Noctua NH-L9i


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全高37mmの超ロープロファイル空冷CPUクーラー「Noctua NH-L9i」のサンプル機を国内正規代理店Techace様よりご提供いただけたのでレビューしていきます。Intelのメインストリーム向けCPUの最上位モデルCore i9 9900Kを使用して、「Noctua NH-L9i」の冷却性能を検証していきます。
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代理店公式ページ:https://techace.jp/product_info.php/products_id/2091
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nh-l9i

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レビュー目次


1.Noctua NH-L9iの外観・付属品
2.Noctua NH-L9iをセットアップ

3.Noctua NH-L9iの冷却性能
4.Noctua NH-L9iのレビューまとめ



Noctua NH-L9iの梱包・付属品

まずは「Noctua NH-L9i」の外観や付属品をチェックしていきます。
「Noctua NH-L9i」はN式箱型のパッケージになっており、蓋を開くと、スポンジ製スペーサーにCPUクーラー本体や各種付属品が収められていました。
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「Noctua NH-L9i」の付属品は、CPUクーラー固定ネジセット、同社製熱伝導グリス「NT-H1」、ファンを低速で動作させるための降圧変換ケーブル「Low Noise Adapter NA-RC14」、25mm厚ファン固定用長ネジセット、エンブレムバッジシール、マニュアルでした。
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続いて「Noctua NH-L9i」の外観をチェックしていきます。
「Noctua NH-L9i」の寸法は幅95mm x 奥行95mm x 高さ37mmのロープロファイルサイズとなっておりMini-ITXフォームファクタへの高い互換性がアピールされています。冷却ファンには定格(最大)回転数は2500RPMでPWM速度調整によって600RPMから2500RPMの範囲で速度調整可能な92mm角の冷却ファン「Noctua NF-A9x14 PWM」が搭載されています。
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「Noctua NH-L9i」は製品スペックの通り、銅製ペースプレートの接触面からファンの天面までの全高が37mmの超ロープロファイルな寸法です。
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ヒートシンクについては、CPUヒートスプレッダと接するベースプレートはニッケルメッキの施された銅製で、銅製ベースプレートからは2本のヒートパイプによってアルミニウム製放熱フィンが拡張されており、ヒートパイプと放熱フィンはソルダリングによって接合されています。
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「Noctua NH-L9i」はIntel LGA115X系専用の空冷CPUクーラーですが、別売りオプションパーツの「Noctua NH-L9i用AM4マウントキット」を使用することで、AMD Ryzen CPUのAM4マザーボードでも使用できます。
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製品写真が似ているのでIntel LGA115X専用の「Noctua NH-L9i」とAMD AM4専用の「Noctua NH-L9a-AM4」は対応CPUソケットだけの違いと思われがちですが、CPUクーラーヒートシンクの形状もまた実は異なります。
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全高はどちらも同じですが、NH-L9iは幅95mm×奥行95mmに対して、NH-L9a-AM4が幅92mm×奥行114mmとなっており、NH-L9iは正方形ですが、NH-L9a-AM4は縦長のヒートシンクです。
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Noctua NH-L9iのセットアップ

「Noctua NH-L9i」を検証機材のベンチ機にセットアップします。
今回は検証環境としてIntel Core i9 9900KのLGA1151環境を使用します。ベンチ機の詳細な構成は下のテーブルのようになっています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit

CPU

Intel Core i9 9900K
レビュー
AMD Ryzen 7 2700X
レビュー
M/B ASRock Z390
Phantom Gaming-ITX/ac
レビュー
ASRock Fatal1ty X470
Gaming-ITX/ac
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
8GB*2=16GB (レビュー
G.Skill FLARE X
F4-3200C14D-16GFX
8GB*2=16GB (レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
電源ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel 第9世代Core-Xのようなエンスー環境はもちろん、Intel/AMDのメインストリーム向けCPU環境であってもシステムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB


早速、ベンチ機へ「Noctua NH-L9i」をセットアップしていきます。
「Noctua NH-L9i」の設置方法は、CPUクーラー本体を熱伝導グリスを塗布したCPUヒートスプレッダ上に合わせて、マザーボード背面からネジ止めする、という非常に単純な2ステップです。
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「Noctua NH-L9i」ではマザーボードに固定する下準備は特にないので、熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーをCPUの上に乗せ、グリスが広がるように力の入れすぎに注意して、若干グリグリと捻りながらCPUクーラーを押し付けます。CPUクーラー本体をマザーボードに乗せたら、マザーボードをひっくり返して裏面からネジ止めします。
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Mini-ITXマザーボードの多くはCPUソケット周辺に素子が多数実装されており、バックプレート使用するタイプの一部のCPUクーラーでは背面素子とバックプレートが干渉する可能性があります。バックプレートと素子が当たっているのを見落としたままCPUクーラーを固定するためネジ止めすると、そのまま素子を粉砕してマザーボードを破損させる恐れがあります。
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「Noctua NH-L9i」ではCPUクーラーを固定するのに専用スクリューを使用するだけなので、マザーボード背面CPUソケット周辺の素子との干渉や破損の心配はありません。
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なお「Noctua NH-L9i」をASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/acに設置すると、メモリスロットとCPUクーラーのヒートシンクのクリアランスがギリギリでした。CPUソケット右上のCPUクーラー固定ネジ穴左端とメモリスロット左端の間隔が12.8mmよりも小さいマザーボードではメモリスロットとCPUクーラーヒートシンクが干渉する可能性があるので注意が必要です。またG.Skill Trident Zのように厚みの大きいヒートシンク付きメモリも干渉の可能性があります。
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以上で「Noctua NH-L9i」のセットアップは完了です。
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Noctua NH-L9iのファンノイズ・冷却性能

本題となる「Noctua NH-L9i」の冷却性能と静音性を詳細に検証していきます。

まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NH-L9i」のファンノイズをチェックしていきます。「ASRock DeskMini H310 / A300」に「Noctua NH-L9i」を搭載し、騒音計の収音部分とASRock DeskMini A300のサイドパネルとの距離が15cm程度になる位置で測定を行いました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
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電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。

「ASRock DeskMini H310 / A300」に「Noctua NH-L9i」を組み込んでファン回転数別にノイズレベルを比較すると次のようになります。
「Noctua NH-L9i」「Noctua L9a-AM4」「JONSUBO HP-400」は同じ92mm角のファンサイズですが、ヒートシンクの形状やファン自体の品質の差もあって同じファン回転数でも「Noctua NH-L9i」と「Noctua L9a-AM4」のほうが静音性に優れます。「Noctua NH-L9i」はファン回転数を1800RPM以下に抑えるとコンパクトPCに組み込んだ時にファンノイズがほぼ気にならない静音性が発揮できると思います。
ASRock DeskMini A300_Cooler_noise
なおASRock DeskMini A300に標準で付属する「AMD APU Cooler」は冷却ファンの径が小さいのでノイズレベル上は騒音値が低めに出ていますが、実際はファン回転数(ノイズの周波数)が高いので同じノイズレベルでも、Noctua NH-L9i/L9a-AM4やJONSUBO HP-400よりもうるさく感じます。


「Noctua NH-L9i」におけるファン回転数に対するファンノイズの特性が確認できたので、続いてIntel Core i9 9900Kの定格動作を「Noctua NH-L9i」で運用できるのか負荷テストを実施してみました。
冷却性能の検証については検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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冷却性能の検証に使用するCore i9 9900Kは組み合わせるマザーボードによっては電力制限が無効化されていることがありますが、今回の検証ではBIOSからTDP95Wの定格動作となるように設定を行いました。
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検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900Kの場合25分ほどなので同じ動画で2つ平行して1周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Noctua NH-L9i_Core i9 9000K_stress

「Noctua NH-L9i」のファン回転数を2200RPMに固定して負荷テストを実施したところ、CPU温度とCPUコアクロックの推移は次のようになりました。
Core i9 9900KはCPU消費電力が95W程度となるようにTDP95Wの定格動作設定が施されていますが、それでもCPU温度は最大90度、平均86.1度に達しました。高温ではありますが、Intel第9世代Core-SのTDP95Wな上位モデルはCPUダイとヒートスプレッダ間のTIMが準ソルダリング(STIM)に変更されたので、「Noctua NH-L9i」でもギリギリで運用できそうです。全高37mmの超ロープロファイルCPUクーラーとしては十分過ぎる冷却性能だと思います。
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Core i9 9900Kは定格のTDP95WでもVRM電源への負荷はそこそこ大きいので、スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用して上の負荷テスト中のCPUソケット周辺やVRM電源部分の温度を測定してみました。「Noctua NH-L9i」はトップフロー型空冷CPUクーラーなのでCPUソケット周辺にも風が当たるため、Core i9 9900Kの定格設定であればVRM電源温度面でも問題なく運用できそうです。
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Noctua NH-L9iのレビューまとめ

最後にロープロファイル空冷CPUクーラー「Noctua NH-L9i」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ

  • 全高37mmのロープロファイルCPUクーラー
  • Mini-ITXマザーボードでも干渉しにくい設計
  • 干渉フリーなCPUクーラー固定方式
  • Core i9 9900KなどTDP95WかつSTIM採用のCPUを定格で運用可能な冷却性能
  • 25mm厚の92mm角ファンに換装が可能
悪いところor注意点
  • 良くも悪くもNoctuaらしいベージュ&ブラウンの冷却ファンのカラーリング

検証結果からもわかるように「Noctua NH-L9i」は全高37mmの超ロープロファイル設計ながら、Core i9 9900Kなど第9世代Core-Sの上位モデルではCPUダイとヒートスプレッダ間のTIMに準ソルダリング(STIM)が採用されていることもあって、TDP95Wのメインストリーム向け最上位CPUを定格で運用可能な冷却性能を備えています。


シルバーアルマイトで表面処理された大型のアルミ放熱フィンを搭載するヒートシンクは工業製品的な美しさがあるものの、Noctuaを代表するベージュ&ブラウンのカラーリングの冷却ファンはかなりユニークなのでNoctua NH-U12Aは総じて人を選ぶデザインだと思います。

以上、「Noctua NH-L9i」のレビューでした。
Noctua NH-L9i





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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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