ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB (1)


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Radeon RX 6600 XTグラフィックボードとしてASRockからリリースされた、全長179mmのMini-ITX対応ショート基板モデル「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB(型番:RX6600XT CLI 8G)」をレビューします。
AMD製次世代ミドルクラスGPU「Radeon RX 6600 XT」が、前世代上位ナンバリングのRX 5700 XTや競合NVIDIAの最新GPUであるRTX 3060に対してどれくらいの性能を発揮するのか、ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。

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製品公式ページ:https://www.asrock.com/Graphics-Card/AMD/Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB/






ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX レビュー目次


1.ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの外観
2.ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの分解
3.ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの検証機材・GPU概要


4.ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXのゲーム性能

5.ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの温度・消費電力・ファンノイズ

6.ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXのレビューまとめ




ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの外観

早速、ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXを開封していきます。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のグラフィックボード本体を見ていきます。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のGPUクーラーの外装は黒色プラスチック製です。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」は全長179mm、現在発売中のRX 6600 XTグラフィックボードの中で最小サイズです。
「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」はMini-ITXサイズのマザーボードに装着しても右端がマザーボードの外に出ることがなく、文句なしにMini-ITX完全対応です。キューブ型PCケースなどグラフィックボード設置スペースの奥行が短いコンパクトPCケースにも楽々設置できます。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」はショート基板かつPCIEブラケットと同じ高さなので補助電源含めてPCケースとの干渉の心配はありません。GPUクーラー外装は20mmほどPCIEブラケットからはみ出る背の高いデザインではあるものの、PCIE補助電源のクリアランスで十分にカバーできる程度です。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のGPUクーラーには100mm径の冷却ファンが1基だけ搭載されています。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」の厚みは2スロット占有です。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」の補助電源数はRX 6600 XT リファレンス仕様と同じくPCIE 8PIN×1です。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」の各種ビデオ出力とPCIE端子には黒色の保護カバーが装着されています。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のビデオ出力はHDMI2.1×1、HDMI2.0、DisplayPort1.4×2の4基が実装されています。
HDMI端子は2基搭載されていますが、左側は4K/120FPSに対応するHDMI2.1ですが、右側は最大で4K/60FPSのHDMI2.0なので注意してください。
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「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」にはメーカー・ブランドロゴや白色ラインが描かれた金属製バックプレートが搭載されています。基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割を果たしますが、金属製ではあるものの基板との間にサーマルパッドがないので冷却補助にはなっていません。
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グラフィックボードの重量はSAPPHIRE PULSE Radeon RX 6600 XTが610g、AMD Radeon RX 6700 XTが885gに対して、ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXは526gでした。
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ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの分解

「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。

なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、一部を除いて多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。

【暇があれば更新予定】



ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの検証機材・GPU概要

外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機1(温度・消費電力)
ベンチ機2(ゲーム性能)
OS Windows10 Home 64bit (1909)

CPU

Intel Core i9 9900K
レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz
Intel Core i9 10900K
レビュー
Core/Cache:5.2/4.7GHz
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME
 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, 17-17-17-37-CR2
G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
4000MHz, 15-16-16-36-CR2
システム
ストレージ
Samsung 860 EVO M.2 1TB
レビュー
Samsung 860 PRO 256GB
レビュー
データ
ストレージ
Samsung 860 QVO 4TB (レビュー

CPUクーラー

Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
電源
ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


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ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXのGPU概要

ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXに搭載されているGPU「Radeon RX 6600 XT」のスペックについて簡単に確認しておきます。
「AMD Radeon RX 6600 XT」のスペックは、コンピュートユニット数が32、シェーダー数が2048、コアクロックはゲームクロック2359MHz、最大ブーストクロック2589MHzです。

VRAMには速度16Gbpsで容量8GBのGDDR6メモリが採用され、RDNA2アーキテクチャの特長である超高速キャッシュInfinity Cacheを32MB搭載しています。消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は160Wです。
AMD Radeon RX 6600 XT_spec

「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のコアクロックはリファレンス仕様と同じく、ベースクロック1968MHz、ゲームクロック2359MHz、最大ブーストクロック2589MHzです。
またGPU-ZからはRadeon RX 6000シリーズの電力制限値そのものは確認できないのですが、ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXにおいて電力制限の基準値の調整可能幅は-6%~+20%でした。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_GPU-Z
ちなみに海外ユーザーによって作成されたAMD製GPU向けチューニングソフト(vBIOS編集ソフト)から「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」の仕様を探ってみました。
Radeon RX 6600 XTのグラフィックボード全体の消費電力の指標値であるTBP(NVIDIA仕様でいうTGPのこと)は160Wに対して、GPUコア単体の電力制限はRX 6600 XTリファレンスモデルでは130Wに設定されており、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」も130Wに設定されています。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_MPT

今回の検証ではResizable BARを使用していませんが、Radeon RX 6600 XT搭載グラフィックボードの「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」は、出荷時のvBIOSで最初からResize-BARに対応しています。 対応するプラットフォーム(CPU&MB)において、マザーボードBIOS設定からResize-BARを有効にし、最新ドライバをインストールすれば機能を有効化できます。
RX 6600 XT_Resize-BAR


AMD Radeon RX 6600 XT スペック一覧

RX 6600 XT
RX 6700 XT RX 5700 XT RX 5700
GPUコア Navi 23
Navi 22
Navi Navi
製造プロセス 7nm FinFET 7nm FinFET 7nm FinFET 7nm FinFET
Compute Unit数
32
40 40 36
シェーダー数 2048
2560 2560 2304
ベースクロック - MHz 2321 MHz 1605 MHz 1465 MHz
ゲームクロック 2359 MHz 2424 MHz 1755 MHz 1625 MHz
ブーストクロック 2589 MHz 2581 MHz 1905 MHz 1725 MHz
単精度性能 - TFLOPs 13.21 TFLOPs 9.75 TFLOPs 7.95 TFLOPs
Infinity Cache 32 MB 96 MB - -
VRAM 8 GB GDDR6 12 GB GDDR6 8 GB GDDR6 8 GB GDDR6
バス幅 128-bit 192-bit 256-bit 256-bit
メモリクロック 16.0 GHz 16.0 GHz 14.0 GHz 14.0 GHz
メモリ帯域 256 GB/s 384 GB/s 448 GB/s 448 GB/s
補助電源 8PIN~ 8PIN+6PIN~ 8PIN+6PIN~ 8PIN+6PIN~
TBP 160W
230W 225W 180W
発売日 2021年8月 2021年3月 2019年7月 2019年7月
希望小売価格 379ドル~ 479ドル~ 399ドル~ 349ドル~


Radeon設定によるRX 6600 XTのチューニングについて

Radeon RX 6000シリーズでも、デスクトップ右クリックメニューからアクセスできるRadeon設定の「パフォーマンスタブ - チューニング」の順にアクセスすると、前世代同様にコアクロック・メモリクロックやファン制御に関する設定が表示されます。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_1
チューニングを開くとまず、GPU動作プロファイルの選択が表示されます。なお6800XT/6900XTの上位モデルと違い、「Radeon RX 6600 XT」では自動OCによって性能が向上するレイジモードは用意されていません。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_2

チューニングコントロールで「手動」を選択すると、大別してGPUコアクロック、VRAMコアクロック、ファン制御、電力制限の4種類の設定が表示されます。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_3
GPUチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると最小周波数、最大周波数、GPUコア電圧(Voltage)の3種類の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzやmVといった実際の物理単位に変わります。「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」では最大周波数を3150MHzまで引き上げることが可能です。
Radeon VIIやRX 5000シリーズでは低電圧化耐性の指標になったもののRX 6000シリーズではどうなのかわかりませんが、とりあえず今回管理人が入手した個体については標準の最大周波数が2599MHz、GPUコア電圧が1150mVでした。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_4_GPU-Clock
VRAMチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えるとVRAM周波数(最大周波数)の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzの物理単位に変わります。「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」では定格の2000MHzから最大周波数を2400MHzまで引き上げることが可能です。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_5_VRAM-Clock
電源チューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると電力制限の設定スライダーが表示されます。
電力制限の設定は各GPUの標準GPUコア電力制限に対するパーセンテージのオフセットですが、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」では130Wを基準にして最大で+20%まで電力制限の引き上げが可能です。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_6_Power

ファンチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると、ゼロRPM(セミファンレス機能)の切り替えスイッチ、最大ファン速度の設定スライダーが表示されます。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_7-1_Fan
また高度な制御のスライドスイッチをONにするとファン制御カーブの手動設定が表示されます。Radeon RX 6000シリーズにはGPU温度とジャンクション温度(複数あるGPUダイ上の温度センサーの最大値)の2種類の温度があり、ファン制御カーブはジャンクション温度を参照するようです。
温度とファン速度について5つの頂点を任意に指定してファン速度を制御できます。上述のセミファンレス機能との併用や、セミファンレス機能の無効化も可能です。
Radeon RX 6600 XT_Radeon-Setting_7-2_Fan


新アーキテクチャRDNA2で特に重要な2つの特長

AMD Radeon RX 6000に採用されている新アーキテクチャ「RDNA2」について、様々な特長が公式に発表されていますが、エンドユーザーが特に押さえておくべきポイントはVRAMフルアクセス機能「AMD Smart Access Memory」と、レイトレーシング表現対応(ハードウェアアクセラレーター搭載)の2点です。
Infinity Cacheを始め、レビューや解説記事としてRadeon RX 6000シリーズやそのアーキテクチャであるRDNA2について掘り下げられるポイントは非常に多いのですが、実性能と価格に加えて消費者目線で最低限抑えておくべきポイントを挙げるとすればこの2つになると思います。

まず1つ目の大きな特徴は「AMD Smart Access Memory」です。Radeon RX 6000シリーズを同社の次世代CPUであるRyzen 5000シリーズと組み合わせることで使用可能な(AMD公式にサポートされる)ビデオメモリアクセスを改善し性能を向上させる機能です。
AMD Smart Access Memory_Platform Synergy
Radeon RX 6000シリーズの登場当初はSmart Access Memoryの対応プラットフォームはRyzen 5000シリーズ&500シリーズチップセットの組み合わせに限定されていましたが、RX 6700 XTの登場と同時にRyzen 3000シリーズCPUの正式サポートも公表されたので、性能的には十分でRyzen 5000シリーズよりもコスパに優れるRyzen 3000シリーズとRX 6600 XTの組み合わせは非常にオススメです。
Ryzen 3000_Smart Access Memory_support

従来のプラットフォームでは32bit命令の名残でCPUとグラフィックボードVRAM間では最大でも256MB単位でしかデータのやり取りができませんでした。
AMD Smart Access Memoryでは10GBを超える大容量VRAMに対してCPUからサイズ制限なく一度にフルアクセスが可能になり、なおかつ第3世代Ryzen&X570でAMDがいち早くサポートを始めたPCIE4.0の従来比2倍な高速帯域を用いることで、VRAMアクセスによって生じるボトルネックが解消されます。
AMD Smart Access memory_explained
ハイエンドGPUではVRAM容量が10GBを超えるのが当たり前になったので、CPU-VRAM間でフルアクセス機能を実現するためにはより高速な帯域(PCIE4.0対応)が必要になります。1年前、第3世代Ryzen&X570など早期にPCIE4.0の普及を目指したのは、 同機能でCPU・MB・GPUのプラットフォーム単位で優位性を示すための布石だった、と考えるといろいろと納得がいきます。(そうでないとPCIE4.0アーリーアダプターな某SSDはIOベンチ以外に魅力がなく、微妙過ぎました…)
AMD Smart Access memory
AMD公式のベンチマークによると「AMD Smart Access Memory」を使用することで最大10%程度もパフォーマンスが改善するとのこと。
AMD Smart Access memory_peformance-gain

AMD Smart Access Memoryの名前の方が有名ですが、実のところ、これはPCIE規格で策定されている「Re-Size BAR (Base Address Register)」と同等の機能です。参考資料
すでに一部のIntel Z490マザーボードにおいてベータBIOSという形ですが、Re-Size BARを有効にできるBIOSが一部メーカーから配信されており、またIntelの次世代CPUである第11世代Rocket Lake-SではRe-Size BARの正式サポートが公表されています。
Intel 11th-gen Core-S Rocket Lake_Key-Feature
またAMDと競合するGPUメーカーのNVIDIAも2021年発売のRTX 3060を皮切りに、同社最新GPUであるGeForce RTX 30シリーズ(Ampere世代)においてRe-Size BARのサポートを順次開始していくことが正式に発表されています。


CPUとGPUをコンシューマー向けに展開しているAMDだからこそいち早く、Re-Size BARの土壌としてPCIE4.0を普及させ、次世代GPUのRadeon RX 6000シリーズでサポートさせることができた、こと自体は評価に値すると言って間違いありません。
一方でAMD Smart Access Memory = Re-Size BARなので、「VRAMフルアクセス機能Re-Size BARによる性能向上は”将来的には”AMDオンリープラットフォームに限定されるユニークなアドバンテージではない」、その点は留意しておいてください。
AMD_PCIE4

次に2つ目の大きな特徴がレイトレーシング表現への対応です。Radeon RX 6000シリーズが採用するRDNA2アーキテクチャでは一般的にコア数としてカウントされるシェーダーコアをひとまとめにしたCU(Compute Unite)に対して1基のレイトレーシング処理支援ハードウェア「Ray Accelerator」を搭載しています。Ray Acceleratorはレイトレーシング処理においてCPUによる演算よりも10倍も高速とのこと。
AMD RDNA2_Raytracing_Ray Accelerator
余談ですが、以下のような事情もあって当サイトでは”レイトレーシング表現”と呼んでいます。
レイトレーシングというのはそもそもレンダリング手法の1つであって、現在主流なレンダリング手法のラスタライゼーション(ラスタライズ)と、ある種の対になる言葉です。
AMD RDNA2_Raytracing_vs-rasterization
PCゲームにおいては負荷的な問題で全てをレイトレーシングでレンダリングするのではなく、「ラスタライゼーションをベースにレイトレーシングはアクセント」という形で併用するのが主流です。
またPCゲームにおいてレイトレーシングというとDirectX12がサポートするDXR(DirectX Raytracing)が有名、というか現状でレイトレーシングをサポートするPCゲームはほぼコレですが、Vulkanなどその他のAPIもレイトレーシングを続々とサポートし始めています。
AMD RDNA2_Raytracing_Hybrd Rendering

下はNVIDIAによるデモですが、レイトレーシング表現では、照明(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射やガラス面の透過なども現実に即して忠実に描写されます。レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。
RayTracing Sample (1)
RayTracing Sample (2)
RayTracing Sample (3)
またRadeon RX 6800 XTなどのハイエンドモデルでは「FidelityFX Super Resolution」と呼ばれる超解像機能を併用することでレイトレーシング表現と4K解像度の組み合わせにも対応します。




ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXのゲーム性能

「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「Radeon RX 6700 XT」、「GeForce RTX 3060 Ti」、「GeForce RTX 3060」、「GeForce RTX 2060 SUPER」、「GeForce RTX 2060」、「Radeon RX 5700 XT」を使用しています。
(特定のモデルや型番を指名していない場合、各GPUメーカーのリファレンスモデルもしくはリファレンス仕様のオリファンモデルです)


「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_bench_fs

FireStrike Extreme Ultra
RX 6600 XT
ASRock ITX
27871 12954 6456
RX 6700 XT
35299 17136 8404
RTX 3060 Ti 29369 14298 7200
RTX 3060
21970 10337 5054
RTX 2060 SUPER
23027 10889 5357
RTX 2060
19909 9244 4377
RX 5700 XT 27300 12947 6553


「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」、およびレイトレーシング対応ベンチマーク「Port Royal」による性能比較となります。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_bench_ts-pr

TimeSpy Extreme Port Royal
RX 6600 XT
ASRock ITX
9417 4305 4352
RX 6700 XT
11831 5491 5815
RTX 3060 Ti 11668 5679 6861
RTX 3060 8755 4126 5105
RTX 2060 SUPER 8895 4198 5133
RTX 2060 7617 3544 4308
RX 5700 XT 9362 4189 -


「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードについて、近年普及しつつあるHTC VIVE Pro 2やValve Index、Oculus Quest 2のPCモードなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_bench_vr

Orange Room
Cyan Room
Blue Room
RX 6600 XT
ASRock ITX
14550 10049 2363
RX 6700 XT
14455 12871 3366
RTX 3060 Ti 15668 10955 3508
RTX 3060 11861 9190 2604
RTX 2060 SUPER 12978 8377 2749
RTX 2060
11814 7883 2448
RX 5700 XT
13796 9289 2546



続いて近年の最新PCゲームを実際に用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)の2種類の解像度で平均FPSを比較しました。

ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)、DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット, NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)、Horizon Zero Dawn(最高画質設定プリセット)、Marvel's Avengers(最高設定プリセット, TAA)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)以上の15タイトルです。
game_benchmark_202009


Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_ant

Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_aod

Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_bfv

CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_cont

DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_ff15

Gears 5(最高設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_gears5

Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_ghostBP

Horizon Zero Dawn(最高設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_horizon

Marvel's Avengers(最高画質設定プリセット, TAA)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_marvel

Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_metro

MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_mhw

Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_game_sottr

Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
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ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXなど7種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXは、初代RDNAアーキテクチャを採用する最上位モデルRadeon RX 5700 XTと同等の性能を発揮しました。
AMDが訴求するように2世代前のGTX 1060やRX 480と比較して2倍以上の性能を実現しており、旧世代のミドルクラスGPUユーザーが選ぶアップグレード対象として通用する性能です。

ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_pefsum

一方で「Radeon RX 6600 XT」のグラフィック性能を最新NVIDIA製GPUのRTX 30シリーズと比較すると、当サイトで行ったベンチマーク測定による平均性能ではRTX 3060 TiとRTX 3060の中間、RTX 3060よりも10%弱高速で、RTX 3060寄りの性能という具合でした。
AMD正式発表時の性能比較スライドでは、RTX 3060を最大15%程度上回るとされていましたが、Radeon RX 6000シリーズに優位なタイトルが集められているようです。(得手不得手があるので抜粋タイトル次第という言い方もできますが)
AMD Radeon RX 6600 XT_performance_vs-RTX 3060

個別に見ていくと、RTX 3060 Tiと同等以上の性能を発揮するタイトルもあれば、平均性能的に近いRTX 3060を下回るケースもあり、RTX 30シリーズに対するRX 6600 XTの性能スケーリングはやや複雑、ゲームタイトルに依るところが大きいというのが実状です。
各サイトレビューにおいてベンチマーク比較で抜粋されるタイトルによってRX 6600 XTの性能に対する印象は大きく変わるので注意が必要なところですが、『RX 6600 XTはRTX 3060よりも概ね10%弱程度高性能』というのがざっくりとした管理人の感想です。

性能スケーリングが複雑になる原因について、ゲームタイトルがAMD製GPUとNVIDIA製GPUに対してどれくらい最適化されているかというのも影響しているのですが、加えて、RDNA2アーキテクチャの高性能を支える大容量キャッシュInfinity Cacheという構造が大きく影響しているように思います。ハイエンドモデルでは128MB、WQHDがスイートスポットなRX 6700 XTの場合は96MBのキャッシュが搭載されているのに対して、RX 6600 XTでは32MBしか搭載されていません。
RX 6600 XTはフルHDゲーミングをターゲットにしたGPUではあるものの、上位モデル同様にターゲットに対してキャッシュ容量がまだ少ない感じはあります。

シンプルに高速なVRAM帯域を実現するNVIDIAのアプローチに対して、キャッシュを組み合わせるAMDのアプローチはまだ万能というわけではなさそうです。
AMD Infinity Cache_Hit-Rate



ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの温度・消費電力・ファンノイズ

「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。
「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」にはRadeon設定から選択が可能なコアクロックや電力制限が変化する複数のモードが用意されていますが、標準モードで測定しました。

「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
SAPPHIRE PULSE AMD Radeon RX 6600 XT_TimeSpy Stress Test
「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のテスト終盤におけるGPU温度は最大71度で標準的ですが、ファン回転数は1700RPMとやや高めです。Mini-ITX完全対応ショートモデルなので及第点には達していると思います。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_temp-gpu
GPUに搭載された複数の温度センサーのうち、最大温度を示すジャンクション温度の推移は下のようになりました。Radeon RX 6000シリーズはジャンクション温度をファン制御のソース温度とし、負荷がかかるといったん上限速度まで上昇、徐々に収束していく方式が採用されていることが多いですが、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」はジャンクション温度が70度を超えた段階でファン速度は1700RPM程度に達し、その後は大きく変化することなく1700RPM前後で安定します。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_temp-junction
また「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、ジャンクション温度を制御ソースとして始動閾値は60度前後、停止閾値は50度前後でヒステリシスも採用されています。製品によっては回転数が上下してふらつくことの多い始動や停止の直前も、閾値を跨いだ瞬間にピタッと切り替わります。
ただし、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」はヒートシンクのサイズが小さいので、アイドル状態で放置していても数分置きにファンの始動と停止を繰り返しました。

「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」ではGDDR6メモリやVRM電源回路の温度もモニタリングが可能であり、ストレステスト中の推移は下のようになりました。Mini-ITX完全対応ショートモデルですが、いずれもしっかり冷えています。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_temp-vram
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_temp-vrm


GPUコアクロックについて、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」はゲームクロック2359MHz、最大ブーストクロック2589MHzへファクトリーOCが施されていますが、負荷テスト中の実動平均は2428MHzでした。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_clock
【備考】AMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが支配的になっており、加えて負荷中のGPU温度も大きく影響します。ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックはOC耐性選別の1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣においてあまりあてになりません。


Radeon RX 6600 XTのようにTGPが200Wを大きく下回ると、下記のような参考環境のミドルタワーPCではベンチ板測定とあまり差が出ないので、PCケース組み込み時の検証については割愛しています。
TGPが200Wを超える上位GPUでは、実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへグラフィックボードを組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認します。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
GPU-CaseIn-Test_2021
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
Thermaltake TOUGHFAN 14


「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」を含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
GPU-Noise-Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のファンノイズは、1700RPMというファン回転数に対してノイズレベルは34dB程度と低めの数値になりました。ファン速度自体は高いので体感のファンノイズは数値よりも1,2dB程度大きい印象ですが、それでもPCケースに入れてしまえば煩く感じることはないレベルです。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_noise


ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
GPU-Power-Test

ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITXの消費電力は148W、最大瞬間負荷は178Wでした。
Radeon RX 6600 XTは公式仕様でグラフィックボード全体の消費電力の指標値が160Wと公表されており、若干低めの数値が出ました。
消費電力を50Wも削減しながらRX 6600 XTの性能は前世代RX 5700 XTとほぼ同等なので、新ゲーミングアーキテクチャRDNA2のワットパフォーマンスの高さを再確認できる結果です。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_power



ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX レビューまとめ

最後に「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB(型番:RX6600XT CLI 8G)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 最新高画質PCゲームの60FPSやe-Sports系の144Hz+などフルHDゲーミングにマッチ
  • 前世代上位モデルRX 5700 XTやRTX 2070 SUPERと同等のグラフィック性能
  • NVIDIAの最新GPUでは、RTX 3060よりも10%弱程度高速
  • AMD優位なタイトルならRTX 3060 Tiと同等以上の性能も発揮できる
  • 379ドルからという手を出しやすい価格帯
  • RX6000で唯一、全長179mm、Mini-ITX完全互換なコンパクトサイズ
  • TGP160WのRX 6600 XTをしっかりと冷せる高品質なGPUクーラー
悪いところor注意点
  • 2基のHDMI端子のうち一方はHDMI2.1ではなくHDMI2.0
  • 一般的なRX 6600 XTオリファンモデルよりも静音性は低め
  • セミファンレス機能は数分置きにファンの始動と停止を繰り返す可能性あり
  • レイトレーシング表現を支援する専用ハードウェアの性能ではRTX 30シリーズに劣る
  • ワッパの高さに注目されてマイニングの餌食になり、2021年9月現在、在庫が枯渇中

AMD Radeon RX 6600 XTはミドルクラス製品ながら、初代RDNAアーキテクチャを採用する最上位モデルにして、上位ナンバリングのRadeon RX 5700 XTと同等の性能を発揮します。
最新高画質PCゲームの60FPSやe-Sprotsタイトルの144Hz+といったフルHD解像度のPCゲーミングをターゲットに最適化された性能、低消費電力ゆえに換装しやすい小型モデルが多く、379ドルからという手を伸ばしやすい価格帯なので、RX 480やGTX 1060など旧世代のミドルクラスGPUを使用しているユーザーが選ぶアップグレード対象として通用する製品です。

ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB_pefsum
最新世代同士で比較した場合、比較用に抜粋するゲームタイトル次第ではあるものの、当サイトを含め一般レビューサイトでは、”RX 6600 XTはRTX 3060よりも10%弱程度高速である”、と評価が多いように思います。
「Radeon RX 6600 XT」の北米希望小売価格は379ドル~となっており、発売当時、RTX 3060 Tiが399ドル~、RTX 3060 Tiが329ドル~なので、若干コスパが悪く見えるのですが、2021年初頭から続くGPU枯渇状況を踏まえた値付けとも見られなくはないので、価格面の評価は難しいところです。

なお2020年末に発売された最新コンソールゲーム機についてはPlayStation 5がGeForce RTX 3060やRadeon RX 6600 XTと同じくらい、Xbox Series XがGeForce RTX 3070よりもやや遅いくらいの性能です。(GPUスペックから想定したざっくり評価ですが)
マウス&キーボードの操作に標準で対応しているなどPCゲーミングならではの魅力はありますが、すでにPlayStation 5の時点でグラフィック性能はRTX 3060程度まで達しているので、2021年にPCゲーミング用途でグラフィックボードを新調するのであればGeForce RTX 3060 TiやRadeon RX 6700 XTよりも高速な製品を選択するのがオススメです。
PS5_Xbox-SX

そういった事情もあって発売当初こそ、実店舗の店頭やオンライン通販でも在庫が豊富だったRX 6600 XTですが、マイニングにおけるワットパフォーマンスの高さから買い占めの対象になり、8月末の時点で各所で在庫が枯渇してしまいました。
もともとグラフィックボード単体で5万円以上(スペック的に同性能なPS5が丸ごと買える価格)ということもあり、自作erにはそれほど人気はない印象だったので、影響は少ないとも取れますが、”価格的にも在庫的にも気軽に購入できるミドルクラスGPU”としては難しい状況になったと思います。


「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」については、従来のミドルクラス相当TGP160Wで高性能なミドルクラスGPUのRX 6600 XTを搭載しながら、全長179mmでMini-ITXに完全対応となるショート基板モデルであるところが最大の魅力です。
GPUクーラーについても高品質な設計ですが、欲を言えば銅製ベースプレート採用かつ、ヒートパイプの本数も1本増やして計4本あればもっと冷えたのではないかと思います。

全長179mmのコンパクトサイズに収めるためGPUクーラーはシングルファン搭載で冷却性能に限界があり、一般的なRX 6600 XTオリファンモデルと比較すると静音性では劣りますが、PCケース内に組み込んでしまえばファンノイズが気にならない程度の実用に足る静音性は確保できているので、奥行きの小さいキューブ型PCケースなど、コンパクトPCに組み込む高性能グラフィックボードとしてはおすすめな製品です。

以上、「ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX」のレビューでした。
ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger ITX 8GB (1)



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 ・RX 6600 XT 販売ページ:   
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