにはIntel LGA1700標準のCPUクーラーマウントホールに加えて、従来のLGA1200/115X互換のマウントホールも併設されており、LGA1700対応マウント部品がないCPUクーラーも使用できます。
第12世代Alder Lakeのデスクトップ向けCore-Sシリーズは、最大で8コア16スレッドの高性能P-Coreと8コア8スレッドの高効率E-Coreの組み合わせによって構成され、最上位のCore i9はフルスペック構成で16コア24スレッドとなります。
L3キャッシュ容量はP-Core 1コア当たり3MB、E-Core 4コア当たり3MBでCore i9では最大30MB容量です。デスクトップ向けのiGPUはXeアーキテクチャを採用したIntel UHD Graphics 770(EU数:32)です。
ここ数年のIntel製CPUには、デスクトップ(Rocket LakeのCypress Coveなど)や高性能ゲーミングモバイルPC(Tiger LakeのWillow Coveなど)に採用される性能重視の「Cove(コーブ)」系、薄型モバイルPCやタブレットPCに採用される低消費電力動作を重視した設計の「Mont(モント)」系の2種類のアーキテクチャが展開されていました。
Alder Lakeでは性能重視コアは”Performance”の頭文字からP-Core、省電力性重視のCPUコアは効率を意味する”Efficient”の頭文字からE-Coreと呼ばれています。
Alder LakeのE-CoreにはMont系の最新アーキテクチャ「Gracemont」、P-CoreにはCove系の最新アーキテクチャ「Golden Cove」が採用されています。
Alder Lakeの高効率E-CoreにはMont系の最新アーキテクチャ「Gracemont」が採用されており、2016年Skylake世代CPUと比較すると、40%以下の消費電力で同等以上の性能、逆に同じ消費電力で40%高い性能を発揮します。
4,5年前のモバイルPCに搭載されていたSkylake世代CPU、2コア4スレッドのCore i5やCore i7と比較すると、Gracemontの4コア4スレッドは80%高い性能を発揮し、同じ性能であれば1/5の消費電力(80%低い消費電力)で動作可能とのこと。
なおP-CoreとE-Coreを負荷に応じて動的に切り替えるAlder Lakeでは、E-CoreもP-Coreと同じ命令セットをサポートしている必要があり、Alder LakeのGracemontはAVX2(AVX256)や、セキュリティ上のリスクを防止する「Intel Control-Flow Enforcement Technology」(CET)や、仮想化機能を提供する「Intel Virtualization Technology Redirect Protection(VT-rp)」にも対応しています。
ただしE-CoreはAVX512に対応していないので、第11世代CPUでは使用できたAVX512は第12世代CPU全体で非サポートとなっています。(P-Coreは対応しているので、マザーボードBIOS次第ですが、E-Coreを無効にするとAVX512に対応します)
Alder Lakeの高性能P-CoreにはCove系の最新アーキテクチャ「Golden Cove」が採用されています。
前世代となる第11世代Rocket Lake-SシリーズCPUでも第10世代と比較してIPC(概ねコアクロック当たりの性能のこと)が最大19%も向上しているとアピールされていましたが、第12世代Alder Lakeの高性能P-Core「Golden Cove」はRocket LakeのCypress Coveと比較して、さらに平均で19%のIPC向上を果たしているとのこと。
製品公式ページ
第12世代Core i9:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/series/217839/12th-generation-intel-core-i9-processors.html
第12世代Core i7:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/series/217837/12th-generation-intel-core-i7-processors.html
第12世代Core i5:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/series/217838/12th-generation-intel-core-i5-processors.html
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
16コア24スレッドのCore i9 12900Kは7.9万円で11月4日発売、予約も開始!
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Intelから16コア24スレッドのCore i9 12900Kなど、Alder Lake-Sのコードネームで呼ばれる第12世代Core-SシリーズCPUが正式発表されました。
初期ラインナップのCore i9 12900K(F)、Core i7 12700K(F)、Core i5 11600K(F)の6モデルは11月4日発売となっており、すでに予約受付も開始されています。(やっぱり初回の12900Kは人気でどこも完売)
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Intel第12世代Alder Lake-S CPUの基本仕様
Intel第12世代Core-Sの最上位モデルとなる「Core i9 12900K」は、8コア16スレッドの高性能P-Coreと8コア8スレッドの高効率E-Coreを組み合わせた16コア24スレッド(8C/16T+8C8T)のCPUです。P-Coreの単コア最大ブーストクロックは5.2GHz(TBM3.0有効時)、全コア最大ブーストクロックは4.9GHzとなっています。CPU消費電力の指標となるProcessor Base Powerは125W、Maximum Turbo Powerは241Wです。
「Core i9 12900K」の北米希望小売価格(1/1000個あたり)は589ドルからとのことで、国内では11月4日解禁時の予定販売価格は税込み7.9となっています。
Intel第12世代Alder Lake-SシリーズCPUのうち、Core i9/Core i7のP-Coreは「Turbo Boost Max 3.0 Technology」に対応しています。(Intel第10世代でサポートが開始)
TBM3.0は、CPUダイ上で最も電圧特性の良いコア(CPU個体ごとに異なる)を自動で選別し、非常に高い単コア最大ブーストクロックで動作させ、アクティブタスクへ優先的に割り当ててくれる機能です。
Intel第12世代Alder Lake-Sシリーズの下位モデルについて、Core i7シリーズは上位モデルCore i9よりもE-Coreが4コア少なくなって12コア20スレッド(8C/16T+4C4T)、Core i5シリーズではさらにP-Coreが6コアに減って10コア16スレッド(6C/12T+4C4T)となります。
Intel第12世代Alder Lake-S CPUの性能
Intel第12世代Alder Lake-SシリーズCPUの高性能P-Coreは、第10世代Core CPUを基準にしてコアクロック当たりのシングルスレッド性能が28%も向上しているとアピールされています。また高効率E-Coreは省電力に性能を振っており、もともとAtomシリーズ、Montの系譜なので性能に不安を感じる人もいるかもしれませんが、第10世代Core CPUと同等のシングルスレッド性能です。AMD製CPUでいうとRyzen 3000シリーズと同等なので、E-Coreの性能についても心配は全くありません。
Intel第12世代Alder Lake-Sシリーズの最上位モデル、16コア24スレッドのCore i9 12900Kは最新アーキテクチャ採用による性能向上で、PCゲーミングとクリエイティブタスクの両方において前世代最上位のCore i9 11900Kを大幅に上回るとアピールされています。
またAMD Ryzen 5000シリーズの最上位モデルRyzen 9 5950Xと比較すると、Core i9 12900Kはさらに上回るPCゲーミング性能を発揮し、世界最速のゲーミングCPUであるとのこと。
Intel第12世代Alder Lake-S CPUはマルチタスキングに強い
Intel第12世代Alder Lake-S Core CPUはバックグラウンドで自動実行や放置するようなタスクを行うマルチタスキングで優れた性能を発揮します。高性能P-Coreはフォアグラウンドで高速なレスポンスが求められる作業に力を発揮し、高効率なE-Coreはバックグラウンドの各種処理を補助してくれます。クリエイティブタスクについては、Core i9 12900KにおいてAdobe Premiere Proで作成した動画をバックグラウンドで出力しながら、Adobe Lightroomで写真を編集・出力するという作業を行った場合、全てをフォアグラウンドで行うとCore i9 11900Kとの性能差は29%ですが、マルチタスキングなら47%の時間短縮になります。
またCore i9 12900KのPCゲーミング性能については単純なゲームプレイならCore i9 11900Kと比較して19%程度の性能向上ですが、バックグラウンドでゲーム実況のストリーミングを行った場合、Core i9 12900Kは84%も高いフレームレートを発揮できるとのこと。
Intel第12世代Alder Lake-S CPUの電力制御と省電力性能
CPU消費電力に関する表記として、従来では”TDP(Thermal Design Power)”が使用されていましたが、Intel第12世代Core-Sからは、長期間電力制限PL1(=旧TDP)に当たる数値を「Processor Base Power (Base)」、短期間電力制限PL2に当たる数値を「Maximum Turbo Power (Turbo)」として、公式仕様に明記されるようになりました。Core i9 12900Kのマルチスレッド性能は250W動作のCore i9 11900Kと比較して、電力制限を65Wに設定した時に同等、Processor Base Powerの125Wで30%上回り、Maximum Turbo Powerの240Wなら50%上回るという優れた省電力性能も実現しています。
Intel第12世代Alder Lake-SシリーズCPUは新たに「Intel Dynamic Memory Boost Technology」に対応し、JEDECが策定する定格動作(SPDプロファイル)と各メモリメーカーが独自に設定したOC動作(XMPプロファイル)の2種類のメモリ周波数&タイミングをシステムの負荷に応じで自動的に切り替えることができます。
Intel第12世代Alder Lake-S CPUのオーバークロック
「Intel Core i9 12900K」など第12世代Alder Lake-S CPUの上位モデルはCPUダイとヒートスプレッダの間にはTIMとしてソルダリング寄りな性能のSTIMが採用され、前世代よりもさらにCPUダイとSTIM層を薄くし、放熱バッファとなるヒートスプレッダを厚くすることでCPU温度的にも改良が施されています。Core i9 12900Kなど末尾K付きCPUは従来通り倍率アンロックとなっており、CPUコアクロックのオーバークロックに対応しています。P-CoreとQ-CoreはいずれもコアクロックのOCが可能です。
メモリOC回りについても大きく改良があり、Intel XMP(エクストリーム・メモリー・プロファイル)がDDR5メモリでは新バージョンの「XMP 3.0」にアップデートされました。
従来のXMP2.0でメモリに収録可能なプロファイルは2つまででしたが、XMP 3.0では計5つのプロファイルを保存できるようになり、このうちの3つはメモリメーカーが使用し、残り2つは書き換え対応でユーザーが利用可能になりました。プロファイルの名前も16文字まででユーザーが設定できます。
XMP 3.0ではメモリOC関連でDRAM電圧以外の細かい電圧設定もOCプロファイルから指定できるようになっています。
Intel第12世代Alder Lake-S CPUのプラットフォームについて
Intel第12世代Alder Lake-Sプラットフォームの特長として、従来のDDR4メモリ(DDR4-3200)に加えて、次世代システムメモリのDDR5メモリ(DDR5-4800)をサポートします。なお初期の情報では単純に”メモリ周波数4800MHzに対応”と伝えられていましたが、10月28日にIntelから一部メディアに伝えられた情報によると、『メモリ周波数4800MHzが定格としてサポートされるのは、メモリスロットが2基のマザーボードで2枚までのメモリを使用した場合』とのこと。
Intel 600シリーズチップセット搭載ATXマザーボードで一般的な1チャンネル当たり2基のメモリスロットがあり4基のメモリスロットを搭載したマザーボードの場合、メモリを2枚搭載した場合の定格メモリ周波数は4400MHzになるようです。
さらに4枚組みにした場合、1Rankのメモリなら4000MHz、2Rankのメモリなら3600MHzが定格メモリ周波数となります。
Intel第12世代Core-Sでは組み合わせて使用するマザーボードによってサポートされるメモリ規格が変わるので注意が必要です。
ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIの主要4社の製品を見たところ、ハイエンドからアッパーミドルまでの上位製品は基本的にDDR5対応となっています。ミドルクラス以下ではDDR5対応とDDR4が混在し、メーカー毎にラインナップ展開が異なります。
ASUS製Z690マザーボードを例に挙げるとDDR5対応の「ASUS PRIME Z690-P」とDDR4対応の「ASUS PRIME Z690-P D4」のようにほぼ似た名前、対応メモリ以外の仕様もほぼ同じ、といった製品もあるので使用するメモリに合わせて購入するマザーボードには注意してください。(各社表記なしはDDR5対応、DDR4対応の場合は”DDR4”や”D4”の表記が末尾に付くことが多いようです)
PCIEレーンについてはCPU直結PCIEレーンとして、前世代同様にNVMe SSD用のPCIE4.0x4レーンを備えますが、主にグラフィックボード接続使用されるx16レーンは、PCIE4.0と比較して2倍の帯域で最大64GB/sの通信が可能な次世代規格のPCIE5.0対応へアップデートされています。
またIntel第12世代Alder Lake-Sがサポートする600シリーズチップセットの最上位Z690チップセットでは、CPU-PCH間の接続は前世代とレーン数ですがPCIE4.0相当のDMI4.0に更新されて帯域は倍増しており、PCHを介してPCIE4.0x12レーンとPCIE3.0x16レーンを利用できます。
その他にも600シリーズチップセットの特長として、USB3.2 Gen2x2 (20Gbps)対応、内部コントローラによるWiFi 6E対応、外部コントローラーによるThunderbolt4対応などが挙げられます。
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Intel第12世代Alder Lake-S CPUに対応する600シリーズチップセットではCPUソケットがIntel LGA1700に更新されています。従来のIntel LGA1200/115XとはCPUクーラーマウントに互換性がありません。
ASUS ROG RYUJIN IIシリーズのようにIntel LGA1700対応マウントパーツがすでに同封されている、NoctuaやCorsairのようにCPU発売以降に既存CPUクーラーへの対応マウントパーツの配布が始まるなど、各社・各製品で対応は異なるので注意してください。
なお、ASUS製Z690マザーボードの多くにはIntel LGA1700標準のCPUクーラーマウントホールに加えて、従来のLGA1200/115X互換のマウントホールも併設されており、LGA1700対応マウント部品がないCPUクーラーも使用できます。
第12世代Alder LakeのCPUコアアーキテクチャについて
Alder Lake(アルダーレイク)のコードネームで呼ばれる、Intelのデスクトップ向け次世代CPU、第12世代Core-Sは高性能コアと高効率コアの2種類の混成でCPUを構成する「Intel Hybrid Computing Architecture」が採用されています。第12世代Alder Lakeのデスクトップ向けCore-Sシリーズは、最大で8コア16スレッドの高性能P-Coreと8コア8スレッドの高効率E-Coreの組み合わせによって構成され、最上位のCore i9はフルスペック構成で16コア24スレッドとなります。
L3キャッシュ容量はP-Core 1コア当たり3MB、E-Core 4コア当たり3MBでCore i9では最大30MB容量です。デスクトップ向けのiGPUはXeアーキテクチャを採用したIntel UHD Graphics 770(EU数:32)です。
ここ数年のIntel製CPUには、デスクトップ(Rocket LakeのCypress Coveなど)や高性能ゲーミングモバイルPC(Tiger LakeのWillow Coveなど)に採用される性能重視の「Cove(コーブ)」系、薄型モバイルPCやタブレットPCに採用される低消費電力動作を重視した設計の「Mont(モント)」系の2種類のアーキテクチャが展開されていました。
Alder Lakeでは性能重視コアは”Performance”の頭文字からP-Core、省電力性重視のCPUコアは効率を意味する”Efficient”の頭文字からE-Coreと呼ばれています。
Alder LakeのE-CoreにはMont系の最新アーキテクチャ「Gracemont」、P-CoreにはCove系の最新アーキテクチャ「Golden Cove」が採用されています。
Alder Lakeの高効率E-CoreにはMont系の最新アーキテクチャ「Gracemont」が採用されており、2016年Skylake世代CPUと比較すると、40%以下の消費電力で同等以上の性能、逆に同じ消費電力で40%高い性能を発揮します。
4,5年前のモバイルPCに搭載されていたSkylake世代CPU、2コア4スレッドのCore i5やCore i7と比較すると、Gracemontの4コア4スレッドは80%高い性能を発揮し、同じ性能であれば1/5の消費電力(80%低い消費電力)で動作可能とのこと。
なおP-CoreとE-Coreを負荷に応じて動的に切り替えるAlder Lakeでは、E-CoreもP-Coreと同じ命令セットをサポートしている必要があり、Alder LakeのGracemontはAVX2(AVX256)や、セキュリティ上のリスクを防止する「Intel Control-Flow Enforcement Technology」(CET)や、仮想化機能を提供する「Intel Virtualization Technology Redirect Protection(VT-rp)」にも対応しています。
ただしE-CoreはAVX512に対応していないので、第11世代CPUでは使用できたAVX512は第12世代CPU全体で非サポートとなっています。(P-Coreは対応しているので、マザーボードBIOS次第ですが、E-Coreを無効にするとAVX512に対応します)
Alder Lakeの高性能P-CoreにはCove系の最新アーキテクチャ「Golden Cove」が採用されています。
前世代となる第11世代Rocket Lake-SシリーズCPUでも第10世代と比較してIPC(概ねコアクロック当たりの性能のこと)が最大19%も向上しているとアピールされていましたが、第12世代Alder Lakeの高性能P-Core「Golden Cove」はRocket LakeのCypress Coveと比較して、さらに平均で19%のIPC向上を果たしているとのこと。
製品公式ページ
第12世代Core i9:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/series/217839/12th-generation-intel-core-i9-processors.html
第12世代Core i7:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/series/217837/12th-generation-intel-core-i7-processors.html
第12世代Core i5:https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/series/217838/12th-generation-intel-core-i5-processors.html
Intel第12世代 Alder Lake-S Core CPU スペック一覧 |
||||||||
CPU KはOC対応 FはiGPUなし |
コア/ スレッド (P / E) |
ベース クロック P / E |
単コア ブースト P / E |
全コア ブースト P / E |
iGPU |
cache L3/ L2 |
TDP PL1/ PL2 |
価格 (/1K) |
i9 12900K | 16 / 24 (8c/8c) |
3.2 GHz 2.4 GHz |
5.2 GHz 3.9 GHz |
4.9 GHz 3.7 GHz |
UHD 770 (32EU) |
30 MB 14 MB |
125W 241W |
589ドル |
i9 12900KF | 16 / 24 (8c/8c) |
3.2 GHz 2.4 GHz |
5.2 GHz 3.9 GHz |
4.9 GHz 3.7 GHz |
- |
30 MB 14 MB |
125W 241W |
564ドル |
i7 12700K | 12 / 20 (8c/4c) |
3.6 GHz 2.7 GHz |
5.0 GHz 3.8 GHz |
4.7 GHz 3.6 GHz |
UHD 770 (32EU) |
25 MB 12 MB |
125W 190W |
409ドル |
i7 12700KF | 12 / 20 (8c/4c) |
3.6 GHz 2.7 GHz |
5.0 GHz 3.8 GHz |
4.7 GHz 3.6 GHz |
- | 25 MB 12 MB |
125W 190W |
384ドル |
i5 12600K | 10 / 16 (6c/4c) |
3.7 GHz 2.8 GHz |
4.9 GHz 3.6 GHz |
4.5 GHz 3.4 GHz |
UHD 770 (32EU) |
20 MB 9.5 MB |
125W 150W |
289ドル |
i5 12600KF | 10 / 16 (6c/4c) |
3.7 GHz 2.8 GHz |
4.9 GHz 3.6 GHz |
4.5 GHz 3.4 GHz |
- | 20 MB 9.5 MB |
125W 150W |
264ドル |
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