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最新TLC型3D NANDメモリBiCS5を採用し、連続読み出しが最大4950MB/sに達する高コストパフォーマンスなPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「CFD PG3NF2 1TB(型番:CSSD-M2B1TPG3NF2)」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.cfd.co.jp/product/ssd/cssd-pg3nf2_series/
CFD PG3NF2 1TB レビュー目次
1.CFD PG3NF2について
2.CFD PG3NF2 1TBの外観
3.CFD PG3NF2 1TBの検証機材と基本仕様
4.CFD PG3NF2 1TB のベンチマーク比較
5.CFD PG3NF2 1TBの連続書き込みについて
6.CFD PG3NF2 1TBの消費電力と温度
7.CFD PG3NF2 1TBの実用性能比較
8.CFD PG3NF2 1TBのデータコピー・ゲーム性能比較
9.CFD PG3NF2 1TBのレビューまとめ
CFD PG3NF2について
「CFD PG3NF2」は、メモリチップにWD/SanDisk最新の112層TLC型3D NAND”BiCS5”、メモリコントローラーにPHISON PS5016-E16を採用する、M.2 2280フォームファクタのNVMe(PCIE4.0x4)接続M.2 SSDです。「CFD PG3NF2」にはSSD容量として500GB(型番:CSSD-M2B5GPG3NF2)、1TB(型番:CSSD-M2B1TPG3NF2)、2TB(型番:CSSD-M2B2TPG3NF2)の3モデルがラインナップされています。
「CFD PG3NF2」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出4950MB/s、シーケンシャル書込4350MB/s、4KBランダム読出600,000 IOPS、4KBランダム書込550,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
「CFD PG3NF2」シリーズのMTBF(平均故障時間)は170万時間、書込耐性は500GBが500TBW、1TBが1000TBW、2TBが2000TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
CFD PG3NF2 スペック一覧 |
|||
容量 | 512GB CSSD-M2B5GPG3NF2 |
1TB CSSD-M2B1TPG3NF2 |
2TB CSSD-M2B2TPG3NF2 |
インターフェース | M.2, NVMe (PCIE4.0x4) | ||
コントローラー |
PHISON PS5016-E16 | ||
メモリ | WD/SanDisk製 112層TLC型3D NAND BiCS5 | ||
DRAMキャッシュ | DDR4 DRAM (容量の0.1%相当をキャッシュに搭載) | ||
連続読み出し | 4650MB/s | 4950MB/s | |
連続書き込み | 2400MB/s | 4350MB/s | |
ランダム読み出し | 300,000 IOPS | 600,000 IOPS | |
ランダム書き込み | 550,000 IOPS | ||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||
MTBF | 170万時間 | ||
耐久性評価 | 500TBW | 1000TBW | 2000TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
CFD PG3NF2 1TBの外観
まず最初にCFD PG3NF2 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。「CFD PG3NF2」は紙製パッケージに梱包されており、パッケージを開くとSSD本体は静電防止ビニールに包まれた状態で厚紙のスペーサーに収められています。
CFD PG3NF2のSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
CFD PG3NF2は表面に実装された各素子がサーマルパッドを介してマザーボード備え付け等の社外製ヒートシンクによって効率的に冷却できるよう、裏面に製品シールが貼られています。
「CFD PG3NF2」に関してはマザーボードのM.2 SSDヒートシンクと組み合わせることが想定されており、標準ではヒートシンクを搭載していません。CFD公式にもヒートシンクを装着するか、十分なエアフローがある環境での使用が推奨されています。
ちなみに同社から発売中のM.2 SSDヒートシンク「CFD HSN-TITAN」を組み合わせて使用する場合、M.2 SSDに貼り付けられた製品シールを剥がしても保証対象外になりません。
「CFD PG3NF2」の表面にはM.2端子の側から順にDRAMキャッシュ、その隣のほぼ中央にメモリコントローラー、残り半分のスペースには2枚のメモリチップが実装されています。
メモリコントローラーは公式仕様の通り、PCIE4.0対応メモリコントローラーとして最初期のPHISON PS5016-E16です。チップ表面にはニッケルメッキの金属製プレートが装着されています。
データ保存領域となるNANDメモリについてはWD/SanDisk最新の112層TLC型3D NAND”BiCS5”が採用されています。DRAMキャッシュはSpecTEK製でした。
「CFD PG3NF2」は今回レビューする1TBモデルでも基板背面にメモリチップやDRAMキャッシュが実装された両面実装でした。500GBモデルについては不明ですが、最大容量の2TBモデルは確実に両面実装です。
ちなみにCFD製PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDで同じくPHISON PS5016-E16コントローラーを採用する初期製品PG3VNFと比較すると、メモリチップやDRAMチップこそ違うものの基板レイアウトはほぼ同じでした。
「CFD PG3NF」は最新NANDメモリBiCS5の採用を始めとして、一部の実装素子を更新したマイナーアップデートモデル的な製品のようです。
CFD PG3NF2 1TBの検証機材と基本仕様
「CFD PG3NF2 1TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するIntel Core i9 12900K&ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 12900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 6000MHz, 36-36-36-76 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
OS | Windows11 Pro 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れ、16GB×2枚組み32GBの大容量で6000MHz/CL36のメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS」を使用しています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで6000MHz OCに対応!
検証環境については上述の通り、Intel Core i9 12900KやASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはM.2-PCIE変換拡張ボード「Aquacomputer kryoM.2」を介して、CPU直結PCIE5.0レーンに接続された5段目のPCIEスロットに設置しています。
「Aquacomputer kryoM.2」はPCIE3.0x4対応製品として2016年に発売されたヒートシンク付き変換ボードですが、品質が高く、PCIE4.0x4で安定動作することを確認しています。
なおPCIE AIC型のNVMe SSDも同じPCIEスロットに設置し、SATA接続ストレージは普通にマザーボードのSATA端子に接続しています。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Intel第12/11世代CPUのCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0/4.0x16レーン(x8×2に分割可能)に加えて、CPU内にNVMe M.2 SSD用のPCIE4.0x4レーンがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このCPU直結PCIE4.0x4レーンが最速となります。
PCIE4.0やPCIE3.0までのM.2 SSDだけを検証するのであれば、このM.2スロットを使用するのが最適なのですが、PCIE AIC型や2022年中にも登場が噂されているPCIE5.0対応SSDの検証も想定して、CPU直結PCIE5.0x8レーンに接続された5段目のPCIEスロットを使用しています。
「CFD PG3NF2 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
CFD PG3NF2 1TBのベンチマーク比較
「CFD PG3NF2 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。まずはCrystalDiskMark8.0.4a (1GiB, +Mix)について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「CFD PG3NF2 1TB」のベンチマークススコアは製品仕様の通り、連続読み出し4950MB/s、連続書き込み4000MB/sとなりました。
以下、各種比較対象SSDのベンチマークスコアになっています。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
CFD PG3NF2 1TBの連続書き込みについて
「CFD PG3NF2 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2022年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)
このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
最新のTLC型NANDをメモリチップに採用する「CFD PG3NF2 1TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は4000MB/s近い書き込みスピードを発揮しており、使用済み容量が0GBで始まると、その後100GB以上もSLCキャッシュを使用できることが分かります。
空き容量を減らしながら都度、100GBの書き込みでSLCキャッシュ容量を確認してみたところ、「CFD PG3NF2 1TB」は空き容量300GBで90GB程度、空き容量200GBで70GB程度をSLCキャッシュとして使用でききました。SLCキャッシュ超過後の書き込み速度は400~500MB/s程度です。
「CFD PG3NF2 1TB」は空き容量のほぼ全てをSLCキャッシュとして使用でき、書き込みタスクの裏で順次SLCキャッシュを開放していく構造になっているようです。単純に考えると空き容量の1/3+αをSLCキャッシュとして使用できます。
SLCキャッシュ超過後の書き込み速度が400~500MB/s程度と低速ではあるものの、SLCキャッシュの開放も早かったので「CFD PG3NF2」はSLCキャッシュの超過による性能低下で不便を感じることはないと思います。
CFD PG3NF2 1TBの消費電力と温度
「CFD PG3NF2 1TB」の消費電力についてチェックしていきます。NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
「GPU Power Tester」はその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2-PCIE変換ボードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するライザーケーブルからさらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、CPU/MB/SSDなど使用する機材によってはSSDの動作が不安定になることがあるのですが、この方法なら改造前のM.2-PCIE変換ボードと同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
消費電力の測定負荷についてはCrystalDiskMark8.0.4a (1GiB, +Mix)を使用していますが、各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
なおCrystalDiskMark、特に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプはワーストケースに近いSSD負荷です。実用シーンの一例として3DMark Storage Benchmark中の負荷はそれよりも大幅に低い消費電力を示します。
CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「CFD PG3NF2 1TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「CFD PG3NF2 1TB」の消費電力は、連続アクセスの時に最も大きくなり、平均6.0W程度です。また4Kランダム(Q1T1)が2.5W以上と、PCIE4.0対応SSDの中でも消費電力の大きめです。
冷やせないというわけではありませんが、あまり簡素なM.2 SSDヒートシンクだと放熱が追いつかない可能性もあるので、組み合わせるヒートシンクは注意して選びたいところ。
消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「CFD PG3NF2 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「CFD PG3NF2 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「CFD PG3NF2 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
「CFD PG3NF2 1TB」のヒートシンク非搭載版についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったという理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。
マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。
CFD PG3NF2 1TBの実用性能比較
「CFD PG3NF2 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage BenchmarkはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
PCMark10 Storage Benchmarkは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
なおPCMark10 Storage Benchmarkでは一部製品において使用済み容量が大きくなるとフォーマット直後の0%使用時に比べて性能が低下することがあるので、空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「CFD PG3NF2 1TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「CFD PG3NF2 1TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「CFD PG3NF2 1TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「CFD PG3NF2 1TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
CFD PG3NF2 1TBのデータコピー・ゲームロード性能比較
続いて「CFD PG3NF2 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。まずはデータコピーに関する実性能比較となります。検証には、総容量が約50GBの動画フォルダ(10GBの動画ファイルが5つ)、総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
書き込み先/読み出し元の相手になるストレージが必要なので、コピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタAquacomputer kryoM.2に設置したSamsung SSD 980 PRO 1TBを使用しています。マザーボード上の設置位置としてはIntel Z690チップセット経由のPCIE4.0x4レーンです。
「CFD PG3NF2 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 980 PRO 1TBとの間で50GBの動画フォルダおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次の通りです。
まずは50GBの動画フォルダのコピーについてですが、動画フォルダの中身は10GBの大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
Windows11エクスプローラーのファイルシステム的にコピー速度は3GB/sで頭打ちになるので(複数に分けて並列実行するとスケーリングしますが)、PCIE3.0/4.0対応NVMe SSD間では大きな差は付きにくいという感じです。
それを踏まえて、「CFD PG3NF2 1TB」は書き込みではトップクラスの性能を発揮している一方、読み出しは他のPCIE4.0対応SSDと比較して少々遅れをとっています。
「CFD PG3NF2 1TB」はフォーマット直後に約50GBの動画フォルダ(10GBの動画ファイルが5つ)を書き込むと、書き込み速度が安定しない現象が発生しました。フォーマット後にシャットダウン等を挟んでも再現されました。
フォーマット直後、最初の大容量ファイルの書き込みでのみ発生を確認しています。一度、一定以上のデータ書き込みを行って全て削除して使用済み容量0GBにする、といった手順だと発生しないので、実用上大きな問題にはならないと思いますが。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「CFD PG3NF2 1TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「CFD PG3NF2 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。
3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「CFD PG3NF2 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
下記クリック展開で、2020年から2021年頃の検証結果ですが、現在でも概ね当てはまると思うのでSSD/HDDのゲーム性能の違いを参考までに。
FORSPOKENのテクノロジーデモでアピールされていますが、DirectXの新API「DirectStorage」が採用されれば、高速NVMe M.2 SSDのメリットも高まると思うのですが。
「CFD PG3NF2 1TB」はPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDなので、PlayStation 5の拡張スロットによってストレージ増設にも使用できます。詳しくはこちらの記事で。
CFD PG3NF2 1TBのレビューまとめ
最後にPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDの「CFD PG3NF2 1TB(型番:CSSD-M2B1TPG3NF2)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最大性能で連続読み出し4.9GB/s、連続書き込み4.3GB/s (1TB/2TBモデル)
- PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
- 空き容量の1/3をSLCキャッシュとして使用可能
- メーカー正規保証期間が5年間
- 1TBモデルが1.4万円前後とPCIE4.0対応SSDとしては安価 (2022年4月)
- 最新のPCIE4.0対応SSDと比較して実用性能が低い
- PCIE4.0対応SSDの中でも消費電力は大きめ
- TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は500MB/s程度
「CFD PG3NF2 1TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、連続読み出しが最大5GB/s前後というコストパフォーマンス重視なPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能です。
PCMark10や3DMark、ファイルコピーといった実用性能テストでは、同社上位モデルのWD_BLACK SN770などPCIE4.0接続SSDにこそ及ばないものの、PCIE3.0接続SSDでは最速クラスだったSamsung SSD 970 PROを同等以上の性能を発揮しています。
CFD PG3NF2シリーズにはTLCタイプ3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、容量可変のSLCキャッシュを超過すると、書き込み速度は400~500MB/s程度まで低下します。
SLCキャッシュ超過時の速度低下は大きいですが、空き容量の1/3をSLCキャッシュとして使用でき、使用済みSLCキャッシュの開放は速いので、実用的にSLCキャッシュを超過して不便を感じることはないはずです。
「CFD PG3NF2 1TB」については最新NANDメモリBiCS5を採用しているので多少の性能向上はあるものの、PHISON PS5016-E16コントローラー採用なのでやはり初期PCIE4.0対応SSDという感じの性能でした。
PC用ストレージとして使用するのであれば、DRAMキャッシュレスでも同じ価格帯のWD_BLACK SN770の方が高性能なのでオススメ、というのが正直な感想です。
(BiCS5採用のWD_BLACK SN770が非常に高性能だったので、CFD PG3NF2にも期待していたのですが少々残念んです。WD_BLACK SN770はBiCS5だけでなくWDの最新メモリコントローラーが優秀だったようです)
CFDからは同社製のPS5互換M.2 SSDヒートシンク HSN-TITANが発売されています。
このヒートシンクは「CFD PG3NF2」でも使用でき、同SSDは1TB容量で税込み1.4万円程度と安価なので、PS5の増設ストレージ用なら安価なSSDとして検討してみてもいいと思います。(今のところPS5ではSSDによる性能差、ロード時間の違いは誤差レベルなので)
以上、「CFD PG3NF2 1TB」のレビューでした。
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最新TLC型3D NANDメモリBiCS5を採用し、連続読み出しが最大4950MB/sに達する高コストパフォーマンスなPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「CFD PG3NF2 1TB」をレビューhttps://t.co/BxU6yNq07t pic.twitter.com/cnBVX9k5Rj
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 3, 2022
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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