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GeForce RTX 4070 TiグラフィックボードとしてZOTAC GAMINGからリリースされた、全長355mmかつ4スロット占有GPUクーラー搭載で、大幅なファクトリーOCが施されたフラッグシップモデル「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO(型番:ZT-D40710B-10P)」をレビューします。
RTX40シリーズのアッパーミドルRTX 4070 Tiが、前世代ハイエンドRTX 3080やRTX 3080 Tiをどの程度上回るのか、実ゲームのベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.zotac.com/jp/product/graphics_card/zotac-gaming-geforce-rtx-4070-ti-amp-extreme-airo
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO レビュー目次
1.ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの外観
2.ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの分解
3.ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの検証機材・GPU概要
4.ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROのゲーム性能
・レイトレーシング&DLSS SR/FGの性能を検証
5.ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの温度・消費電力・ファンノイズ
6.ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROのレビューまとめ
【機材協力:ZOTAC】
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの外観
早速、ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROを開封していきます。外スリーブから取り出した内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止エアパッキン袋という一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。
付属品はPCIE5.0変換ケーブル(12VHPWR to PCIE 8PIN×3)、GPUホルダー、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の外装の大部分はプラスチック製ですが、鉱石のような表面塗装が施されているので安っぽさは感じません。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は丸みを帯びた形状が非常にユニークです。好みは分かれそうですが、近未来的デザインでハマる人にはハマる外見です。
前世代のHoloBlackシステムほどではありませんが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の側面にもホログラフィー状にグラデーション変化する透明アクリルプレートが搭載されており、見る角度によって色味が変化します。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はGPUクーラー側面に加えて、バックプレート上のZOTACロゴやライン状部分にもLEDイルミネーションが内蔵されており、PCケース内部に設置した後もケース内を鮮やかにライトアップしてくれます。
またグラフィックボード基板上のLEDヘッダーを付属ケーブルによって延長し、ARGB対応VD-G型汎用4PIN LEDヘッダーに変換することで、別売りのLEDイルミネーション搭載GPUホルダーなどARGB対応LED機器をグラフィックボードから制御できます。
ただケーブルのコネクタを装着するLEDヘッダーがヒートシンクで囲まれており、ケーブルを着脱するのがかなり難しいところは改善の余地があると思いました。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の全長は355.5mmとなっており、300mm超のモデルも多いRTX 4070 Tiオリファンモデルの中でも最大級です。
近年主流なオープンスペースタイプのPCケースなら干渉の心配はありませんが、PCケースフロントにストレージベイがある少し古めのPCケースではグラフィックボード設置スペースのクリアランスに注意が必要です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は全長も非常に巨大ですが、PCIEブラケットからはみ出す高さ方向も、グラフィックボード基板が+30mm、GPUクーラー外装が+45mmとかなり大きいので、PCケースサイドパネルとの干渉についても注意が必要です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の3連ファンGPUクーラーには110mm径の冷却ファンが3基設置されています。
従来の同クラス製品と比較してファンブレード径が大型化しているだけでなく、厚みも60%大きくなっており、強く湾曲したファンブレードのサイズは2倍も大きくなって、大風量・高静圧を実現しています。
3基のファンは「左&中央」と「右」の2つに分けて(PCIEブラケットを左側として見た場合)、専用アプリケーションのFireStormで個別に速度制御が可能です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は、大型放熱フィンを採用したヒートシンクが搭載されており、PCIEスロットを4スロット占有します。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は補助電源コネクタとして、12+4PINでPCIE5.0補助電源と呼ばれることの多い、最新電源コネクタ 12VHPWRを1基搭載しています。RTX 4070 Tiとしては一般的なPCIE補助電源の構成です。
12VHPWRに対応した電源ユニットと組み合わせた場合、電源ケーブル1本だけでスマートに配線が可能です。
12VHPWRに対応する電源ケーブルが付属する自作PC向け電源ユニットは2023年1月現在、まだ市場にほとんど出回っていませんが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は現在主流なPCIE 8PIN補助電源に変換するケーブルが標準で付属しています。
この変換ケーブルを使用することで、従来のPCIE 8PINを3基以上使用できる電源ユニットやPCシステムであれば「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を組み込むことが可能です。
PCIE補助電源経由の消費電力が非常に大きいので、付属の分岐ケーブルを使用する場合は各PCEI補助電源に対して個別のケーブルを電源ユニットから接続するように注記もされていました。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のPCIE端子と各種ビデオ出力には黒色の保護カバーが装着されています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」にはオリジナルイラストのプリントされた金属製バックプレートが装着されています。バックプレートは単純なアルミやスチールの金属板ではなく、ダイカスト成型されており、裏面(基板側)には梁があって、より強度に優れています。
基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割に加えて、VRAMチップ実装部の裏側との間にはサーマルパッドが貼られているので冷却補助の役割を果たします。
大型化(大重量化)していくGPUクーラーに対して、GPUコアと適切な圧力でクーラーベースコアが密接しないというケースも増えつつあるようで、NVIDIA製品でも一部メーカーで取り入れられつつある、リテンションバックプレートが採用されています。
またバックプレート右端にはエアスリットが設けられており、ファンからヒートシンクを通って背面に直接風が抜けるフロースルー構造も採用されています。
GPUクーラー側面も外装で覆わず、ヒートシンク放熱フィンが剥き出しになっています。バックプレート方向だけでなく左右にも風が突き抜け、グラフィックボード周辺に熱溜まりが生じるのを抑制する構造です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は複数のBIOSを搭載したデュアルBIOSに対応し、PCIE補助電源コネクタの隣にはBIOS切り替え用スイッチが設置されています。
「AMPLIFYモード(標準設定)」と「QUIETモード」の2つのモードを簡単に切り替えることができます。ボタンを押下後にシステムを再起動するとBIOSが切り替わります。
なおグラフィックボードの重量はZOTAC GAMING GeForce RTX 4090 AMP Extreme AIROが2021g、Palit GeForce RTX 4070 Ti GameRock Premiumが1591gに対して、ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROは1946gでした。
バックプレート等で基板の反りは防止されているものの、グラフィックボードの重量は1kgを大きく超過しているのでPCIEスロットへの負荷が心配ですが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」には標準で専用GPUホルダーが付属するので、PCIEスロットへの負荷や垂れ下がりの点でも安心です。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの分解
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、一部を除く多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROのGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所とバックプレート上の6カ所、PCIEブラケット側3カ所の計13個のネジで固定されていました。
13カ所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しができます。さらにネジを解除していくとPCB基板からバックプレートも取り外しが可能です。
バックプレートとの間には、VRAMチップの裏側に当たる部分にサーマルパッドが貼り付けられているので、金属製バックプレートはそのまま放熱板としての役割も果たしています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」にはZOTACが独自に設計したオリジナル基板が採用されています。
RTX 4070 TiのGPUコアにはAD104-400-A1が使用されていました。GDDR6Xメモリは今のところ1社しか量産していないのでMicron製。今回入手した「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」にはMicron製の16GbのGDDR6Xメモリチップが表面に6枚搭載されています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のVRM電源回路はGPUコア&VRAMを挟むようにして右側に14フェーズ、左側に13フェーズで計27フェーズが実装されています。28フェーズのうちGPUコアが24フェーズ、VRAMメモリが3フェーズです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPUクーラー本体をチェックすると、GPUコアと接する部分は銅製ベースプレートが採用され、ベースコアからは9本の銅製ヒートパイプが伸び、アルミニウム製放熱フィンが4スロットスペース内いっぱいに展開されています。
GPUコアと接する部分には冷却性能の高さで定評のある銅製ベースプレートが採用され、ニッケルメッキ処理も施されています。完全鏡面というほどではありませんが、接触するくらい近くにあるものなら反射する程度には綺麗に平滑化されています。
GPUコア周辺のVRAMチップは共通の銅製ベースプレートと、VRM電源回路はヒートシンクにろう付けされた金属製プレートとサーマルパッドを介してヒートシンク本体で直接冷却するという理想的な構造です。
GPUコアと接するベースプレートからは9本の極太ヒートパイプが左右へ抜け、GPUクーラーヒートシンクの放熱フィン全体へ効率的に熱を拡散します。
ベースプレートから伸びる9本の銅製ヒートパイプによって4スロットを占有する大型GPUクーラー内部いっぱいに展開された極厚なアルミ製放熱フィンの迫力も圧巻です。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの検証機材・GPU概要
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 (ゲーム性能検証) |
|
OS | Windows11 Home 64bit |
CPU | Intel Core i9 13900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 7200MHz, 34-45-45-115 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
ゲームストレージ |
Samsung SSD 870 QVO 8TB (レビュー) |
電源ユニット | Corsair HX1500i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
検証機ではシステムメモリとして、Intel第13世代CPU向けメモリとしては4xメモリスロットのマザーボードでも動作可能な最速クラスの製品、メモリ周波数7200MHz/CL34の高メモリクロックかつ低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5シリーズはIntel XMP3.0のOCプロファイルに対応した製品となっており、6000MHzの定番設定なモデルもあり、Intel第13世代CPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで7200MHz OCに対応!
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPUクーラー側面やバックプレート上にはアドレッサブルLEDイルミネーションが搭載されています。
専用アプリ「FireStorm」で設定すればアドレッサブルな発光パターンで点灯させたり、アイドル時と負荷時で発光カラーや発光パターンを個別に設定することも可能です。
専用アプリ「FireStorm」ではマニュアルOC設定、LEDイルミネーションのライティング設定、ファン制御設定など「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の動作に関して設定が可能です。ワンクリックで自動OCが可能なOCチューニング機能「NVIDIA Scanner」にも対応していました。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROのGPU概要
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROに搭載されているGPU「GeForce RTX 4070 Ti」のスペックについて簡単に確認しておきます。「GeForce RTX 4070 Ti」はAD104-400コアが使用されておりCUDAコア数は7680、GPUコアクロックはベース2310MHz、ブースト2610MHzです。VRAMには従来よりも高速な21.0GbpsのGDDR6Xメモリを12GB容量搭載しています。メモリーバス幅は192bitなのでメモリ帯域は504GB/sです。
典型的なグラフィックボード消費電力を示すTGPは285Wに設定されており、PCIE補助電源として最新規格のPCIE5.0補助電源(12VHPWR)を要求します。なお基本的に変換ドングルが付属するので、既存のPCIE補助電源8PIN×2~にも対応します。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」については、リファレンス仕様値2610MHzに対してブーストクロック2700MHzへファクトリーOCが施されています。パワーリミット(TGP)は定格と同じ285Wとなっていますが、手動設定の場合、電力制限は+28%で最大366Wまで解除が可能です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はGPU動作モードを切り替えるデュアルBIOSに対応しています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はグラフィックボード基板上のハードウェアスイッチを押下するか、専用アプリFireStormからBIOSを切り替えが可能です。
FireStormから切り替える場合は、”Dual BIOS Switch”のボタンをクリックすると、再起動のポップアップが表示されます。”Yes Restart Now”を選択すると自動的にPCが再起動してBIOSが切り替わります。
グラフィックボードの実装されたスイッチを使用する場合は、通電中にBIOS切り替えスイッチを押下すると赤色に点灯が「AMPLIFYモード(標準設定)」へ、青色に点灯で「QUIETモード」への切り替えを示します。切り替えたいBIOSを示す色に発光したら、システムを再起動してください。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のデュアルBIOSでは上で紹介した標準動作のAMPLIFY MODEに加えて、静音性重視のQUIET MODEが用意されています。
QUIET MODEでもブーストクロックやパワーリミット(TGP)の設定値は標準モードと同じですが(電力制限解除の上限が328Wに下がる)、ファン制御だけ若干低速になって静音性が強化されます。
GPUコアの増強、コアクロックの高速化といった3Dグラフィックス関連の強化に加えて、「GeForce RTX 4070 Ti」などGeForce RTX 40シリーズの新たな特長としてハードウェアエンコーダに最新の第8世代NVEncが2基実装されています。
第8世代NVEncはAV1コーデックのエンコードに対応したところが、RTX 30シリーズの第7世代NVEncとの大きな違いです。(AV1コンテンツのデコード/再生はRTX 30シリーズですでに対応済み)
映像編集ソフトではDavinci Resolve、ビデオキャプチャソフトではOBS Studioなどが最新バージョンにおいてGeForce RTX 40シリーズによるAV1エンコードに対応しています。
AV1は従来のH.264(x264)よりも40%程度も圧縮効率に優れており、OBS Studioの場合、従来のH.264(x264)形式によってフルHD解像度で作成したコンテンツも、同等のビットレート、同等の映像品質で、AV1形式ならWQHD解像度にできます。
また従来との大きな違いとしてハードウェアエンコーダNVEncが”2基”実装されているところも大きな注目ポイントです。
2基の最新NVEncが実装されているので、Davinci ResolveなどデュアルNVEncによる書き出しに対応した映像編集ソフトではRTX 30シリーズと比較して2倍以上高速になるとのこと。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROのゲーム性能
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 3080 Ti」、「Radeon RX 6900 XT」、「GeForce RTX 3080」、「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」を使用しています。(特定のモデルや型番を指名していない場合、各GPUメーカーのリファレンスモデルもしくはリファレンス仕様のオリファンモデルです)
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はBIOSスイッチで2種類のモードを切り替えられますが、今回の検証では標準設定のAMPLIFYモードで測定しました。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク FireStrikeによる比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
RTX 4070 Ti ZOTAC AMP Ex AIRO |
53217 | 27359 | 13604 |
RTX 3080 Ti |
47119 | 23589 | 12056 |
RX 6900 XT |
53597 | 27340 | 13542 |
RTX 3080 |
43191 | 21264 | 10792 |
RTX 2080 Ti FE |
35575 | 16872 | 8550 |
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで最新タイトルでは採用が増えつつあるDirectX12ベンチマーク TimeSpy、およびレイトレーシング表現に対応したベンチマーク Port Royalによる性能比較となります。
TimeSpy | Extreme | Port Royal |
|
RTX 4070 Ti ZOTAC AMP Ex AIRO |
23146 | 11138 | 144359 |
RTX 3080 Ti |
19053 | 9586 | 12765 |
RX 6900 XT |
19897 | 9641 | 9768 |
RTX 3080 |
17407 | 8671 | 11513 |
RTX 2080 Ti FE |
14490 | 6641 | 8936 |
続いて近年の最新PCゲームを実際に用いたベンチマーク比較になります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)と4K(3840×2160)の3種類の解像度で平均FPSを比較しました。
最新タイトルでは専用ハードウェアによるレイトレーシング表現や、NVIDIA DLSS/AMD FSR/Intel XeSSといったAIを活用した超解像・倍速補間に対応したものも増えていますが、それらの機能は無効化し、ここでは従来のラスタライズ方式の3Dグラフィックス性能を比較しています。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、『Assassin's Creed Valhara』、『Battlefield V』、『CONTROL』、『Cyberpunk 2077』、『DEATH STRANDING』、『Far Cry 6』、『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』、『Forza Horizon 5』、『God of War』、『Marvel's Guardians of the Galaxy』、『MONSTER HUNTER: WORLD』、『Shadow of the Tomb Raider』、『Tales of Arise』、『UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection』、『Watch Dogs Legion』、以上の15タイトルです。
Assassin's Creed Valhara(最高設定プリセット)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Cyberpunk 2077(ウルトラ設定プリセット, FSR:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 6(最高設定プリセット, 高解像度テクスチャ:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE(テクスチャ解像度:高設定、シャドウ解像度:高設定、キャラクター表示数:10)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADEは、標準では最大フレームレートが120FPSですが、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのFFVIIHookを使用して『フレームレート制限なし』、『可変レンダリング解像度:オフ』、『モーションブラー:オフ』の設定を適用しています。加えてNVIDIAコントロールパネルから垂直同期を無効化しています。
Forza Horizon 5(エクストリーム設定プリセット, モーションブラー:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
God of War(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel's Guardians of the Galaxy(ウルトラ設定プリセット, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Marvel's Guardians of the Galaxyはゲームプレイ時の最大フレームレートは144FPSですが、ゲーム内ベンチマーク機能は144FPS以上で計測できるので、その結果を使用しています。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高画質設定プリセット, DirectX12, TAA, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Tales of Arise(最高設定, モーションブラー:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Tales of Ariseは、標準ではPlayStation 5やXbox Series Xのコンソールゲーム機版よりもオブジェクトや影の遠景描画が省略されているので、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのArise-SDKを使用して高画質化する設定を適用しています。
UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Watch Dogs Legion(最大設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROなど5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROは、前世代ハイエンドモデル RTX 3080を平均で20%程度も上回る性能を発揮しました。
競合GPUメーカーのAMDからは、GeForce RTX 4070 Tiにラスタライズ性能で競合する最新GPUとしてRadeon RX 7900 XTが2022年12月に発売されています。
GeForce RTX 4070 TiとRadeon RX 7900 XTの性能比較については、RX 7900 XTのレビュー記事の中で詳細に解説しているのでこちらをご覧ください。
レイトレーシング&DLSS SR/FGの性能を検証
上では一般的なPCゲーミングシーン(ラスタライズ式の3Dグラフィックス)における「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の性能を比較検証してきましたが、ここからはGeForce RTX 40シリーズの大きな特徴である、前世代GeForce RTX 30シリーズよりも改良されたレイトレーシング表現や、AI倍速補間にも対応したDLSS 3の性能をチェックしていきます。なおレイトレーシング表現の性能や、NVIDIA DLSS/AMD FSR/Intel XeSSなどの超解像・倍速補間の性能についてはGeForce RTX 4070 Ti リファレンス仕様の性能検証の結果を引用する形で紹介していきます。
最初に、レイトレーシング表現やDLSSについて簡単に紹介しておきます。
レイトレーシング(Raytracing)とは3Dグラフィックスのレンダリング手法の1つであり、現在主流なラスタライズ方式とある種の対になる言葉です。
レイトレーシングだけで3Dグラフィックスを全て描画しきるのはGPU性能的に現実的ではないので、ベースは従来のラスタライズ方式で行い、鏡面反射などエフェクトにレイトレーシング方式を使う、というハイブリッドなレンダリング方式が現在のレイトレーシング対応PCゲームの主流です。
レイトレーシング表現では、照明や光源(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射や透過も現実に即して忠実に描写されます。
レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。小さい光源や太陽光などが生み出す影、反射によって生まれる光が現実に対して忠実に再現されるので、画面の中に引き込まれるような奥行き、陰影を感じる映像が生まれます。
なお高画質機能 Raytracing(レイトレーシング)はMicrosoftが提供するAPI”DirectX 12”内包されるDirectX Raytracing(DXR)を使用したレンダリング機能となっており、後述のDLSSと違ってNVIDIA独自技術というわけではなく、AMD/Intel製グラフィックボード、PlayStation 5やXbox Series S/Xといったコンソールゲーム機にも互換性のある機能です。
下はPlayStation 5のMarvel's Spider-Man Remasteredでレイトレーシング表現のオン/オフを比較したものですが、オフでは鏡面になっている窓ガラスにスパイダーマンの身体の鏡像がないだけでなく、風景の反射も反対側と比較してデタラメなのが一目瞭然です。
「NVIDIA DLSS」は”Deep Learning Super Sampling”の頭文字を取った略称となっており、その名の通り、近年流行りのディープラーニングによって高画質化(超解像化)する機能で、AIレンダリングの名前でもアピールされています。
DLSSが具体的にどのように動作するか簡単に説明すると、フルHD~WQHDのリアルタイムレンダリングソースから4K映像を生み出すDLSSの原型があります。このDLSSの原型が作り出した4K映像を、16Kなど現実的にはリアルタイムでのレンダリングが難しい超々高解像度のレンダリング結果を比較し、DLSSの原型の改良版1をNVIDIAの専用サーバーが作ります。
DLSSの原型の改良版1で再び4K映像を生み出し、16Kレンダリング結果と比較して、DLSSの原型の改良版2を生み出す……、というプロセスを何万回も繰り返すことで、ユーザーに提供される汎用の、もしくは個別ゲームタイトルに特化した専用のDLSSプロファイルが出来上がります。
GeForce RTX 30シリーズの登場と共にアップデートされたDLSS2.0では最終出力解像度に対して3種類のオリジナルレンダー解像度が選択でき、4K解像度の場合は、Quality(2560×1440)、Balanced(2240×1260)、Performance(1920×1080)の3種類から選択できます。
オリジナルのレンダー解像度がフルHD~WQHDなので、DLSSによる超解像(SuperSampling)プロセスを挟むとはいえ、ネイティブに4K解像度をレンダリングするよりもフレームレートは大幅に向上します。
現在のDLSSでは16Kレンダリング結果を目標に学習が繰り返されているので、高画質アンチエイリアス技術として一般的なTAAと比較してフレームレートが大幅に向上するだけでなく、画質も改善するという一挙両得な高画質化機能になっています。
フルHDやWQHDのレンダリングソースを高品質な4K解像度に超解像化することから始まったDLSSですが、この超解像機能(DLSS SR:Super Resolution)に加えて、GeForce RTX 40シリーズが対応する最新バージョンの”DLSS 3”では倍速補間フレーム生成機能 Frame Generationが追加されたのが大きなトピックです。
倍速補間というとテレビの高画質化機能が有名ですが、テレビの倍速補間は完成した映像フレームを2つ以上(一部のハイエンドテレビだと7つなど)をソースに中間フレームを作成しています。
ソースとなる映像フレーム数が多いほど生成される中間フレームの映像的な破綻はなくなりますが、遅延が大きくなるのでゲーム用途では到底実用できません。逆にソースとなる映像フレーム数を減らすと遅延は減りますが、単純なスクロールのような画面変化しか綺麗に補間できず、映像的な破綻が増えてしまいます。
一方、DLSS 3の倍速補間フレーム生成機能 Frame Generationは、3Dオブジェクトの動きを正しく追跡できるMotion Vector(3Dオブジェクトのピクセル単位での位置や向きの履歴)に、影のような光エフェクトを正しく追跡できるOptical Flowを組み合わせることで中間フレームを生成しています。
中間フレームの生成方法が全く異なるので、DLSS 3は2フレーム(現在と1つ前)による補間と同等かそれ以下という低遅延で倍速補間を実行でき、急にポップするオブジェクトや影などの光エフェクトが破綻しにくい、という特徴があります。
現在のビルドではUIやテキストにノイズが生じやすいといった欠点はあるものの、超解像のDLSS SRも徐々に改良されていったのでDLSS FGも対応ゲームが増えるにしたがって補間品質もアップデートされていくはずです。
あとDLSS FGの副次的な効果として、中間フレームはGPUが単独で生成するので、CPUボトルネックで伸び悩むシーンでもフレームレートが向上するという効果もアピールされています。有名どころではMicrosoft Flight Simulatorが該当します。
DLSS Frame GenerationはOptical Flow Acceleratorという専用ハードウェアを使用しているので、現在、この機能を使用できるのはGeForce RTX 40シリーズに限定されています。(Optical Flow Accelerator自体は全く同じものかは不明ですがRTX 30シリーズにも存在するので、今後、対応GPUに加わる可能性があるかも)
また上記の通り、DLSS 3による倍速補間はそれそのものが遅延を生じにくい設計ですが、”DLSS 3対応”ならNVIDIA製GPU環境の低遅延技術 Reflexも含むことになっており、よりゲーム操作にラグを感じない低遅延な表示が可能です。
前置きが長くなりましたが、本題のレイトレーシング表現やDLSSの性能をチェックしていきます。
GeForce RTX 4070 Tiは非常に高性能なGPUなので、各ゲームにおいて解像度は4K解像度(3840x2160)、グラフィック設定やレイトレーシング設定は固定とし、DLSS SRのオンオフや品質設定(高性能:P、高品質:Q)のみ切り替えています。DLSS FG有効時はDLSS SRを高品質設定としています。
まずはレイトレーシング表現と超解像機能のDLSS Super Resolution(DLSS SR)に対応したタイトルとして『Cyberpunk 2077』、『Control』、『Ghostwire: Tokyo』、『Watch Dogs Legion』を使用し、GeForce RTX 4070 Tiの性能をGeForce RTX 4080、GeForce RTX 3080 Ti、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 2080 Tiと比較しました。
上で検証したラスタライズ方式の一般的なゲーミングシーンにおけるRTX 3080に対するRTX 4070 Tiのパフォーマンスゲインは20%程度でしたが、レイトレーシング表現有効時も同等かさらに+10%程度の性能向上を果たしており、シェーダーコアだけでなくレイトレーシング実行ユニットも比例して増強されているのが分かる結果です。
今回、検証にはリッチなレイトレーシング表現の分、負荷の重いタイトルを選択したので、GeForce RTX 4070 Tiでネイティブ4Kは厳しい感じですが、DLSS SRを併用すれば、軽めのタイトルなら高品質設定、重いタイトルでも高性能設定で60FPS以上をキープできます。
Cyberpunk 2077(レイトレーシング ウルトラ品質プリセット)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Cyberpunk 2077は倍速補間のDLSS FG対応予定タイトルですが、現在はテストビルドのみのサポートとなっているので、DLSS FGの検証からは外しました。
Control(高設定プリセット, レイトレーシング表現:高設定)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghostwire: Tokyo(個別画質設定最大, モーションブラー:オフ, レイトレーシング表現:高設定)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Watch Dogs Legion(最大設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:最大)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
続いてGeForce RTX 40シリーズの目玉機能でもあるDLSS 3の倍速補間 DLSS Frame Generation(DLSS FG)に対応したタイトルとして、レイトレーシング表現には非対応の『A Plague Tale: Requiem』、『Microsoft Flight Simulator』、レイトレーシング表現にも対応する『F1 2022』、『Marvel’s Spider-Man Remastered』、『The Witcher 3: Wild Hunt, Next Gen Update』を使用し、GeForce RTX 4070 Tiの性能をGeForce RTX 4080、GeForce RTX 3080 Ti、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 2080 Tiと比較しました。
DLSS 3の目玉機能 Frame Generationについては、DLSS SR(Quality)単独と比較した時のフレームレートの伸び率は5タイトル中では大きいものでも、The Witcher 3とMicrosoft Flight Simulatorの33%程度でした。
”倍速補間”という名前(正式にはフレーム生成もしくはフレーム補間ではあるものの)からすると、名前負けな性能伸び率という感想も否めません。この部分は今後のアップデートに期待したいところ。
ただDLSS FGの副次的な恩恵として公式にもアピールされていた通り、Microsoft Flight SimulatorやMarvel’s Spider-Man RemasteredのようにCPUボトルネックが強く、超解像によるGPU負荷の低減だけではフレームレートが伸び悩むタイトルにおいて20~40%程度も性能が向上するというのは魅力です。
*検証機材にCore i9 13900Kと7200MHzのDDR5メモリを使用しているため、DLSS FGなしの状態でもCPUボトルネックがかなり緩和されています。CPUやメモリの性能が低いほど、DLSS FGによる性能の伸び率が高くなるので(逆に当サイトでの検証は低くなっている)、他サイトの検証よりもDLSS FGについての評価は辛めです。
A Plague Tale: Requiem(最高画質プリセット)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Microsoft Flight Simulator(ウルトラ画質プリセット, DLSSオフ時はTAA有効)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
F1 2022(超高画質プリセット, 異方性フィルタリング:x16, DLSSオフ時はTAA有効, レイトレーシング表現:超高画質プリセットのまま)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel’s Spider-Man Remastered(非常に高い画質プリセット, DLSSオフ時はTAA有効, レイトレーシング表現:非常に高い/非常に高い/6)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Witcher 3: Wild Hunt, Next Gen Update(RTウルトラ画質プリセット, DLSSオフ時はTAA有効, DLSS FGオフ時もNVIDIA Reflex有効)に関する「GeForce RTX 4070 Ti」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROの温度・消費電力・ファンノイズ
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy(Extreme) Stress Testを使用しています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のテスト終盤におけるGPU温度は最大66度と十分に低く、ファン速度も最大1300RPMと低速です。
ハードウェアスイッチで切り替えが可能な静音性重視のQUIETモードに切り替えるとTGPはそのままですが、ファン制御が少し変わるので、GPU温度が最大67度、全体的に数度上がる代わりに、ファン速度は1100RPM前後へ少し下がります。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、GPU温度50度前後が始動閾値、GPU温度35度前後が停止閾値でヒステリシスも採用されています。製品によっては回転数が上下してふらつくことの多い始動や停止の直前も、閾値を上下した瞬間にピタッと切り替わります。
GPUコアクロックについて、今回入手した「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の負荷テスト中の実動平均は2865MHzでした。
【補足】
コアクロック比較グラフはAIBモデル別の優劣を決めるための比較ではなく、特定のGPUがだいたいどの程度のコアクロックで動作するのか確認するために掲載しています。
AMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが最も支配的なファクターです。加えて負荷中のGPU温度も5~10度刻みでブーストクロックの制御に影響します。
そのため、ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックは各メーカー内におけるOC耐性選別という意味で1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣にはあまり当てになりません。
今回検証している個体Aが他社AIBと比較して実動コアクロックが低くても、市場製品の個体Bは高い、個体Cは同程度…のように、本当に御神籤状態です。
また実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへ「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を組み込み、1時間に渡って負荷をかけた時にGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認してみました。
検証するGPUランクによって負荷を変えており、通常はTime Spy(Extreme) グラフィックテスト1、一部のウルトラハイエンドGPUにはPort Royal 4Kをループ再生させ、各GPUがMaxTGPに張り付く状態を検証しています。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。
CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
・「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
PCケースに入れた状態で長時間負荷をかけると、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPU温度は64~66度、ファン回転数は1400RPM程度でした。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はファン速度に対してファンノイズがやや大きめの傾向となっており、1400RPM程度の速度でもPCケース内からファンノイズが若干聞き取れました。とはいえ動作が分かる、という程度で煩く感じるほどではありません。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はデュアルBIOSスイッチで静音性重視のQUIETモードに切り替えが可能ですし、見ての通りGPU温度的に余力はかなりあるので、手動設定でファン速度を下げれば静音性の確保は容易です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPUクーラーは内排気ファンということもありPCケースの吸排気を最適化しないと冷却効率が下がるので、フロントx3/リアx1で140mmファンを設置して1000RPMで回しています。実際にPCケースへ組み込むユーザーはPCケースの吸排気にも注意してみてください。
加えて1時間のストレステスト終盤にサーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
TGP300W超のグラフィックボードではVRM電源回路やPCIE補助電源付近がかなり高温になるモデルも散見されるのですが、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はホットスポットでも60度台に収まっているので、運用上、特に心配する必要はありません。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」は、ベンチ板上という比較的に理想的な状況ならファン速度1100~1300RPMに対してノイズレベルが34dB以下ですが、PCケース組み込み時では1400RPM程度で、ファンノイズは35dB前後でした。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はファン径の大きさや、放熱フィンの形状などが影響しているのか、ファン速度に対してノイズレベルはやや高めの数値が出ており、体感でも確かにファン速度に対してファンノイズは大きく感じました。
PCケース組み込み時の検証でも見た通り、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPUクーラーそのものは非常に高性能で静音性的にはかなりの余力を残しています。
静音性を重視したい人はデュアルBIOS機能でQUIETモードに切り替えるか、専用アプリFireStormなどを使用してファン速度が1300RPM以下になるように各自で調整してみてください。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
グラフィックボードの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。GPU Power TesterはPCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しているので、シンプルにグラフィックボードそのものの消費電力をしることができます。
消費電力の測定にあたって検証するGPUランクによって負荷を変えており、通常はTime Spy(Extreme) グラフィックテスト1、一部のウルトラハイエンドGPUにはPort Royal 4K(GPU名に*マークを併記)をループ再生させ、各GPUがMaxTGPに張り付く状態を検証しています。
テスト全体から1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」の消費電力は271W、最大瞬間負荷は296Wでした。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」はグラフィックボード単体で300W近い消費電力を要求するので、安定した電力供給のためにも、電源容量750W以上、可能なら電源容量850Wくらいの電源ユニットを組み合わせる必要があると思います。
なお「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のTGP(パワーターゲット)は285Wに設定されていますが、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を実行中に、TGP制御のソースとなるTotal Board Powerは平均262W、最大270Wでした。
Cyberpunk 2077の4K・レイトレなど一部タイトルではさらにTotal Board Powerが増える可能性はありますが、それでも+20W程度なので「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPUクーラーなら十分に冷却は可能であり、静音性にも大きな影響はないはずです。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO レビューまとめ
最後に「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 4K/DLSSで60~120FPSのPCゲーミングに対応可能なGPU
- RTX 3080と比較しても平均20%程度、ベストケースでは30%も高速
- GeForce RTX 40の最新機能であるAI倍速補間 DLSS 3に対応
- 高圧縮かつ高画質な次世代コーデックAV1のハードウェアエンコードに対応
- 流線形でユニークなGPUクーラーの外観
- TGP285WのRTX 4070 Tiをノイズレベル33~35dB以下で十分冷やせるGPUクーラー
- GPUホルダーが標準で付属
- 全長355mm、全高がPCIEスロット+45mmと巨大なのでPCケースとの干渉に注意
- PCIEスロットを4スロット占有
- 12VHPWR電源コネクタは取り扱いに注意が必要 【解説記事へ】
- RTX 4070 Ti一般に価格が税込み15万円からと非常に高価 (2023年1月現在)
GeForce RTX 4070 Tiは、前世代ハイエンドモデルGeForce RTX 3080と比較して平均で20%程度、ベストケースでは30%も上回るグラフィック性能を実現しています。
最新アーキテクチャによってハイフレームレートのボトルネックが解消されているのでフルHD解像度やWQHD解像度でも前世代比で性能を綺麗に伸ばす一方、VRAM帯域の影響でネイティブ4Kの性能は鈍化する傾向はあるものの、GeForce RTX 4070 Tiは最新のDLSS 3に対応しているので、フルHD/WQHDをソースにアップスケールするDLSS SRやAIフレーム補間機能DLSS FGを併用すれば、4Kゲーミングでも大幅な性能向上が期待できます。
GeForce RTX 4070 Tiのネガティブなポイントはやはり価格です。
前世代最上位RTX 3090 Tiに迫る性能を発揮するとはいえ、北米希望小売価格799ドル、日本国内では税込み14.9万円からとなっており、従来の70番台ユーザーが買い替えようと思って手を伸ばせる価格帯では到底ありません。
これまでGeForceの70番台は前世代最上位の性能を半分の価格で実現するというコスパの高さが評価され、アッパーミドルクラスのGPUとして好評を博していましたが、それもGTX 1070/RTX 2070は5万円前後、RTX 3070は値上がりはしたものの7万円前後という手の届く値段だった、この前提がありきの話です。
30万円の性能が半額の15万円になる、確かに割合は同じですが、だからといってこれまで5~7万円のグラボを買っていた人が『RTX 4070 Tiをよし買おう』となるか、火を見るよりも明らかです。
ともあれ、混乱しやすいところですが、RTX 4070 TiはGeForce RTX 40シリーズ発売後も10万円程度で併売となっているRTX 3080の上位モデルという扱いです。
ターゲットとなる層も従来の70番台ユーザーではなく、RTX 3080を狙うようなハイエンドGPUユーザーなので、20%程度の性能向上とDLSS3対応(やAV1エンコードといったAdaアーキの特長)に+5万円以上を払う価値があると判断するかどうか、それ次第だと思います。
以下、愚痴のような駄文と管理人の勝手な予想を垂れ流すだけなので、読みたい人だけクリック展開してください。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のGPUクーラーについては、TGP285WのRTX 4070 Tiにフル負荷をかけ続けても、GPU温度は60度半ばに収まり、なおかつ同測定環境においてノイズレベル35dB以下という優れた静音性を発揮しました。
ただし、ファン径の大きさや、放熱フィンの形状などが影響しているのか、ファン速度に対してノイズレベルはやや高めの数値が出ており、体感でも煩く感じるほどではないものの、確かにファンノイズは大きめに感じました。
PCケース組み込み時の検証を見ての通り、冷却性能は十分で、ファン速度を下げて静音性を向上させる余力は十分に残しています。
標準動作のままでファンノイズが気にならないのであればそのままでもいいですし、気になるようならデュアルBIOS機能でQUIETモードに切り替えるか、専用アプリFireStormなどを使用してファン速度が1300RPM以下になるように各自で調整してみてください。
以上、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」のレビューでした。
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全長355mmかつ4スロット占有GPUクーラーを搭載するフラッグシップモデル「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO」をレビュー。RTX 3080やRTX 3080 Tiをどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークで徹底比較https://t.co/h3qQKt99JG pic.twitter.com/HxQq9FBjAe
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) January 5, 2023
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