KIOXIA EXCERIA PLUS SSD 1TB


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KIOXIA製TLC型3D NAND BiCSをメモリチップに採用するハイエンドNVMe M.2 SSD「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe M.2 SSD 1TB(型番:SSD-CK1.0N3P/N)」をレビューします。東芝メモリからKIOXIAに名前を変え、満を持して国内投入されたハイエンドNVMe M.2 SSDの実力を各種ベンチマーク比較で徹底検証していきます。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB review_02081_DxO

製品公式ページ:https://www.buffalo.jp/product/detail/ssd-ck2.0n3p_n.html





KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB レビュー目次


1.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSDについて
2.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの外観
3.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの検証機材と基本仕様


4.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのベンチマーク比較
5.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの連続書き込みについて
6.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの温度とサーマルスロットリングについて


7.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの実用性能比較
8.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのデータコピー・ゲームロード比較
9.KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのレビューまとめ




KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSDについて

「KIOXIA EXCERIA NVMe M.2 SSD」はメモリチップにKIOXIA製TLC型3D NAND BiCSが採用されたNVMe接続(PCIE3.0x4)でM2280フォームファクタのM.2 SSDです。
「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD」にはSSD容量として500GB(型番:SSD-CK500N3P/N)、1TB(型番:SSD-CK1.0N3P/N)、2TB(型番:SSD-CK2.0N3P/N)の3モデルがラインナップされています。

「KIOXIA EXCERIA NVMe M.2 SSD」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出3400MB/s、シーケンシャル書込3200MB/s、ランダム読出680,000 IOPS、ランダム書込620,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。

「KIOXIA EXCERIA NVMe M.2 SSD」のMTBF(平均故障時間)は150万時間、書込耐性は500GBが200TBW、1TBが400TBW、2TBが800TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。


KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe M.2 SSD スペック一覧
容量 500GB
SSD-CK500N3P/N
1TB
SSD-CK1.0N3P/N
2TB
SSD-CK2.0N3P/N
コントローラー
TOSHIBA TC58NC120GST-00-BB
メモリー KIOXIA製 TLC型3D NAND BiCS
キャッシュ
512MB LPDDR4 1GB LPDDR4 2GB LPDDR4
連続読出 3400MB/s
連続書込 2500MB/s 3200MB/s
4Kランダム読出 420,000 IOPS/s 680,000 IOPS/s
4Kランダム書込 570,000 IOPS/s 620,000 IOPS/s
消費電力 約5.1W 約6.5W 約6.7W
動作温度範囲 0°C~85°C
MTBF 150万時間
耐久性評価 200TBW 400TBW 800TBW
保証期間 メーカー5年



KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの外観

まず最初にKIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は保証規定書およびインストールガイドとなっています。
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「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」のSSD本体デザインについて、SSD基板本体は普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は若干緑寄りの水色になっています。
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「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」の表面にはM.2端子のすぐ傍にDRAMキャッシュ、その隣にメモリコントローラー、逆側3分の2には4枚のメモリチップが実装されています。KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSDのメモリコントローラーについて公式情報はありませんが、TOSHIBAのロゴがありました。
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KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSDの250GB/500GB/1TBの3モデルについては背面にはメモリチップ等が実装されており、両面実装です。裏面にはM.2端子のすぐ傍にDRAMキャッシュ、逆側3分の2には4枚のメモリチップが実装されています。
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KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの検証機材と基本仕様

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

Strage Test Bench_1
Strage Test Bench_2

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
Samsung 860 EVO M.2 1TB


「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_CDI



KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのベンチマーク比較

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Kingston KC2000 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し3400MB/s、連続書き込み3200MB/sとなりました。製品仕様の通りの超高速な連続アクセススピードです。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_CDM7
Samsung 970 PRO 1TB_CDM7Samsung 970 EVO Plus 1TB_CDM7
Kingston KC600 1TB_CDM7WD Black SN750 NVMe SSD 1TB_CDM7
Samsung 860 EVO 1TB_CDM7Samsung 860 PRO 1TB_CDM7


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_ATTO_QD1_read
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_ATTO_QD1_write
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_ATTO_QD4_read
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_ATTO_QD4_write
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_ATTO_QD1KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_ATTO_QD4


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_AS
Samsung 970 PRO 1TB_ASSamsung 970 EVO Plus 1TB_AS
Kingston KC2000 1TB_ASWD Black 3D NVMe SSD 1TB_AS
Samsung 860 PRO 1TB_ASSamsung 860 EVO 1TB_AS


PCMark8 ストレージテストについて、「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_PCM8
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_PCM8_cp



KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの連続書き込みについて

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


TLC型3D NANDをメモリチップに採用する「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は3GB/s近い書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が40GB程度に達するとSLCキャッシュ容量を超過するため書き込み速度は1500MB/s前後まで減少しました。
SLCキャッシュを超過すると書き込み速度が低下するとはいえ、低下後ですら1500MB/sという十分な速さを実現しており、SATA3.0規格の理想的な書き込み速度を3倍以上も上回る高速アクセスを実現しています。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_HDT



KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの温度とサーマルスロットリングについて

NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。
アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。

KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB review_02096_DxO
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWiNFOを使用してログを取得します。
Samsung 970 PRO 1TB_temp test

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」の検証結果を確認する前に比較参考のサンプルとして、2020年現在最速のNVMe M.2 SSDとして君臨している「Samsung SSD 970 PRO 1TB」において、上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung SSD 970 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung SSD 970 PRO 1TBではメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は発生していませんが、2周目以降に連続書き込み速度の計測で若干速度低下が確認できます。1周目ですでにメモリコントローラーの温度は100度に達し、メモリチップも70度を超えておりかなり高温です。
Samsung SSD 970 PRO 1TB_temp
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 970 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、「Samsung SSD 970 PRO 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は100度を上回り、左半分に実装されたメモリチップは70度半ばになっています。
Samsung SSD 970 PRO 1TB_FLIR

さて本題のKIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるKIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBに関してソフトウェアモニタリングが可能な温度は最も高温になるメモリコントローラーではなくキャッシュかメモリチップの付近の温度になっているようです。
ベンチマークを複数回繰り返すと連続読み出しで若干ながら、サーマルスロットリングによる速度低下が確認されました。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_temp
負荷テスト終盤におけるKIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。
メモリコントローラーにニッケルメッキの薄型金属シール(ヒートシンク)が貼られているため正しく温度を測定できないのですが、周囲の温度が80度を超過しているので、メモリコントローラーも90度には達しているものと思います。メモリチップもメモリコントローラーに近いものは80度前後に達しています。
KIOXIA EXCERIA PLUS SSD 1TB_FLIR

今回の負荷テストでは「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」でサーマルスロットリングによる極端な速度低下こそ確認できなかったものの、メモリコントローラーが90度以上、メモリチップも80度近くとかなり高温になるので、長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をオススメします。
最近のマザーボードはM.2 SSDヒートシンクを標準で搭載しているものも多いですが、個別に購入する場合、PCIE拡張ボードタイプなら「AquaComputer kryoM.2 無印/evo」、マザーボードM.2スロットで使用するコンパクトタイプなら「「SilverStone SST-TP02-M2」などがオススメです。
M.2 SSDヒートシンクのレビュー記事一覧へ
M.2 SSDヒートシンク


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KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBの実用性能比較

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。

PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark10 Storage Test_trace

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_PCM10_1_Summary

システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_PCM10_4_Summary_Data

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較



KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Kingston KC2000 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
Copy_movieCopy_game

コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCIEスロットにグラフィックボード、3段目PCIEスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCIEスロットに検証ストレージを設置しています。
Copy_NVMe-NVMe_2019
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCIEレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
Copy_NVMe-NVMe


「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、Samsung 970 EVO Plus 1TB、WD Black SN750 NVMe SSD 1TBやKingston KC2000 1TBやPlextor M9PG Plus 1TBなど競合するTLC型NVMe M.2 SSDと比較すると若干遅めの読み出し速度でした。
とはいえ、KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBはPCIE3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると4倍近い高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は2000MB/s程度となっています。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_copy_1_movie_read
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBは動画ファイルのコピー書き込みにおいて、所要時間25秒程度でSamsung 970 EVO Plus 1TBとほぼ同等の書き込み速度です。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_copy_2_movie_write
なお、今回は検証に使用したコピーデータのサイズが50GBだったので、ほぼ全てのデータがSLCキャッシュ内の2GB/s超で転送されたためこのような結果になりましたが、KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSDは前章でも解説したようにTLC型SSDなので、1TBモデルの場合は最大40GB程度のSLCキャッシュを超過した後は書き込み速度が実測1500MB/sまで低下します。
TLC型の競合製品を見るとSLCキャッシュ外ではSamsung 970 EVO Plus 1TBが1750MB/s、WD Black SN750 NVMe SSD 1TBが1500MB/s、一方でKingston KC2000 1TBはSLCキャッシュ容量が十分大きいので基本的にSLCキャッシュによる速度低下が発生しません。
これらSLCキャッシュの影響も考慮するとコピー書き込みの性能は逆転する可能性があります。

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、動画ファイルの時と同様にSamsung 970 EVO Plus 1TB、WD Black SN750 NVMe SSD 1TB、Kingston KC2000 1TBなど競合する比較機種の中にくらべてやや遅めでした。ファイルコピーにおける読み出しアクセスは苦手とするようです。
とはいえ、やはり動画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも3倍も高速な読み出し速度です。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_copy_3_game_read
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBはゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、競合する比較機種の中でも下位に位置する結果となりました。
SLCキャッシュ容量は40GBと大きく、SLCキャッシュ外における書き込み速度も1500MB/s程度と高速なので、SLCキャッシュが10GB程度しかないWD Black SN750 NVMe SSD 1TBよりも遅いというのは、かなり意外な結果です。KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBはランダムな要素のあるデータのコピー書き込みが若干遅いのかもしれません。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_copy_4_game_write


続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme

The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。


Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。


Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。


以上の条件で「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ゲームロード時間を測定して比較してみたところ、SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。
今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB_game
なおゲームストレージとしての性能についてはPCMark10 Storage Testを使用した実用性能比較の章でも比較していますが、今回の検証結果とはストレージ種類別の性能差の傾向が異なります。理由については、PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、今回の比較では『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間となっているからではないかと思います。



KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TBのレビューまとめ

最後にNVMe M.2 SSD「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB(型番:SSD-CK1.0N3P/N)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • NVMe(PCIE3.0x4)規格として理想的な読み出し3.4GB/sと書き込み3.2GB/s(最大)
  • SLCキャッシュ容量は40GB程度と大きめ
  • 1TBモデルは大容量書き込みで速度低下しても書き込み速度1500MB/sで高速
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • SSD基板背面にもメモリチップ等がある両面実装
  • TLC型なので大容量の連続書き込みではSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    1TBはSLCキャッシュ容量が約40GB程度、超過後の書き込み速度は1500MB/s
  • 連続して負荷がかかった時のメモコンやメモリチップの温度は高め

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークや実際の性能検証の多くにおいて、競合製品でありTLC型NVMe M.2 SSDとしては定番のSamsung SSD 970 EVO PlusやWD Black SN750 NVMe SSDと同等のパフォーマンスを発揮しました。

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」にはTLCタイプの3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した1TBモデルでは40GB程度のSLCキャッシュを超過する連続した大容量な書き込みアクセスが発生すると、理想値3200MB/sから1500MB/sまで書き込み速度が低下します。

「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」については、2020年最新のTLC型NVMe M.2 SSDとして性能面では可もなく不可もなくという感じです。SLCキャッシュの動作も分かりやすく、キャッシュ外における書き込み速度も1500MB/s程度と高速なので、特に落とし穴的な欠点もありません。高速なNVMe M.2 SSDを購入予定なら、候補の1つとして検討してみる価値はあると思います。

以上、「KIOXIA EXCERIA PLUS NVMe SSD 1TB」のレビューでした。
KIOXIA EXCERIA PLUS SSD 1TB


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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