FSP Hydro PTM PRO 850W


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50%負荷時に92%以上という非常に優れた変換効率を証明する80PLUS Platinum認証を取得する電源容量850Wのハイパフォーマンス電源ユニット「FSP Hydro PTM PRO 850W(型番:HPT2-850M)」をレビューします。
セミファンレス機能の使い勝手や、GeForce RTX 3090やRadeon RX 6900 XTなどハイエンドグラフィックボードを搭載しピーク負荷が800Wオーバーにも達する環境において静音動作が可能なのか徹底検証していきます。

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代理店公式ページ:https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_3226.php
製品公式ページ:https://www.fsplifestyle.com/jp/product/HydroPTMPRO850W.html

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FSP Hydro PTM PRO 850W レビュー目次


1.FSP Hydro PTM PRO 850Wの外観や概要について
2.FSP Hydro PTM PRO 850Wのケーブルや電源端子について
3.FSP Hydro PTM PRO 850Wのファンノイズと電圧安定性
4.FSP Hydro PTM PRO 850Wのレビューまとめ



【機材協力:FSP 国内正規代理店アユート】



FSP Hydro PTM PRO 850Wの外観や概要について

早速パッケージを開封してFSP Hydro PTM PRO 850Wの外観や付属品をチェックしていきます。
「FSP Hydro PTM PRO 850W」のパッケージはN型箱で、天面を長辺方向に開く構造でした。開封時のスペースが最小限になるので短辺方向に開く形式にして欲しかったところ。
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パッケージを開くとまずは電源ユニットの保証書など各種付属品が入っていました。その下には左側にスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが、右側にはACケーブルと専用不織布バッグの中に入れられた状態でモジュラーケーブル各種が収められています。
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電源ユニット本体はビニール袋に覆われ、スポンジ製スペーサーで保護された状態でパッケージ内に収納されています。
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プラグインケーブル以外の付属品は、ACケーブル、側面ロゴ貼り替えシール×2、電源ユニット固定用インチネジ4個、クイックマニュアルです。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」本体をチェックしていきます。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」の外装は金属製ですが、布のような独特の質感です。
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側面には青色がアクセントカラーの「FSP Hydro PTM Pro」シリーズロゴのシールが貼り付けられています。
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側面ロゴは標準では青色がアクセントカラーになっていますが、付属の貼り替え用シールを使用することで、赤色と緑色のアクセントカラーに変更できます。
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FSP Hydro PTM PRO 850WはATX規格電源ユニットで奥行きは190mmとなっています。電源容量850Wですが50%負荷時の変換効率92%以上を保証する80PLUS Platinum認証を取得していて低発熱なので、このスペックなら近年の電源ユニットでは奥行150~160mmの製品も多いので、比較的に大きめなサイズ感です。FSPほどの大手が技術的にコンパクト化できないとも考えにくいので、あえて大きくしているのだと思いますが。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」の冷却ファンは、最近の電源ユニットのトレンド通りに135mm角の大型サイズです。冷却ファンに採用されている高性能流体動圧軸受(FDB)は、摩擦抵抗を低減、回転時の軸ブレと振動を防止して、ファン回転時の振動音を極限まで抑制し、抜群の低ノイズで最適なエアフローを供給するとのこと。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」は低負荷時に冷却ファンを停止させるセミファンレス機能「Ecoセミファンレス」にも対応しています。Ecoセミファンレスはハードウェアスイッチ1つでON/OFFの切り替えが可能です。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」のセミファンレス機能は電源負荷30%(255W)程度以下でファンを停止させることが可能です。公式情報のファンカーブによれば、70%負荷まではファン速度800RPM以下、90%負荷まではファン速度1000RPM以下となっており静音性もかなり高そうです。
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FSP Hydro PTM PRO 850WはATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なフルプラグイン式になっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。プラグイン端子は底面吸気レイアウトにした時に、正面から見て左寄りに配置されています。
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ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。排気用の背面エアスリットもほぼ全体に及び大きく取られているので通気性も十分です。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」はシステム負荷50%の環境下において92%以上の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Platinum認証を取得、850Wという大容量な電源ユニットです。+12Vはシングルレールで70.83Aの出力に対応します。
10コア以上のウルトラメニーコアCPUへ電力供給を行うEPS電源や、TGP300W超のウルトラハイエンドGPUへ電力供給を行うPCIE補助電源では、それだけで20Aを超える出力を要求することもありますが、FSP Hydro PTM PRO 850Wはそれに対して安定した電力供給が可能な容量を備えています。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」では電解コンデンサに1次側と2次側の全てにおいて、高品質の日本メーカー製105℃対応電解コンデンサを採用し、より長寿命で安定した電圧を提供します。
またLLC Half Bridgeトポロジー構造とDC-DC同期整流設計によって低負荷から高負荷まであらゆるシチュエーションにおいて出力電圧変動率をプラスマイナス1%以内に抑えていることがアピールされています。
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FSP Hydro PTM PRO 850Wのケーブルや電源端子について

「FSP Hydro PTM PRO 850W」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。

「FSP Hydro PTM PRO 850W」のプラグインケーブルは専用のナイロンバックに収納されています。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」に付属するプラグインケーブルは全て、取り回しに優れ実用性の高い黒色のきしめん型フラットケーブル(リボンケーブル)が採用されています。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
 「FSP Hydro PTM PRO 850W」のモジュラー端子/ケーブル構成
種類 コネクタ数 ケーブル
数量 x 長さ
(1本のコネクタ数)
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ATX
20/24 PIN
1  1 x 600 mm
CPU/EPS
8(4+4) PIN
3  1 x 700 mm (1)
 1 x 700 + 150 mm (2)
PCIE
8(6+2) PIN
8  2 x 500 + 150 mm (2)
 2 x 650 + 150 mm (2)
SATA 8  1 x 500 + 150 + 150 + 150 mm (4)
 1 x 500 + 160 + 160 + 160 mm (4)
SATA
Peripheral
4
4
 2 x 500 + 150 + 150 + 100 mm (2, 2)
SATA
Peripheral
Floppy
2
1
1
 1 x 500 + 150 + 150 + 100 mm (2, 1, 1)


FSP Hydro PTM PRO 850Wの電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
FSP Hydro PTM PRO 850WのATX24PINケーブルは大型フルタワーPCケースにも対応可能な610mmのフラットきしめん型ケーブルが採用されています。
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PCIE補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「FSP Hydro PTM PRO 850W」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「VGA」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」にはEPS電源ケーブルとして、全長700mmで1コネクタのケーブルと、全長700+150mmで2コネクタのケーブルの2本が付属します。EPS電源でケーブル1本当たり2コネクタというのはかなり珍しい気がしますが、実用的に便利なケーブルです。
Intel Core-Xに対応するX299マザーボードやAMD Ryzen Threadripperに対応するTRX40マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、FSP Hydro PTM PRO 850WではEPS電源8PIN端子は3基搭載されているので問題なく対応可能です。
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EPS電源ケーブルのEPS端子をチェックすると、1コネクタのケーブルは8PINを4+4PINに分離可能なコネクタ、2コネクタのケーブルは8PIN固定と8PINを4+4PINに分離可能なコネクタという組み合わせでした
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」に付属するPCIE補助電源ケーブルは、8PINからもう1つの8PINが分岐するケーブルになっていて、分岐までの長さ違いで、500+150mmと650+150mmの2種類があります。
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PCIE補助電源の8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」のPCIE補助電源ケーブルは、上記2種類のケーブルがそれぞれ2本で計4本が付属しており、最大で8個の8PINコネクタを使用できます。
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SATA電源ケーブルは全長950mmのストレート4コネクタ(500 + 150 + 150 + 150 mm)のケーブル1本、全長980mmのストレート4コネクタ(500 + 160 + 160 + 160 mm)のケーブル1本で、計8コネクタの2本のケーブルが付属します。
後述の複合ケーブルも含めてSATA端子は16基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」が変わっているポイントとして、4PINペリフェラル電源ケーブルがSATA電源コネクタとの混合ケーブルになっています。

プラグインコネクタから順にSATA端子×2、4PINペリフェラル端子×2の4コネクタが連なっている、全長900mm(500 + 150 + 150 + 100 mm)のケーブルです。同種のケーブルが2本付属しています。
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ほぼディスコンですが先端がフロッピー端子になっていて、SATA端子×2と4PINペリフェラル端子×1が実装された全長900mm(500 + 150 + 150 + 100 mm)のケーブルも付属しています。
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FSP Hydro PTM PRO 850Wのファンノイズと電圧安定性

FSP Hydro PTM PRO 850Wの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。
FSP Hydro PTM PRO 850Wの検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit

CPU

Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

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上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce GTX 1660 Ti、GeForce RTX 2070 SUPER、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon VIIなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spyグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。

また今回検証する「FSP Hydro PTM PRO 850W」は電源容量850Wの大容量電源ユニットなので、850Wの限界近い負荷をかけるため、シングルでもTGP350Wという非常に大きい消費電力を要求するGeForce RTX 3090を2枚使用したマルチGPU、NVLink SLIを使用しました。(仕様上の電源容量を大幅に超過することがないように負荷や電力制限を適切に調整しています)
GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能をベンチマークで比較検証
GeForce RTX 3090 NVLink SLI

消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
REX-BTWATTCH1

ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
ラトックシステム ワットチェッカー


電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
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この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になると煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
*記事中に青色の騒音計も出てきますが、ファンノイズが大きく変化する時やファンストップ時の指標、距離などを統一せずにざっくり”とても静か”と分かりやすくするため、等に使っているだけなので数値自体の比較はしないでください。

またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。電源ユニットのファンノイズを測定する瞬間は電源負荷に影響が出ないように注意した上で、グラフィックボードやCPUクーラーの冷却ファンのファン速度を下げているので、測定値33dB以上であれば、これらの影響は基本的に無視して問題ありません。
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消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「FSP Hydro PTM PRO 850W」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400Wはもちろん、TGP300W超のRTX 3080/3090を搭載した500W負荷、さらには実用上、同電源ユニットで安定動作を狙える800W前後の負荷に至るまで、ノイズレベルは33dB以下という極めて優れた静音性を発揮しました。

Antec Signature 1000 Titanium_noise-g
システム 消費電力 ファンノイズ
アイドル
60 32.0
GTX 1650 / SUPER
120 32.0
GTX 1660 Ti / SUPER
200 32.0
RTX 2060/S, RX 5700 250 32.0
RTX 2070/S, RX 5700 XT 300
32.0
RTX 2080 SUPER, Radeon VII 350 32.9
RTX 2080 Ti, RX 6800 400 32.9
RTX 3080, RX 6800 XT
450 32.9
RTX 3090, RX 6900 XT 500
33.0

550 33.1

600~650
33.3

700~750
33.3

「FSP Hydro PTM PRO 850W」は700Wクラスの負荷をかけても、平置きの状態で注意してやっとファンの動作に気付く程度に非常に小さいファンノイズしか発しません。
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「FSP Hydro PTM PRO 850W」は電源ユニット背面に設置されたEcoセミファンレス機能のロッカー型スイッチをONにすると低負荷においてファンが停止するセミファンレス機能に対応したモードで動作させることができます。
「FSP Hydro PTM PRO 850W」は製品仕様では電源負荷30%(255W)程度以下でファンを停止させることが可能となっていますが、セミファンレス機能のファンの始動および停止のトリガーは内部温度センサーとなっており、300W超の負荷をかけても内部温度センサーが閾値に達しなければファンは始動しません。試しに700Wの負荷を長期的にかけてみたところ、電源オフの状態からファンの始動まで30分以上かかりました。
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温度センサーを制御ソースにしているので、逆にファンが始動してからしばらく経って閾値を下回るとファンは停止します。700Wの負荷をかけ続けた場合、数分スパンで始動と停止を繰り返しました。使用上は30%負荷までセミファンレス機能に対応となっていますが、どこまでファンが停止するかは環境(内部温度センサー)次第となります。
長期的に大きい負荷がかかった時、「FSP Hydro PTM PRO 850W」のセミファンレス動作でファンは始動と停止を繰り返しますが、ファン始動時に一瞬だけフル回転になるような動作はなく、動作中ファンノイズは上述のように負荷全域で非常に低いので、常時動作モードとセミファンレスモードはお好みで選択すればOKです。



続いて「PassMark Inline PSU Tester」という電源電圧等の検証ツールを使用し、電源容量の半分を超えるような大負荷時にPCIE補助電源+12Vがどの程度安定しているのかチェックしてみました。(まだ20年10月から導入したばかりなので参考までに)
PassMark Inline PSU TesterについてはTechpowerupという海外サイトにおいてその測定値が、電力測定用の専門機器と比較してどれくらい精度があるのか検証されています。
PassMark Inline PSU Testerでは単純な電力・電圧・電流だけでなく、リプル、PSU Timings、Slew Rateなど細かい部分も計測できるのですが、内容が専門的になり過ぎ、一部測定値は専門測定機器に比べて誤差が大きい(TPUによると)という理由もあって、当サイトでの検証では測定値が信頼できそうで、なおかつ電源ユニットの性能として一般ユーザーにとっても身近かつ分かりやすい、PCIE補助電源+12Vの安定性に的を絞ってチェックしていきます。
PassMark Inline PSU Tester
「PassMark Inline PSU Tester」を使用したPCIE補助電源+12V安定性の検証方法についてはファンノイズの測定と同様に、3DMark Time Spyグラフィックテスト1のループ再生を使用して一定の電源負荷をかけ続けます。さらに電源負荷をかけたい場合はグラフィックボードを2枚にしたり、同時にCPUを使用した動画のエンコードを行ったりします。以上の方法で一定の電源負荷を10分程度かけ続け、その間にグラフィックボードに接続したPCIE補助電源の+12V電圧がどの程度安定しているのか、ログから確認します。
PassMark Inline PSU Tester_stress-test
また負荷として3DMark Time Spy グラフィックテスト1ではなく、AIDA64 System Stability Testを使用することもあり、検証に使用した負荷は文章やグラフに併記しています。AIDA64 System Stability Testを使用すると3DMark Time Spy グラフィックテスト1に比べて電力変化が小さいので、電圧変動も小さくなります。
AIDA64 Stability Test


「FSP Hydro PTM PRO 850W」に対して3DMarkで500W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は3.7%程度でした。
FSP Hydro PTM PRO 850W_V-Stability_PCIE+12V_500W_3DM

「FSP Hydro PTM PRO 850W」に対してAIDA64で500W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は2.1%程度でした。
FSP Hydro PTM PRO 850W_V-Stability_PCIE+12V_500W_AIDA

「FSP Hydro PTM PRO 850W」に対してAIDA64で700W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は2.5%程度でした。
FSP Hydro PTM PRO 850W_V-Stability_PCIE+12V_700W_AIDA



FSP Hydro PTM PRO 850Wのレビューまとめ

最後に「FSP Hydro PTM PRO 850W」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 電源容量850W、変換効率92%以上の80PLUS Platinum認証取得のハイエンド電源ユニット
  • +12Vはシングルレールで最大70.83Aに対応
  • 側面のFSP Hydro PTM Proロゴはカラーバリエーションシールに貼り替えが可能
  • 実用的な負荷全域に対してノイズレベルは34dB以下
  • 背面ボタンでON/OFF切り替えが可能なセミファンレス機能
  • 内部温度センサーが閾値以下なら700Wクラスの負荷でも一時的にファンは停止
  • 国内正規代理店アユートを介した10年間の正規保証
悪いところor注意点
  • 奥行190mmと近年の800~1000Wクラス電源ユニットとしては大きい

「FSP Hydro PTM PRO 850W」は電源容量850Wの大容量、50%負荷時に92%以上の高い変換効率を証明する80Plus Platinum認証取得、+12V出力はシングルレール70Aとなっており、TGP300W超級グラフィックボードが続々と登場している2020年末現在、ハイエンド自作PCを組む際に使用する電源ユニットとして最適かつオススメの1台です。
後述の通り静音性も高く、2010年11月現在、2万円台前半とハイエンドPCのお供としてはお手頃な価格、製品保証も国内正規代理店アユートを介して10年間の長期保証が提供されており、奥行190mmでサイズが大きいくらいしか隙がありません。

GeForce RTX 3090/3080やRadeon RX 6900/6800 XTなどTGP300W超グラフィックボードに対する推奨電源容量は850Wなので、「FSP Hydro PTM PRO 850W」なら一般的なシングルグラフィックボード環境に問題なく対応が可能です。
CPU消費電力だけで300Wに達するCore i9 10900KやCore-XシリーズのOCやAMD Ryzen ThreadripperとTGP300W超級グラボを組み合わせるとなると、850Wでもややこころもとない電源容量になってしまいますが、FSP Hydro PTM Pro Platinumシリーズには+150W余裕のある「FSP Hydro PTM Pro 1000W Platinum」もラインナップされています。

冷却ファンの静音性についても「FSP Hydro PTM PRO 850W」は、一般的なシングルグラフィックボード環境における400W程度から、実用的な上限となる700W程度まで負荷全域においてノイズレベル34dB以下という非常に優れた性能を発揮しました。
ベンチ台に平置きしていても近づいて注意深く聞いてみないとファンの動作を確認できないレベルの非常に小さいファンノイズしか発しません。
セミファンレス機能についても、ロッカー型スイッチで有効・無効を任意に選択できる、ファン始動時にフル回転することがなく静か、など快適に運用できるポイントをシッカリと押さえています。

以上、「FSP Hydro PTM PRO 850W」のレビューでした。
FSP Hydro PTM PRO 850W


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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