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ゲーミングアーキテクチャ RDNA3を採用するAMDの最新アッパーミドルGPUの上位モデル「AMD Radeon RX 7800 XT」を搭載したAMD純正リファレンスグラフィックボードをレビューしていきます。
待望のAMD製次世代アッパーミドルGPU「Radeon RX 7800 XT」が、同ナンバリングの前世代ハイエンド Radeon RX 6800 XTをどの程度上回り、また競合NVIDIAのGeForce RTX 4070と真っ向から戦えるのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
代理店公式ページ:https://www.ask-corp.jp/products/sapphire/graphicsboard/radeon-rx-7800-xt/sapphire-amd-radeon-rx-7800-xt-gaming-16gb-gddr6.html
製品公式ページ:https://www.sapphiretech.com/en/consumer/21330-01-20g-radeon-rx-7800-xt-16g-gddr6
AMD Radeon RX 7800 XT レビュー目次
1.AMD Radeon RX 7800 XTの外観
2.AMD Radeon RX 7800 XTの分解
3.AMD Radeon RX 7800 XTの検証機材・GPU概要
4.AMD Radeon RX 7800 XTのゲーム性能
・中間フレーム生成機能 AFMFについて (プレビュー版を試した感想も)
5.AMD Radeon RX 7800 XTの温度・消費電力・ファンノイズ
6.AMD Radeon RX 7800 XTのレビューまとめ
AMD Radeon RX 7800 XTの外観
早速、AMD Radeon RX 7800 XTを開封していきます。先行して発売された上位モデルRX 7900 XTX/XTのリファレンスモデルはいくつかのベンダーからリリースされていましたが、「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルはSAPPHIREからしか発表されておらず、AMD純正品は国内では正規販売品が出回らないので、リファレンスモデルを選ぶなら実質一択です。
基本的にAMD純正のリファレンスモデルを箱詰めしただけ、+αでファン中央に各社のロゴシールが貼られている、PCIE端子やビデオ出力ポートにカバーが付いているくらいの違いなので、どのベンダーの製品を買っても大差ありません。
SAPPHIRE、ASRock、Power Colorなど一部メーカー製品は他社の1年よりも長い2年保証になっているので、ここだけは気にしてもいいかもしれません。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルは少しだけアクセントカラーで赤色が入っていますが、基本的に黒一色のカラーリングです。
RX 6000シリーズのリファレンスモデルと比較すると、デザインはメカメカしくなっており、よりゲーマー志向を感じます。
シルバーとブラックのツートンカラーな金属製外装を採用しています。比較的シンプルなデザインが多かったRadeonのリファレンスグラフィックボードと比較してゲーミング風なデザインに生まれ変わっています。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルの全長は267mmです。
アッパーミドルクラスとしてはやや大きめですが、従来のフルサイズに当たる全長で、RX 6800 XTやRX 6700 XTのリファレンスモデルとほぼ同じサイズなので、前世代からサイズを気にせずアップグレードできるところは魅力です。
「AMD Radeon RX 7800 XT」はPCIEブラケットからはみ出す高さ方向も+数mm以下に収まっており、PCケースサイドパネルとの干渉についても心配はありません。
ただ、アッパーミドル帯においては競合NVIDIAの最新GPUであるRTX 4070は全長220~240mmのモデルもあり、PCIE補助電源も8PIN 1つだけ足りるのに対して、「AMD Radeon RX 7800 XT」はAIBも含めて最小サイズのリファレンスモデルですら全長267mmかつ3スロット占有で従来のハイエンドGPUなサイズ、PCIE補助電源も8PIN×2を要します。
AMDがターゲットとしているRTX 2070やRX 5700 XTといった旧世代のアッパーミドルからのアップグレードとなると、”換装の際にPCケースや電源ユニットといった既存環境から使いまわす部品との互換性”、という意味でRTX 4070に比べて門が狭いというのが正直な感想です。
ハイエンド帯では、競合NVIDIAのGeForce RTX 4080は全長300mm超、4スロット占有モデルが大半なので(3スロットに収まるRTX 4070 Tiも300mm超がほとんど)、AMDはRadeon RX 7900 XT/XTXのリファレンスモデルのコンパクトさ、またPCIE補助電源として12VHPWRではなく従来規格の8PINを採用していて、アップグレードが容易であることをアピールしていましたが、より購買層の広いアッパーミドル帯で関係が逆転しているのは皮肉です。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルは前世代RX 6700 XTと同じく2連ファンの内排気型GPUクーラーを搭載しています。ファン径は前世代と同じく80mmです。
2基の冷却ファンにはファンノイズを抑えつつ高い静圧&風量を得ることが可能なバリアーリング搭載冷却ファンを採用しています。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルはTGP250W超の発熱に対応するため、大型放熱フィンを採用したヒートシンクが搭載されており、PCIEスロットを3スロット占有します。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルの補助電源数はPCIE 8PIN×2です。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort2.1×3の4基が実装されています。
Radeon RX 7000シリーズではビデオ出力を司るディスプレイエンジンも刷新され、2022年に入って大分普及してきたHDMI2.1に加えて、4K/480Hzや8K/165Hzに対応する次世代規格DisplayPort2.1をサポートしています。
「AMD Radeon RX 7800 XT」にはGPUクーラーと同様にブラック一色の金属製バックプレートが装着されています。
基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割に加えて、部分的にですがVRAMチップとの間にサーマルパッドが貼られているので冷却補助の役割も果たします。
近年のグラフィックボードでGPUクーラー設計のトレンドになっているフロースルー構造は採用されておらず、グラフィックボード右端はバックプレートによって完全に塞がっています。
グラフィックボードの重量はAMD Radeon RX 7900 XTが1518g、AMD Radeon RX 6800が1386gに対して、AMD Radeon RX 7800 XTは1103gでした。
バックプレート等で基板の反りは防止されていますが、重量は1kgを軽く超過しているのでPCIEスロットへの負荷を考えるとVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
AMD Radeon RX 7800 XTの分解
「AMD Radeon RX 7800 XT」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、一部を除く多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。
今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
【暇があれば更新予定】
AMD Radeon RX 7800 XTの検証機材・GPU概要
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「AMD Radeon RX 7800 XT」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 (ゲーム性能検証) |
|
OS | Windows11 Home 64bit |
CPU | Intel Core i9 13900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 7200MHz, 34-45-45-115 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー) |
ゲームストレージ |
Samsung SSD 870 QVO 8TB (レビュー) |
電源ユニット | Corsair HX1500i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を使用しています。
Samsung SSD 990 PROは、PCIE4.0対応SSDで最速クラスの性能を発揮し、なおかつ電力効率は前モデル980 PRO比で最大50%も向上しており、7GB/s超の高速アクセスでも低発熱なところも魅力な高性能SSDです。 これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 990 PRO 1TB」をレビュー。性能も電力効率もトップクラス!
検証機ではシステムメモリとして、Intel第13世代CPU向けメモリとしては4xメモリスロットのマザーボードでも動作可能な最速クラスの製品、メモリ周波数7200MHz/CL34の高メモリクロックかつ低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-7200J3445G16GX2-TZ5RK)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5シリーズはIntel XMP3.0のOCプロファイルに対応した製品となっており、6000MHzの定番設定なモデルもあり、Intel第13世代CPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで7200MHz OCに対応!
AMD Radeon RX 7800 XTのGPU概要
「Radeon RX 7800 XT」のスペックについて簡単に確認しておきます。「AMD Radeon RX 7800 XT」のスペックは、コンピュートユニット数が60、シェーダー数が3840、コアクロックはゲームクロック2124MHz、最大ブーストクロック2430MHzです。
VRAMには従来よりも高速な19.5GbpsのGDDR6メモリを16GB容量搭載しています。メモリーバス幅は256bitなのでメモリ帯域は624GB/sです。またRDNA3アーキテクチャの特長でもある超高速キャッシュ 第2世代Infinity Cacheを64MB搭載し、有効メモリ帯域は2708GB/sであるとのこと。
消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は263Wです。
今回レビューするのは「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルなので、AMD公式のリファレンス仕様通り、コアクロックはゲームクロック2124MHz、最大ブーストクロック2430MHzです。(公式仕様と違ってキリの悪い数字ですがGPU-Zで確認できる値としては正常)
またGPU-ZからはRadeon RX 7000シリーズの電力制限値そのものは確認できないのですが、AMD Radeon RX 7800 XTリファレンスモデルにおいて電力制限の基準値の調整可能幅は-10%~+15%でした。
Radeon RX 7800 XTのグラフィックボード全体の消費電力の指標値であるTBP(NVIDIA仕様でいうTGPのこと)は263Wと公表されていますが、GPUコア単体の電力制限は212Wに設定されていました。継続的な許容電力であるSustainedに加え、短期的な許容電力のShortというパラメータもあり、こちらは40W程度大きい254Wでした。
GPUコアの増強、コアクロックの高速化といった3Dグラフィックス関連の強化に加えて、RDNA 3アーキテクチャではメディアエンジン、所謂、ハードウェアエンコーダー/デコーダーも刷新され、新たにAV1コーデックのエンコードに対応しています。
現在最も普及しているH.264、圧縮効率に優れた次世代規格として期待されているHEVCとAV1の3種類について全てハードウェアによるエンコードとデコードをサポートしています。
AV1ハードウェアエンコーダーはAdobe Premiere Pro、FFmpeg、Handbrake、OBSなどがサポートし、8K解像度のエンコードで最大7倍も高速になるとのこと。
ストリーミングへのアプローチはAV1コーデックそのものの優れた圧縮効率による高画質化だけでなく、独自の機械学習フィルターという形でも提供が予定されています。
機械学習によって作られたフィルターをエンコード前ビデオフレームに適用することで、テキストやUIといった低ビットレートで崩れやすい要素も視認性を保ったまま変換できるとのこと。
またRyzen 7000シリーズCPUのようにハードウェアエンコーダに対応したiGPUを搭載するCPUを組み合わせた時にCPUとGPUのエンコーダを同時に使用し、マルチストリーム化することで、エンコード作業を高速化させる機能 AMD SmartAccess Video(SAV)も提供が予定されています。
AMD SmartAccess Videoは、AMD Advanced Media Framework SDK(AMD AMF)に対応したソフトウェアで使用でき、OBS Studio、FFmpeg、Adobe Premiere Proが実装予定とのこと。
Radeon設定によるRX 7800 XTのチューニングについて
Radeon RX 7000シリーズでも、デスクトップ右クリックメニューからアクセスできるRadeon設定の「パフォーマンスタブ - チューニング」の順にアクセスすると、前世代同様にコアクロック・メモリクロックやファン制御に関する設定が表示されます。チューニングを開くとまず、GPU動作プロファイルの選択が表示されます。
チューニングコントロールで「手動」を選択すると、大別してGPUコアクロック、VRAMコアクロック、ファン制御、電力制限の4種類の設定が表示されます。
GPUチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると最小周波数、最大周波数、GPUコア電圧(Voltage)の3種類の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzやmVといった実際の物理単位に変わります。Radeon RX 7800 XTリファレンスモデルでは最大周波数を5000MHzまで引き上げることが可能です。(当然、安定動作するような数値ではありませんが)
Radeon VIIやRX 5000シリーズでは低電圧化耐性の指標になったもののRX 7000シリーズではどうなのかわかりませんが、とりあえず今回管理人が入手した個体については標準の最大周波数が2675MHz、GPUコア電圧が1150mVでした。
VRAMチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えるとVRAM周波数(最大周波数)の設定スライダーが表示されます。
高度な制御のスライドスイッチをONにすると設定値が%単位からMHzの物理単位に変わります。Radeon RX 7800 XTリファレンスモデルでは定格の2500MHzから最大周波数を3000MHzまで引き上げることが可能です。
電源チューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると電力制限の設定スライダーが表示されます。
電力制限の設定は各GPUの標準GPUコア電力制限に対するパーセンテージのオフセットですが、Radeon RX 7800 XTリファレンスモデルでは212Wを基準にして最大で+15%まで電力制限の引き上げが可能です。
ファンチューニングの横にあるスライドスイッチをON(赤色バー表示)に切り替えると、ゼロRPM(セミファンレス機能)の切り替えスイッチ、最大ファン速度の設定スライダーが表示されます。
また高度な制御のスライドスイッチをONにするとファン制御カーブの手動設定が表示されます。Radeon RX 7000シリーズにはGPU温度とジャンクション温度(複数あるGPUダイ上の温度センサーの最大値)の2種類の温度があり、ファン制御カーブはジャンクション温度を参照するようです。
温度とファン速度について5つの頂点を任意に指定してファン速度を制御できます。上述のセミファンレス機能との併用や、セミファンレス機能の無効化も可能です。
AMD Radeon RX 7800 XTのゲーム性能
「AMD Radeon RX 7800 XT」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 4070」、「GeForce RTX 3080」、「GeForce RTX 3070」、「Radeon RX 6800 XT」、「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」を使用しています。(特定のモデルや型番を指名していない場合、各GPUメーカーのリファレンスモデルもしくはリファレンス仕様のオリファンモデルです)
「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク FireStrikeによる比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
RX 7800 XT |
47810 | 24495 | 12183 |
RTX 4070 |
44350 | 21552 | 10137 |
RTX 3080 |
43191 | 21264 | 10792 |
RTX 3070 |
33213 | 16156 | 8176 |
RX 6800 XT |
50616 | 25245 | 12564 |
RTX 2080 Ti FE |
35575 | 16872 | 8550 |
「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで最新タイトルでは採用が増えつつあるDirectX12ベンチマーク TimeSpy、およびレイトレーシング表現に対応したベンチマーク Port Royalによる性能比較となります。
TimeSpy | Extreme | Port Royal |
|
RX 7800 XT |
19022 | 8974 | 10244 |
RTX 4070 |
17870 | 8539 | 11186 |
RTX 3080 |
17407 | 8671 | 11513 |
RTX 3070 |
12946 | 6331 | 7929 |
RX 6800 XT |
18807 | 9032 | 9750 |
RTX 2080 Ti FE |
14490 | 6641 | 8936 |
続いて近年の最新PCゲームを実際に用いたベンチマーク比較になります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)とWQHD(2560×1440)と4K(3840×2160)の3種類の解像度で平均FPSを比較しました。
最新タイトルでは専用ハードウェアによるレイトレーシング表現や、NVIDIA DLSS/AMD FSR/Intel XeSSといったAIを活用した超解像・倍速補間に対応したものも増えていますが、それらの機能は無効化し、ここでは従来のラスタライズ方式の3Dグラフィックス性能を比較しています。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、『Assassin's Creed Valhara』、『Battlefield V』、『CONTROL』、『Cyberpunk 2077』、『DEATH STRANDING』、『Far Cry 6』、『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』、『Forza Horizon 5』、『God of War』、『Marvel's Guardians of the Galaxy』、『MONSTER HUNTER: WORLD』、『Shadow of the Tomb Raider』、『Tales of Arise』、『UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection』、『Watch Dogs Legion』、以上の15タイトルです。
Assassin's Creed Valhara(最高設定プリセット)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Cyberpunk 2077(ウルトラ設定プリセット, FSR:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Cyberpunk 2077については大型追加DLC 仮初めの自由に対応したver2.02で検証しています。ベンチマーク比較グラフを見ての通り、GeForce RTX 4070はWQHDや4KでRTX 3070にかなり近いフレームレートになり、得手不得手というよりも、ハズレ値に近い結果になりました。
一応、FSRをオフではなく、ウルトラ設定プリセットの標準の品質(Quality)に変更して試してみましたが、傾向はあまり変わりません。GeForceドライバを537.42などにロールバックも試したもののやはり変わらず。
Cyberpunk 2077でRX 7800 XTとRTX 4070をWQHDや4Kで比較すると相対性能の差が30~50%とかなり大きくなります。
現行バージョンでRTX 4070に対して何かしらバグがあるか、GPU性能の割に小さいVRAMバス幅など何かしらのハードウェア仕様がボトルネックになっているものと思います。(4KになるとRTX 3070すら下回るのでVRAM速度を含めたVRAM帯域ではない気が)
DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 6(最高設定プリセット, 高解像度テクスチャ:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE(テクスチャ解像度:高設定、シャドウ解像度:高設定、キャラクター表示数:10)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADEは、標準では最大フレームレートが120FPSですが、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのFFVIIHookを使用して『フレームレート制限なし』、『可変レンダリング解像度:オフ』、『モーションブラー:オフ』の設定を適用しています。加えてNVIDIAコントロールパネルから垂直同期を無効化しています。
Forza Horizon 5(エクストリーム設定プリセット, モーションブラー:オフ, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
God of War(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel's Guardians of the Galaxy(ウルトラ設定プリセット, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Marvel's Guardians of the Galaxyはゲームプレイ時の最大フレームレートは144FPSですが、ゲーム内ベンチマーク機能は144FPS以上で計測できるので、その結果を使用しています。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高画質設定プリセット, DirectX12, TAA, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Tales of Arise(最高設定, モーションブラー:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
なお、Tales of Ariseは、標準ではPlayStation 5やXbox Series Xのコンソールゲーム機版よりもオブジェクトや影の遠景描画が省略されているので、アンリアルエンジン4のiniファイルによるカスタム設定を有効にするMODのArise-SDKを使用して高画質化する設定を適用しています。
UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection(ウルトラ設定プリセット, モーションブラー:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Watch Dogs Legion(最大設定プリセット, DirectX12, レイトレーシング表現:オフ)に関する「AMD Radeon RX 7800 XT」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
AMD Radeon RX 7800 XTなど6種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、AMD Radeon RX 7800 XTは、競合NVIDIAの前世代アッパーミドルGPUであるRTX 3070を平均で30%以上、ベストケースでは40~50%も上回る性能を発揮しました。
またRadeon RX 7800 XTは、前世代ではハイエンドモデルながらコストパフォーマンスの高さで好評を博したRX 6800 XTと同等以上の性能を実現しています。平均で見ると差は5%以下になると思いますが、Cyberpunk 2077などアーキテクチャ的に好適なゲームであれば10~20%の性能向上も期待できます。
RX 7800 XTとRX 6800 XTは、GPUアーキテクチャ改良でフルHD、VRAM帯域の拡大で4Kにおいて伸びが少し大きく、逆にInfinity Cacheが減っているのでWQHDは少し弱いという分かり比較的に易い傾向です。
もう1つ補足として、2023年最新世代においてRadeon RX 7800 XTと価格帯が近く、AMD公式にも競合製品として比較スライドが作成されている、NVIDIAの最新アッパーミドルクラスGPU、GeForce RTX 4070との比較です。
下は両者がパフォーマンスターゲットとするWQHD解像度における当サイトのベンチマーク比較の結果ですが、AMD公式スライド同様に平均性能はほぼ同等、好適タイトルな15~20%上回る(逆に下回るケースもある)という感じです。
比較に使用するゲームの抜粋次第なところもあるものの、当サイト的には5%弱ではあるもののRadeon RX 7800 XTのほうがGeForce RTX 4070よりも高性能、という評価です。
なおゲーム別ベンチの途中でも補足しましたが、2023年10月現在、Cyberpunk 2077においてGeForce RTX 4070のパフォーマンスがかなり低くなっています。傾向として性能差は20%、せいぜい25%に届くかどうかになるはずなのですが。
一応、Cyberpunk 2077の測定値がハズレ値としても(正常値を20%と想定)、15ゲームで平均を取っているので相対性能の平均値は4%前後に下がる程度です。
ちなみにフルHDや4KでもRadeon RX 7800 XTのほうが一桁%高性能という評価ですが、フルHDだと若干、GeForce RTX 4070寄りになり、4Kのネイティブ解像度レンダリングではGeForce RTX 4070はVRAM帯域がボトルネックなるので、さらにRadeon RX 7800 XT寄りになります。
ドライバレベルの中間フレーム生成機能 AMD Fluid Motion Framesについて (あと、プレビュードライバを試した感想)
現行バージョンのFSR 2はフルHD~WQHDの低解像度レンダリング結果(各フレーム)を4Kなど高解像度へ1つ1つ高品質にアップスケールする機能ですが、2023年後半に中間フレーム生成(倍速補間)に対応した最新バージョン FSR 3が発表されました。2023年9月にはまだ対応タイトルはFORSPOKENとアヴェウムの騎士団(Immortals of Aveum)の2つで少ないものの、競合NVIDIAのDLSS 3(FG)から少し遅れてAMDも中間フレーム生成に対応した形です。
さらにAMDからはFSR 3として実装されていないゲームでもドライバレベルで動作する中間フレーム生成機能 AMD Fluid Motion Frames(AFMF)が発表されています。
FSR 3の中間フレーム生成機能がGPUメーカー問わず、NVIDIAやIntelのGPUでも利用できるのと違い、AFMFはRadeon RX 7000/6000シリーズなど比較的新しいAMD製GPUに限定される機能です。(ドライバレベルの機能なので当然と言えば当然ですが)
9月末にはプレビュードライバという形ではあるものの、任意のDirectX 11/12のゲームで利用できる機能としてAFMFはすでに提供されています。
AMD Fluid Motion Frames(AFMF)はゲーム側実装のないドライバレベルの動作なので、当然モーションベクタすら取得できず(Optical Flowだけで生成する?)、生成される中間フレームの品質は気になるという人も多いと思います。
プレビュードライバを試した結果について簡単に箇条書きでまとめると次の通りです。正式サポートで解消される現象や不具合もあると思いますが、プレビュー版の評価としてはこんな感じ。
- フレームレートの数字自体は1.8~2.0倍くらいになる
- マイクロスタッターがあるので滑らかさの向上は体感的には微妙
- 垂直同期は利用できないのでVRR併用を推奨
- ドライバ側のフレームレート制限機能が使用できない
- テアリングが混ざると中間フレームの破綻のノイズ感がより気になる
- 動きの小さいムービーシーンなら素の状態と比べて違和感はない
- 動きの大きいシーンでも120FPS程度ならノイズ感はモーションブラーに紛れる
AFMFを有効にすると垂直同期は使えないので、可変リフレッシュレート同期(VRR)に対応したモニタを組み合わせないと、カメラを左右に振ったり、動きが大きいシーンで中間フレームの破綻とテアリングが混ざってノイズ感が酷い感じになりました。
ちなみにゲーム組み込みのFSR 3は垂直同期を単純に使用でき(FORSPOKENで確認)、DLSS 3(FG)は単独の垂直同期は排他利用ですが、VRR使用時なら垂直同期を併用できます。
またプレビュードライバではドライバ側のフレームレート制限機能もAFMFとは併用できません。
Cyberpunk 2077のようにゲーム内にフレームレートを制限する機能があれば、VRRの最大リフレッシュレート引く5の半分くらいフレームレート上限を設定することで、テアリングもなく良い感じにヌルヌルとした滑らかな表示になります。
AFMFにおいてVRR非対応の環境やVRRレンジ外でノイズ感が酷くなる理由は割と簡単に説明できます。
生成されたフレームが連続することはあり得ないので、理想的な状態として通常(レンダリング)フレームと生成フレームが交互に発生するものとします。
まずVRR有効の場合ですが、フレーム更新と画面リフレッシュが同期するので、ディスプレイ上には前述の通り通常フレームと生成フレームは交互に表示されます。分かり易いように通常フレームには緑色のバー、生成フレームには赤色のバーを左端に付けています。
問題はVRRを使用しない場合ですが、垂直同期も無効なのでテアリングが発生します。テアリングによって少なくとも2つ以上のフレームが分断されて画面上に表示されます。
通常フレームと生成フレームは交互に表示されるので毎回(画面更新全てで)、どこかにノイズが乗った生成フレームが紛れ込みます。
そして確率次第なのですが、テアリングによって同じ場所に連続して生成フレームが表示される可能性があります。
VRR有効であれば通常フレームと生成フレームは必ず交互に表示されるので、生成フレームに含まれるノイズはボケ感程度に緩和されますが、テアリングによって同じ場所に生成フレームが続くとノイズそのものとして認識しやすくなります。
VRR非対応の環境やVRRレンジ外までフレームレートが伸びた時にノイズ感が強くなるのはこういう原理です。
Cyberpunk 2077だとゲーム内のフレームレート制限機能を併用することで多少マシにはなるのですが、Marvel’s Spider-Man Remasteredなどいくつかのゲームではマイクロスタッターが結構発生しました。
素の状態と比較して平均フレームレートの数字自体は1.8~2.0倍程度と中間フレーム生成として理想的な倍数近い性能向上になるのですが、体感的な滑らかさはまだ微妙です。こういう事情があるので”試してみた感想”というレポートに留め、フレームレートの数値比較(ベンチマーク測定)は今回は避けました。
ゲーム内に組み込まれているFORSPOKENのFSR 3は滑らかさについてもかなり良かったのでこの点は少々残念でした。 モーションベクタも利用できないドライバ側機能なので破綻(ノイズ)については仕方ないものの、マイクロスタッターの低減については正式ドライバまでに何とかして欲しいところ。
中間フレーム生成によるノイズについては、こういう動きの小さいムービーシーンだとほとんど違和感はがありません。キャプチャ動画は4K/120FPSの固定ビットレートで録画していて、異なるフレーム数が多いほどボケ気味になるため、AFMFと素の状態の見分けは難しくないかもしれませんが、実際に見ると中間フレーム生成によってハッキリとノイズを感じることはありませんでした。
AFMFによる中間フレームの分かり易い破綻の例を挙げるとスクロールする背景の中に画面上位置で静止するUIがあると左右に振動するような残像が生まれました。あと格子状に並んでいる窓も単純に左右にスクロールするだけですが、結構破綻してノイズ感があります。
マイクロスタッターもあって正確には評価ができていませんが、動きが大きいシーンで120FPS前後ならモーションブラー(ゲーム機能ではなくホールドボケのこと)と混ざってノイズ感は気にならなくなり、ヌルヌル感で滑らかさ向上のほうが体感として増す、と思います。
もともとE-Sports系タイトルで240FPS+を目指すための機能ではないので、動きが大きい時のノイズはモーションブラーに吸収させてしまう、というある種の妥協的設計は悪くないと思います。
中間フレーム生成は動的解像度と違って動きの小さいシーンでもフレームレートが低いからといってボケボケになることがありません。ボケるかどうかがフレームレートではなく映像の動きの大きさに影響されるという特性です。
中間フレーム生成でフレームレートをブーストできるなら、超解像のソース解像度を下げ過ぎず(クッキリ感維持して)に120FPS狙えるようになり、当然、動くシーンもヌルヌルになります。
この特徴はFSR 3やDLSS 3(DLSS FG)のゲーム組み込み型機能にも言えることですが、AMD Fluid Motion Frames(AFMF)は4K/120FPS用としてはバランスの良い選択肢だと思うので、正式ドライバに向けて完成度を上げて欲しいところです。
AMD Radeon RX 7800 XTの温度・消費電力・ファンノイズ
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy(Extreme) Stress Testを使用しています。
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」のテスト終盤におけるGPU温度は最大77度とやや高めですが、ファン速度は一時的に1400RPMまで上がるものの、最終的には1100~1200RPMの低速に収束していきます。
7800 XTのリファレンスモデルは法人メディアの先行レビューでも使用されていますが、その情報と比較すると今回入手したSAPPHIREの箱詰め品のファン速度は400~500RPM程度低めです。
SAPPHIREが箱詰めリファに対して独自にチューニングを施したのでなければ、SAPPHIRE製を含めRX 7800 XTのオリファンモデルはいずれも全長300mm近い巨大モデルばかりなので、それの静音性や冷却性能を引き立たせるためにネガティブチューニングが施されていた、という説も否定できません。
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、GPU温度50度前後が始動閾値、GPU温度40度前後が停止閾値でヒステリシスも採用されています。製品によっては回転数が上下してふらつくことの多い始動や停止の直前も、閾値を上下した瞬間にピタッと切り替わります。
GPUコアクロックについて、「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」の負荷テスト中の実動平均は2249MHzでした。
【補足】
コアクロック比較グラフはAIBモデル別の優劣を決めるための比較ではなく、特定のGPUがだいたいどの程度のコアクロックで動作するのか確認するために掲載しています。
AMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが最も支配的なファクターです。加えて負荷中のGPU温度も5~10度刻みでブーストクロックの制御に影響します。
そのため、ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックは各メーカー内におけるOC耐性選別という意味で1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣にはあまり当てになりません。
今回検証している個体Aが他社AIBと比較して実動コアクロックが低くても、市場製品の個体Bは高い、個体Cは同程度…のように、本当に御神籤状態です。
また実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへ「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」を組み込み、1時間に渡って負荷をかけた時にGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認してみました。
検証するGPUランクによって負荷を変えており、通常はTime Spy(Extreme) グラフィックテスト1、一部のウルトラハイエンドGPUにはPort Royal 4Kをループ再生させ、各GPUがMaxTGPに張り付く状態を検証しています。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。
CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
・「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
PCケースに入れた状態で長時間負荷をかけると、「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」のGPU温度は75度程度、ホットスポット温度は94度程度とベンチ板上で測定した時と大差ありませんが、ファン回転数は1400RPM程度で微増となっています。
ベンチ板測定時に比べるとファン速度は上昇していますが、十分に低速なのでPCケースに入れた状態でファンノイズが煩く感じることはないはずです。ウィングブレード構造のファンは風切り音が気になり難いというのもありますし。
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」のGPUクーラーは内排気ファンということもありPCケースの吸排気を最適化しないと冷却効率が下がるので、フロントx3/リアx1で140mmファンを設置して1000RPMで回しています。実際にPCケースへ組み込むユーザーはPCケースの吸排気にも注意してみてください。
加えて1時間のストレステスト終盤にサーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」は、バックプレート表面や、背面や側面の隙間から確認できるPCB基板上のVRM電源回路やPCIE補助電源コネクタの付近の温度がホットスポットの最大値でも70度前後に収まっていました。(GPUクーラーやバックプレートでほぼ完全に覆われているので内部温度をサーモグラフィで正確に測ることはできないのですが)
AMD Radeon RX 7800 XTを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「AMD Radeon RX 7800 XT」は、ベンチ板上とPCケース組み込み時でファン速度が1100~1400RPMと十分に低速で、ノイズレベルも33dB未満に収まっています。
「AMD Radeon RX 7800 XT」のリファレンスモデルに採用されているバリアーリング付きファンは体感的にもファンノイズを煩く感じにくい特長があるので、ベンチ板上でも気になりませんし、PCケースに入れた状態なら、なおさらファン動作を認識するのも難しいくらいだと思います。
上位モデルRX 7900 XT/XTXはコンパクトさを求めないのであれば、静音性に優れたAIBパートナーのオリファンモデルを選ぶ方が良かったですが、RX 7800 XTはコンパクトかつ静音性的にもリファレンスモデルで十分な仕上がりです。
AMD Radeon RX 7800 XTの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
グラフィックボードの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。GPU Power TesterはPCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しているので、シンプルにグラフィックボードそのものの消費電力をしることができます。
消費電力の測定にあたって検証するGPUランクによって負荷を変えており、通常はTime Spy(Extreme) グラフィックテスト1、一部のウルトラハイエンドGPUにはPort Royal 4K(GPU名に*マークを併記)をループ再生させ、各GPUがMaxTGPに張り付く状態を検証しています。
テスト全体から1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」の消費電力は253W、最大瞬間負荷は289Wでした。「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」のTGPは263Wに設定されていますが、GPUコア単体の電力制限212Wに対して負荷テスト中の平均電力も212W前後に張り付いていました。その状態で上のような実測値だったので、概ね公式仕様の通りの消費電力です。
AMD Radeon RX 7800 XT レビューまとめ
最後に「AMD Radeon RX 7800 XT」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- WQHD/ハイフレームレートに最適、FSR 3で4Kにも対応可能なGPU
- ドライバレベルの中間フレーム生成機能 AFMFに対応 (2023年11月現在はプレビュー版)
- RTX 3070と比較して平均30%以上、好適タイトルでは40~50%も高速
- RTX 4070と比較しても平均で5%弱程度は高速
- RX 6800 XTと比較しても平均で数%弱程度は高速
- 高圧縮かつ高画質な次世代コーデックAV1のハードウェアエンコードに対応
- 全長267mm、3スロット占有でRX 7800 XTとしては最小サイズ
- TGP263WのRX 7800 XTをノイズレベル31~33dBで冷やせる高静音なGPUクーラー
- レイトレーシング性能は競合のGeForce RTX 40よりも低い
- リファレンスモデルは初回後の流通は少なく、入手が難しい
- RX 7800 XT 一般に価格が税込み8万円からと高価 (2023年9月現在)
Radeon RX 7800 XTは、前世代アッパーミドルGPUで好評を博した競合製品GeForce RTX 3070と比較して平均で30%以上、ベストケースでは40~50%近くも上回る性能を実現しています。
主にWQHD/ハイフレームレートなPCゲーミングをターゲットにしたGPUですが、超解像技術 AMD FidelityFX Super Resolutionやその中間フレーム生成対応の最新バージョン FSR3を併用することで、4K解像度やAMD製GPUが相対的に弱いとされるレイトレーシング表現にも対応可能です。
Radeon RX 7800 XTは国内では税込み8~9万円で販売されており、ラスタライズ性能は前世代ハイエンドのRX 6800 XTとほぼ同等なので、コストパフォーマンスは良くなっているものの、特別、目新しさはありません。(北米価格でもRX 6800 XTは初出699ドルですが、その後579ドルに値下がりし、RX 7800 XTは499ドルからなのでやはり)
競合のRTX 4070もDLSS 3とAV1 HWエンコードに対応したRTX 3080の価格据え置きのモデルチェンジという評価でしたが、RX 7800 XTについては同社の中間フレーム生成機能FSR 3が旧モデルも対応しているのでさらに目新しさがない感じです。NVIDIAのDLSS 3に訴求力があるとも思っていませんが。
競合NVIDIAの最新モデル RTX 4070と比較すると北米希望価格には100ドルの差がありますが、国内の実売価格に目を向けると、RX 7800 XTは8万円台前半から、RTX 4070は8万円台後半からなので、価格差はせいぜい5千円程度しかありません。
ラスタライズ性能のコスパはどちらが上か?と聞かれれば迷わずRX 7800 XTと答えますが、同時に僅差であることも否定できません。何か悪いわけではありませんが、特別に推すポイントがないというか…、まあそれはRTX 4070にも言えることですが。
一方でGeForce RTX 4070を比較して迷っている人に、Radeon RX 7800 XTのポジティブポイントを1つ提示するとしたら任意のDirectX 11/12のゲームで利用できる中間フレーム生成機能 AMD Fluid Motion Frames(AFMF)です。
今のところはまだプレビュー版という形での提供であり、試してみた感想でお伝えした通り粗も目立つ機能ですが、正式版として完成度が上がればGPU性能のゲームチェンジャーとしても期待できると思っています。(そうなればNVIDIAも後追いするかもですが)
逆にRadeon RX 7800 XTをGeForce RTX 4070と比較した時、明確なネガティブポイントが1つあるとしたら、やはりグラフィックボードのサイズ(場合によっては消費電力も)だと思います。
RX 7800 XTは最小サイズのリファレンスモデルですら全長267mmで3スロット占有となっており、全長が200mm前半や2スロットに収まるオリファンモデルも展開されているRTX 4070と比較すると、やはり既存環境からのアップグレードにおいて一歩劣るという評価は否めません。そもそもグラボがPCケースに収まるのか?でひと悶着ある製品です。
NVIDIAはGeForce RTX 40のハイエンドモデルで省電力性能をアピールするのに小型モデルがない、という良く分からないマーケティングを展開していましたが(一部メディアも乗っかるのでなおさらよく分からないことに)、AMDもRadeon RX 7800 XTではRTX 2070やRX 5700 XTなどアッパーミドルGPUからのアップグレードをターゲットとしながら、当時ハイエンド級のTGPで全長300mm前後の大型モデルしかないという、やはりズレたマーケティングです。
RTX 4090やRTX 4080、遡ればRTX 3090/3080で高TGPに比例して巨大なNVIDIA製GPU搭載グラボのサイズをディスっていたのは一体何だったのかと。
「AMD Radeon RX 7800 XT リファレンスモデル」のGPUクーラーについては、TGP263WのRX 7800 XTにフル負荷をかけ続けた場合、同測定環境においてノイズレベル31~33dB程度となっており、PCケースに組み込めばファン動作を聞き分けるのも難しいくらいの優れた静音性です。
同製品に採用されているバリアーリング付きファンは体感的にもファンノイズを煩く感じにくい特長があり、ノイズレベルの測定値だけでなく、体感的にも静音性に優れた製品です。
RX 7900 XT/XTXでは全長コンパクトさを求めないのであれば、静音性に優れたAIBパートナーのオリファンモデルを選ぶ方が良かったのですが、逆に「AMD Radeon RX 7800 XT」では267mmかつ3スロット占有に収まる同GPU搭載グラフィックボードでは最小サイズかつ、静音性も優秀なのでリファレンスモデルでも十分だと思います。
以上、「AMD Radeon RX 7800 XT」のレビューでした。
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「Radeon RX 7800 XT」を搭載したリファレンスグラフィックボードをレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 1, 2023
GeForce RTX 4070や前世代 RX 6800 XTをどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークで徹底比較。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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