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次世代システムメモリのDDR5メモリでSamsung製メモリモジュールを採用する16GB×2枚組み32GB容量のメモリキット「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」をレビューします。
定格4800MHz動作の「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」は手動設定によるオーバークロックの余地はあるのか、徹底検証していきます。
ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT レビュー目次
1.ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITの外観
2.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
3.ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITのメモリOCを試す
4.ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITのレビューまとめ
---【注意】--------------------------
メモリOCで有名なXMPプロファイルは「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル」の略称でありIntelの策定した規格なので、AMD Ryzen/Ryzen Threadripper環境において”XMPでOCする”等の表現をするのは厳密には正しくありません。
ただしXMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD Ryzen環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されているので、AMD製CPU環境においてもXMPプロファイルを流用したメモリOCを当記事中では便宜上細かいことを気にせずに”XMPを使用したOC”などXMPとして表記します。
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【機材協力:ASUS】
ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITの外観
まず最初に「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」の外観をチェックしていきます。「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」は16GB×2枚組み=32GBの2枚組メモリキットなので、プラスチック製パッケージ内には2枚のメモリが収められています。
「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」のメモリモジュールは緑色のPCB基板で、その片面にSamsung製メモリチップが計8枚実装されています。何の変哲もないDDR5メモリといった外観です。
2021年11月現在、OCメモリも含めて、よく流通しているのはMicron製メモリモジュールを採用したDDR5メモリですが、「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」には手動OCによって6000MHz以上の高メモリ周波数でも動作するといわれるSamsung製メモリモジュールが採用されています。
DDR4ではメモリの各種電圧はマザーボード側で制御・生成していたのですが、DDR5ではマザーボードからメモリへの電圧は5V電圧のみ、メモリ上の素子への各種電圧はPMICによって管理されます。
「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」を実際にマザーボードメモリスロットに装着するとこんな感じになります。メモリチップが実装された面はCPUソケット側を向きます。
メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」の定格動作やXMP/手動設定を使用したオーバークロックの検証を行う前に、検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明をしておきます。テストベンチ機の構成 | ||
CPU |
Intel Core i9 12900K (レビュー) |
- |
M/B | ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO (レビュー) |
- |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
- |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) | |
OS | Windows 11 Home 64bit | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) | |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
メモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類である、というのがIntel環境における通説でした。そのため管理人も一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはオススメな買い方だと思っていました。
しかしながらAMD RyzenおよびAMD Ryzen Threadripper環境では、『Infinity FabricというCPU内外のコンポーネントを相互接続するインターコネクトの動作周波数がメモリ周波数に同期する』という構造上、メモリ周波数がエンコードや3Dゲームを含めた総合的なパフォーマンスに大きく影響することが知られています。
またIntel環境においても144FPS~240FPSのハイフレームレートなPCゲーミングではCPUボトルネックの緩和にメモリ周波数のOCが効いてきます。
OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITのメモリOCを試す
ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITをIntel第12世代Core&Z690マザーボードの検証機材にセットアップしてメモリオーバークロックの動作検証を行っていきます。ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITシリーズは記事冒頭でも触れたようにSamsung製DDR5メモリモジュールが採用されています。定格のSPDプロファイルにはJEDEC準拠メモリ周波数4800MHzの設定が収録されています。XMPプロファイルは収録されていません。
Intel第12世代Core-Sプラットフォームは従来のDDR4メモリ(DDR4-3200)に加えて、次世代システムメモリのDDR5メモリ(DDR5-4800)をサポートしています。
初期の情報では単純に”メモリ周波数4800MHzに対応”と伝えられていましたが、後に公表されたIntelの公式仕様では『メモリ周波数4800MHzが定格としてサポートされるのは、メモリスロットが2基のマザーボードで2枚までのメモリを使用した場合』とのこと。
Intel 600シリーズチップセット搭載ATXマザーボードで一般的な1チャンネル当たり2基のメモリスロットがあり4基のメモリスロットを搭載したマザーボードの場合、メモリを2枚搭載した場合の定格メモリ周波数は4400MHz、さらに4枚組みにした場合、1Rankのメモリなら4000MHz、2Rankのメモリなら3600MHzが定格メモリ周波数となります。
ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITは2枚組みのメモリキットなので、上記のIntel公式仕様に照らし合わせれば、4400MHz動作となるのですが、多くのDDR5メモリ対応Z690マザーボードでは少なくとも4スロットのうち2基だけを使用するような構成なら、初期の自動設定のままでも4800MHzのJEDEC準拠プロファイルで動作するようです。
前置きはこの辺りにして「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」を使用し、定格動作の検証やメモリOCを実践していきます。
「Crucial DDR5-4800 UDIMM」と組み合わせるのはIntelのメインストリーム向けCPUである第12世代Core-Sの16コア24スレッドモデルCore i9 12900KとZ690マザーボードの環境です。Intel Z690マザーボードにはASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROを使用しています。
DDR5メモリの場合、ヒートシンクなしのメモリでもメモリ電圧1.250~1.350V程度の昇圧であれば基本的に問題ないはずですが、今回は問題の切り分けを簡単にするため、エアフローファンで冷やしながら検証を行いました。
まずは「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」でメモリ周波数5600MHzへのOCを実践してみました。今回行ったOC設定は、メモリ電圧と主要タイミングとDDR5関連の主要電圧5つだけを指定するというカジュアル設定です。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROの環境では、上記のようなカジュアルなOC設定を施すだけで、「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」をメモリ周波数5600MHz/CL36にオーバークロックして安定動作を確認できました。なおCPUの仕様上、IMC周波数は2:1で同期するGear2です。
さらに現在市場のDDR5メモリで主流なMicron製モジュールでは難しい、メモリ周波数6000MHzへの手動OCにもチャレンジしてみました。
メモリ周波数5600MHzのOCと同様に、メモリ周波数、主要タイミング、主要電圧5種を調整しています。メモリタイミングをCL40に緩め、各種電圧を5600MHzの時よりも昇圧していますが、6000MHz/CL40ならカジュアル設定でも安定動作しました。
6000MHz/CL40ならASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROのサブタイミング最適化が優秀なのでカジュアル設定でも余裕だったのですが、メモリタイミングを36-36-36-76に詰めるとOSの起動までは安定するものの、RAM Testによるメモリストレステストを実行すると1分足らずでエラーが出ました。
メモリ周波数6000MHz/CL36-36-36-76となると、主要項目だけのカジュアル設定では難しいようなので、加えてサブタイミングの1つである「CAS Write Latency (tCWL)」を自動設定の値よりも大きくする微調整を施しました。(これだけなのでほぼカジュアル設定ですが)
上のような設定を施すことで、ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROの環境では、「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」をメモリ周波数6000MHz/CL36にオーバークロックして安定動作を確認できました。
さらにメモリ周波数6400MHzにもアタックしてみたのですが、各種電圧の昇圧でOSの起動まではこぎつけるもののメモリストレステストを実行すると即落ちという感じでした。
主要項目&tCWLというほぼカジュアル設定でOS起動までは安定するので、メモリ個体差のOC耐性が良く、サブタイミングなど細かい部分も微調整できるスキルがあれば、「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」はメモリ周波数6400MHzも狙えるような気がします。
ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KITのレビューまとめ
最後に「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 標準サイズDDR5メモリ
- 16GB×2枚組みで2021年現在の一般的なデスクトップPCに十分な容量
- JEDEC準拠4800MHzのプロファイルを収録
- 標準の2枚組みなら4800MHzで正常に動作
- Intel第12世代CPU環境で手動OCによって6000MHz/CL36が正常に動作
- メモリヒートシンク非搭載
- 緑色基板なのでゲーミングマザーボードでは目立つ(悪い意味で?)
- ASUS製Z690マザーボードとセット購入用のDDR5メモリ
- 2021年11月現在、DDR5メモリ一般に極端に品薄で、容量単価もDDR4より高い
「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」を使用した今回の検証ではIntel第12世代Core-S&Z690マザーボード環境において、主要項目だけのカジュアル設定で5600MHz/C36や6000MHz/C40のOCが正常に動作し、またサブタイミングを多少調整してやることでメモリ周波数6000MHz/CL36の高速設定も安定動作が確認できました。
「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」はSamsung製メモリモジュールが採用されており、XMPプロファイルによるお手軽OCには非対応ですが、手動OCで6000MHz以上のメモリ周波数を狙えるだけのポテンシャル(個体差もありますが)を期待できます。
2021年現在、市場に出回っているXMP対応OCメモリの大半はメモリ周波数5200~5600MHz程度なので、手動OCを前提に考えるなら、Samsung製メモリモジュールが採用された「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」は現状最強のDDR5メモリかもしれません。ASUS製Z690マザーボードとセット購入で入手性も比較的に高いところも魅力です。
以上、「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」のレビューでした。
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Samsung製メモリモジュールを採用するDDR5メモリキット「ASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) December 28, 2021
手動設定によるOCの余地はあるのか、6000MHz超のOCで徹底検証。https://t.co/BsYMUElRny pic.twitter.com/hDfzUG51hi
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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