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定番かつ高性能なAsetek製水冷ヘッドを採用し、水冷ヘッドと冷却ファンにRazer Chroma対応ARGB LEDイルミネーションを搭載した簡易水冷CPUクーラー「Razer Hanbo Chroma - RGB AIO Liquid Cooler 360MM (aRGB Pump Cap)」をレビューします。
Razer Hanbo Chromaを始めとしたRazer製やRazerコラボのPCパーツを使用して実際にゲーミングPCを組み、「Razer Hanbo Chroma 360mm」は高性能CPUをしっかり冷やせてゲーマーに最適な簡易水冷CPUクーラーなのか、その実力を徹底検証します。
代理店公式ページ:https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_3967.php
製品公式ページ:https://www2.razer.com/jp-jp/gaming-accessories/razer-hanbo-chroma
レビュー目次
1.Razer Hanbo Chroma 360mmの梱包・付属品
2.Razer Hanbo Chroma 360mmの水冷ヘッドと水冷チューブ
3.Razer Hanbo Chroma 360mmのラジエーターと冷却ファン
4.Razer PWM PC Fan Controllerについて
5.Razer製パーツでゲーミングPCを組んでみる
6.Razer製パーツ搭載ゲーミングPCのビルドギャラリー
7.専用ソフトウェア Razer Synapse について
・LEDイルミネーションの制御について
・ファン・ポンプの制御について
6.Razer Hanbo Chroma 360mmのファンノイズと冷却性能
7.Razer Hanbo Chroma 360mmのレビューまとめ
【機材協力:Razer 国内正規代理店 アユート】
Razer Hanbo Chroma 360mmの梱包・付属品
まずは「Razer Hanbo Chroma 360mm」の外観や付属品をチェックしていきます。マルチファンの大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーのパッケージはかなり大きいものが多いですが、「Razer Hanbo Chroma 360mm」は最小限のパッケージサイズかつ、短辺方向に開く外装パッケージなので開封スペースも最小限です。
Razer Hanbo Chroma 360mmの製品パッケージを開くと、外装の中にCPUクーラーや付属品に合わせた形の組織色スポンジ製スペーサーが入っていました。
各種内容品はスポンジ製スペーサーにぴっちりと内容品が収められており、必要最小限のパッケージサイズに押さえられています。
マウントパーツを詳しく見ていくと、AMDプラットフォーム用のリテンションブラケットとIntel LGA1700用バックプレート(LGA1200/115X互換)があります。Intelプラットフォーム用のリテンションブラケットは水冷ヘッドに装着されています。
水冷ヘッド固定用のネジ類については、ローレットナットに加えてプラットフォーム別でスタンドオフが3種類付属します。中央に凹みがあるものがIntel LGA1700用、両端の長さとネジ山が同じものがIntel LGA1200用、両端の長さが異なるものがIntel LGA2066用、ソケットが付いているものがAMD AM4用となっています。
「Razer Hanbo Chroma 360mm ARGB」には冷却ファンを固定するための長ネジが4本×3セットで計12本付属しています。ネジの規格はUNC No.6-32です。
水冷ラジエーターにファンを固定する長ネジはプラスネジのネジ頭が一般的ですが、「Razer Hanbo Chroma 360mm」のものは六角となっており、締めるための六角レンチが付属しています。必須ではありませんが、レンチで12個のネジを締めるのも面倒なのでサイズの六角ドライバーを用意した方がいいかもしれません。
さらにラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本が付属します。またワッシャーも4個×2セットで計8個が付属します。
付属ケーブルとして、水冷ヘッドの電源取得を含めた各種接続用オールインワンケーブルと、専用ソフトウェアで制御するためにPCと接続する内部USBケーブルの2種類があります。
各種接続用オールインワンケーブルは写真右下の独自端子が水冷ヘッドと接続する端子になっており、そこから4つに分岐して、ラジエーター冷却ファン接続用に3分岐するPWM対応4PINファン端子、電源用のSATA電源端子、マザーボードにファン回転数を返すための3PINファン端子、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LED端子に分かれています。
PC接続用内部USBケーブルの水冷ヘッド側はUSB Type-C端子、PCと接続する側は内部USB2.0ヘッダーとなっています。内部USBは1コネクタ分の4PINしか使わないタイプです。
Razer Hanbo Chroma 360mmの水冷ヘッドと水冷チューブ
続いて「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッド本体をチェックしていきます。「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッドは黒色プラスチックの外装で、シンプルな円柱形状です。
天面には艶々な鏡面アクリルプレートが装着されており、中央にはRazerロゴがあります。中央のロゴと白いサークル部分にはソフトウェア制御が可能なARGB LEDイルミネーションも内蔵されています。
ポンプキャップはマグネット式で着脱が可能となっており、水冷ヘッドの側面から出る水冷チューブのエルボーがメモリスロットと干渉するのを避けるため3時の方向から回転させるなど、水冷ヘッドの向きを変えた場合でも、天面のRazerロゴが天地に正しい向きになるよう90度ずつ回転できます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッドは直径が大きく、さらに水冷チューブのエルボー部分横に飛び出すので、標準レイアウトではCPUソケットに最も近いメモリスロットと干渉する可能性があります。
メモリ2枚刺しなら問題ありませんが、4枚刺しを予定している人は注意してください。
今回検証に使用したASRock Z690 Taichi Razer Editionでは、CPUソケットの中央に綺麗に水冷ヘッドを固定すると水冷チューブのエルボーが左端のメモリスロットに被さってしまいました。ヒートシンクなしのメモリでも危うい感じです。
水冷ヘッドの固定には多少遊びがあるので、上写真の右側のように、左寄りに固定すればギリギリで左端メモリスロットとの干渉を回避できます。ヒートシンクの厚みが比較的に大きいG.Skill Trident Z5も設置できました。
また「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッドはリテンションブラケットが歯車状の固定方式なので、Intel LGA1700/1200だけでなく、AMD AM4のように上下と左右でピッチの異なるマウントでもヘッド方向を回転できます。
PCケースのサイズによっては水冷チューブの長さ的にヘッド方向が限定されることもありますが(Razer Tomahawk ATXでフロント設置すると下側にはできない)、水冷ヘッドを回転させることでメモリとの干渉を回避することが可能です。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッドには水冷チューブの根元を3時の方向として、12時の方向にオールインワン接続ケーブル用の専用コネクタ、11時の方向にPC接続用のUSB Type-C端子が実装されています。
各種接続用オールインワンケーブルは4つに分岐して、ラジエーター冷却ファン接続用に3分岐するPWM対応4PINファン端子、電源用のSATA電源端子、マザーボードにファン回転数を返すための3PINファン端子、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LED端子に分かれています。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」のCPUと接触するベース部分は銅製ベースプレートが採用されています。保護フィルムではなくプラスチックのカバーで保護されていました。
標準で熱伝導グリスが均等に塗られているので、こだわりがなければ初回使用時は個別にグリス購入の必要はありません。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」には簡易水冷市場の大手メーカーであるAsetek社のノウハウが凝縮された最新第7世代 水冷ポンプ内蔵の銅製ベースプレート式水冷ヘッドが採用されています。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の銅製ベースプレートは鏡面磨き上げというほどではありませんが、目立った磨き溝もなく、綺麗に平滑化されています。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」のリテンションブラケットは水冷ヘッドから取り外し可能です。
リテンションブラケットは歯車状のツメで固定する構造なので、リテンションブラケットに対する水冷ヘッドの向き(回転)は自由に調整できます。AMD AM4のよう対称でないマウント構造でも最適な向きで水冷ヘッドを固定できます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」は水冷チューブはカバーのRazerロゴを正しい向きで見て3時の方向から出る構造になっています。
L字エルボーの水冷ヘッド側はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離は広めでチューブも細いので同じ方向でも180度近くまで回すことができます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷チューブには高耐久な耐熱性ゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
水冷チューブの長さは400mmほどです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
水冷チューブは外径は10mm、内径は5mm程度で、ゴム製チューブにナイロンスリーブが巻かれています。細くて丈夫なチューブなので曲げやすく取り回しにも優れています。かなり強く曲げてもチューブが折れて潰れなかったのでコンパクトなPCへ組み込む際にも苦労することはないと思います。一般的な簡易水冷CPUクーラーよりもチューブ外径が小さいのでチューブの取り回しにも優れています。
Razer Hanbo Chroma 360mmのラジエーターと冷却ファン
続いてRazer Hanbo Chroma 360mmのラジエーター部分をチェックしていきます。「Razer Hanbo Chroma 360mm」のラジエーターのデザインは一般的なもので、一部メーカーの製品に採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。ラジエーターの側面にRazerロゴの刻印がある以外には特徴はありません。
放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点で言うと少し密度が高いと感じました。密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。
ラジエーターの厚さは一般的な27mm厚です。25mm厚の冷却ファンと組みわせることになるので、ファンマウントスペースのクリアランスは52mmほど必要になります。
「Razer Hanbo Chroma 360mm ARGB」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、120mmサイズ冷却ファンが標準で3つ付属します。
Razer Hanbo Chroma 360mmの冷却ファンは、「Razer Kunai Chroma - RGB 120MM LED PWM FAN(型番:RC21-01800100-R3M1)」です。
ファン1台からも単品で販売されており、3台セットで少しお得な「Razer Kunai Chroma - RGB 120MM LED PWM 3FAN(型番:RC21-01810100-R3M1)」もラインナップされています。
今回は120mmサイズしか手元にありませんが、Razer Kunai Chromaシリーズには140mmサイズもラインナップされており、120mmサイズと同じく、ファン1台単品とファン3台セットが発売中です。
Razer Kunai Chromaの定格(最大)回転数は2200RPM、PWM速度調整に対応した4PINファンとなっており、500~2000RPMの範囲内で速度調整が可能です。
円形のファンフレームには18分割のARGB LEDイルミネーションが内蔵されています。
Razer Kunai Chromaの軸受けにはファン耐用時間 6万時間の高耐久性かつ高静音性な油圧ベアリングが採用されています。
Razer Kunai Chromaはネジ穴部分に防振ゴムが貼られて防振性も確保されています。
Razer Kunai ChromaからはPWM対応4PINファンケーブルに加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのARGB対応VD-G型汎用4PIN LEDケーブルが伸びています。
LEDケーブル根元から2本に分岐していて、オス端子とメス端子があるので「Razer Hanbo Chroma 360mm」に付属する3台のファンを含め、複数のLED機器を数珠繋ぎにして1つのLED端子(コントローラー)から制御できます
補足として、Razer Chroma Addressable RGB ControllerやASRock Z690 Taichi Razer EditionといったARGB対応LEDヘッダーにRazer Kunai Chromaを接続する場合、Razer Synapseの設定においてファン1つ当たりのLED球数は18に設定してください。
水冷ラジエーターにファンを固定する長ネジはプラスネジのネジ頭が一般的ですが、「Razer Hanbo Chroma 360mm」のものは六角となっており、ネジ頭が大きめです。
付属ファンのRazer Kunai Chromaをそのまま使用する場合は、ネジ穴にネジ頭が埋まるので問題ありません。市販のファンに交換して使用する場合は、ネジの規格はUNC No.6-32なので、ネジ頭がプラスのネジも用意してください。
注意点として「Razer Hanbo Chroma 360mm」の付属ネジを使用するとファンから飛び出すネジ山の軸長は3mm程度です。ファンとラジエーターの間にPCケースシャーシ等を挟むとネジの長さが足りません。
対策として、「アイネックス SCI-03」のようなUNC No.6-32で長さ31mm程度、ワッシャー付きのネジセットを各自で用意してください。ワッシャーでファン側ネジ穴の凹み部分をカバーする形でネジを装着すれば、通常のファンと同様に固定できます。
冷却ファンをラジエーターに固定すると「Razer Hanbo Chroma 360mm」は下のようになります。
Razer PWM PC Fan Controllerについて
Razerからは今回紹介するAIO水冷CPUクーラー Razer Hanbo Chroma 360mmと同じく、専用ソフトウェアRazer Synapseで制御可能なファンコントローラー「Razer PWM PC Fan Controller」が発売されています。Razer PWM PC Fan Controllerの側面には各種IOポートが実装されています。
Razer PWM PC Fan Controllerの寸法は縦横が2.5インチSATA SSDと全く同じで、厚みは3枚重ねたよりも少し小さい程度のサイズ感です。
2.5インチストレージと縦横サイズが共通ですが、2.5インチストレージ規格のネジ穴は実装されておらず、底面に貼り付けられたマグネットシールを利用してPCケースに固定します。
上面のRazerロゴや底面のシールを正しい方向から見て上方向の側面にはDC端子とMicroUSB端子があり、左右側面にはそれぞれ4基ずつPWM対応4PINファン端子が実装されています。
Razer PWM PC Fan Controllerには電源ケーブルとUSBケーブルの2本が付属しています。
DCケーブルを介してSATA電源からコントローラー本体やコントローラーに接続されたファンへ給電し、付属USBケーブルでマザーボードの内部USB2.0ヘッダーに接続することでファンを制御できます。
Razer製パーツでゲーミングPCを組んでみる
ここからはRazer Hanbo Chroma 360mmのセットアップ手順の確認も兼ねて、Razer製やRazerコラボレーションの自作PCパーツを色々組み合わせてゲーミングPCを組んでみます。まずマザーボードにCPU、メモリ、M.2 SSDを装着します。メモリについてはCPUクーラーの水冷ヘッド装着後でもOKです。
今回、検証機材にはIntel第12世代CPU&Z690マザーボードを採用しているので、「Razer Hanbo Chroma 360mm」のマウントパーツの中から、Intel LGA1700のCPUクーラー設置で使用する、バックプレート、スタンドオフ、ローレットナットを用意します。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。最新のIntel第12世代CPUに対応するLGA1700ソケットでバックプレートを装着する場合はネジ穴スライド部分の位置は一番外側でした。
バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷ヘッドを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。
Intel LGA1700プラットフォームでは一番左にある、六角部分の中央が凹んだ形状のスタンドオフを使用します。
下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。
マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易な構造です。
AMD Ryzen CPUに対応するAM4マウントで使用する場合は、マザーボード表面に標準で備え付けられたCPUクーラー固定器具を外して、背面のバックプレートはそのまま流用し、付属のソケット付きスタンドオフを装着するだけで準備完了です。
マザーボード回りの下準備が完了したので、PCケースに着手します。
今回のビルドでPCケースには、スタイリッシュなフルフラットデザインで、スイングドア式の強化ガラスウィンドウパネルを採用し、ARGBタイプのアンダーグローLEDイルミネーションと内蔵コントローラーを標準搭載するゲーミングPCケース「Razer Tomahawk ATX」を使用します。
PCケース上側はシャーシ・外装がそのままファン・ラジエーター用のマウント部になっていますが、マグネットで簡単に着脱可能なナイロンメッシュフィルターも標準で装着されています。
「Razer Tomahawk ATX」の天面はフラットなのでキーボードなど物を置くこともできますが、天面にファン・ラジエーターを設置する場合はエアフローの妨げになってしまいます。
天面を物を置くスペースとして活用したいのであれば、「PC MAGLAS ガラストップ」というPCトップガラスカバーがオススメです。
「Razer Tomahawk ATX」のサイドパネルは後方のヒンジによって観音開き的に開閉が可能なスイングドア構造になっています。サイドパネルは前方に内蔵されたマグネット機構によりパネルを内側に押すことで簡単に開閉できます。(AVラックのドアなどでよく見る構造)
「Razer Tomahawk ATX」のサイドパネルはスチール製フレームのノブとスライド穴によって固定されており、サイドパネルを90度以上開いた状態で上にスライドさせることで、ロックを解除して取り外すことができます。
「Razer Tomahawk ATX」は裏配線側にも強化ガラスのウィンドウパネルが採用されています。
強化ガラスのスモークはかなり濃く、さらに裏配線スペースには配線を隠すカバーも搭載されているので、整然としたケーブルマネジメントが苦手な人でも綺麗に仕上げることができます。
「Razer Tomahawk ATX」にはフロントIOとして、右から順に、USB3.0 Type-A×2、リセットスイッチ、電源スイッチ、ヘッドホン用音声出力3.5mmジャック、マイク用音声入力3.5mmジャック、USB Type-C×1が実装されています。
フロントIOで使用する内部ヘッダーケーブルは下写真の通りです。フロントIOのUSB Type-Cポートとの接続には内部USB Type-Cヘッダー(正式名称はFront USB Type-E)を使用します。
「Razer Tomahawk ATX」のARGB LEDイルミネーションはPCケース標準搭載のLEDコントローラーによって給電・制御する構造になっており、マザーボードの内部USB2.0ヘッダーと接続する必要があります。
今回検証に使用するマザーボードの「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」はUSB端子×2個分の9PINの内部USB2.0ヘッダーは1つしかないのですが、USB端子×1個分の4PINヘッダーが1つあるので、9PINヘッダーにTomahawk ATX、4PINヘッダーにHanbo Chromaを接続すれば内部USBヘッダーはギリギリで足ります。
他にも内部USBヘッダーを使用する機器を接続したい場合は内部USB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」や「Thermaltake H200 PLUS」がオススメです。
「Razer Tomahawk ATX」の概要についてはこの辺りにして、早速、検証用のサンプルビルドを構築していきます。まずは左右サイドパネルを取り外します。
マザーボードと電源ユニット、あと必要に応じて2.5インチSSDや3.5インチHDDを設置したら、各種ケーブルを配線していきます。
ケーブルマネジメントが一通りまとまったら、次はフロントのファン・ラジエーターブラケットに簡易水冷CPUクーラー「Razer Hanbo Chroma 360mm」のラジエーターとファンを装着します。
「Razer Tomahawk ATX」のフロントパネルは底面の穴に手を入れて前方に引っ張ると簡単に取り外せます。フロントパネルの固定はプラスチック製ピンですが、固定するための返し部分が緩やかなのでボールキャッチ構造と変わらないくらいスルッと着脱できました。
「Razer Tomahawk ATX」のPCケースフロントのファンマウント部は少し独特な構造です。まずファン・ラジエーターを固定するためのネジ穴がある部分は着脱が可能なブラケットです。
ファンマウントブラケットは上下4ヶ所のスライド穴と、上側2カ所のネジによって固定されています。上側のスライド穴は単純に前後方向のスライドですが、下側のスライド穴は斜め方向に前後2つが設けられています。下側のスライド穴を使い分けることで10mm程度前後にオフセットしてファンマウントブラケットを固定できます。
下側にある前後2つのスライド穴に加えて、ファンマウントブラケット自体を前方寄りと後方寄り(表裏)で設置できるので、「Razer Tomahawk ATX」のPCケースフロントのファンマウント部は4種類のレイアウトを選択できます。
今回は、前方から順に『ファン - ブラケット - ラジエーター』の順番になるよう設置するので、上の写真で右から2番目のレイアウトを選択しました。このレイアウトであればPSUカバー前方のインレーを外さなくてもファン・ラジエーターをフロントに設置できます。
注意点として「Razer Hanbo Chroma 360mm」の付属ネジを使用するとファンから飛び出すネジ山の軸長は3mm程度しかなく、ファンとラジエーターの間にPCケースシャーシ等を挟むにはネジの長さが足りません。
対策として、「アイネックス SCI-03」のようなUNC No.6-32で長さ31mm程度、ワッシャー付きのネジセットを各自で用意してください。ワッシャーでファン側ネジ穴の凹み部分をカバーする形でネジを装着すれば、通常のファンと同様に固定できます。
水冷ヘッドをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
Razer Hanbo Chroma 360mmの水冷ヘッドの固定ネジはツールレスな大型ローレットナットなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。
簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷ヘッドの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
最後にグラフィックボードを装着したらRazer製パーツをふんだんに使用したゲーミングPCの完成です。
「Razer Tomahawk ATX」にはGPUホルダーが標準ではありませんが、PSUカバーはスチール製なので、マグネット固定のGPUホルダーを各自で用意するのもオススメです。
Razer製パーツ搭載ゲーミングPCのビルドギャラリー
以下、今回作成したゲーミングPCのビルドギャラリーです。ARGB LEDイルミネーションに対応したRazer製やRazerコラボレーションのPCパーツを組み合わせれば、ゲーミングPCを鮮やかにライトアップできます。
簡易水冷CPUクーラー「Razer Hanbo Chroma 360mm」や、今回のサンプルビルドに使用しているPCケース「Razer Tomahawk ATX」、ケースファン「Razer Kunai Chroma」、そしてRazerコラボのマザーボード「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」は、後述の専用ソフトウェアRazer Synapseに対応しているので、その時の気分に合わせてPC上から気軽にライティングを変更できます。
専用ソフトウェア Razer Synapse について
今回メインにレビューしている簡易水冷CPUクーラー「Razer Hanbo Chroma 360mm」や同社製ファンコントローラー「Razer PWM PC Fan Controller」やPCケース「Razer Tomahawk ATX」は、専用ソフトウェア Razer Synapseによってファンやライティングを制御できます。また他社製品についてもRazerコラボレーションモデル「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」のようにRazerのライティング制御エコシステムRazer Chromaに属する製品であれば、Razer Synapseによってライティング制御が可能です。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」や「Razer Tomahawk ATX」がPCシステムに接続されている場合は、Razer Synapseのインストール画面が自動的に表示されます。
自動的に表示されない場合も、Razer SynapseはRazerの公式ページからインストーラーをダウンロードできます。インストール自体はダウンロードしたインストーラーをポチポチとクリックしていくだけなので簡単です。
公式ページ:https://www.razer.com/synapse-3
インストール後にRazer Synapseを起動すると初回はアカウントのログイン・作成について確認されます。Razer公式アカウント以外に、Facebook、Google、Twitchのアカウントでもログインが可能です。
アカウントを使用せずゲストとして使用することもできます。オンラインアカウントでログインした状態で使用すると、設定ファイルをクラウド上にアップロードして複数環境でプロファイルを共有できます。
Razer Synapseを起動すると次のようなトップページが表示されます。
ダッシュボードの一番上にはRazer Synapseで制御可能なRazer Chroma互換機器が表示されます。今回はメインでレビューしている「Razer Hanbo Chroma 360mm」に加えて、サンプルビルドで使用した「Razer Tomahawk ATX」や「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」のアイコンがあります。
Razer Synapseはタスクバーアイコンとして常駐するので、右クリックや左クリックのメニューからRazer Synapseのウィンドウを表示したり、設定したいデバイスに直接アクセスできます。
接続機器に最新ファームウェアが配信されている場合、ダッシュボードでファームウェアアップデートの案内が表示されます。
Razer Synapseに表示されたFWアップデートの案内を選択すると、「Razer Hanbo Chroma 360mm」の場合は、Webブラウザでアップデート手順に関する案内とアップデート実行ファイルのダウンロードに関するページが表示されます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」のファームウェアアップデート作業自体は上記のWebページからアップデーターをダウンロードして実行し、表示に従ってポチポチとクリックするだけなので簡単です。
Razer Hanbo Chroma 360mmのLEDイルミネーション制御について
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッドや付属する3基の冷却ファンにはARGB LEDイルミネーションが内蔵されており、水冷ヘッドから伸びるLEDケーブルに接続することで、Razer Synapseから制御が可能です。Razer SynapseはRazer Chromaエコシステムの統合アプリケーションなので、今回一緒にサンプルビルドを組んだPCパーツのRazer Tomahawk ATXやASRock Z690 Taichi Razer Editionもライティングを制御できます。
Razer Synapseから行った任意のライティング制御を反映するには、Razer Synapseをバックグラウンドタスクとして常駐させる必要があります。
Razer Synapseが起動していない状態では、Razer Hanbo Chroma 360mmやRazer Tomahawk ATXは既定の発光パターン(スペクトラムサイクル)で動作します。
ASRock Z690 Taichi Razer Editionは、Razer Synapseを起動した時だけ同アプリによってライティングが制御され、そうでない時はマザーボードBIOSのASRock Polychlome RGB Syncでライティングが制御されます。
ダッシュボードでデバイスのアイコンを選択する、もしくはトップメニューのアクセサリから順番にデバイスを選択すると(Razer Tomahawk ATXはシステムに分類されている)、そのデバイスのLEDイルミネーション設定が表示されます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の設定ページを開くとまずは、ファン・ポンプ制御に関するパフォーマンスタブが表示されるので、ライティング制御を行う場合は緑色バー上でその隣にあるライティングタブを選択します。
ライティングタブを開くと、上から順に、ライティング設定プロファイルの選択・新規作成、イルミネーションの明るさ、ライティングのオフ設定、発光パターンの選択が表示されます。
作成した設定プロファイルはRazer Synapseのメニューバーにあるプロファイルから、ゲームとリンクさせることができ、現在アクティブなゲームに応じてライティングを変化させることができます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ヘッドと冷却ファンに搭載されたLEDイルミネーションを含め、Razer Synapseから制御可能なLEDイルミネーション機器には、”クイック効果”と”高度な効果(CHROMA STUDIO)”という2種類のライティング制御が用意されています。
『デバイス別で特定の発光パターンを適用する』、『システム全体で特定の発光パターンに統一する』といったライティング設定であれば”クイック効果”から簡単に設定が可能です。
クイック効果から設定可能な発光パターンは、ARGB LEDがオーロラ状に七色に変化する”ウェーブ”、全体が同じ色で七色にグラデーション変化する”スペクトラムサイクル”、特定カラーで静的発光する、消灯も含む2色でグラデーション変化するブリージングなど基本的なものは一通り揃っています。
また簡易設定のクイック効果でも、水冷ヘッドと冷却ファンのLEDイルミネーションの明るさは個別に調整が可能です。
今回サンプルビルドに使用しているPCケース「Razer Tomahawk ATX」も同じようにRazer Synapseからライティングを制御できます。(アクセサリではなくシステムとして配置されている)
またRazer製品ではありませんが、RazerコラボレーションなPCパーツでライティング制御エコシステムRazer Chromaに対応している「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」もRazer Synapseからライティングを制御できます。
「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」の場合、カスタマイズとライティングの2項目があり、カスタマイズの項目からはARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーに接続されたLED機器のLED球数を設定できます。
「ASRock Z690 Taichi Razer Edition」のARGB対応LEDヘッダーに、LEDイルミネーション搭載ファンのRazer Kunai Chromaを接続する場合は、ファン1つ当たりのLED球数は18に設定してください。
ライティングを選択すると他のRazer製品同様に、LEDイルミネーション機器の発光の明るさや発光パターンの設定画面が表示されます。
下へスクロールしていくと発光パターンを設定する効果メニューが表示されます。クイック効果を選択するとプルダウンメニューが表示されて、複数のプリセットから発光パターンを簡単に切り替えることが可能です。
ライティング設定で「高度な効果」を選択する、もしくは上のメニューバーからSTUDIOを選択すると、Razer Synapseと一緒にインストールしたモジュールの「CHROMA STUDIO」が開きます。
CHROMA STUDIOでは個別のLED機器どころか、ARGB LEDイルミネーション機器については各LEDアドレスに対して細かく発光パターンを指定できます。
CHROMA STUDIOを使用した設定は非常に自由度が高く、説明しだすとそれだけで記事1つ分くらいになってしまうので、この辺りは各自で試してみてください。
クイック効果ではゲームとリンクさせるライティング制御プロファイルをデバイス毎に設定する必要がありましたが、CHROMA STUDIOで作成したエフェクトプロファイルをゲームとリンクさせれば、複数のデバイスの発光パターンを一括して制御でき、アクティブなゲームに合わせて変化させられます。
Razer Hanbo Chroma 360mmのファン・ポンプ制御について
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ラジエーターに搭載された3基の冷却ファンと水冷ポンプはRazer Synapseから制御が可能です。Razer Synapseから行った任意のファン制御はCPUクーラー側に保存されるので、Razer Synapseをスタートアップ/常駐する必要はありません。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」でパフォーマンスタブを開くと上のスクリーンショットのように、まずは製品イメージと各種モニタリング情報が表示されますが、下にスクロールしていくことで、ファン・ポンプの制御設定が表示されます。
Razer Synapseによるファン制御には、標準設定の”通常”に加えて、静音性重視な”静音”、冷却性能重視な”パフォーマンス”の3種類の既定プリセットがあります。
さらに”アドバンスド”ではCPU温度を制御ソースとして、7つの頂点で構成されるファンカーブを設定できます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」ではCPU温度の変化に対してファン速度の変化には5秒程度の遅延が設けられており、CPU温度が瞬間的に上昇してもファン速度が乱高下することはありません。
Razer Synapseによる「Razer Hanbo Chroma 360mm」のファン制御については正直なところ現状ではかなり微妙な仕上がりでした。(2022年6月5日時点の最新ソフトウェアとFWバージョン:1.20で検証)
まず、”静音/通常/パフォーマンス”の3種類の既定プリセットはCPU温度依存で制御されるはずですが、CPU温度が90度以上に上昇してもそれぞれ500RPM/1200RPM/1900RPM前後の固定動作でした。
またアドバンスドで設定可能なデューティ比には制限があり、20度/20%と80度/100%の2つは固定点で、30度/30%と40度/40%と50度/50%と60度/60%と70度/70%は各温度において初期設定のデューティ比以下に下げることはできず、自由度は低めです。
しかし、ファン制御については今回サンプルビルドに使用しているASRock製マザーボードのASRock Z690 Taichi Razer Editionをはじめとして、ASRock/ASUS/GIGABYTE/MSIといった主要4社のマザーボード製品であればRazer Synapseで行うよりも非常に高機能なファンコンロトーラーが用意されています。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の冷却ファンについては、2分岐/3分岐のファンケーブルを別途用意してマザーボードの機能でファンを制御するほうがオススメです。
ASRock Z690 Taichi Razer Editionであれば、ケースファン端子に接続すればCPU温度だけでなく、マザーボード温度を制御ソースに選択でき、一定温度以下で冷却ファンを完全に停止させるセミファンレス動作も設定できます。
ポンプ制御も基本的にはファン制御と同じで、”静音/通常/パフォーマンス”の3種類の既定プリセットを選択でき、アドバンスドでは水冷クーラーの液体温度をソースとして5点カーブで設定できます。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の水冷ポンプについてはそもそもRazer Synapseからしか制御できず、設定内容的にもアドバンスドによる設定で十分です。個人的にはアドバンスドで下のように常時最大速度にするのがオススメ。
Razer Hanbo Chroma 360mmのファンノイズと冷却性能
本題となる「Razer Hanbo Chroma 360mm」の冷却性能と静音性についてチェックしていきます。今回は上の章で紹介した通り、Razer製パーツを組み合わせた実際のゲーミングPCで静音性や冷却性能を検証します。
まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Razer Hanbo Chroma 360mm」のファンノイズをファン回転数別で測定しました。
デスクトップでディスプレイの右隣にPCを置いた状況を想定し、50cm程度斜め前にサウンドレベルメーターを配置して測定を行っています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればエアコンの動作音と同じくらいなのでファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとデスク上で耳の近くにPCがあるとファンノイズが煩く感じ始めます。45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
「Razer Hanbo Chroma 360mm ARGB」のラジエーター冷却ファンのファンノイズを測定したところ次のようになりました。(サンプルビルドのケースファンは800RPMに固定)
今回のサンプルビルドではラジエーター冷却ファンを1500RPM以下に収まるようにするとノイズレベル35dB前後となり、体感でも静音動作になりました。
組み込むPCケースによって多少の上下はありますが、「Razer Hanbo Chroma 360mm ARGB」は冷却ファンを1200~1500RPMに収まるように運用すると静音動作になると思います。
続いて「Razer Hanbo Chroma 360mm」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
なおIntel第12世代CPUの場合、動画エンコードに比べてCinebench R23 30分ストレステストの方が負荷が大きく、安定動作に必要なコア電圧で10~20mV、CPU消費電力で30W程度の差が生じます。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Intel第12世代Alder Lake-S最上位モデル、16コア24スレッドCPUの「Intel Core i9 12900KS」を使用して、Intel第12世代Core-S環境における「Razer Hanbo Chroma 360mm」の冷却性能を検証していきます。
Core i9 12900KSの動作設定は、動作倍率をCore i9 12900Kと同じBy Core Usage倍率に下げています。Core i9 12900KSは標準動作では非常に消費電力が大きいCPUですが、動作倍率を標準モデルの12900Kと同じ値に下げると優れた省電力性能を発揮します。
当然ですが、「Intel Core i9 12900KS」を12900Kと同じ動作倍率にするとマルチスレッド性能は12900Kと同等になります。
CPU温度の検証については、『付属ファンでフロントパネルを装着した状態』、『付属ファンでフロントパネルを外した状態』、『ファンをNF-A12x25 PWMに変えてフロントパネルを装着した状態』の3パターンで行いました。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の冷却ファン3基と、今回のサンプルビルドに搭載したケースファン3基はいずれもファン速度を1400RPMで固定しています。
「Razer Hanbo Chroma 360mm」の付属ファンは静圧を重視した設計ではないので、今回のサンプルビルドで使用したRazer Tomahawk ATXのようにフロントのエアフローが狭いPCケースでは、1400~1500RPM程度のファン速度だとラジエーターに対して十分な気流を生むことができず、ラジエーターから適切に放熱できません。
フロントパネルを外した状態なら非常に良く冷えていることからも分かるように、Asetek OEM製品である「Razer Hanbo Chroma 360mm」のポテンシャルは非常に高いのですが、組み合わせるPCケースによっては冷却ファンの性能がボトルネックになる可能性があります。
一方で、ラジエーター冷却ファンをNoctua NF-A12x25 PWMに換装するとフロントパネルを装着した状態でも、付属ファンのフロントパネルなしほどではありませんが、CPU消費電力200W級の発熱を適切に冷やせるようになります。
Razer Tomahawk ATXのようにフラットデザインでフロントのエアフロー面が狭いPCケースに「Razer Hanbo Chroma 360mm」を組み込む場合、冷却ファンを付属品から「Noctua NF-A12x25 PWM」や「Thermaltake TOUGHFAN 12」のような静圧の高さも重視した設計の高性能冷却ファンに換装するのがオススメです。
Razer Hanbo Chroma 360mmのレビューまとめ
最後に簡易水冷CPUクーラー「Razer Hanbo Chroma - RGB AIO Liquid Cooler 360MM (aRGB Pump Cap)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 水冷ヘッド天面や冷却ファンにARG LEDイルミネーションを搭載
- Razer Chromaに対応、Razer Synapseから互換機器とライティングの同期制御が可能
- 水冷ヘッドのキャップは90度ずつ回転可能、水冷ヘッドの向きに合わせられる
- 水冷チューブはスリーブ付きで丈夫。曲げやすく潰れにくい。細いので取り回しに優れている
- Core i9 12900KやRyzen 9 5950Xのような200W級CPUを運用可能な冷却性能
- バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
- 水冷ブロックの固定はローレットナットでツールレス固定可能
- 専用アプリから各種ファンや水冷ポンプの速度制御が可能
- Razer Synapseによるライティング制御はアプリの常駐が必須
- ファン制御機能が微妙(FW:1.20)
- 付属ネジではPCケースシャーシを挟む形でファンをラジエーターに固定できない
- ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
冷却性能の検証結果からもわかるように「Razer Hanbo Chroma 360mm」は、200Wクラスの電力負荷になる2022年最新メインストリーム向けCPU最上位のCore i9 12900KやRyzen 9 5950Xに余裕で対応可能な優れた冷却性能を実現しています。
ただし、付属ファンは静圧を重視した設計ではないので、今回のサンプルビルドで使用したRazer Tomahawk ATXのようにフロントのエアフローが狭いPCケースでは、1400~1500RPM程度のファン速度だとラジエーターに対して十分な気流を生むことができず、ラジエーターから適切に放熱できません。
Razer Tomahawk ATXはフロントパネルを装着してしまえばファンが外から見えなくなってしまうので、LED搭載の付属ファンはリア・トップのケースファンに移して、Noctua NF-A12x25 PWMやThermaltake TOUGHFAN 12のように静圧の高さも重視した設計の高性能冷却ファンに換装するのがオススメです。
オシャレなゲーミングブランドとしてトップクラスに位置するRazer製品でゲーミングPCの見た目に大きく影響する水冷CPUクーラー/冷却ファン/PCケースを統一でき、専用ソフトウェアRazer SynapseによってLEDイルミネーションを制御できるのは魅力です。
以上、「Razer Hanbo Chroma 360mm」のレビューでした。
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Razer Chroma対応ARGB LEDを搭載した簡易水冷CPUクーラー「Razer Hanbo Chroma 360mm」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 11, 2022
Razer Tomahawk ATXやASRock Z690 Taichi Razer Editionと組み合わせてゲーミングPCを組んでみるhttps://t.co/1EL9iVgPBE pic.twitter.com/9J8ymz2wXA
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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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