Intel Core i5 13400


スポンサードリンク




Intel第13世代Raptor Lake-Sシリーズから10コア16スレッドのミドルクラスCPU「Intel Core i5 13400」をレビューします。
TDP65W版Core i5でもついにIntel Hybrid Computing Architectureを導入した「Intel Core i5 13400」が、前世代同クラスのCore i5 12400、競合製品のRyzen 5 7600Xと比較して、クリエイティブタスクやPCゲーミングにおいてどれくらい性能を発揮するのか、各種ベンチマーク比較によって徹底検証していきます。
DSC03548_DxO

製品公式ページ:https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/sku/230495/intel-core-i513400-processor-20m-cache-up-to-4-60-ghz/specifications.html





Intel Core i5 13400 レビュー目次


1.Intel Core i5 13400の外観・付属品・概要
2.Intel Core i5 13400の検証機材・動作設定


3.Intel Core i5 13400の動作クロック・消費電力・温度

4.Intel Core i5 13400の基礎ベンチマーク

5.Intel Core i5 13400のクリエイティブ性能
  ・3Dレンダリング性能
  ・動画編集・エンコード性能
  ・RAW現像・写真リタッチ性能
  ・PCゲーム/スマホアプリのビルド性能
  ・AIアップスケール・自動分類性能

6.Intel Core i5 13400のゲーミング性能
  ・4K解像度/60FPSターゲット
  ・フルHD解像度/ハイフレームレート

7.CPUエンコーダとリアルタイム配信について

8.Intel Core i5 13400のレビューまとめ
  ・温度・消費電力について
  ・クリエイティブ性能について
  ・ゲーム性能について
  ・総評



*記事執筆当時、1月下旬の販売価格で評価しています。(Amazon、TSUKUMO、ドスパラ、PCショップアーク、パソコン工房、ソフマップ、ビックカメラを参照)
2022年12月から2023年1月にかけてAMD Ryzen 7000はIntel第13世代K付きモデルの価格に合わせて大きく値下げが行われており、Intelのほうも値下がり傾向です。かと思いきやIntel第13世代の65W版は発売済みのK付きモデルよりも高かったりして(Core i9/i7は即座にK付きに合わせた価格になったものの)、CPUの価格はかなり流動的です。
記事を読む時期によっては、価格評価が現在の市場価格と一致しないこともあるのでご注意ください。




【機材協力:Intel】



Intel Core i5 13400の外観・付属品・概要

「Intel Core i5 13400」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。またこの章では「Intel Core i5 13400」の仕様等について簡単に触れておきたい概要もあれば紹介します。
「Intel Core i5 13400」の製品パッケージは第12世代から配色が少し変わっていますが、イラストデザインはほぼ同じです。
DSC03567_DxO
DSC03566_DxO
「Intel Core i5 13400」にはCPUクーラーが付属するので、比較しているCore i5 13600Kのパッケージより奥行きがあります。
DSC03547_DxO
DSC03572_DxO

パッケージのチェックはこの辺りにして、肝心の「Intel Core i5 13400」のCPU本体を見ていきます。
「Intel Core i5 13400」など第13世代CPUは第12世代CPUと同じくLGA1700ソケットのCPUなので、LGA1200/115X以前の正方形から、CPU形状は縦長の長方形に変わっています。
DSC03609_DxO
DSC03613_DxO

Intel第13世代CPUのTDP65W以下のモデルについては、Intel純正CPUクーラーが標準で付属します。
Core i9シリーズにはコントロール可能なARGB LEDイルミネーションを搭載し、巨大な銅柱を内蔵した高冷却性能モデル「Laminar RH1 Cooler」、Core i7~Core i3には標準サイズの「Laminar RM1 Cooler」、Pentium/Celeronにはロープロファイルな「Laminar RS1 Cooler」が付属します。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_inbox-cooler

「Intel Core i5 13400」に付属するCPUクーラーはTDP65Wに対応したLaminar RM1 Coolerです。
Laminar RM1 Coolerの全高は47mm、トップフロー型で天面に90mm径の冷却ファンが設置されています。冷却ファンは定格(最大)3150RPM、PWM速度調整に対応しており600~3150RPMの範囲内で制御が可能です。
CPUクーラーの固定はツールレスなロックピン構造です。装着時は本当にツールレスですが、取り外しのロック解除にマイナスドライバー(5mm以上の幅があるといい)が必要です。
DSC03130_DxO
DSC03131_DxO
DSC03137_DxO
第12世代Pentium G7400など下位モデルに付属するLaminar RS1 Coolerはヒートシンク全体がアルミニウム製であるのに対して、Laminar RM1 Coolerは中央に銅製コアが埋め込まれています。外径寸法やファン仕様は共通です。
DSC03133_DxO
DSC03136_DxO


パッケージや外観の話はこの辺りにして、続いて「Intel Core i5 13400」のスペックについて見ていきます。
「Intel Core i5 13400」は、6コア12スレッドの高性能P-Coreと4コア4スレッドの高効率E-Coreを組み合わせた10コア16スレッド(6C/12T+4C4T)のCPUです。
P-Coreの単コア最大ブーストクロックは4.6GHz、全コア最大ブーストクロックは4.1GHzとなっています。CPU消費電力の指標となるProcessor Base Powerは65W、Maximum Turbo Powerは148Wです。

第12世代の同クラスCore i5 12400はP-Coreのみで構成される単純な6コア12スレッドCPUでしたが、「Intel Core i5 13400」は上位モデル同様に、P-CoreとE-Coreの2種類の混成でCPUを構成するIntel Hybrid Computing Architectureが採用されています。
Intel 12th-Gen AlderLake-S_Intel Hybrid Computing Architecture

なお「Intel Core i5 13400」は、定格メモリ速度やキャッシュ容量といったスペックを見比べて分かるように、第12世代CoreのK付きモデルと同じCPUダイが使用されています。
第13世代Core i9/i7やCore i5 13600Kに使用されているRaptor CoveアーキテクチャのP-Core、改良型GracemontアーキテクチャのE-Coreなどで構成された最新のCPUダイではありません。
TDP65WモデルでもCore i9/i7はK付きモデルと同じく最新CPUダイですが、Core i5は型番こそ第13世代となっているものの、実際は第12世代K付きモデルと同じCPUダイを使用し、コアスレッド構成や定格コアクロックを調整した第12世代リフレッシュなCPUとなっています。
Intel 13th-Gen RapterLake-S_Lineup_65W

今回レビューする「Intel Core i5 13400」など通常モデルと、Core i5 13400Fなど末尾に”F”付きモデルとの違いはCPU内蔵グラフィックスを使用できるかどうかだけです。
グラフィックボードを組み合わせるのであればCore i5 13400Fなど数千円程度ですが安価な”F”付きCPUで問題ありません。
DSC03118_DxOs

「Intel Core i5 13400」を、上位モデルのCore i5 13600K、前世代のIntel Core i5 12600KやCore i5 12400と比較すると次のようになっています。
Intel Core i5 13400 スペック簡易比較

Core i5 13600K
Core i5 13400 Core i5 12600K Core i5 12400
コアスレッド 14コア
20スレッド
10コア
16スレッド
10コア
16スレッド
6コア
12スレッド
P-Core
6C12T
(Raptor Cove)
6C12T
(Golden Cove)
6C12T
(Golden Cove)
6C12T
(Golden Cove)
E-Core 8C8T
(Gracemont v2)
4C4T
(Gracemont v1)
4C4T
(Gracemont v1)
-
ベースクロック
P-Core (E-Core)
3.5GHz
(2.6GHz)
2.5GHz
(1.8GHz)
3.7GHz
(2.8GHz)
2.5GHz
全コア最大
P-Core (E-Core)
5.1GHz
(3.9GHz)
4.1GHz
(3.3GHz)
4.5GHz
(3.7GHz)
4.0GHz
単コア最大
P-Core (E-Core)
5.1GHz
(3.9GHz)
4.6GHz
(3.3GHz)
4.9GHz
(3.7GHz)
4.4GHz
オーバークロック
O メモリのみ対応 O メモリのみ対応
L2/L3 キャッシュ 20MB / 24MB
9.5MB / 20MB 9.5MB / 20MB 7.5MB / 18MB
PBP (TDP) 125W 65W 125W 65W
MTP (max PPT) 181W 148W 150W 117W
CPUクーラー X O X O
iGPU
O
対応メモリ
DDR5
DDR4
(MBに依存)
メモリ ch / pcs
2 / 4
定格メモリ速度
DDR5-5600
DDR4-3200
DDR5-4800
DDR4-3200
CPU直結PCIEレーン
PCIE5.0x16
+ PCIE4.0x4

おおよその国内価格
2023年1月
(北米希望小売価格)
4.8万円
(319ドル)
3.4万円
(221ドル)
3.9万円
(289ドル)
2.8万円
(192ドル)
iGPU非搭載モデル
の価格
4.4万円
(294ドル)
2.9万円
(196ドル)
3.7万円
(264ドル)
2.5万円
(167ドル)


Intel第13世代Raptor Lake-Sプラットフォームの特長として、前世代とおなじく従来のDDR4メモリを引き続きサポートしています。
DDR5メモリも入手性が上がっているので性能的にはDDR5メモリで組むのがオススメですが、競合のRyzen 7000はAM5マザーボードでDDR4をサポートしないので、既存のメモリを使ってCPU&MBだけ更新したい人には魅力です。

Intel第13世代Core-Sでは組み合わせて使用するマザーボードによってサポートされるメモリ規格が変わるので注意が必要です。
ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIの主要4社の製品を見たところ、ハイエンドからアッパーミドルまでの上位製品は基本的にDDR5対応となっています。ミドルクラス以下ではDDR5対応とDDR4が混在し、メーカー毎にラインナップ展開が異なります。
ASUS製Z690マザーボードを例に挙げるとDDR5対応の「ASUS PRIME Z790-P」とDDR4対応の「ASUS PRIME Z790-P D4」のようにほぼ似た名前、対応メモリ以外の仕様もほぼ同じ、といった製品もあるので使用するメモリに合わせて購入するマザーボードには注意してください。(各社表記なしはDDR5対応、DDR4対応の場合は”DDR4”や”D4”の表記が末尾に付くことが多いようです)
ASUS PRIME Z790-P_and_D4

チップセットについてはZ690/B660などIntel 600シリーズチップセットが引き続きIntel第13世代Raptor Lake-SシリーズCPUをサポートしますが(対応BIOSにアップデートが必要)、新たにZ790/B760などIntel 700シリーズチップセットが登場しています。
Z790はZ690と比較して、チップセット経由のPCIEレーン総数は28レーンで共通ですが、PCIE4.0対応PCEIレーン数が12レーンから20レーンに増えています。(代わりにPCIE3.0対応は16から8へ削減)
またマザーボードに実装可能なUSB3.2 Gen2x2(20Gbps)の総数が4基から5基へ増えています。
Intel 13th-Gen RaptorLake-S_Platform
Intel Z790 Chipset_vs-Z690
またIntel 700シリーズチップセット搭載マザーボードのうち、コアクロックのOCに対応しているのは最上位のZ790だけです。
下位チップセットでは定格のBy Core Usage倍率を上回るような動作倍率設定(OC設定)を行うことはできません。
一方で、動作倍率の引き下げによる省電力化は可能ですし、定格動作倍率の中でも動作電圧のマイナスオフセットによる省電力化、一定電力制限内での性能向上を狙うことは可能です。
省電力運用ならH770やB760の下位チップセット搭載マザーボードでも十分と言えばあながち間違いでもありませんが、V-Fカーブ調整に対応するのはZ790/Z690だけ(K付きCPUと組み合わせで)なので実のところ省電力運用においても上位互換です。
Mini-ITX環境はI/O数的に下位チップセットで十分かと思いきや、省電力運用や冷却リソースが限られた中での性能追求ならZ790かZ690がベストな選択肢になり得ます。
Intel Z790 Series_OC-Feacature

なお「Intel Core i5 13400」など非K付きのTDP65Wモデルは、各種700/600シリーズマザーボードと組み合わせてメモリOCに対応しているものの、メモリOCの安定性に影響のあるVCCSA電圧(CPU System Agent)は調整できません。
マザーボードBIOSによってはK付きCPU使用時と同様に設定値そのものは表示されますが、オーバーライドやオフセットで調整しても設定値は反映されません。
Core 13th_Non-K_Mem-OC_BIOS_SOC-V
下はCore i5 13500で検証した結果です。マザーボードにASUS ROG MAXIMUS Z790 HEROを組み合わせた場合、やはりVCCSAは調整できませんでしたが、G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)の6000MHz/CL30、Kingston FURY Renegade DDR5 RGB(型番:KF564C32RSAK2-32)の6000MHz/CL32といったOCプロファイル適用によるメモリOCは安定動作しました。
VCCSA電圧が調整できなくても、現在、ハイパフォーマンスDDR5メモリとして定番の6000MHz/CL30~CL36のメモリOCは動作すると思いますが、一部のマザーボードではVCCSAを昇圧できないと6000MHz以上のメモリOCが安定しない可能性もあります。
ハイフレームレートなPCゲーミングでは性能への影響も大きいので、メモリOCで万全を期すならK付きモデルを選んだ方がいいかもしれません。
Intel Core i5 13400_mem-OC_GTZ_6000C30 (1)
Intel Core i5 13400_mem-OC_GTZ_6000C30 (2)
Intel Core i5 13400_mem-OC_KFR_6000C32 (1)
Intel Core i5 13400_mem-OC_KFR_6000C32 (2)



Intel Core i5 13400の検証機材・動作設定

以下、「Intel Core i5 13400」の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。
Intel LGA1700(Z790)環境 テストベンチ機の構成
CPU 【Intel第13世代CPU】
Intel Core i9-13900K (レビュー
Intel Core i9-13900 (レビュー
Intel Core i7-13700K (レビュー
Intel Core i7-13700 (レビュー
Intel Core i5-13600K (レビュー
Intel Core i5-13500 (レビュー
Intel Core i5-13400 (レビュー
マザーボード ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO
レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N (レビュー
DDR5 16GB*2=32GB
6000MHz, CL30-38-38-96
メインメモリ
ゲーム性能の追加検証
G.Skill Trident Z5 RGB
F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK (レビュー
DDR5 16GB*2=32GB
7200MHz, CL34-45-45-115
ビデオカード(共通) PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8
Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN
レビュー
システムストレージ(共通) Samsung SSD 980 PRO 500GB
レビュー
OS(共通) Windows 11 Home 64bit
電源ユニット(共通) Corsair HX1500i 2022 (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

DSC02602_DxO

比較に使用しているその他のテストシステムについてはこちらを参照してください。



Intel Core i9 13900KなどIntel第13/12世代CPUを検証するIntel LGA1700(Z790)環境では、検証機材マザーボードとして「ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO」を使用しています。


ASUS製マザーボードの場合、BIOS設定のASUS Multicore Enhancementを”Disabled - Enforce All limits”にすれば、Intel公式仕様通りの電力制限が適用されます。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO_BIOS_Multicore Enhancement

なおIntel第13世代Raptor Lake-Sシリーズについて、長時間電力制限PL1、短時間電力制限PL2、短期間電力制限時間TauのIntel公式仕様は下のテーブルの通りです。
通常はPL1=PBP(Processor Base Power)ですが、倍率アンロックのK付きCPUについては、PL1=PL2=MTP(Maximum Turbo Power)が公式仕様となります。
Intel第13世代CPUの電力制限仕様値

PBP PL1 PL2 Tau
Core i9
(8C16T+16C16T)
125W 253W 253W (56s)
65W 65W 219W 28s
35W 35W 106W 28s
Core i7
(8C16T+8C8T)
125W 253W 253W (56s)
65W 65W 219W
28s
35W 35W 106W 28s
Core i5
(6C12T+8C8T)
(6C12T)
125W 181W 181W (56s)
65W
65W 148~154W 28s
35W
35W 82~92W 28s
Core i3
(4C8T)
65W 58~60W 89W 28s
35W
35W 69W 28s


電力制限以外にもCPU動作に大きく影響する項目についてまとめました。
Turbo Boost Max 3.0はアクティブなタスクに対して単コア最大動作倍率など最も高速に動作している(電圧特性に優れた)コアを割り当てる機能です。
Thermal Velocity Boostは閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能と説明されていますが、機能の実装としてはBy Core Usage倍率に対してTVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値(一般に70度)以上の時に動作倍率を-1倍に、正確にはCPU毎に設定された倍率に引き下げるという形になっています。
AVX Voltage Guardband ScaleはAVX2やAVX512を実行時のコア電圧を調整する機能です。0~255の整数値で設定し、定格設定は128です。128以下では低電圧化、128以上では高電圧化します。(マザーボードに依っては1.00を基準に0.01~1.99で設定)
低電圧化というよりもAVX実行時の電力制限(AVX限定のPL1)に近い動作なので、Scale=1でもクラッシュすることはありませんが、性能は低下するものと思われます。

Turbo Boost Max 3.0は多くの600シリーズマザーボードで基本的に有効になっています。Thermal Velocity Boostは600シリーズマザーボードでも機能強化版が実装されていますが標準ではオフになっています。マザーボードによっては電力保護や省電力化の一環で同機能を使用した電力制限が設けられていることがあります。
さらに備考として、Z690マザーボードの中にはCPU個体毎のV-Fカーブ(Adaptive Mode)にマイナスオフセットを適用する低電圧化や、CPU Package Powerのモニタリング値にマイナスオフセットを適用してブーストを引き上げるチューニングが標準が施されているものがあります。

検証機材として採用しているASUS ROG MAXIMUS Z790 HEROに関しては、ASUS Multicore Enhancementを”Disabled - Enforce All limits”にすれば、おおむねIntel公式仕様通りの電力制限が適用されます。
Thermal Velocity BoostのみMCE:Disabledでも無効のままでしたが、Boostの名前に反して、実際はBy Core Usage倍率に対して温度制限をかける機能なので、あまり検証には影響しません。
ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO(BIOS:0703)
Core i9 13900K 動作設定(MCE:Disabled)

標準設定 定格
単コア最大倍率 P/E
58/ 43
58/ 43
全コア最大倍率 P/E
55/ 43
55/ 43
Turbo Boost Max 3.0 On On
TVB Ratio Clipping Off On
PL1, PL2, Tau 253W, 253W, 56s
253W, 253W, 56s
AVX2 Offset 0 0
AVX2 Voltage Guardband 128 (1.00)
128 (1.00)
備考
-


ディスクリートGPU、グラフィックボードがゲーミング性能において重要なのは言うまでもありませんが、近年ではクリエイティブタスクでもGPU支援による性能向上が主流になっているので、CPU性能比較の統一検証機材として、2022年最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。
GPU for CPU Test

PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN

Intel第13世代CPUの検証機ではシステムメモリとして、高級感のあるヒートシンクでデザイン面でも優れ、16GB×2枚組み32GBの大容量でメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoはAMD EXPO対応メモリですが、Intel製CPUでも正常動作が期待できます。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
G.Skill Trident Z5 Neo

またG.SkillからはIntel XMP3.0対応DDR5メモリとしてG.Skill Trident Z5無印やARGB LEDイルミネーションを搭載したG.Skill Trident Z5 RGBも発売されており、互換性をより重視するなら、こちらもオススメです。
Core i9 13900Kなど一部の第13世代CPUについてはメモリ周波数7200MHz/CL34の高メモリクロックかつ低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK)」を使用したゲーム性能も検証しています。
「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで7200MHz OCに対応!
G.Skill Trident Z5 RGB Black

ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。
Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
Noctua NF-A12x25シリーズのレビュー記事一覧へ
Noctua NF-A12x25 PWM chromax.black.swap


CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。


グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_apprication

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。




Intel Core i5 13400の動作クロック・消費電力・温度

「Intel Core i5 13400」に関する検証のはじめに、「Intel Core i5 13400」の動作クロック、消費電力、温度など同CPUの基本的な動作についてチェックしていきます。

「Intel Core i5 13400」は、6コア12スレッドの高性能P-Coreと4コア4スレッドの高効率E-Coreで構成された10コア16スレッドのCPUです。
前世代ではCore i5のTDP65WモデルはいずれもE-Coreなしでシンプルに6コア12スレッドでしたが、「Intel Core i5 13400」はCore i5 12600Kと同じコアスレッド構成になっています。
Intel Core i5 13400_CPU-Z
「Intel Core i5 13400」の高性能P-Coreは6コア12スレッドのCPUであり、定格動作において1コア~6コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率は最大コア数から順番に[46, 46, 45, 45, 41, 41]です。P-Coreでは全6コアへ同時に負荷がかかっても最大で4.1GHz動作が可能となっています。
一方、高効率E-Coreは4コア4スレッドのCPUであり、定格動作において1コア~4コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率は一律に33倍です。E-Coreでは全4コアへ同時に負荷がかかっても最大で3.3GHz動作が可能となっています。
Intel Core i5 13400_XTU

参考までに、「Intel Core i5 13400」のコアtoコア遅延は次のようになっています。
P-Core同士の遅延は30ns程度、E-Core同士の遅延は50~60ns程度、P-Core/E-Core間の遅延は35~40ns程度です。P-CoreとE-Coreの別種コア間で遅延が増す傾向はなく、単純にコアの速さで遅延が決まっていると見ていいと思います。
Intel Core i5 13400_latency-heatmap

HWiNFOから「Intel Core i5 13400」のコアクロックの挙動を確認したところ、確かに負荷の軽い場面では最大4.6GHz程度で動作するコアがありました。
Intel Core i5 13400_Boost-Clock_Single
また全コア最大動作倍率は特にゲーム性能で重要になりますが、今回レビューしている「Intel Core i5 13400」はBy Core Usage最大動作倍率の通り、ゲームのような負荷の軽いシーンであればP-Core All:4.1GHz、E-Core All:3.3GHzで動作可能でした。
Intel Core i5 13400_Clock_game

Intel第13世代Core-S CPUの製品仕様では、Processor Base Power(従来で言うところのTDP)が長期間電力制限/Power Limit 1(PL1)に、Maximum Turbo Powerが短期間電力制限/Power Limit 2(PL2)に一致します。ただし、倍率アンロックのK付きCPUは特例的に”PL1=PL2=MTP”です。
「Intel Core i5 13400」の場合は、PL1が65W、PL2が148W、Turbo Boost Power Time Window(短期間電力制限時間/Tau)は28sです。
Intel Package Power Control
「Intel Core i5 13400」をASUS製マザーボードと組み合わせる場合、BIOS設定においてASUS Multicore Enhancementを”Disabled - Enforce All limits”にすればIntel公式仕様と概ね一致する電力制限で動作します。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO_BIOS_Multicore Enhancement

「Intel Core i5 13400」の定格仕様である『PL1:65W、PL2:148W、Tau:28s』で動作させるとCinebenchのような短時間のベンチマークや、x264エンコードの最初の数十秒などTauの範囲内であれば、By Core Usage最大倍率のP-Core All:4.1GHz、E-Core All:3.3GHzに張り付きます。
全コア負荷時のCPU Package PowerはタスクがAVX命令をどれくらい使用するかによって変動しますが、x264エンコードではPBP:65Wを大幅に上回り、90~100W程度を示しました。
Intel Core i5 13400_Boost-Clock_Multi_1
負荷開始からTauで指定される短期間電力制限の期間内ではPBPを大きく上回る消費電力が発生しますが、Tau経過後はPBP(PL1:長時間電力制限)と同じ65WへCPU Package Powerが抑制されます。
「Intel Core i5 13400」はPL1:65Wの電力制限下において、コアクロックの実動値はP-Core All:3.4~3.5GHz、E-Core All:2.9~3.0GHz程度となります。
Intel Core i5 13400_Boost-Clock_Multi_2

なお全コア最大動作倍率におけるCPU Package Powerや、電力制限下での実動コアクロックは、タスクがAVX命令をどれくらい使用するか、CPUクーラーの冷却性能(CPU温度でコア電圧が変化するため)によっても多少変動します。


続いてCPU消費電力やCPU温度の検証結果をチェックしていきます。
当サイトのCPUレビューでは主として”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力として比較します。

個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの消費電力に関する評価基準の補足として下記の記事も参考にしてください。


CPUの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「CPU Power Tester」を使用しています。
CPU Power TesterはEPS電源端子、ATX24PIN電源、PCIEスロット経由の各消費電力を直接測定できるツールです。5分間程度の負荷に対して、1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。


消費電力の測定にあたってCPU負荷には、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、HandBrakeによるx264動画エンコードを使用しています。
メニーコアになるほど単独のエンコードではCPUが遊ぶので、CPU使用率が100%前後に張り付くように、動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列、16コア以上は3並列のように適宜調整しています。
Power-Consumption-Test
注:CPUのストレステストについてはOCCTやPrimeなど専用負荷ソフトを使用しているレビューもありますが、管理人の私見としてはCPU負荷が非現実的なので、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースを想定した場合、ほぼ最大のCPU負荷となるx264による動画エンコードとストレステストに採用しています。


定格仕様や検証用設定で指定する電力制限を適用した状態で動画エンコードによるフル負荷をかけると、「Intel Core i5 13400」など各CPUについてCPU Package Powerは次のようになりました。 全CPU比較データ
CPU Package PowerはIntelのPL1/PL2、AMDのPPTといったパラメーターによる電力制限の制御ソースとなる数値です。メーカー純正ソフトウェアのIntel Extreme Tuning Utility (XTU)やAMD Ryzen Master、サードパーティー製ソフトHWiNFOなどでソフトウェアモニタリングが可能です。
Intel Core i5 13400_power_3_cpp

続いてCPU Power Testerを使用して実際の消費電力をチェックしていきますが、注意点として、マザーボード独自のコア電圧調整によってCPU消費電力は変化します。Intel/AMDともに現状ではCPU動作のリファレンスになるようなマザーボードがないので、あくまで今回のレビューに使用している検証機材マザーボードを組み合わせた場合の数値となります。
また組み合わせるマザーボードによってはCPU Package Powerにマイナスオフセットをかけて事実上の電力制限解除が行われる場合があります。管理人の判断で定格っぽい動作のものを選んでいますが、こういった事情も念頭に置いて検証結果をご確認ください。

定格仕様や検証用設定で指定する電力制限を適用した状態で動画エンコードによるフル負荷をかけると、「Intel Core i5 13400」など各CPUについてEPS 8PIN電源の消費電力は次のようになりました。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_power_1_eps

定格仕様や検証用設定で指定する電力制限を適用した状態で動画エンコードによるフル負荷をかけると、「Intel Core i5 13400」など各CPUについてEPS 8PIN電源&ATX 24PIN電源の消費電力は次のようになりました。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_power_2_eps+arx


「Intel Core i5 13400」はE-Coreを搭載しているので電力効率は前世代同クラスの12400を上回っています。Intel第12世代のK付きモデルと同じCPUダイが使用されており、12600Kと同じコアスレッド構成なので、当然ですが12600Kとほぼ同じ電力効率のカーブを示していますが、65Wモデルとして最適化されているのか、35~65Wの区間では同電力で若干スコアが高めです。
「Intel Core i5 13400」をAMD製CPUと比較すると、価格帯で競合するRyzen 5 7600X/7600に対しては、65~95W区間ではほぼ似たような電力効率になっています。
Intel Core i5 13400_Performance_per-Wtt_s


また下のグラフは電力制限を調整した時のCPU Package Powerに対するマルチスレッド性能の比率です。
Cinebench R23 マルチスレッドスコアから各CPUの定格設定を基準に、電力制限解除で定格の全コア最大動作倍率に張り付いた状態を上限として性能比率を算出しています。

加えて3つの縦線は、Tom Clancy's Rainbow Six Extraction (フルHD/360FPS)、Cyberpunk 2077 (4K/60FPS)、Marvel’s Spider-Man Remastered (4K DLSS&RayTracing)のPCゲームをプレイした時のCPU Package Powerの平均値です。
ゲームシーンで理想的な性能を発揮できるように、電力制限を解除してコアクロックが全コア最大動作倍率に張り付くために必要なCPU Package Powerを見ています。

「Intel Core i5 13400」は定格の最大動作倍率でフル負荷がかかると、Processor Base Power/TDPの65Wを上回り、CPU Package Powerは最大で90~100W程度に達します。
定格では長期間電力制限PL1が65Wなので電力制限を無効化するとCPU消費電力は30W程度上昇しますが、15%程度の性能向上が期待できます。

またPCゲームプレイ中に「Intel Core i5 13400」のコアクロックが全コア最大動作倍率に張り付くのに必要な電力制限の下限は60W程度です。実際の負荷はゲームや設定に依って変わりますが、「Intel Core i5 13400」は定格設定のPL:65Wのままでも電力制限無効化と同等のゲーミング性能を発揮できます。
Intel Core i5 13400_Performance_per-and-game


この章の最後に、「Intel Core i5 13400」を空冷CPUクーラーやAIO水冷CPUクーラーで運用する時のCPU温度についてです。
「Intel Core i5 13400」の付属CPUクーラーであるLaminar RM1 Coolerを使用し、電力制限も変えながら何パターンか試してみました。
Laminar RM1 Coolerの冷却ファンは定格(最大)回転数が3000RPMですが、PCケース組み込み時に煩く感じるか感じないかの境目がファン速度2400RPM程度なので、今回の検証ではファン速度2400RPMに固定しています。
DSC04002_DxO

まずは「Intel Core i5 13400」を定格設定、付属CPUクーラーのLaminar RM1 Coolerで冷やした時のCPU温度やコアクロックの推移です。
短期間電力制限の148Wでターボブーストがかかる十数秒間はCPU温度が高くなりますが、長期的にはCPU温度が70度以下に収まっています。
電力制限時のコアクロックはCPU温度も影響するので市販の高性能CPUクーラーを使用した時と比較すると多少性能が下がるものの、「Intel Core i5 13400」は付属CPUクーラーでも定格設定なら静音性を維持しつつ運用が可能です。
Intel Core i5 13400_temp_1_def_1
長期的にはPL1:65Wの電力制限がかかるのでCPU Package Powerは65W前後に張り付いており、実動コアクロックはP-Core All:3.5GHz、E-Core All:2.9GHz程度です。
最大動作倍率のP-Core All:4.1GHz、E-Core All:3.3GHzで動作する電力制限無効化と比較して、65W制限時に性能差が15%程度になるというのも納得の結果です。
Intel Core i5 13400_temp_1_def_2

続いて、「Intel Core i5 13400」の長期間電力制限PL1をPL2に一致させて148Wへ電力制限を解除してみました。「Intel Core i5 13400」の最大動作倍率からすると実質的に電力制限無効化です。
CPU Package Powerは定格動作よりも30W程度増加し90~100Wで推移するため、CPU温度も90度以上へと大幅に上昇しています。
Intel Core i5 13400_temp_2_PL-95W_1
一応、サーマルスロットリングは生じておらず、コアクロックはP-Core All:4.1GHz、E-Core All:3.3GHzの最大動作倍率に張り付いています。
ベンチ板測定なので比較的に理想的な条件ではあるものの、付属CPUクーラー Laminar RM1 Coolerでも「Intel Core i5 13400」の電力制限無効化にはギリギリで対応できそうです。
Intel Core i5 13400_temp_2_PL-95W_2


以上のように、「Intel Core i5 13400」は定格なら65W、電力制限無効化で90~100WのCPU消費電力が生じますが、付属CPUクーラー Laminar RM1 Coolerでも静音性を維持しつつ運用は可能です。
ただし、電力制限時はCPU温度が低い方がコアクロックが高くなるので数%程度ではあるものの性能が上がりますし、PCケースの吸排気次第では電力制限無効化だとサーマルスロットリングが生じる可能性もあります。
付属CPUクーラーでも運用は可能ですが、当サイト的には「Intel Core i5 13400」を使用するなら120~140サイズのシングルファン空冷CPUクーラーを別途用意するのがオススメです。







Intel Core i5 13400の基礎ベンチマーク

Intel Core i5 13400の基本的なCPU性能を専用ベンチマークソフトで検証しました。
この章ではULMarkからリリースされているPCMark 10という総合ベンチマークソフトを使用していますが、デスクトップ向けの高性能CPUの性能比較ベンチマークとしては頭打ちな傾向があります。最新世代ではEssentialsとProductivityが高いとシングルスレッド性能の向上を確認できる、くらいの扱いです。
レビュー項目の1つとして参考までにスコア比較していますが、より実用的なCPU性能、クリエイティブタスク性能やPCゲーミング性能については後半の個別性能比較を参考にしてください。

*Ryzen 7000の一部モデルと高性能GPUを組み合わせた場合にVideo Editing, Sharpening OpenCLのスコアが0になる不具合があり、総合スコアとDigital Content Creationが空欄になっています。


「PCMark 10 Extended」のベンチマーク結果をチェックしていきます。
「PCMark 10」は動画再生能力、DirectX11のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。

「Intel Core i5 13400」を含めた各CPU環境について、PCMark 10ベンチマークの総合スコアを比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_bench_PCM10_1

「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、個別にベンチマークスコアを比較してみました。

PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版向けCPUのCore i7 1165G7を搭載するSurface Pro 7+との比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Essentials」について「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_bench_PCM10_2

ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。
モバイル版向けCPUのCore i7 1165G7を搭載するSurface Pro 7+との比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Productivity」について「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_bench_PCM10_3

クリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation」は、写真に対するフィルタリング処理の性能をシミュレートする「Photo Editing」、動画編集の性能をシミュレートするワークロード「Video Editing」、レイトレーシングによる3Dグラフィクス制作(3Dレンダリング)をシミュレーションする「Rendering and Visualization」の3つのワークロードで構成されています。
「Digital Content Creation」について「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_bench_PCM10_4

ゲーム性能を測る「Gaming」は、グラフィックボードの性能測定で幅広く活用されているベンチマークソフト「3DMark」に収録された「Fire Strike」と同じベンチマークテストを実行するワークロードです。
「Gaming」について「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_bench_PCM10_5



Intel Core i5 13400のクリエイティブ性能

Intel Core i5 13400について3Dレンダリング、動画編集・エンコード、RAW現像・写真リタッチ、PCゲーム/スマホアプリのビルド、AI機能による超解像・写真分類などクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトや実際のアプリケーションで検証しました。

Intel Core i5 13400の3Dレンダリング性能

まずは「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの3Dレンダリング性能を比較していきます。
CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られているCinebenchの2021年リリース最新バージョン「Cinebench R23」、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用してベンチマーク測定を行いました。

Cinebench R23は3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。
Intel Core i5 13400_Cinebench R23

Cinebench R23 マルチスレッド性能テストについて「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_rendering_1_cine_r23_multi

Cinebench R23 シングルスレッド性能テストについて「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_rendering_1_cine_r23_single

3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト(ver3.4.0)
について「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Blender Benchmark 3.0ではmonster/junkshop/classroomの3つのレンダリングが実行され、それぞれ分間サンプル数がベンチマークスコアとして表示されます。Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、3つのスコアについて性能比率を算出し、その平均値をグラフ化しています。
Intel Core i5 13400_rendering_2_blender

3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフト(ver5.2.0)について「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
V-Rayのベンチマークソフトのレンダリングサンプル数が結果として表示されますが、性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i5 13400_rendering_3_vray


Intel Core i5 13400の動画エンコード・動画編集性能

続いて「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの動画編集や動画エンコードの性能を比較していきます。
検証には、無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」、大量の動画ファイルを一括エンコードする時に便利なフリーソフト「HandBrake」を使用しています。
またアマチュアからプロまで動画編集ソフトとして幅広く使用されている「Adobe Premiere Pro」の実用性能を検証するベンチマークとしてULMarkのUL Procyon Video Editing Benchmarkも測定しています。


まずは単純に動画ファイルをそのまま圧縮するエンコード作業の性能比較として、HandBrakeを使用したエンコード性能をチェックします。
HandBrakeは、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、それぞれ解像度はそのままにCRF値指定でエンコードを行っています。
HandBrake_test
比較グラフのx2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。
ソースファイルやエンコード設定にも依りますが、フルHD解像度では8コア16スレッド程度、4K解像度では16コア32スレッド程度でマルチスレッド分散がボトルネックになり始め、単独エンコードではCPUが遊び始めます。
20コアオーバーのウルトラメニーコアCPUでマルチスレッド性能をフルに活用しようと思うと、8K解像度のような超高解像度のエンコード、もしくは複数並列エンコードを行う必要があるので注意してください。

x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_encode_1_handbrake_x264_1920-1920

x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_encode_2_handbrake_x264_3840-3840

x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_encode_3_handbrake_x265_1920-1920

x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_encode_4_handbrake_x265_3840-3840

続いてAviutlで編集した動画プロジェクトのエンコード速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの性能を比較していきます
編集プロジェクト自体は単純で、4K解像度とフルHD解像度(4K解像度に拡大)の2つの動画ファイルを使用し、それぞれの動画を左右にフェードイン/アウト、後は画面上にテキストをオーバーレイさせているだけです。YouTubeにアップしている下の動画が完成物となっており、冒頭1分間部分のエンコード速度を測定しています。


Aviutlで作成した3840×2160解像度の4K動画プロジェクトをH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
動画編集ソフトにも依りますが、Aviutlの場合、動画開始直後のように単独の4K映像に文字をオーバーレイするだけでもエンコード出力のCPU使用効率が下がります。
カット編集だけならAviutlもHandBrakeも大差ありませんが、編集したプロジェクト1つをエンコード出力した場合、上で見たHandBrakeによる単純エンコードと比較してマルチスレッド性能に比例したスケーリングは鈍り、シングルスレッド性能で差が出る傾向が強まります。
Intel Core i5 13400_encode_5_aviutl_x264_3840-Project

続いてAdobe Premiere Proの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Video Editing Benchmarkのベンチマーク結果から、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの動画編集性能を比較していきます
Adobe Premiere Proはver23.0を使用しています。UL Procyon Video Editing BenchmarkにはフルHD解像度と4K解像度の2種類のプロジェクトがあり、それぞれにおいてCPUのみを使用するテストとGPU支援を有効にするテストを行い、トータルのベンチマークスコアを算出しています。

Adobe Premiere Proの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Video Editing Benchmarkについて、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ:Total Score / FHD(CPU) / FHD(CPU&GPU) / 4K(CPU) / 4K(CPU&GPU)
Intel Core i5 13400_encode_6_ul-procyon_1

この章の最後に、映画/ポストプロダクション/放送業界に向けて世界最高品質の製品を開発しているBlackmagic Design社製の動画編集ソフト DaVinci Resolveの実用性能について、Puget Systemsから配布されているベンチマークソフト PugetBench for DaVinci Resolveを使用して、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの動画編集性能を比較していきます。
DaVinci Resolveは有償版のDaVinci Resolve Studio(ver18.1.1)を使用し、PugetBench for DaVinci ResolveのExtended Testを実行しています。
PugetBench for DaVinci Resolve Extended Testには4K Media、8K Media、GPU Effect、Fusionの4つのテストが実行され、それぞれのサブスコアからトータルのベンチマークスコアが算出されます。

DaVinci Resolveの実用性能を検証するベンチマークソフト PugetBench for DaVinci Resolveについて、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ:Total Score / 4K Media / 8K Media / GPU Effect / Fusion
Intel Core i5 13400_encode_7_davinci-resolve_1


Intel Core i5 13400のRAW現像・写真リタッチ性能

続いて「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのRAW現像や写真リタッチの性能を比較していきます。
検証には、強力なノイズ除去機能PRIMEや最新版DeepPRIMEで評判の写真編集ソフトDxO PhotoLab 6によるRAW現像に加えて、アマチュアからプロまで動画編集ソフトとして幅広く使用されている「Adobe Lightroom Classic」と「Adobe Photoshop」の実用性能を検証するベンチマークとしてULMarkのUL Procyon Photo Editing Benchmarkも測定しています。

まずはDxO PhotoLab 6によるRAW現像について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの性能を比較していきます
ミラーレス一眼カメラSONY α1で撮影した8640×5760解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLab 6の画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去をPRIMEに変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。
なおDxO PhotoLab 6によるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分前後の並列処理で最速になるようです。
DxO Photolab_test

DxO PhotoLab 6によるRAW現像速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_photo_1_DxO


続いてAdobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshopの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Photo Editing Benchmarkのベンチマーク結果から、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのRAW現像と写真リタッチの性能を比較していきます
UL Procyon Photo Editing BenchmarkにはAdobe Lightroom Classic ver11.5を使用したバッチ処理テスト(Batch Processing test)に加えて、Adobe Lightroom Classicで簡易処理を施した写真セットをAdobe Photoshop ver23.5.3で編集するテスト(Image Retouching test)の2種類を行い、トータルスコアが算出されます。

Adobe Lightroom ClassicとAdobe Photoshopの実用性能を検証するベンチマークソフト、UL Procyon Photo Editing Benchmarkについて、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ:Total Score / Retouch / Batch
Intel Core i5 13400_photo_2_ul-procyon_1


Intel Core i5 13400のPCゲーム/スマホアプリのビルド性能

最後に「Unreal Engine 4/5」や「Unity」などフリーウェアながら高画質なPCゲームやスマホゲームを製作可能なゲームエンジンを使用したゲーム制作におけるCPU性能の検証として、Unreal Engine 4で「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
Epic Games Storeで無料配布されているUnreal Engine 4のデモプロジェクト Infiltratorを使用したビルド時間の比較を行います。検証設定としてリアルタイム表示はオフ、ライティングの品質をプロダクションとしています。Unreal Engine 4のバージョンは4.27.2で統一しています。
Unreal Engine 4_Infiltrator_test

「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i5 13400_dev_Unreal-Engine


Intel Core i5 13400のAI性能

ディープラーニングや人工知能(AI:Artificial Intelligence)の流行に合わせて、近年の最新CPUではAI支援機能の実装も目玉の1つになっているので、一般ユースに近い活用方法として、AIによる写真の超解像化や写真の自動分類で「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。

まずはAIによって低解像度の写真を高精細な高解像度にアップスケールできる「Topaz Gigapixel AI」を使用して、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
500×500解像度前後の写真を50枚用意し、AIモデルStandardによって4倍の解像度にアップスケールするのにかかる時間を測定しました。
Topaz Gigapixel AIはOpenVINOツールキットにより、第10世代以降のIntel Core CPUで採用されているDL Boostと呼ばれるディープラーニングを支援する新しい命令に対応していますが、CPUのマルチスレッド性能でゴリ押しも効くアプリです。

Topaz Gigapixel AIのAIアップスケール速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
処理時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのAIアップスケール速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i5 13400_ai_1_topaz-gigapixel-ai

続いてAIによって写真の被写体(人物、犬猫、自動車など)を自動で分類できる「Nero AI Photo Tagger」を使用して、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
500×500解像度前後の写真を計2800枚(犬、猫、自動車などの8種類のクラス)用意し、AI認識によって自動分類するのにかかる時間を測定しました。
Nero AI Photo TaggerはOpenVINOツールキットにより、第10世代以降のIntel Core CPUで採用されているDL Boostと呼ばれるディープラーニングを支援する新しい命令に対応しています。
CPUのAI支援機能が効果を発揮するのはもちろん、AVX512命令でも大幅に性能が向上する用途です。

Nero AI Photo TaggerのAI自動分類速度について、「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
処理時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 12400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)、各種CPUのAI自動分類速度を性能比としてグラフ化しています、
Intel Core i5 13400_ai_2_nero_ai_photo_tagger



Intel Core i5 13400のゲーミング性能

「Intel Core i5 13400」のPCゲームに関する性能を実ゲームを用いたベンチマーク測定で検証しました。
なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、近年発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD解像度~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは多くありません。そのためCPUゲーム性能比較の具体的な内容は”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”と表現するのが実状に即しています。

ゲーミングPCに搭載するなら、Intel Core i5 12400(F)やAMD Ryzen 5 5500など6コア12スレッド以上のCPUを当サイトでは推奨しています。
最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあります。またベンチマーク結果からフレームレートの数値的に60FPS前後なら問題なさそうに見えても、2コア~4コアの場合、ゲームの起動やロードの時間が極端に長くなることがあり快適にプレイできない可能性もあります。



各CPUのゲーミング性能を測定するため統一検証機材として、2022年最新にして最速のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。
GPU for CPU Test
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN


CPU別ゲーミング性能の比較には近年の高画質PCゲームから、Assassin’s Creed Valhalla、Cyberpunk 2077、F1 2022、Far Cry 6、Marvel’s Guardians of the Galaxy、Shadow of the Tomb Raider、Tom Clancy's Rainbow Six Extraction、Forza Horizon 5、MONSTER HUNTER RISE : SUNBREAK、Marvel’s Spider-Man Remastered、Call of Duty: Modern Warfare II、The Witcher 3: Next Gen Update、Microsoft Flight Simulator(4Kのみ)の13タイトルを使用しています。
前述の通り、CPUがゲーム性能に与える影響の多くは100FPS以上の高フレームレートにおけるボトルネックの解消なので、フルHD(1920×1080)解像度/高画質設定について、各ゲームで平均フレームレートと1% Lowフレームレートを測定しました。
また参考としてAssassin’s Creed Valhalla、Cyberpunk 2077、Shadow of the Tomb Raider、Marvel’s Spider-Man Remastered、Microsoft Flight Simulator、The Witcher 3: Next Gen Updateの6種類については4K解像度をターゲットとしたベンチマーク測定も行っています。
CPU-Review_Game-Bench_2022

ゲームタイトルにもよりますがPCゲームにおけるCPU負荷であれば、CPU Package PowerはIntelのPBPやAMDのTDPよりも十分に低い数値に収まることが多く、CPUコアクロックは全コア最大動作倍率に張り付きます。
フレームレートに対するCPUボトルネックの緩和においては、この全コア最大動作倍率の高さが重要になり、クリエイティブタスクと違って電力制限は支配的ではなくなります。(PCゲームではIntel製CPUのPL1、AMD製CPUのPPTは影響をほとんど及ぼさなくなる)

Intel Core i9 12900やAMD Ryzen 7 5700Xのように定格の電力制限に対して全コア動作倍率の高いCPUの場合、PCゲームにおいてもCPU使用率が高くなるハイフレームレートでCPU消費電力がPBPやTDPを超過するタイミングもありますが、短期間電力制限PL2によるターボブーストやTDPよりも余裕をもって設定されたPPTによって高いコアクロックを維持し続けることができるので、影響は軽微です。

クリエイティブタスクの検証において複数の電力制限で測定していたCPUもPCゲームでは極端に大きい消費電力になることはないので、電力制限が緩い方を代表として測定しています。
Intel製CPUの場合は単純に電力制限を無効化しています。AMD製CPUはブーストクロックの動作が少々複雑でPPT/EDC/TDCを下げた方がFPSが上がる、逆にPBOで性能が下がる場合もあるため、基本的に定格のまま測定し、必要に応じて判断しています。


Intel Core i5 13400のゲーム性能 - 4K解像度/60FPSターゲット

まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度のゲーミング性能について「Intel Core i5 13400」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。
上述の通り4K高解像度の60FPSターゲットでは基本的にCPUボトルネックは発生しません。グラフの掲載順は平均フレームレートによる昇順ですが、4コア8スレッドや6コア6スレッドよりもコアスレッド数が多いCPUについては、ほぼ測定誤差の範囲内です。

Assassin's Creed Valhara(4K解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_1_3840_1_acv

Cyberpunk 2077(4K解像度、画質プリセット:高、FSR:オフ)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_1_3840_2_cyber

Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、画質プリセット:最高、レイトレーシング表現:最高、アンチエイリアス:TAA)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_1_3840_3_sottr

Marvel’s Spider-Man Remastered(4K解像度、DLSS:品質、画質プリセット:非常に高い、レイトレーシング:高/高/6)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Marvel’s Spider-Man Remasteredは非常にCPUボトルネックが強いタイトルです。4K解像度かつレイトレーシング表現有効でもCPU性能に応じてフレームレートが大きく変わります。
Intel Core i5 13400_game_1_3840_4_spider

Microsoft Flight Simulator(4K解像度、画質プリセット:ウルトラ、アンチエイリアス:TAA、オンライン機能:オフ)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Microsoft Flight Simulatorは非常にCPUボトルネックが強いタイトルです。4K解像度の60~120FPSでもCPU性能に応じてフレームレートが大きく変わります。
Intel Core i5 13400_game_1_3840_5_msfs

The Witcher 3: Wild Hunt, Next Gen Update(4K解像度、DLSS:品質、画質プリセット:RTウルトラ、レイトレーシング:有効)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
The Witcher 3: Wild Huntは非常にCPUボトルネックが強いタイトルです。4K解像度の60~120FPSでもCPU性能に応じてフレームレートが大きく変わります。
2022年12月にレイトレーシングにも対応した次世代機向けアップデートが配信されており、それを適用して検証を行っていますが、ゲーム自体は2015年の発売と古く、Ryzen CPUの登場以前なので、当時主流というかほぼ一択な状態だったIntel製CPUに有利な傾向です。
Intel Core i5 13400_game_1_3840_6_wit


Intel Core i5 13400のゲーム性能 - フルHD解像度/ハイフレームレート

続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/高画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i5 13400」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。

Assassin's Creed Valhara(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_01_acv

Cyberpunk 2077(フルHD解像度、画質プリセット:高、FSR:オフ)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_02_cyber

F1 2022(フルHD解像度、画質プリセット:高、異方性フィルタリング:x16、アンチエイリアス:TAA/FidelityFX)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_03_f1

Far Cry 6(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_04_fc6

Marvel's Guardians of the Galaxy(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_05_goh

Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、画質プリセット:高、アンチエイリアス:TAA)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_06_sottr

Tom Clancy's Rainbow Six Extraction(フルHD解像度、画質プリセット:高、レンダースケール:固定100%)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_07_rse

Forza Horizon 5(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_08_fh5

MONSTER HUNTER RISE(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_09_mhr

Marvel’s Spider-Man Remastered(フルHD解像度、アンチエイリアス:TAA、画質プリセット:高い、レイトレーシング表現:オフ)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_10_spider

Call of Duty: Modern Warfare II(フルHD解像度、画質プリセット:バランス、アンチエイリアス:オフ)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_11_cod

The Witcher 3: Wild Hunt, Next Gen Update(フルHD解像度、画質プリセット:高)に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_2_1920_12_wit


最後に、今回検証した10種類のゲームについて各タイトルについて平均FPSと1% Low FPSでそれぞれ、Core i5 12400Fを基準にした性能比率を算出し、さらに平均値としてグラフにまとめました。(全CPU比較データではCore i5 12400Fが基準)
フルHD解像度/ハイフレームレートの相対的なPCゲーミング性能に関する「Intel Core i5 13400」を含めた各種CPUの比較結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Intel Core i5 13400_game_3_1920_relative_s



CPUエンコーダとリアルタイム配信について

ゲーム実況やライブ配信と呼ばれるPCゲームのリアルタイム配信について、現在ではNVIDIA GeForce RTX 3050やAMD Radeon RX 6600などハードウェアエンコード機能を使用できるエントリー~ミドルクラスのGPUを使用することでフルHD解像度で必要十分な画質とフレームレートが得られます。

GPUエンコーダは動作自体も軽いので、これらGPUエンコーダの登場によってリアルタイム配信やプレイ動画の録画におけるCPUエンコーダの役目は終わったというのが一時期の私見でしたが、メインストリーム向けCPUのコアスレッド数の増加に伴い、x264 Mediumのような高画質プリセットのプレイ&録画が一般ユーザー的にも現実的になってきています。

YouTube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PlayStation 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch等のコンシューマーゲーム機や、PCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに必要なCPU性能については、現在、連載を続けている【快適配信】シリーズで詳細に解説しています
一口にゲーム実況と言っても、『1.ビデオキャプチャを使用してPCは録画配信作業のみを行う』、『2.PC1台で同時にゲームプレイと録画配信を行う』の2つのケースに大別され、どちらで使用するのかで要求されるCPU性能やCPUメーカー毎の得手不得手など事情が変わってくるので注意してください。

ざっくりと現状でCPUを使用したリアルタイム配信・ゲーム実況に要求されるCPU性能だけ述べておくと、『ビデオキャプチャを使用した配信の最低水準は6コア12スレッドのCPU』、『ゲームをプレイしながら配信の最低水準は8コア16スレッドのCPU』です。


【快適配信】シリーズの記事一覧へ
【快適配信】シリーズの記事一覧へ


画質と快適性を求めるなら録画・配信専用マシンもオススメ

ビデオキャプチャ業界の進歩も目覚ましく、2018年に発売された「AVerMedia Live Gamer Ultra」を皮切りに、各社から4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSの映像ソースを無遅延なパススルー表示しつつ、フルHD/60FPSのプレイ動画として録画・配信できるUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャが各社から発売されています。


前述の通りフルHD/60FPSの録画・配信であれば、GPUのハードウェアエンコーダを利用することで必要十分な画質が得られて動作も軽いので、録画配信のために高性能な反面、非常に高額なCPUに投資するよりも、多少コストがかかっても「AVerMedia Live Gamer Ultra」などのビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するほうが、録画・配信の手法としてはわかりやすくてハードルが低いと思います。
Intel Core i5 13400 review_00899







Intel Core i5 13400のレビューまとめ

「Intel Core i5 13400」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ or 概要
  • 6コア P-Coreと4コア E-Coreによる10コア16スレッドCPU
  • P-Coreの単コア最大ブーストクロックは4.6GHz
  • 全コア最大動作倍率はP-Core All:4.1GHz、E-Core All:3.3GHz
  • 定格のPL1:65WにおいてコアクロックはP-Core All:3.5GHz、E-Core All:2.9GHz程度
  • 電力制限無効化でCPU Package Powerは90~100W程度
  • 付属CPUクーラーでもCPPが65~95Wなら運用が可能
  • ハイフレームレートなPCゲーミングで11900KやRyzen 5000と同等以上の性能
  • 最新規格DDR5のシステムメモリに対応(対応マザーボードも必要)
  • CPUクーラー Laminar RM1 Coolerが標準で付属
  • 3.4万円程度と安価(2023年1月現在)
悪いところ or 注意点
  • 静音性を重視するなら120~140サイズの空冷CPUクーラーを推奨
  • メモリOCは可能だが、SA電圧(VCCSA)の調整には非対応
    (MBにも依るが6000MHz/C30~C36のメモリOCなら問題ないはず)
  • ミドルクラスGPUには十分だが、Ryzen 7000と比較するとST性能やゲーム性能で及ばない

温度・消費電力について

「Intel Core i5 13400」の定格By Core Usage倍率に対してゲーム用CPUとして要求されるCPU Package PowerはグラフィックボードがRTX 4090でも60W程度でした。
「Intel Core i5 13400」と組み合わせるであろうミドルクラスGPUなら40~50Wに収まるので、PL1:65W/PL2:148Wの定格設定のままでゲーム用CPUとして理想的な性能を発揮できるはずです。
マルチスレッド性能が支配的になるクリエイティブタスクではPL1:65Wの電力制限がボトルネックになるので、電力制限を解除すれば最大で15%程度の性能向上も期待できます。
Intel Core i5 13400_Performance_per-and-game

温度検証で確認した通り、「Intel Core i5 13400」は定格のPL1:65Wや電力制限解除による90~100Wの発熱を付属CPUクーラー Laminar RM1 Coolerで冷やすことが可能です。
ただし電力制限時はCPU温度が低い方がコアクロックが高くなるので数%程度ではあるものの性能が上がりますし、PCケースの吸排気次第では電力制限無効化だとサーマルスロットリングが生じる可能性もあります。
付属CPUクーラーでも運用は可能ですが、当サイト的には「Intel Core i5 13400」を使用するなら120~140サイズのシングルファン空冷CPUクーラーを別途用意するのがオススメです。


クリエイティブ性能について

「Intel Core i5 13400」のクリエイティブ性能については、全コア3.5GHzで動作する6コア12スレッドのP-Coreと全コア2.9GHzで動作する4コア4スレッドのE-Coreとで構成されるCPUなので、E-Coreの追加により、前世代同クラスのCore i5 12400を20~30%も上回る性能を実現しています。
定格の最大動作倍率的には電力制限解除による伸びしろもあり、90~100WのCPU消費電力になりますが、P-Core All:4.1GHz、E-Core All:3.3GHzなら最大で40~50%も高い性能を発揮できます。
競合AMDのメインストリーム向けCPUであるRyzen 7000と比較すると、マルチスレッド性能依存なシーンでは、同じ価格帯の7600Xや7600に対してタスク毎に得手不得手はあるもののほぼ同等のクリエイティブタスク性能を発揮します。
CPUクーラーの冷却が十分なら7600は88W、7600Xは実動100W超で動作するので、電力効率のグラフで見たように、65~95Wの範囲内であれば、やはり「Intel Core i5 13400」とクリエイティブタスク性能はほぼ同じです。
Intel Core i5 13400_Performance_vs

「Intel Core i5 13400」は第12世代リフレッシュなCPUなので、Core i9 12900Kと同等か上回るシングルスレッド性能を発揮する競合Ryzen 7000に対してシングルスレッド性能は下回ります。
今回の検証でいうとAviutlで編集した動画プロジェクトのエンコード速度やUL ProcyonによるAdobe CCアプリの実用性能ベンチにその影響が表れやすく、Intel第12世代CPU vs AMD Ryzen 5000の時の関係が逆転したような状態です。

「Intel Core i5 13400」は近年流行りのAIに最適化された命令セットIntel Deep Learning Boost(DL Boost)に対応しており、OpenVINOツールキットで開発されたアプリで高い性能を発揮できます。
ただし第11世代では対応していたAVX512については、高効率E-Coreが対応していないため第12世代CPU同様に第13世代CPUでもやはりCPU全体でサポートしておらず、256bit幅×2という非ネイティブ対応ではあるもののAVX512をサポートするRyzen 7000に対して、AI機能を活用するアプリでは大きく差をあけられてしまいました。

一般的なマルチスレッド性能だけ見ると「Intel Core i5 13400」のクリエイティブタスク性能は価格帯で競合するRyzen 5 7600X/7600に対して同等の性能ですが、シングルスレッド性能やAVX512のサポートで差が付く感じです。
上位モデルのCore i5 13600Kは第13世代のCPUダイを採用していて性能とコスパで競合するRyzen 7000を圧倒しているので、なおさらに「Intel Core i5 13400」が第12世代リフレッシュであることが残念に感じます。


ゲーム性能について

ゲーム性能検証の冒頭でも述べたようにフルHD~4K解像度の60FPSターゲットであれば4コア4スレッド以上の最新CPUであればどれを使用しても大差はありません。
Ryzen 2000/3000の頃だとゲーム側の最適化の問題で60FPSターゲットであってもCPUによって差が出るケースも散見され、ゲーム用ならどちらかというとIntelという感じでしたが、Ryzen 5000以降ではこの差もほぼ無視できるレベルだと思います。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するなら、2万円台半ばから購入できることもありIntel Core i5 12400(F)やAMD Ryzen 5 5500など6コア12スレッド以上のCPUを当サイトでは推奨しています。

「Intel Core i5 13400」は3万円台で手を伸ばしやすい価格帯のCPUながら、Core i9 11900K/10900KやRyzen 5000シリーズといった数年前の最速級ゲーミングCPUと同等の性能を実現しています。
Intel Core i5 13400_game_3_1920_relative_s
前世代同クラスのCore i5 12400と比較するとP-Coreの全コア最大動作倍率はほぼ同じなのでゲーム性能は同等か微増程度です。
E-Coreが追加されているのでメニーコアによってパフォーマンスが上がることもあれば、P-Coreよりも低速なのでスレッド割り当てが適切に行えない、相性の悪いゲームだと逆にパフォーマンスが下がることがあり、恩恵はケースバイケースです。
Intel Core i5 13400_game_4_1920_vs-12400

一方、競合するAMD製CPUと比較すると、価格帯の近いRyzen 5 7600X/7600はCore i9 12900Kと同等以上の性能を発揮するので、当然、第12世代リフレッシュな「Intel Core i5 13400」はゲーム性能で及びません。
前世代Core i5 12400と同等の性能なのでGeForce RTX 3060やRadeon RX 6600 XTのようなミドルクラスGPUとの組み合わせなら十分な性能と言えばそうですが、ゲームプレイ特化であればRTX 3080のようなハイエンドGPUまでカバーできるRyzen 5 7600X/7600が比較対象になるとやはりゲーム性能において見劣りしていまします。
Intel Core i5 13400_game_4_1920_vs-7600X


総評 - 12400(F)と同価格に値下がり、後継として置き換わりに期待

「Intel Core i5 13400」は前世代12400同様に、GeForce RTX 3070やRadeon RX 6700 XTのようなアッパーミドルクラス以下のグラフィックボードを搭載したゲーミングPCに最適なCPUです。
高効率E-Coreが追加され、前世代では上位モデルである12600Kと同じコアスレッド構成になったので、マルチスレッド性能が支配的になるクリエイティブタスクでは定格で最大30%、電力制限無効化なら最大50%近くも上回る性能を発揮します。

「Intel Core i5 13400」は120~140サイズの空冷CPUクーラーを別途用意するのが推奨ではあるものの、付属CPUクーラーでも定格65Wや電力制限無効化をある程度静音性を維持しつつ運用可能です。
CPUクーラーの予算を抑えたい人や、全高50mm以下のクーラーにしか対応しないコンパクトPCを組むので付属CPUクーラーで十分という人には魅力だと思います。

「Intel Core i5 13400」は12400と比較してE-Core追加によりマルチスレッド性能が大幅に上昇し、ゲーム性能も同等か微増なので性能そのものは決して悪くないのですが、希望小売価格が上がっており、なおかつ円安の影響もあって国内価格は税込みで3.4万円、iGPU非搭載の13400Fでも2.9万円になっているところが評価を落としています。
12400が2.8万円、12400Fが2.5万円と2万円台で購入できるので、マルチスレッド性能が上昇しているとはいえ、ミドルクラスのゲーミングCPUということなら「Intel Core i5 13400」よりも12400(F)のほうが魅力的に映ると思います。
ゲーム実況やプレイ動画の作成でCPU性能が要求されるなら、第13世代ネイティブのCPUダイが使用されていて、4.4万円からで購入できる上位モデルCore i5 13600K(F)の方がお得感があります。

競合AMDの最新Ryzen 7000シリーズから価格帯で競合するRyzen 5 7600X/7600と比較するとマルチスレッド性能や電力効率こそ互角ですが、シングルスレッド性能やゲーム性能では明確に劣るというところもネガティブなポイントです。
13600Kなど第13世代ネイティブが圧倒する一方、第12世代リフレッシュではRyzen 7000の相手をするのは難しいことがハッキリ分かります。
Intel第13世代CPUはマザーボードやシステムメモリも含めたプラットフォーム全体でのコストを抑えやすいという利点はあるものの、コスパを重視で「Intel Core i5 13400」とRyzen 5 7600X・7600を比較するなら、結局、Intel製CPUでも12400(F)を選ぶと思います。

とにかく安価なCore i5 12400(F)、4万円出せるならオールジャンルでコスパが圧倒的なCore i5 13600K(F)、さらに競合AMDからゲームプレイ特化なら3万円台で最強のRyzen 5 7600X/7600と、2~4万円台各種ニーズに特化した製品がひしめき合っているので、現状、「Intel Core i5 13400」の立ち位置は微妙です。
いまから性能は変えられないので「Intel Core i5 13400(F)」が魅力を発揮するためにも、Core i5 12400(F)と同じ価格へ値下がりし、正式に後継モデルとして置き換わるのを期待したいところ。


以上、「Intel Core i5 13400」のレビューでした。
Intel Core i5 13400


記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。





 ・Intel B760チップセット搭載マザーボード販売ページ
 <Amazon><TSUKUMO><PCアーク><ビックカメラ
 <パソコン工房><PC4U><ソフマップ><ドスパラ

 ・Intel B660チップセット搭載マザーボード販売ページ
 <Amazon><TSUKUMO><PCアーク><ビックカメラ
 <パソコン工房><PC4U><ソフマップ><ドスパラ







関連記事

Intel第13世代Raptor Lake-Sのレビュー記事一覧へ
Intel 13th-Gen RaptorLake-S CPU

Intel第12世代Alder Lake-Sのレビュー記事一覧へ
Intel 12th-Gen AlderLake-S CPU

Core i9 12900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
ROCKITCOOL 12th Gen Delid & Relid Kit

液体金属頂上決戦! リキエクスVSクマメタルVSシルバーキング
Liquid Metal Comparison

AMD Ryzen 7000&AM5マザーボードのレビュー記事一覧へ
AMD Ryzen 7000

AMD Ryzen 5000シリーズCPUのレビュー記事一覧へ
AMD Ryzen 5000シリーズCPU

【できる!自作PC】最新CPUの選び方とオススメCPUを徹底解説
オススメCPUを徹底比較_2019

おすすめの自作PCマザーボードを徹底解説
おすすめマザーボード




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク