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ADATA製DDR5メモリ「DDR5-4800 UDIMM」シリーズから8GB容量のメモリモジュール(型番:AD5U48008G-B)を例に、DDR5メモリでOC設定やXMP3.0がどう変わったのか確認してみます。
製品公式ページ:https://www.adata.com/jp/consumer/DRAM-module-DDR5-4800-U-DIMM
ADATA DDR5-4800 UDIMMの外観
まず最初に「ADATA DDR5-4800 UDIMM」の外観をチェックしていきます。「ADATA DDR5-4800 UDIMM(型番:AD5U48008G-B)」のメモリモジュールは黒色のPCB基板です。8GB容量のモデルは片面にMicron製メモリチップが計4枚実装されています。
ADATA DDR5-4800 UDIMMシリーズは、折角のヒートシンク非搭載なDDR5メモリなので、従来規格のDDR4メモリとの違いを簡単にご紹介します。
下写真で上側の黒色基板はDDR5メモリ、下側の緑色基板はDDR4メモリです。DDR3とDDR4でもそうでしたが、パッと見でサイズ感やおおまかな設計はほとんど変わりません。
DDR5メモリとDDR4メモリについて、まず最大の違いとしてメモリ端子の切り込み(キー)の位置が異なります。物理的にも両者には互換性がないことは一目瞭然です。
8GB容量メモリモジュールについて、DDR4メモリでは片面にメモリチップ8枚実装が多かったですが、DDR5メモリでは片面に4枚のメモリチップで8GB容量を実現しています。ちなみにDDR5メモリは将来的には最大で128GB容量も登場予定です。
もう1つ、DDR5メモリの大きな特徴として、メモリ基板上にPMIC(パワーマネジメントIC)を搭載しています。
DDR4ではメモリの各種電圧はマザーボード側で制御・生成していたのですが、DDR5ではマザーボードからメモリへの電圧は5V電圧のみ、メモリ上の素子への各種電圧はPMICによって管理されます。
DDR5メモリのOC設定とXMP3.0
最新規格のDDR5メモリでも、メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
DDR5メモリでも従来のDDR4メモリ同様に、マザーボードBIOS設定で「XMP(Extreme Memory Profile)」という項目を有効に設定する、もしくは適用したいプロファイルを選択することでXMPによるメモリのオーバークロックが可能です。
XMPを使用せず、「DRAM周波数(DRAM Frequency)」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されているメモリ周波数(DDR5なら4800MHzなど)およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから5000MHz以上の動作クロック(倍率)設定が可能です。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
Intel第12世代CPUのメモリコントローラー(IMC)周波数は、メモリ周波数に対して1:1対応のGear1(メモリ周波数が3200MHzならメモコンも3200MHz)、1:2対応のGear2(メモコンが1600MHz)、1:4対応のGear4(メモコンが800MHz)という3つの動作モードがあります。
DDR5メモリはGear2とGear4をサポートします。(DDR4メモリではGear1とGear2をサポート)
DDR5のGear2やDDR4のGear1でメモリ周波数とIMC周波数を引き上げたい場合の豆知識として、IMCのOC耐性は厳密には周波数ではなく動作倍率に依存します。
メモリ周波数とIMC周波数はリファレンスクロック(100MHz or 133MHz)に対する動作倍率で決まるため、3600MHzの場合はリファレンスクロック133MHzでIMC倍率が27倍となります。
リファレンスクロック100MHzでメモリ周波数を3800MHzや4000MHzにするとIMC倍率が38倍や40倍となってしまいますが、リファレンスクロック133MHzにするとメモリ周波数が上と同程度の3733MHzでもIMC倍率は28倍、3866MHzでもIMC倍率は29倍に下がるのでIMCのOC耐性からするとハードルが下がります。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。主要タイミングの名前はDDR5メモリでもDDR4メモリと同じです。
メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
メモリクロックのOC時にWindowsの起動や軽い動作までは安定するものの、メモリストレステストでエラーが出る程度の状態であれば、「CAS Write Latency (tCWL)」を引き上げることで安定する可能性があります。(その他にtCCDやtCCD_Lも)
メモリ周波数のOCを行う際はメモリ電圧(DRAM Voltage)の項目を昇圧します。
DDR5メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を5000MHz以上にOCする場合はメモリ電圧を1.250~1.300Vに盛ってください。
DDR4メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
加えてメモリ周波数やIMC周波数をOCする時に調整した方がいい電圧設定として、DDR5メモリ対応マザーボードの場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」、「CPU VDDQ(CPU VDDQ Voltage)」、「CPU VDD2(CPU VDD2 Voltage)」、「DRAM VDDQ(DRAM VDDQ Voltage)」の4つを調整すると良いようです。
CPU VDDQについては単純に昇圧すればいいというわけではなく、メモリ設定に応じてスイートスポットのようなものがあるかもしれないので設定の際は注意してください。
DDR4メモリではメモリ周波数のOCで主に変更する電圧は「メモリ電圧(DRAM電圧)」と「VCCSA」の2つだけでしたが、DDR5メモリでは「CPU VDD2」と「CPU VDDQ」と「DRAM VDDQ」の3つが増えました。
各社マザーボード毎にBIOSの項目名が微妙に違い、HWiNFOで確認するモニタリング値の表記も異なるので、下記の表にまとめました。
DDR5メモリ OCにおける設定電圧 | ||||||
呼称 | VCCSA | CPU VDD2 |
CPU VDDQ |
DRAM電圧 (メモリ電圧) |
DRAM VDDQ | |
DDR5 DIMM |
HWiNFO | VDD (SWA) Voltage | VDDQ (SWB) Voltage | |||
ASUS | BIOS | CPU System Agent Voltage | Memory Controller Voltage | IVR Transmitter VDDQ Voltage | DRAM VDD Voltage | DRAM VDDQ Voltage |
HWiNFO | IVR VCCSA | IMC VDD | IVR TX VDDQ | |||
MSI | BIOS | CPU SA Voltage | CPU VDD2 Voltage | CPU VDDQ Voltage | DRAM Voltage | DRAM VDDQ Voltage |
HWiNFO | VCCSA | VDD2 | CPU VDDQ | |||
ASRock |
BIOS | Uncore Voltage (FIVR) | VDD_CPU Voltage | VDD_IMC Voltage | VDD Voltage | VDDQ Voltage |
HWiNFO | VCCSA | VDD CPU | VDDQ TX Voltage (CPU) | - | - | |
GIGABYTE (未確認) |
BIOS | - | - | - | - | - |
HWiNFO | - | - | - | - | - |
Intel XMP(エクストリーム・メモリー・プロファイル)がDDR5メモリでは新バージョンの「XMP 3.0」にアップデートされています。
従来のXMP2.0でメモリに収録可能なプロファイルは2つまででしたが、XMP 3.0では計5つのプロファイルを保存できるようになり、このうちの3つはメモリメーカーが使用し、残り2つは書き換え対応でユーザーが利用可能になりました。プロファイルの名前も16文字まででユーザーが設定できます。 XMP 3.0ではメモリOC関連でDRAM電圧以外の細かい電圧設定もOCプロファイルから指定できるようになっています。
「MSI MEG Z690 UNIFY」のようにマザーボードが対応していれば、マザーボードBIOS上で2つのユーザー用XMPプロファイルを編集できます。
以上、『ADATA製DDR5メモリでOC設定やXMP3.0がどう変わったのか確認してみる』でした。
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ADATA製DDR5メモリ「DDR5-4800 UDIMM」シリーズから8GB容量のメモリモジュール(型番:AD5U48008G-B)を例に、DDR5メモリでOC設定やXMP3.0がどう変わったのか確認してみます。https://t.co/gBDJNOivef pic.twitter.com/kImz3RI7Mo
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 17, 2021
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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