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GeForce RTX 3060グラフィックボードとしてMSIからリリースされた、3スロット占有3連ファンGPUクーラーTRI-FROZR 2を搭載し、ファクトリーOCも施されたゲーミングモデル「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」をレビューしていきます。
NVIDIA Ampere世代のミドルクラスGeForce RTX 3060が、前世代同クラスのRTX 2060や1ランク上のRTX 2070や同等性能マイナーアップデートモデルRTX 2060 SUPERをどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.msi.com/Graphics-Card/GeForce-RTX-3060-GAMING-X-TRIO-12G
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G
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MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G レビュー目次
1.MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの外観
2.MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの分解
3.MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの検証機材・GPU概要
4.MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gのゲーム性能
5.MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの温度・消費電力・ファンノイズ
6.MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gのレビューまとめ
【機材協力:MSI Japan】
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの外観
早速、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を開封していきます。外パッケージの中には黒色段ボールの内パッケージが入っており、マニュアル類の入った紙製ケースとスポンジ蓋を外すと、スポンジスペーサー&静電防止エアパッキン袋という一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。
マニュアルや保証書等以外の付属品はGPUホルダーです。
下の写真は旧モデルですが、付属GPUホルダーはこんな感じで使用します。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のGPUクーラーの外装はプラスチック製ですが、ブラック&ガンメタルカラーのフレームにはスチールのようなマットな塗装が施されており安っぽさは感じない外観です。
MSIのGamingシリーズと言えばブランドロゴにもなっているドラゴンを模した造形が1つの特長でしたが、代を重ねるごとにその要素は薄くなり、RTX30世代では流行に合わせ、かなりシンプルな作りになっています。
グラフィックボード側面のグレーカラーのプレートにはMSIテキストロゴとMSIゲーミングブランドを象徴するドラゴンマークがあり、加えて、中央ファンの2時と7時の方向にあるスリットおよびバックプレート側面のホワイトラインには、アドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。専用アプリケーション「MSI Mystic Light Sync」を使用すれば、同社製マザーボードなど対応機器と同期させてライティング制御が可能です。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」は全長323mmとなっています。近年主流なオープンスペースタイプのPCケースなら干渉の心配はありませんが、PCケースフロントにストレージベイがある少し古めのPCケースではグラフィックボード設置スペースのクリアランスに注意が必要です。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」は基板とGPUクーラーがPCIブラケットから35mmほどはみ出しているのでPCケースとの干渉は十分に注意してください。PCケースとの干渉ではグラフィックボードの背の高さは長さに比べて見落としやすいポイントです。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」の3連ファンGPUクーラーはTRI-FROZR 2と名付けられており、95mm径の冷却ファンが計3基設置されています。『左と中央』および『右』は2系統で個別に制御が可能です。
TRI-FROZR 2の冷却ファンには4世代目となりさらに改良された新型ファン「TORX FAN 4.0」が採用されています。TORX FAN 4.0では2枚のファンブレードを円弧を描く外周リングで一体化することで、スリムで振動しやすいファンブレードを安定させ、静圧を向上、ブレによるノイズの低減を実現しています。また軸受けには高耐久性なダブルボールベアリングが採用されています。
TORX FAN 4.0は外周リングによって補強されたファンブレードによって、前世代TORX FAN 3.0と比較して20%高い静圧を実現しており、TGP300Wクラスに対応すべくさらに高密度になったGPUクーラーヒートシンク放熱フィンへ十分なエアフローを供給できます。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」は冷却性能を上げるため、大型放熱フィンを採用したヒートシンクが搭載されており、PCIEスロットを3スロット占有します。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gはリファレンスの動作クロックよりも高い数値で動作するメーカーによるファクトリーOCが施されたOCモデルなので、PCIE補助電源はRTX 3060オリファンモデルよりも多い8PIN×2となっています。
補助電源部分のPCB基板は切り込みで引っ込んでいるので補助電源ケーブルを装着しても補助電源端コネクタやケーブルとPCケースの干渉が発生し難い構造になっています。ただ切込みの深さは10mmほどで補助電源コネクタはカバーできていますが、ケーブルがはみ出すのでPCケースサイドパネルの干渉回避を考えると、もう10mmほど切込みは深めの方がよかったと思います。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のPCIE端子と各種ビデオ出力には黒色の保護カバーが装着されています。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gのビデオ出力はリファレンス仕様と同じくHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12GにはGeForce RTXロゴとドラゴンマークのブランドロゴが白色で刻印されたマットブラックのバックプレートを搭載しています。基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割に加えて、GPUコアおよびVRAMとの間にはサーマルパッドが貼られているので冷却補助の役割を果たします。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gのバックプレート素材にはグラフェンが採用され、非伝導性かつ優れた放熱性を実現しているところも特徴です。プラスチック製バックプレートと比較して4倍の強度と20倍の熱伝導率を実現しています。
一方で大型化(大重量化)していくGPUクーラーに対して、GPUコアと適切な圧力でクーラーベースコアが密接しないというケースも増えつつあるようで、NVIDIA製品でも一部メーカーで取り入れられつつある、リテンションバックプレートが「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」には採用されています。
またGPUクーラーからバックプレートに突き抜けるフロースルー構造は、MSI GAMING X TRIOのRTX 3080/3090の上位モデルでは採用されていませんでしたが、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」では採用されています。
なおグラフィックボードの重量はMSI GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10Gが1560g、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 AMP White Editionが796gに対して、MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gは1480gでした。
バックプレート等で基板の反りは防止されていますが、重量は1kgを軽く超過しているのでPCIEスロットへの負荷を考えるとVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの分解
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、EVGAやZOTACを除く多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12GのGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所と、バックプレート上の8か所の計12個のネジによって厳重に固定されていました。3スロットを占有する大型GPUクーラーでも安心な固定状態です。
12カ所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しが可能です。さらにネジを外していくと、PCB基板から補強フレームやバックプレートも取り外しが可能です。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のグラフィックボード基板右上には、PCIEブラケットの補強のためのフレームが装着されています。
バックプレートとPCB基板背面の間にはVRAMチップとVRM電源回路の裏側部分にサーマルパッドが貼り付けられているので、バックプレートはそのまま放熱板としての役割も果たしています。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」にはMSI独自設計のオリジナル基板が採用されています。
GeForce RTX 3060のGPUコアにはGA106-300-A1が使用されていました。RTX 3060のVRAMは上位モデルのRTX 3070/3060Tiと同じくGDDR6ですが、今回入手した「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」にはSamsung製の16GbのGDDR6メモリチップが6枚搭載されています。
24GB容量のVRAMを搭載するRTX 3090の場合は8Gb容量のメモリチップを基板両面で12枚×2を実装していましたが、RTX 3060の場合は倍容量16Gbなので表面のみ6枚の実装です
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のVRM電源回路はGPUコアの左側に7フェーズが実装されています。この7フェーズは全てGPUコア向けで、VRAM向けのVRM電源はPCIE補助電源コネクタの下側に2フェーズが実装されています。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のGPUクーラー本体をチェックすると、GPUコアと接する部分はヒートパイプダイレクトタッチ構造が採用され、ベースコアからは6本の銅製ヒートパイプが伸び、アルミニウム製放熱フィンが3スロットスペース内いっぱいに展開されています。
従来、MSI GAMING XシリーズではGPUコアと接する部分には冷却性能の高さで定評のあるニッケルメッキ処理済み銅製ベースプレートが採用されていましたが、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」ではヒートパイプダイレクトタッチ構造が採用されています。
下位モデルとは違って、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」には十分な数のヒートパイプがあるのでヒートパイプで構成されたコアはちゃんとGPUダイ全体をカバーしています。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」に採用されているヒートパイプダイレクトタッチ構造は一般のそれとは異なり、ヒートパイプのコアを成す部分が四角形に成型されヒートパイプ同士が密接しています。この構造はTRI FROZR 2の高い冷却性能を支える中心的な設計で「Core Pipe」と呼ばれています。
GPUコアと接するベースコアから伸びた6本のヒートパイプによって3スロットを占有する大型放熱フィン全体へ熱を拡散します。
VRAMチップはGPUクーラー放熱フィンにろう付けされたアルミニウム製プレートにサーマルパッドを介して接しており、ヒートシンク本体で直接冷却するという理想的な構造です。
一方でVRM電源回路については、VRAM向け2フェーズはGPUクーラーヒートシンク本体で直接冷却する構造ですが、GPUコア向け7フェーズはチョークコイルこそサーマルパッドを介してヒートシンクに接しているものの、最も発熱の大きいMOS-FETは個別の小型アルミニウム製ヒートシンクをさらに介するという不思議な設計になっています。
ベースプレートから伸びる6本の銅製ヒートパイプによって3スロットを占有する大型GPUクーラー内部いっぱいに展開された極厚なアルミ製放熱フィンの迫力も圧巻です。
放熱フィンの設計も工夫されており、放熱表面積を拡大し、なおかつ冷却を要する場所へ的確にエアフローを送るデフレクタ構造(deflector、整流装置)、気流を分割して風切り音を低減しノイズを抑える波状に湾曲したフィン構造Wave-curved 2.0などが採用されています。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの検証機材・GPU概要
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1(温度・消費電力) |
ベンチ機2(ゲーム性能) |
|
OS | Windows10 Home 64bit (1909) |
|
CPU |
Intel Core i9 9900K (レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz |
Intel Core i9 10900K (レビュー) Core/Cache:5.2/4.7GHz |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, 17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 4000MHz, 15-16-16-36-CR2 |
システム ストレージ |
Samsung 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
データ ストレージ |
Samsung 860 QVO 4TB (レビュー) | |
CPUクーラー |
Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
|
電源 ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
|
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のGPUクーラー側面、バックプレートと基板の隙間ラインと、MSIロゴ部分にはアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12GのGPU概要
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gに搭載されているGPU「GeForce RTX 3060」のスペックについて簡単に確認しておきます。「GeForce RTX 3060」はGA106-300コアが使用されておりCUDAコア数は3584、GPUコアクロックはベース1320MHz、ブースト1777MHzです。VRAMには15.0GbpsのGDDR6メモリを12GB容量搭載しています。典型的なグラフィックボード消費電力を示すTGPは170Wに設定されており、PCIE補助電源として8PIN×1以上を要求します。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」については、リファレンス仕様のブーストクロック1777MHzに対して、ブーストクロック1852MHzにファクトリーOCが施されています。パワーリミット(TGP)はリファレンス仕様と同じく170Wです。電力制限は+5%で最大180Wまで解除が可能です。
NVIDIA GeForce RTX 3060 詳細スペック比較 | ||||
GPU名 | RTX 3060 |
RTX 3060 Ti | RTX 2060 SUPER |
RTX 2070 SUPER |
GPUダイ | GA106-300 | GA104-200 | TU106-400 | TU106-410 |
製造プロセス | Samsung 8nm |
Samsung 8nm | 12nm FinFET | 12nm FinFET |
CUDAコア数 | 3584 |
4864 | 2176 | 2560 |
TMU/ROP | -/- | -/- | 136/48 | 184/64 |
ベースクロック | 1320MHz | 1410MHz | 1470MHz | 1605MHz |
ブーストクロック |
1777MHz | 1665MHz | 1650MHz | 1770MHz |
メモリ | 12GB GDDR6 |
8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
バス幅 | 192-bit | 256-bit | 256-bit | 256-bit |
メモリクロック | 3750 MHz | 3500 MHz | 3500 MHz | 3500 MHz |
有効メモリクロック | 15000 MHz | 14000 MHz | 14000 MHz | 14000 MHz |
メモリ帯域 | 360 GB/s | 448 GB/s | 448 GB/s | 448 GB/s |
PCIEレーン | PCIE4.0x16 | PCIE4.0x16 | PCIE3.0x16 | PCIE3.0x16 |
TGP(TDP) | 170W |
200W | 175W | 215W |
補助電源 |
8PIN×1~ | 8PIN×1~ | 8PIN | 8PIN+6PIN~ |
対応ビデオ出力 |
DP1.4 HDMI2.1 |
DP1.4 HDMI2.1 |
DP1.4 HDMI2.0 USB Type-C |
DP1.4 HDMI2.0 USB Type-C |
登場時期 |
21年2月下旬 |
20年12月2日 | 19年7月 | 18年7月 |
価格 | 329ドル~ | 399ドル~ | 399ドル~ | 499ドル~ |
今回レビューするGeForce RTX 3060をはじめとして、GeForce RTX 30シリーズに採用されるAmpereアーキテクチャにおいて、前世代Turingと比較してスペック上のCUDAコア数が2倍に激増していることについて簡単に説明しておきます。
まず純粋に事実として、複数のCUDAコアからなるCUDAコア群のストリーミングマルチプロセッサ(Streaming Multiprocessors:SMs)の『FP32スループットがTuring世代と比較してAmpereでは2倍に向上』しています。これは間違いありません。
一度、前世代Turingを振り返ると、TuringアーキテクチャではFP32とINT32を同時に実行できる(データパスが独立に用意されている)ことがアーキテクチャとしての新しい特徴でした。Turingでは1基のSMにFP32とINTが1:1割合で実装されていました。
Turingがこのようなアーキテクチャを採用したのは、PCゲームではFP32だけでなくINT32も実行されるから、というのが理由でしたが、同時に公表されていた統計を思い出すと、ゲームによって多少変動はあるもののFP32に対してINT32はせいぜい2:1の割合でした。
であればAmpereでは2つのデータパスのうち、INT32用のデータパス上にINT32の実行ユニットだけでなくFP32の実行ユニットも乗せれば、FP32とINT32の割合が現実に即した理想的な比率になり、省スペースに実装もできるというのは理にかなった話だと思いました。(下はSMの1/4を抜粋)
従来では『CUDAコア数 = FP32実行ユニットの数』とカウントしていたので、同じく単純にFP32実行ユニットの数をカウントするとAmpereアーキテクチャのGeForce RTX 30シリーズでは、CUDAコア数が2倍に爆増します。確かに1クロックで同時に実行できるFP32の最大数は2倍になったのですが、即ちCUDAコア数が2倍になったとカウントするのかというとやや疑問も残ります。
GTX700からRTX2000まで4世代ほどは、『CUDAコア数の増加による比例』×『コアクロックの上昇やアーキテクチャ改良による性能向上』が次世代GPUの性能指標だったので、GTX10からRTX20でCUDAコア数が2倍であれば実際の性能は2倍以上ですが、RTX20からRTX30ではCUDAコア数が2倍になっても実際の性能は2倍以下なのでどうしても違和感が残ります。
ともあれPCゲームを含め実際のアプリケーションではINT32も使用されるので、実性能を見るとGeForce RTX 30シリーズはCUDAコア数に比例して単純に2倍の性能にはならず、INT32/FP32混合データパスの使用状態に応じて、性能の伸び幅(Performance gains)が変動します。
ただFP32など一般的なシェーダーだけでなく、レイトレーシング用コアやテンサーコアも新世代へアップグレードされているので、レイトレーシング表現やDLSSに対応したPCゲームであればRTX20に対して2倍に迫る性能も発揮できるようです。
またGeForce RTX 30シリーズの諸機能について、前世代RTX 20シリーズとの大きな違いとして、8K/60FPS映像を取り扱えるHDMI2.1に対応し、それに伴ってハードウェアデコーダのNVDecが第5世代にアップデートしています。第5世代NVDecでは、8Kなど超高解像度映像に使用されるAV1コーデックのデコードに対応しています。
ゲーム実況などリアルタイム配信・録画において好評を博したNVEncについてはRTX 20シリーズと同じく第7世代が採用されています。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gのゲーム性能
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition」、「Radeon RX 5700 XT」、「GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition」、「GeForce RTX 2060 Founders Edition」を使用しています。「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
RTX 3060 MSI GAMING X TRIO |
21977 | 10341 | 5068 |
RTX 2070 SUPER FE |
26161 | 12475 | 6097 |
RX 5700 XT | 27300 | 12947 | 6553 |
RTX 2060 SUPER FE | 23027 | 10889 | 5357 |
RTX 2060 FE | 19909 | 9244 | 4377 |
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」、およびレイトレーシング対応ベンチマーク「Port Royal」による性能比較となります。
TimeSpy | Extreme | Port Royal |
|
RTX 3060 MSI GAMING X TRIO |
8782 | 4125 | 5109 |
RTX 2070 SUPER FE | 10232 | 4788 | 6095 |
RX 5700 XT | 9362 | 4189 | - |
RTX 2060 SUPER FE | 8895 | 4198 | 5133 |
RTX 2060 FE | 7617 | 3544 | 4308 |
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードについて、近年普及しつつあるHTC VIVE Cosmos、Oculus Quest 2/Rift S、Valve IndexなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Orange Room |
Cyan Room |
Blue Room |
|
RTX 3060 MSI GAMING X TRIO |
12263 | 9199 | 2634 |
RTX 2070 SUPER FE | 15010 | 9861 | 3316 |
RX 5700 XT |
13796 | 9289 | 2546 |
RTX 2060 SUPER FE | 12978 | 8377 | 2749 |
RTX 2060 FE |
11814 | 7883 | 2448 |
続いて2021年最新のPCゲームを実際に用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)の2種類の解像度で平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)、DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット, NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)、Horizon Zero Dawn(最高画質設定プリセット)、Marvel's Avengers(最高設定プリセット, TAA)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)以上の15タイトルです。
Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears 5(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Horizon Zero Dawn(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel's Avengers(最高画質設定プリセット, TAA)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gなど5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gは、前世代同クラスのGeForce RTX 2060と比較して平均で20%程度、マイナーアップデートのRTX 2060 SUPERや上位ナンバリングの初期モデルRTX 2070と比較しても上回るという性能向上を果たしています。
またVRAM容量が2倍の12GBへ増量されているので、GPU性能的には十分でもVRAMが不足するようなベストケースでは(今回のベンチマークではMiddle-Earth: Shadow of War)、GeForce RTX 2060を30%も上回る性能を発揮します。
GeForce RTX 3060については、良く言えば堅実に性能は向上しているものの、上位モデルのRTX 3060 TiやRTX 3070と比べると前世代比でのインパクトは薄く、やはりモバイル向けGeForce RX 3060のついでという感じです。
また2020年末に発売された新型コンソールゲーム機PlayStation 5のGPU性能がシェーダー数等のスペック概算でちょうどRTX 3060くらいなので、PCゲーミング用にデスクトップPCを構築するのであれば、RTX 3060 Ti以上のGPUを選択したい、というのが正直なところです。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの温度・消費電力・ファンノイズ
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gのテスト終盤におけるGPU温度は最大58度と非常に低く、ファン回転数も1100RPM以下で文句の付け所がありません。
当サイトでも以前レビューした上位モデルRTX 3070/3080のMSI GAMING X TRIO同様に「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」も劇的に冷える、と評価して何ら問題のない抜群の冷え具合です。むしろTGP200W超の上位GPUとほぼ同等のGPUクーラーを搭載しているので、GeForce RX 3060のオリファンモデルとしては過剰装備な感じです。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、GPU温度58度前後が始動閾値、GPU温度38度前後が停止閾値でヒステリシスも採用されています。製品によっては回転数が上下してふらつくことの多い始動や停止の直前も、閾値を跨いだ瞬間にピタッと切り替わります。
GPUコアクロックについては「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」の仕様値ではブーストクロック1755MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1839MHzでした。
実はAMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが支配的になっており、加えて負荷中のGPU温度も大きく影響します。ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックはOC耐性選別の1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣においてあまりあてになりません。
GeForce RTX 3060のようにTGPが200Wを大きく下回ると、下記のような参考環境のミドルタワーPCではベンチ板測定とあまり差が出ないので、PCケース組み込み時の検証については割愛しています。
TGPが200Wを超える上位GPUでは、実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへグラフィックボードを組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認します。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
・「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のファンノイズは1100RPM以下という低めなファン回転数の通りノイズレベルはセミファンレス状態と大差ない値まで下がります。
仮にPCケース組み込み状態で冷却効率が下がったとしてもファン速度を1500RPMに引き上げた状態でノイズレベルは32dB以下なので、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のファンノイズを煩く感じることはまずあり得ないと断言できるくらいの静音性です。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gの消費電力は164W、最大瞬間負荷は207Wでした。MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12GのTDP(パワーターゲット)は170Wに設定されており、概ね仕様値通りの消費電力になっていると思います。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」がグラフィック性能で20%近く上回る前世代同ナンバリングのRTX 2060よりも僅かに消費電力は増加しているものの、RTX 2060 SUPERやRTX 2070よりは低消費電力となっています。
”ちゃんと静かに冷やせるなら性能重視で消費電力は大きくても許容する”というRTX30シリーズ仕様決定の思想と、Ampereアーキテクチャの省電力性能の高さの両方を感じさせる結果です。
TGPが300Wを超過するRTX 3080など上位モデルと違ってTGP170Wというのは従来のアッパーミドル相当な数値であり、RTX 2060比で消費電力は増えているものの補助電源数は同じくPCIE 8PIN×1からで共通しているので、既存環境において電源や冷却を気にせずにアップグレードできるところもRTX 3060の魅力だと思います。
MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G レビューまとめ
最後に「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新高画質ゲームのフルHD/最高画質や、e-Sports系ゲームのフルHD/144Hz+に最適
- 前世代同クラスRTX 2060を実ゲームで20%程度上回るグラフィック性能
- RTX 2060 SUPERやRTX 2070と実ゲームで同等以上のグラフィック性能
- 329ドルからとRTX 30シリーズの中では手を伸ばしやすい価格
- TGP170WのRTX 3060を騒音値32dB以下で冷やしきる抜群の静音性
- 全長320mm程度のフルサイズなのでPCケースとの干渉に注意
- PCIEブラケットよりも30mm背が高いのでPCケースとの干渉に注意
- 3月13日現在、国内発売が未定
GeForce RTX 3060は、前世代同クラスのGeForce RTX 2060と比較して平均で20%程度、マイナーアップデートのRTX 2060 SUPERや上位ナンバリングの初期モデルRTX 2070と比較しても上回るという性能向上を果たしています。
またVRAM容量が2倍の12GBへ増量されているので、GPU性能的には十分でもVRAMが不足するようなベストケースでは(今回のベンチマークではMiddle-Earth: Shadow of War)、GeForce RTX 2060を30%も上回る性能を発揮します。
具体的な性能としては、2020年以降の最新高画質PCゲームを最高画質でフルHD/60FPSで安定してプレイでき、レイトレーシング表現についてもNVIDIA独自の超解像技術DLSSを併用することでフルHD/60FPSをキープできます。近年流行りのバトルロイヤルやe-Sports系で比較的軽量なPCゲームであればフルHD/144Hz+でプレイすることもでき、フルHD解像度のPCゲーミングに最適かつ高コストパフォーマンスなモデルです。
GeForce RTX 3060については、良く言えば堅実に性能は向上しているものの、上位モデルのRTX 3060 TiやRTX 3070と比べると前世代比でのインパクトは薄く、やはり『モバイル向けGeForce RX 3060のついで』もしくは『GPUの超品薄状況下における間に合わせ(それでもRTX 3060 Ti比で割高感はありますが)』という印象の強い製品です。
2020年末に発売された新型コンソールゲーム機PlayStation 5のGPU性能がシェーダー数等のスペック概算でちょうどRTX 3060くらいなので、PCゲーミング用にデスクトップPCを構築するのであれば(キーボード&マウス対応等PCゲーミングならではの魅力は他にありますが)、RTX 3060 Ti以上のGPUを選択したい、というのが正直なところです。
買えるならRTX 3060 Tiのほうがオススメというのが本音ですが、GeForce RTX 3060搭載BTO PCは上述の通り、2年前に発売された前世代同クラスのRTX 2060よりも20%以上高速であり、当時のRTX 2060搭載BTO PC(2019年2月時点)と当サイト推奨構成で比較して、2万円程度も安価に購入でき、2021年初頭のGPU品薄状況下において入手性が高いので、将来的なGPUアップグレードを想定した上で間に合わせ的に購入するゲーミングBTO PCとしては、検討する価値もあるのかなと思います。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」については、ミドルクラスとしてはちょっと高めなTGP170Wという発熱に対して、GPU温度は60度未満に収まり、なおかつ同測定環境においてノイズレベル31dB以下という抜群の冷却性能と静音性を発揮しました。静音性や冷却性能で選ぶなら、RTX 3060搭載グラフィックボードの中でもオススメの1台です。
静音性の高さについては単純なチューニングだけの話ではなく、ファン速度が1500RPM程度まで上がっても風切り音が小さく、実際のノイズレベルは32dB未満に収まっていることから、新構造のTORX FAN 4.0や放熱フィン形状の最適化などハードウェアレベルで設計が優れていることが分かります。
設計によって性能に差が出やすいヒートパイプダイレクトタッチ構造のヒートシンクコアについても、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」では6本のヒートパイプによってGeForce RX 3060のGPUダイをしっかりとフルカバーできており、十分な熱交換性能を実現できているので安心してください。
以上、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」のレビューでした。
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RTX3060にはOverChillな3スロット占有3連ファンGPUクーラーTRI-FROZR 2を搭載したゲーミングモデル「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) March 13, 2021
RTX 2060 SUPERやRTX 2070と実ゲーム性能をベンチマークで徹底比較。https://t.co/8XPhTMpOKK pic.twitter.com/hVSNTSrQiG
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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