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Samsungから同社製QLCタイプV-NANDをメモリチップに採用する2.5インチSATA SSDのSamsung SSD 870 QVOシリーズから、大容量8TBモデル「Samsung SSD 870 QVO 8TB(型番:MZ-77Q8T0B)」をレビューします。
これまで各種検証用にゲームインストール先として使用していたSamsung SSD 860 QVO 4TBの容量が足りなくなってきたので買い換えました。
SATA SSDもNAS用、保管データ用としてはまだ需要はあるものの、既に自作PC用ストレージの主流はNVMe M.2 SSDになっているので、簡単に紹介だけしていきます。

製品公式ページ:https://www.samsung.com/semiconductor/minisite/ssd/product/consumer/870qvo/
データシート:https://s3.ap-northeast-2.amazonaws.com/global.semi.static/Samsung_SSD_870_QVO_Data_Sheet_Rev1.1.pdf

Samsung SSD 870 QVO 8TB レビュー目次
1.Samsung SSD 870 QVOについて
2.Samsung SSD 870 QVO 8TBの外観
3.Samsung SSD 870 QVO 8TBの性能
Samsung SSD 870 QVOについて
「Samsung SSD 870 QVO」は、メモリチップにSamsung製NANDの第5世代となる4bit MLC 90+層V-NAND(QLC型90+層3D NAND)を採用、キャッシュメモリは最大8GBのLPDDR4を搭載、メモリコントローラーには第5世代V-NANDに最適化された新コントローラーのSamsung MKXを使用しています。「Samsung SSD 870 QVO」の容量は1TB(型番:MZ-77Q1T0BW)、2TB(型番:MZ-77Q2T0BW)、4TB(型番:MZ-77Q4T0BW)、8TB(型番:MZ-77Q8T0BW)の4モデルがラインナップされています。
北米価格では容量順にそれぞれ、129ドル、249ドル、499ドル、899ドルとなっており、4TBモデルは前世代860 QVOよりも100ドル安価です。
「Samsung SSD 870 QVO」のアクセススピードは容量によって多少違いがありますが最大で、シーケンシャル読出560MB/s、シーケンシャル書込530MB/s、4KQD1ランダム読出11,000 IOPS、4KQD1ランダム書込35,000 IOPS、4KQD32ランダム読出98,000 IOPS、4KQD32ランダム書込88,000 IOPSとなっており、SATA3.0規格としては理想的な高速アクセスを実現しています。
「Samsung SSD 870 QVO」はSamsung製90+層V-NAND 4bit MLC、一般に言うところのQLCタイプ90+層3D NANDが採用されています。
現在主流なTLC NAND(同社製品では860 EVOなど)は同社上位モデル870 PROに採用されているMLC NANDに比べて書き込み性能で劣るため、一般的にTLC型SSDでは搭載するNANDフラッシュメモリーの一部をSLCキャッシュとして使用することにより書き込み性能を底上げする機能が採用されていますが、QLC型NANDを採用する「Samsung SSD 870 QVO」でも同様の機能が搭載されています。
「Samsung SSD 870 QVO」ではこのSLCキャッシュ機能を強化し、必要に応じてSLCの領域を増減するIntelligent TurboWrite機能が採用されています。

Intelligent TurboWriteにおいてキャッシュとなる疑似SLC領域は標準で数GBの容量が確保されますが、それを上回る大容量の書き込みアクセスが発生した場合にモデルによって定められた容量を追加でバッファ領域として利用できます。
「Samsung SSD 870 QVO」の各容量モデルのSLC領域、可変領域、書込速度は次のテーブルのようになっています。
「Samsung SSD 870 QVO」 Intelligent TurboWrite の仕様 | |||||
容量 | 1TB |
2TB | 4TB | 8TB | |
キャッシュ サイズ |
標準 | 6GB | |||
可変領域 | 36GB | 72GB | |||
最大 | 42GB | 78GB | |||
連続書込 | キャッシュ内 | 530MB/s | |||
キャッシュ外 | 80MB/s | 160MB/s |
「Samsung SSD 870 QVO」のMTBF(平均故障間隔)は150万時間、書込耐性は1TBが360TBW、2TBが720TBW、4TBが1440TBW、4TBが2880TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は3年間です。
Samsung SSD 870 QVO スペック一覧 |
||||
容量 | 1TB MZ-77Q1T0B |
2TB MZ-77Q2T0B |
4TB MZ-77Q4T0B |
8TB MZ-77Q8T0B |
メモリー | Samsung製 4bit MLC(QLC)型 V-NAND |
|||
コントローラ | Samsung MKX (S4LR059) 8-channel controller | |||
キャッシュ | 1GB LPDDR4 | 2GB LPDDR4 | 4GB LPDDR4 | 8GB LPDDR4 |
連続読出 | 560MB/s | |||
連続書込 | 530MB/s | |||
4Kランダム読出 QD1 / QD32 |
11,000 IOPS / 98,000 IOPS |
|||
4Kランダム書込 QD1 / QD32 |
35,000 / 88,000 IOPS |
|||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | |||
MTBF | 150万時間 | |||
耐久性評価 | 360TBW | 720TBW | 1440BW | 2880TBW |
保証期間 | メーカー3年 |
Samsung SSD 870 QVO 8TBの外観
まず最初にSamsung SSD 870 QVO 8TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。




「Samsung SSD 870 QVO 8TB」のSSD本体については黒寄りの少し紺色がかったグレー、ガンメタルカラー塗装の金属製の筐体で表面中央に大きくメーカーロゴが刻印されているという860 EVO/QVOなど従来製品を踏襲したデザインが採用されています。寸法は2.5インチストレージの規格通り縦70mm x 横100mmで、厚さは7mmです。

「Samsung SSD 870 QVO 8TB」のSSD背面にはモデル名やバーコード等の仕様に関するシールが貼られています。

「Samsung SSD 870 QVO 8TB」のガンメタルカラーの外装にはラメのように細かく光る粒子があり、黒塗装の860 PRO/EVOよりも意外と高級感を感じました。

Samsung SSD 870 QVO 8TBの性能
「Samsung SSD 870 QVO 8TB」の性能について簡単にチェックしていきます。「Samsung SSD 870 QVO 8TB」は国内で販売されている2.5インチSATA SSDでは最大となる8TB容量のSSDです。
Windows上でボリュームを作成すると使用可能な空き領域は7.27TBでした。860 QVO 4TBは3.63TBだったのでちょうど2倍です。

ストレージ用ベンチで定番のCrystalDiskMark8を実行すると、連続読み出し560MB/s、連続書き込み525MB/sとなっており、SLCキャッシュ内の読み書きはSATA3.0接続のSSDとしては理想的な速度です。ランダム読み出しも41MB/sとなっており、まずますのスコア。

冒頭でも書いたように、自作PC向けSSDの主流はすでにNVMe M.2 SSDなので詳細検証は省略して、早速、これまで使用していた860 QVO 4TBからゲームデータ、”2.8TB”程度をマルっとコピーしました。
データ量も多く、「Samsung SSD 870 QVO 8TB」はQLC型SSDということもあってコピー完了まで5時間ほどかかりました。ゲームフォルダ内にはランダム性のあるデータもあるので、厳密ではありませんが、SLCキャッシュ外の書き込み速度は150MB/s程度でした。概ね仕様通りです。

これまでゲームインストール先に使っていた860 QVO 4TBのWindows上ボリュームは3.6TB程度に対して、コピーしたゲームデータは上に書いた通り”2.8TB”程度でした。
元々、空き領域が足りなくなってきていたので優先度の低いゲームをアンインストールして多少の余裕を作っていたのですが、それも400GB程度であり、860 QVO 4TBにはさらに謎の使用済み容量400GBが……。なぜ?

結論から言うと、謎の使用済み容量400GBはゴミ箱の復旧用データでした。
Windowsのゴミ箱はCドライブ(システムストレージ)に共有で作られるもの、と勝手に考えていたのですが、各ドライブの$RECYCLE.BINというフォルダ内に格納されていました。
ゲームインストール用SSDは複数システムで使いまわしていたので、新しいシステムに接続する毎にゴミ箱が作成されて、そのシステムでファイルを削除するとゴミ箱の中身が溜まり、当然ですが別のシステムでゴミ箱を空にしても他のシステムで格納されたごみ箱の中身は残ったまま、という状況が重なって400GB程度の使用済み領域ができていたようです。

空き容量が800GBもあれば860 QVO 4TBでも1年くらいは延命できた気もしますが、今後、新しいゲームをインストールしていくと空き容量の管理が面倒になってくるので、結果的には「Samsung SSD 870 QVO 8TB」への買い替え時だったのかなと。
それに870 QVO 8TBにコピー作業をしなければ別システムのゴミ箱という使用済み領域の存在にも気付くことはなかったでしょうし。

2TBくらいまでだとNVMe M.2 SSDでも許容範囲内な価格で、性能も高速なので今あえてSATA SSDを選ぶ必要はありませんが、4~8TBともなると2倍を超える容量単価の差は大きく、コストパフォーマンス的にSamsung SSD 870 QVOは魅力です。
QLC型NANDなので書き込み耐性や、短期的な大容量書き込みにおける速度低下という弱点はあるものの、読み出しアクセスがメインになるPCゲームのインストール先としてはまだまだ現役で活躍できるSSDだと思います。
以上、「Samsung SSD 870 QVO 8TB」のレビューでした。

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8TB容量のNVMe M.2 SSDと比べると容量単価は2倍安い、QLC型3D NAND採用2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 870 QVO 8TB」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 23, 2022
PCゲームインストール先として860 QVO 4TBでは足りなく?なってきたので買い換えました。https://t.co/10Thhg56pV pic.twitter.com/m8OS7sVheG
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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