Fractal Design Pop XL Air RGB Black TG Clear Tint


スポンサードリンク




コストパフォーマンスと拡張性を両立し、シンプルな設計で自作PC初心者にも優しい新シリーズ”Pop”は発売と同時に20種類近いバリエーションが展開されていますが、今回は360サイズ水冷ラジエーターやE-ATXマザーボードに対応する大きめミドルタワーのPop XLを検証します。
エアフローに優れたメッシュフロントパネルを採用し、4基のLEDファンとLEDコントローラーを標準搭載した「Fractal Design Pop XL Air RGB Black TG Clear Tint(型番:FD-C-POR1X-06)」をレビューしていきます。


代理店公式ページ:https://www.ask-corp.jp/news/2022/06/fractal-design-pop.html
製品公式ページ:https://www.fractal-design.com/ja/products/cases/pop/







レビュー目次


1.Fractal Design Pop XL Air RGBの梱包・付属品

2.Fractal Design Pop XL Air RGBの外観
3.Fractal Design Pop XL Air RGBの内部構造の概要


4.Fractal Design Pop XL Air RGBの裏配線スペース
5.Fractal Design Pop XL Air RGBのストレージ設置スペース
6.Fractal Design Pop XL Air RGBのグラフィックボード設置スペース
7.Fractal Design Pop XL Air RGBの電源ユニット設置スペース
8.Fractal Design Pop XL Air RGBのファン・ラジエーター設置スペース


9.Fractal Design Pop XL Air RGBのビルドギャラリー

10.Fractal Design Pop XL Air RGBのレビューまとめ



【機材協力:Fractal Design(国内正規代理店アスク)】



Fractal Design Pop XL Air RGBの梱包・付属品

早速パッケージを開封して、Fractal Design Pop XL Air RGBの外観からチェックしていきます。
「Fractal Design Pop XL Air RGB」では製品のオリジナルプリントがされた茶色の段ボール箱にPCケース本体が収められています。
幅33cm×奥行60cm×高さ61cmなのでATX対応ミドルタワーPCケースのパッケージサイズとしては大きめです。側面には持ち手の穴があるので家の中であれば持ち運びは無理ではないものの、成人男性でも苦労しそうです。
DSC09811_DxO
DSC09812_DxO
段ボール箱の天面を開くとマニュアルとPCケース本体が現れます。
一部のFractal Design製PCケースでは段ボール箱の内側にメーカーロゴが大量に格子状に描かれていてハチの巣みたいでギョッとする光景でしたが、「Fractal Design Pop XL Air RGB」は普通に無地でちょっと安心しました。
DSC09813_DxO
PCケースを保護する緩衝材については発泡スチロールが採用されていました。発泡スチロールは処分のため解体する際に小さい破片が飛び散るので、個人的には固めのスポンジを採用して欲しいです。
DSC09814_DxO
強化ガラスサイドパネルには傷防止の保護フィルムが貼られています。
DSC09815_DxO
裏配線側サイドパネルを開くと、ビニールジップ袋に封入された各種付属品はフロントIOケーブルに縛ってありました。
DSC09816_DxO
付属品は各種ネジ類とケーブルタイのみと非常にシンプルです。」
DSC09817_DxO
欲を言えば、他社製品の例ですがネジの種類別に完全に小分けできる仕切り付きパックに最初からネジが収納されていると使い勝手が良いので、ネジ収納はこのタイプになってくれると嬉しいです。



Fractal Design Pop XL Air RGBの外観

続いて「Fractal Design Pop XL Air RGB」の外観について詳しくチェックしていきます。

「Fractal Design Pop XL」にはまず基本設計として静音性重視のSilent、エアフロー重視のAirの2種類が展開されています。
Fractal Design Pop XL_Silent-vs-Air
静音性重視の「Fractal Design Pop XL Silent」はフロント/サイド/トップが密閉されたソリッドパネルで、裏側に高密度吸音素材シートが貼られています。前面がフラットなスチールパネルなので、フロントパネルの側面フレームに設けられたエアスリットから吸気する設計です。
Pop_XL_Silent_Black_Sheetmetal_12-Exploded-View
Pop XL Silentにはマザーボード側サイドパネルが吸音材付きソリッドパネルの「Fractal Design Pop XL Silent Black Solid(型番:FD-C-POS1X-01)」と、強化ガラス製ウィンドウパネルの「Fractal Design Pop XL Silent Black TG Clear Tint(型番:FD-C-POS1X-02)」がラインナップされています。
Fractal Design Pop XL Silent

一方、エアフロー重視の「Fractal Design Pop XL Air」は、フロントパネルの大部分が六角形で構成されるカーボン風な網目模様のメッシュパネルです。
Pop XL Airについてはいずれも付属ファンがLEDイルミネーション搭載、マザーボード側サイドパネルが強化ガラス製ウィンドウパネルとなります。
Pop_XL_Air_RGB_Black_TGC_12-Exploded-View
Pop XL Airにはブラックカラーの「Fractal Design Pop XL Air RGB Black TG Clear Tint(型番:FD-C-POR1X-06)」と、ホワイトカラーの「Fractal Design Pop XL Air RGB White TG Clear Tint(型番:FD-C-POR1X-01)」がラインナップされています。
Fractal Design Pop XL Air

カラーバリエーション&サイドパネル、LEDイルミネーションの有無などで計4種類存在するFractal Design Pop Xシリーズの中から、今回レビューするのはメインカラーがブラックで、4基のLEDファンとLEDコントローラーを標準搭載した「Fractal Design Pop XL Air RGB Black TG Clear Tint」です。
DSC09819_DxO
「Fractal Design Pop XL」はATXマザーボードや横幅280mmまでのE-ATXマザーボードに対応し、寸法が奥行522mmm×幅230mm×高さ520mmなので、フルタワーというほどではありませんが比較的に大きめのミドルタワーPCケースです。
DSC09828_DxO
DSC09829_DxO
DSC09830_DxO-horz

「Fractal Design Pop XL Air RGB」はフロントパネルの大部分が六角形で構成されるカーボン風な網目模様の金属製メッシュパネルとなっており、エアフローを得やすい高冷却性能なPCケースです。六角形はポリゴン的な凹凸があるので見る角度によっても陰影が変わり飽きがこないデザインです。
DSC09826_DxO
DSC09827_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」の左側面は強化ガラスパネルが採用されていますが、トップや右側面はスチールパネルとなっており、傷や指紋の目立ちにくい粒度小さめのシボ塗装で質感も良好です。
DSC09823_DxO
DSC09820_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」のフロントI/Oはトップパネル前方、正面から見て右寄りに実装されています。
DSC09824_DxO
手前(下写真では右)から順にパワースイッチ、リセットスイッチ(RGB版の場合はLEDスイッチ)、ヘッドホン出力3.5mmジャック、マイク入力3.5mmジャック、USB3.0 Type-A×2が実装されています。USB3.0 Type-Aの隣にはUSB Type-C用の空きポートが用意されています。
DSC09825_DxO
フロントI/Oと繋がっている内部ケーブルとして、フロントパネルケーブル(RGB版は電源スイッチのみ)、内部USB3.0ケーブル、ヘッドホン・マイク用HDオーディオケーブル、フロントI/Oケーブルがあります。
DSC09841_DxO
Pop XLシリーズのうち「Fractal Design Pop XL Air RGB」にはARGB LEDに対応したLEDコントローラーが標準で搭載されており、リセットスイッチが発光パターンの切り替えボタンになっています。
フロントIOケーブルが伸びている基板上にARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーが1基実装されています。コントローラー含め、SATA電源を電力源として動作します。
DSC09825_DxO-horz
USB Type-C(内部USB Type-Cヘッダーで接続)は別売りオプション「USB-C 10Gbps Cable – Model D」で増設が可能です。
DSC09661_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」のフロントパネルはPCケースシャーシから取り外しが可能です。底面にある窪みに指をかければツールレスで着脱できます。
DSC09856_DxO
DSC09854_DxO
フロントパネルはプラスチックの爪でPCケースシャーシに固定されています。PCケース内部からツメを解除してパネルを取り外すのではなく、割と強引にパネルをシャーシから引き剥がす感じでフロントパネルの着脱を行います。
フロントパネルの着脱には比較的力がいるので(従来モデルよりはツメが弱くなっていますが)、ツールレス構造にしてもボールキャッチなどもう少し着脱の容易な構造を採用して欲しかったところ。
DSC09857_DxO

「Fractal Design Pop XL」のフロントパネルにおいて、上側の大部分はAirならメッシュパネル、Silentなら吸音材付きソリッドパネルですが、それとは別に下側には小さくマグネット着脱式のパネルがあります。Fractal Designロゴの布製タグが付いているので、これを引っ張ると簡単に着脱が可能です。
DSC09858_DxO
DSC09860_DxO
このスペースには標準で小物入れとして使用できるトレイが設置されています。付属トレイはPSUカバー内のHDD trayと同時に利用できます。地味に需要がありそうなので、2つ使用できるように、このトレイもアクセサリとして販売して欲しいところ。
DSC09861_DxO
「Fractal Design Pop XL」はPSUカバー内、フロント寄りに5インチベイが2台分用意されています。5インチベイはそれぞれPSUカバー内のHDD trayと排他利用です。
ケースボトムに5インチベイが配置されているので光学ドライブを使用してもPCケース上側のエアフローが妨げられないという、賢い設計です。
DSC09863


今回レビューしているのは「Fractal Design Pop XL Air RGB Black TG Clear Tint」なので、マザーボード側に内部を一望できる強化ガラス製サイドパネルが搭載されています。
DSC09833_DxO
強化ガラスサイドパネルというと、電源ユニットがあるPCケース下側やPSUカバーも含めて左側側面全体をカバーする製品が多いですが、「Fractal Design Pop XL Air RGB」はPSUカバーの側面とガラスパネルが繋がるというショーケース風デザインです。
DSC09839_DxO
強化ガラスサイドパネルはスモークなしで無色透明なClear Tintで、ガラスパネルの存在を極力感じさせず、PCケース内部を鑑賞できます。ガラスパネルの品質によっては強く緑色がかることもありますが、綺麗な透明でした。
DSC09836_DxO
裏配線側サイドパネルはフラットなスチールパネルです。透明なガラスパネルではないので裏配線にこだわるのが面倒という人には嬉しい設計です。
DSC09821_DxO
DSC09840_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」の左右サイドパネルは下側をシャーシに引っ掛けてから、前方へスライドさせて、最後に後方の上下2カ所でネジ止めという固定構造です。
DSC09834_DxO
裏配線側サイドパネルは下側ヒンジになる構造なので、下側を引っ掛けさえすれば、着脱時にパネルを落とす心配はなく、一定角度以上に外へ倒れることもありません。
一方でマザーボード側サイドパネルはシャーシの溝に突起を挿入するので、下にそのまま脱落することはありませんが、前方にスライドさせてロックがかかるまでは手で支えておかないと外へ倒れてしまいます。
DSC09835_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」のPCケースボトムを見ると、電源ユニット部分にはエアスリットがあるものの、それ以外はスチール板で塞がっており、シンプルな形状です。
DSC09852_DxO
PCケースボトムの四隅には前後に長いプラスチック製のケース足があり、底面には滑り止めのゴムシートが貼り付けられています。ケース足の高さは25mmほどです。
DSC09853_DxO



Fractal Design Pop XL Air RGBの内部構造の概要

続いて「Fractal Design Pop XL Air RGB」の内部構造について各種要素ごとに細かく見ていく前に内部構造の概要をチェックしていきます。
サイドパネルを外してマザーボード側を俯瞰すると次のようになっています。
DSC09865_DxO
「Fractal Design Pop XL Air RGB」のマザーボードスペース前方はストレージベイや5インチベイなど何もなく開放されている近年主流なオープンレイアウトが採用されています。
DSC09869_DxO
「Fractal Design Pop XL Air RGB」には近年のPCケースの流行としてPCケースボトムに設置される電源ユニットをチャンバー分けして、電源ケーブルを隠すPSUカバーが採用されています。
DSC09871_DxO
「Fractal Design Pop XL Air RGB」のPCケース内部にはフロントに3基の120mm角、リアに1基の120mm角で計4基のケースファンが標準で搭載されています。
DSC09876_DxO-horz

Fractal Design Pop XL Air RGBのマザーボードトレイやその周辺レイアウト、および各種マザーボードとの互換性についてチェックしていきます。
Fractal Design Pop XL Air RGBのマザーボードトレイには標準でATXに合わせたスペーサーが装着されています。PCIEスロット数はATXフォームファクタに合わせて8段が設置されています。
DSC09866_DxO
マザーボード固定用スペーサーを装着するためのネジ穴にはA、M、Iの添え字が刻印されており使用するマザーボードに合わせて使うべきレイアウトが一目で分かります。またマザーボード固定用スペーサーのうち中央の1つはネジ穴ではなく、凸状の出っ張りになっています。
DSC09868_DxO
マザーボードのネジ止めの際には中央スペーサーの出っ張りにマザーボードを引っかけて位置を固定することができるので、マザーボードのネジ止めが容易になる賢い構造です。
DSC06608_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」にATXマザーボードを設置すると下のようになります。
マザーボードトレイの上下と右側には大きくケーブルホールが開けられているので各種配線もスムーズに行えます。
DSC09884_DxO
DSC09886_DxO
ATXマザーボードの右端から右側のケーブルホールまでの間隔は30mm程度となっており、「Fractal Design Pop XL」は公式仕様通り、横幅が280mmまでのE-ATXマザーボードに対応します。
DSC09885_DxO
空冷CPUクーラーの高さクリアランスについて、公式仕様では全高185mmまでが確保されているとのことでしたが、実測の高さクリアランスは184mm程度でした。
数mm程度の誤差はあるかもしれませんが、180mmまでは確実に対応しているので、大型のハイエンド空冷CPUクーラーでもPCケースサイドパネルとの干渉の心配は事実上ありません。
DSC09900_DxO



Fractal Design Pop XL Air RGBの裏配線スペース

「Fractal Design Pop XL Air RGB」の裏配線スペースについてチェックしていきます。
左サイドパネルを取り外すとFractal Design Pop XL Air RGBのマザーボード裏スペースにアクセスできます。Fractal Design Pop XL Air RGBの裏配線スペースの全体は次のようになっています。
DSC09864_DxO
マザーボードトレイのCPUクーラーメンテナンスホールは大きくとられていて、Intel LGA1700やAMD AM4といった近年主流なCPUソケットがしっかりと収まり、バックプレート型のCPUクーラーでもマザーボードをPCケースに装着したままで着脱が可能です。
DSC09887_DxO

裏配線スペースの厚さはマザーボードトレイやシャーシの凹凸で若干前後しますが、おおむね25mm程度が確保されています。
DSC09888_DxO



Fractal Design Pop XL Air RGBのストレージ設置スペース

続いて「Fractal Design Pop XL Air RGB」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。
「Fractal Design Pop XL」は標準でSSD tray×1とHDD tray×3が付属しています。
SSD trayには2.5インチストレージを2基、HDD trayには2.5インチストレージと3.5インチストレージを1基ずつ設置できるので、標準構成のままでも5台の2.5インチSSDと3台の3.5インチHDDを設置できます。
Fractal Design Pop XL_Storage
ストレージトレイは「HDD tray kit – Type D, Black(型番:FD-A-TRAY-003)」と「SSD bracket kit – Type D, Black(型番:FD-A-BRKT-004)」の名前で増設アクセサリとして販売されます。
SSD trayとHDD trayを追加購入することで、最大で6台の2.5インチSSDと4台の3.5インチHDDを設置できます。
Fractal Design Pop XL_Storage_max


2.5インチストレージトレイについて

まずは2.5インチストレージトレイについてチェックしていきます。
「Fractal Design Pop XL Air RGB」のマザーボードトレイ裏、メンテナンスホールの下には2基の2.5インチストレージを設置可能な2.5インチストレージトレイが装着されています。
DSC09878_DxO
2.5インチストレージトレイは2.5インチストレージを2基設置可能な1枚板のスチール製プレートになっており、トレイ短辺(PCケースで左向き)にある2カ所の爪と、逆側の脱落防止機能付きハンドスクリューでPCケースに固定する構造です。
DSC09843_DxO
この2.5インチストレージトレイはPSUカバー上にも設置可能です。「SSD bracket kit – Type D, Black(型番:FD-A-BRKT-004)」の名前で増設アクセサリとして販売されているので、追加購入することでマザーボードトレイ裏とPSUカバー上の2カ所を同時に使用できます。
DSC09919_DxO


3.5インチストレージトレイについて

PCケースボトムに固定されている3.5インチストレージトレイについて詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Pop XL Air RGB」のPSUカバー内の前方寄り上下2カ所と、裏配線スペース左上2カ所の計4ヶ所に3.5インチストレージトレイの設置スペースがあり、標準で3基の3.5インチストレージトレイが付属しています。
「HDD tray kit – Type D, Black(型番:FD-A-TRAY-003)」の名前で増設アクセサリとして販売されています。
DSC09879_DxO
PSUカバー内部には3.5インチストレージトレイを上下に2つ設置できますが、それぞれ上段と下段の5インチベイと位置が重なっています。付属トレイや奥行の小さいファンコン等なら問題ありませんが、光学ドライブ等の奥行きが大きいものは干渉するので排他利用です。
DSC09880_DxO
3.5インチストレージトレイは底面のスリットと手前のハンドスクリューで固定されており簡単に着脱が可能です。
3.5インチストレージトレイにHDDを設置することを想定して防振ラバーパッドが付属しています。2.5インチストレージは底面のネジ穴に直接固定します。
DSC09844_DxO-horz



Fractal Design Pop XL Air RGBのグラフィックボード設置スペース

「Fractal Design Pop XL Air RGB」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。
まず製品スペックを見ると、「Fractal Design Pop XL Air RGB」のグラフィックボード設置における長さ方向のクリアランスについて、最大430mmのスペースが確保されています。
実測でもPCIEブラケットからファンを固定するためのフロントのシャーシ内壁までちょうど430mm程度でした。なおPop XL Silentの場合は付属ファンがファンマウントの内側に付属ケースファンが設置されているので(フロントパネル側面から吸気する構造上)、グラフィックボードの長さクリアランスは400mm程度になります。
DSC09903_DxO
写真のように全長300mmかつ3スロット占有GPUクーラー搭載の超巨大オリファンモデル「ASUS TUF-RTX3090-O24G-GAMING」でも余裕をもって収納できるスペースがあり、クリアランスも十分なのでオープンレイアウトではグラフィックボードの互換性を心配する必要はありません。
DSC09907_DxO_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」のグラフィックボードのクリアランスは、一般的な25mm厚ファンだけであればシャーシ外側に固定するので影響はありませんが、簡易水冷のラジエーターなどを内側に設置すると影響があります。
とはいえファン&ラジエーターで52~55mmの一般的な簡易水冷クーラーであれば400mm程度のスペースを確保できるので、TGP300W超のグラフィックボードでも問題なく設置できるはずです。
DSC09904_DxO

グラフィックボードの高さ方向について、PCIEブラケットからサイドパネルまで80mm程度と十分な余裕があるので、補助電源ケーブルはもちろん、背の高い基板のオリファンモデルにDIY水冷のフルカバー水冷ブロックを装着してもターミナル部分がサイドパネルと干渉する心配はありません。
DSC09908_DxO

管理人がPCケースをチェックする時の重箱の隅をつつくような細かい項目、PCIEスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、「Fractal Design Pop XL Air RGB」では固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーを使用した拡張ボードのネジ止めも簡単です。
DSC09906_DxO



Fractal Design Pop XL Air RGBの電源ユニット設置スペース

Fractal Design Pop XL Air RGBの電源ユニットの設置個所付近をクローズアップしていきます。
まずは電源ユニットの設置についてですが、「Fractal Design Pop XL Air RGB」では最近のPCケースで主流なボトム吸気型の電源ユニットのボトム配置構造を採用、マザーボード側からは電源ユニットや電源ユニットから伸びるケーブルを隠してケース内をキレイに見せるPSUカバーも採用されています。
PSUカバー天面にはエアスリットが設けられているので、セミファンレス機能対応で上向きに電源ユニットを固定するレイアウトでも使用できます。
DSC09877_DxO
Define/Meshifyなど上位PCケースでは専用のPSUアダプタを使用して外から電源ユニットをスロットインする構造が採用されていますが、「Fractal Design Pop XL Air RGB」については単純にPCケース内から電源ユニットを配置して外側からネジ止めする構造です。
DSC09894_DxO
ケース内部の電源ユニット設置スペースに注目してみると、吸気スリットの両サイドには電源ユニットの安定した固定と電源ユニット冷却ファンの振動によるPCケースとの共振を防止するためゴム足がスタンドとして設置されています。
DSC09882_DxO

今回は同社から発売されている、80PLUS Platinum認証を取得かつ電源容量860Wのハイパフォーマンス電源ユニット「Fractal Design Ion+ 2 Platinum 860W」を設置してみました。
「Fractal Design Ion+ 2 Platinum 860W」をレビュー
Fractal Design Ion+ 2 Platinum 860W

電源ユニットの奥行のクリアランスについて、「Fractal Design Pop XL Air RGB」のPCケースボトムにはフロント寄りに3.5インチストレージトレイが搭載されており、奥行方向に約280mmのスペースがあります。
下の写真では奥行140mmの電源ユニット Fractal Design Ion+ 2 Platinum 860Wを使用しているので、130mm程度のスペースがあり、電源ケーブルを収納しておく余剰スペースとしても十分です。
DSC09897_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」は電源ユニットがPCケース底面から吸気を行う構造なので、PCケース底面にはスライド式で簡単に着脱可能なナイロンメッシュの防塵ダストフィルターが付属しています。
DSC09896_DxO
PCケース底面には電源ユニット冷却ファンが吸気するためのエアスリットがありますが、幅110mm、奥行(後端から)10~140mmのレイアウトになっています。
奥行き150mmのFractal Design Ion+ 2 Platinum 860Wだとほぼピッタリなサイズですが、エアスリットの奥行は短めなので、180~200mmのような長い電源ユニットを使用するとファンとエアスリットの位置がズレるかもしれません。
DSC09898_DxO-horz



Fractal Design Pop XL Air RGBのファン・水冷ラジエーター設置スペース

続いて「Fractal Design Pop XL Air RGB」の冷却ファンと水冷ラジエーターの設置スペースについてチェックしていきます。

ファン・ラジエーター設置スペースの概要

Fractal Design Pop XL Air RGBのファン・ラジエーター積載可能数について簡単にまとめると、PCケースリアには120サイズ or 140サイズ、PCケースフロントには最大で360サイズ(120mm×3) or 280サイズ(140mm×2)、PCケーストップには最大で240サイズ(120mm×2) or 280サイズ(ファンのみ140mm×3)のファンもしくはラジエーターを設置することが可能です。

「Fractal Design Pop XL」はフロントに120mm×3 or 140mm×2、トップに120mm×2 or 140mm×2、リアに120mm×1 or 140mm×1のケースファンを設置できます。
Fractal Design Pop XL_Fan
「Fractal Design Pop XL Air」のトップパネルはPCケース天面に固定されており、ファンマウント部の直上のみマグネット式で着脱可能なメッシュフィルターがあります。
なおPop SolentやPop Mini SilentのPCケース天面は吸音材付きソリッドパネルで完全に塞がっていますが、「Fractal Design Pop XL Silent」はPop XL Airと同じ設計で、追加要素としてマグネット式の吸音材付きソリッドパネルが装着されています。ソリッドパネルを外せばAirと同様にPCケース天面もファンマウントスペースとして使用できます。
Fractal Design Pop XL Silent_top-panel

「Fractal Design Pop XL」はPCケース前方がマザーボード側の空間と直結して解放された近年流行りのオープンレイアウトな内部構造になっています。360サイズや280サイズと言った大型の水冷ラジエーターに対応し、DIY水冷環境にも最適なレイアウトです。
「Fractal Design Pop XL」の水冷ラジエーター積載可能数を見ると、トップに最大240mm or 280mm、フロントに360mm or 280mmのラジエーターを設置できるのでDIY水冷PC用のPCケースとしても十分対応可能です。
Fractal Design Pop XL_Rad


付属ファンについて

「Fractal Design Pop XL Air RGB」には定格1200RPMの120mm冷却ファン「Aspect 12 RGB」がフロント3基&リア1基で計4基付属します。
Aspect 12 RGBはPWM速度調整に非対応の3PIN DCファンですが、定格(最大)ファン回転数が1200RPMと低速なので、最大速度でもファンノイズが煩く感じることはあまりないと思います。
白色ブレードは軸受け部分に内蔵されたLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体に鮮やかな色を行き渡らせる特殊素材です。
DSC09846_DxO
Aspect 12 RGBは、軸受にMTTF(平均故障時間)がトップクラスの90,000時間であるライフルベアリングを軸受けに使用しています。
固定用の支柱は空気力学に基づいて気流の乱れを抑えるステータストラットを採用、ファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制する効果があります。
DSC09847_DxO

ファンブレードの後縁付近には航空機の翼のデザインによくみられるトリップワイヤー技術という構造をしており、マイクロ乱流層を発生させ全体的に効率の良い静かなエアフローを実現するそうです。
DSC08885_DxO
Aspect 12 RGBからは3PINファンケーブルに加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルが伸びています。
ファンとLEDの両ケーブルはいずれも接続コネクタがオス・メスに分岐しており、複数のファンを数珠つなぎに接続するデイジーチェーンが可能です。
DSC09910_DxO


ファン・ラジエーター設置スペースを実機でチェック

上で解説した概要を念頭に、「Fractal Design Pop XL Air RGB」のファン・ラジエーター設置スペースについて実機写真からチェックしていきます。


PCケースリアのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、120mm/140mmのファン・ラジエーターに対応しており、標準で120mmファンが排気構成で設置されています。
ファン・ラジエーターの固定ネジ穴は縦長のスリット状になっているので、上下方向に若干のオフセット配置が可能です。120サイズや140サイズのラジエーターを採用する簡易水冷CPUクーラーや簡易水冷グラフィックボード用にも使用できます。
DSC09891_DxO-horz


PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、フロントパネル裏には標準で3基の120mmサイズ冷却ファンが吸気構成で設置されています。
個別に着脱が可能な防塵ダストフィルターはありませんが、Pop XL Airは高エアフローなフロントのメッシュパネルが大きな特徴なので付属ファンやマルチファン簡易水冷クーラーで吸気スペースに使用するのがおすすめです。
DSC09856_DxO
PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースのサイズ・数量については上で紹介したとおり、360サイズ(120mm×3) or 280サイズ(140mm×2)です。ファン・ラジエーター固定用のネジ穴は縦長スリットなのでラジエーターのネジ穴間隔に合わせて設置が可能です。
DSC09909_DxO
PCケースフロントのファンマウントは製品スペックの通り、最大で360サイズ簡易水冷CPUクーラーに対応していますが、ラジエーターを設置するための長さクリアランスはかなりギリギリです。
同社から発売されているFractal Design Celsius+ S36 Prismaを設置したところ上下の隙間はほぼないくらいの状態でした。ラジエーターの長さが403mmよりも大きい360サイズ簡易水冷クーラーやDIY水冷ラジエーターは使用できないので注意して下し。
DSC09913_DxO-horz


PCケーストップのファン・ラジエーター搭載スペースについてですが、最大で360サイズ(120mm×3) or 280サイズ(ファンのみ140mm×3)のファン・ラジエーターに対応します。
天面にはシャーシに直接ファンマウントがあり、正六角形を構成する三角形の穴で天面に広くエアスリットが設けられています。ネジ穴スリットは外側の1列を基準に、マザーボード側の2列でそれぞれ120mm幅と140mm幅に対応します。
DSC09851_DxO
天面について、ファン・ラジエーターを固定するシャーシ内壁からマザーボード上端までは70mm程度のクリアランスがあるので、ファン&ラジエーターで52~55mm厚になる一般的な簡易水冷クーラーであればマザーボードやメモリとの干渉を心配する必要はありません。
DSC09889_DxO

また「Fractal Design Pop XL Air RGB」の天面にはマグネットで簡単に着脱可能なナイロンメッシュフィルターが装着されています。
DSC09849_DxO
DSC09850_DxO
「Fractal Design Pop XL Air RGB」の天面はフラットなのでキーボードなど物を置くこともできますが、天面にファン・ラジエーターを設置する場合はエアフローの妨げになってしまいます。
「Fractal Design Pop XL Air RGB」の天面を物を置くスペースとして活用したいのであれば、「PC MAGLAS ガラストップ」というPCトップガラスカバーがオススメです。



続いてFractal Design Pop XL Air RGBのPCケースフロントで対応が明記されている360サイズラジエーターについて、サンプルビルドに組み込むCPUクーラーとして360サイズ簡易水冷の「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」を使用し、実際にPCケースフロントに設置してみます。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」をレビュー
Fractal Design Celsius+ S36 Prisma

マザーボードを設置した状態のPCケースを横倒しにしてラジエーターとファンでフロントのファンマウントを挟むようにしてネジ止めします。あとは水冷ヘッドを固定するだけです。
DSC09911_DxO
PCケースフロントは最大で360サイズのラジエーターにも対応するので、スペックの通り360サイズ簡易水冷CPUクーラー Fractal Design Celsius+ S36 Prismaを設置できました。
なおFractal Design Celsius+ S36 Prismaでは一番下のファンをラジエーターのハブに接続しようとするとケーブルの長さが足りません。マザーボード下側に配置されているファン端子に接続するなら問題ありませんが、ファンハブを活用する場合は15cm程度の延長ケーブルも用意してください。
DSC09916_DxO
DSC09917_DxO



Fractal Design Pop XL Air RGBの自作PCギャラリー

「Fractal Design Pop XL Air RGB」を使用した自作PCを組んでみたのでその作成例のギャラリーとなります。
DSC09923_DxO
DSC09921_DxO

DSC09941_DxO
DSC09927_DxO
DSC09940_DxO
DSC09955_DxO
DSC09956_DxO
DSC09942_DxO

「Fractal Design Pop XL Air RGB」には標準でLED付きファンが4基付属しており、今回のサンプルビルドで使用しているFractal Design Celsius+ S36 Prismaなど同社製LED付きPCパーツをまとめて制御できるLEDコントローラーもPCケースに内蔵されているので、その日の気分に合わせて様々な発光カラー・発光パターンを選ぶことができます。
DSC09931_DxO
DSC09935_DxO-tile



Fractal Design Pop XL Air RGBのレビューまとめ

最後に「Fractal Design Pop XL Air RGB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • シンプルでスタイリッシュなデザイン、白色もラインナップ
  • 奥行き522mmm×幅230mm×高さ520mmで、ATX対応として大きめのサイズ
  • 横幅280mmまでのE-ATXマザーボードにも対応
  • マザーボード側は内部を一望できる強化ガラス製ウィンドウパネル
  • PSUカバーとガラスパネルで2分するショーケース風デザイン
  • 裏配線側はスチール製ソリッドパネルなのでケーブルマネジメントが気楽
  • フロント下側に2基の5インチベイを搭載、付属トレイは小物入れになる
  • トップ/フロントはマルチファン大型水冷ラジエーターに対応
  • トップ/PSUには着脱の容易な防塵ダストフィルター搭載
  • 2.5インチ2基、3.5インチ3基で計5基のストレージを設置可能
  • 別売りストレージトレイを追加購入すれば最大で2.5インチ4基、3.5インチ4基に対応
  • 【Air RGB】 LEDファン&LEDコントローラーが標準で付属
  • 【Silent】 高密度吸音材がフロントパネルやサイドパネルに貼ってある
悪いところor注意点
  • フロントIOのUSB Type-Cポートは別売りアクセサリ扱い
  • 電源ユニット冷却ファン用のエアスリットは奥行が少し短め
  • フロントの360サイズ簡易水冷はラジエーターの長さが403mm以上だと干渉する可能性あり

「Fractal Design Pop XL Air RGB」はコストパフォーマンスと拡張性を両立し、シンプルな設計で自作PC初心者にも優しい新シリーズ”Pop”の設計思想に加えて、360サイズ簡易水冷クーラーや横幅280mmまでのE-ATXマザーボードにも対応する大型モデルです。

一般的なミドルタワーPCケースだとE-ATXに対応していても横幅が大きいのでマザーボードトレイ右側のケーブルホールを塞いでしまい、逆に余裕のある内部レイアウトだと今度はフルタワーと呼ばれるようにPCケース全体のサイズが大きくなり過ぎてしまいます。
Intel Z690やAMD X670Eといった最新のメインストリーム向けハイエンドマザーボードでは、ATXよりも横幅が30mm程度大きいE-ATXサイズを採用する製品が増えているので、一般的なミドルタワーPCケースよりも少しし大きめくらいのサイズ感で、電源ケーブルの取り回しを損なうことなくE-ATXマザーボードを使用できるというのは「Fractal Design Pop XL」の大きな魅力だと思います。

また「Fractal Design Pop XL Air RGB」は、標準で4基のARGB LEDファンが付属し、フロントパネルにARGB LED機器を制御できるコントローラーまで内蔵しているところも魅力です。
同社からは付属LEDコントローラーで制御可能なARGB LED搭載簡易水冷CPUクーラーも発売されているので組み合わせれば、サンプルビルドのようにさらにド派手もしくはスマートにお好みでライトアップすることが可能です。

以上、「Fractal Design Pop XL Air RGB」のレビューでした。
Fractal Design Pop XL Air RGB Black TG Clear Tint



記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。







関連記事

変幻自在な万能PCケース「Fractal Design Define 7」をレビュー
Fractal Design Define 7

「NZXT H7 Flow」をレビュー。スマートかつ高エアフローな新PCケースを徹底検証
NZXT H7 Flow

「Fractal Design Torrent Compact Black RGB TG Light Tint」をレビュー
Fractal Design Torrent Compact Black RGB TG Light Tint

「SilverStone SUGO 15」をレビュー。RX6900XT&240mm水冷で徹底検証
SilverStone SUGO 15

「Fractal Design Torrent Black RGB TG Light Tint」をレビュー
Fractal Design Torrent Black RGB TG Light Tint

「PC MAGLAS ガラストップ」をレビュー。マグネットで簡単設置!
PC MAGLAS ガラストップ

「Fractal Design Define 7 Compact」をレビュー
Fractal Design Define 7 Compact

「SilverStone SUGO 14」をレビュー。RTX3090&240mm水冷で徹底検証
SilverStone SUGO 14

「Fractal Design Meshify 2 RGB」をレビュー。拡張性と高エアフローを両立
Fractal Design Meshify 2 RGB Black TG Light Tint

2Wayベンチテーブル「SMZ-2WBT-ATX」をレビュー
SMZ-2WBT-ATX

正統派フルタワーPCケース「Fractal Design Define 7 XL」をレビュー
Fractal Design Define 7 XL




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク