Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360


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AMD sTRX4/sWRX8やIntel LGA3647/LGA4189などサーバー・ワークステーション向けプラットフォームにも対応する360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」をレビューします。
Ryzen Threadripper 3970XとXeon W-3175Xを使用して、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の冷却性能を徹底検証していきます。

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代理店公式ページ:https://techace.jp/index.php?route=product/product&product_id=3844
製品公式ページ:https://www.aquatuning.jp/detail/index/sArticle/27124





レビュー目次


1.Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の梱包・付属品
2.Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の水冷ヘッドと水冷チューブ
3.Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のラジエーターと冷却ファン


4.Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の検証機材とセットアップ

5.Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のファンノイズと冷却性能

6.Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のレビューまとめ



【機材協力:Alphacool 国内正規代理店 Techace】



Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の梱包・付属品

まずは「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の外観や付属品をチェックしていきます。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の製品パッケージはスリーブ箱から中箱を取り出すタイプではなく、N式箱で蓋を開くタイプになっていました。
簡易水冷クーラーのパッケージは大きいのでスリーブ箱の場合中身の取り出しが面倒だったりするためこの構造は好印象です。ただ開封時にスペースを取るので長辺ではなく短辺方向(写真で言うと横ではなく奥向き)に開く構造にして欲しかったです。
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製品パッケージを開くと内容品に合わせた形のパルプモールドをスペーサーとして、CPUクーラー本体や各種付属品が収められていました。
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まずは各種付属品をチェックしていきます。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は対応プラットフォームが多く、マウントパーツの種類もたくさんあるので対応プラットフォーム別に紹介していきます。(一部パーツが重複しますが) マウントパーツの種類は多いものの、プラットフォーム毎にビニール袋で小分けされているので、迷うことはないと思います。
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Intel LGA2066やLGA2011-3では、対応マウントブラケット、スタンドオフスクリュー、スプリング、M4ローレットナットを使用します。
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Intel LGA3647では、対応マウントブラケット、対応ローレットナットを使用します。マウントブラケットはNarrow ILMとSquare ILMに対応したものが1セットずつ付属します。
最新ロットではLGA4189用パーツも付属します。LGA4189のマウントパーツ単品でも販売中です。
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AMD sTRX4/sWRX8/SP3では、対応マウントブラケット、対応スタンドオフスクリュー、スプリング、M4ローレットナットを使用します。
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AMD AM4では対応マウントブラケット、対応ハンドスクリュー、M4ナット、0.5mmワッシャー、2mmワッシャー、スプリングを使用します。AMD AM4だけは使用する部品が多く、少々複雑です。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、3基の冷却ファンを一括で制御できるように3分岐ケーブルも付属しています。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は水冷ヘッドと冷却ファンにARGB LEDイルミネーションを搭載しているので、Alphacoolの独自端子をARGB対応VD-G型汎用3PIN LED端子に変換するケーブルと、ARGB LEDコントローラーが付属します。
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その他の付属品として、G1/4プラグを着脱するためのプラグツール、六角レンチ、熱伝導グリスが付属します。
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ラジエーターに冷却ファンを固定するためのネジとして、30mmの長ネジが4本×3セット、ラジエーターをPCケースに固定するための8mmの短ネジが4本×3セット、以上が付属します。ネジの規格は国内のホームセンター等で入手可能なM3ネジです。
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簡易水冷CPUクーラー本体は水冷ヘッドとラジエーター共にビニール袋に包まれています。
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今回の個体ではラジエーター放熱フィンに大きな凹みがありませんでしたが、ラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがあると冷却性能に問題が出るほどではないものの几帳面な人にとっては気になる部分なので、他社製品の梱包ですが、こんな感じに厚紙などでラジエーターは個別に保護しておいて欲しいところ。



Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の水冷ヘッドと水冷チューブ

続いて「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷ヘッド本体をチェックしていきます。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷ヘッドは、80mm×65mmの縦長直方体の形状です。水冷ヘッドのサイズは簡易水冷CPUクーラーの中でもかなり大きい部類です。外装は黒色プラスチック製で、電子回路風のラインが描かれています。
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水冷ヘッドの上と左右の上側の側面には水冷ヘッドに統合されたリザーバーの内部が見えるアクリル窓があります。
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Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の水冷ヘッドからは、水冷ポンプへの給電および回転数取得用の3PINファン端子と、水冷ヘッドに内蔵されたLEDイルミネーションへの給電およびライティング制御用のARGB対応独自コネクタLEDケーブルが伸びています。LEDケーブルの先端はオス端子とメス端子の2本に分岐しています。
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付属LEDコントローラーはSATA電源ケーブルから3PINファン端子ケーブルも伸びているので、LEDの給電・制御に加えて同時に水冷ポンプへの給電も可能です。
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Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の水冷ポンプは上述の通り3PINファン端子から電源供給を行うので、マザーボードのPWM信号による速度調整には非対応です。定格(最大)ポンプ回転数は2600RPMと仕様で表記されていますが、マザーボードファン端子接続時のポンプ速度は2400RPM前後でした。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷ヘッドには、電子回路風のライン部分にARGB LEDイルミネーションが内蔵されています。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のCPUと接触するベース部分は銅製になっており、銅製ベースプレートにはニッケルメッキ処理が施され、綺麗な鏡面に磨き上げられています。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は水冷ヘッドの外径だけでなく、銅製ベースプレートがCPUと接触する部分も非常に巨大です。
ベースプレート接触部の寸法は縦62mm×横79mmとなっており、外周部はネジ穴が被るものの、既存のCPUと比較して超大型なRyzen Threadripperの68mm×51mmのCPUヒートスプレッダを完全にカバーできます。

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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」には複数プラットフォーム用ブラケットが付属しています。ブラケットはスライド構造で簡単に交換が可能です。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷チューブは、水冷ヘッド天面の上端から垂直に、ストレートフィッティングでそのまま伸びています。ロータリー構造等はなく、チューブは回転しません。
また「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」はDIY水冷パーツをベースにした簡易水冷CPUクーラーなので、クーラントの再充填ができるようにフィルポートも設置されています。
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水冷ヘッドと同様にラジエーター側もストレートフィッティングでそのまま水冷チューブが伸びる構造です。チューブの取り回しを考えると、欲を言えばチューブ方向へのロータリー構造があると良かったのですが。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷チューブは黒色で不透明なEPDMゴム製です。DIY水冷のソフトチューブでは内径3/8外径1/2(10mm/13mm)もしくは内径3/8外径5/8(10mm/16mm)を使用しているユーザーが多いと思いますが、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷チューブは内径5/16外径1/2(8mm/13mm)です。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷チューブの長さは400mmほどです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップやリアだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」はラジエーターを出てすぐのところに片方だけですが、最小限の水漏れで水路を分断・接続できるクイックリリースフィッティングが挿入されています。
クイックリリースフィッティングとラジエーターの間のチューブが非常に短く、折り曲げも難しい長さなので、クイックリリースフィッティングを収めるスペースについては注意が必要かもしれません。
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Alphacool Eisbaer Pro Auroraシリーズは同じクイックリリースフィッティングを使ってCPU水冷ブロックやラジエーターを増設できるところも特徴です。(クイックリリースフィッティング付きチューブを装着済みかつクーラントも充填済みのパーツがAlphacoolから発売されている)
クーラントの再充填手段がない状態での増設は個人的にはあまりお勧めしたくないということもあり、今回はGPUの水冷化に焦点を絞ってレビューするので、クイックリリースフィッティングによる機器増設については割愛します。
COMBINE EISWOLF 2 WITH EISBAER



Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のラジエーターと冷却ファン

続いてAlphacool Eisbaer Pro Aurora 360のラジエーター部分をチェックしていきます。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の水冷ラジエーター部分には、管理人が一押しする本格水冷ラジエーター NexXxoS Full Copperシリーズの360mmサイズ30mm厚モデルが採用されています。
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Full Copperの名前の通り、NexXxoS Full Copperシリーズは放熱フィンも銅製になっています。勘違いする人も少なくないそうですが、黒色塗装の隙間から見える放熱フィンの茶色はサビではなく銅の茶褐色です。
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NexXxoS Full Copperシリーズは静音性重視な低速(低静圧)ファンでも十分に放熱できるように、若干広めのフィンピッチが採用されているのも特徴です。
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ラジエーターの厚みはスリムな30mmなので、付属品を含め25mm厚の標準的な120mm冷却ファンを搭載した時の合計の厚さは55mm程度です。360サイズラジエーターに対応したPCケースであれば問題なく設置できるはずです。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので120mm角ファン「Alphacool Rise Aurora 120 mm fan」が標準で3基付属します。
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「Alphacool Rise Aurora 120 mm fan」の定格(最大)回転数は2500RPM、PWM速度調整に対応し、0~2500RPMの範囲内で制御可能です。PWM速度調整で350RPM以下になるデューティ比に設定すると、ファンを完全に停止させることができます。
白色ブレードは軸受け部分に内蔵されたLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体やフレーム状リングに鮮やかな色が行き渡らせる特殊素材です。
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軸受けを固定する支柱は緩やかに弧を描きながらファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。軸受けにはスリーブベアリングが採用されており、MTBF 5万時間の長寿命です。
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ファンフレームのネジ穴周辺部分には、高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し、静音性を高める防振ラバーパッドを搭載しています。
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「Alphacool Rise Aurora 120 mm fan」からはPWM対応4PINファンケーブルに加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのARGB対応3PIN LEDケーブルが伸びています。
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ラジエーターに冷却ファンを固定するためのネジとして、30mmの長ネジが4本×3セット、ラジエーターをPCケースに固定するための8mmの短ネジが4本×3セット、以上が付属します。ネジの規格は国内のホームセンター等で入手可能なM3ネジです。
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Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のLEDイルミネーション

「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のLEDイルミネーションについてチェックしていきます。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」では水冷ヘッド天面と、3基の冷却ファンの軸受け部分にアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションを外部コントローラーによって制御するための変換ケーブルと、ARGB LEDコントローラーが付属しています。
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」に搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、標準で付属するコントローラーによって制御することが可能です。
コントローラーからはSATA電源ケーブルが伸びており、SATA電源を電源供給元として、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションへの電源供給とライティング制御が可能になっています。
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付属コントローラーには「MODE」「SPEED」「LIGHT」の3つのボタンがあります。MODEボタンで発光パターンが切り替わります。七色で動的に変化する発光パターン等ではSPEEDボタンを押下することで変化スピードが変わります。静的発光などの発光パターンではLIGHTボタンを押下することで発光カラーの切り替えが可能です。
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また付属コントローラー以外にも、ARGB対応汎用3PIN LEDヘッダーがあるLEDコントローラーによってライティング制御が可能です。マザーボードについてはASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど国内主要4社マザーボードのライティング制御機能による操作に対応しています。
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今回は付属の専用ライティングコントローラーを使用して「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションの制御について紹介します。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションは、水冷ヘッドと2基の冷却ファンの計3つですが、『コントローラー - ファン1 - ファン2 - ファン3 - 水冷ヘッド』の順番で数珠繋ぎにLEDケーブルを接続することによって、1つのコントローラーでまとめて制御できます。(水冷ヘッドとファンの接続順は前後してもOK)
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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の付属コントローラーで使用できる発光パターンについていくつか写真や動画を撮影しました。
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Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360の検証機材とセットアップ

「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」を検証機材のベンチ機にセットアップします。
「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の検証機材として、Intel Xeon-W3175XやAMD Ryzen Threadripper 3970Xなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Xeon-W3175X
レビュー
AMD Ryzen Threadripper 3970X
レビュー
マザーボード
EVGA SR-3 DARK
(レビュー)
ASRock TRX40 Taichi
レビュー
メインメモリ Corsair DOMINATOR
PLATINUM RGB
レビュー
3600MHz, CL18-19-19-39-CR2
G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C16Q-64GTZN
レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR1
ビデオカード MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB
レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー
SS-NFRAME-EATX (レビュー


ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB



CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」はサーバー・ワークステーション用CPUソケットに幅広く対応しているところが魅力なので、今回はIntel LGA3647ソケットのIntel Xeon W-3175XとEVGA SR-3 Darkを使用してサンプル機を構築してみました。
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Intel LGA3647の場合、CPUソケットにCPUクーラー固定金具が装着されているので、そのままCPUソケットにCPU本体を乗せます。
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なお「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は、CPUをCPUクーラーに固定できるCPUクリップというプラスチック製パーツには非対応です。
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水冷ヘッドをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_apprication

「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のCPUと接触するベース部分には、購入時点では保護フィルムで保護されています。CPUクーラー装着前に保護フィルムを剥がし忘れないように注意してください。
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水冷ヘッドを乗せたら、1.左右の対角ネジ、2.左右の中央ネジの順番に、付属のナットでネジ止めしします。中央の2つは手で締めるのが難しいので、六角ドライバーが合った方がいいと思います。
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以上で「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のセットアップは完了です。
簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷ヘッドの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
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Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のファンノイズと冷却性能

本題となるAlphacool Eisbaer Pro Aurora 360の冷却性能と静音性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
CPU-Cooler_Noise-Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のラジエーター冷却ファンのファンノイズを測定したところ次のようになりました。Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360はラジエーター冷却ファンを1200~1300RPM以下に収まるようにするとノイズレベルが38dB以下に収まるのでPCケースに組み込んだ時に静音動作で運用できると思います。
Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360_noise
上のグラフの通り、冷却ファンを付属品から「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換すれば標準ファンと同じノイズレベルにおいて400PRM~500RPM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。1台あたり3500円ほどと高価ですが、CPUクーラーのパフォーマンスを追及するのであれば、一押しの冷却ファンです。
またベージュ&ブラウンの独特なカラーリングが苦手という人には、NF-A12x25とほぼ同等品で黒一色なカラーリングの「Thermaltake TOUGHFAN 12」がオススメです。
Noctua NF-A12x25 PWM_Radiator


続いて「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
CPU Cooler_Stress Test
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。


まずは28コア56スレッドのウルトラメニーコアCPUながら、倍率ロックフリーでユーザーによるオーバークロックにも対応する「Intel Xeon W-3175X」を使用して、サーバー・ワークステーション向けIntel製CPU環境における、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の冷却性能を検証していきます。
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なお今回検証に使用するXeon W-3175Xは殻割りしてTIMをクマメタルに塗り替えています。


Intel Xeon W-3175Xの動作設定について、CPU動作倍率は単コア最大4.3GHz、全コア最大3.8GHzで公式仕様の通りですが、組み合わせているマザーボードEVGA SR-3 Darkにおいて標準設定で電力制限が無効化されています。メモリは「メモリ周波数3600MHz」「メモリタイミング18-19-19-39-CR2」「メモリ電圧:1.350V」にOCしています。
Xeon W-3175X_BIOS (1)-horz
この設定でIntel Xeon W-3175Xにフル負荷をかけると、全28コアが3.8GHzで動作するので、Cinebench R23のスコアは34000ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(マイナス50~60WでCPUの消費電力)は470~480W前後に達します。
Intel Xeon W-3175X_cinebench r23

「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のファン回転数を1600RPMに固定してストレステストを実行したところ、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は28コア56スレッドCPUのXeon W-3175Xを電力制限無効化の全コア3.8GHzで動作させてもCPU温度を最大77度、平均73.7度に収めることができました。ファン回転数は定格2200RPMなのでまだまだ余力を残しています。
Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360_temp_Xeon W-3175X_1
ストレステスト中のCPU消費電力(CPU Package Power)は420~430W程度で、CPU温度は高温ではあるものの強制的にコアクロックに制限がかかる臨界温度100度より十分に低いので、コアクロックは全コア3.8GHzに綺麗に張り付いています。
Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360_temp_Xeon W-3175X_2


続いて、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」はRyzen Threadripperの非常に巨大なCPUヒートスプレッダをフルカバーするところが大きな特徴なので、第3世代Ryzen Threadripperの32コア64スレッドモデル「Ryzen Threadripper 3970X」を使用して冷却性能を比較してみました。
CPU温度は環境温度にも影響されるため測定時は室温(ベンチ機付近の温度)が22度程度となるように注意しました。
比較対象のCPUクーラーには、Threadripper対応大型ベースプレートを搭載する簡易水冷CPUクーラーとして当サイトで推奨している「SilverStone IceGem 360」を使用し、またラジエーターに搭載する冷却ファンは「Noctua NF-A12x25 PWM x3」に統一、ファン回転数は1500RPMに固定しています。
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Ryzen Threadripper 3970Xなど第3世代Ryzen Threadripperを実際に運用する上では、コアクロックは基本的に弄らないほうがいいのですが、XFRが効くと厳密に比較するのが難しくなるので、Ryzen Threadripper 3970Xを全コア4.1GHz、コア電圧1.200Vに固定して検証を行いました。
Ryzen Threadripper 3970X_BIOS_OC

Ryzen Threadripper 3970Xを全コア4.1GHzにOCすると、Cinebench R23のスコアは47119ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(概ねマイナス80W程度でCPUの消費電力)は400~440W前後に達します。
AMD Ryzen Threadripper 3970X_OC_cinebench r23
AMD Ryzen Threadripper 3970X_OC_power

Ryzen Threadripper 3970Xの全コア4.1GHzについて、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」と
SilverStone IceGem 360で負荷テスト中のCPU温度の推移を比較すると次のようになりました。
Threadripper環境における「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」の冷却性能については32コア64スレッドのRyzen Threadripper 3970Xを全コア4GHz超のOCやPBOによる電力制限解除でも運用できる水準に達しており、ベースプレートの小さいAsetek OEM品よりは数度程度上回るものの、SilverStone IceGem 360には及ばないという結果でした。
ベースプレートのサイズ的にもう少し冷えてもいい気がするのですが、ポンプ速度が定格(最大)でも2400RPM程度とやや遅めなので、それが原因かもしれません。
Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360_temp_Ryzen Threadripper 3970X



Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360のレビューまとめ

最後に360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • AMD sTRX4/sWRX8やIntel LGA3647/4189などサーバー・WS環境に幅広く対応
  • 水冷ヘッドと冷却ファンにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載(付属コントローラーあり)
  • ARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーに接続することでM/Bのライティング制御に対応
  • 300~400WクラスのCPU消費電力でも運用可能な冷却性能
  • クイックリリースフィッティングによって水冷システムの拡張が可能
  • ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3
悪いところor注意点
  • 水冷チューブが太く、やや硬め、QRフィッティングが嵩張るので取り回し難いかも
  • 付属ファンはファンノイズがやや煩い

冷却性能の検証結果からもわかるように「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は、Intel Xeon W-3175XやAMD Ryzen Threadripper 3970XといったCPU消費電力が300W~400Wに達するサーバー・ワークステーション向けCPUを十分に対応可能な冷却性能を備えています。

「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」は、一般的なCPUクーラーがサポートしない、AMD sTRX4/sWRX8やIntel LGA3647/LGA4189などサーバー・ワークステーション向けプラットフォームに幅広く対応しているので、そういった環境で高性能な簡易水冷CPUクーラーを導入したい人に最適な製品です。

以上、「Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360」のレビューでした。
Alphacool Eisbaer Pro Aurora 360


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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。





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