Noctua NH-L9i-17xx


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全高37mmの超ロープロファイルなトップフロー型空冷CPUクーラーNH-L9シリーズのIntel LGA1700対応かつフルブラックモデル「Noctua NH-L9i-17xx chromax.black」をレビューします。
Mini-ITXサイズZ690マザーボードに16コア24スレッドCPUのCore i9 12900Kを搭載して、「Noctua NH-L9i-17xx chromax.black」の冷却性能を検証していきます。

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製品公式ページ
通常モデル:https://noctua.at/en/nh-l9i-17xx
Chromax版:https://noctua.at/en/nh-l9i-17xx-chromax-black
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レビュー目次


1.Noctua NH-L9i-17xxの外観・付属品
  ・Noctua NA-FD1について

2.Noctua NH-L9i-17xxの検証機材・セットアップ

3.Noctua NH-L9i-17xxのファンノイズと冷却性能

4.Noctua NH-L9i-17xxのレビューまとめ



【機材協力: Noctua国内正規代理店 サイズ】



Noctua NH-L9i-17xxの梱包・付属品

まずは「Noctua NH-L9i-17xx」の外観や付属品をチェックしていきます。
「Noctua NH-L9i-17xx」の標準モデルはNoctua製CPUクーラーらしい白とブラウンのカラー刷りパッケージです。一方、フルブラックのchromax.blackシリーズはパッケージもオシャレな黒色になっています。
今回はフルブラックの「Noctua NH-L9i-17xx chromax.black」のほうをメインにレビューしていきます。
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「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」はN式箱型のパッケージになっており、蓋を開くと、スポンジ製スペーサーにCPUクーラー本体や各種付属品が収められていました。
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「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の付属品は、CPUクーラー固定ネジセット、同社製熱伝導グリス「NT-H1」、ファンを低速で動作させるための降圧変換ケーブル「Low Noise Adapter NA-RC14」、25mm厚ファン固定用長ネジセット、エンブレムバッジシール、マニュアルでした。
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「Noctua NH-L9i-17xx」の通常版とChromax版では付属品の固定ネジの色も異なります。通常版はヒートシンクと同じ銀色、Chromax版は黒色です。
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続いて「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の外観をチェックしていきます。
「Noctua NH-L9i-17xx」と「Noctua NH-L9i-17xx chromax.black」の違いは、CPUクーラーヒートシンク、冷却ファン、固定ネジのカラーのみで、それ以外は共通です。
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「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の寸法は幅95mm x 奥行95mm x 高さ37mmのロープロファイルサイズとなっておりMini-ITXフォームファクタへの高い互換性がアピールされています。
冷却ファンには定格(最大)回転数は2500RPMでPWM速度調整によって600RPMから2500RPMの範囲で速度調整可能な92mm角の冷却ファン「Noctua NF-A9x14」が搭載されています。
Chromax版の場合はファン仕様は共通でフルブラックカラーの「Noctua NF-A9x14 HS-PWM chromax.black.swap」が搭載されています。
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「Noctua NH-L9i-17xx chromax.black」は冷却ファンだけでなくヒートシンクも黒一色です。
Noctua製品では一般的にニッケルメッキが施されるアルミニウム製放熱フィンにブラックコーティングが施されています。空冷CPUクーラー一筋なNoctuaだけあって黒色塗装による冷却性能の低下はないとのこと。
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「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」は製品スペックの通り、銅製ペースプレートの接触面からファンの天面までの全高が37mmの超ロープロファイルな寸法です。
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ヒートシンクについては、CPUヒートスプレッダと接するベースプレートはニッケルメッキの施された銅製で、銅製ベースプレートからは2本のヒートパイプによってアルミニウム製放熱フィンが拡張されており、ヒートパイプと放熱フィンはソルダリングによって接合されています。
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Intel第12世代CPUではCPUヒートスプレッダが従来よりも縦長になっていますが、Intel LGA1700対応の「Noctua NH-L9i-17xx」と、Intel LGA1200/115X対応の「Noctua NH-L9i」を比較してみても、ヒートシンクの形状は一致しており、両者の違いはリテンションバーだけでした。
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フルブラックカラーのChromax版は通常モデルから少し遅れて発売される傾向がありますが、NH-L9シリーズでは、Intel LGA1700、Intel LGA1200/115X、AMD AM4など自作PCのメインストリーム向けプラットフォームに対応した製品が一通り発売済みです。
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「Noctua NH-L9i-17xx」はIntel LGA1700系専用の空冷CPUクーラーですが、別売りオプションパーツの「Noctua NH-L9i用AM4マウントキット」を使用することで、AMD Ryzen CPUのAM4マザーボードでも使用できます。
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以下、標準モデルの写真を使用して説明していきます。
製品写真が似ているのでIntel製CPU対応の「Noctua NH-L9i(-17xx)」とAMD AM4専用の「Noctua NH-L9a-AM4」は対応CPUソケットだけの違いと思われがちですが、CPUクーラーヒートシンクの形状も実は異なります。
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全高はどちらも同じですが、NH-L9i(-17xx)は幅95mm×奥行95mmに対して、NH-L9a-AM4が幅92mm×奥行114mmです。NH-L9i(-17xx)は正方形ですが、NH-L9a-AM4は縦長の長方形なヒートシンクです。
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Noctua NA-FD1について

「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」と組み合わせに最適なオプションとして、ロープロファイルなトップフロー型空冷CPUクーラーに対応するスリムかつコンパクトなPCケースにおいて、CPUクーラーの冷却性能を高めることが可能なファンダクト「Noctua NA-FD1」も発売されています。
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製品公式ページ:https://noctua.at/en/na-fd1
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「Noctua NA-FD1」はトップフロー型空冷CPUクーラーの冷却ファンとPCケースサイドパネルの隙間を埋めることで、冷却性能を改善するファンダクトです。
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スポンジ製のファンダクトは、3mm/4mm/5mm/6mm/7mm/10mm/10mmの6種類7個が付属しており、これらを組み合わせることでPCケースサイドパネルとの隙間をピッタリと埋めます。スペーサーは専用のファン固定ネジとプラスチック製チューブでCPUクーラー上に固定します。
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「Noctua NA-FD1」の注意点として、ファンダクトの高さは調整できますが、ネジのダクト固定軸がファンから5mm程度出っ張るので、全高37mmのNoctua NH-L9シリーズと組み合わせる場合、PCケース側に42mm以上のCPUクーラースペースが必要です。
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Louqe GHOST S1やDAN Cases A4 SFXといったコンパクトPCケースにおいて、同社製クーラーNH-L9シリーズに「Noctua NA-FD1」を組み合わせたところ、CPU温度は6度前後も低下したという検証結果も報告されています。
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Noctua NH-L9i-17xxの検証機材とセットアップ

「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」を検証機材のベンチ機にセットアップします。
今回は検証環境としてIntel Core i9 12900KのIntel LGA1700環境を使用します。ベンチ機の詳細な構成は下のテーブルのようになっています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit
CPU
Intel Core i9 12900K
レビュー
-
M/B GIGABYTE Z690I AORUS ULTRA DDR4
レビュー
-
メインメモリ G.Skill Trident Z RGB
F4-4000C14D-32GTZR
DDR4 16GB×2=32GB
レビュー
-
グラフィックボード
-
システムストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー
PCケース /
電源ユニット
In Win Chopin Pro (レビュー


ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB


早速、ベンチ機へ「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」をセットアップしていきます。
「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の設置方法は、CPUクーラー本体を熱伝導グリスを塗布したCPUヒートスプレッダ上に合わせて、マザーボード背面からネジ止めする、という非常に単純な2ステップです。
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水冷ヘッドをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーをCPUの上に乗せ、グリスが広がるように力の入れすぎに注意して、若干グリグリと捻りながらCPUクーラーを押し付けます。
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CPUクーラー本体をマザーボードに乗せたら、マザーボードをひっくり返して裏面からネジ止めします。
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Mini-ITXマザーボードの多くはCPUソケット周辺に素子が多数実装されており、バックプレート使用するタイプの一部のCPUクーラーでは背面素子とバックプレートが干渉する可能性があります。バックプレートと素子が当たっているのを見落としたままCPUクーラーを固定するためネジ止めすると、そのまま素子を粉砕してマザーボードを破損させる恐れがあります。
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「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」ではCPUクーラーを固定するのに専用スクリューを使用するだけなので、マザーボード背面CPUソケット周辺の素子との干渉や破損の心配はありません。
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以上で「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のセットアップは完了です。
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Noctua NH-L9i-17xx chromax.blackのファンノイズと冷却性能

本題となる「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の冷却性能と静音性についてチェックしていきます。
今回はMini-ITX対応PCケース「In Win Chopin Pro」に組み込んだ状態で、冷却性能や静音性を検証しました。
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まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のファンノイズをファン回転数別で測定しました。
デスクトップでディスプレイの右隣にPCを置いた状況を想定し、50cm程度斜め前にサウンドレベルメーターを配置して測定を行っています。
Gaming PC_Noise Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればエアコンの動作音と同じくらいなのでファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとデスク上で耳の近くにPCがあるとファンノイズが煩く感じ始めます。45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のファンノイズを測定したところ次のようになりました。
「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」は冷却ファンを2000~2100RPM前後に収まるようにするとノイズレベル35dB前後となります。
ファン径が90mmと小さいのでファン速度に対してノイズレベルが小さめに測定さます。2000RPM以上だと高周波なノイズが不快に感じる人もいるので、体感としては1800RPM以下なら十分に静音動作に感じると思います。
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今回のサンプルビルドに関して言うと、Core i9 12900KをPL1:65Wで運用した時のシステム消費電力120Wの負荷に対して、In Win Chopin Proに標準搭載された電源ユニットのファンノイズが37dB程度に達しました。
Noctua NH-L9i-17xxのファン速度を下げたり、CPUに電力制限を課したりして負荷時の静音性を追求していくと、最終的にはIn Win Chopin Proの電源ユニットのファンノイズがボトルネックになると思います。


続いて「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
CPU Cooler_Stress Test

Intel第12世代Alder Lake-S最上位モデル、16コア24スレッドCPUの「Intel Core i9 12900K」を使用して、Intel第12世代Core-S環境における、「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の冷却性能を検証していきます。
Core i9 12900Kの動作設定は、動作倍率は定格のまま、「PL1:65W、PL2:100W、Tau:56s」としました。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz(IMCはGear1)」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」です。
Intel Core i9 12900K_BIOS_Test (1)-horz

16コア24スレッド「Intel i9 12900K」を定格動作倍率かつ長期間電力制限PL1:65Wとすると、実動平均はP-Core All 3.0GHz程度になるので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは17000程度になります。シングルスレッドスコアは2020程度です。
この設定でx264動画エンコードを行うと、システム全体の消費電力が120Wになります。
Intel Core i9 12900K_PL-65W_Cinebench R23

「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のファン速度を2000RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、PL1:65Wの電力制限を課したCore i9 12900KのCPU温度を最大84度、平均79.2度に収めることができました。
「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」はCPU消費電力(CPU Package Power)が65WまでのIntel第12世代CPUであれば静音動作で運用が可能です。
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CPU温度は強制的にコアクロックに制限がかかる臨界温度100度より低く、ストレステスト中のCPU消費電力(CPU Package Power)は長期間電力制限PL1の設定値に合わせて65Wに張り付いており、コアクロックは実動平均でP-Core All:3.0GHz、E-Core All:2.4GHzになります。
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ここからはファンダクト「Noctua NA-FD1」も使用して冷却性能をチェックしていきます。
「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」の登場に合わせて、NoctuaからはCPUクーラーの冷却性能を高めることが可能なファンダクト「Noctua NA-FD1」も発売されています。
Mini-ITX対応PCケース In Win Chopin Proにおいて、「Noctua NA-FD1」を使うことでどれくらい冷却性能が改善するのか試してみました。
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Core i9 12900Kの動作設定について、動作倍率は定格のまま、「PL1:80W、PL2:125W、Tau:56s」へと先ほどよりも電力制限を引き上げました。
16コア24スレッド「Intel i9 12900K」を定格動作倍率かつ長期間電力制限PL1:80Wとすると、実動平均はP-Core All 3.3GHz程度になるので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは19100程度になります。シングルスレッドスコアは2020程度です。
この設定でx264動画エンコードを行うと、システム全体の消費電力が150Wになります。
Intel Core i9 12900K_PL-80W_Cinebench R23

「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のファン速度を2500RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、PL1:80Wの電力制限を課したCore i9 12900KのCPU温度を最大89度、平均84.9度に収めることができました。
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CPU温度は強制的にコアクロックに制限がかかる臨界温度100度よりまだ低く、ストレステスト中のCPU消費電力(CPU Package Power)は長期間電力制限PL1の設定値に合わせて80Wに張り付いており、コアクロックは実動平均でP-Core All:3.3GHz、E-Core All:2.6GHzになります。
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また上記設定において、ファンダクト「Noctua NA-FD1」の有無で冷却性能を比較すると下のようになりました。ファンダクトの有無以外は完全に同じ条件ですが、「Noctua NA-FD1」を使用することで、CPU温度を2~3度下げることができました。
Noctua NA-FD1_temp_12900K_PL-80W
負荷テスト終盤についてサーモグラフィを確認してみても、「Noctua NA-FD1」を使用することで側面からの吸気と天面からの排気が整流され、PCケース内での熱拡散が抑制されているのが分かります。
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Noctua NA-FD1_FLIR_2_w-horz
ただ今回検証に使用したPCケース In Win Chopin Proはサイドパネルのメッシュによる開口が広いため、整流が不十分で、CPUクーラーからの排気の一部が循環してしまい、温度低下がいまいちだったような気もします。
PCケースとの相性が良ければ(吸気に排気が循環しない)、Noctuaがプレスリリースで発表していたように、「Noctua NA-FD1」によって4~6度くらいの温度低下も期待できんじゃないかなと。
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PL1:80Wでもまだ多少の余裕はあったので、Core i9 12900Kの動作設定について、動作倍率は定格のまま、「PL1:100W、PL2:150W、Tau:56s」へとさらに電力制限を引き上げました。
16コア24スレッド「Intel i9 12900K」を定格動作倍率かつ長期間電力制限PL1:100Wとすると、実動平均はP-Core All 3.6GHz程度になるので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは21000程度になります。シングルスレッドスコアは2020程度です。
この設定でx264動画エンコードを行うと、システム全体の消費電力が180Wになります。
Intel Core i9 12900K_PL-100W_Cinebench R23

「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のファン速度を2500RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、PL1:100Wの電力制限を課したCore i9 12900KのCPU温度を最大102度、平均95.9度に収めることができました。
ファンダクトNA-FD1を組み合わせ、ファン速度を最大にしても、CPU温度は臨界温度100度に達しているので、「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」ではIntel第12世代CPUのPL1:95W~100Wくらいが冷却性能的に限界だと思います。
Noctua NH-L9i-17xx chromax.black_temp_12900K_PL-100W_1
CPU温度は強制的にコアクロックに制限がかかる臨界温度100度に達する瞬間もありますが、概ね100度以下に収まっています。
ストレステスト中のCPU消費電力(CPU Package Power)は長期間電力制限PL1の設定値に合わせて100Wに張り付いており、コアクロックは実動平均でP-Core All:3.6GHz、E-Core All:2.9GHzになります。
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Noctua NH-L9i-17xx chromax.blackのレビューまとめ

最後にロープロファイル空冷CPUクーラー「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ

  • Noctua製空冷CPUクーラーながら万人受けする黒一色のカラーリング
  • 全高37mmのロープロファイルCPUクーラー
  • Mini-ITXマザーボードでも干渉しにくい設計
  • Intel LGA1700マザーボード背面素子と干渉フリーなCPUクーラー固定方式
  • 65WのIntel第12世代CPUを十分な静音性で運用可能な冷却性能
  • 最大冷却性能としては95W~100Wの電力制限でも運用可能
  • 付属ネジによって25mm厚の92mm角ファンに換装が可能
悪いところor注意点
  • CPUクーラーサイズ相応の冷却性能

検証結果からもわかるように「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」は全高37mmの超ロープロファイル設計ながら、Core i9 12900やCore i7 10700といったProcessor Base Power(従来で言うところのTDP)が65W以下のIntel第12世代CPUなら十分な静音性を維持して運用できる冷却性能を備えています。

同時に発売されたファンダクトNoctua NA-FD1を組み合わせ、ファン速度を最大まで引き上げれば、電力制限を95W~100Wまで引き上げても運用が可能ですし、数分以下の短期的な負荷なら150W程度のターボブーストにも対応できます。

シルバーアルマイトで表面処理された大型のアルミ放熱フィンを搭載するヒートシンクは工業製品的な美しさがあるものの、Noctuaを代表するベージュ&ブラウンのカラーリングの冷却ファンはかなりユニークなのでNoctua製CPUクーラーは総じて人を選ぶデザインだというのが定説でしたが、「Noctua NH-L9i-17xx chromax.black」は万人受けする黒一色のカラーリングなので、これまでデザイン面でNoctua製品を敬遠していた人にも文句なしにオススメできます。

以上、「Noctua NH-L9i-17xx / chromax.black」のレビューでした。
Noctua NH-L9i-17xx


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