Alienware 25 AW2521H


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DELLのゲーミングブランド”Alienware”から発売された、360Hzの超高速な垂直リフレッシュレートにネイティブ対応する史上最速のゲーミングモニタ「Alienware AW2521H」をレビューします。
360Hzの超高速リフレッシュレートにネイティブ対応であることを筆頭に、G-Syncモジュールによる可変リフレッシュレート同期機能、240Hzで黒挿入が可能なモーションブラーリダクション機能ULMB、システム遅延測定機能NVIDIA Reflex Latency Analyzerなど、オンライン対戦ゲームで勝利するために開発されたといっても過言ではない究極のゲーミングモニタを徹底検証していきます。



ちなみにDell公式通販で販売が開始された12月2日から7日までの期間限定で配布される25%オフクーポンを適用すると標準値下げとの合算で4万円引きになり、「Alienware AW2521H」は税込み6.6万円の超バーゲンプライスで購入できました。
360Hz対応モニタはシステム遅延測定機能NVIDIA Reflex Latency Analyzerも使えるのでゲーム別表示遅延の検証機材として管理人も購入予定があり、中でもOSD機能が充実しているASUS PG259QNRを買うつもりでした。多少高くても…と事前の想定はあったのですが、流石にReflex Latency Analyzer含むフルスペック版が6.6万円となると「Alienware AW2521H」を即ポチせざるを得ませんでした。
Alienware AW2521H_price



製品公式ページ:https://www.dell.com/ja-jp/shop/accessories/apd/210-axtm





Alienware AW2521H レビュー目次


1.Alienware AW2521Hの概要
2.Alienware AW2521Hの開封・付属品
3.Alienware AW2521Hの液晶モニタ本体


4.Alienware AW2521HのOSD操作・設定


5.Alienware AW2521Hの発色・輝度・視野角
6.Alienware AW2521Hの360Hzリフレッシュレートについて
7.Alienware AW2521Hの応答速度・表示遅延


8.Alienware AW2521HのG-Syncについて
9.Alienware AW2521HのReflex Latency Analyzerについて
10.Alienware AW2521HのNVIDIA ULMBについて
11.Alienware AW2521HのHDR表示やHDCP対応について


12.Alienware AW2521Hのレビューまとめ




Alienware AW2521Hの概要

「Alienware AW2521H」は解像度が1920×1080のフルHD解像度で、画面サイズが24.5インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用されています。コントラスト比は通常1,000:1、応答速度は1ms (GTG)、輝度は最大400nits(cd/m^2)です。

「Alienware AW2521H」はHDR表示にも対応していますが、VESA DisplayHDR等の輝度認証は取得していません。

「Alienware AW2521H」のリフレッシュレートはネイティブ360Hzです。今年に入って各社から発売の相次いでいる240Hz対応IPS液晶ゲーミングモニタはもちろん、ASUS TUF Gaming VG279QM/VG259QMが独自のOC機能によって達成した280Hzを大きく更新する、史上最速のゲーミングモニタです。
nvidia-g-sync-360hz-gaming-monitors
360Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
NVIDIAによると240Hz/FPSと比較して360Hz/FPSではさらに4%程度のエイム精度が向上するとのこと。
Alienware AW2521H_360Hz_merit

「Alienware AW2521H」はNVIDIA製グラフィックボードを組み合わせることで利用可能、モニタ内蔵G-Syncモジュールによって最適な動作を実現する、可変リフレッシュレート同期機能「NVIDIA G-Sync」に対応しており、ティアリング(フレーム更新タイミング差による画面のズレ)がなく、スタッタリング(カクツキ)を抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。
Alienware AW2521H_G-Sync
「Alienware AW2521H」はG-Syncモジュールによってサポートされるモーションブラーリダクション機能「ULMB (Ultra Low Motion Blur)」にも対応しています。
Alienware AW2521H_ULMB
また「Alienware AW2521HR」に搭載されたG-Syncモジュールは、NVIDIAがリリースした最新のシステム遅延低減技術NVIDIA Reflexに含まれているシステム遅延測定機能NVIDIA Reflex Latency Analyzer(対応マウスが別途必要)にも対応しています。
NVIDIA Reflex Latency Analyzer

「Alienware AW2521H」のビデオ入力はDisplayPort1.4とHDMI2.0×2の3系統です。DisplayPort1.4はフルHD/360Hzに対応、HDMI2.0はフルHD/240Hzに対応となります。またUSBハブとしてPCと接続するアップストリーム端子1つに加えて周辺機器を接続するためのダウンストリームUSB3.0端子が4基搭載されています。

「Alienware AW2521H」の寸法はモニタスタンド込みで幅556mm x 高さ421~526mm x 奥行51mm(モニタ単体では85mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整に対応しています。90度回転ピボットにも対応しています。チルト角は上20度から下5度、スイーベル角は左右25度、高さ調整は最大120mmの範囲で調節可能です。本体重量はモニタスタンドありで7.1kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは3.5kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。



Alienware AW2521Hの開封・付属品

まずは「Alienware AW2521H」を開封していきます。
「Alienware AW2521H」のパッケージサイズは幅68cm×厚さ25cm×高さ42cmとなっており、24.5インチモニタが入っている箱としては若干大きめで、重量は12kg程度です。
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パッケージサイズは大きく、重量も10kgを超えていますが、天面には持ち手が付いているので成人男性なら問題なく持ち運べると思います。
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モニタのパッケージというと、天面を開いて抜き出す梱包形式が多いですが、「Alienware 27 AW2720HF」は天面と底面に2か所ずつのプラスチック製固定器具を外して、広い面の蓋を開くという構造になっていました。蓋を開くと液晶モニタ本体や付属品が収められたスポンジ製スペーサーが現れます。
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「Alienware AW2521H」の付属品を簡単にチェックしておくと、DisplayPortケーブル、Mini-DisplayPortケーブル、USBアップストリームケーブル、ACケーブル、マニュアル冊子類が付属します。あと後ほど説明しますが、IOポートカバーも付属しています。
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DisplayPortケーブルはソース側が標準コネクタのケーブルとMini-DisplayPortコネクタのケーブルの2種類が付属するのが特徴的です。ゲーミングモバイルPCとの接続を意識したのだと思います。
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「Alienware AW2521H」のビデオ入力はDisplayPort1.4とHDMI2.0の2つがあり、DisplayPortケーブルがそれぞれ2種1本ずつ付属しています。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」、HDMI2.0ケーブルなら「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ DH-HDP14ESBKシリーズ」がおすすめです。いずれも標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
おすすめDisplayPort1.4ケーブル


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「Alienware AW2521H」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されています。
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フットプレートをフレームに差し込んで底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。
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モニタスタンド装着に当たって、モニタ本体はディスプレイに傷が付かないので、梱包スペーサーに置いたままにしておくのがオススメです。
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モニタスタンドを組み立てたら、「Alienware AW2521H」のモニタ本体背面の溝に斜め下の方向からモニタスタンドを差し込めば取り付け完了です。
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モニタスタンドの取り外しは、根本の下にあるスイッチでロックを外して、装着した時と逆に動かして引き出すだけです。
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Alienware AW2521Hの液晶モニタ本体

続いて「Alienware AW2521H」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。
「Alienware AW2521H」はフレームレス構造ですが、2mm程度の外枠を含めて、パネル上には上左右の非表示領域の幅は6mm程度です。下にはベゼルというか薄いフレームが貼り付けられており、非表示領域は19mm程度です。
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下フレームの中央には銀色文字でAlienwareテキストロゴが刻印されています。Alienwareのロゴはシンプルで良い感じなのですが、左端にある360Hzのマークはシールになっていて見た目が微妙です。(管理人はたぶん後ほど剥がします)
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「Alienware AW2521H」の背面に注目するとモニタ本体およびモニタスタンドは、2020年の新デザインコンセプトが採用されており、DELL Alienware公式が”レジェンド”と呼ぶ流線形の造形です。2019年以前の旧モデルのデザインのほうがシャープでスタイリッシュでしたが、ブランド名にちなんでエイリアンやUFOっぽさは強く感じます。
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同時に発売されたAW3821DWやAW2721D、240Hz対応IPS液晶ゲーミングモニタの初期モデルAW2720HFではルナライトと呼ばれるホワイト寄りのグレーを基調としたカラーリングでしたが、「Alienware AW2521H」はダークサイドオブザムーンと呼ばれる光沢のあるブラックカラーです。
Alienwareのブランド的にはルナライトの印象の方が強いですが、流線形の造形と光沢のあるブラックの組み合わせで、「Alienware AW2521H」はよりいっそう”エイリアン”感があります。

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「Alienware AW2521H」のモニタスタンドにはケーブルホールがあるので、各種ケーブルをまとめることができます。
また「Alienware AW2521H」のI/Oポートは外装パネルを大きく切り開く形で配置されていますが、付属のI/Oポートカバーによって背面から見てもスタイリッシュに仕上がります。I/Oポートカバーはプラスチックのツメでツールレスに簡単に着脱できます。
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「Alienware AW2521H」ではモニタフレーム中央のサーキットラインと、モニタ本体右上のAlienwareロゴにAlienFXと呼ばれるRGB LEDイルミネーションが内蔵されています。
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サーキットラインとロゴに加えて電源ボタンのLEDイルミネーションは個別に発光カラーを設定できます。LEDイルミネーションの発光パターンはOSDメニューから、特定の発光カラーに固定するモード(全20色)と、七色に変化しているスペクトラムモードの2種類から選択できます。
Alienware AW2521H_OSD_LED (1)
Alienware AW2521H_OSD_LED (2)
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「Alienware AW2521H」のモニタ本体の厚さは最厚部で85mmほど(左右端の最薄部は25mm程度)と最近の液晶モニタとしてはかなり厚みが大きくなっています。モニタ本体重量は4.4kg程度と軽量です。
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モニタ本体背面のモニタスタンドフレームの根本の直下には下向きに各種I/OやAC端子が配置されており、モニタ本体の下側側面には背面方向へ出っ張った部分にモニタ電源ON/OFFやモニタOSDを操作するための操作スティックが配置されています。
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「Alienware AW2521H」にはビデオ入力のI/Oポートとして背面左側に左から順に、2基のHDMI2.0ビデオ入力、1基のDisplayPort1.2ビデオ入力が設置されています。
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背面の右側にはUSB3.0アップストリーム端子、2基のUSB3.0ダウンストリーム端子、さらにモニタ底面に2基のUSB3.0ダウンストリーム端が設置されており、PCとアップストリーム端子を接続することによって、4基のUSBハブ端子として使用できます。
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また底面のUSB3.0端子の間にはヘッドホン用ステレオ出力3.5mmジャック、アップストリーム端子がある右側スペースにはスピーカー用ステレオ出力3.5mmジャックが実装されています。
ヘッドホン用ポートはインピーダンスが小さい一般的なヘッドホンや、逆にインピーダンスが大きいハイエンドオーディオ向けヘッドホンにも対応できるように、音声出力50%を境にして出力レベルが切り替わるようです。
Alienware AW2521H_Audio-port

「Alienware AW2521H」付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右20度(40度)に対応しています。
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「Alienware AW2521H」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に21度です。
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モニターの高さはモニター本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、モニタパネルの頂点で396mm~526mm、130mmの範囲内で調整できます。(一定以上に下げるとスタンドがはみ出すので最小の全高は421mm)
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モニタスタンドの付け根部分には高さ調整に便利な目盛りがあります。
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付属のスタンドはピボットに対応しており、縦向きにして使用できます。
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「Alienware AW2521H」はVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も4.5kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
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モニターアームについては管理人は「Lumen MA-GS102BK」、もしくは色違いでほぼ同機能な「サンワダイレクト 100-LA018」という製品をおすすめしています。モニターアームというとエルゴトロン製が一番の売れ筋ですが、クランプのネジが下に伸びているタイプのモニターアームは机に干渉して使えないという問題があり、MA-GS102BKはクランプを上側から六角レンチで締めるタイプでテーブル下の隙間が狭いデスクでも使用できるので管理人も使っています。
Lumen MA-GS102BK
「Lumen MA-GS102BK」はモニタとアームを接続する部分がクイックリリースのブラケット式になっていてモニタアームからモニタ本体の着脱が非常に簡単です。ピボット機能もあるので設置後にモニタを縦・横で向きを切り替えることもできます。ただ関節の滑りに若干難があるので潤滑剤を塗布するのがおすすめです。
Lumen MA-GS102BK_QR


なおVESAネジ穴が背面外装から窪んだ場所にあるモニタの場合、スライド式クイックリリースプレートを採用するモニターアームでは、背面外装とクリックリリースブラケットが干渉して設置できない可能性があります。そういった場合はスペーサーを使用してください。VESA100x100規格ではネジ規格がM4と決まっているのでM4ネジのスペーサーをAmazonや最寄りのホームセンターで探して下さい。
VESA_Monitor-Arm_Spacer
VESA100x100規格ではネジ規格もM4と決まっているのでM4のスペーサーであれば基本的に何でもいいのですが、別件で購入していたNUC用VESAマウント拡張ブラケット「SilverStone SST-MVA01 NUC用VESAマウント拡張ブラケット」に付属するスペーサーがちょうど使用できたので、管理人はこれを流用しています。M4ネジのスペーサーがよくわからないという人は2000円ほどしますが、とりあえずこれを買えば干渉を回避できます。
SilverStone SST-MVA01



Alienware AW2521HのOSD操作・設定

「Alienware AW2521H」のOSD操作はモニタ背面の左下(正面から見て裏側の右下)に設置されている操作スティックと4つのボタンを使用します。
操作スティックは上下左右と押下の5つの操作が可能で、操作ボタン各種の応答も良好でした。操作スティックは応答が微妙な製品も多いのですが、「Alienware AW2521H」はLG製モニタの操作スティックに近い感触で、押下ボタンも含めて反応が良いのでかなり操作しやすく感じました。また電源ボタンがOSD操作用ボタンと離れた場所に設置されていて誤押下の心配がないところも小さな評価ポイントです。

Alienware AW2521H review_07140_DxO
5つのボタン(うち1つは操作スティック)の機能は上から順に、操作スティックボタン(4方向スティック&押下ボタン)、終了ボタン(戻る操作や取り消し)、ショートカット1ボタン、ショートカット2ボタン、ショートカット3ボタンとなっています。
Alienware AW2521H_OSD_control
「Alienware AW2521H」では3つのショートカットボタンを押下すると、割り当てられた機能に応じて、クイック設定メニューが表示されます。標準では1~3に対して画質モード、輝度・コントラスト、暗さスタビライザーが割り当てられています。
Alienware AW2521H_OSD_shortcut
3種類のショートカットキーに割り当てる設定は、OSD詳細設定メニューの「カスタマイズ」から任意に変更することができ、各自で変更頻度の高いもにに切り替えておくと便利です。
Alienware AW2521H_OSD_shortcut_custom

スティックボタンを押下するとモニタ右下にOSDメニューが表示されます。OSD表示領域は24.5インチ画面の4分の1ほどと広いので、文字自体も大きくて視認性は良く、また上述の通り操作スティックの反応も良いので操作性はかなり良好だと思います。OSDメニュー表示から数秒の間は画面右上に現在のOSD設定の一部が確認できるOSDステータスバーも表示されます。
Alienware AW2521H_OSD

「Alienware AW2521H」は購入直後の初回起動時に言語選択メニューが表示されます。誤って日本語以外を選択してしまった場合は下記の手順で日本語に変更が可能です。
Alienware AW2521H_OSD_language

「Alienware AW2521H」のOSDメニューには大きく分けて、「ゲーム」「輝度/コントラスト」「入力信号」「AlienFX照明」「G-Sync Processor」「オーディオ」「メニュー」「カスタマイズ」「その他」の9つの項目が用意されています。
Alienware AW2521H_OSD_Menu (1)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (2)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (3)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (4)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (5)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (6)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (7)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (8)
Alienware AW2521H_OSD_Menu (9)

「Alienware AW2521H」の画質モードはゲームの項目にあるプリセットモードから選択できます。標準設定の「標準」に加えて、「G-SYNC Esports」「FPS」「MOBA/RTS」「RPG」「SPORTS」などゲームジャンルやコンテンツ別プリセットに加えて、ゲーム別に各自で設定可能な「ゲーム 1~3」、「ConfortView」、色温度別で「暖色」「寒色」、任意に色温度(RGB強度)を調整できる「ユーザーカラー」など多くの画質モードが用意されています。
Alienware AW2521H_OSD_mode (1)
Alienware AW2521H_OSD_mode (2)

ゲーム関連の表示設定はトップメニューで一番上の「ゲーム」に配置されています。
ゲーム向上モードという設定項目からは、リアルタイムの画面リフレッシュレートを表示する「フレームレート」(可変リフレッシュレートが有効な場合、OSD表示がリアルタイムで変化する)、カウントダウンを表示する「タイマー」があります。OSDで照準を表示する機能がないのは残念です。
Alienware AW2521H_OSD_game-function
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「Alienware AW2521H」は「応答速度」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度を高速/超速/最速の3段階で設定ができて、標準設定は高速になっています。
Alienware AW2521H_OSD_overdrive
モーションブラーリダクション機能「ULMB (Ultra Low Motion Blur)」については標準ではグレーアウトしており選択できませんが、PC側設定でG-Syncが無効かつ、DisplayPort接続においてリフレッシュレートが144Hzもしくは240Hzの時に選択可能となります。なおAMD製グラフィックボード環境ではULMBは使用できません。
Alienware AW2521H_OSD_ULMB
黒の強弱を調節して暗がりの視認性を高める機能「暗さスタビライザー」も用意されており、補正強度はレベル0~3の4段階で設定が可能です。標準設定ではレベル0(機能OFFの状態)が設定されており、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。
Alienware AW2521H_OSD_dark-stabilizer



Alienware AW2521Hの発色・輝度・視野角

Alienware AW2521Hの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。
直接的な画質ではありませんがAlienware AW2521Hの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
Alienware AW2521H review_07157_DxO

液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「Alienware AW2521H」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表

IPS VA TN
色再現性
コントラスト
視野角
応答速度
価格 (高RR)
△ (×)

液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説

「Alienware AW2521H」は360Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
Alienware AW2521H review_07186_DxO
Alienware AW2521H review_07189-horz

「Alienware AW2521H」の発色について、色温度の標準設定である”標準”で、白色が極端に黄色や青色がかって見えることはありませんでした。もしも標準設定で違和感を覚える場合は、「Alienware AW2521H」では寒色・暖色の2つの画質モードや、任意にRGB強度を調整できるユーザーモードがあります。
Alienware AW2521H_OSD_Color (1)
Alienware AW2521H_OSD_Color (2)


ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
Color Calibrator_2020_DxO
余談ですが、分光式のi1 Basic Pro 3は20万円程と非常に高価ですが、一般的な用途であれば測定精度は十分なので、イラスト製作や写真編集でカラーキャリブレーションを行う場合、カラーフィルター式のX-Rite i1 Display ProかDatacolor SpyderX Proで十分です。ユーザー数の多さで面倒が少ないのはX-Rite i1 Displayだと思います。


「Alienware AW2521H」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「Alienware AW2521H」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度30%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度60~70%前後です。また最大輝度が450cd/m^2程度と比較的明るいモニタです。
Alienware AW2521H_brightness
同じく360Hz対応のASUS ROG Swift 360Hz PG259QN(標準設定の通り可変バックライト有効時)と比較すると、ASUS ROG Swift 360Hz PG259QNがシンプルに設定値に比例して輝度が上がっていくのに対し、Alienware AW2521Hでは0%~70%ではより緩やかに輝度が上昇していき、70%以降で急激に輝度が上がる独特な制御になっていました。実用上使用されることの多い200cd/m^2以下の輝度で細かく調整できるようにパーセンテージを割り当てたのだと思います。


「Alienware AW2521H」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
Alienware AW2521H_uniformity
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「Alienware AW2521H」については(下の写真は全体が白表示なので実用シーンよりもやや強調されていますが)、左右端は輝度が20%以上落ちており、均一性はよくありません。
Alienware AW2521H_uniformity_Corner


「Alienware AW2521H」にはOSD設定として「可変バックライト(Variable Backlight)」があります。標準では無効になっている機能ですがモード0、モード1、モード2の3つのプリセットから動作モードを選択できます。
通常、画面表示の内容が暗い時に、それに合わせてバックライトを弱くする機能(黒レベルが下がるのでコントラストも向上します)ですが、上のグラフの通り可変バックライトを有効にするとディスプレイ輝度も高くなります。
Alienware AW2521H_OSD_variable-backlight
マニュアルを参照すると、モード0はHDR対応PCゲーミングに最適なモードで、モード2は写真編集などデスクトップ作業に最適なモード、モード1はその中間とのこと。
Alienware AW2521H_OSD_variable-backlight_about
可変バックライトの簡単な動作確認の方法としては、全画面黒表示で、白色輝点のマウスカーソルを画面上でインアウトさせるとバックライトの強弱が変化する様子が分かります。(機能的に同じだったのでASUS ROG Swift 360Hz PG259QNの動画を引用しています)
下の動画では分かりやすくバックライトを強弱させていますが、今回の検証でいくつかゲームも動かしてみたところ、可変バックライトのせいでチラつき(輝度の変化、明滅)を感じるような弊害は特にありませんでした。PCゲーミングシーンにおいては実用上、特に問題のない機能だと思いますが、チラつき(輝度の変化、明滅)を感じるようなら機能をOFFにしてみてください。


画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「Alienware AW2521H」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
ASUS ROG Swift 360Hz PG259QNでは可変バックライトを有効にしないとブラックレベルが高くなりコントラストが大きく下がる症状があったのですが、「Alienware AW2521H」は標準設定の通り可変バックライトを無効のままでも1000:1程度のIPS液晶モニタとして標準的なコントラストが出ました。
Alienware AW2521H_contrast_black-level
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
Alienware AW2521H_contrast


続いて「Alienware AW2521H」の色域と色の正確性を検証してみました。
まずはモニタのOSD設定を標準設定の標準モードにして(ディスプレイ輝度のみ120cd/m^2になるように調整)、任意のカラープロファイルを適用しない場合、次のようになりました。
「Alienware AW2521H」は標準モードでそのまま使用しても95% sRGBでそこそこ広い色域をカバーしています。
Alienware AW2521H_color_perf_def
色の正確性は平均ΔEが1.32となっており、悪くはありませんがやや誤差があります。X-Riteによると『ΔE=1程度で2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル』とのこと。
Color-Accuracy_delta-E
次にX-Rite i1 Basic Pro 3を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
i1 Pro2_Calibration_Setting (1)
i1 Pro2_Calibration_Setting (2)i1 Pro2_Calibration_Setting (3)
「Alienware AW2521H」では色温度を標準設定にするとRGBの強さに差が大きいとアラートが出たので、手動で調整できるユーザー設定モードでR(赤)=99, G(緑)=93, B(青)=86としてキャリブレーションを行いました。
Alienware AW2521H review_08029_DxO-horz
X-Rite i1 Basic Pro 3によるカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、上と同様に色域と色の正確性を測定したところ次のようになりました。
「Alienware AW2521H」はカラーキャリブレーションを行うとΔEの平均値は1.19へと若干改善しました。とはいえ、あまり大きな差はなく、モニタ性能的に標準設定で限界近い色調整が施されているのだと思います。
Alienware AW2521H_color_perf_cc
参考までにX-Rite i1 Basic Pro 3で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 3は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション後も色の正確性はΔE 1.17でしたが、X-Rite i1 Basic Pro 3で測定した色の正確性はΔE 0.4とかなり優秀な数値です。
Alienware AW2521H_color-accuracy_i1pro3

また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
「Alienware AW2521H」については青色ピークの立ち上がりは鋭いものの、緑と赤の分離が弱く、また青に比べてピークも低いという一般的な液晶モニタの特長です。
Alienware AW2521H_spectrum_1



Alienware AW2521Hの360Hzリフレッシュレートについて

「Alienware AW2521H」の最大の特徴である360Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。

まずは「Alienware AW2521H」の特徴の1つである”360Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。
さらに最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも販売されていますが、「Alienware AW2521H」はそれを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレートを実現しています。
60Hz-144Hz-240Hz RefreshRate
1秒間に360回の画面更新を行う360Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。


「Alienware AW2521H」ではNVIDIA GeForce RTX30シリーズやNVIDIA GeForce RTX20シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを最大360Hzなどに自由に設定できます。
Alienware AW2521H_360Hz_NVIDIA
G-Syncモジュール搭載モニタでは長らくサブ入力のHDMIバージョンが1.4でしたが、最新モデルでは第2世代G-Syncモジュールが採用されており、サブ入力もHDMI2.0に対応しています。
「Alienware AW2521H」では2基のサブ入力の両方がHDMI2.0に対応しており、最大でフルHD/240Hzの画面表示が可能でした。
Alienware AW2521H_NVIDIA_HDMI

モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
「Alienware AW2521H」はNVIDIA G-Syncモジュール搭載モニタですが、DisplayPortに接続すればAMD製GPU環境でも360Hz対応モニタとして問題なく使用できます。
Alienware AW2521H_360Hz_AMD


オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。


またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
画面表示を基準にして、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。


NVIDIA公式からもハイリフレッシュレートなゲーミングモニタとハイフレームレートに対応可能な高性能グラフィックボードを使用するメリットについて紹介する「動画が公開されています。


こちらもNVIDIA公式による比較動画ですが、相対しているプレイヤーそれぞれのディスプレイを、現実に横に並べてハイスピードカメラで撮影しています。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。



なお「Alienware AW2521H」でフル解像度/360FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「Alienware AW2521H」を使用するのであれば2020年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 3080やNVIDIA GeForce RTX 3090がおすすめです。
GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ
GeForce RTX 30



Alienware AW2521Hの応答速度・表示遅延

次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「Alienware AW2521H」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。

まずは「Alienware AW2521H」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて

「Alienware AW2521H」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「オーバードライブ」の名前で配置されており、オーバードライブ補正の強度を高速/超速/最速の3段階で設定ができます。標準設定は高速になっているので、以降の検証においても上で解説したオーバードライブの補正がかかります。
「Alienware AW2521H」のオーバードライブ設定は60Hzから360Hzの全域に渡って”超速”が最適な設定値です。1種類のオーバードライブ設定で一般的な60Hzから超高速な360Hzまで幅広くカバーできるところは可変オーバードライブ機能でリフレッシュレートに合わせてオーバードライブの補正強度を調整できる、G-Syncモジュール搭載モニタならではの強みです。
なおオーバードライブ設定を”最速”にすると過渡応答は速くなりますがオーバーシュートの逆像が若干強まる傾向があります。オーバーシュートの影響はそこまで大きくはないので実際に使ってみて違和感がなければ、最速設定でもいいと思います。
Alienware AW2521H_OSD_overdrive

応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
UFO Test_Ghosting

まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみたところ、「Alienware AW2521H」では360Hzリフレッシュレートで動作させると(オーバードライブ設定は最適値の通常)、ベストタイミングにおいて1フレーム前の残像が薄っすらと残る感じになりました。
単純に既存の240Hz対応IPS液晶パネルで強引に360Hz動作をさせたと仮定すると、2,3フレームは前のものが残ってしまうので、360Hzに対応する「Alienware AW2521H」にはさらに改良された高速IPS液晶パネルが採用されているのが分かる結果です。
だだし、GtoGやGtoWは高速ですが、GtoBやWtoGのように明るさが下がる方向の変化は若干遅めに見えます。ゲーミングシーンで重要なGtoGに範囲を狭める感じで応答速度を最適化(高速化)しているような印象です。
Alienware AW2521H_360Hz_2_Super Fast

さらに「Alienware AW2521H」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
Response-and-Latency Test

「Alienware AW2521H」の標準オーバードライブ設定は”高速”ですが、リフレッシュレートをネイティブ対応する最大値の360Hzにした時、”超速”に引き上げると実用上問題ないレベルでオーバーシュートが発生する形で応答速度が改善します。
オーバードライブ設定を”最速”にすると過渡応答は速くなりますがオーバーシュートの逆像が若干強まる傾向があります。ただオーバーシュートの影響はそこまで大きくはないので実際に使ってみて違和感がなければ、最速設定でもいいと思います。


ハイリフレッシュレートで理想的な応答を見せるオーバードライブ設定は相対的に補正が強過ぎるため、リフレッシュレートを下げるとオーバーシュートが発生してしまうことが多いですが、「Alienware AW2521H」は360Hzで最適な応答を見せる超速設定のままで、60~240Hzのリフレッシュレートでも綺麗な応答を見せます。


SONY DSC-RX100M5の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーでは360Hz動作を綺麗にとらえるのは流石に難しいのですが、「Alienware AW2521H」のリフレッシュレート240Hzについて、240Hz対応ゲーミングモニタでIPS液晶パネルの「ASUS TUF Gaming VG279QM」と、TN液晶パネルの「ZOWIE XL2746S」を比較してみた様子が次の動画です。
PCゲーミングシーンの指標になるグレーバックにおいて、IPS液晶パネルの「ASUS TUF Gaming VG279QM」よりも高速なのはもちろん(残像感がない)、応答速度で優れるTN液晶パネルの「ZOWIE XL2746S」と比較しても遜色ない高速応答を実現しています。オーバードライブによる逆像の弱さも考えると「Alienware AW2521H」が240Hzにおいて最速に見える結果です。



ここからはSONY DSC-RX100M5の960FPS(16倍速)よりもさらに高速な5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラを使用して「Alienware AW2521H」の応答速度を比較検証していきます。
まずは先ほどのおさらいになりますが、360Hz動作時のオーバードライブ設定別で「Alienware AW2521H」の応答速度をチェックしてみました。
結果は先ほど同様ですが、標準設定の高速から超速に設定を買えると若干オーバーシュート感は出るものの応答速度が速くなってリアルタイムに見てもクッキリします。さらに最速へ引き上げると過渡応答は高速になるもののオーバーシュートが強めになるのでお好みで、という感じです。
同じく360Hz対応ゲーミングモニタASUS ROG Swift 360Hz PG259QNと比較してみると、PG259QNの最適OD設定である通常設定時の応答速度と、「Alienware AW2521H」の超速設定時の応答速度はほぼ一致しています。


続いて応答速度に優れるTN液晶パネルを採用し、240Hzネイティブ対応ゲーミングモニタでは最速の「ZOWIE XL2746K」と比較してみました。
「Alienware AW2521H」を240Hz動作にした時については、960FPS動画と同様に5760FPS動画を見ても、PCゲーミングシーンの指標になるグレーバックではIPS液晶ながらTN液晶と遜色ない応答を見せているのが分かります。オーバードライブの逆像も含めれば「Alienware AW2521H」のほうが低残像です。
動画右半分のように黒背面での応答速度は「Alienware AW2521H」のほうが劣るので、オシロスコープ等を使用した全域GTGの平均応答速度では数値上、ポジションが下がる可能性がありますが、PCゲーミングの実用シーンではTN液晶よりも高速と言っても過言ではないと思います。


「Alienware AW2521H」を360Hz動作にしてもやはり、TN液晶の「ZOWIE XL2746K」よりグレーバックで低残像です。しかしながらGtoGの中域の変化に最適化が強いせいか、ブラックバックでは360Hzの変化に追いつかず残像が増しています。


最後に「Alienware AW2521H」と同じく360Hzリフレッシュレートにネイティブ対応のゲーミングモニタASUS ROG Swift 360Hz PG259QNと応答速度を比較してみます。
「Alienware AW2521H」とASUS ROG Swift 360Hz PG259QNをそれぞれ最適OD設定で比較してみましたが、応答速度はほぼ同じでした。この2機種で悩んでいる人は応答速度の優劣で悩む必要はないと思います。



「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
測定には240Hz未満のモニタではSONY DSC-RX100M5の960FPSスーパースローモーションを使用していますが、240Hzを超えるモニタでは5760FPSのスーパースローモーションを使用しており、その場合は末尾に”*”マークを添えています。
response_test
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3ms、360Hzの場合は5.6msを下回っていればOKです。

まずは背景カラーがブラックの時の「Alienware AW2521H」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
3種の中では高速な応答を見せることが多いテストなのですが、GtoG中域の応答速度が高速になるように最適化されているためなのか、「Alienware AW2521H」は240Hz以上において、この応答速度が若干遅めです。
Alienware AW2521H_response_1_black
続いて背景カラーがホワイトの時の「Alienware AW2521H」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
Alienware AW2521H_response_2_white
最後に背景カラーがグレーの時の「Alienware AW2521H」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
「Alienware AW2521H」に関してはスーパースローモーションでよくよく見ると、オーバーシュートの残像が確認できますが、薄いもやのような感じなので、実際はオーバーシュートによる色滲みとして知覚されることはないように思います。なのでオーバーシュートによる加算分はなし、もしくは+1ms未満程度の加算が応答速度と考えてもいいと思います。
Alienware AW2521H_response_3_grey


最後に「Alienware AW2521H」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。

モニタの表示遅延測定においてはモニタ以外の要因で表示遅延に差が出ると問題があるので、検証モニタへビデオ出力を行うPCはCore i9 9900KとGeForce RTX 2080 Tiを搭載した次のベンチ機で統一しています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー
キーボード HyperX Alloy FPS
メカニカルゲーミングキーボード (レビュー

Monitor Latency Test Bench

モニタの表示遅延を測定する具体的な方法としては、キー押下時にそのキーのLEDが点灯するキーボードを使用して、LEDの点灯から画面表示への反映までの間隔を遅延時間として測定します。画面表示の確認については簡単にメモ帳を使用しています。この様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、遅延フレーム数を数えて遅延時間を算出します。同計測を各モニタ(と各リフレッシュレート)ごとに10回ずつ行って、その平均値を表示遅延とします。


「Alienware AW2521H」やその他の比較モニタの表示遅延の測定結果は次のようになりました。グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレート液晶モニタを選択するメリットは大きいです。
240Hz対応モニタの表示遅延は各製品で概ね16ms前後でしたが、「Alienware AW2521H」の360Hz表示はさらに4~5msも表示遅延を縮めています。
Alienware AW2521H_latency

表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。


主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。




Alienware AW2521HのG-Syncについて

続いて「Alienware AW2521H」の大きな特徴の1つ、可変リフレッシュレート同期機能「NVIDIA G-Sync」についてチェックしていきます。

モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
AMD FreeSync_NVIDIAG-Sync Compatible

なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。


「Alienware AW2521H」は、VESAが規格化したAdaptive-Syncではなく、可変リフレッシュレート同期機能のために独自のNVIDIA G-Syncモジュールが内蔵されたゲーミングモニタです。従来のG-Syncモジュール内蔵モニタはNVIDIA製GPU環境でしか可変リフレッシュレート同期機能を利用できませんでしたが、「Alienware AW2521H」はAMD製GPU環境でも使用できます。

NVIDIA G-Sync Module
「NVIDIA G-Sync」はモニタ側に専用モジュールを搭載しており、その分高価ですが、「AMD FreeSync」とは違って可変リフレッシュレート型同期機能を使用可能な映像ソースのフレームレートについて、モニタに依存した制限が基本的に存在しないというメリットがあります。
「NVIDIA G-Sync」と「AMD FreeSync」はいずれも可変リフレッシュレート型同期機能というくくりで扱われますが、両者の仕様にはけっこう違いがあります。垂直同期の扱いからの推測ですが、「NVIDIA G-Sync」が『専用モジュールによって、GPUレンダリング完了タイミングと画面更新タイミングを同期させるワンパッケージな機能』であるのに対して、「AMD FreeSync」は『一定期間のリフレッシュレートを映像ソースFPSの傾向に合わせて逐次変化させる機能』となっているようです。
また「可変オーバードライブ」にも対応しオーバードライブの補正強度をリフレッシュレートに合わせて調整してくれるので、可変リフレッシュレート同期機能によってリフレッシュレートが変動しても、リフレッシュレートが下がった時にオーバーシュートによる色滲み(逆像)が生じにくいというメリットもあります。


「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」で対応可能なリフレッシュレート(フレームレート)の下限は40~48Hz程度ですが、G-Syncモジュールを内蔵する「Alienware AW2521H」はDisplayPort接続時に、1Hz~360の範囲内で可変リフレッシュレート同期機能に対応しています。
またG-Syncモジュールを搭載するモニタではこれまでHDMIのサブ入力は可変リフレッシュレート同期機能に非対応でしたが、「Alienware AW2521H」に搭載された2基のHDMI入力はNVIDIA製GPU環境において、G-Sync対応モニタとして認識され、可変リフレッシュレート同期機能が使用できます。
Alienware AW2521H review_08048

NVIDIA G-Syncが正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「Alienware AW2521H」のゲーム向上モードの機能の1つであるフレームレートによってオーバーレイ表示されるリアルタイムリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになります。
可変動作リフレッシュレート同期機能が正常に動作しているかは、フレームレート(リアルタイムリフレッシュレート)がゲーム内フレームレートに合わせて変動しているかどうかを見て確認してください。
Alienware AW2521H review_08040
「Alienware AW2521H」では360Hzを上限としたリフレッシュレートにおいても可変リフレッシュレート同期機能G-Syncが正常に動作し、下の動画のように同期なしで頻発するテアリング(画面の分断)やスタッター(カクつき)が綺麗に消えています。


ちなみに「Alienware AW2521H」のDisplayPortビデオ入力はAMD製GPU環境でもFreeSync対応モニタとして認識されました。
Alienware AW2521H_AMD FreeSync_DP (1)
Alienware AW2521H_AMD FreeSync_DP (2)
ただし、2020年12月28日現在最新のドライバ「Radeon Software Adrenalin 2020 Edition 20.12.2」では1FPS~255FPSまでの可変リフレッシュレートに対応と表示されますが、実際に動作検証をしてみたところ、AMD製GPU環境において可変リフレッシュレート同期が正常に動作するのは240Hzリフレッシュレートに設定した時まで、300Hzや360Hzなど上のリフレッシュレートに設定するとリフレッシュレートが固定されました。
ハードウェアの問題か、今後のドライバアップデートで対応可能なのかは分かりませんが、AMD製GPU環境においては今のところ可変リフレッシュレート同期機能が利用できるのは240Hzまでのようです。
Alienware AW2521H review_08058-horz

なお「Alienware AW2521H」はHDMIサブ入力についてもAMD製GPU環境でAMD FreeSyncが使用できました。
2020年10月上旬に当時の最新ドライバRadeon Software Adrenalin 2020 Edition 20.9.2で検証したところ「ASUS ROG Swift 360Hz PG259QN」ではHDMIサブ入力でAMD FreeSyncを使用できなかったので、ドライバアップデートで対応したか、Alienware AW2521HとASUS ROG Swift 360Hz PG259QNでサブ入力の機能に差がある可能性があります。
Alienware AW2521H_AMD FreeSync_HDMI


NVIDIA G-SyncやG-Sync Compatibleの使い方

「Alienware AW2521H」で可変リフレッシュレート同期機能「NVIDIA G-Sync / G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。
可変リフレッシュレート同期機能「NVIDIA G-Sync」の使い方は非常に簡単で、「Alienware AW2521H」をNVIDIA製GPUのDisplayPortビデオ出力に接続し、NVIDIAコントロールパネル上からG-Syncを有効にすると、以降はゲーム内の垂直同期制御はドライバが上書きする形で、G-Syncによってモニタ側の更新タイミングが制御されるようになります。
Alienware AW2521H_G-Sync

2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力(一部ではHDMIビデオ出力も)にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-Sync、G-Syncとの互換性を有効化(Enable G-Sync, G-Sync Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
Alienware AW2521H_G-Sync-compatible
なおG-Sync Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
Alienware AW2521H_G-Sync-compatible_another


AMD FreeSyncの使い方

「Alienware AW2521H」で可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。
AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
Alienware AW2521H_FreeSync
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
Radeon_V-Sync_Setting


NVIDIA G-Syncの効果

可変リフレッシュレート同期機能の「NVIDIA G-Sync」や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。後者については機能的にほぼ同じなので以降まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。

可変リフレッシュレート同期機能の検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
Alienware AW2521H review_06515

まずは同期なし、垂直同期、G-Syncの違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレートを60HzにGPU側出力を50FPS前後になるようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なし、垂直同期、G-Syncのいずれも50FPS前後の映像ソースが表示されていますが、同期なしではテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でG-Sync有効ではテアリングもスタッターも一切発生していません。4K解像度のように高フレームレートを稼ぐのが難しい超高解像度において可変リフレッシュレート同期機能「NVIDIA G-Sync」が快適なゲームプレイに与える影響はかなり大きいと思います。


なお上動画の右下にはG-Sync有効下でリフレッシュレートを超える映像ソースが表示された場合の画面を表示しています。G-Sync有効下において映像フレームレートがリフレッシュレートを上回ると、動画のようにテアリングが発生します。
G-Sync対応モニタでは通常はドライバによって垂直同期設定が上書きされてそういった現象が発生しないように制御されるのですが、実際の挙動はゲームによって異なるという実状があります。
vrr-sync-fps-over
G-Sync有効時にゲーム内設定の垂直同期を有効にするとモニタリフレッシュレートを上回らないようにするものもありますが、垂直同期でフレームレートの上限を上手く制御できない場合は、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
GeForce_Max Frame Rate_setting
NVIDIAコントロールパネルの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することが可能です。
RivaTunerNvidia Profile Inspector
AMD環境においてもFreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生します。リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
Radeon_max-framerate_setting

以下、「ASUS ROG SWIFT PG27UQ」を使用した検証結果を元にして、NVIDIA G-Syncの効果やメリットについて紹介していきます。

「ASUS ROG SWIFT PG27UQ」の4K解像度120Hリフレッシュレートにおいて、ゲーム内フレームレートが50FPS程度になる映像を使用して、同期なし、垂直同期、G-Syncを比較してみました。右下の分割画面には比較対象として同じ映像で60Hzリフレッシュレートの垂直同期を載せています。
左上の同期なしは盛大にテアリングが発生しています。4K解像度についてはGPU負荷的に40~60FPSを狙う高画質ゲームが多いので画質を重視するなら同期機能は必須だと思います。右側の垂直同期の60Hzと120Hzを比較すると同じ映像であっても画面更新間隔は小さくなるので、120Hzのほうがスタッターによるカクつきの違和感は減っています。それでも垂直同期120Hzでは細かいスタッターがありますが、左下のG-Sync有効ではスタッターもテアリングもなく綺麗で滑らかな表示が実現できています。


さらに「ASUS ROG SWIFT PG27UQ」の4K解像度120Hリフレッシュレートにおいて、ゲーム内フレームレートが100FPS程度になる映像を使用して、同期なし、垂直同期、G-Syncを比較してみました。右下の分割画面には比較対象として50FPS程度のG-Syncを載せています。
G-Sync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。G-Syncの50FPSと100FPSを比較すると当然ですが100FPSの方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。


またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。




Alienware AW2521HのReflex Latency Analyzerについて

「Alienware AW2521H」はNVIDIA G-Syncモジュールによってサポートされるシステム遅延測定機能「NVIDIA Reflex Latency Analyzer」に対応しています。
NVIDIA Reflex Latency Analyzer

「NVIDIA Reflex Latency Analyzer」を使用するには同機能に対応したゲーミングモニタに加えて、対応ゲーミングマウスも必要になります。
NVIDIA
Reflexの公式ページでは、Reflex対応ゲームと各ゲームがサポートする機能、Reflex Latency Analyzerに対応するゲーミングモニタとゲーミングマウスの一覧が公開されています。
互換性一覧:https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/technologies/reflex/supported-products/
NVIDIA Reflex Latency Analyzer_compatible

「NVIDIA Reflex Latency Analyzer」において対応ゲーミングモニタはG-Syncモジュールを使用する機能なので必須ですが、実のところ互換マウスは必須ではなく、測定を正確にするための推奨機器という扱いです。
NVIDIA Reflex Latency Analyzerで測定対象となるシステム遅延とは『マウスをクリックしてから、ディスプレイ表示に反映されるまでの時間』です。
しかしながら、マウスをクリックしてからG-Syncモジュール(もしくはGeForceドライバ)がマウス信号を認識するまでの時間はユーザー環境で測定ができないため、あらかじめNVIDIAラボで互換性確認済みマウスは『クリック操作から信号出力』までの内部遅延が測定され、そのデータをGeForceドライバに収録することで測定を正確にしているようです。
2020年12月現在は「Asus ROG Chakram Core」「Razer Deathadder V2」「SteelSeries Rival 3」の3機種が動作確認済みゲーミングマウスとなっています。
NVIDIA Reflex Latency Analyzer_compatible-mouse
この3機種についてはいずれも国内市場で発売済みなので入手性も問題ないのですが、ASUSとRazerが8000円程に対して、「SteelSeries Rival 3」は4000円程度と安価だったので管理人は検証機材として試しにこれを購入してみました。
SteelSeries Rival 3

またNVIDIA Reflex対応ゲーム一覧についてもNVIDIA公式から公開されています。システム遅延低減機能自体は互換性ゲームのほぼ全てで全機能がサポートされていますが、NVIDIA Reflexの一部であるシステム遅延測定機能Reflex Latency Analyzerのサポート状況はゲームによって異なります。
ゲーム内遅延統計とReflex Latency Analyzerのフラッシュインジケーター表示の両方に対応しているので、ゲーム自体もフリー配信ですし、まずはフォートナイトで試すのが良さそうです。
NVIDIA Reflex Latency Analyzer_compatible_game


「Alienware AW2521H」でシステム遅延測定機能NVIDIA Reflex Latency Analyzerを使用する方法について説明していきます。まずモニタ側の設定として、OSD設定のG-Sync ProcessorにNVIDIA Reflex Latency Analyzerに関する設定項目が配置されています。
システム遅延測定機能を使用する場合は、一番上にある「PC + Display レイテンシ」の項目を選択して機能をオンに切り替えます。
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyze
機能をオンに切り替えると画面中央に下のような注記が表示されます。
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_connection
注記の通りですが、モニタを正面から見た時に右側(下写真では後方から見ているので左側)にあるマウスマークが刻印されたUSBポートにマウスを接続します。あとUSBアップストリームケーブルでPCとモニタを接続するのも忘れずに。
Alienware AW2521H review_07138_DxO
NVIDIA Reflex Latency Analyzerではマズルフラッシュのような画面変化を観測することでディスプレイ表示の完了を検出します。検出範囲は半透明なグレーのオーバーレイ枠として画面上に表示されます。
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_cursor
このモニタリング枠についてはOSD設定で非表示にすることも可能です。
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_show
モニタリング枠の位置やサイズについては中央・右利き・左利きの3種類のプリセットに加えて、任意に設定ができ、「枠の位置」や「枠サイズ」の項目から任意にカスタマイズが可能です。
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_position (1)
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_position (2)
モニタリング枠の範囲内でマズルフラッシュのような操作に対する画面変化を測定するのですが、単純かすると暗→明の変化を測定することになるので、無操作時にも起きる揺れなどで誤検出が起こらないように、もしくは弱いマズルフラッシュ等でも検出できるように、検出感度を低・中・高の3段階で設定できます。
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_sensitivity (1)
Alienware AW2521H_OSD_Reflex Latency Analyzer_sensitivity (2)



【Reflex Latency Analyzerについては後日追記予定です。】



Alienware AW2521HのNVIDIA ULMBについて

「Alienware AW2521H」はNVIDIA G-Syncモジュールによってサポートされるモーションブラーリダクション機能「NVIDIA Ultra Low Motion Blur (NVIDIA ULMB)」に対応しています。
NVIDIA Ultra Low Motion Blur (NVIDIA ULMB)は、製品公式ページで『バックライトのストロボを使用してモーションブラーを軽減し、非常に滑らかで躍動感あふれるビジュアルを実現します』と表記されているように、一般に言うところのMotion Blur Reduction(モーションブラーリダクション、残像抑制)機能の1種です。

モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
Motion Blur Reduction

「Alienware AW2521H」に搭載されたモーションブラーリダクション機能「NVIDIA Ultra Low Motion Blur (NVIDIA ULMB)」については標準ではグレーアウトしており選択できませんが、PC側設定でG-Syncをオフにして、DisplayPort接続においてリフレッシュレートが144Hz、240Hzの時に選択可能となります。
Alienware AW2521H_OSD_ULMB
また「Alienware AW2521H」のNVIDIA ULMBでは明転/暗転の割合を変更できる設定として、ULMB有効時に「ULMB Pulse Width」が表示されます。
ULMB Pulse Widthは10~100の範囲内で1刻みで設定でき、100に近いほど明転時間が長く、10に近いほど明転時間が短くなります。明転時間は長いほど画面輝度が上がりますが、逆に明転時間が短いほど輝度が低くなる代わりに、よりクッキリした画面表示が得られます。
Alienware AW2521H_OSD_ULMB_palse-width

まずはモーションブラーリダクション機能「NVIDIA ULMB」が具体的にどのような動作をしているのか確認していきます。「Alienware AW2521H」で240HzリフレッシュレートのNVIDIA ULMBが動作している時の様子を5760FPSスーパースローモーションムービーで撮影してみました。5760FPS(96倍速)で240Hz(4倍速)のモニタを撮影しているので、モニタの1フレームが更新されるまでを撮影した動画は24フレームに分割されます。
「Alienware AW2521H」ではULMB Pulse Widthから明転/暗転の割合を変更できるので、10/40/70/100の4段階について測定した結果を並べてみました。
いずれも前述の通り24フレーム周期で1リフレッシュとなっていますが、明転時間は、Pulse Width:10では2フレーム、Pulse Width:40では3~4フレーム、Pulse Width:70では5フレーム、Pulse Width:100では7フレームとなっています。
Alienware AW2521H_ULMB_min
明転時間が最長のPulse Width:100でも明暗比率はおおよそ1:2なのでゲーミングモニタのMBR機能としては標準的な比率となっており、Pulse Widthを下げる方向は輝度を犠牲にしてよりクッキリした表示を得るためのオプショナルな設定のようです。

また黒フレーム挿入によるMotion Blur Reduction機能では、残像感を低減させる効果が期待できる反面、バックライトを消灯するので時間平均の輝度が下がって画面が暗くなるというデメリットが指摘されます。
「Alienware AW2521H」はNVIDIA ULMBを使用しても、輝度:100%かつULMB Pulse Width:100に設定すれば200cd/m^2程度の明るさを確保できるので通常の室内利用では問題ないはずですが、室内照明がかなり明るい環境等では注意が必要です。(下グラフでAlienware AW2521HとPG259QNの横軸はPulse Width)
Alienware AW2521H_brightness_MBR

「Alienware AW2521H」に搭載された「NVIDIA ULMB」などモーションブラーリダクション機能は、人の目の錯覚が引き起こす残像やボヤケを解消する機能なので、写真や動画を見せて残像が抑制されている様子を実際に見せるというような解説は厳密には不可能です。
そのためレビューでは管理人が試用してみたインプレッションを伝えることくらいしかできないのですが、「NVIDIA ULMB」を有効にすると動いている物体の輪郭がクッキリとして確かに視認しやすくなりました。下の写真は管理人が「UFO Test: Strobe Crosstalk」を見た時の感覚を表現したイメージ図ですが、「NVIDIA ULMB」を有効にすると輪郭のボヤケがなくなってネイティブスピードでも倍速ハイスピード動画のスローモーションで輪郭を追っている時に近い感覚で追従して見ることができました。
MBR_ON-OFF



Alienware AW2521HのHDR表示やHDCP対応について

最後に「Alienware AW2521H」のHDR表示やHDCP対応について簡単にチェックします。

「Alienware AW2521H」はゲーミングシーンで一般的なHDR10規格のHDR表示に対応しています。HDR表示で重要な輝度は標準輝度400nits(cd/m^2)、なおVESA DisplayHDRなど輝度認証は取得していません。
「Alienware AW2521H」のHDR表示は、360Hzリフレッシュレートや可変リフレッシュレート同期機能G-Syncと併用が可能です。
Alienware AW2521H review_08041
「Alienware AW2521H」は標準でHDR信号を受け付ける状態になっており、HDR表示を行う上で特にOSD上から設定を行う必要はありません。HDR入力を検出するとOSDメニューの右上にHDR+のアイコンが表示されます。
HDR映像ソースを受け付けるとHDR表示モードに自動で切り替わり、ディスプレイ輝度など一部のOSD設定はグレーアウトして設定できなくなります。
Alienware AW2521H review_08046
「Alienware AW2521H」にはOSD設定として「可変バックライト(Variable Backlight)」がありますが、HDR表示モードになると同機能が自動的に有効になります。
Alienware AW2521H review_08047
マニュアルを参照すると、モード0はHDR対応PCゲーミングに最適なモードで、モード2は写真編集などデスクトップ作業に最適なモード、モード1はその中間とのこと。
Alienware AW2521H_OSD_variable-backlight_about

HDRについて簡単に説明すると、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、従来よりも細かい階調で明るさや暗さを表現できるようになり、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDR

HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は『明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗く』と大雑把に理解しています。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくくなります。逆に明るい場所が明るくなったら見えやすくなるかというと、再現可能な輝度の領域が増すので、ディスプレイによる描画は現実に近づきますが、太陽を覗き込んだ時のように特に明るい場所の周辺は光で潰れて(目の調光機能的な問題で)見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。
一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースです。SDRダイナミックレンジの範囲内で平滑化されていた時に比べて、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。

HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。



Alienware AW2521Hのレビューまとめ

最後に「Alienware AW2521H」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 画面サイズ24.5インチでフルHD解像度ゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
  • 発色や視野角に優れたIPS液晶パネルで、99% sRGBの広色域
  • 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
  • IPS液晶としてはトップクラスに高速な応答速度
  • 世界最速の360Hzリフレッシュレートに対応
  • 240Hzよりも表示遅延は5msも低減
  • ビデオ入力はDisplayPort1.4とHDMI2.0×の計3系統
  • 可変リフレッシュレート同期機能NVIDIA G-Sync(モジュール版)に対応
    (NVIDIA製GPU環境においてDisplayPortは1FPS~360FPSの範囲内で対応)
  • HDMIでもG-Syncに対応し、AMD製GPUは全入力でFreeSyncに対応
  • システム遅延測定機能NVIDIA Reflex Latency Analyzerに対応
  • PCゲーミングで一般的なHDR10規格のHDR表示に対応
  • モニタ背面にLEDイルミを搭載、USB接続でPCとの同期制御も可能
  • モニタ本体重量3.5kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
  • 値引き&25%オフクーポンで税込み6.8万円と激安だった!(現在終了)
悪いところor注意点
  • 画面端の輝度低下が大きく、周辺部分の輝度の均一性は微妙
  • OSDクロスヘア非対応、色設定も少ないなどOSD設定は最低限
  • AMD製GPUのVRR同期上限は240Hz(AMD製GPUのドライバの問題かも)

「Alienware AW2521H」はネイティブで360Hzの世界最速となる超高速リフレッシュレートに対応するゲーミングモニタです。応答速度が遅いと言われていたIPS液晶パネル採用製品ながら、競技ゲーマーに愛用されるTN液晶パネルの240Hzゲーミングモニタと比較して遜色ないどころか、ゲーミングシーンで重要なグレーバックに関しては上回る性能を発揮しました。
「Alienware AW2521H」は最大360Hzの最速リフレッシュレートに加え、視野角・発色にも優れて高画質さまで兼ね備えているので近年流行りのバトルロイヤル系ゲームを高FPSでガチプレイ、ミリ秒差の勝利を掴むための相棒として文句なしにオススメのゲーミングモニタです。


「Alienware AW2521H」は内蔵の専用モジュールによって動作する可変リフレッシュレート同期機能NVIDIA G-Syncに対応しているところももう一つの大きな魅力です。
1FPS~360FPSまでフレームレートに制限されず同期してくれるのに加え、逐次変動するリフレッシュレートに合わせてオーバードライブの補正強度も調整されるので、テアリング・スタッター・スミアといったディスプレイ表示における問題を一切クリアにしてくれます。
また「Alienware AW2521H」に内蔵されているのは第2.5世代ともいうべきG-Syncモジュールになっており、ビデオ入力はメインのDisplayPort1.4に加えてHDMI2.0×2の計3入力、HDR表示にも対応し、NVIDIA/AMD製GPUやDisplayPort/HDMIの組み合わせを問わずにVRR同期機能を使用できます。

「Alienware AW2521H」は360Hzリフレッシュレートが最大の特長となっており、あえて240Hzに下げて使用するULMBに意味はあるのか?と思われるかもしれませんが、実のところ応答速度のスパースローモーションで見たように素の残像感という意味では240Hzが最も綺麗に見えていました。
黒挿入によってベストケースだけを網膜へ送るモーションブラーリダクション機能を組み合わせれば、視覚的な明瞭さで言えば360Hzを上回ります。ULMBのクッキリ表示を取るか、240Hzよりもさらに5ms高速な360Hzの低遅延表示を取るか、勝利最優先なガチゲーマーには地味に悩ましい選択かもしれません。


以上、「Alienware AW2521H」のレビューでした。
Alienware AW2521H



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