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Noctuaの次世代汎用120mm冷却ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」を国内正規代理店Techace様よりご提供いただけたので、Ryzen Threadripper対応CPUクーラーとして最強の冷却性能を誇る「ENERMAX LIQTECH TR4 360」に換装して標準付属ファンと冷却性能や静音性を比較してみました。「Noctua NF-A12x25 PWM」が空冷CPUクーラー用の冷却ファンとしてだけでなく、簡易水冷ラジエーターに組み込む冷却ファンとしてどの程度のパフォーマンスを発揮できるのか徹底検証します。
国内正規代理店Techace:https://techace.jp/product_info.php/products_id/3122
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nf-a12x25-pwm.html
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン
Noctua NF-A12x25 LS-PWM 120mmファン
Noctua
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Noctua NF-A12x25 PWMの外観・付属品
まずは「Noctua NF-A12x25 PWM」の外観や付属品をチェックしていきます。「Noctua NF-A12x25 PWM」の付属品は、低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)、PWM対応4PINファン端子2分岐Y字ケーブル、PWM対応4PINファン端子300mm延長ケーブル、 防振ファンブッシュ「NA-AV2 anti-vibration mounts」、水冷ラジエーター用防振ガスケット「Anti-vibration gasket for water cooling radiators」、ファン固定用テーパーネジ4個となっています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は定格2000RPMのPWM速度調整対応4PIN冷却ファンです。PWM速度調整によって450~2000RPMの範囲内で速度調整が可能です。また付属の低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)を接続すると降圧調整によって定格回転数が1700RPMに下がります。
「Noctua NF-A12x25 PWM」はベージュのファンフレームとブラウンのファンブレードというNoctuaらしいカラーリングです。『これぞNoctua!』という肯定的な意見もあれば、『ダサい、きたない』といった否定的な意見もある賛否両論なデザインですが、少なくともパッと見でNoctuaの存在を頭に刻み込むというブランド認知には一役買っていることは間違いありません。
冷却ファンのサイズは汎用120mmファンと同じです。乱流の発生により静音化を向上させるファンブレードに刻み込まれた溝構造「Flow Acceleration Channels」も採用されています。
またファンフレーム内側を階段状のすり鉢形にする「Stepped Inlet Design」構造によって大風量の実現や、エア流れを最適化し静圧の改善やノイズの低減に寄与するそうです。ファンフレームの四隅には防振ラバーパッドが装着されており冷却ファンの振動による共振の発生を抑制します。
「NF-A12x25 PWM」と「NF-F12 PWM」を比較すると「NF-A12x25 PWM」ではモーターハブが若干大型化されています。また中心部の材質をスチール製に、金色のアクスルマウントは真鍮製になっており補強が施されています。軸受けは従来機種でも採用されているNoctua第2世代「SSO2ベアリング」が使用され、さらに真鍮製CNCベアリングシェルによって軸ブレをなくし、高い耐久性が実現されています。
NF-F12 PWMでは直進整流効果が期待できる11枚羽の軸フレーム構造「Focused Flow frame」が採用されていましたが、「Noctua NF-A12x25 PWM」ではファンブレード回転方向と直交する向きに4本の軸フレームが伸びているシンプルな構造が採用されています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」の最大の特徴は何といっても、0.5mmという限界に挑んだフレーム-ブレード間の隙間の小ささです。この間隔が狭いほど漏れる空気は少なくなりエアの直進性も増すので、回転数に対する風量の効率が増し、静音性も向上するという、シンプルイズベストなアプローチになっています。
超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」をファンブレードの素材として採用することによって、ファンブレード回転時の振動が軽減され、中心軸からぶれず、遠心力による変形が発生しないので、フレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現しています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」には水冷ラジエーター用防振ガスケット「Anti-vibration gasket for water cooling radiators」が標準で付属します。
水冷ラジエーター用防振ガスケット「Anti-vibration gasket for water cooling radiators」を装着するとファンフレームの四辺をラバーパッドが覆ってファンとラジエーターの隙間を埋めてくれるので、防振効果だけでなく、ファンの吸気面から入った空気がファンとラジエーターの間から漏れずラジエーターのフィンを通って抜けるので冷却性能の最適化にも貢献しています。
360サイズラジエーターに装着可能な3基の冷却ファンを全て「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装するとこんな感じになります。水冷ラジエーターなのにNoctua感が満載な外見に早変わりしました。ベージュ&ブラウンの外見は人を選ぶので『Noctua NF-A12x25 PWM chromax.black.swap』の登場に期待したいところです。
Noctua NF-A12x25 PWMの検証機材
「Noctua NF-A12x25 PWM」の検証機材は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen Threadripper 2990WX 32コア64スレッド (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill FLARE X for AMD RYZEN TR F4-3200C14Q-32GFX DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUクーラー &冷却ファン |
ENERMAX
LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP 360サイズ簡易水冷 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 |
マザーボード |
MSI MEG X399 CREATION(レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripper&X399のようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
「Noctua NF-A12x25 PWM」を組み込んでRyzen Threadripper 2990WXを使用したオーバークロックも実践するので、検証機材CPUクーラーにはAMD Ryzen ThreadripperのTR4 Socketに完全対応となる大型ベースプレートと360サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」を使用しています。
ENERMAX LIQTECH TR4シリーズにはラジエーターサイズ別で240サイズ/280サイズ/360サイズの3モデルがラインナップされていますが、当サイトでは全モデルについて詳細なレビュー記事を公開中です。
・ENERMAX LIQTECH TR4シリーズのレビュー記事一覧へ
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
Noctua NF-A12x25 PWMの冷却性能
さて本題となる「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷CPUクーラーに組み込んだ場合に標準冷却ファンと比べて、「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」の全コア4.0GHz OCに対する冷却性能や静音性がどの程度向上するのかチェックしていきます。まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NF-A12x25 PWM」のファンノイズをチェックしてみました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の360サイズラジエーターに「ENERMAX T.B.Pressure 120mm fan」と「Noctua NF-A12x25 PWM」をそれぞれ装着してみた場合のファンノイズの騒音値はファン回転数別で次のようになっています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は360サイズラジエーター環境で「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」の標準付属ファン「ENERMAX T.B.Pressure 120mm fan」と比較すると同じノイズレベルで300RPM~400RPM程度高い回転数を実現しており静音性の高さが確認できます。
下のグラフは空冷CPUクーラーのヒートシンクにおいて「Noctua NF-A12x25 PWM」と「Noctua NF-F12 PWM」を比較した様子ですが、こちらでも上と同様の結果が得られています。「ENERMAX T.B.Pressure 120mm fan」の静音性が低いわけではなく、「Noctua NF-A12x25 PWM」の静音性が非常に優れているという結論にやはり間違いはなさそうです。
「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」に標準で付属する冷却ファン「T.B.Pressure 120mm fan」を使用した場合と、3基の「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装した場合におけるファン回転数に対するファンノイズの特性が確認できたので、続いて32コア64スレッドのモンスターメニーコアCPUであるAMD Ryzen Threadripper 2990WXの動作設定を全コア4.0GHzにオーバークロックして冷却性能を比較してみました。
AMD Ryzen Threadripper 2990WXの具体的なOC設定値としてはCPU動作倍率は40倍、CPUコア電圧は1.250V、CPUロードラインキャリブレーションはLevel3に設定しました。あとメモリについてはG.Skill FLARE X F4-3200C14Q-32GFXのOCプロファイルでメモリ周波数3200MHz&メモリタイミング14-14-14-34-CR1にしています。
AMD Ryzen Threadripper 2990WXにこのOC設定を適用してCinebenchを回すとベンチマークスコアは6200程度となります。
このOC設定でCinebenchやAviutl&x264による動画のエンコードを行うと、システム全体の消費電力(ほぼ全てCPUによる消費電力)は550W前後に達します。
各冷却ファンを使用した場合の冷却性能の検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen Threadripper 2990WXの場合5分ほどなので同じ動画で4つ平行して2周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」に標準で付属する冷却ファン「ENERMAX T.B.Pressure 120mm fan」を1500RPMで回した時のノイズレベルが47dB程度なので、「Noctua NF-A12x25 PWM」はファン回転数を1500RPMに揃えた場合と、ノイズレベルと47dBで揃えてファン回転数を1900RPMにした場合について検証を行いました。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は同じノイズレベルに対して「ENERMAX T.B.Pressure 120mm fan」よりも300RPMから400RPM程度高いファン回転数で動作させることができるので、同じノイズレベルにおいてはより低いCPU温度を実現できています。ファン回転数を1500RPMで揃えた場合は、「ENERMAX T.B.Pressure 120mm fan」のノイズレベルが47dBで比較的煩くなるのに対し、「Noctua NF-A12x25 PWM」のノイズレベルは40dB程度と大幅に静音化しつつ、ほぼ同じ冷却性能を発揮できています。
Noctua NF-A12x25 PWMのレビューまとめ
最後にフレーム-ブレード間0.5mmを実現した次世代120mmサイズ汎用ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷で検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 450~2000RPMのPWM速度制御に対応した120mmサイズファン
- フレーム-ブレード間の隙間が0.5mmの超高精度
- 水冷向け120mmファンと同じノイズレベルで300~400RPM程度高いファン回転数を実現
- ファンフレームのラバーパッドや固定用ブッシュなど防振対策も豊富
- ラジエーター設置の際、グリルとファンフレームの隙間をなくすガスケットが付属
- MTTF(平均故障時間)15万時間以上の高耐久性
- メーカー保証期間は6年間
- 良くも悪くもNoctuaらしいベージュ&ブラウンのカラーリング
- ファン1基あたり4000円ほどと高価
超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」は、空冷CPUクーラーメーカーの雄Noctuaが数年間の歳月をかけて開発し満を持してリリースしただけあって、水冷ラジエーター向けに設計されている冷却ファンと360サイズラジエーター環境において比較を行っても、非常に優れた冷却性能と静音性を発揮していることが今回の検証で確認できました。
価格が高いところとNoctuaらしいベージュ&ブラウンのカラーリングの2点を除けば、空冷・水冷・エアフローの全てに使える120mmサイズの汎用ファンとして文句の付け所がない万能な製品です。120mmサイズファン搭載空冷CPUクーラーにおすすめなのはもちろんのこと、ラジエーター設置時に防振&エアフロー最適化が可能な水冷ラジエーター用防振ガスケット「Anti-vibration gasket for water cooling radiators」が標準で付属するので240サイズや360サイズの簡易水冷ラジエーターのユーザーにとっても搭載するファンを総取っ換えしたくなる製品です。
Noctuaと言えば空冷CPUクーラーのイメージが強いメーカーですが、「Noctua NF-A12x25 PWM」は360サイズや240サイズの簡易水冷CPUクーラーでも頭一つ抜けたパフォーマンスを発揮できるので、冷却性能と静音性に妥協したくないユーザーにとって「Noctua NF-A12x25 PWM」は120mmサイズのラジエーター冷却ファンとしても非常におすすめな製品です。
以上、「Noctua NF-A12x25 PWM」のレビューでした。
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン
Noctua NF-A12x25 LS-PWM 120mmファン
Noctua
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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14と20cmの販売が待たれる。