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Intel Arc Graphicの第1弾となるAシリーズのハイエンドモデル Arc A750を搭載したIntel純正リファレンスグラフィックボード「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」をレビューしていきます。
製品公式ページ:https://ark.intel.com/content/www/us/en/ark/products/227954/intel-arc-a750-graphics.html
Intel Arc A750 8GB Limited Edition レビュー目次
1.Intel Arc A750 8GB Limited Editionの外観
2.Intel Arc A750 8GB Limited Editionの分解
3.Intel Arc A750 8GB Limited Editionの検証機材・GPU概要
4.Intel Arc A750 8GB Limited Editionのゲーム性能
5.Intel Arc A750 8GB Limited Editionの温度・消費電力・ファンノイズ
6.Intel Arc A750 8GB Limited Editionのレビューまとめ
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの外観
早速、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を開封していきます。「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」はブラックを基調にシルバーがアクセントカラーなデザインです。
外装の黒色部分はラバー被膜のようなサラッとしたマットな表面になっており、縁にあしらわれた光沢のあるシルバーとのコントラストが綺麗です。
ちなみに「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」ではシルバーのフレームになっている部分が、同じくIntel純正の上位モデル「Intel Arc A770 16GB Limited Edition」ではARGB LEDイルミネーションに置き換わっています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」はARGB LEDイルミネーションは非搭載ですが、側面のIntel Arcロゴに白色LEDイルミネーションだけ内蔵されていました。
リファレンスモデルというとGPUリリースの最初に投入される廉価モデルというか、高性能オリファンモデルの当て馬な印象が強いですが、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」ではGPUクーラーからPCB基板までこだわり抜いた設計であることがIntel公式からもアピールされています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」の全長は270mm、従来の一般的なフルサイズグラフィックボードと同じサイズです。オリファンモデルは巨大化する傾向にあるので相対的に見て希少なコンパクトモデルです。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」は標準的な全長に加えて、PCIEブラケットからはみ出す高さ方向も+数mm以下に収まっており、PCケースサイドパネルとの干渉についても心配はありません。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」は90mmサイズファンを2基搭載する内排気クーラーが採用されています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」はTGP225Wで発熱は従来のハイエンドGPU一歩手前ですが、リファレンスモデルのPCIEスロットの占有は2スロットに収まっています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」の補助電源数はPCIE 8PIN+6PINです。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のPCIE端子と各種ビデオ出力には黒色の保護カバーが装着されています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort2.0×3の4基が実装されています。
補足すると、Arc AシリーズのXe Display EngineがネイティブサポートするのはDisplayPort2.0とHDMI2.0bです。
HDMIポートにXe Display Engineが直接接続されていて接続規格がHDMI2.0bの場合、ビデオ出力可能な解像度の上限は4K/60Hz/SDR 8bit RGBや4K/60Hz/HDR 10bit YUV422になります。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」の場合は、DP2.0 to HDMI2.1のプロトコルコンバーターを追加実装することで、HDMIポートから4K/120Hz/HDR 10bit RGBなどHDMI2.1のビデオ出力に対応しています。
Intel純正のLimited Editionはこの方法でHDMIポートがHDMI2.1に対応していますが、AIBモデル次第ではHDMIポートのサポート規格がHDMI2.1ではなくHDMI2.0bの可能性もあるので注意してください。
実際にSamsung S95Bという4K/120Hz対応HDMI2.1搭載OLEDテレビに、Cable Mattersの光ファイバー式HDMIケーブルで接続してみましたが、4K/120Hz/HDR 10bit RGBで正常に表示できました。(下のスクショはIntel Arc A770 16GB Limited Editionで検証)
上記接続で可変リフレッシュレート同期機能VRRも正常に動作しています。ちなみにIntel Arc A770/A750使用時にVRRを有効にする方法は、Windows設定でディスプレイ設定を開き、既定のグラフィック設定から可変リフレッシュレートの項目をオンにするだけです。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」にはGPUクーラーと同様にブラックを基調にシルバーがアクセントカラーな金属製バックプレートが装着されています。
基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割を果たしますが、VRM電源回路やVRAMチップとの間にはサーマルパッドが貼られていないので冷却補助の機能はありません。
グラフィックボードの重量はAMD Radeon RX 6700 XT Referenceが885g、MSI GeForce RTX 3060 Ti TWIN FAN OCが584gに対して、Intel Arc A750 8GB Limited Editionは1062gでした。
バックプレート等で基板の反りは防止されていますが、重量は1kgに迫るのでPCIEスロットへの負荷を考えるとVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの分解
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、一部を除く多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
【暇があれば更新予定】
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの検証機材・GPU概要
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 (ゲーム性能検証) |
|
OS | Windows11 Home 64bit |
CPU | Intel Core i9 13900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 7200MHz, 34-45-45-115 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
ゲームストレージ |
Samsung SSD 870 QVO 8TB (レビュー) |
電源ユニット | Corsair HX1500i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
検証機ではシステムメモリとして、Intel第13世代CPU向けメモリとしては4xメモリスロットのマザーボードでも動作可能な最速クラスの製品、メモリ周波数7200MHz/CL34の高メモリクロックかつ低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5シリーズはIntel XMP3.0のOCプロファイルに対応した製品となっており、6000MHzの定番設定なモデルもあり、Intel第13世代CPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで7200MHz OCに対応!
Intel Arc A750 8GB Limited EditionのGPU概要
「Intel Arc A750 8GB」のスペックについて簡単に確認しておきます。「Intel Arc A750」は28基のXe-Coresを搭載し、AMD/NVIDIA製GPUでシェーダー数として数えられることの多いFP32演算ユニットを3584基搭載しています。またIntel製CPUのXe内蔵グラフィックスで言うところのEU数はXMX Enginesに当たり448基です。
GPUコアクロックは2050MHz、グラフィックメモリとして最新のGDDR6メモリを8GB容量搭載しています。メモリ速度は16.0Gbps、バス幅が256-bitなのでメモリ帯域は512GB/sとなります。
グラフィックボード全体の典型的な消費電力を示すTBPは225Wで、PCIE補助電源として8PIN×1&6PIN×1以上を要求します。
今回レビューするのはリファレンスモデルの「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」なので、Intel公式のリファレンス仕様通り、コアクロックは2050MHzです。
Arc A750 8GBにおいてグラフィックボード全体の消費電力の仕様値TGPは225Wですが、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のGPUコア単体の電力制限は190Wに設定されていました。
Intel Arc GPU専用のコントロールソフトウェア Arc Control上からGPU動作設定は変更可能であり、つまりOCに対応しています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」の場合は、GPUパフォーマンスブースト(VFカーブを調整してコアクロックを引き上げるパラメータ)を定格の0から最大で100に、ターゲットGPU電圧を最大で+269mV、GPUコア電力制限を最大で228Wに変更できます。
Intel Arc AシリーズはグラフィックスエンジンXe-Core内にレイトレーシング専用実行ユニットを搭載しています。
GeForce RTX 30シリーズやRadeon RX 6000シリーズと同様に、DirectX Raytracing(DXR)などのレイトレーシング表現に対応したゲームをプレイできます。
レイトレーシング表現では、照明や光源(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射や透過も現実に即して忠実に描写されます。
レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。小さい光源や太陽光などが生み出す影、反射によって生まれる光が現実に対して忠実に再現されるので、画面の中に引き込まれるような奥行き、陰影を感じる映像が生まれます。
なお高画質機能 Raytracing(レイトレーシング)はMicrosoftが提供するAPI”DirectX 12”内包されるDirectX Raytracing(DXR)を使用したレンダリング機能となっており、後述のDLSSと違ってNVIDIA独自技術というわけではなく、AMD/Intel製グラフィックボード、PlayStation 5やXbox Series S/Xといったコンソールゲーム機にも互換性のある機能です。
下はPlayStation 5のMarvel's Spider-Man Remasteredでレイトレーシング表現のオン/オフを比較したものですが、オフでは鏡面になっている窓ガラスにスパイダーマンの身体の鏡像がないだけでなく、風景の反射も反対側と比較してデタラメなのが一目瞭然です。
加えてIntel Arc Aシリーズに実装されたAI支援ハードウェアによるIntel独自の超解像技術XeSS(Xe Super Sampling)にも対応しています。
Intel XeSS自体はネイティブでフルHD~WQHD、もしくはそれ以下の低解像度なレンダリングをWQHD~4Kの高解像度へアップスケールする機能です。
高画質アンチエイリアス技術として一般的なTAAと比較してフレームレートが大幅に向上するだけでなく、画質も改善するという一挙両得な高画質化機能になっています。
Intel Arc AシリーズGPUにおいてハイエンドモデルのIntel Arc A770でも、ネイティブレンダリングの場合レイトレーシング表現を有効にして60FPS以上をキープできるのはフルHD解像度までですが、超解像技術XeSSを組み合わせることでWQHD解像度にも対応できるようになります。
また、AI超解像というとNVIDIA DLSSやAMD FSRといった競合メーカーの技術がすでに広く認知されていますが、NVIDIA DLSSはGeForce RTXの専用ハードウェアを必須とし、一方、AMD FSRは他社製GPUでも汎用的に使用できる機能です。
Intel XeSSは専用ハードウェア(Arc GPUグラフィックスエンジンに実装されたXMXハードウェアアクセラレーション)によってより高度なアップスケールを可能としますが、最新のDP4a命令をサポートしている必要(NVIDIAではGTX10以降)はあるものの他社製GPUでも利用できるという、競合メーカーの超解像技術から良いとこ取りをしたような実装がされています。
3Dグラフィックス以外にもIntel Arc Aシリーズは大きな特徴として、内蔵ビデオプロセッサとしてXe Media Engineを搭載し、現在最も普及しているH.264、圧縮効率に優れた次世代規格として期待されているHEVCとAV1の3種類について全てハードウェアによるエンコードとデコードをサポートしています。
2023年1月現在、AV1ハードウェアエンコードはNVIDIA GeForce RTX 40やAMD Radeon RX 7000の次世代GPUもサポートしていますが、いずれも10万円を大幅に超える高価なGPUとなっており、5~6万円の価格帯で対応するIntel Arc A770/A750は貴重な存在です。
専用ソフトウェアArc Controlについて
Intel公式ページで配布されている「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」などに対応するArc GPU用ドライバには、GPU動作設定やゲーム画面の録画・配信が可能な専用コントロールソフトウェア Arc Controlが含まれています。NVIDIA GeForceとAMD RadeonではWindowsデスクトップのウィンドウアプリとオーバーレイアプリが混在していますが、Intel ArcのArc Controlはオーバーレイアプリに統一されています。
Arc Controlを開くとXboxゲームバーのように通常画面が少し暗転して、Arc Controlの設定UIがその上に表示されます。
Arc Controlはすでに日本語ローカライズもしっかりしているので、UI操作で困ることはないと思います。
パフォーマンスタブではGPU温度などモニタリング情報のオーバーレイ、GPU動作設定の変更(オーバークロック)の設定が可能です。
スタジオタブでは、ブロードキャストからTwitchやYoutubeへ直接ライブストリーミングが可能であり、キャプチャーならPCストレージへプレイ動画を保存できます。いずれもGPUのハードウェアエンコーダを使用するので、NVIDIA ShadowPlayやAMD Radeon ReLiveのように軽量動作となっておりゲームプレイへの影響は最小限です。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionのゲーム性能
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「Intel Arc A770 16GB」、「Radeon RX 6600 XT」、「GeForce RTX 3060 Ti」、「GeForce RTX 3060 12GB」を使用しています。(特定のモデルや型番を指名していない場合、各GPUメーカーのリファレンスモデルもしくはリファレンス仕様のオリファンモデルです)
Intel Arc A770/A750のゲーム性能の検証には2023年1月3日公開の最新ドライバ ver31.0.101.4032を使用しています。
Intel Arc AシリーズはArcに新生したIntel製GPUとしては初のコンシューマー向けグラフィックボードとなっており、2022年後半の発売直後はドライバ周りの動作不安定も報告されていました。
当サイトの検証では、今回ベンチマーク測定を行った限りにおいて、ゲームタイトル毎に最適化不足が確認できるケースこそあれ、短時間のベンチマーク測定程度でゲームやOSがクラッシュするような不具合はありませんでした。
ただしリリースノートから既知の不具合として特定のゲームタイトルで描画の破綻やアプリのクラッシュも報告されているので、そちらも確認してみてください。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク FireStrikeによる比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
Arc A750 8GB Intel LE |
30992 | 14307 | 6395 |
Arc A770 16GB Intel LE |
33970 | 15461 | 6966 |
RX 6600 XT |
27701 | 12911 | 6375 |
RTX 3060 Ti |
29656 | 14322 | 7151 |
RTX 3060 12GB | 21845 | 10269 | 4929 |
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで最新タイトルでは採用が増えつつあるDirectX12ベンチマーク TimeSpy、およびレイトレーシング表現に対応したベンチマーク Port Royalによる性能比較となります。
TimeSpy | Extreme | Port Royal |
|
Arc A750 8GB Intel LE |
12680 | 6150 | 6695 |
Arc A770 16GB Intel LE |
13395 | 6447 | 7045 |
RX 6600 XT |
9495 | 4331 | 4456 |
RTX 3060 Ti | 11518 | 5561 | 6920 |
RTX 3060 12GB |
8539 | 4024 | 5044 |
続いて近年の最新PCゲームを実際に用いたベンチマーク比較になります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)の2種類の解像度で平均FPSを比較しました。
最新タイトルでは専用ハードウェアによるレイトレーシング表現や、NVIDIA DLSS/AMD FSR/Intel XeSSといったAIを活用した超解像・倍速補間に対応したものも増えていますが、それらの機能は無効化し、ここでは従来のラスタライズ方式の3Dグラフィックス性能を比較しています。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、『Assassin's Creed Valhara』、『Battlefield V』、『CONTROL』、『Cyberpunk 2077』、『DEATH STRANDING』、『Far Cry 6』、『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』、『Forza Horizon 5』、『God of War』、『Marvel's Guardians of the Galaxy』、『MONSTER HUNTER: WORLD』、『Shadow of the Tomb Raider』、『Tales of Arise』、『UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection』、『Watch Dogs Legion』、以上の15タイトルです。
Assassin's Creed Valhara(最高設定プリセット)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Intel Arc A750 8GBは最高設定プリセットではVRAM容量がボトルネックになるので、WQHD解像度において高+設定プリセットも検証しています。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Intel Arc A770/A750でも60FPS以上のフレームレートは出ていますが、Battlefield Vに対してドライバ最適化が不足しているようで、最高設定プリセットや高設定プリセットを試したものの、スタッターが頻発しました。今回検証した中では、特に快適なプレイが難しいと感じたタイトルの1つです。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Cyberpunk 2077(ウルトラ設定プリセット, FSR:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 6(最高設定プリセット, 高解像度テクスチャ:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE(テクスチャ解像度:高設定、シャドウ解像度:高設定、キャラクター表示数:10)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADEは、標準では最大フレームレートが120FPSですが、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのFFVIIHookを使用して『フレームレート制限なし』、『可変レンダリング解像度:オフ』、『モーションブラー:オフ』の設定を適用しています。加えてNVIDIAコントロールパネルから垂直同期を無効化しています。
Forza Horizon 5(エクストリーム設定プリセット, モーションブラー:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Intel Arc A750 8GBはエクストリーム設定プリセットではVRAM容量がボトルネックになるので、WQHD解像度において最高設定プリセットも検証しています。
God of War(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel's Guardians of the Galaxy(ウルトラ設定プリセット, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Marvel's Guardians of the Galaxyはゲームプレイ時の最大フレームレートは144FPSですが、ゲーム内ベンチマーク機能は144FPS以上で計測できるので、その結果を使用しています。
Intel Arc A770/A750はMarvel's Guardians of the Galaxyに対して最適化が不足しているようで、さらに中設定プリセットまで下げても、VRAM使用量が9GBを超えてしまいます。
中設定プリセットでもそうなので当然ですが、Intel Arc A750 8GBはウルトラ設定プリセットと高設定プリセットの両方でVRAM容量がボトルネックになり性能が落ち込みます。
Battlefield Vの時ほどではないものの、Marvel's Guardians of the Galaxyにおいて、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」だけでなく、VRAM容量が16GBで十分に足りているIntel Arc A770でもRTX 3060と比較してフレームレートが安定せず、スタッターが生じています。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高画質設定プリセット, DirectX12, TAA, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Tales of Arise(最高設定, モーションブラー:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Tales of Ariseは、標準ではPlayStation 5やXbox Series Xのコンソールゲーム機版よりもオブジェクトや影の遠景描画が省略されているので、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのArise-SDKを使用して高画質化する設定を適用しています。
UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Watch Dogs Legion(最大設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionなど5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、Intel Arc A750 8GB Limited Editionは、現在ミドルクラスGPUとして国内外で主流なGeForce RTX 3060と比較して、フルHDは若干下回るものの、WQHDでは同等の性能を発揮しました。
やはり120FPS程度でもフルHD解像度のハイフレームレートで性能が伸びない辺り、ドライバに最適化や完成度の不足を感じます。
ゲームタイトル毎に得手不得手はあるので抜粋するタイトル次第なところもあるものの、『120FPS+のハイフレームレートは弱いが60FPSに近づくWQHDなら同等』というのがRTX 3060と比較した場合のIntel Arc A750 8GBの性能と言っていい結果だと思います。
今回検証した15タイトルにおいてドライバ ver31.0.101.4032で、明らかにプレイに支障がありそうなのはBattlefield V、スタッターが若干怪しいMarvel's Guardians of the Galaxyという2タイトルはあったものの、ミドルクラスのゲーミングGPUとして通用する実用性は確認できました。
明らかに支障があるという程ではないものの、VRAM容量の使い方が悪く、同じ8GB容量のRTX 3060 Tiは問題ないのに、Arc A750 8GBはArc A770 16GBに対して性能を落とすケースもありました。
Marvel's Guardians of the Galaxyはグラフィック設定を下げてもダメな例ですが、Forza Horizon 5やWatch Dogs LegionはGPU性能は十分なのにVRAM使用量の超過で性能を落としてしまう例です。
普通、フルHDやWQHDならVRAM容量が8GBもあれば十分なのですが、Arc A770/A750はドライバ最適化の影響を受ける可能性が高いので、どちらにしようか悩んでいるなら16GB容量のArc A770を選ぶのが無難です。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの温度・消費電力・ファンノイズ
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy(Extreme) Stress Testを使用しています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のテスト終盤におけるGPU温度は最大72度、ファン速度も最大1800RPMとなりました。ミドルクラスのグラフィックボードとしては標準的です。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しているものの、アイドルでも発熱が大きいからか、一度始動してしまうとPC起動中は10分、20分程度では再度ファンが停止することはありませんでした。
モニタリング可能だったので参考までにVRAM温度の推移グラフです。
GPUコアクロックについて、今回入手した「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」の負荷テスト中の実動平均は2387MHzでした。
【補足】
コアクロック比較グラフはAIBモデル別の優劣を決めるための比較ではなく、特定のGPUがだいたいどの程度のコアクロックで動作するのか確認するために掲載しています。
AMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが最も支配的なファクターです。加えて負荷中のGPU温度も5~10度刻みでブーストクロックの制御に影響します。
そのため、ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックは各メーカー内におけるOC耐性選別という意味で1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣にはあまり当てになりません。
今回検証している個体Aが他社AIBと比較して実動コアクロックが低くても、市場製品の個体Bは高い、個体Cは同程度…のように、本当に御神籤状態です。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」は、ベンチ板上の負荷テストにおいてファン速度が1800RPMと比較的に高速ですが、ファン径は90mmと小さいのでノイズレベル35dB以下に収まっており、PCケースに組み込んでしまえば気にならないレベルです。
PCケース内で冷却効率が落ちて2000RPM程度になったとしてもノイズレベルは36dB程度なので、実用的にファンノイズが煩く感じない程度の十分な静音性を実現していると思います。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
グラフィックボードの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。GPU Power TesterはPCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しているので、シンプルにグラフィックボードそのものの消費電力をしることができます。
消費電力の測定にあたって検証するGPUランクによって負荷を変えており、通常はTime Spy(Extreme) グラフィックテスト1、一部のウルトラハイエンドGPUにはPort Royal 4K(GPU名に*マークを併記)をループ再生させ、各GPUがMaxTGPに張り付く状態を検証しています。
テスト全体から1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。
Intel Arc A750 8GB Limited Editionの消費電力は225W、最大瞬間負荷は263Wでした。Intel Arc A750 8GB Limited Editionの公式仕様においてTGPは225Wに設定されているので、それに準拠した消費電力になっています。
GPUクーラーの静音性は十分なのでデスクトップ向けグラフィックボードとして問題があるわけではないものの、やはりGeForce RTX 3060/TiやRadeon RX 6600 XTといったミドルクラスの競合GPUと比較すると消費電力が大きく、ワットパフォーマンスには劣ります。
Intel Arc A750 8GB Limited Edition レビューまとめ
最後に「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Intel Arc AシリーズGPUの中では上位のハイエンドモデル
- フルHD~WQHDのPCゲーミングに対応可能、現行世代では相対的にミドルクラス相当のGPU
- RTX 3060 12GBと比較してWQHDでは同等の性能、フルHDでは若干下回る(タイトル次第)
- AI超解像XeSSにより4K解像度やレイトレ&WQHD改造に対応
- 高圧縮かつ高画質な次世代コーデックAV1のハードウェアエンコードに対応
- 黒色ベースのシンプルデザインなGPUクーラー
- 2スロット占有、長さ270mmでフルサイズグラボの標準サイズ
- TGP225WのArc A750をノイズレベル35dB以下で十分冷やせるGPUクーラー
- Intel純正モデルで3年間の長期保証
- 2023年1月現在、国内販売価格は税込み4.8万円程度
- NVIDIA/AMDと比較してドライバの不具合や最適化不足が目立つ
NVIDIA/AMDなら問題ないシーンで、8GB容量あってもVRAM不足になることがある - 同等性能のAMD/NVIDIA製GPUと比較して消費電力が大きい
- Arc Controlにファン制御機能がない
Intel Arc A750 8GBは、現在ミドルクラスGPUとして国内外で主流なGeForce RTX 3060と比較して、フルHD解像度では若干下回るものの、WQHD解像度では同等という性能を実現しています。フルHD~WQHDの解像度で近年の最新PCゲームをプレイするには十分なGPU性能です。
120FPS程度でもフルHD解像度のハイフレームレートで性能が伸びない辺り、ドライバに最適化や完成度の不足を感じます。また今回検証した15タイトル中ではプレイに支障がありそうなものも2つありましたが、一応、ミドルクラスのゲーミングGPUとして通用する実用性は確認できました。
今後登場が期待されるBシリーズ、Cシリーズと世代を重ねれば、AMD/NVIDIAの競合製品として安定性の面でも対抗できそうなポテンシャルは十分に感じます。
ゲーミングPC初心者には実績と安定性を兼ね備えたRTX 3060/TiやRX 6600 XTが推奨ですが、Intel Arc A750はAV1エンコード対応といった独自の魅力もあるGPUなので、サブマシン等で挑戦してみる分には面白い製品だと思います。
なおA770とA750のGPU性能の差そのものは10%未満ですが、ドライバ最適化不足の影響で8GB容量あってもVRAM超過による性能低下が発生することがあります。A770とA750のどちらにするか迷っているなら+1万円ですがVRAM容量16GBのA770が推奨です
3Dグラフィックス以外にもIntel Arc Aシリーズは大きな特徴として、内蔵ビデオプロセッサとしてXe Media Engineを搭載し、高画質かつ高圧縮な次世代コーデックAV1のハードウェアによるエンコードとデコードをサポートしています。
2023年1月現在、AV1ハードウェアエンコードはNVIDIA GeForce RTX 40やAMD Radeon RX 7000の次世代GPUもサポートしていますが、いずれも10万円を大幅に超える高価なGPUとなっており、5~6万円の価格帯でAV1エンコードに対応するIntel Arc A770/A750は貴重な存在です。
「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のGPUクーラーについては、TGP225WのArc A750にフル負荷をかけ続けても、GPU温度は70度前半に収まり、なおかつ同測定環境においてノイズレベル35dB以下という優秀な静音性を発揮しました。
NVIDIA GeForce RTX 3060/TiやAMD Radeon RX 6600 XTといったグラフィック性能で競合する製品と比較して消費電力が大きいのは弱点ですが、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のGPUクーラーなら静音性については心配ありません。
以上、「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」のレビューでした。
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Intel Arc A750の純正グラフィックボード「Intel Arc A750 8GB Limited Edition」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) January 31, 2023
ミドルクラスGPUとして通用するのか、RTX 3060、RTX 3060 Ti、RX 6600 XTと実ゲームベンチマークで徹底比較https://t.co/7PUhAab00p pic.twitter.com/XhbQiXjQaa
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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