CORSAIR HX1000i (2022)


スポンサードリンク




iCUEによるファン制御や電力モニタリングに対応、50%負荷時に92%以上の優れた変換効率を証明する80PLUS Platinum認証取得で、電源容量1000Wのハイエンド電源ユニット「CORSAIR HX1000i 2022年版(型番:CP-9020214-JP)」をレビューします。
セミファンレス機能 Zero RPMファンモード、専用アプリ iCUEによる電源パフォーマンスのリアルタイムモニタリングや電源冷却ファン制御に対応するなど、隙のないハイエンド電源ユニットです。

DSC09969_DxO


代理店公式ページ:
https://www.ask-corp.jp/products/corsair/power-supply/hxi-2022.html
https://www.links.co.jp/item/hx1000i-2022/
製品公式ページ:https://www.corsair.com/ja/ja/カテゴリー/製品/電源ユニット/HXi-Series-完全モジュール式-ATX-電源/p/CP-9020214-JP






CORSAIR HX1000i (2022) レビュー目次


1.CORSAIR HX1000i (2022)の外観や概要について
2.CORSAIR HX1000i (2022)のケーブルや電源端子について

     ・別売りケーブルでPCIE5.0電源(12VHPWR)にも対応

3.専用アプリ「iCUE」:セットアップと基本的な使い方
4.CORSAIR HX1000i (2022)のファン制御やOCP設定


5.CORSAIR HX1000i (2022)の負荷別のファンノイズについて

6.CORSAIR HX1000i (2022)のレビューまとめ






【機材協力:CORSAIR】



CORSAIR HX1000i (2022)の梱包・付属品

早速パッケージを開封して「CORSAIR HX1000i (2022)」の外観や付属品をチェックしていきます。
「CORSAIR HX1000i (2022)」のパッケージの構造はN式箱で、天面を短辺方向に開くので開封時のスペースが最小限です。キャラメル箱型の外スリーブや長辺方向に開くN式箱でないのは個人的に好感が持てるところです。
DSC09970_DxO
DSC09971_DxO
旧HXiシリーズのパッケージは横長でキャラメル箱と呼ばれる外装スリーブに茶色のダンボール製内パッケージという構造になっており、若干開け難かったので地味に嬉しいポイントでした。
CORSAIR HX1000i (2022) review_09035_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」はメーカー10年保証ですが、国内市場においても国内正規代理店のアスクやリンクスインターナショナルを介して同じく10年保証が提供されます。同製品を取り扱う代理店は2つあり、サポートの際には入手した製品の卸元に問い合わせる必要があります。
代理店のシールはサポートで必要になることがあります。シュリンクの上から貼り付けられていることが多いので、失くさないように納品書やレシートと一緒に保管して置いてください。
DSC09589_DxO

パッケージを開くと、左側にスポンジのスペーサーで保護された電源ユニットが、右側にはモジュラーケーブル各種とACケーブルが収められています。
DSC09972_DxO
プラグインケーブル以外に、固定ネジ、ACケーブル、内部USBケーブル、ケーブルタイが付属します。
DSC09973_DxO
「CORSAIR HX1000i (2022)」はWindows上で電力情報・温度・ファン速度のモニタリング、ファン制御、OCP設定が可能な専用ソフトウェアiCUEに対応しており、PCと接続するためのUSBケーブルが付属します。電源ユニット側はUSB Type-C端子、マザーボード側は内部USB2.0ヘッダーとなっています。
DSC09611_DxO
マザーボード上の内部USB2.0が不足している場合は内部USB端子を2基備えたCORSAIR Link用新型ハブ「CORSAIR Commander PRO」や内部USB増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」がおすすめです。



「CORSAIR HX1000i (2022)」本体をチェックしていきます。
「CORSAIR HX1000i (2022)」の電源ユニット本体は次のようになっています。
DSC09976_DxO
DSC09978_DxO
旧HXiシリーズはブルーをアクセントにした製品ロゴシールが貼られていましたが、「CORSAIR HX1000i (2022)」などHXi 2022年バージョンではシンプルな白色のメーカーロゴ&製品名テキストロゴに変わっています。
DSC09980_DxO
冷却ファンのファンガードも針金型から、筐体外装と一体化し、三角形を組み合わせたエアスリットに変わっています。
DSC09981_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」の奥行は180mmです。ちなみに上位モデルHX1500i (2022)はさらに大きい奥行200mmです。
電源容量1000Wの大容量電源ユニットとしては標準的ですが、最近では1000Wクラスで160mm以下の製品もあるので若干大きく感じるかもしれません。組み合わせるPCケースの電源ユニットクリアランスには一応注意してください。
DSC09982_DxO
「CORSAIR HX1000i (2022)」の電源ユニット冷却ファンには現在主流な140mm角サイズ(135mm径)で、軸受けに流体動圧軸受(FDB:Fluid Dynamic Bearing)を採用、MTBF 100,000時間の高静音・長寿命ファンが搭載されています。
DSC09983_DxO
「CORSAIR HX1000i (2022)」は80PLUS Platinum認証の非常に優れた変換効率を生かして負荷50%(500W)以下においては、冷却ファンが停止するセミファンレス機能 Zero RPMファンモードにも対応しています。
DSC09968_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」はATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なフルプラグイン式になっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。iCUE用のUSB Type-C端子も左上に実装されています。
DSC09985_DxO
「CORSAIR HX1000i (2022)」のACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子です。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチも付いています。
旧HXiシリーズの大きいロッカースイッチはテスト機材としてはかなり気に入っていたのですが、「CORSAIR HX1000i (2022)」では小型になっています。
DSC09986_DxO

CORSAIR HX1000i (2022)はPCIE補助電源やEPS電源など12V電源出力がシングルレール(ソフトウェア設定時)の最大83.3Aと非常にパワフルな電源ユニットです。
10コア以上のウルトラメニーコアCPUへ電力供給を行うEPS電源や、TGP300W超のウルトラハイエンドGPUへ電力供給を行うPCIE補助電源では、それだけで20Aを超える出力を要求することもありますが、「CORSAIR HX1000i (2022)」はそれらに対して安定した電力供給が可能な容量を備えています。
「CORSAIR HX1000i (2022)」は全てのコンデンサに日本メーカー製105℃電解コンデンサを採用しています。大きな電圧変動を受けても劣化しない電極箔に加え、低抵抗電解液の採用により超低ESR・超低インピーダンスを実現し、より長寿命で安定した電圧を提供します。
DSC09987_DxO



CORSAIR HX1000i (2022)のケーブルや電源端子について

「CORSAIR HX1000i (2022)」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。
「CORSAIR HX1000i (2022)」に付属するプラグインケーブルは、ATX24PIN電源ケーブルだけ一般には比較的安価な製品に採用されることの多いスリーブまとめ型ケーブルとなっており、残りは全て高級電源に採用されることの多い省スペースで取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブル(リボンケーブルで構成されています。
DSC09975_DxO
電力波形の安定化やノイズ低減のためコンデンサ等の素子を埋め込むのに適しているので、あえて取り回しの良いリボンケーブルではなくスリーブまとめ型ケーブルが採用されることもありますが、「CORSAIR HX1000i (2022)」のプラグインケーブルにはそういった素子の実装はありません。
DSC09613_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
「CORSAIR HX1000i (2022)」のモジュラー端子/ケーブル構成
種類 コネクタ数 ケーブル
数量 x 長さ
(1本のコネクタ数)
DSC09985_DxO
ATX
20/24 PIN
1  1 x 610 mm
CPU/EPS
8(4+4) PIN
3  3 x 650 mm
PCIE
8(6+2) PIN
6  3 x 650 + 100 mm (2)
SATA 8  2 x 450 + 100 + 100 + 100 mm (4)
Peripheral 8  2 x 450 + 100 + 100 + 100 mm (4)
Floppy -  - mm


CORSAIR HX1000i (2022)の電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
CORSAIR HX1000i (2022)のATX24PINケーブルは大型フルタワーPCケースにも対応可能な610mmのスリーブまとめ型ケーブルが採用されています。
DSC09621_DxO

PCIE補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「CORSAIR HX1000i (2022)」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「PCIE」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
DSC09614_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」にはEPS電源ケーブルとして650mmのケーブルが3本付属します。
メインストリーム向けでも高級なマザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、「CORSAIR HX1000i (2022)」ではEPS電源8PIN端子は3基搭載されているので問題なく対応可能です。
DSC09622_DxO
DSC09615_DxO
EPS電源ケーブルのEPS端子をチェックすると、いずれも8PINを構成する2つの4PINはロックピンで簡単に固定・分離できる構造です。
DSC09627_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」に付属するPCIE補助電源ケーブルは、8PIN(650mm)からもう1つの8PIN(100mm)が分岐するケーブルです。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
DSC09624_DxO
「CORSAIR HX1000i (2022)」のPCIE補助電源ケーブルは、上記のケーブルが3本が付属しており、最大で6個の8PINコネクタを使用できます。
DSC09974_DxO

SATA電源ケーブルは4コネクタで全長750mm(450 + 100 + 100 + 100 mm)のケーブルが2本付属します。SATA端子は8基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
DSC09625_DxO
DSC09617_DxO
4PINペリフェラル電源ケーブルは4コネクタで全長750mm(450 + 100 + 100 + 100 mm)のケーブルが2本付属します。
DSC09626_DxO
DSC09618_DxO


別売りケーブルでPCIE5.0電源(12VHPWR)にも対応

CORSAIR HX1000i (2022)は、別売りアクセサリの「CORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cable」を使用することで、PCIE5.0電源(12VHPWR)に対応します。




GeForce RTX 4090などPCIE補助電源として12VHPWRを採用するグラフィックボードには、従来のPCIE補助電源8PINを3~4個使う変換ケーブルも付属していますが、このケーブルを使用すれば電源ユニットからケーブル1本だけでTGP450W以上のグラフィックボードに電力供給が可能になります。
DSC00322_DxO
DSC00323_DxO
CORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cable(長いので以下、CORSAIR 600W 12VHPWR Cable)は国内でも11月26日より発売予定です。
DSC00313_DxO
DSC00314_DxO-horz
DSC00316_DxO
DSC00317_DxO
CORSAIR 600W 12VHPWR Cableのケーブル長は650mm程度でした。ケーブルは薄くて取り回しの良いリボンケーブルですが、ビニール被膜が硬めです。
DSC00321_DxO
CORSAIR 600W 12VHPWR Cableは「CORSAIR HX1000i (2022)」のPCIE補助電源/EPS電源用の8PINプラグインコネクタを2つ使用して、PCIE5.0電源(12VHPWR)コネクタへ電力供給を行います。
DSC00318_DxO
PCIE5.0電源(12VHPWR)は4ピンのサイドバンドシグナル(S3/S4)によって、電源側の最大供給可能電力が600W/450W/300W/150Wのどれなのか電源ユニットからPCIE拡張ボードへ伝えますが、少なくとも「CORSAIR 600W 12VHPWR Cable」のケーブル自体は規格最大値の600W給電に対応した電源ケーブルです。
DSC02519_DxO-horz
*国内販売品や最新ロットでは12VHPWRコネクタに600Wの印字なしに変更されています。
CORSAIRとしては600W対応以外(450W対応など下位グレード)の電源ケーブルを販売しておらず、その予定もないとのことなので、印字なしの国内販売品も正式に600W対応です。

実際に「CORSAIR HX1000i (2022)」にCORSAIR 600W 12VHPWR Cableを組み合わせて、GeForce RTX 4090を接続してみたところ、グラフィックボードは正常に動作し、またRTX 4090に付属するPCIE 8PINの4分岐変換ケーブルを使用した時と同じく、450Wを超える電力制限の引き上げにも対応していました。
DSC00789_DxO
CORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cable_RTX 4090



専用アプリ「iCUE」:セットアップと基本的な使い方

CORSAIRは同社製アプリケーション「iCUE (CORSAIR Utility Engine)」を基本とした独自のエコシステムを展開しています。
今回検証する「CORSAIR HX1000i (2022)」だけでなく、CORSAIR製の電源ユニット、システムメモリ、CPUクーラー、ゲーミングキーボードなど様々な機器をiCUEによって制御でき、様々なイルミネーション機器のライティングを同期させることもできます。

iCUE

iCUEはCORSAIRの公式ページからダウンロードできます。
iCUE ダウンロードページ:https://www.corsair.com/ww/ja/icue
iCUE_download

公式ページからiCUEのインストーラーをダウンロードして、インストールするところはポチポチクリックしていくだけで簡単です。日本語にも対応しています。セットアップ後は再起動を求められるかもしれませんが、その際は一度再起動してから再度、iCUEを起動してください。
iCUE_install

インストールが完了したらデスクトップのショートカットアイコンからiCUEを起動します。
「CORSAIR DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5」、「CORSAIR HX1200i」、「CORSAIR Commander PRO」などiCUE対応機器はホームというトップページに一覧表示されます。
画面左側にある「シーン」というプロファイルパネルからは複数の機器に対する設定をひとまとめにしたプロファイルを作成することができます。
iCUE_about_1
上端バーの左にあるダッシュボードを選択すると、各種モニタリング情報を一覧表示できるダッシュボード画面が表示されます。
iCUE_about_2
iCUE_about_3

上端バーの右にある歯車アイコンを選択するとiCUEに関する一般設定がポップアップします。
iCUE_config (1)
センサーロギング機能もこの設定内に配置されています。ログファイルの保存場所、ログ間隔、ログ対象の選択など必要な設定項目は一通り揃っています。
ログの取得開始と停止も任意に実行できますが、いちいち『設定を開いて、センサーロギングに移動し』という手順は面倒なので、ロギングの開始と停止の切り替えボタンはホームやダッシュボードに配置しておいて欲しかったところ。
iCUE_config (4)

ホーム画面で各デバイスのアイコンを選択すると詳細設定画面が表示されます。
iCUEはCORSAIR Linkの後継アプリでもあるので、電源ユニットHX1200iやマルチコントローラー CORSAIR Commander PROなど従来CORSAIR Linkで操作していた機器に関する詳細設定も行えます。
iCUE_Device_DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5
iCUE_Device_Commander Pro
iCUE_Device_HX1200i



専用アプリ「iCUE」:CORSAIR HX1000i (2022)のファン制御とOCP設定

専用アプリiCUEを使用したCORSAIR HX1000i (2022)のファン制御とOCP設定について紹介します。
iCUEのトップページ上に表示されたCORSAIR HX1000i (2022)のアイコンを選択すると、CORSAIR HX1000i (2022)のファン制御や各種モニタリングを行える冷却ページが表示されます。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_1
画面中央に並んでいる各種モニタリング値はいずれもiCUEのログ機能によってロギングが可能です。
「CORSAIR HX1000i (2022)」の設定ページからすぐにログを開始/停止できるようにショートカットスイッチを配置して欲しいところ。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_1b

画面中央に並んでいる各種モニタリング値のうちファン速度には制御プロファイルを選択するプルダウンメニューが表示されているので、それを展開すると「CORSAIR HX1000i (2022)」のファン制御プロファイルを変更できます。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_2
ファン制御プロファイルは初期状態では標準設定のデフォルトのみですが、画面右下にある冷却プリセットの+アイコンを選択するとカスタムプリセットを追加できます。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_3
「CORSAIR HX1000i (2022)」のファン制御は、電源温度など各種モニタリング値を制御ソースとしたファン回転数の比例カーブによる”カスタムカーブ”と、固定デューティ比で冷却ファンを制御する”固定%”の2種類から選択できます。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_4a
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_4b
カスタムカーブではソース温度(20度~100度)に対して任意の6頂点でファンカーブを設定できます。ただしファン速度デューティ比は40%~100%の範囲内でしか指定できません。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_5a
「CORSAIR HX1000i (2022)」の場合は基本的に電源ユニット内部温度を制御ソースにすると思いますが、ファンカーブの下にあるセンサのプルダウンメニューからソース温度の変更も可能です。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_5b

デフォルトプリセットの場合、システムが起動してから電源負荷がファン始動閾値に達するまでファンか完全に停止するセミファンレス機能に対応し、またファン動作時も最小ファン速度は400RPM程度ですが、「CORSAIR HX1000i (2022)」のファン制御をカスタムプリセットで行う場合、最小ファン速度は900RPM程度となります。
「CORSAIR HX1000i (2022)」を使用する上で、静音性を重視するならデフォルトプリセットのままがベストです。カスタムプリセットは冷却性能重視で運用するためのオプション的な要素になると思います。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_6

アラートタブでは「CORSAIR HX1000i (2022)」の電源温度をソースとして、指定値を超えた時に『LEDイルミネーションの発光カラーが変更される』、『PCをシャットダウンする』などのアラーム・セーフティ機能の設定が行えます。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_7

デバイス設定タブを選択するとOCP設定が表示されます。「CORSAIR HX1000i (2022)」では+12V出力のOCP(過電流保護)の閾値をプラグイン端子(1つ1つor組み合わせ)ごとに設定する『マルチレールOCPと、全てのプラグイン端子をシングルレール扱いで1つの端子から大電流を出力できるようにする『シングルOCP』が選択できます。
マルチレールOCPはコネクタ1つから出力される電流を制限して接続機器が過電流によって破損するのを防止する機能です。
基本的には初期設定のマルチレールOCPで問題ありませんが、PCIE補助電源やEPS電源でコネクタ1つからの出力が大きく、OCPによって予期せずシステムがダウンする場合はシングルOCPに切り替えることで症状を回避できます。
CORSAIR HX1000i (2022)_iCUE_8



CORSAIR HX1000i (2022)のファンノイズ

「CORSAIR HX1000i (2022)」の負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。
「CORSAIR HX1000i (2022)」の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit

CPU

Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce RTX 3050、GeForce RTX 3060 Ti、GeForce RTX 3070、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon RX 6800 XT、Radeon RX 6900 XTなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spy/Extreme グラフィックテスト1を15分以上ループさせています。

消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。
なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
REX-BTWATTCH1

ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
ラトックシステム ワットチェッカー


電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
PSU Noise Test




消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「CORSAIR HX1000i (2022)」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400Wはもちろん、TGP300W超のRTX 3080/3090を搭載した500W負荷どころか、1000W前後の電源負荷さえもノイズレベルは32dB以下という極めて優れた静音性を発揮しました。

800W前後の負荷がかかってもノイズレベルは33dB以下に収まるので、「CORSAIR HX1000i (2022)」がグラフィックボードやCPUクーラーを押しのけて騒音上のボトルネックになることはないはずです。900W以上でやっとノイズレベルが38dB前後になり、PCに組み込んだ状態だと体感的にはついに冷却ファンが動き出したな、という感じです。
CORSAIR HX1000i (2022)_noise
システム 消費電力 ファンノイズ
アイドル
60 29.2 (ファン停止時)

29.7 (ファン動作時)
GTX 1650 / SUPER
120
RTX 3050, GTX 1660 Ti/S
200
RTX 3060, RX 6600 XT 250
RTX 3060 Ti, RX 5700 XT 300
RTX 3070, RX 6700 XT 350
RTX 3070 Ti, RX 6800 400
RTX 3080, RX 6800 XT 450
RTX 3090, RX 6900 XT 500
RTX 3090 Ti
600 30.5

700
31.3

800
32.9

900
37.8


「CORSAIR HX1000i (2022)」の電源ユニット冷却ファンのファン速度は主に電源負荷に比例しており、1,2秒の遅延挿入はあるかもしれませんが、基本的に負荷に応じて即座にファン速度が変動します。(あとセーフティとしての温度制御の可能性も)
ファン速度は電源負荷に比例するので、電源負荷が乱高下するとファン速度も乱高下してしまうのですが、「CORSAIR HX1000i (2022)」は電源負荷が800W未満ならセミファンレス時と大差ないノイズレベルに収まるので、基本的に問題にはならないと思います。(800~900W以上の負荷と低負荷の間で乱高下するような状態は滅多にないと思いますし)

「CORSAIR HX1000i (2022)」はTGP300W超のグラフィックボードにCore i9 12900Kなどメインストリーム向け最上位CPUを組み合わせた時のピーク負荷に近い700W程度の消費電力でもファンノイズは32db以下に収まります。
シングルグラフィックボード環境なら電源ユニットのファンノイズが煩く感じることはまずない、というかPCケース内からファンの動作を認識するのも難しいレベルだと思います。
DSC00053_DxO

「CORSAIR HX1000i (2022)」は標準動作モードにおいて、負荷50%(500W)以下で冷却ファンが停止するセミファンレス機能 Zero RPMファンモードに対応しています。

DSC09968_DxO
「CORSAIR HX1000i (2022)」のファン速度は基本的に電力負荷に比例して変動しますが、セミファンレス動作は内部温度依存で変化するようです。
内部温度がセミファンレス動作可能温度(閾値1)を超えるまでは500W以上の電源負荷でもファンが停止し続けます。内部温度が閾値1を超え、同時に電源負荷が500Wを超過するとファンが始動します。(単純な猶予時間によりファン始動の遅延かもしれませんが)
DSC00034_DxO
一方で、電源負荷が500W以下であっても内部温度が臨界温度(閾値2)を超過すると強制的にファンが始動します。
電源負荷が閾値を超えてファンが一度始動すると、閾値よりも十分に低い電源負荷になってもすぐにはファンは停止しません。ファンが停止する条件は低負荷の状態で20分程度経過することのようです。なおPCをシャットダウンしてから起動しなおすとすぐにファンが停止した状態になります。

セミファンレス機能に対応した電源ユニットの一部ではファン始動時、瞬間的にファンが全速になり大きなファンノイズを発することがありますが、「CORSAIR HX1000i (2022)」は始動時の急激なファン速度の変化もなく、静かに始動します。



以上のように、「CORSAIR HX1000i (2022)」は非常に静音性の高い電源ユニットなのですが、電源負荷が900Wを超えるとコイル鳴きが発生しました。電源容量1000Wの電源ユニットなので、実用的には特に問題にならないと思いますが、一応ご注意ください。




CORSAIR HX1000i (2022)のレビューまとめ

最後に「CORSAIR HX1000i (2022)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 電源容量1000W、変換効率92%以上のPlatinum認証取得のハイエンド電源
  • +12Vは83.3Aのシングルレール出力
  • シングルグラフィックボード環境の500W以下の負荷に対してノイズレベルは30dB未満
  • 700~800Wの負荷でもノイズレベルは33dB以下
  • セミファンレス機能に対応、電源負荷50%以下でファンが停止
  • iCUEによる電力モニタリングやファン制御に対応
  • 10年間の長期保証
悪いところor注意点
  • 電源ユニット本体の奥行が180mmと大きい
  • ATX 24PIN電源ケーブルは黒色スリーブまとめ型で太い
  • PCE5.0電源(12VHPWR)ケーブルは別売り
  • 税込み4.2万円と非常に高価(2022年8月現在)

「CORSAIR HX1000i (2022)」は50%負荷時の変換効率が92%以上の80PLUS Platinum認証を取得かつ電源容量も1000Wの大容量、+12V出力はシングルレール83.3Aとなっており、GeForce RTX 3090/3080やRadeon RX 6900/6800 XTなどTGP300W超級グラフィックボードにも余裕で対応できます。

冷却ファンの静音性についても「CORSAIR HX1000i (2022)」は極めて優れた性能を発揮しました。一般的なシングルグラフィックボード環境における400W程度から、TDP300W超な最新ハイエンドGPU環境における500W程度、さらには700W程度というハイエンドゲーミングPCのピーク負荷まで、一般的なPCゲーミングシーンで想定される負荷に対してノイズレベル33dB未満に収まりました。
「CORSAIR HX1000i (2022)」は冷却ファンの制御において標準でセミファンレス機能 Zero RPMファンモードに対応しており、電源負荷500W以下において冷却ファンを完全に停止させることが可能です。セミファンレスで問題になりがちな、ファン始動時の急激なファン速度の上昇や、始動と停止を繰り返すことで(落差が大きいため)耳障りに感じるといった現象もありません。

ハイエンド電源として少し気になるところがあるとすれば、NVIDIAやAMDの次世代ハイエンドGPUから採用が噂されているPCIE5.0補助電源(12VHPWR)ケーブルが付属しないことでしょうか。
別売りアクセサリのCORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cableで対応は可能であるものの、やはりハイエンド電源なので標準で付属して欲しいところ。
DSC00322_DxO


前HXiシリーズは2014年の発売から2022年現在まで、なんと10年間長期保証の終了1歩手前までハイエンド電源ユニットとして最前線を走り続けたという自作PC界隈では稀に見るロングセラー製品でしたが、「CORSAIR HX1000i (2022)」や、さらに大容量になった上位モデル「CORSAIR HX1500i (2022)」は後継モデルとして見劣りするところのない製品に仕上がっていると思います。

以上、「CORSAIR HX1000i (2022)」のレビューでした。
CORSAIR HX1000i (2022)


記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。








関連記事

自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方
自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方

「XPG CYBERCORE 1300W」をレビュー。TGP300W超グラボでも高静音!
XPG CYBERCORE 1300W

Titanium認証1600Wで奥行200mmの最強電源「CORSAIR AX1600i」をレビュー
CORSAIR AX1600i

「ASUS ROG ROG Thor 1200W Platinum」をレビュー
ASUS ROG ROG Thor 1200W Platinum

「Antec Signature 1000 Titanium」をレビュー
Antec Signature 1000 Titanium

「ENERMAX MaxTytan 1250W」をレビュー
ENERMAX MaxTytan 1250W

「Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium」をレビュー
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク