WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB and 2TB


スポンサードリンク




Western DigitalのPCゲーマーなどハイエンド志向なユーザーをターゲットにしたWD Blackシリーズから発売された、DRAMキャッシュレスながら連続読み書き7GB/sの高性能かつ、コストパフォーマンスにも優れるPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」をレビューします。



レビュー目次


1.WD_BLACK SN7100 NVMe SSDについて
2.WD_BLACK SN7100 NVMe SSDの外観
3.WD_BLACK SN7100 NVMe SSDの検証機材と基本仕様


4.WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBのベンチマーク比較
5.WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの連続書き込みについて
6.WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの消費電力と温度


7.WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの実用性能比較
8.WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBのデータコピー・ゲーム性能比較


9.WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBのレビューまとめ



製品公式ページ:https://shop.sandisk.com/ja-jp/products/ssd/internal-ssd/wd-black-sn7100-nvme-internal-ssd






【機材協力:WD 国内正規代理店 株式会社ケミック】



WD_BLACK SN7100 NVMe SSDについて





WD_BLACK SN7100 NVMe SSDの外観

まず最初に「WD Blue SN7100 NVMe SSD」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
WD_BLACK SN7100 NVMe SSDのパッケージは、近年のWD_BLACK製品と同じく、マットブラックを基調にオレンジのアクセントカラーで洒落なデザインです。
DSC03498_DxO
紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。
DSC03508_DxO
DSC03509_DxO

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」のSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
SSD基板の表面にはM.2端子の側から順にメモリコントローラー、逆側の中央あたりに1枚のメモリチップが実装されています。最大容量の2TBモデルでも同じレイアウトです。
DSC03516_DxO
DSC03518_DxO
WD_BLACK SN7100 NVMe SSDは500GBから最大容量の2TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
DSC03517_DxO

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」には、前モデルSN770とは異なる新たなインハウス製メモリコントローラー(A101-000172-A1、A101-000101-A1)が採用されています。DRAMキャッシュは非搭載です。

DSC03522_DxO-horz
DSC03525_DxO-horz

今回入手したサンプル機はメモリコントローラーに刻印されている型番が微妙に違いました。
筆者の手持ちと逆に、A101-000101-A1を搭載した1TBモデルやA101-000172-A1を搭載した2TBモデルも他所のレビューで確認できるのでロットか製造年月日の違いだと思います。

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」にはメモリチップとして、KIOXIA製メモリの最新世代である218層TLC型3D NAND”BiCS8”が採用されています。

1チップ2TB容量のメモリチップはBiCS5、BiCS6の旧世代にもありましたが、パッケージサイズが明らかに小さくなっているので、微細化の進んだ最新世代であるBiCS8と考えていいと思います。
KIOXIA純正のEXCERIA PLUS G4や同リファレンス基板ベースのCorsair MP700 Eliteなど、BiCS8が採用されているSSD製品は他にもありますが、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」のものとはパッケージサイズが違います。東芝&WDの流れを継ぐKIOXIAなので1チップ2TBが可能な専用品なのかも。
DSC03526_DxO-horz

KIOXIAの最新メモリ BiCS8については同社公式ページでも解説されていますが、CBA(CMOS directly Bonded to Array)とOPS(On Pitch SGD)という新技術を採用しています。
BiCS8は3D NANDの積総数が218層となっており200+層の各社最新メモリと比較した時に単純な積層数では劣りながら、18.3Gb/mmという最も高いメモリ密度を実現しています。

また競合メーカーは1チップで2400MT/s程度が多い中、BiCS8はCBAに加えてHigh-k/Metal Gate(HKMG)を導入することで、最終的な量産品においては3600MT/sの入出力速度を実現しています。


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
HMB(Host Memory Buffer)_architecture



WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの検証機材と基本仕様

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 9 7950X (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N
DDR5 16GB×2=32GB (レビュー
マザーボード
GIGABYTE X670E AORUS MASTER
レビュー
ビデオカード PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8
Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー
OS Windows 11 Pro 64bit 22H2
電源ユニット Corsair HX1500i 2022 (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

DSC07770_DxO
DSC07773_DxO

システムメモリの検証機材には、Ryzen 7000用OCメモリのスイートスポットとアピールされているメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
G.Skill Trident Z5 Neo

2023年最新のSSDレビューでは高度に圧縮されたゲームデータをグラフィックボードのVRAMへ直接取り込んで、GPUによって高速に展開するDirectX 12のDirectStorageのようなAPIに対応したPCゲームも検証しています。
その時にSSDの理想的な性能を検証できるように、最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。

PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN


検証環境については上述の通り、AMD Ryzen 9 7950XやGIGABYTE X670E AORUS MASTERで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはマザーボード上のCPUソケット直下に配置されている、CPU直結PCIE5.0x4レーン接続のM.2スロットに設置しています。
またサーマルスロットリングによる性能低下の可能性を排除するため、JIUSHARK M2-THREEという60mm角ファンでアクティブ冷却できるM.2 SSDヒートシンクを組み合わせた状態で設置しています。
DSC07776_DxO

GIGABYTE X670E AORUS MASTERにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Ryzen 7000シリーズCPU&X670Eマザーボードの環境においてCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0x16レーンに加えて、NVMe M.2 SSD用のPCIE5.0x4レーンが2つがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このNVMe M.2 SSD用のCPU直結PCIE5.0x4レーンが最速となります。
Storage Test System_202308
AMD X670E and X670_Diagram


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
WD_BLACK SN7100 1TB_CDI

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 2TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは1.81TBでした。
WD_BLACK SN7100 2TB_CDI


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」の1TBと2TBはSSDが指定する最適バッファサイズは64MBで、実際に確保されるバッファサイズも64MBでした。
WD_BLACK SN7100 1TB_HMB-horz


専用アプリ WD Dashboardについて

「WD_BLACK SN7100」などWD製SSD向けには純正クライアントアプリケーション WD Dashboardが配布されています。
ランダム性能を引き上げるゲームモードの切り替えやファームウェアの更新といったSSDの管理をWD Dashboardから行うことが可能です。
WD_BLACK SN7100_WD Dashboard (1)
WD_BLACK SN7100_WD Dashboard (2)

「WD_BLACK SN7100」はPCで使用する場合限定ですが、純正クライアントアプリケーションWD Dashboardから設定を行うことでゲーム性能を引き上げるゲームモードに切り替えが可能です。ゲームモードの切り替えにはシステムの再起動が要求されます。
WD_BLACK SN7100_WD Dashboard_Game-Mode
WD_BLACK SN850X NVMe SSD_Game Mode_2



WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBのベンチマーク比較

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。

まずはCrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し7300MB/s、連続書き込み6900MB/sとなりました。製品公式仕様通りの性能です。
実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も120MB/s程度と非常に高速です。
WD_BLACK SN7100 1TB_CDM8m_1GiB

前モデル WD_BLACK SN770や下位ブランド WD Blue SN5000より2GB/sも高速になった連続性能に目が行きがちですが、100MB/sを軽く超えてくる4Kランダム性能が「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」の最大の注目ポイントだと思います。

Intel/AMDプラットフォームの違いや、グラフィックボード向けPCIEレーン(帯域分割のM.2スロット)を使用するかによってCDMベンチマークスコアは結構差が出るのですが、当サイトSSDレビューの統一検証環境の場合、Samsung SSD 990 PROなど最速クラスの製品でも4Kランダム(Q1T1)の読み出し速度はせいぜい90MB/sを少し超える程度でした。
GB/s単位で異なる連続読み書きに比べて小さい差に思えるかもしれませんが、120MB/sという数字は数段飛ばしで飛躍した感じのある性能向上です。

2TBモデルも製品スペックの通り、連続読み出し7300MB/s、連続書き込み6900MB/s程度です。こちらも1TBモデル同様に4Kランダム読み出し(Q1T1)も120MB/s程度と非常に高速です。
WD_BLACK SN7100 2TB_CDM8m_1GiB

なお「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」のようにDRAMキャッシュレスでHMBに対応したNVMe SSDの特長というか弱点として、CrystalDiskMarkでテストサイズが1GiB程度だと問題ないのですが、8GiBに増やすと一部のアクセスタイプで速度低下が発生します。
実用シーンで影響を確認したことはないものの、理論上は数GBのファイルとしてアーカイブ化されていることの多いゲームデータへのアクセスには不利なので、DRAMキャッシュ搭載が信頼される理由だったり。

前モデル WD_BLACK SN770や下位ブランド WD Blue SN5000では実用性能に影響が大きいとされる4Kランダム(Q1T1)の読み出し速度が低下したのですが、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」は1GiBも8GiBも同じです。
ただキュー・スレッド数の大きい4Kランダム書き込みやミックスアクセスが比較的に大きく低下する傾向でした。
WD_BLACK SN7100 1TB_CDM8m_8GiB
WD_BLACK SN7100 2TB_CDM8m_8GiB

以下、各種比較対象SSDのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアになっています。

AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB_AS_1GB
WD_BLACK SN7100 2TB_AS_1GB

以下、各種比較対象SSDのAS SSD Benchmark ベンチマークスコアになっています。


Anvil’s Storage Utilities v1.1.0 (1GB)について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB_Anvil
WD_BLACK SN7100 1TB_Anvil_4K-IOPS
WD_BLACK SN7100 2TB_Anvil
WD_BLACK SN7100 2TB_Anvil_4K-IOPS

以下、各種比較対象SSDのAnvil’s Storage Utilities ベンチマークスコアになっています。


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_ATTO_QD1_read
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_ATTO_QD1_write
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_ATTO_QD4_read
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_ATTO_QD4_write
WD_BLACK SN7100 1TB_ATTO_QD1-horz
WD_BLACK SN7100 2TB_ATTO_QD1-horz



WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの連続書き込みについて

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC/QLC型SSDの高速書き込みキャッシュ機能について

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDメモリチップが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、記憶領域の一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化するので、この高速キャッシュ領域はSLCキャッシュと呼ばれています。
(現在はSLC化が主流ですが、将来的な可能性としてMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュ機能を採用するSSDでは、短いスパンで連続した大容量の書き込みが発生し、書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります
例えばPCIE4.0x4接続に対応するNVMe M.2 SSDは5~7GB/s程度の連続書き込み速度が製品仕様として公表され、実際にテストデータサイズが数GBに収まるCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトでは仕様値通りの高速書き込みが可能です。
しかしながら、高速書き込み速度を維持できるのはSLCキャッシュ内に収まる場合であって、SLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度がTLC型SSDで500~2000MB/s程度、QLC型SSDでは100~200MB/s程度へと大幅に低下します。
SLC-Cache_PCIE4x4


SLCキャッシュを評価する上で重要なことは?

SLCキャッシュを評価する上で重要なことは次の2つです。
  • 使用済みデータがある状態で50~100GB程度のSLCキャッシュを使用できるかどうか
  • 書込後のSLCキャッシュの開放はどれくらい速いか (使用済みキャッシュの開放条件)

一方、SSDレビューでしばしば検証される次の項目は実用的にはほとんど意味がありません。
  • フォーマット直後、使用済みデータなしの状態のSLCキャッシュ容量
  • SLCキャッシュ超過後の書き込み速度 (特に全域書き込みの検証)

SLCキャッシュ容量は空き容量依存で可変、使用済みデータがある状態で50~100GBを確保する製品が大半という現状にマッチしていない検証、評価が多いので注意が必要です。

またSSDを1~2年程度で使い潰す(保証値TBWを上回る)ような使い方でもない限り、50~100GBのSLCキャッシュを超過するような書き込みは日常的に発生することはないので、SLCキャッシュ超過後の書き込み速度も重要ではありません。


WD_BLACK SN7100 NVMe SSDのSLCキャッシュを確認

最新のTLC型NANDをメモリチップに採用する「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみました。
「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB」は空き容量が200~250GB以上あり、SLCキャッシュが十分に開放された状態であれば、100GBの書き込みを行っても、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始から一貫して6GB/sの書き込みスピードを発揮できました。
WD_BLACK SN7100 1TB_SLC-Cache_200GB-Free
WD_BLACK SN7100 1TB_SLC-Cache_250GB-Free

フォーマット直後の状態からボリューム全域に書き込みを行った時の書き込み速度の推移が下のようになっています。実用的にはあまり意味のない評価方法ですが、SLCキャッシュの挙動を把握する上では役立つこともあるので。
6GB/s前後の書き込み速度を発揮する高速なSLCキャッシュはフォーマット直後で空き容量が100%の状態なら約330GB、TLC型SSDとしては理想的な1/3容量をそのまま使用でき、超過後は書き込み速度が500MB/s程度に低下しています。
WD_BLACK SN7100 1TB_SLC Cache_writing-all

空き容量が200~300GBになるまでデータを書き込んで、SLCキャッシュが解放されるまで十分に時間が経過してから100GBのデータを書き込んでみました。
「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」のSLCキャッシュ容量はシンプルに空き容量の1/3となっており、さらに、Windows上でボリュームとして認識される容量(空き容量に比例して確保されるSLCキャッシュ)とは別に、10~30GB程度の空き容量として表示されないSLCキャッシュ用領域がありそうです。
WD_BLACK SN7100 1TB_SLC Cache_writing-Free

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 2TB」も同様に空き容量の1/3+αをSLCキャッシュとして使用できました。超過後の書き込み速度は1TBモデルよりも若干速く、700MB/s程度でした。
WD_BLACK SN7100 2TB_SLC-Cache_200GB-Free
WD_BLACK SN7100 2TB_SLC Cache_writing-all
WD_BLACK SN7100 2TB_SLC Cache_writing-Free


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」は空き容量の1/3+αというTLC型SSDのSLCキャッシュとしては理想的な構造なので基本的に100GB以上のSLCキャッシュを使用でき、SLCキャッシュの開放も高速でした。
超過後の書き込み速度は500MB/s程度とSATA SSD相当なのであまり速くはありませんが、アイドル状態になるとすぐにSLCキャッシュの開放が始まり、10分もすれば50GB~100GBは使用できるようになるので、実用的にはSLCキャッシュの超過による性能低下で不便を感じることはないと思います。



WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの消費電力と温度

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の消費電力についてチェックしていきます。
NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
GPU Power Tester_SSD_1



GPU Power Testerはその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2延長カードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するようなライザーケーブル/ライザーカードから、さらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、機器の組み合わせやPCIE5.0等の高速接続規格によってはSSDの動作が不安定になることがありますが、この方法ならマザーボードのM.2スロットにM.2 SSDを直結した時と同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
GPU Power Tester_SSD_2

まずはSSDの消費電力の傾向を把握するため、CrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)を測定負荷としてアクセスタイプ別に消費電力がどうなるのかチェックしていきます。
CrystalDiskMarkの設定は各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
CrystalDiskMarkを測定負荷とした時に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプは、消費電力が最も大きくなる、ワーストケースに近い負荷となります。
GPU-Power-Test_app_1


CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB」の消費電力は連続アクセスの最大値でも平均3.5~3.7W程度です。連続読み書きがPCIE4.0x4接続として理想的な7GB/sながら、ピーク値でも4Wを超えることはありません。実用性能への影響が大きいとされる4Kランダムについても1.3W程度です。
前モデル WD_BLACK SN770の時点ですでに非常に省電力なSSDでしたが、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」は”新時代の省電力性能”といっても過言ではないくらい、消費電力(発熱)の小さいSSDです。
WD_BLACK SN7100 1TB_Power
公式仕様でも前世代と比較して100%の省電力性能向上がアピールされていますが、CDMの連続読み書き(Q8T1)において、WD_BLACK SN770の1Wあたり1100MB/sから、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」は読み出しで2100MB/s、書き込みで1800MB/sとほぼ2倍に省電力性能が向上しています。
Crucial P310など競合する最新SSDもいる中で、頭1つ2つ飛び抜けているところもスゴイです。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_1_Read_1-horz

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」の2TBモデルは1TBモデルよりも消費電力が微増傾向ですが、やはりピーク値でも4W以下という非常に省電力なSSDです。
WD_BLACK SN7100 2TB_Power

一方、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」のアイドル状態の消費電力は1W前後で他社製品と比較して若干高めです。

近年のモバイルPCはバッテリー持続時間を少しでも伸ばすため、ASPM(Active-State Power Management)が基本的に標準で有効になっています。
デスクトップPC環境ではASPMは通常、使用されませんが、機能自体はBIOS設定とWindows設定を変更することで有効化できるので、ASPM時のアイドル電力も測定してみたところ、0.03Wまでアイドル時の消費電力が下がりました。
ASPMが使用されるモバイルPC環境なら「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD」のアイドル状態の消費電力はトップクラスに小さくなるので、モバイルPCの換装・増設用SSDとしても最適です。
WD_BLACK SN7100 4TB_idle-power_wt-ASPM


消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_1_Read_1
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_5_Write_1

実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_4_Read_4
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_8_Write_4

PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_14_Idle
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_14_Idle-aspm


続いて、実用シーンのSSD消費電力として当サイト的に重要なPCゲームのプレイシーンをチェックしていきます。
使用しているタイトルは、DirectStorageに対応するPCゲームとしてラチェット&クランク パラレル・トラブル(Ratchet & Clank: Rift Apart)とFORSPOKEN、ストレージへのAPIが従来式の高画質PCゲームとしてMarvel’s Spider-Man RemasteredとForza Horizon 5となっており、いずれも4K解像度でグラフィック設定は基本的に各設定項目が最高設定です。以上4種類のゲームを使用して120秒間の5つのシーンについてSSDの消費電力を測定しており、具体的には次の動画の通りです。


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」のDirectStorage対応を含む4種類のPCゲーム、5つのシーンにおけるSSD消費電力の推移は次のようになっています。
グラフ中には上で行ったCrystalDiskMarkによる消費電力測定の結果のうち、連続読み出し(SEQ 1M Q8T1)、ランダム読み出し(RND 4K Q1T1)、アイドルの3種類の消費電力も横線で併記しています。
2023年最新水準の高画質タイトルを使用して検証していますが、PCゲームシーンだとDirectStorage対応と従来式のどちらであっても、SSD消費電力の平均値は、CDMのランダム読み出しとアイドルの消費電力の中間に収まります。
DirectStorage対応PCゲーム、ラチェット&クランクのワープやFORSPOKENのロード・ファストトラベルでは連続アクセス的な大きい消費電力も発生しますが、いずれも1~2秒あるかどうかという瞬間的なものです。
WD_BLACK SN7100 1TB_Power_game
WD_BLACK SN7100 2TB_Power_game

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」を含めた各種ストレージについてゲームシーンの平均消費電力を比較すると次のようになっています。(最大値も併記していますが、上の推移グラフを見ての通り瞬間的なピーク値となっており測定毎に振れ幅があるので参考程度に考えてください。)
現状ではPCゲームプレイ中のSSD消費電力は、データの読み出しが多いタイトルでもCDMの4Kランダム読み出しと同程度、そうでなければアイドル状態をベースにして4Kランダム読み出し的な消費電力のアクセスがぽつぽつと発生する感じなので、製品別に見てもSSD消費電力の傾向はCDMの4Kランダム読み出しかアイドルに一致します。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_Game_1_RaC_1
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_Game_2_RaC_2
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_Game_3_Forspoken
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_Game_4_Spider
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_Power_Game_5_FH5


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の温度についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0/5.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったというのも1つ理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。

またゲームシーンの消費電力検証で見た通り、実用シーンでCrystalDiskMarkの連続アクセスのようなPCIE4.0なら7GB/s前後、PCIE5.0なら10GB/sを超える高速アクセスが長時間に渡って発生するのかは疑わしく、比較的に理想的な連続アクセスが生じる動画ファイルのコピーでも、100GBの読み書きは5GB/sなら20秒、長く見積もっても30秒前後で済むので、それ以上のストレステストに意味があるのか疑問です。
またCrystalDiskMark自体はストレージベンチとして非常に有用ですが、SSDの温度検証という観点でいうとテストの3/4で連続アクセス的な消費電力が発生するCrystalDiskMarkを測定負荷に採用するのはあまり意味がないと感じています。


延長カード型でPCIE5.0にも対応するM.2 SSD消費電力測定モジュールも無事に完成したので、PCゲーム以外の実用シーンについてもSSD消費電力を調査しつつ、SSD温度検証の在り方について調べるのが今後の課題だと思っていますが、今回は省略ということで。



マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。







WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBの実用性能比較

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。
PCMark10 Storage BenchmarkはWindows OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
PCMark10-Storage-Benchmarks


ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_PCM10_1_Summary

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB」を前モデル WD_BLACK SN770 1TBと、PCMark10 Storage Benchmarkの個別Traceについて比較(対象を100%として性能差をパーセント表示)すると、ほぼ全てにおいて大幅な高速化を果たしているのが分かります。
WD_BLACK SN7100 1TB_PCM10_5_vs1


システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_PCM10_4_Summary_Data



WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。

まずはデータコピーに関する実性能比較となります。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。
Ryzen 9 7950XとGIGABYTE X670E AORUS MASTERの検証環境で、レビューストレージはCPU直下のM.2スロットに、コピー相手のCrucial T700 2TBはPCIEスロットを挟んで1つ下のM.2スロットに設置しており、いずれも個別のCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
DSC07784_DxO


「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種検証ストレージとCrucial T700 2TBとの間で各種データをコピーした時間や転送速度の比較結果は次の通りです。

まずは50GBの動画フォルダのコピーについてですが、動画フォルダの中身は1つ10GBの大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
Windows 11 21H2以前はエクスプローラーのファイルシステムがボトルネックになるためコピー速度は3GB/s程度で頭打ちでしたが、Windows 11 22H2とPCIE5.0に対応するRyzen 7000環境であれば実際のファイルコピーで最大6GB/sに迫る転送速度を発揮できます。

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」は読み出し速度が4300MB/s程度、書き込み速度が5200MB/s程度でした。DRAMキャッシュ搭載SSDよりも少しスコアを落としますが、PCIE4.0 SSDの中では上位の性能です。Windows環境で4000~5000MB/sも出ていれば実用的には十分というか、OSやファイルシステム的にほぼ上限です。
製品スペックやCDM等IOベンチの結果通りに、前モデル WD_BLACK SN770(同等スペックのWD Blue SN5000 1TB/2TB)よりも読み書き共に高速化しています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_copy_1_movie_read
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_copy_2_movie_write

次はゲームフォルダのコピーについてですが、近年のPCゲームでは各種ゲームデータが数百MB~数GBのファイルにパッケージ化されているので、動画ファイルのコピーと同様、比較的にストレージの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。

ゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されているゲームフォルダの場合、動画ファイルのコピーよりも転送速度は若干下がりますが、それでも「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」は読み出しで4200MB/s、書き込みで4200MB/s程度という転送速度を発揮しています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_copy_3_game-seq_read
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_copy_4_game-seq_write

最後は先ほどと同じくゲームフォルダのコピーについてですが、こちらはゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されておらず、15万を超えるファイル数があるので、ランダム性能が重要になっています。

ランダム性能が重要になる実際のファイルコピーでも、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」は、WD_BLACK SN850X 1TBやSamsung SSD 990 PRO 1TBといったPCIEPCIE4.0x4接続のハイエンド製品と遜色ない性能を発揮しています。
ただしコピー元の読み出し速度がボトルネックになりやすく、コピー相手にはCrucial T700 2TBを使用しているので、書き込み性能はPCIE4.0x4接続の高性能SSDなら1300MB/s程度の速度で頭打ちになります。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_copy_5_game-rnd_read
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_copy_6_game-rnd_write


続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark -Storage-Benchmarks

3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_3DM-SB_1

3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。

3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_3DM-SB_2

3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_3DM-SB_3

3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度
について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_3DM-SB_4

3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
WD_BLACK SN7100 1TB and 2TB_3DM-SB_5


DirectX 12のDirectStorageに代表されるPCゲーム向け高速ストレージアクセスAPIに対応したPCゲームにおけるロード性能については、実際の比較検証結果を元に解説しているので、こちらの記事を参照してください。
ゲーム向け高速ストレージAPIを使用しない従来式のゲームの傾向についても、2020年から2021年頃の検証ですが比較データを使って解説しています。


結論だけ言ってしまうと、DirectStorageのサポートの有無によってNVMe SSDとSATA SSDでは大幅な性能差がありますが、PCIE3.0~5.0の帯域、TLC NANDとQLC NAND、DRAMキャッシュの有無による差は確認できませんでした。
マイナーメーカーのそもそもSSD性能が怪しい製品とかになると保証もできませんが、Micron(Crucial)、Samsung、SK Hynix(Solidigm)、WD辺りの大手メーカー製品で、NVMe SSDであれば、DirectStorage対応ゲームのロード時間はほぼ同じになると思います。ブラインドで見分けられる差でないことは確かです。
DirectStorage対応タイトルはまだ少ないですが、これからゲーム用ストレージを購入するのであれば、PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDが性能と容量単価のバランスも良く、ベストだと思います。

ちなみに好評発売中のモンハンシリーズ最新作、モンハンワイルズもDirectStorageに対応したPCゲームです。


今回はPC環境における性能を検証しましたが、同じくNVMe M.2 SSDを使用するPlayStation 5の拡張スロットによるストレージ増設についてはこちらの記事で詳細を解説しています。気になる方は参照してみてください。




WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TBのレビューまとめ

最後に「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 最大性能で連続読み出し7250MB/s、連続書き込み6900MB/s (1TB/2TBモデル)
  • PCMark10や3DMarkの実用性能ベンチでPCIE4.0 SSD 最速クラスの性能
  • PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
  • DRAMキャッシュレスで、トップクラスの低消費電力
  • SLCキャッシュは100GB以上を使用でき(空き容量の1/3+α)、使用後の開放も速い
  • 書き込み耐性の仕様値(保証条件)は1TB容量あたり600TB
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • DRAMキャッシュレス、HMB(Host Memory Buffer)対応
  • TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は500MB/s程度

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、DRAMキャッシュレスながら連続読み出し・書き込みが最大7GB/s前後というハイエンドPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能です。
PCMark10や3DMarkの実用性能系のベンチマークについても、TLC型かつDRAMキャッシュを搭載するハイエンドNVMe M.2 SSDの多くを上回り、PCIE4.0対応SSDにおいて最速クラスの性能を発揮しました。

性能そのものは上記の通り普通に良いのですが、CrystalDiskMarkの4Kランダム性能(Q1T1)が120MB/sとメチャクチャ速かったので、実用性能系のベンチマーク結果にも期待したものの、そちらは同様に頭一つ飛び抜ける感じにならなかったのは意外というか、少々拍子抜けではありました。

一方で、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」の消費電力の低さについては文句の付け所がなく、新世代を感じさせる省電力性能です。
デスクトップ自作PC用だけでなく、冷却が限定されるモバイルPCの容量増設に使用する換装用システムストレージとして見ても、省電力とコストパフォーマンスの両面で強いSSDだと思います。
今後登場が予想されるWD純正のPCIE5.0対応SSDにも期待が爆上がりしています。

「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」はTLC型SSDなので、SLCキャッシュを超過するような大容量な書き込みが発生すると書き込み速度は理想値7000MB/s程度から500~700MB/s程度まで低下します。
SLCキャッシュ超過時の速度低下は大きいですが、空き容量の1/3+αをSLCキャッシュとして使用でき、一般ユースなら100GB以上、使用済みSLCキャッシュの開放も速いので、実用的にSLCキャッシュを超過して不便を感じることはないはずです。

読み書き性能、省電力性能、コスパ、メーカーに対する信頼性などSSDを評価する上で重要なポイントについて隙がないので、『迷ったらこれを買っておけ』的な2025年最新の鉄板SSDだと思います。


以上、「WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB / 2TB」のレビューでした。
WD_BLACK SN7100 NVMe SSD 1TB and 2TB



記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。








関連記事

おすすめSSDまとめ。QLC/TLCやPCIE4.0/5.0など最新SSD事情を解説
SSDレビュー記事の一覧へNVMe SSD><M.2 SSD><SATA SSD

おすすめSSDまとめ

PS5増設にオススメなM.2 SSDを解説。ヒートシンク搭載モデルも!
PS5増設にオススメなM.2 SSDを解説

「WD_BLACK SN850X 8TB」をレビュー。最速の超大容量 8TB SSD!
WD_BLACK SN850X NVMe SSD 8TB with Heatsink

「Crucial T500 1TB / 2TB」をレビュー
Crucial T500 1TB

「WD Blue SN5000 4TB」をレビュー。QLCでも速いコスパSSDを徹底検証
WD Blue SN5000 NVMe SSD 4TB

「Crucial T705 2TB」をレビュー。PCIE5.0x4理想スペックなSSDを徹底検証
Crucial T705 2TB

「Nextorage Gシリーズ LE 2TB」をレビュー。DRAMキャッシュレスでも速い
Nextorage G-Series LE 2TB

「Solidigm P44 Pro 1TB」をレビュー。完全版SK Hynix Platinum P41か!?
Solidigm P44 Pro 1TB

「Samsung SSD 990 PRO 1TB」をレビュー。性能も電力効率もトップクラス!
Samsung SSD 990 PRO 1TB

「ASRock Blazing Quad M.2 Card」をレビュー。連続40GB/s越えなるか!?
ASRock Blazing Quad M.2 Card




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク