GeForce RTX 3090 NVLink SLI


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NVIDIAのゲーマー向け次世代GPU”GeForce RTX 30シリーズ”の最上位にして、ほぼTITANなポジショニングのウルトラハイエンドモデルGeForce RTX 3090で、RTX30シリーズ用NVLink BridgeによってマルチGPU機能SLIを使用し、その性能をRTX 3090シングルとベンチマーク比較してみたので簡単に紹介していきます。


NVIDIA NVLink Bridgeについて

NVIDIAのゲーミングGPUであるGeForce GTXシリーズではマルチGPU機能「NVIDIA SLI」の有効化において、グラフィックボード2枚(以上)とは別に、専用ブリッジが必要になります。
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GTX10シリーズ以前ではグラフィックボードに実装されたSLI端子を専用のSLI Bridgeで接続する方式が採用されていましたが、2018年に登場したRTX 20シリーズに引き続き、2020年最新次世代GPUのGeForce RTX 30シリーズでも「NVLink」がインターフェースとして採用されています。
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なおNVIDIAのワークステーション・プロフェッショナル向けGPU製品において採用されているNVLinkを使用したマルチGPUと異なり、RTX 30シリーズのNVLinkは単純に広帯域な接続インターフェースとして使用されているだけでマルチGPUの機能的には従来のSLIを踏襲しています。そのためVRAMは2倍に増えませんし、2つのGPUは単一GPUとして動作することもありません。(下はRTX20シリーズ時の帯域比較グラフ)
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RTX 30シリーズがRTX 20シリーズと比較してNVLink帯域に変化があったのかどうかは分からないのですが、物理インターフェースは更新されてしまったので、RTX20シリーズとともにNVIDIA純正だけでなくASUS、EVGA、GIGABYTE、MSI、ZOTACなど各社から発売されたブリッジは使用できなくなりました。(1つ1万円弱するブリッジを10個近く収集した管理人はちょっと涙目)
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というわけでRTX 30シリーズ、現状で対応しているのはRTX 3090のみですが、でマルチGPUを構築するためにはRTX 30シリーズに対応したNVLinkブリッジを購入する必要があり、北米NVIDIA公式通販では4スロット版が79ドルですでに発売されています。(10月13日現在、品切れなのか販売停止中)
今のところ3スロット版は存在していないので、RTX 3090のSLI構築に当たってはマザーボード選びでもハードルが。
GeForce RTX NVLink Bridge (For 30 Series Products)
一応、グラフィックボードのパートナーメーカーからも発売は予定されているようで、今のところGIGABYTEが製品を発表しています。国内正規品を購入するとしたら、これを待つしかなさそうです。



NVIDIA公式のNVLink Bridgeについて製品パッケージやブリッジ本体は次のようになっています。
「For 30 Series Products(RTX 30シリーズ用)」という文言が追加されたことを除けば、RTX 20用NVLink Bridgeとほぼ同じパッケージです。この辺りにもNVIDIAのやる気のなさを感じます。
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RTX 30シリーズ用NVLink BridgeはRTX 30シリーズFounders Editionの正面フォルムを模した砂時計のような形状になっており、中央の黒色プレート部分は鏡面、ガンメタルの外枠は金属製で重厚感があります。ただ横向きにすると奇抜なグラサン感も。
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RTX 20シリーズ用NVLink Bridgeは外装がプラスチック製だったので実物の高級感は増していると感じました。端子部分がプラスチックカバーなのは同じです。
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GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能について

ここからは本題となるGeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能について簡単に紹介していきます。

GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能を検証する環境については、Core i9 9900KやASUS WS Z390 PROで構築される環境を使用しました。CPU動作設定は全コア5.1GHz、キャッシュ4.7GHz、メモリ周波数4000MHz/CL17となっており、4K解像度や8K解像度の超高解像度でフレームレートが144Hz以下であれば、Core i9 10900Kと比較しても基本的にCPUボトルネックにはならないはずです。
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なお冷却条件については考えるのも面倒だったので、120mm角ケースファンを2枚のグラフィックボードの間に置いて、2500RPMくらいでブン回し、グラフィックボード自体の冷却ファンも2000RPM以上で回しました。小さめの掃除機でも動いてるのか、という感じのファンノイズになりますが、3スロット占有大型GPUクーラーのおかげもあって、これだけファンをブン回すとベンチ板測定ならGPU温度は70度以下に収まります。
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性能を見る前に、NVLinkを使用したマルチGPU機能について注記しておくと、従来式のドライバにパッケージングされたSLIプロファイルによるマルチGPU機能SLIはRTX 30シリーズではサポートされなくなりました。なんと3DMark Fire Strike Ultra(DirextX11)ですら動作しないことには衝撃を覚えました。
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そのためRTX 30シリーズ、現状ではRTX 3090がマルチGPUとして機能するには、DirectX12やVulkanといった最新APIを採用し、ゲーム内でネイティブにマルチGPUをサポートしている必要があります。

下の公式ブログポストに書かれている通り、対応タイトルについてはShadow of the Tomb RaiderやGears of War 4などDirectX12対応ゲーム、Red Dead Redemption 2やQuake 2 RTXなどVulkan対応ゲームが挙げられていますが、正直、数も少なく今後ビックタイトルが対応していく予感もなく……。


今回は、GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能検証に当たって、3DMarkからTime Spy Extreme、Port Royal、NVIDIA DLSS Feature Test 8K、実際のPCゲームについてはShadow of the Tomb RaiderとGears of War 4を使用しました。
Shadow of the Tomb Raiderについては、4K解像度において最高設定プリセットをベースにレイトレーシングを最高設定にし、DLSSのオンとオフの2つのケースで測定しました。また8K解像度においてはDLSSは有効とし、画質設定を最高プリセット、および高プリセットベースのレイトレーシング中設定の2つのケースで測定しました。
Gears of War 4については、シンプルに最高画質設定で4K解像度と8K解像度を検証しました。

実PCゲームも最低限3つはと思って、海外で動作報告があり上2つとは異なるVulkan APIのRed Dead Redemption 2を試す予定だったのですが、管理人の環境(ドライバ456.71)ではNVLink SLI時に3D画面に切り替わる直前でブラックアウトしてしまい動作しなかったので残念ながら検証できるゲームが2つだけになってしまいました。


前置きが少々長くなりましたが、GeForce RTX 3090 NVLink SLIとGeForce RTX 3090シングルの性能をベンチマーク比較した結果を見ていきます。
まずはGeForce RTX 3090 NVLink SLIの4K解像度におけるPCゲーミング性能比較です。GeForce RTX 3090シングルでも最高画質設定で60FPSを軽々とクリアしていますが、GeForce RTX 3090 NVLink SLIならRTX 3090シングルですら難しい超高画質重量級ゲームの4K/120FPSゲーミングも可能になります。
GeForce RTX 3090 SLI_4K-Gaming
続いてGeForce RTX 3090 NVLink SLIの8K解像度におけるPCゲーミング性能比較です。GeForce RTX 3090シングルでは30~40FPしか出せない条件でも、NVLink SLIによるマルチGPUさえちゃんと機能すれば、8K/60FPSをしっかりとマークしてくれます。
GeForce RTX 3090 SLI_8K-Gaming
おまけで8K解像度と4K解像度の画質比較をいくつか。35インチ以下だと4Kもあれば十分そうですが、55インチ以上の大画面で見たら8Kはかなり印象が違いそうです。
SOTTR_8Kvs_4K
Gears of War 4_8K-vs-4K

最後に、以上のゲーミング性能比較の結果から4K解像度と8K解像度におけるGeForce RTX 3090シングルに対するGeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能スケーリングをまとめてみました。
3DMarkの性能スケーリングは理想的なものとして、GeForce RTX 3090 NVLink SLIは144FPSを超えるハイフレームレートになると40%程度の伸びですが、4K解像度でも60~120FPSなら50%以上70%以下の性能向上は期待できそうです。
また60FPSがターゲットになる8K解像度であれば3DMarkの性能スケーリングにかなり近づき、60~80%の性能向上が期待できそうです。
GeForce RTX 3090 SLI_Performance-Scaling
検証タイトルが少ないので断定するのは少し怖いのですが、従来式のSLIに比べて、ゲーム側ネイティブサポートなDirectX12/VulcanのマルチGPUは性能スケーリングが良いように思えます。NVIDIAのやる気が感じられず、対応タイトルが増えそうにないのが残念でなりません。
RTX 3090を2枚で40万円越えの予算がかかるとはいえ(TITAN RTXでNVLink SLIを組んだ身としてはすでに60万円で通った道…、SLIが死に規格と化したため活躍の機会がありませんでしたが)、RTX 3090と比較して50%以上も性能が伸ばせるのであれば、管理人も是非組みたいと思いますし、そう思うNVIDIA製グラボのマルチGPUフォロワーもきっと少なくないはずですが、対応タイトルがないのでは。


あとGeForce RTX 3090 NVLink SLIの消費電力について、3DMark Time Spy Extreme グラフィックテスト1で負荷をかけたところ、同テストでは基本的にCPU負荷は大きくないのGPU負荷がメインですが、システム消費電力(電源の変換損含む)は900~950Wに達しました。
一方で3DMark Time Spy Extreme グラフィックテスト1の実行中に、全コア5.1GHzにOCしたCore i9 9900Kで動画のエンコードも実行してCPUにもフル負荷をかけると、システム消費電力は1050~1150Wに達しました。
GeForce RTX 3090 NVLink SLI_Power-Consamption
検証機材には電源容量1200W、変換効率80Plus Platinum認証取得の「Corsair HX1200i」を使用していますが、上記の性能比較のベンチマーク中や、Shadow of the Tomb Raiderの4Kゲーミングを30分ほど試した限りでは、電源原因のクラッシュ(電源落ち)は発生しませんでした。
ただし別途負荷テストを行った1000~1200W容量の電源だと電源落ちの症状も確認できました。1500Wオーバーの電源は落ちるケースが確認できなかったので電源容量の問題だと思いますが、壁コンセント直で繋がなかったので、コンセント側の100V電圧が96~98Vに下がっておりこちらが原因の可能性もあるかもしれません。

とはいえGeForce RTX 3090 NVLink SLIを搭載した場合、PowerLimit:350Wのリファレンス仕様でもGPUにフル負荷がかかった時にシステム消費電力は確実に900Wを超過してくるので、Core i9やRyzen 9など最上位クラスのCPUを組み合わせた時にCPU負荷も加わる可能性を考えると、1200W電源でも製品によっては怪しくなってきます。
国内の一般100Vコンセントでは電源のフルスペックを発揮できないのは前提として、1500W以上の電源ユニットを用意した方が安全な気がします。
PSU_1500W_over


以上、『GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能をベンチマークで比較検証』でした。
GeForce RTX 3090 NVLink SLI



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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