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2.5インチSATA SSD、NVMe M.2 SSD、3.5インチSATA HDD、2.5インチSATA HDDなどのPCゲームロード時間を比較し、自作PCやモバイルPCに搭載するPCゲーム用ストレージに最適なのはどれなのか徹底解説していきます。
またSSD対HDDに比べると差は大きくありませんが、SATAとNVMe、MLCとTLCとQLC、NANDとOptaneなどSSDの種類別についてもPCゲームのロード時間を比較しています。
SSDとHDDの違いについて - 用途に合わせて適切に
SSD(Solid State Drive)とHDD(Hard Disk Drive)はそもそも物理的な構造が異なります。HDDは回転する磁気ディスク上で磁気ヘッドを動かして(シーク動作)、データの読み出し・書き込みを行うので、磁気ディスクと磁気ヘッドという物理的に動く部位が存在します。一方でSSDはメモリコントローラーとメモリチップ+αのみで構成されており、データの読み出し・書き込みにおいて物理的に動作する部位はなく、全てが電気信号のみで行われます。
下はSATA3.0規格のSSDとHDDについてCrystalDiskMarkを実行した結果ですが、連続アクセス性能に数倍の差があるのに加えて、ランダム性の高いデータへのアクセスでは100倍以上の性能差があります。
この差がゲームロード時間に比例してそのまま直結するわけではありませんが、磁気ディスク上の物理的なアドレスに磁気ヘッドを都度移動させるという制約があるHDDの構造上、SSDと比較してランダムなアクセス性能が低いというのは事実です。
アクセススピードではHDDを大きく上回るSSDですが、2019年現在、SATA SSDが最大容量4TB、NVMe M.2 SSDが最大容量2TBに対して、3.5インチSATA HDDは最大容量が16TBに達しており、1つのストレージ当たりの単純な容量を比較するとHDDに軍配が上がります。
また容量単価が安価であるところもHDDの魅力です。下は2019年7月現在の最安値クラスの価格から算出したおおよそのストレージ別単価容量です。SATA SSDが1000円あたり600~800MB程度の単価容量に留まるのに対し、HDDでは最近発売されたばかりの16TB容量モデルですら2倍以上も上回る単価容量を実現しており、一般的に普及する4TB~8TBのHDDでは6,7倍もの単価容量となります。
このようにSSDとHDDにはアクセススピードと単価容量において大きな隔たりがあるので、用途に合わせて適切に選択する必要があります。
・本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
SSDの接続規格はSATAとNVMeの2種類
2019年最新SSDの電気的な接続規格は大別してSATA(SATA3.0)とNVMeの2種類です。SATAは現在ver3.0ですが、ver1.0やver2.0の製品はすでにほぼ完全に終売となっており、SATAケーブルはバージョンによらず共通なので、2019年現在は『SATA = SATA3.0』と考えてOKです。この記事や当サイトの他の記事でもSATAと単純に書いている場合は基本的にSATA3.0のことになっています。HDDの接続規格は基本的に全てがSATA3.0です。
SATA接続規格はもともとHDDや初期のSSDを想定して策定された規格となっており、高速化を続けている最新SSDに対して接続帯域の拡張が難しい(後継の予定もない)ため、新たに策定された接続規格がNVMe(NVM Express)です。
NVMeはグラフィックボードなどの接続でも使用されているPCI-Eが接続帯域として使用されており、最も主流なのはPCIE3.0x4ですが、PCIE3.0x4よりも帯域が半減するPCIE3.0x2やPCIE2.0x4の場合もあります。SATAの接続帯域が理論値で6Gbpsに対して、NVMe(PCIE3.0x4)の接続帯域は理論値32Gbpsとなっており、NVMe接続のSSDは最大で5倍以上高速なストレージとなります。
SATA接続SSDは最新のものでもシーケンシャル(連続)読み出し・書き込み速度が560MB/s前後で頭打ちになりますが、Samsung SSD 970 PROなど2019年最新のNVMe接続SSDであれば最大で3500MB/s前後のシーケンシャルアクセスが可能になります。
現在の最新SSD事情についてはこちらの記事で詳しくまとめているので気になる人は参考にしてください。
・おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説
PCゲームロード時間比較の検証機材
PCゲームロード時間比較の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
検証ストレージ |
WD Blue 2.5inch HDD 2TB WD Blue 3.5inch HDD 4TB WD Black 3.5inch HDD 4TB Samsung 850 PRO 2TB Samsung 860 QVO 4TB Samsung 970 PRO 1TB Intel Optane SSD 905P 960GB |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
PCゲームロード時間比較の統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したウルトラハイエンドグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
【SATA SSD vs NVMe SSD vs HDD】 PCゲームのロード時間比較
さて本題となる2.5インチSATA SSD、NVMe M.2 SSD、3.5インチSATA HDD、2.5インチSATA HDDなど2019年現在、市場に出回っている各種ストレージのPCゲームロード時間を比較していきます。The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。
The Witcher 3のゲームロード時間については、SSDとHDDの種類によっても若干異なりますが、SSDはHDDと比較して概ね2.5~4.0倍程度高速にロードを完了していることがわかります。SATA SSDとNVMe SSDの差は10~20%程度あるようですが、全体の時間が20秒程度なのでその差は数秒となるので、SSDとHDDの差に比べると実用上は軽微です。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb Raiderのゲームロード時間についてもThe Witcher 3と類似した傾向となっており、SSDはHDDと比較して概ね2.5~4.0倍程度高速にロードを完了していることがわかります。SATA SSDとNVMe SSDの差は10~20%程度あるようですが、全体の時間が20秒程度なのでその差は数秒となるので、SSDとHDDの差に比べると実用上は軽微です。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版のゲームロード時間についてもやはり、SSDはHDDと比較して概ね2~3倍程度高速にロードを完了していることがわかります。
またFinal Fantasy XV PC版など一部のPCゲームではロード時間を短縮化するために、最初に低解像度なテクスチャが読み込まれたり、一部のテクスチャの読み込みがスキップされますが、このテクスチャの貼り遅れについてもストレージによって時間差が生じます。
テクスチャの読み出しはロード画面やファストトラベルのような一括したデータロードだけでなく、ゲームプレイ中にリアルタイムで実行されるタスクなので、これにSSDの2倍近く時間がかかるHDDでは、単純なテクスチャ貼り遅れだけでなく、データの読み出し待ちによるカクつきが発生する可能性も考えられます。
まとめ - PCゲーム用ストレージは2~3倍以上速いSSDで決まり
以上の検証結果のように、単価容量に優れるHDDは動画や写真などのデータを保管する大容量ストレージとしては最適ですが、読み出し速度がプレイの快適性に直結するPCゲームには不向きです。(特にゲーミングモバイルPCに搭載されることの多い2.5インチHDDは罪深い)PCゲームのインストール先ストレージとしてはHDDよりもPCゲームのロード時間が2~3倍高速なSSDが最適です。
SSDの中で見ると、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにPCゲームロード時間には若干の差がありますが、SSD対HDDの差に比べると比較的軽微なので、一般的にはTLC型かQLC型の2.5インチSATA SSDで容量が1TBか2TBのモデルのモデルを買っておけば、PCゲーム用ストレージとしては間違いがないと思います。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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