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Intel Xeon W-2400X/3400XシリーズCPUの大型IHSと余すことなく接触する大型銅製ベースプレートを採用する360サイズAIO水冷CPUクーラー「SilverStone XE360-4677(型番:SST-XE360-4677)」をレビューします。
56コア112スレッドのウルトラメニーコアで倍率アンロックなCPU「Intel Xeon w9-3495X」を使用して「SilverStone XE360-4677」の冷却性能を徹底検証します。
製品公式ページ:https://www.silverstonetek.com/jp/product/info/coolers/xe360_4677/
SilverStone XE360-4677
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レビュー目次
1.SilverStone XE360-4677の外観・付属品
2.SilverStone XE360-4677の水冷ヘッドと水冷チューブ
3.SilverStone XE360-4677のラジエーターと冷却ファン
4.SilverStone XE360-4677の検証機材・セットアップ
5.SilverStone XE360-4677のファンノイズと冷却性能
6.SilverStone XE360-4677のレビューまとめ
【機材協力:SilverStone】
SilverStone XE360-4677の梱包・付属品
まずは「SilverStone XE360-4677」の外観や付属品をチェックしていきます。「SilverStone XE360-4677」の製品パッケージはN式サイド差込式と呼ばれるタイプの箱です。スポンジ製スペーサーに簡易水冷クーラー本体や付属品が収められていました。
簡易水冷CPUクーラー本体と冷却ファン以外の付属品は、マニュアルと小分けのパッケージ入ったネジ・ケーブル類となっています。
各種付属品が封入されている小分けパッケージの中身をチェックしていきます。
ラジエーターにファンを固定するための長ネジが12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが12本あります。(240サイズ/280サイズの場合、固定ネジは8本ずつとなります)
360サイズラジエーター搭載モデルの「SilverStone XE360-4677」は120mmファン冷却ファンを3基使用するのでPWM4PINファン端子用の3分岐ケーブルが付属します。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II」は水冷ポンプの電源を3PINファン端子から取得する構造になっていますが、4PINペリフェラルから電源を取得できる変換ケーブルも付属します。近年のマザーボードはいずれも2A以上の出力で水冷対応ファン端子があるので変換ケーブルの出番はないと思いますが。
「SilverStone XE360-4677」は水冷ヘッドの固定にT30のトルクスドライバーが必要ですが、CPUクーラーには付属していません。
Ryzen Threadripperに付属するような形状のトルクグリップとT30の長軸ビットを用意するのがオススメです。
1/4”ビットのドライバーを使用しているのであればトルク空転ビットでも対応できます。あとは初期費用は割高になりますが可変トルク調整に対応したトルク空転ドライバーを買っておけば別プラットフォームで異なるトルクが必要になっても買い替えの必要がなく便利です。
LGA4677ソケットの場合、CPUクーラーを固定するリテンションがそのままCPU底面接点とLGAピンの接触リテンションとなっており、Intelの公式仕様では『8 lbs・in (≒ 0.9Nm)』のトルクでネジ締めが推奨されています。
CPUクーラー本体を取り出すと、水冷ヘッドからラジエーターまで全体がビニールに包まれていました。
ラジエーターの放熱フィンは出荷前のメーカーによる梱包やユーザーが取り出し時に誤って握ってしまったりして潰してしまうことが多いので厚紙スリーブで保護されている配慮はありがたいです。
SilverStone XE360-4677の水冷ヘッドと水冷チューブ
続いて「SilverStone XE360-4677」の水冷ヘッド本体をチェックしていきます。「SilverStone XE360-4677」の水冷ヘッドは水冷チューブが伸びるエルボー部分を除いて、銅製ベースプレートと金属製リテンションカバーで構成されるフルメタル仕様です。
銅製プレート部分はニッケルメッキにシルバーがそのまま、黒色のリテンションカバー部分もSilverStoneのロゴが白色で描かれているだけで非常にシンプルなデザインです。
「SilverStone XE360-4677」は水冷ポンプが水冷ヘッドに内蔵されていないので、全高が非常に低く、水冷チューブを十分に寝かせれば、CPUソケットの左右にあるメモリの高さを勘案しても全高50mm以下に収まります。
銅製ベースプレートを覆っている黒色のリテンションカバーは金属製で厚み5.5mmなので、LGA4677ソケットの適正圧である0.9N・mで締めても反る心配はありません。
「SilverStone XE360-4677」ではCPUヒートスプレッダと接する銅製ベースプレートに熱伝導グリスが格子状に塗られています。
「SilverStone XE360-4677」のCPUと接触するベース部分は銅製で、ニッケルメッキ処理も施されています。銅製ベースプレートは鏡面磨き上げではなく、細かい削り跡?のようなものも見えますが、ごく近い物は映り込む程度に滑らかな表面に研磨されています。
「SilverStone XE360-4677」には84mm×68mmの大型銅製ベースプレートが搭載されています。
既存のCPUと比較して超大型なヒートスプレッダを搭載するIntel LGA4677ソケットの第4世代XeonスケーラブルプロセッサーシリーズやIntel Xeon W-2400X/3400Xシリーズをしっかりとカバーします。
「SilverStone XE360-4677」の水冷チューブは水冷ヘッド中央の出っ張りから12時の方向へL字エルボーを介して伸びる構造になっています。
ロータリー式L字エルボーは左右にほぼ180度、広い可動域が確保されています。
水冷チューブには劣化に強く水漏れ、クーラントの揮発の心配がないポリアミドゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
水冷チューブの長さは約450mmです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
水冷チューブの径は13mm程と比較的太めなのでチューブ折れや潰れの心配はあまりありませんが、少し曲げにくくなっています。
とはいえ大型ラジエーター搭載モデルなのでミドルタワー以上のPCケースに搭載することが前提になっており水冷チューブの取り回しに困ることはないと思います。
SilverStone XE360-4677のラジエーターと冷却ファン
続いて「SilverStone XE360-4677」のラジエーター部分をチェックしていきます。「SilverStone XE360-4677」のラジエーターのデザインは一般的なもので、簡易水冷クーラーの一部モデルに採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。
放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点でも狭すぎず広すぎずちょうどいい塩梅です。このフィンピッチであれば低速ファンによる静音動作から高速ファンによる高冷却動作まで幅広く対応できると思います。
「SilverStone XE360-4677」のラジエーターの厚さは簡易水冷CPUクーラーとしては標準的な30mm厚となっています。冷却ファンを設置するとファン&ラジエーターの厚さは55mm程度です。
簡易水冷CPUクーラーでは水冷ヘッドにポンプが内蔵されているのが主流ですが、「SilverStone XE360-4677」はラジエーターコアの中央に水冷ポンプが搭載されています。熱源のCPUからポンプが離れることで、ポンプの長寿命化が期待できる構造です。
ポンプ電源は3PINファン端子ケーブルから取得します。変換ケーブルが付属するので、マザーボードファン端子の電力出力がポンプ非対応でも4PINペリフェラルから電源を取得できます。
ポンプ回転数の定格仕様値は3400RPMとなっていますが、実動値でフルスピードは4000RPMでした。
PWMによる速度調整には非対応ですが、DC降圧による速度調整には対応しており、ASUS Pro WS W790E-SAGE SEの場合、60%に設定すると3000RPM前後まで回転数を落とすこともできました。
「SilverStone XE360-4677」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、120mm角サイズ冷却ファン(型番:APA1225H12)が標準で3つ付属します。
付属ファンの定格(最大)回転数は2800RPM、PWM速度調整に対応し、600~2800RPMで速度調整可能です。
軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
「SilverStone XE360-4677」には、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×3セットで計12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×3セットで計12本が付属します。
冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用して欲しいところです。
SilverStone XE360-4677の検証機材・セットアップ
「SilverStone XE360-4677」を検証機材のベンチ機にセットアップします。「SilverStone XE360-4677」の検証機材として、Intel Xeon w9-3495XとASUS Pro WS W790E-SAGE SEなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows11 Home 64bit |
CPU | Intel Xeon w9-3495X (レビュー) |
マザーボード | ASUS Pro WS W790E-SAGE SE (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Zeta R5 DDR5 R-DIMM F5-6400R3239G16GE8-ZR5K 16GB×8=128GB (レビュー) 6400MHz, CL32-39-39-102 |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー) |
電源ユニット | Corsair HX1500i 2022 (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
Intel Xeon W-3400XシリーズCPUの検証機ではシステムメモリとして、DDR5 R-DIMMながらIntel XMP3.0によるメモリOCに対応した「G.Skill Zeta R5 DDR5 R-DIMM(型番:F5-6400R3239G16GE8-ZR5K)」を使用しています。
サーバー・WS向けプラットフォームなのでOCに躊躇する人もいると思いますが、Xeon W-2400X/3400XをCore-Xの後継、ゲームもクリエイティブタスクもこなせる超高性能なハイエンドデスクトップとして運用したい人には、6000MHz超のメモリOCに対応したG.Skill Zeta R5 DDR5 R-DIMMシリーズはオススメです。
・「G.Skill Zeta R5 DDR5 R-DIMM」をレビュー。6400MHz/CL32のOCを試す!
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を使用しています。
Samsung SSD 990 PROは、PCIE4.0対応SSDで最速クラスの性能を発揮し、なおかつ電力効率は前モデル980 PRO比で最大50%も向上しており、7GB/s超の高速アクセスでも低発熱なところも魅力な高性能SSDです。
これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 990 PRO 1TB」をレビュー。性能も電力効率もトップクラス!
今回はIntel Xeon W-2400X/3400XシリーズCPUに対応するIntel LGA4677マザーボード ASRock W790 WSを例にして「SilverStone XE360-4677」の設置手順を簡単に紹介します。
Intel LGA4677ソケットは、Intel LGA1700やAMD AM5といったメインストリーム向けのLGAソケットと大きく異なるポイントとしてCPUソケット自体にはCPUを上から押さえつけて固定するフレームがありません。
LGA4677ソケットではマザーボード自体にCPU単独で固定することはできないので、Intel Xeon W-2400X/3400XシリーズCPUのボックス品にはプロセッサーキャリアと呼ばれる、CPUクーラー側にCPUを固定するフレーム部品が付属しています。
CPUはプロセッサーキャリアによってCPUクーラーベースプレートに固定されて脱落することはないので、CPUクーラーの着脱時にCPUクーラーからCPUが落下してLGAソケットがピン折れする心配はありません。
LGA4677ソケットにおいて、プロセッサーキャリアを使用したCPUクーラーへのCPUの装着、CPUクーラー本体のマザーボードへの固定、といった手順はほぼ共通なので、まずはDIY水冷用の水冷ブロック EKWB EK-Pro CPU WB 4677を例にして基本的な設置手順を紹介していきます。
まずはT30のCPUクーラー固定ネジ 4ヶ所に併設されている針金レバーを立ち上げ、裏返してベースプレートを上に向けます。ベースプレート側からプロセッサーキャリアを装着します。
続いて熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
通常グリスを塗る量はてきとうでOKで、管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
ただしIntel Xeon W-2400X/3400XシリーズCPUはヒートスプレッダのサイズが大きいので、同じくヒートスプレッダが大きいAMD Ryzen Threadripperのグリスの塗り方としてNoctuaが推奨している方式を真似て、今回はグリスを塗りました。
なお「SilverStone XE360-4677」については、CPUヒートスプレッダと接する銅製ベースプレートに同社製ハイパフォーマンス熱伝導グリス NT-H1が格子状に塗られているので、初回使用時は各自でグリスを塗布する必要はありません。
CPUヒートスプレッダにグリスを塗ったら、プロセッサーキャリアの上からCPUを装着します。CPU本体とプロセッサーキャリアで右下の▲マークの向き(位置)が一致しているか注意してください。
CPUクーラーにプロセッサーキャリアを介してCPU本体を固定したら、マザーボードのCPUソケットにある▲マークと、プロセッサーキャリアの▲の切り抜きの位置が一致するように注意してCPUクーラーをマザーボードに置きます。
ネジ締めの前に、最初に引き上げた針金レバーを下ろし、CPUソケットからCPUクーラーが動かないように簡易ロックします。
以上がLGA4677ソケットで一般的に共通するCPUクーラーの固定手順です。
「SilverStone XE360-4677」の水冷ヘッドは上下向きが分かり難いのですが、CPUソケットが縦長の向き場合、L字エルボーが下側に来るのが正しい向きになります。
「SilverStone XE360-4677」の水冷ヘッドは完全に対称な形状に見えますが、プロセッサーキャリアの左下にある▲の出っ張りに合わせて、黒色リテンションカバーの角が落とされています。
「SilverStone XE360-4677」はLGA4677ソケットの標準的なマウント構造なので、水冷ヘッドをマザーボードに乗せ、レバーで簡易ロックしたら、トルクスドライバーで対角順にネジ止めしします。
なおLGA4677ソケットの場合、CPUクーラーを固定するリテンションがそのままCPU底面接点とLGAピンの接触リテンションとなっており、Intelの公式仕様では『8 lbs・in (≒ 0.9Nm)』のトルクでネジ締めが推奨されています。
万全を期すのであれば、Ryzen Threadripperに付属するような形状のトルクグリップとT30の長軸ビットを用意するのがオススメです。(ENERMAX LIQTECH TR4 IIはプラスネジのビットが必要)
1/4”ビットのドライバーを使用しているのであればトルク空転ビットでも対応できます。あとは初期費用は割高になりますが可変トルク調整に対応したトルク空転ドライバーを買っておけば別プラットフォームで異なるトルクが必要になっても買い替えの必要がなく便利です。
以上で「SilverStone XE360-4677」の設置完了です。
「SilverStone XE360-4677」のようなAIO水冷CPUクーラーは冷却性能の高さだけでなく、周辺コンポーネントとの干渉の心配がないところも魅力です。
第4世代XeonスケーラブルプロセッサーシリーズやIntel Xeon W-2400X/3400Xシリーズに対応するIntel LGA4677ソケットのマザーボードはCPUソケットの両側にメモリスロットがあり、またサーバー・WS向けということもあってPCIEスロットを多数設置するため1/2段目も使用されていて、空冷CPUクーラーではこれらがファンやヒートシンクと干渉することがあります。
SilverStone XE360-4677のファンノイズと冷却性能
続いて本題となる「SilverStone XE360-4677」の冷却性能と静音性を詳細に検証していきます。検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
「SilverStone XE360-4677」は120mm角サイズの冷却ファンが標準で付属していますが、今回の検証では冷却ファンにNoctua NF-A12x25 PWMを使用しました。静音性についてはファン次第なので今回は検証を割愛します。
当サイト的には「Noctua NF-A12x25 PWM」や「Thermaltake TOUGHFAN 12」のような静圧の高さも重視した設計の高性能冷却ファンへの換装がオススメです。
続いて「SilverStone XE360-4677」など各種CPUクーラーの冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてHandBrakeによるx264動画エンコードを使用しています。
4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行のようにメニーコアでもCPUに遊びが生じないよう動画エンコードの並列実行数は適宜調整しています。なおテスト中の冷却ファンや水冷ポンプの回転数は一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
「SilverStone XE360-4677」は第4世代XeonスケーラブルプロセッサーシリーズやIntel Xeon W-2400X/3400XシリーズといったIntel LGA4677ソケットに対応したCPUクーラーですが、今回の検証では56コア112スレッドのウルトラメニーコアながら倍率アンロックでOCに対応する「Intel Xeon w9-3495X」を使用して冷却性能を検証していきます。
・「Intel Xeon w9-3495X」をレビュー
まずは単純にXeon w9-3495Xを定格設定(ASUS Multicore EnhancementをDisabled - Enforce All limits)とし、長期間電力制限 PL1:350W、短期間電力制限 PL2:420Wで動作させてみました。
メモリOC設定については検証機材メモリ G.Skill Zeta R5 DDR5 R-DIMM F5-6400R3239G16GE8-ZR5Kに収録されたOCプロファイルを適用し、メモリ周波数6400MHz、メモリタイミング32-39-39-102、メモリ電圧1.400Vです。
「SilverStone XE360-4677」で冷却ファンにNoctua NF-A12x25 PWMを組み合わせ、ファン回転数を1600RPMに固定してストレステストを実行した時のCPU温度は次のようになりました。
Xeon w9-3495XにはIntel公式の仕様値であるTDP350Wの定格動作の通りに電力制限を課しているので、CPU Package Powerは350W前後で推移していますが、ストレステスト中のCPU温度は、十分に低い50度未満に収まりました。
TDP350Wと聞くと発熱が凄そうですが、「SilverStone XE360-4677」ならXeon w9-3495Xの定格運用は余裕です。(実のところ56コアに分散するのでNoctua空冷とかでも定格は余裕ですが)
上の通り定格運用は余裕だったので、続いて「SilverStone XE360-4677」がXeon w9-3495XのOC&電力制限解除にどこまで対応できるかチェックしていきます。
BIOS設定はASUS Multicore EnhancementをAutoに変更し、残りのOC設定はWindows OS上から調整が可能なIntel XTUを使用して行いました。Intel XTUから行うOC設定はシンプルにBy Core Usage倍率の56コアをx35倍に、PL1:700W、PL2:840Wとしました。
今回検証機材として使用しているW790マザーボードのASUS Pro WS W790E-SAGE SEは、付属ファンマウントによる40mm角ファン×3の増設だけでも500~600W級のOCに対応可能ですが、700~800W級のOCを行う場合は、さらにCPUソケットからVRM電源周りにファンを使用して冷却補助を行う必要があります。
そのため今回の検証でもCPUソケットとVRM電源の中間部分に92mm角ファン(1500RPM)をスポットークーラーとして配置しています。
ちなみに上記の設定でXeon w9-3495XをOCすると、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは86000~87000程度になり、定格と比較してマルチスレッド性能は30~40%程度向上します。
「SilverStone XE360-4677」で冷却ファンにNoctua NF-A12x25 PWMを組み合わせ、ファン回転数を2000RPMに固定してストレステストを実行した時のCPU温度は次のようになりました。
PL1:700W設定なのでCPU Package Powerが700W前後、EPS電源経由の消費電力は850~900Wで推移しますが、CPU温度は80度以下に収まっています。
Xeon w9-3495XでCPU温度によってコアクロックや電力に制限がかかる閾値(ジャンクション温度)は99度ですが多少余裕を見て、「SilverStone XE360-4677」だとこの辺りがXeon w9-3495Xの常用OCでCPUを冷やせる限界になりそうです。
SilverStone XE360-4677のレビューまとめ
最後に「SilverStone XE360-4677」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Intel LGA4677専用のCPUクーラー
- Intel LGA4677 CPUでも余裕のある84x68mmの超大型ベースプレートを採用
- 360サイズの大型ラジエーター採用なので放熱容量も大きい
- 56コア112スレッドXeon w9-3495XをTDP350Wの定格で運用できる冷却性能
- 56コア112スレッドXeon w9-3495Xを700W超級のOCで運用できる冷却性能
- 空冷ヒートシンクとは違い、水冷ヘッドはシステムメモリやPCIEスロットと干渉しない
- 水冷チューブを十分に寝かせれば全高50mm以下のロープロファイルに
- 水冷ヘッドの固定に必要なT30のトルクスドライバーは付属しないので注意
- ファン・ラジエーターの固定ネジの規格はUNC #6-32
- 税込み5~6万円と非常に高価(2023年7月現在)
冷却性能の検証結果の通り、「SilverStone XE360-4677」は、定格で350WのCPU消費電力が発生するXeon w9-3495Xに余裕で対応し、さらには700W超のOCも十分にこなせる冷却性能を発揮しました。
最上位モデルのXeon w9-3495Xでもこれくらい冷やせたので、Xeon W-2400X/3400Xシリーズ各種については定格はもちろん、400~700Wを超えるOCにも十分対応できるはずです。
大型ベースプレートを採用し、360サイズの大型ラジエーターを搭載しているので、「SilverStone XE360-4677」は購入してそのまま使える既製品のLGA4677対応CPUクーラーとしては最強の冷却性能を実現しています。
AIO水冷クーラーの「SilverStone XE360-4677」はラジエーターの設置スペースこそ要求されるものの、水冷ヘッド自体は空冷CPUクーラーのヒートシンクと比較してコンパクトなので、システムメモリやPCIEスロットとの干渉が発生しないところも魅力です。
以上、「SilverStone XE360-4677」のレビューでした。
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Xeon W-2400X/3400Xの大型IHSと余すことなく接触する大型銅製ベースプレートを採用する360サイズAIO水冷CPUクーラー「SilverStone XE360-4677」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 12, 2023
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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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