ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB


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ASRockからリリースされた、3スロット占有3連ファンGPUクーラーを搭載し、Navi 21 XTXH採用で4000MHz OCアンロックな超選別RX 6900 XTに大幅なファクトリーOCが施されたフラッグシップモデル「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB(型番:RX6900XT OCF 16G)」をレビューします。
待望のAMD製次世代ウルトラハイエンドGPU「Radeon RX 6900 XT」が、同社前ハイエンドのRadeon VIIや競合NVIDIAの前世代最上位GeForce RTX 2080 Tiをどの程度上回り、また最新ハイエンドGeForce RTX 3080/3090と真っ向から戦えるのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。

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製品公式ページ:https://www.asrock.com/Graphics-Card/AMD/Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB/index.jp.asp


ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB
ASRock
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ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula レビュー目次


1.ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの外観
2.ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの検証機材・GPU概要


3.ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaのゲーム性能

4.ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの温度・消費電力・ファンノイズ

5.ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaのレビューまとめ




【機材協力:ASRock】



ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの外観

早速、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」を開封していきます。
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マニュアルや保証書等以外の付属品としてGPUホルダー「ASRock Graphics Card Holder」があります。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のグラフィックボード本体を見ていきます。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のGPUクーラー外装はフルアルミニウム製で非常に重厚感があります。中央を斜めに区切るブラック&グレーのツートンカラーを基調にして、同社ハイエンドブランドTaichi感もあります。2021年の新OC Formulaロゴにも描かれている稲妻を想起させる黄緑色をアクセントカラーに採用、またブラック部分には光の速さをモチーフにしたラインが描かれています。
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ASRockのOC Formulaというとゴールドやイエローがブランドカラーでしたが、2016年発売のZ170M OC Formulaを最後にして、2017年発売のX299 OC Formulaではアクセントカラーが無くなりました。
その後4年に渡って同ブランドから新製品は登場しなかったのですが、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」と「ASRock Z590 OC Formula」で新たなアクセントカラーと共に復活を果たしました。新しいアクセントカラーは自作PCパーツではあまり見かけない色なのでオリジナリティーを感じます。
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Radeon RX 6900 XTのリファレンスモデルは従来のフルサイズグラフィックボード同様に全長267mm、ハイエンドGPUとしては比較的にコンパクトでしたが、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は全長332mmと非常に巨大です。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は全長も非常に巨大ですが、PCIEブラケットからはみ出す高さ方向も+30mmとかなり大きいので、PCケースサイドパネルとの干渉についても注意が必要です。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」にはOC Formula 3X Cooling Systemと呼ばれる3スロット占有3連ファンGPUクーラーが搭載されています。
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GPUクーラーに搭載された3基のファンはいずれも100mmの大径ファンです。
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GPUコアと接する部分には冷却性能の高さで定評のある銅製ベースプレートが採用されて、ニッケルメッキ処理も施されています。またGPUコア周辺のVRAMチップはGPUコアと共通の銅製ベースプレートに、VRM電源回路はヒートシンクにろう付けされた金属製プレートに、それぞれサーマルパッドを介して接し、ヒートシンク本体で直接冷却するという理想的な構造です。
Nickel-plated Copper Base
コア部分のヒートパイプ加工にも設計上のこだわりがあり、「Ultra-fit Heatpipe」と名付けられた構造によって、それぞれのヒートパイプおよび銅製ベースプレートの接触面積が最大化されています。
Ultra-fit Heatpipe
またGPUコア周辺のVRAMチップはGPUコアと共通の銅製ベースプレートに、VRM電源回路はヒートシンクにろう付けされた金属製プレートに、それぞれサーマルパッドを介して接し、ヒートシンク本体で直接冷却するという理想的な構造です。
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ちなみに「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」はGPUやVRAMへ電力供給を行うため、90A対応Dr. MOSなどで構成される21フェーズの超堅牢なVRM電源回路を実装しています。
Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_VRM
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」はTGP300W超の発熱に対応するため、大型放熱フィンを採用したヒートシンクが搭載されており、PCIEスロットを3スロット占有します。
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また放熱フィンの構造も工夫されており、単に3スロットスペースへ高密度に敷き詰められただけでなく、V字カッティングとV字エアベントの構造によって放熱フィン間やグラフィックボード基板全体へエアが均一に分散するよう設計されています。
ASRock Air Deflecting Fin

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は大幅なファクトリーOCが施されたモデルなので、補助電源数はRX 6900 XTリファレンスモデルよりも多い、PCIE 8PIN×3が搭載されています。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のPCIE端子と各種ビデオ出力には黒色の保護カバーが装着されています。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。リファレンスモデルや一部オリファンモデルと違って、USB Type-Cポート搭載されていません。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」には基板の反りや背面素子の破損を防止し、放熱を補助する金属製バックプレートが搭載されています。GPUクーラー外装とは違って黒色単色、OC Formulaのロゴのみゴールドというシンプルな装いです。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のバックプレート右端にはヘックス形で大きくエアベントが設けられており、ファンからヒートシンクを通って背面に直接風が抜けるフロースルー構造が採用されています。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は複数のBIOSを搭載したデュアルBIOSに対応し、GPUコアの手前部分にはBIOS切り替え用のスライドスイッチが設置されています。
「Performanceモード(標準設定)」と「Quietモード」の2つのモードを簡単に切り替えることができます。スライドスイッチを切り替えてPCを起動後、BIOSが変更されていない場合はOSを再起動すると切り替わります。
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また「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」に搭載されたLEDイルミネーションはPCIE補助電源端子付近に実装されたスライドスイッチによって物理的にON/OFFの切り替えが可能です。
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グラフィックボードの重量はAMD Radeon RX 6900 XTが1501g、SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 6900 XT OCが1224gに対して、ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaは1833gでした。
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2kg近いという非常に大きい重量ですが、バックプレート等で基板の反りは防止されており、さらにオリジナルGPUホルダー「ASRock Graphics Card Holder」も標準で付属するので、PCIEスロットへの負荷も含めて心配はありません。
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ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの検証機材・GPU概要

外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機1(温度・消費電力)
ベンチ機2(ゲーム性能)
OS Windows10 Home 64bit (1909)

CPU

Intel Core i9 9900K
レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz
Intel Core i9 10900K
レビュー
Core/Cache:5.2/4.7GHz
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME
 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, 17-17-17-37-CR2
G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
4000MHz, 15-16-16-36-CR2
システム
ストレージ
Samsung 860 EVO M.2 1TB
レビュー
Samsung 860 PRO 256GB
レビュー
データ
ストレージ
Samsung 860 QVO 4TB (レビュー

CPUクーラー

Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
電源
ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のグラフィックボード側面右端にはアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。
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「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」には専用チューニングアプリ ASRock Tweak 2.0が配布されています。ASRock Tweak 2.0からは各種OC設定や温度・コアクロック等のリアルタイムモニタリングが可能です。
ASRock Tweak (1)
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」の場合、デフォルトのプロファイルに加えて、オーバークロックとサイレントの2種類の既定プロファイルが用意されています。
ASRock Tweak (3)
カスタマイズを選択すると最大GPUコアクロック(Up to 4000MHz)、最大メモリクロック(Up to 2624MHz)、電力制限の3種類についてスライダーや数値入力で簡単にOC設定を行うことができます。
ASRock Tweak (4)


ASRock Radeon RX 6900 XT OC FormulaのGPU概要

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」に搭載されているGPU「Radeon RX 6900 XT」のスペックについて簡単に確認しておきます。
Radeon RX 6900 XTのスペックは、コンピュートユニット数が80、シェーダー数が5120で、AMDから2019年初頭に最後にリリースされたハイエンドGPUのRadeon VIIより25%増加しています。コアクロックはゲームクロック2015MHz、最大ブーストクロック2250MHzです。
VRAMには速度16Gbpsで容量16GBのGDDR6メモリが採用され、RDNA2アーキテクチャの特長である超高速キャッシュInfinity Cacheを128MB搭載しています。消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は300Wです。
AMD Radeon RX 6900 XT_top

リファレンスモデルを始めとして既存のRadeon RX 6900 XTの多くはNavi 21 XTXという型番のGPUコアが採用されていますが、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」には”Navi 21 XTXH”が採用されています。
旧製品RX 580では初期のXTXよりも高クロック動作が可能なXTRがリリースされていましたが、Navi 21 XTXH採用のRX 6900 XTも、出荷前に特性の良いGPUコアを選別したものと思われます。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_HWI
またNavi 21 XTX採用モデルはvBIOSレベルで手動OC可能なコアクロックが最大3000MHzに制限されていましたが、Navi 21 XTXHを採用する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」では、最大4000MHzまでの手動OCがアンロックされています。
もちろん3000~4000MHzという周波数はPCゲーマーが常用するのは無理な数値ですが、LN2極冷などでワールドレコードを狙えるレベルの製品が手に入るというプレミア感があります。
Radeon RX 6900 XT_Navi 21 XTXH_CoreOC-upto-4000MHz
またVRAM周波数について、RX 6000シリーズでは定格2000MHzに対して手動OC可能な上限値は2150MHzとかなり低めに制限されていましたが、Navi 21 XTXHを採用する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」では2600MHzまでアンロックされています。
Radeon RX 6900 XT_Navi 21 XTXH_VRAM-OC-upto-2600MHz

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のコアクロックはベースクロック2125MHz、ゲームクロック2295MHz、最大ブーストクロック2475MHzへファクトリーOCが施されています。ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaにおいて電力制限の基準値の調整可能幅は-10%~+15%でした。
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は上記のPerformanceモードに加えて、グラフィックボード上のハードウェアBIOSスイッチによって切り替えが可能なQuietモードがあります。
Quietモードではゲームクロック2165MHz、最大ブーストクロック2365MHzにファクトリーOCが弱まりますが、それでも一般的なRX 6900 XT(Navi 21 XTX)のOCモデル相当の設定です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_SPEC

ちなみに海外ユーザーによって作成されたAMD製GPU向けチューニングソフト(vBIOS編集ソフト)から「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」の仕様を探ってみました。
Radeon RX 6900 XTのグラフィックボード全体の消費電力の指標値であるTBP(NVIDIA仕様でいうTGPのこと)は300Wに対して、GPUコア単体の電力制限はRX 6900 XTリファレンスモデルでは255Wに設定されていましたが、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」では325Wへと引き上げられていました。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_MPT_PM
QuietモードについてもMorePowerToolから電力制限等の情報をチェックしてみると、GPUコア単体の電力制限はこちらでも285Wに引き上げられていました。なおファン制御プロファイルはPerformanceモードとQuietモードで共通でした。
SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 6900 XT_Silent_MPT


AMD Radeon RX 6900/6800シリーズ スペック一覧

RX 6900 XT
RX 6800 XT
RX 6800 Radeon VII
GPUコア Navi 21 XTX
Navi 21 XT
Navi 21 XL Vega
製造プロセス 7nm FinFET 7nm FinFET 7nm FinFET 7nm FinFET
Compute Unit数
80
72
60 60
シェーダー数 5120
4608 3840
3840
ベースクロック - MHz - MHz - MHz 1450 MHz
ゲームクロック 2015 MHz 2015 MHz 1815 MHz - MHz
ブーストクロック 2250 MHz 2250 MHz 2105 MHz 1800 MHz
単精度性能 23.07 TFLOPs 20.74 TFLOPs 16.17 TFLOPs 13.8 TFLOPs
Infinity Cache
128MB 128MB 128MB -
VRAM 16 GB GDDR6 16 GB GDDR6 16 GB GDDR6 16 GB HBM2
バス幅 256-bit 256-bit 256-bit 4096-bit
メモリクロック 16.0 GHz 16.0 GHz 16.0 GHz 2.0 GHz
メモリ帯域 512 GB/s 512 GB/s 512 GB/s 1000 GB/s
補助電源 8PIN×2~ 8PIN×2~ 8PIN×2~ 8PIN×2~
TBP 300 W 300W 250W 250W
発売日 2020年12月8日 2020年11月18日 2020年11月18日 2019年2月
希望小売価格 999ドル~ 649ドル~ 579ドル~
699ドル


Radeon設定によるRX 6900 XTのチューニングについて

Radeon RX 6000シリーズでも、デスクトップ右クリックメニューからアクセスできるRadeon設定の「パフォーマンスタブ - チューニング」の順にアクセスすると、前世代同様にコアクロック・メモリクロックやファン制御に関する設定が表示されます。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_1
チューニングを開くとまず、GPU動作プロファイルの選択が表示されます。Radeon 6800 XTやRadeon RX 6900XTの上位モデルでは自動OCによって性能が向上するレイジモードが用意されています。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_2

チューニングコントロールで「手動」を選択すると、大別してGPUコアクロック、VRAMコアクロック、ファン制御、電力制限の4種類の設定が表示されます。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_3
GPUチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると最小周波数、最大周波数、GPUコア電圧(Voltage)の3種類の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzやmVといった実際の物理単位に変わります。「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」では最大周波数を4000MHzまで引き上げることが可能です。
Radeon VIIやRX 5000シリーズでは低電圧化耐性の指標になったもののRX 6000シリーズではどうなのかわかりませんが、とりあえず今回管理人が入手した個体については標準の最大周波数が2579MHz、GPUコア電圧が1200mVでした。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_4_GPU-Clock
VRAMチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えるとVRAM周波数(最大周波数)の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzの物理単位に変わります。Radeon RX 6900 XTリファレンスモデルでは定格の2000MHzから最大周波数を2150MHzまで引き上げることが可能です。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_5_VRAM-Clock
電源チューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると電力制限の設定スライダーが表示されます。
電力制限の設定は各GPUの標準GPUコア電力制限に対するパーセンテージのオフセットですが、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」では325Wを基準にして最大で+15%まで電力制限の引き上げが可能です。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_6_Power

ファンチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると、ゼロRPM(セミファンレス機能)の切り替えスイッチ、最大ファン速度の設定スライダーが表示されます。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_7-1_Fan
また高度な制御のスライドスイッチをONにするとファン制御カーブの手動設定が表示されます。Radeon RX 6000シリーズにはGPU温度とジャンクション温度(複数あるGPUダイ上の温度センサーの最大値)の2種類の温度があり、ファン制御カーブはジャンクション温度を参照するようです。
温度とファン速度について5つの頂点を任意に指定してファン速度を制御できます。上述のセミファンレス機能との併用や、セミファンレス機能の無効化も可能です。
Radeon RX 6900 XT_Radeon-Setting_7-2_Fan


新アーキテクチャRDNA2で特に重要な2つの特長

AMD Radeon RX 6000に採用されている新アーキテクチャ「RDNA2」について、様々な特長が公式に発表されていますが、エンドユーザーが特に押さえておくべきポイントはVRAMフルアクセス機能「AMD Smart Access Memory」と、レイトレーシング表現対応(ハードウェアアクセラレーター搭載)の2点です。
Infinity Cacheを始め、レビューや解説記事としてRadeon RX 6000シリーズやそのアーキテクチャであるRDNA2について掘り下げられるポイントは非常に多いのですが、実性能と価格に加えて消費者目線で最低限抑えておくべきポイントを挙げるとすればこの2つになると思います。

まず1つ目の大きな特徴は「AMD Smart Access Memory」です。Radeon RX 6000シリーズを同社の次世代CPUであるRyzen 5000シリーズと組み合わせることで使用可能な(AMD公式にサポートされる)ビデオメモリアクセスを改善し性能を向上させる機能です。
AMD Smart Access Memory_Platform Synergy
Radeon RX 6000シリーズの登場当初はSmart Access Memoryの対応プラットフォームはRyzen 5000シリーズ&500シリーズチップセットの組み合わせに限定されていましたが、RX 6700 XTの登場と同時にRyzen 3000シリーズCPUの正式サポートも公表されたので、性能的には十分でRyzen 5000シリーズよりもコスパに優れるRyzen 3000シリーズとRX 6700 XTの組み合わせは非常にオススメです。
Ryzen 3000_Smart Access Memory_support

従来のプラットフォームでは32bit命令の名残でCPUとグラフィックボードVRAM間では最大でも256MB単位でしかデータのやり取りができませんでした。
AMD Smart Access Memoryでは10GBを超える大容量VRAMに対してCPUからサイズ制限なく一度にフルアクセスが可能になり、なおかつ第3世代Ryzen&X570でAMDがいち早くサポートを始めたPCIE4.0の従来比2倍な高速帯域を用いることで、VRAMアクセスによって生じるボトルネックが解消されます。
AMD Smart Access memory_explained
ハイエンドGPUではVRAM容量が10GBを超えるのが当たり前になったので、CPU-VRAM間でフルアクセス機能を実現するためにはより高速な帯域(PCIE4.0対応)が必要になります。1年前、第3世代Ryzen&X570など早期にPCIE4.0の普及を目指したのは、 同機能でCPU・MB・GPUのプラットフォーム単位で優位性を示すための布石だった、と考えるといろいろと納得がいきます。(そうでないとPCIE4.0アーリーアダプターな某SSDはIOベンチ以外に魅力がなく、微妙過ぎました…)
AMD Smart Access memory
AMD公式のベンチマークによると「AMD Smart Access Memory」を使用することで最大10%程度もパフォーマンスが改善するとのこと。
AMD Smart Access memory_peformance-gain

AMD Smart Access Memoryの名前の方が有名ですが、実のところ、これはPCIE規格で策定されている「Re-Size BAR (Base Address Register)」と同等の機能です。参考資料
すでに一部のIntel Z490マザーボードにおいてベータBIOSという形ですが、Re-Size BARを有効にできるBIOSが一部メーカーから配信されており、またIntelの次世代CPUである第11世代Rocket Lake-SではRe-Size BARの正式サポートが公表されています。
Intel 11th-gen Core-S Rocket Lake_Key-Feature
またAMDと競合するGPUメーカーのNVIDIAも2021年発売のRTX 3060を皮切りに、同社最新GPUであるGeForce RTX 30シリーズ(Ampere世代)においてRe-Size BARのサポートを順次開始していくことが正式に発表されています。


CPUとGPUをコンシューマー向けに展開しているAMDだからこそいち早く、Re-Size BARの土壌としてPCIE4.0を普及させ、次世代GPUのRadeon RX 6000シリーズでサポートさせることができた、こと自体は評価に値すると言って間違いありません。
一方でAMD Smart Access Memory = Re-Size BARなので、「VRAMフルアクセス機能Re-Size BARによる性能向上は”将来的には”AMDオンリープラットフォームに限定されるユニークなアドバンテージではない」、その点は留意しておいてください。
AMD_PCIE4

次に2つ目の大きな特徴がレイトレーシング表現への対応です。Radeon RX 6000シリーズが採用するRDNA2アーキテクチャでは一般的にコア数としてカウントされるシェーダーコアをひとまとめにしたCU(Compute Unite)に対して1基のレイトレーシング処理支援ハードウェア「Ray Accelerator」を搭載しています。Ray Acceleratorはレイトレーシング処理においてCPUによる演算よりも10倍も高速とのこと。
AMD RDNA2_Raytracing_Ray Accelerator
余談ですが、以下のような事情もあって当サイトでは”レイトレーシング表現”と呼んでいます。
レイトレーシングというのはそもそもレンダリング手法の1つであって、現在主流なレンダリング手法のラスタライゼーション(ラスタライズ)と、ある種の対になる言葉です。
AMD RDNA2_Raytracing_vs-rasterization
PCゲームにおいては負荷的な問題で全てをレイトレーシングでレンダリングするのではなく、「ラスタライゼーションをベースにレイトレーシングはアクセント」という形で併用するのが主流です。
またPCゲームにおいてレイトレーシングというとDirectX12がサポートするDXR(DirectX Raytracing)が有名、というか現状でレイトレーシングをサポートするPCゲームはほぼコレですが、Vulkanなどその他のAPIもレイトレーシングを続々とサポートし始めています。
AMD RDNA2_Raytracing_Hybrd Rendering

下はNVIDIAによるデモですが、レイトレーシング表現では、照明(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射やガラス面の透過なども現実に即して忠実に描写されます。レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。
RayTracing Sample (1)
RayTracing Sample (2)
RayTracing Sample (3)
なお、NVIDIA GeForce RTX 30シリーズが対応するDLSSのように超解像技術によって低負荷に4K~8Kの高解像度を実現する機能がAMD Radeon RX 6000シリーズでは実装されていないので、レイトレーシング表現と4K解像度の組み合わせは現時点では難しいようです。
一方で「FidelityFX Super Resolution」と呼ばれる超解像機能を開発中とのことなので将来的にはレイトレーシング表現と4K解像度の組み合わせにも対応が可能になると思います。
AMD FidelityFX Super Resolution



ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaのゲーム性能

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「Radeon RX 6800 XT」、「GeForce RTX 3080」、「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」、「Radeon VII」を使用しています。
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」にはBIOSスイッチで2種類のモードを切り替えられますが、今回の検証ではPerformanceモードで測定しました。またRadeon Settingから選択可能なソフトウェア上の動作モードについては標準モードのまま変更していません。


「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_bench_fs

FireStrike Extreme Ultra
RX 6900 XT
ASRock OC Formula
60512 29661 14777
RX 6800 XT
51159 25012 12412
RTX 3080
41710 20733 10553
RTX 2080 Ti FE
34955 16797 8179
Radeon VII
28115 13455 6863


「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」、およびレイトレーシング対応ベンチマーク「Port Royal」による性能比較となります。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_bench_ts-pr

TimeSpy Extreme Port Royal
RX 6900 XT
ASRock OC Formula
19964 9599 10554
RX 6800 XT
17462 8401 8938
RTX 3080 17407 8674 11163
RTX 2080 Ti FE
14309 6813 8839
Radeon VII
8974 4364 -


「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードについて、近年普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_bench_vr

Orange Room
Cyan Room
Blue Room
RX 6900 XT
ASRock OC Formula
14785 22239 6273
RX 6800 XT
14472 18942 5354
RTX 3080 16244 15724 5241
RTX 2080 Ti FE
15938 12955 4553
Radeon VII
14256 10462 2705



続いて2020年最新のPCゲームを実際に用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)と4K(3840×2160)の3種類の解像度で平均FPSを比較しました。

ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)、DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット, NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)、Horizon Zero Dawn(最高画質設定プリセット)、Marvel's Avengers(最高設定プリセット, TAA)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)以上の15タイトルです。
game_benchmark_202009


Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_ant

Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_aod

Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_bfv

CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_cont

DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_deathST

The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_div2

Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_ff15

Gears 5(最高設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_gears5

Ghost Recon Breakpoint(ウルトラ設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_ghostBP

Horizon Zero Dawn(最高設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_horizon

Marvel's Avengers(最高画質設定プリセット, TAA)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_marvel

Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_metro

MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_mhw

Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_sottr

Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_game_sow


ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaなど5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaは、下位モデルRX 6800 XTと比較するとシェーダー数に比例して10%を上回る性能を発揮し、また、2年遡って最後に同社から発売されたハイエンドGPUのRadeon VIIを平均で90%以上、ベストケースでは2倍を超える性能向上を実現しており、AMDが”究極の4Kゲーミングに対応(Ultimate 4K Gaming)”と謳うのも納得の高性能です。
7nm改良版とはいえVegaからRDNAを飛ばしてRDAN2へと最新アーキテクチャにアップグレードされているため、Radeon VIIと比較してフルHDのハイフレームレートなPCゲーミングでも順当に60~70%程度の性能向上を果たしているところも注目ポイントです。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_pefsum


RTX30シリーズとの比較の総評やレイトレーシング表現の性能について

「Radeon RX 6900 XT」のグラフィック性能をNVIDIA製GPUと比較すると、前世代最上位のGeForce RTX 2080 Tiを平均で30%程度上回り、NVIDIAの次世代ハイエンドGPUであるRTX 3080を10%程度上回る性能でした。(リファレンス仕様を参照)
発売前にAMDから公表された10種の実ゲームによる公式ベンチマークでは、RX 6900 XTはRTX 2080と比較してWQHD解像度で45%程度、4K解像度で46%程度も上回るとのことでしたが、Smart Access Memoryが有効であることを加味しても、ベストケースに近い性能が出るタイトルを集めたのだと思います。
NVIDIAでも公式ベンチに比べて10%弱の差が出るのは通例なので(近年では対AMDではなく同社の旧世代との比較ですが)、特に公式ベンチを批判する意図はなく、管理人としてはそういった事情も織り込み済みで妥当な結果が出たと思ったので、そういう意味での補足です。

個別に見ていくとRadeon RX 6000シリーズとGeForce RX 30シリーズの性能スケーリングはやや複雑、ゲームタイトルに依るところが大きく、当サイト的に概ね同等性能という評価なRX 6800 XTとRTX 3080の例では±10%程度でそれぞれ優劣が入れ替わったり、または同等の性能を発揮しています。
また解像度別では、4K高解像度ではRTX 3080が強く、WQHD以下の低解像度ではRX 6800 XTが強い傾向が見え、GDDR6Xによる定量かつ広帯域なVRAMメモリ、2GHz超コアクロックとヒット率次第であるものの実行帯域が広いキャッシュ&VRAM構造という両者のアーキテクチャの特長が反映された結果だと思います。
今回のベンチマーク結果ではRX 6800 XTに対してRX 6900 XTは+10%程度の性能を発揮しましたが、一方でNVIDIAの最上位GPUであるRTX 3090はRTX 3080と比較して+10~15%程度の性能を発揮するので、ゲームタイトルにも依るものの、どちらの方が性能が上かというと『RTX 3090が最速、1桁%の差でRX 6900 XTが次点』というのがざっくりとした管理人の感想です。

RX 6900 XTではフルHD解像度やWQHD解像度に対して4K解像度での性能スケーリングが鈍化する傾向があるゲームタイトルの存在を見ると、RDNA2アーキテクチャの高性能を支える大容量キャッシュInfinity Cacheという構造が大きく影響しているように思います。
公式スライドの示す通り、キャッシュ容量128MB辺りでフルHD・WQHDにおけるヒット率は頭打ちになり始めますが4K解像度ではまだリニアに上昇しているようなので、シンプルに高速なVRAM帯域を実現するNVIDIAのアプローチに対して、キャッシュを組み合わせるAMDのアプローチはまだ万能というわけではなさそうです。
4K/120Hz+に対応したゲーミングモニタやテレビも普及しつつあり、GPU性能的にもそれがターゲットになるのにGeForce RX 3080/3090と比較して、高解像度で性能が伸び悩む傾向があるというのはRX 6900 XTやRX 6800 XTの弱点だと思います。
AMD Infinity Cache_Hit-Rate


ここまでは一般的なPCゲーミングシーンにおける「Radeon RX 6900 XT」の性能を比較検証してきましたが、続いてRadeon RX 6000シリーズの大きな特徴、AMD製GPUではRDNA2アーキテクチャで初めてサポートされたレイトレーシング表現の性能をチェックしていきます。(レイトレーシング表現の性能比較ベンチマークについてはRX 6900 XTリファレンスモデルのデータを引用しています)
AMD RDNA2_Raytracing
いち早くレイトレーシング表現をサポートした競合NVIDIAの前世代最上位GeForce RTX 2080 Tiや、2021年最新ハイエンドGPUのGeForce RTX 3080とGeForce RTX 3070を比較対象にして、「Radeon RX 6900 XT」のレイトレーシング性能を検証しました。
解像度は4K(3840×2160)とし、検証するゲームはBattlefield V (最高設定プリセット、RTX:ON)、Control(高設定プリセット、RTX:High)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット、RTX:Ultra)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット、RTX:Max)の4種類です。
なおドライバ2020.12.1においてRX 6800ではMetro Exodusでレイトレーシング表現を有効にするとほぼ確実にロード後にクラッシュし、上位モデルのRX 6800 XTでも何割かの確率でクラッシュしました。

まず純粋な性能として「Radeon RX 6900 XT」はレイトレーシング表現を有効にすると4K解像度では30FPSをギリギリキープできるかどうか、WQHDで何とか60FPSに達するという具合でした。レイトレーシング表現の性能についてもRX 6800 XTと比較して+10%程度の性能差です。
NVIDIA製GPUでもそうですが、レイトレーシング表現を4Kネイティブ解像度で実行するのは現在のGPU性能ではやはり難しく、DLSSのような超解像技術がAMD製GPUにも求められます。
上で検証した一般的なゲーミングシーンにおいてRadeon RX 6900 XTはGeForce RTX 3080を+10%程度上回る性能を発揮したのですが、レイトレーシング表現を有効にするとRX 6800はRTX 3080と比較して30%程度も劣る結果となりました。レイトレーシング表現を支援する専用ハードウェアの性能差が如実に現れています。
Radeon RX 6900 Reference_RayTracing
GeForce RTX 3080やさらに上位のGeForce RTX 3090の場合はDLSSを併用すればレイトレーシング表現を有効にしても4K解像度で60FPS程度をキープできることも考えると、PCゲーミングにおけるレイトレーシング表現の性能に関してRX 6900 XTがRTX 3080/3090の後塵を拝しているのは否定できません。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula_Perfsum_RayTracing&DLSS

ただAMDにとってRDNA2アーキテクチャのレイトレーシング表現サポートは、第1に次世代コンソールゲーム機とそのソフトウェアデベロッパー、次に3Dレンダリングなどのクリエイターを主要なターゲットとしており、PCゲーミングについてはオマケ程度の意味合いが強い気がします。
PS5やXbox Series Xの場合は、各ゲーム機固有のハードウェアクセラレーター性能によって実現できる範囲内でレイトレーシング表現を実行するだけなので競争力は求められず、近年のコンソールゲームはUnityやUnreal Engineといったゲームエンジンを使用して汎用PC環境で作成されています。
コンソールゲーム機なら実動環境を1,2種類に特定でき(デバッグが容易になる)、また実動環境に近似したハードウェアでゲーム開発ができるので、デベロッパーがレイトレーシング表現について学習しやすくなったことに一番の意義があるのだと思います。RTX 20シリーズの登場から2年たってもメジャーなレイトレーシング表現のサポートタイトルが10にも満たないのを見るとなおさら、そう感じます。
AMD Empowers Developers



ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの温度・消費電力・ファンノイズ

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」にはRadeon Settingから選択が可能なコアクロックや電力制限が変化する複数のモードが用意されていますが、標準モードで測定しました。

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 6900 XT_TimeSpy Stress Test
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は大幅なファクトリーOCが施されるPerformanceモード(標準設定)において、テスト終盤におけるGPU温度は最大71度、ファン回転数は最大1700RPMに達しています。TGP380W相当のグラボを冷却していると考えれば悪くない数値です。
静音性重視なQuietモードではファン制御プロファイルはそのままでファクトリーOCだけ弱まりますが、GPU温度とファン速度についてはそれぞれ多少下がるものの、Performanceモードと大差ない結果になりました。特にファン速度はQuiet Modeでも1600RPMなので実際に体感するファンノイズとしては差はありません。折角BIOSを2つ用意するなら、Quietモードは動作設定をリファレンス相当まで下げてファン速度1000~1300PRMくらいで運用できるチューニングでもよかったかなと。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_temp-gpu
GPUに搭載された複数の温度センサーのうち、最大温度を示すジャンクション温度の推移は下のようになりました。Radeon RX 6000シリーズはジャンクション温度をファン制御のソース温度とし、負荷がかかるといったん上限速度まで上昇、徐々に収束していく方式が採用されていることが多いですが、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」ではすぐに1600RPM程度に達してから、ジャンクション温度の変動に応じて1600~1700RPMの範囲内でファン速度が緩やかに波打ちます。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_temp-junction
また「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、ジャンクション温度を制御ソースとして始動閾値は60度前後、停止閾値は55度前後でヒステリシスも採用されています。製品によっては回転数が上下してふらつくことの多い始動や停止の直前も、閾値を跨いだ瞬間にピタッと切り替わります。

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」ではGDDR6メモリやVRM電源回路の温度もモニタリングが可能であり、ストレステスト中の推移は下のようになりました。
VRAMチップやVRM電源といった周辺回路も70度以下に収まっており、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」の冷却構造はトータルに優れていることが分かります。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_temp-vram
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_temp-vrm

GPUコアクロックについて、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」はゲームクロック2295MHz、最大ブーストクロック2475MHzに設定されていますが、負荷テスト中の実動平均は2470MHzでした。
リファレンスや初期オリファンモデルなどNavi 21 XTXコアを採用する製品と比較して、Navi 21 XTXHコアを採用する「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」は200MHz、10%程度高い動作クロックです。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_clock

また実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへ「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認してみました。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB review_03509_DxO
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
GPU-CaseIn-Test_2021
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
Thermaltake TOUGHFAN 14

PCケースに入れた状態で長時間負荷をかけると「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のGPU温度は最大74度、ジャンクション温度は最大90度に達し、ファン回転数は1700RPM程度とベンチ板測定時から変わらずでした。
元がTGP300WのウルトラハイエンドGPUにTGP380W相当へと大幅なファクトリーOCを施し、長時間フル負荷をかけていますが、PCケースに組み込んでしまえばファンノイズが気にならない程度の静かさです。流石、全長330mmかつ3スロット占有の超大型クーラーを搭載したモデルです。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_stress
ちなみにGPU温度80度以下を目標にファン速度を手動設定した例として、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は1500RPMに固定した状態で上の1時間ストレステストと連続して10分程度負荷を掛けましたがGPU温度が78度以下に収まりました。実際にどれくらいまでファン速度を落としても十分に冷えるかはPCケースの吸排気などケースバイケースですが、ファンノイズが気になるようであれば手動設定で調整してみてください。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_stress_manual

加えて1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」は、バックプレート表面や、背面や側面の隙間から確認できるPCB基板上のVRM電源回路やPCIE補助電源コネクタの付近の温度がホットスポットの最大値でも80度以下に収まっていましたVRM電源回路やVRAMチップも十分に低温になるので、安心して長期運用ができるオリファンモデルです。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_FLIR (1)
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_FLIR (2)
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_FLIR (3)
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_FLIR (4)

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」を含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
GPU-Noise-Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」はテストベンチ上でもPCケース内でも1600~1700RPM程度のファン速度で動作し、ファンノイズのノイズレベルは36dB程度でした。

RX 6900XT/6800XTのオリファンモデルは31~33dB程度と静音性が非常に高いモデルが多く、それらに比べるとノイズレベルは高いですが、38dB未満であればPCケースに入れてしまえば煩く感じることはないレベルなので、TGP380W相当にファクトリーOCされたRX 6900 XTを冷却していると考えたら十分な静音性だと思います。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_noise

ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
GPU-Power-Test

「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」はPerformanceモードにおいて消費電力は380W、最大瞬間負荷は487Wとなっており、TGP380W相当へファクトリーOCされているようです。グラフィックボード単体でこれだけの消費電力が発生するので、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB」の公式仕様として1000W容量の電源ユニットが推奨されているのも納得です。
Radeon RX 6900 XTは公式仕様でグラフィックボード全体の消費電力の指標値が300Wと公表されており、GPU単体の電力制限は255Wに設定されています。「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のGPUコア単体の電力制限はファクトリーOCによって325Wへ引き上げられているので、TGP380W相当の設定でファクトリーOCされているものと思われます。
また静音性重視のQuietモードでもGPUコア単体の電力制限は285Wとなっており、TGP330W相当へファクトリーOCが施されています。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_power
「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」はファクトリーOCが施されたモデルなので、傾向が分かり難くなるため、RX 6900 XTのリファレンスモデルを参考に評価すると以下のようになります。
ここ数年のAMD製GPUはNVIDIA製GPUと比較してワットパフォーマンスで劣る傾向があり、前世代RX 5000シリーズでギリギリRTX 20シリーズのワットパフォーマンスに追いついたかどうかという具合でしたが、「Radeon RX 6900 XT」は2021年最新ハイエンド帯で同等の性能を発揮するRTX 3080/3090よりも低い消費電力となっており、AMD公式がアピールする通り、優れたワットパフォーマンスを実現しています。最新RDNA2アーキテクチャのワットパフォーマンスの高さを再認識できる結果です。



ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formulaのレビューまとめ

最後に「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB(型番:RX6900XT OCF 16G)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 4K/120FPSゲーミングにも対応可能、4KゲーミングモンスターなGPU
  • Radeon VIIを実ゲームで80%以上も上回るグラフィック性能
  • RTX 3080と同等な下位モデルRX 6800 XTを10%程度上回るグラフィック性能
  • 希望小売価格999ドルからなので、1499ドルからのRTX 3090よりも大幅に安価
  • フルメタルで重厚感のあるGPUクーラー外装デザイン
  • 超高選別GPUダイのNavi 21 XTXH採用
  • 最大でコア4000MHz、メモリ2600MHzのOCアンロック
  • ファクトリーOCでTGP380Wの発熱を騒音値36dB以下で冷やしきる静音性
  • オリジナルGPUホルダーが標準で付属
  • 2種類のBIOSを切り替え可能
悪いところor注意点
  • RX 6800 XTと比較して+10~20%程度の性能差なのでコストパフォーマンスは悪い
  • 全長330mmと非常に長いのでPCケースとの干渉に注意
  • PCIEブラケットよりも30mm背が高いのでサイドパネルとの干渉に注意
  • 2021年5月現在、入手性が極めて悪い(NVIDIA RTX 30と比較してもなお悪い)
  • 超高選別品なので30万円と非常に高価

2年越し1世代飛ばしで登場した待望のAMD次世代ウルトラハイエンドGPU「Radeon RX 6900 XT」は、同社から最後にリリースされた前ハイエンドGPUのRadeon VIIを80%以上も上回り、NVIDIAの最新ハイエンドGPUであるGeForce RTX 3080をも上回るグラフィック性能を実現しています。
2020年最新の超高画質なPCゲームですら素の最高画質設定で4K/60FPSをキープでき、高画質設定のまま4K/120FPSのハイフレームレートで快適なプレイも難しくなく、AMDが”究極の4Kゲーミングに対応(Ultimate 4K Gaming)”と謳うのも納得です。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB_pefsum
また最上位GPU同士でGeForce RX 3090と比較すると、4K高解像度では1桁%程度の差で競合のRX 3090に1歩後れを取るものの、RX 6900 XTには999ドルから(国内価格では15万円前後)で購入できるという価格面で強みがあり、最速GPUの座を巡って真っ向から殴り合える製品です。
遡ればGTX 980 Tiから3世代、約5年に渡ってNVIDIAに最速GPUメーカーとして独走を許していましたが、RX 6900 XTはAMDがハイエンドGPUの分野でも復権を果たした象徴とも言える存在だと思いました。競争があれば各社、値下げやスペック向上を図り一般ユーザーにメリットが生まれるのは近年の自作PC市場を見ての通りなので、両社にはバチバチとやり合ってもらいたいです。

ただし入手性が悪いと批判の強いRTX 30シリーズに輪をかけて、RX 6000シリーズはさらに入手性が悪いという点は純粋にネックなので、早期に改善を期待したいところです。


4K解像度の60FPS~120FPSに対応可能なRadeon RX 6900 XTを使用するのであれば、4K/144Hzゲーミング液晶モニタ「LG 27GN950-B」、4K/120Hz有機ELの「LG OLED TV 48CXPJA」や「Alienware 55 AW5520QF」など4K解像度&ハイリフレッシュレートなディスプレイと組み合わせてラグジュアリーなゲーミング環境を構築したいところです。
4K_120Hz+_Gaming Monitor
その他にもバトルロイヤル系ゲームに最適な240Hzオーバーの超高速ゲーミングモニタと組み合わせてガチで勝利を狙うゲーマーにもフルHDで高FPSを稼げるRadeon RX 6900 XTはオススメです。
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240Hz+_GamingMonitor_2021


「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」については、Navi 21 XTXHを採用する超高選別RX 6900 XTとなっており、標準ファクトリーOCの時点でリファレンスモデルや既存のオリファンモデルと比較して200MHz、10%程度高いコアクロックを実現しており、実際にゲーミング性能でもGPUボトルネックな高解像度において最大10%程度高い性能を発揮します。
4年ぶり、グラフィックボードでは初めてその名を冠した製品ですが、満を持して登場しただけあって、OC Formulaの名に恥じない性能となっており、さらにGPUコアで最大4000MHz、メモリで最大2600MHzの手動オーバークロックがアンロックされており、常用性能を追求するゲーマーだけでなく、レコードを狙うOCerにとっても魅力的な製品です。

性能の代償としてファクトリーOCによってTGP380W相当の発熱へ引き上げられていますが、全長330mm3スロット占有の超大型かつ高品質設計のGPUクーラーによって、当サイトの測定環境においてノイズレベル36dB以下という十分に実用レベルな冷却性能と静音性を発揮しました。
TGPの引き上げが大きいので既存のRX 6900 XTオリファンモデルと比較すると静音性では1歩劣る感もありますが、GPUクーラー自体は非常に優れているので、TGP330W程度に下がるQ-Modeでファン制御を手動設定してやれば、既存モデルを上回る静音性も発揮できるはずです。

以上、「ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula」のレビューでした。
ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB



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ASRock Radeon RX 6900 XT OC Formula 16GB
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