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KIOXIA社製TLC型3D NAND BiCSをメモリチップに採用するメインストリーム向け2.5インチSATA SSD「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB (型番:SSD-CK960S/N)」をレビューします。”HDDからのアップグレードに最適”とアピールされる同製品が、2020年最新のSATA SSDとして本当に通用するのか、各種ベンチマーク比較で徹底検証していきます。

製品公式ページ:https://www.buffalo.jp/product/detail/ssd-ck960s_n.html
KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB レビュー目次
1.KIOXIA EXCERIA SATA SSDについて
2.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの外観
3.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの検証機材と基本仕様
4.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBのベンチマーク比較
5.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの連続書き込みについて
6.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの実用性能比較
7.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBのデータコピー・ゲームロード比較
8.KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBのレビューまとめ
KIOXIA EXCERIA SATA SSDについて
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD」はKIOXIA製のTLC型層3D NAND BiCSをメモリチップに採用するメインストリーム向け2.5インチSATA SSDです。「KIOXIA EXCERIA SATA SSD」はストレージ容量として240GB/480GB/960GBの3モデルがラインナップされています。「KIOXIA EXCERIA SATA SSD」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出555MB/s、シーケンシャル書込540MB/s、ランダム読出82,000 IOPS、ランダム書込88,000 IOPSのSATA3.0規格として理想的なアクセスを実現しています。
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD」のMTBF(平均故障時間)は150万時間、書込耐性は250GBが100TBW、500GBが200TBW、1TBが400TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は3年間です。
KIOXIA EXCERIA SATA SSD スペック一覧 |
|||
容量 | 240GB SSD-CK240S/N |
480GB SSD-CK480S/N |
960GB SSD-CK960S/N |
メモリー | KIOXIA製 TLC型3D NAND | ||
コントローラ | Toshiba TC58NC1010GSB | ||
DRAMキャッシュ | 非搭載 |
||
連続読出 | 555MB/s | ||
連続書込 | 540MB/s | ||
4Kランダム読出 | 79,000 IOPS/s | 82,000 IOPS/s | 81,000 IOPS/s |
4Kランダム書込 | 87,000 IOPS/s | 88,000 IOPS/s | |
動作温度範囲 | 0°C~65°C | ||
MTBF | 150万時間 | ||
耐久性評価 | 60TBW | 120TBW | 240TBW |
保証期間 | メーカー3年 |
KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの外観
まず最初にKIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は保証規定書およびインストールガイドとなっています。

「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」のSSD本体については、銀色のサンドブラスト風な表面加工が施された金属製外装に、製品ロゴやパターン背景が描かれたシールが貼られています。寸法は2.5インチストレージの規格通り縦70mm x 横100mmで、厚さは7mmです。

「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」のSSD背面にはモデル名やバーコード等の仕様に関するシールが貼られています。2.5インチストレージの汎用規格通りにネジ穴もあります。

KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの検証機材と基本仕様
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |


ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー

「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは894GBでした。

KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBのベンチマーク比較
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として2.5インチSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 QVO 1TB(レビュー)」、「WD Blue 3D NAND SATA SSD 1TB(レビュー)」、「Crucial MX500 SSD 1TB(レビュー)」、「Kingston KC600 1TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」のベンチマークスコアは連続読み出し560MB/s、連続書き込み520MB/sでSATA3.0 SSDとしては理想的な性能です。







ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。






AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。







PCMark8 ストレージテストについて、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。


KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの連続書き込みについて
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)
このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
TLC型3D NANDをメモリチップに採用する「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は500MB/s程度の書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が14GB程度に達するとSLCキャッシュを超過するため書き込み速度は200MB/s前後まで減少しました。

「Samsung SSD 860 EVO」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(SanDisk SSD Ultra 3Dとはブランド違いで中身は同じ)」「Crucial MX500」など、2018年以降に発売された64層3D NANDがメモリチップに採用されているTLC型SSDについては容量1TB以上のモデルはSLCキャッシュ超過後もSATA規格の理想的な書き込み速度である500MB/sを維持できていました。
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」についてはTLC型32層3D NANDを採用する初期のTLC型SATA SSDを彷彿とさせる動作となっており、正直なところ残念です。
KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBの実用性能比較
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。

システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
・本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較

KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBのデータコピー・ゲームロード性能比較
続いて「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、2.5インチSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 QVO 1TB(レビュー)」、「WD Blue 3D NAND SATA SSD 1TB(レビュー)」、「Crucial MX500 SSD 1TB(レビュー)」、「Kingston KC600 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。
まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。


コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCIEスロットにグラフィックボード、3段目PCIEスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCIEスロットに検証ストレージを設置しています。

Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCIEレーンに接続されているので、この問題は発生しません。

「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、比較対象となっている2020年最新のSATA SSDよりも若干遅い結果となりました。

KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBは動画ファイルのコピー書き込みにおいて、所要時間260秒程度で、比較対象となっている2020年最新のSATA SSDより2倍以上の時間を要しています。
Samsung SSD 860 EVOやWD Blue 3D SATAといった主だった最新製品では1TB以上のモデルでSLCキャッシュ超過後の書き込み速度低下が発生しないのに対して、KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBは10GB程度のSLCキャッシュ超過後に200MB/s以下に書き込み速度が低下するので妥当な結果です。

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、動画ファイルの時と同様に、比較対象となっている2020年最新のSATA SSDよりも若干遅い結果となりました。

KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBはゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、やはりSLCキャッシュ超過後の書き込み速度低下が足を引っ張るため、比較対象となっている2020年最新のSATA SSDより2倍以上の時間を要しています。

続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー

The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。
以上の条件で「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ゲームロード時間を測定して比較してみたところ、SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。
今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。

なおゲームストレージとしての性能についてはPCMark10 Storage Testを使用した実用性能比較の章でも比較していますが、今回の検証結果とはストレージ種類別の性能差の傾向が異なります。理由については、PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、今回の比較では『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間となっているからではないかと思います。
KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GBのレビューまとめ
最後に「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB(型番:SSD-CK960S/N)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- SATA3.0規格として理想的な連続リード555MB/s、連続ライト540MB/s
- DRAMキャッシュレスなTLC型SATA SSDらしい安価な価格帯
- 2020年発売だが、性能的には数年前のSATA SSD相当
- TLC型SSDなので大容量書き込み時に書込速度が低下する
960GBモデルの場合、キャッシュ容量が10GB程度、超過後の書き込み速度は200MB/s程度
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkのような基礎的な各種ベンチマークでは既存のSATA SSD同様にSATA3.0の規格上限を満たす理想的なスコアでした。
しかしながらPCMark10ストレージテスト、実ファイルのコピーテスト、SLCキャッシュの挙動等を調べていくと、SATA SSDとして理想的な性能を発揮するSamsung SSD 860 EVOやWD Blue 3D SATAやCrucial MX500といった最新の競合製品に及ばず、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」の性能は数年前の型落ちなSATA SSD相当であることが浮き彫りになってきます。
(DRAMキャッシュレスなので正しい比較対象はCrucial BX500やSanDisk SSD Plusでは、という意見もありそうですが。)
「KIOXIA EXCERIA SATA SSD」にはメモリチップにTLC型3D NANDが採用されており、大容量データの連続書き込みが発生するとSLCキャッシュ容量を超過した時点で書き込み速度が階段的に低下します。今回検証した960GBモデルについては、10GB程度のSLCキャッシュ容量を超過した時点で書き込み速度がSATA3.0規格の理想的な500MB/sから200MB/s以下まで一気に下がってしまいます。
240GB/480GBの容量下位モデルについては、さらにSLCキャッシュ容量が小さく、超過後の書き込み速度が遅い可能性が高いので注意が必要です。
WD Blue 3D SATA(SanDisk SSD Ultra 3D)やCrucial MX500に比べて1TBモデルで1000~2000円程度は安価ですが、SLCキャッシュの使い勝手や読み出し・書き込み性能を考えると、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」を選ぶのは微妙な気がします。
2.5インチSATA SSDで性能を重視するならSamsung SSD 860 EVO、コストパフォーマンスを重視するにしてもWD Blue 3D SATA(SanDisk SSD Ultra 3D)もしくはCrucial MX500を選ぶのがやはり鉄板かなと。
以上、「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB」のレビューでした。

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KIOXIA EXCERIA SATA SSD 960GB レビュー
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) July 10, 2020
良い
✅SATA3.0で理想的な読出555MB/s、書込540MB/s(最大)
✅DRAMキャッシュレスなTLC型SATA SSDらしい安価な価格
悪いor注意
⛔2020年発売だが、性能的には数年前のSATA SSD相当
⛔960GBではSLCキャッシュが10GB、超過後200MB/shttps://t.co/hxELMSr0MX
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・「Samsung SSD 860 EVO 2TB」をレビュー

・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー

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・「KIOXIA EXCERIA SATA SSD 500GB」をレビュー

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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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