Intel第12世代CPUの曲がり防止、ワッシャーMODを解説


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Intel第12世代Alder Lake-S CPUのIHS(銅製ヒートスプレッダ)がLGA1700ソケットのリテンション圧で曲がるのを防止・軽減する、LGA1700ソケットの金具へのワッシャー挿入MODについて解説します。



Intel第12世代CPUのIHSはソケット圧で歪む

厚みのある銅板のIHSがCPUソケットのリテンション程度で歪むわけが……、と思っていたのですが、CPUソケットでリテンションしていない状態と、CPUソケットでリテンションした状態を比較するとIHSの歪みは一目瞭然です。
補足しておくと、CPUソケット圧で曲がるのは事実ですが、既知の影響は”CPUクーラーとの接触が緩くなる可能性”だけです。CPUやマザーボードの破損に繋がる問題という報告は今のところありません。




Intel第11世代CPUとLGA1200ソケットでも僅かに中央に凹形状になるよう歪む傾向はありますが、Intel第12世代CPUとは歪みの度合いが明らかに違います。
これだけ差があると、従来のCPUを想定したCPUクーラーベースプレートでは、中央が凸な形状であっても凹みをカバーできず、冷却性能が下がることも納得できます。



今回の記事ではワッシャー挿入MODに焦点を当てるので、CPUが曲がる件についてさらに詳しい情報が気になる人はこちらを参照してください。



ワッシャー挿入MODで曲がりを防止・軽減、さらに冷却が改善するかも

CPUソケットのリテンション圧によって、CPUヒートスプレッダがどれくらい歪むのかは各自が使用するマザーボードの個体差で程度が変わります。
またCPUクーラーのベースプレートは中央に凸な形状であるものが多いので、多少の歪みはカバーでき、その範囲内ならワッシャーを入れても効果はありません。

ワッシャーを挿入することで検証結果としてしばしば報告されるように、5度前後の温度低下があるのかはケースバイケースです。
またワッシャーの厚みを誤るとリテンションが弱まることで、LGAピンとの接触周りに予想外の不具合が出る可能性も否定できないので、ご注意を。


まず、LGA1700ソケットのCPU固定金具(ILM ; Independent Loading Mechanism)を取り外すにはT20のトルクスドライバーが必要になります。Amazon等でドライバー1本から購入できるので適当に用意してください。
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ILMを取り外すとCPUソケットのピンが剥き出しの状態になってしまいます。ピン折れによるCPUソケットの破損を防止するため、CPUを乗せた状態で作業するのがオススメです。
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ILMを取り外したら、マザーボード上の固定ネジ穴にワッシャーを乗せ、その上からILMを乗せて、ネジを締めなおしたらワッシャー挿入MODは完了です。
使用するワッシャーのサイズはM4ワッシャーです。具体的な寸法としては内径4.2mm以上、外形10.0mm以下となります。
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ちなみにワッシャー挿入MODに使用するワッシャーについてですが、マザーボード基板を傷つけない、導電性がない(絶縁性)の条件から、金属は避け、プラスチック製を選んでください。
またCPUソケット周辺は最大で100度前後に達する可能性があるので、プラスチック素材としては、”ポリカーボネート”や”POM(ポリアセタール)”がオススメです。
Amazonでも検索して見つかるナイロン素材は60度くらいしか耐熱性がないので避けてください。




ワッシャー挿入MODに使用する適切な厚みは?

Intel第12世代CPUとLGA1700ソケットでワッシャー挿入MODに使用するワッシャーの適切な厚みについて説明していきます。

まず大前提として、CPUヒートスプレッダの曲がり具合や後述するILMとの干渉は、使用するCPUやマザーボードの個体差に依存します。
一例として管理人の手持ちの機材でチェックした結果を掲載していますが、各自が使用する機材の個体差によって”適切”なワッシャーの厚みは変わる可能性があるので、後述の説明を読み、各自の環境で問題がないのかは十分に確認してください。

まずCPUソケットでリテンションを行っていない状態のCPUヒートスプレッダを確認しておくと、個体差もありますが、今回検証に使用したCPUでは、右端を見ると、僅かに中央に凸な傾向があります。(左側に傾くので右端から光が漏れる)
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このCPUを使用して、0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.3mm、1.5mmの5種類の厚みについてワッシャー挿入MODを行い、CPUソケットに固定した状態のCPUヒートスプレッダの曲がり具合を比較してみました。
今回使用したCPUとマザーボードの組み合わせでは、0.8mm厚か1.0mm厚くらいのワッシャーを使用するとIntel第11世代CPU&LGA1200と同程度の曲がり具合まで軽減されているのが分かります。
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ワッシャーの厚みを増す上で、
  1. CPUソケット固定金具とCPUクーラーベースプレートとの干渉
  2. リテンション圧の軽減によるLGAピンとの接触不良
という2点に注意する必要があります。

まず物理的な干渉についてですが、ワッシャー挿入MODを行った時に、CPUクーラーベースプレートと干渉する可能性があるのは、赤矢印で指した金具の出っ張り部分緑枠で指したCPUヒートスプレッダ周辺の金属枠の2つです。
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この2つのうち、ワッシャーの厚みを増していって先に干渉する可能性が高いのは前者、赤矢印で指した金具の出っ張り部分です。ワッシャーの厚みが0.8mm~1.0mm辺りで、この部分がCPUヒートスプレッダよりも高くなります。
ただし、金具の出っ張り部分はCPUを中心にして上下に60mm程度の幅があります。
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参考までにAsetek OEMのAIO水冷CPUクーラーは金具の出っ張り部分が先に干渉することはありません。
かなり大きいCPUクーラーベースプレートでも上下に60mmというサイズのはそうそうないので、この部分の干渉は実のところあまり気にする必要がありません。
DIY水冷用のCPU水冷ブロックや、AMD TR4を想定したベースプレートのCPUクーラーでなければ基本的に問題ないはずです。
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ワッシャーの厚みを増していった時、次に干渉するのが緑枠で指したCPUヒートスプレッダ周辺の金属枠です。
この部分がCPUヒートスプレッダよりも高くなると、基本的にほぼ全ての-50CPUクーラーでベースプレートと干渉することになるので一番注意が必要になります。
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今回、管理人が検証に使用したCPUとマザーボードの組み合わせでは、ワッシャーの厚みが1.3mmでギリギリ接するか接しないか、1.5では完全に接してしまいました。
+1.5mm vs +1.3mm

CPUとマザーボードの個体差によって最適な厚みが変わる、というのは冒頭から繰り返しですが、0.8mm~1.0mm厚のワッシャーであればILMとCPUクーラーの物理的な干渉はなく、従来CPUと同程度までCPUヒートスプレッダの曲がり具合を軽減できる、と考えていいと思います。

個体差で問題が生じる可能性に事前に対策するなら、0.5mm、0.8mm、1.0mmの3種類のワッシャーを用意しておくのがオススメです。



ワッシャー挿入MODでグラボやシステムメモリに問題は生じないのか?

Intel第12世代CPUとLGA1700ソケットでワッシャー挿入MODを行うと、当然、ILMによるリテンション圧が下がります。
そのため、”CPUソケットピンとCPU底面端子が十分に接しない”ことにより、システムメモリやグラフィックボードなどPCIE拡張ボードの動作安定性に問題が生じる可能性があります。


今回は0.8mm厚のワッシャーでワッシャー挿入MODを行い、DDR5メモリによるメモリ周波数6000MHzのメモリOCが安定動作するか、PCIE4.0x16接続のウルトラハイエンドグラフィックボードGeForce RTX 3080 Tiが安定動作するか、の2項目をチェックしてみました。
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結果として、今回検証に使用したCPUとマザーボードで0.8mm厚のワッシャーによるワッシャー挿入MODを行っても、メモリOCやグラフィックボードの動作安定性には特に問題は確認できませんでした。
個体差で問題が生じる可能性に事前に対策するなら、0.5mm、0.8mm、1.0mmの3種類のワッシャーを用意しておくのがオススメです。
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ワッシャー挿入で冷却性能を比較

【現在検証中、近日更新予定】










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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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