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8コア16スレッドのCore i9 9900KなどIntel第8/9世代CPUに対応するH370チップセット搭載マザーボードとしてASUSのエントリーゲーマー向けブランド”TUF GAMING”からリリースされた、無線LAN標準搭載エントリーモデル「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」をレビューします。初心者の購入候補にも上りやすいマザーボードなので、BIOSの基本的な使い方から始めて、1万円台の安価マザーボードでCore i9 9900Kは運用できるのかまで徹底検証していきます。
製品公式ページ:https://www.asus.com/jp/Motherboards/TUF-H370-PRO-GAMING-WI-FI/
マニュアル:https://dlcdnets.asus.com/pub/ASUS/mb/LGA1151/TUF_H370-PRO_GAMING_WIFI/J13809_TUF_H370-PRO_GAMING_WI-FI_UM_WEB.pdf
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel CoffeeLake Refresh-S CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザーボードBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は19年1月下旬に行っており「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のBIOS:1102を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/TUF-H370-PRO-GAMING-WI-FI/HelpDesk_BIOS/
【19年2月5日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1102で検証
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI) レビュー目次
1.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の外観・付属品
2.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の基板上コンポーネント詳細
3.ASUSマザボのCPUインストレーションツールが便利
4.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の検証機材セットアップ
5.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」について
7.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のCPU/メモリ動作設定について
8.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の動作検証
9.ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のレビューまとめ
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の外観・付属品
まず最初にASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の外観と付属品をチェックしていきます。パッケージの蓋を開くと上段にはマザーボード本体が収められており、下段には各種付属品が収められた小分けパッケージが入っていました。
マニュアルなど冊子類で必要なものが一通り揃っています。その他にもステッカーなどが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。ASUS製のマザーボードなので定評のある詳細日本語マニュアルも付属します
組み立てに関連する付属品としては、リアI/Oシールド、WiFiアンテナ、SATAケーブル2本、M.2 SSD固定用スペーサー&スクリュー、CPUインストレーションツールとなっています。
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)はATXフォームファクタのマザーボードです。黒色のPCB基板にはデジタルな迷彩をイメージさせるイラストがプリントされています。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のマザーボード右下に設置されたチップセット用ヒートシンクについてはTUF Gamingのロゴとデジタル迷彩柄が描かれています。
リアI/OにはTUF GAMINGのテキストロゴとアイコンロゴが描かれた機械的なデザインのプラスチック製カバーが装着されています。CPUソケット左側の4フェーズにはフィンカットされたアルミニウム塊型ヒートシンクが装着されています。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)はメインストリームのエントリー向けマザーボードなので6(4+2)フェーズのVRM電源が実装されています。VRM電源回路にはCPUに極めて安定した電力を供給できるミリタリーグレードのTUFチョークコイル、+20%の温度耐性と5倍の長寿命を実現したTUFコンデンサとTUF MOSFETなど高品質な素子が使用されています。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のEPS電源端子として8PINが実装されています。
リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子として2基のType-Aの水色端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と3基のUSB3.0端子(うち1つはType-C)が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、HTC ViveやOculus Rift CV1のようなVR HMDに十分対応可能です。USB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるのでUSB2.0端子が少し離れた場所に設置して欲しかったところ。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も設置されています。
ビデオ出力にはHDMIとDisplayPortとD-subが設置されています。HDMI端子については4K・60FPSに非対応で4K・30FPSが上限となるver1.4対応です。H370ザーボードでは4K・60FPSに対応したHDMI2.0を搭載するものは非常に少ないので外部GPU(グラフィックボード)を使用しないユーザーは注意が必要です。
ネットワーク関連では低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が設置されています。ASUS TUF H370-PRO GAMINGには無線LANありとなしの2モデルがラインナップされていますが今回レビューする「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」はIntel製無線LANモジュールを標準搭載しており、Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度1.73Gbps、Bluetooth 5.0にも対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の基板上コンポーネント詳細
続いて「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[N/A、x16、x1、x1、x16、x1、x1]サイズが設置されています。上段のプライマリグラフィックボード用スロットを2段目に配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。5段目のx16サイズスロットの帯域はPCIE3.0x4となっておりNVMe SSDなどに使用できます。x1サイズスロットの帯域はいずれもPCIE3.0x1です。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)にも最近のトレンドとしてx16サイズスロットには1kgを超える重量級グラフィックボードの重さに耐えるように、従来のプラスチックスロットよりも垂直方向の力に対して1.6倍、水平方向の力に対して1.8倍も強靭になった補強用メタルアーマー搭載スロット「SafeSlot」が採用されています。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)にはSATAストレージ用の端子は6基搭載されています。SATA6G_1~6の6基はIntel H370チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。M.2スロット(M.2_1)にSATA接続M.2 SSDを使用した場合、SATA6G_2は排他利用になります。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはCPUソケット下とチップセット下の計2基が設置されています。M.2_1はNVMe(PCIE3.0x2)とSATAの両方に対応していますが、SATA接続の場合はSATA6G_2端子と排他利用です。M.2_2はNVMe(PCIE3.0x4)とSATAの両方に対応しています。M.2_1とM.2_2はいずれもチップセット経由の接続です。
Intel H370チップセット搭載マザーボードにおいてCPUとチップセット間はDMI 3.0というインターフェースで接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
H370チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。
CPU直結の場合 | チップセット接続の場合 | |
長所 | 複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の 同時アクセスでもフルスペック動作 |
IRSTによるハードウェアRAIDで 性能を上げることができる |
短所 | IRSTによるハードウェアRAID が構築できない (Intel製SSDではVROCで ソフトウェアRAIDが構築可能) |
複数のM.2 SSDから同時にアクセス がある場合、ストライプRAIDの場合 4GB/s程度がボトルネックになる |
ATX 24PIN端子のすぐ隣には内部USB3.0ヘッダーが設置されています。
マザーボード下側には内部USB2.0ヘッダーが2基設置されています。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など使用する周辺機器も増えているなか、17年頃にASUSからリリースされていた上位マザーボードでは内部USB2.0ヘッダーを1基しか備えていないモデルが多かったですが、ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)では2基に増えておりこれらの機器も安心して使用できます。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)はゲーミングマザーボードの中でもエントリー向けクラスの製品ですが、
REALTEK S1200Aコーデックを採用した高音質ゲーミングオンボードサウンド機能搭載しています。プレミアム品質の国産オーディオコンデンサを採用、デジタル部とアナログ部の基板分離などヘッドホン・スピーカー出力の高音質化にも注力しています。
有線LANには低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用されており、加えて有線LANの信号特性を改善する独自機能「TUF LANGuard」も搭載し、オンライン通信対戦ゲームユーザーの快適なプレイをバックアップします。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」には冷却ファンや簡易水冷クーラーポンプの接続用ファン端子がマザーボード上の各場所に計4個設置されています。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」にはCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、マザーボード右下のジャンパーピンを使用してCMOSクリアを行います。短絡用ジャンパは付属していませんが、CMOSクリア時のみPCケース電源スイッチのコネクタを装着して電源スイッチを長押しすれば短絡させることができます。
ASUSのLEDイルミネーション同期調整機能「ASUS AURA Sync」による操作に対応したRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーがマザーボードの上端に設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」など汎用LED機器によるLEDイルミネーションの拡張が可能です。
ASUSマザボのCPUインストレーションツールが便利
ASUS製マザーボードの一部で対応するCPUインストレーションツールが非常に便利なので紹介します。日本国内ではマニュアルやBIOSメニューのローカライズ品質やユーザー数の多さからASUS製マザーボードが初心者におすすめなマザーボードとしては鉄板として紹介されることが多いです。とはいえ最近のマザーボードは不具合や相性問題も少ないので、ASRock、GIGABYTE、MSIなどASUSを含めた主要4社のマザーボードであれば特に問題はなくなっています。
しかしながら管理人的にはASUSマザーボードの独自の機能であるCPUインストレーションツールの存在が理由で初心者にはこの機能に対応したマザーボードをお勧めしています。
初心者、経験者ともに自作PCでパーツをダメにする可能性のトップに入るであろう項目にCPU着脱時のマザーボードのCPUソケットのピン折れがありますが、CPUインストレーションツールを使えばCPUの着脱が格段に簡単になるのでその心配はほぼなくなります。
CPUインストレーションツールは下の写真のようなプラスチックのパーツです。
ASUSマザーボードの一部に付属するCPUインストレーションツールには「13010-01860100」と「13010-01860200」の2つの型番があるのですが、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」には末尾200のものが付属しており、残念ながらこちらはPCB基板が厚くなったIntel第9世代CPUには装着できず使用することができません。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」はCPUインストレーションツールなしでもCPUをソケットに設置できますが、Intel第9世代CPUでCPUインストレーションツールを使用したい場合は、「13010-01860100」がebayで単品が売られているので別途購入する必要があります。
CPUインストレーションツールはCPUの上から嵌める枠のような構造です。
CPUインストレーションツールに装着することによってCPUを指で持ち上げやすくなります。
Intel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUは第8世代よりもPCB基板が厚くなっているのでCPUに装着できるかが若干不安でしたが、「13010-01860100」のCPUインストレーションツールは問題なく装着できました。
CPU単体では指を引っかける部分に乏しいのでCPUソケットの直上でポロッと落としてしまわないか物凄く気を使いますが、CPUインストレーションツールを装着すると持ちやすさが格段に改善されます。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の検証機材
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K 8コア16スレッド (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のBIOSについて
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付が変になっているかもしれませんが無視してください。また内容的に差異のないものは過去のスクリーンショットを流用しています。)
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のBIOSに最初にアクセスするとEZモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
「F7」キーを押すとアドバンスドモードという従来通りの文字ベースのBIOSメニューが表示されます。「Main」タブの「System language」-「English」と表記された項目のプルダウンメニューから言語設定が可能で日本語UIを選択できます。ASUSマザーボードは競合他社と比較してもBIOSメニューの日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。
次回起動時に初回から詳細モードを起動する場合は、「起動-ブート設定」にある「セットアップモード」の項目をアドバンスドモードに変更してください。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「終了」から行えます。その他の設定を行っていても左右カーソルキーですぐに退出可能です。
特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能は「起動」タブメニューの最下段「起動デバイス選択」に配置されています。
2月4日現在、ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のサポートページで公開されている最新版は「1102」だったのでBIOSの更新を行いました。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/TUF-H370-PRO-GAMING-WI-FI/HelpDesk_BIOS/
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール-ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからのアップデートでBIOSファイルを選択します。あとはガイドに従ってクリックしていけばOKです。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「Boot Option #1」に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「Boot Option #1」の下にスクロールしていくとブートデバイスを個別に指定して再起動できる「Boot override」もあるのでこちらから、同様に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなので、そういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
オンボードデバイス設定構成からはM2_1スロットの動作モード(NVMe or SATA)など、他のインターフェースと排他利用があるインターフェースについて動作モードの設定が可能です。
BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子はCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、マザーボード温度などCPU温度以外の温度ソースからファンコントロールが可能です。
ファン操作モードはPWM速度調整とDC(電圧)速度調整の2種類が用意されていますが、DC速度調整の場合は制御プロファイルを手動にすると、下限温度以下で冷却ファンを停止させる所謂セミファンレス機能を実現する「Allow Fan Stop」の設定が表示されます。
またASUSマザーボードにもグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能として「Q-Fan Control」が用意されています。設定可能な内容は上で紹介したコンソールのファンコンと同じですが、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよ、という機能です。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。
イルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」について
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「ASUS AURA Sync」に対応しています。「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」ではマザーボード右端の上側に4球、下側に2球のLEDイルミネーションが実装されています。
LEDイルミネーション同期調整機能「ASUS AURA Sync」による操作に対応したRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーがマザーボードの右上と左下の2か所に設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」などが接続可能です。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)に搭載されたLEDイルミネーションや汎用ヘッダーに接続されたイルミネーション機器は発光カラーや発光パターンを専用アプリのAURA Syncから同期操作可能になっています。AURA Syncは公式ホームページやマザーボードのサポートページから最新版をダウンロードできます。
AURA公式DL:https://www.asus.com/campaign/aura/jp/download.html
専用アプリである「AURA Sync」を使用することで、色を指定した固定色発光、カラーサイクル等の発光パターンプリセット、温度や音楽に合わせた発光変化など自由度の高いイルミネーション設定が可能です。
マザーボード備え付けおよび汎用ヘッダーで増設したLEDイルミネーションについてはデフォルトではOSのシャットダウンやスリープ時もLEDが点灯しますが、「When system is in sleep, hibernate and soft off states」の項目をOFFにすることでスリープ時やシャットダウン時のみLEDイルミネーションをOFFにすることができます。
なおシャットダウン・スリープ時のLEDの点灯・消灯設定はWindows上の「AURA Sync」からも設定が可能になっており、BIOS設定よりもアプリからの操作が優先されます。ASUS Aura Syncソフトウェアの「Power Off」タブがスリープやシャットダウン時のLEDイルミネーションの設定になっています。ここから設定を行うことでASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)でもシャットダウン・スリープ時のLEDイルミネーションの消灯が可能です。AURA Syncについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
下は「T-FORCE DELTA TUF Gaming RGB DDR4」を使用した例ですが、ASUS AURA Syncのウィンドウ上側にDRAMの項目が表示されて「T-FORCE DELTA TUF Gaming RGB DDR4」も同期操作が可能になります。ColorCycleのような全体同期型の発光パターン以外にも、「T-FORCE DELTA TUF Gaming RGB DDR4」は各DRAM毎に5分割アドレッサブルLEDが実装されているので個別制御も可能です。
その他にも当サイトでレビュー記事を公開中のG.Skill製DDR4 OCメモリ「G.Skill Trident Z RGB」もASUS Aura Syncによるイルミネーション同期設定に対応しています。
・「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」をレビュー
ASUSのLEDイルミネーション機能「AURA Sync」については汎用イルミネーション機器の使用方法や導入例などを下の記事でも紹介しているので、詳しくはこちらを参照してください。
・ASUS製のLEDイルミネーション操作機能「AURA Sync」の使い方
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のCPU/メモリ動作設定について
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)を使用した場合のCPU電力設定やメモリのオーバークロック設定の方法を紹介します。なおオーバークロックなど仕様外の設定はメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のオーバークロック設定は「AI Tweaker」というトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。「AI Tweaker」ページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧などの各種設定項目が表示されるので設定しやすいUIです。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のオーバークロック設定項目の最初にある「AI Overclock Tweaker」ではプルダウンメニューから「Auto」「Manual」「XMP」の3つの設定モードが選択できます。Autoモードは基本的な設定項目に関する自動or手動設定が可能な一般ユーザー向けの設定モードとなっています。ManualモードはBCLK等の詳細なOC設定項目が解放される上級者向けの設定モードです。XMPモードはManualモードベースですが、OCメモリに収録されたXMPプロファイルを適用できる設定モードになっています。
OC初心者はXMPを使用しないならAutoモード、XMPを使用するならXPMモードを使用すればOKです。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」ではCPU動作倍率に関する設定自体は可能ですが、H370チップセット搭載マザーボードなので、倍率アンロックのZ390/Z370マザーボードと違って、CPU毎に既定された動作倍率以上には設定できません。(数値は設定できますが実際の動作には反映されません)
Core i9 9900Kの場合は、1~8コアで同時に負荷のかかっているコア数に対する最大動作倍率は[50, 50, 49, 48, 48, 47, 47, 47]となっており、全コア同時最大動作倍率は47倍以上には設定できません。基本的に動作倍率を下げて発熱を下げる省電力設定という扱いになります。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)ではCPU内部クロック倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「Auto」、全コアの倍率を同じに設定する「Sync All Cores」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「Per Core」の3つのモードが存在します。
「Per Core」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能です。
「Sync All Cores」モードでは「1コアの倍率制限値: 47」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその4.7倍の4.7GHzで全てのコアが動作します。
キャッシュ(メッシュ)動作倍率は「CPUキャッシュ最大動作倍率(Max CPU Cache Ratio)」と「CPUキャッシュ最小動作倍率」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第8/9世代CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)では「CPUコア/キャッシュ電圧(CPU Core/Cache Voltage)」の項目を変更します。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)ではCPUコア電圧をマニュアルの設定値に固定する「Manual」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「Offset」モードの2種類が使用できます。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
また「CPU電力詳細設定」には「瞬間許容電力制限値(Short Duration Power Limit)」「許容電力上限値(Long Duration Power Limit)」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。
電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)ではCPUの定格TDPと「許容電力上限値(Long Duration Power Limit)」が一致しています。一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」において、XMPを使用したり、メモリ周波数を手動設定するとCPUの電力制限が自動的に無効化されるので注意してください。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)では「AI Overclock Tweaker」からXMPモードを選択することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
「AI Overclock Tweaker」のAutoモードにおいて「DRAM Frequency」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなど周波数およびタイミングによる定格動作となります。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」はH370チップセット搭載マザーボードなので、メモリ周波数は第8/9世代CPUの定格値である2666MHzが上限ですが、「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから3000MHz以上の動作周波数(倍率)を選択できるようになっています。
BIOSから選択できるからといって2666MHzより上を選択するとPOSTエラーになります。エラー検知で自動初期化されればまだいいのですが、エラーで停止してしまうと手動でCMOSクリアしなくてはならないので注意が必要です。初心者が勘違いして選択すると危険なので非対応なメモリ周波数は選択できないようにしておいて欲しかったところです。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な3タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
主要なタイミング設定値から「RAS Precharge (tRP)」の項目がなくなっているのがメモリOC耐性的にどのような影響があるのか気になるところです。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」が対応する最大メモリ周波数は2666MHzなのでメモリ電圧は定格の1.200Vあれば十分ですが、「DRAM Voltage(DRAM電圧)」の項目から0.050V刻みでプルダウンメニューから昇圧や降圧が可能です。
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)の動作検証
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」の起動時間は20秒ほどした。標準的で決して遅くはありませんが、機能の少なめなエントリークラスマザーボードと考えると若干時間がかかっている印象はあります。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」にCore i9 9900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、CPU動作倍率は1~8コア負荷順で[50, 50, 49, 48 , 48, 47, 47, 47]でIntel公式の定格動作倍率となっています。
電力制限については短期間電力制限が引き上げられ、短期間電力制限時間も伸びていますが、長期間電力制限はIntel公式の仕様値であるTDP95Wと一致しているので、Core i9 9900KがTDP95Wの動作になると期待できます。なおXMPを使用したり、メモリ周波数の手動設定を行うとCPUの電力制限が自動的に無効化されるので注意してください。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」では、下のようなBIOS設定によってPerCore最大動作倍率および電力制限を変更して、電力制限を解除したり、より低消費電力な設定を適用することができます。
比較的安価なエントリー向けマザーボードであるASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のVRM電源がTDP95WのCore i9 9900Kを安定して運用できるのか、スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のVRM電源温度をチェックしてみました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のCPU動作設定は、同マザーボードの標準設定の通り、長期間電力制限95Wを有効にしているので、負荷開始から30秒前後はTDP95Wを無視したブーストがかかりますが、以降は長期間電力制限が働いて、TDP95Wの電力内に動作クロックが制限されます。
まずはVRM電源周りに風が直接当たらない簡易水冷CPUクーラーの環境において上記の手順でCore i9 9900を組み込んだ「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のVRM電源回路に長時間負荷をかけてみました。Core i9 9900KにはTDP95Wの電力制限がかかるので、当サイトでも多数レビューしている各社の上位Z390マザーボードであればパッシブ空冷でも余裕な負荷ですが、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」ではVRM電源温度が120度前後に達しています。
続いてVRM電源に直接とはいかないものの間接的にはVRM電源回路周辺に気流の発生するサイドフロー型空冷CPUクーラーを想定して、風がCPUソケット上を並行に通過するよう120mmファンを設置し、1500RPMで回した状態で同様の測定を行いました。
サイドフロー型空冷CPUクーラーを想定した環境ではパッシブ空冷よりは下がったものの、それでもVRM電源温度が100度前後に達しました。
最後にVRM電源に直接的に風の当たるトップフロー型空冷CPUクーラーを想定して、風がCPUソケットとVRM電源へ直接当たるよう120mmファンを設置し、1500RPMで回した状態で同様の測定を行いました。
かなり理想的な条件で測定を行ったのですが、TDP95W程度のVRM電源負荷に対して、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のVRM電源温度は90度を超えました。
パッシブ空冷、サイドフロー空冷、トップフロー空冷の3つの条件においてストレステスト中のコアクロックをグラフ化すると次のようになりました。
パッシブ空冷ではVRM電源が120度前後に達するオーバーヒート状態のため、VRM電源の発熱を抑えるためCPU動作クロックが下がる現象、通称「ファントムスロットリング(Phantom Throttling)」が発生しています。「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」でTDP95WクラスのCPUを組み合わせるときに、簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、VRM電源へ風を当てるスポットクーラーは必須です。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」環境においてCore i9 9900KなどTDP95WクラスのCPUを組み合わせる場合、スポットクーラーにはマザーボードスペーサーのネジ穴を利用して固定できるフレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」がおすすめです。
・スポットクーラー用ファンアーム「サイズ 弥七」をレビュー
ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)のレビューまとめ
最後に「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- デジタル迷彩パターンがアクセントになったTUF Gamingブランドのデザイン
- Core i9 9900KのTDP95W動作を運用可能
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット「SafeSlot」
- NVMe対応(PCIE3.0x4とPCIE3.0x2)のM.2スロットが2基設置されている
- CPUインストレーションツールに対応
- 無線LANモジュールを標準搭載
- 販売価格が1.4万円程度と安価(19年2月現在)
- 第9世代CPUにはBIOSアップデートが必須なので市場在庫のBIOSバージョンに注意
- 付属のCPUインストレーションツールは第9世代CPUに非対応(なしでCPUの設置は可能)
- 非対応な2666MHzより上のメモリ周波数がBIOSから選択できて危険
- TDP95W CPUと簡易水冷CPUクーラーを使う場合はVRM電源の空冷が必須
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」は、1kg超の重量級ハイエンドグラフィックボードにも耐える強靭なスチールアーマー搭載PCIEスロット、REALTEK S1200Aコーデックを採用した高音質ゲーミングオンボードサウンド機能、無線LAN&Bluetoothモジュール標準搭載など機能的に必要十分かつ、販売価格も1万円台前半と安価で、ASUSがエントリーゲーマー向けに展開するTUF GAMINGブランドの製品として手堅くまとまっています。
ASUS製マザーボードではお馴染みですがBIOSやマニュアルの日本語ローカライズ品質は主要4社の中でも随一となっており、BIOSのテキストベースUIの使い勝手も良好です。こういった足回りも含めて自作PC初心者にもASUS製マザーボードはおすすめです。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」はASUS製の安価マザーボードの中でも珍しくCPUインストレーションツールが付属するマザーボードなのですが、付属するツールが第9世代CPUに非対応な型番であるのは残念でした。なくてもCPUは設置できるものの、あるのとないのとではLGA115X系CPUの設置し易さが段違いなので、個人的にはもっと普及して欲しい機能です。
Core i9 9900Kは多くのレビューにおいてC電力制限が無効化されて全コア4.7GHzという高いコアクロックで動作した状態で検証され発熱が大きいと評価されることが多いですが、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」にCore i9 9900Kを組み合わせて使用した場合、TDP95Wの長期間電力制限が正常に動作し、Intel公式の仕様値とほぼ同じTDP95WのCPUとして運用できるので、CPUクーラー自体の性能要求は120サイズファンの空冷/簡易水冷クーラーで十分に満たすことができます。
「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のVRM電源についてはTDP95Wの負荷であってもVRM電源をパッシブ空冷にすると、VRM電源のオーバーヒートによるCPUコアクロックの低下、通称「ファントムスロットリング(Phantom Throttling)」が発生してしまいます。VRM電源に直接風の当たる理想的なケースでも長期的にTDP95Wの負荷がかかるとVRM電源温度は90度を超えるので、やはり安価なマザーボードということもあって、VRM電源は必要最低限の規模・品質で実装されているようです。当初の予定では電力制限を解除してCore i9 9900Kを全コア4.7GHzで動作させるプチOC的な検証も予定していたのですが、VRM電源温度的に難しそうなので断念した次第です。
このクラスのマザーボードの場合、サイドフローかトップフローの空冷CPUクーラーを選択するユーザーが多いと思いますが、VRM電源周りに風の当たらない簡易水冷CPUクーラーを予定している人は、スポットクーラーによる冷却が必須になるので注意してください。
以上、「ASUS TUF H370-PRO GAMING (WI-FI)」のレビューでした。
検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン 定格2000RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
Noctua
国内正規代理店Techaceの公式通販 で詳細情報を見る
<TSUKUMO:PWM/ULN><PCショップアーク>
G.Skill Trident Z RGB DDR4メモリ
G.Skill Trident Z Black DDR4メモリ
G.Skill
<ドスパラ><PCワンズ:RGB / Black>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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