G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK


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XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL14の超低レイテンシなオーバークロックに対応する16GB×2枚組み=32GB容量のメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」をレビューします。


製品公式ページ:https://www.gskill.com/product/165/184/1620973773/F4-4000C14D-32GVK




G.Skill Ripjaws V レビュー目次


1.G.Skill Ripjaws Vの外観


2.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順

3.G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVKのメモリOCを試す

4.G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVKのレビューまとめ


---【注意】--------------------------
メモリOCで有名なXMPプロファイルは「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル」の略称でありIntelの策定した規格なので、AMD Ryzen/Ryzen Threadripper環境において”XMPでOCする”等の表現をするのは厳密には正しくありません。
ただしXMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD Ryzen環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されているので、AMD製CPU環境においてもXMPプロファイルを流用したメモリOCを当記事中では便宜上細かいことを気にせずに”XMPを使用したOC”などXMPとして表記します。
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G.Skill Ripjaws Vの外観

まず最初に「G.Skill Ripjaws V」の外観をチェックしていきます。
同社のハイエンドブランド製品であるG.Skill Trident Zシリーズは専用の紙製パッケージに梱包されていますが「G.Skill Ripjaws V」はブリスターパックの簡易梱包です。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK review_09273_DxO
「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」は16GB×2=32GBの2枚組メモリキットなので、ブリスターパックに両面に2枚ずつメモリが収められています。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK review_01491_DxO

「G.Skill Ripjaws V」には、艶のあるブラックカラーで機械装甲のようなデザインのアルミニウム製ヒートシンクが装着されています。中央にはG.Skill Ripjaws Vのロゴシールが貼られています。
「G.Skill Ripjaws V」の全高は42mmとなっており、G.Skill Trident Zシリーズに比べると低いですが、ロープロファイルというわけではありません。
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「G.Skill Ripjaws V」のアルミニウム製ヒートシンクは一応メモリチップの放熱板としての役割もありますが、左右端のメモリチップは一部がヒートシンクからはみ出していたり(近年の高速メモリではメモリチップの実装位置が下がってきたため)、またメモリチップとヒートシンクを接着する熱伝導両面テープが浮いていたりします。
G.Skill Trident Zシリーズに慣れていた管理人には結構雑な作りに感じました。
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G.Skill Ripjaws VシリーズはDDR4メモリが登場した当初、G.Skill製メモリのハイエンドモデルの位置付けで、カラーバリエーションが豊富でしたが、Trident Zシリーズの登場で、上位モデルと同等スペックのメモリモジュールながら安価な製品という扱いに変わり、市販されるカラーも基本的に黒一色になっています。
G.Skill Ripjaws V_Color

ちなみにメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL14の超低レイテンシなオーバークロックに対応する16GB×2=32GBのメモリキットは「G.Skill Ripjaws V」以外にも、Trident Z Ryoal EliteやTrident Z RGBシリーズからも発売されており、放熱ヒートシンクが重厚、LEDイルミネーション搭載とあって、メモリスペック自体は同等ですが、価格が高く設定されています。
G.Skill F4-4000C14D-32 series



メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順

「G.Skill Ripjaws V」の定格動作やXMP/手動設定を使用したオーバークロックの検証を行う前に、検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明をしておきます。

「G.Skill Ripjaws V」の検証を行う環境としては、Core i9 12900K&Z690マザーボードやCore i9 11900K&Z590マザーボードで構成される検証機を用意しました。
テストベンチ機の構成
OS Windows 10 Home 64bit
CPU
Core i9 12900K
レビュー
Core i9 11900K
レビュー
MB ASUS ROG STRIX
Z690-A GAMING WIFI D4
レビュー
ASUS TUF GAMING
Z690-PLUS WIFI D4
(レビュー)
MSI MAG Z690
TOMAHAWK WIFI DDR4
レビュー
ASUS ROG MAXIMUS
XIII APEX
レビュー
MSI MEG Z590 ACE
レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー
電源ユニット
Corsair HX1200i
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB


メモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類である、というのがIntel環境における通説でした。そのため管理人も一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはオススメな買い方だと思っていました。

しかしながらAMD RyzenおよびAMD Ryzen Threadripper環境では、『Infinity FabricというCPU内外のコンポーネントを相互接続するインターコネクトの動作周波数がメモリ周波数に同期する』という構造上、メモリ周波数がエンコードや3Dゲームを含めた総合的なパフォーマンスに大きく影響することが知られています。
またIntel環境においても144FPS~240FPSのハイフレームレートなPCゲーミングではCPUボトルネックの緩和にメモリ周波数のOCが効いてきます。

OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説



G.Skill Ripjaws VのメモリOCを試す

「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」を使用し、Intel第12世代CPU&Z690マザーボードや
Intel第11世代CPU&Z590マザーボードの検証機材にセットアップして、メモリオーバークロックの動作検証を行っていきます。


G.Skill Ripjaws Vシリーズにはメモリ周波数2133MHz~5000MHzまでのXMPプロファイル、2枚組or4枚組or8枚組、メモリ容量16GB(8GB×2)~256GB(32GB×4)など多種多様なモデルがラインナップされています。
なおOCプロファイル(XMP)についてはあくまでメーカーによる”動作確認済み”の選別品であって”動作保証ではない”ので注意してください。マザーボードやCPUとの相性によってはXMPプロファイル通りに動作しない場合もあります。
メーカー製品公式ページでは型番ごとにQVL(Qualified Vendor's List)として組み合わせ使用が推奨されるマザーボード/プラットフォームもリストアップされているのでG.Skill Ripjaws VシリーズのOCメモリの購入前にはそちらも合わせて参考にしてください。
製品公式ページ:https://www.gskill.com/products/1/165/184/Ripjaws-V
G.Skill Ripjaws V_Color

ちなみにG.SkillのOCメモリにはBIOSからマニュアル設定もしくはXMPプロファイルでOCして故障したとしても、焼損・破損がなければ無期限に新品と交換可能という非常に手厚い保証があるのでメモリのオーバークロックを安心して行えます。保証期間も基本的に無期限の永久保証です。
G.SKILLメモリモジュール保証規定(リンクスインターナショナル)------------------
正しい使用方法に従った上で製品が正常に動作しなかった場合、かつ、保証期間内と認められた場合に限り無償修理対応を致します。保証の対象は製品単体及び製品の付属品までとなります。

G.SKILLメモリについては、マザーボードBIOS(UEFI)でIntel XMPプロファイルの適用、及び動作クロック・タイミングや駆動電圧の変更などに起因する故障で、かつ、製品に焼損・破損等がみられない場合においては保証対象となります。保証期間内であっても次の項目に該当する場合は保証対象外となります。
--(https://www.links.co.jp/support/gskill/)--------

今回検証を行う「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」はメモリ周波数4000MHz/メモリタイミングCL14-15-15-35というIntel第11世代Core-Sの環境で最高のパフォーマンスを発揮するために選別されたOCプロファイルが収録される、デュアルチャンネル対応2枚組モデルです。
メモリ周波数4000MHzでCL14という超低レイテンシな極詰めモデルですが、QVLに掲載されている製品は意外と多く、Intel Z590のハイエンドマザーボードなら動作しそうです。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK_QVL_Intel Z590
また2021年11月現在、MSI製品のみですが、DDR4メモリに対応するZ690マザーボードもQVLに掲載されています。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK_QVL_Intel Z690

OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHz/メモリタイミングCL14のオーバークロックに対応する16GB×
2枚組み=32GB容量のメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」については、選別によって高メモリ周波数かつ低レイテンシな個体が生まれやすいSamsung B-Dieの2Rankメモリモジュールが採用されていました。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK_spec
(製品型番およびスペックはそのままでも、メモリモジュールについてはロットやバージョンで変更される可能性があります。)


前置きはこの辺りにして「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」を使用し、メモリOCを実践していきます。
まずは下調べとして、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」が主に対象とするIntel第11世代CPU&Z590マザーボードの環境でXMPプロファイルによるOCが安定動作するのかチェックしていきます。
CPUにはIntel第11世代Core-Sの8コア16スレッドモデルCore i9 11900K、Z590マザーボードにはF4-4000C14D-32GVKのQVLに掲載されているASUS ROG MAXIMUS XIII APEXを使用しています。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK review_01666_DxO
BIOSから行うOC設定として、特にひねりもなく「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」に収録されたXMP OCプロファイルを適用しました。なお第11世代CPUのIMC性能的にメモリ周波数4000MHzでGear1は無理なので、この検証ではAuto設定のままGear2としています。
高速メモリが動作しやすいIntelのメインストリーム環境とはいえ、メモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL14-15-15-35-CR2の超低レイテンシ設定が、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」ならOCプロファイルの適用1発で簡単に安定動作するのは圧巻です。
F4-4000C14D-32GVK_Z590_ASUS_4000C14G2

G.Skill公式のQVLに掲載が多いことから分かるように、近年では主要マザーボードベンダー4社の一角であるMSIとG.SkillはOCメモリの動作検証において協力関係にあるのですが、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」のQVLに掲載されているMSI MEG Z590 ACE(BIOS:1.30)ではXMPプロファイルを適用することで起動はするものの、RAM TestによるメモリOCテストでエラーが出ました。(OS起動までは安定するので、サブタイミングを調整すれば安定すると思いますが)
F4-4000C14D-32GVK_Z590_MSI_4000C14G2
ASUS ROG MAXIMUS XIII APEXは2xDIMMスロットの特殊なモデルなので、メモリの問題も疑ったのですが、後述の通り4xDIMMスロットのZ690マザーボードで問題なく動作したことから(ASUS製だけでなくMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4でも)、MSI MEG Z590 ACEのメモリOC最適化(サブタイミングの自動設定)が原因のようです。
3200MHz/CL14や3600MHz/CL16のような定番設定ならQVLにないマザーボードで安定動作するはずですが、4000MHz/CL14ともなるとQVLに載っていても動作しないこともあるようです。


続いて大本命、Intelの最新メインストリーム向けCPUである第12世代Core-Sの16コア24スレッドモデルCore i9 12900KとZ690マザーボードの環境で「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」のOCを実践していきます。Intel Z690マザーボードにはDDR4メモリをサポートするASUS ROG STRIX Z690-A GAMING WIFI D4を使用しています。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK review_01667_DxO
先ほどと同様に、まずはBIOSから行うOC設定として、特にひねりもなく「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」に収録されたXMP OCプロファイルを適用しました。第12世代CPUはIMC性能が向上しているのですが、まずはAuto設定のままGear2としています。
メモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL14-15-15-35-CR2の超低レイテンシ設定は、Intel第12世代CPU環境でも「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」ならOCプロファイルの適用1発で簡単に安定動作します。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS STRIX_4000C14G2
Intel第12世代CPU環境についてはその他にも、「ASUS TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4」や「MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」でXMPによる4000MHz/CL14/Gear2の安定動作を確認できました。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS TUF_4000C14G2
F4-4000C14D-32GVK_Z690_MSI_4000C14G2

続いてIntel第11世代CPUでは難しかった、メモリ周波数4000MHzにおけるIMC周波数の1:1同期Gear1が、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」の4000MHz/CL14という超低レイテンシと組み合わせても安定動作するのかチェックしていきます。
検証マザーボードのASUS ROG STRIX Z690-A GAMING WIFI D4においては、『XMPプロファイルを適用してIMC周波数をGear1に切り替える』という設定では上手くPOSTできなかったので、メモリ周波数、主要タイミング、主要電圧3種を指定する下記のようなカジュアル設定を適用しました。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS STRIX_4000C14G1_BIOS (1)
メモリタイミングはXMPから主要タイミングをそのまま書き写す形です。XMP適用時のGear2ではCommand Rateが自動で1Tとなりますが、Gear1にする時は2Tに下げてください。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS STRIX_4000C14G1_BIOS (2)
電圧については、VCCSAを1.320V、CPU VDDQを1.300Vとしています。VCCSAは下限値を調べていないのでもう少し下げても問題ないかもしれません。CPU VDDQは単純に昇圧すればよい、というわけではなく、スイートスポットのようなものがあるようです。1.300Vで問題ないと思いますが、メモリストレステストが上手くいかない場合は、0.020V単位でズラして、良い値を探ってみてください。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS STRIX_4000C14G1_BIOS (3)

以上のような主要項目のみのカジュアル設定を適用することで、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」はCore i9 12900KとASUS ROG STRIX Z690-A GAMING WIFI D4の環境において、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング14-15-15-35の超低レイテンシに加え、IMC周波数が1:1同期するGear1でも安定動作しました。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS STRIX_4000C14G1
ASUS製のDDR4メモリ対応Z690マザーボードでは下位モデルとなるASUS TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4でも4000MHz/CL14/Gear1が安定動作しています。BIOS設定は同じです。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS TUF_4000C14G1

MSI製DDR4メモリ対応Z690マザーボードのMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4については、同等スペックのF4-4000C14D-32GTZRにおいて一度は安定動作も確認できたのですが、自動設定のサブタイミングにランダム性があるのか、同じ設定を適用しても高頻度でPOSTエラーになり再現性が取れないという感じでした。
成功例を参考にしてセカンドタイミングを埋める程度ではダメだったので、今後のBIOSアップデートに期待したいところ。
F4-4000C14D-32GTZR_Z690_MSI_4000C14G1
F4-4000C14D-32GTZR_Z690_MSI_4000C14G1_BIOS


上記スクリーンショットの通り、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」は4000MHz/CL14/Gear1で安定動作したのですが、上記の検証において実はエアフローファンを使用して追加の冷却も行っていました。(4000MHz/CL14/Gear1の検証のみ)
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK review_01669_DxO
エアフローファンを使用せずにパッシブ冷却のままで同設定においてRAM Testによるストレステストを実行すると、20~30分程度が経過してエラーが検出される、という症状が繰り返されました。
当初、なぜエラーが出るのかわからずかなり頭を悩ませたのですが、エアフローファンを増設したことから分かるように、メモリモジュールの冷却不足が原因でした。おなじメモリ電圧1.550V設定でXMP適用時のGear2だと問題なかったので、なおさら原因が分かるまで時間がかかりました。
F4-4000C14D-32GVK_Z690_ASUS STRIX_4000C14G1_failed
ちなみにストレステスト中の温度をサーモグラフィで比較してみると、G.Skill Ripjaws Vにおいてメモリヒートシンクからはみ出しているメモリチップの温度は、エアフローファンありで47度前後、エアフローファンなしだと63度前後(エラー発生より1,2分前の撮影なのでエラー発生時はおそらく65度以上)となっています。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK_FLIR_4000-C14-G1_vs-air
またG.Skill Trident Z RGBシリーズの同等スペック品であるF4-4000C14D-32GTZRと、エアフローファンなしの状態で温度を比較すると、ヒートシンク表面温度やメモリモジュール右端の基板温度はほぼ一致しています。
G.Skill Trident Z RGB_vs_G.Skill Ripjaws V
上のような状態でもG.Skill Trident Z RGB F4-4000C14D-32GTZRだと、エアフローファンなしの状態でも4000MHz/CL14/Gear1で安定動作したので、やはりヒートシンクからはみ出しているメモリチップが冷却不足でエラーの原因になったのではないかと思います。
F4-4000C14D-32GTZR_Z690_ASUS STRIX_4000C14G1
同じメモリ電圧1.550VでもXMPプロファイル適用時の4000MHz/CL14/Gear2ならパッシブ空冷のままで問題なかったのですが、4000MHz/CL14/Gear1でメモリアクセスが低遅延になると温度の影響が出始めるようなので、G.Skill製OCメモリのうち安価なRipjaws VとTrident Zシリーズで悩んでいる人は一応注意してください。(DDR4メモリの場合、メモリ電圧1.5V以上、メモリ周波数4000MHz以上の特殊なOCメモリでない限りは問題にならないと思いますが)
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK review_01495_DxO-horz



G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVKのレビューまとめ

最後に「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 全高40mmで比較的に背が低いメモリヒートシンク
  • 簡単にメモリのオーバークロックが可能なIntel XMP 2.0に対応
  • Intel第11世代CPU環境で16GB×2枚組みが4000MHz/CL14/Gear2で正常動作
  • Intel第12世代CPU環境で16GB×2枚組みが4000MHz/CL14/Gear1で正常動作
  • 焼損・破損がなければメモリOCで故障しても無期限に新品と交換可能な保証
     (https://www.links.co.jp/support/gskill/)
悪いところor注意点
  • 上位モデルTrident Zに比べるとヒートシンクがチープ
  • 4000MHz/CL14の超タイトなOCプロファイルなので、MBによっては安定動作しない
  • ヒートシンクが簡素なので、OC設定によっては冷却不足でエラーが出ることも
  • 超高選別品なので16GB×2で6~7万円と容量単価が高い

「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」ではメーカー動作確認済みのOCプロファイルを使用することによって、Intel第11世代CPU&Z590マザーボード環境やIntel第12世代CPU&Z690マザーボード環境においてデュアルチャンネル2枚組み32GB容量で、メモリ周波数4000MHz&メモリタイミング14-15-15-35のオーバークロックがOCプロファイルによって手軽に行え、安定動作が確認できました。
さらにIMC性能が向上しているIntel第12世代CPU環境については、メモリ周波数4000MHz/CL14の超低レイテンシ設定において、IMC周波数が1:1同期するGear1も可能でした。

非常にタイトな設定なので組み合わせるマザーボードによっては安定動作しない可能性も否定できないものの、4000MHz/CL14の超低レイテンシがOCプロファイルによって1発動作するのは非常に魅力的です。

Intel第12世代CPU環境についてはDDR4メモリだけでなくDDR5メモリもサポートしていますが、DDR5メモリは規格製品が出たてということもあって5000~6000MHz/CL36程度のスペックが多く、タスクやゲームの種類によっては4000MHz/CL14という超低レイテンシなDDR4メモリが上回ることもあります。
DDR5メモリよりも入手性も良いので、Intel第12世代CPUにおいて最高クラスのパフォーマンスを追求するなら是非検討してみてください。

以上、「G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK」のレビューでした。
G.Skill Ripjaws V F4-4000C14D-32GVK


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