スポンサードリンク
NVIDIAの次世代モバイル向けGPU最上位モデルGeForce RTX 3080 Laptop GPUや8コア16スレッドCPUのCore i9 10980HKを搭載し、ディスプレイにはDCI-P3を100%カバーでX-Rite Pantone色校正認証を取得する4K有機ELパネルを採用したクリエイター向けハイエンドモバイルPC「GIGABYTE AERO 15 OLED (型番:YC-9JP5760SP)」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.gigabyte.com/jp/Laptop/AERO-15-OLED--RTX-30-Series
GIGABYTE AERO 15 OLED レビュー目次
1.GIGABYTE AERO 15 OLEDの概要とスペック
2.GIGABYTE AERO 15 OLEDの外観・付属品
3.GIGABYTE AERO 15 OLEDのキーボードとI/Oポート
4.GIGABYTE AERO 15 OLEDのディスプレイ
5.GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU/GPU/ストレージのスペック
6.GIGABYTE×Microsoft Azure AIについて
・GIGABYTE AERO 15 OLEDのファン制御について
7.GIGABYTE AERO 15 OLEDの温度・消費電力・ファンノイズ
8.GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU性能とGPU性能
・GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU性能とGPU性能のまとめ
9.GIGABYTE AERO 15 OLEDのレビューまとめ
【機材協力:GIGABYTE】
GIGABYTE AERO 15 OLEDの概要とスペック
最初に今回レビューする「GIGABYTE AERO 15 OLED(型番:YC-9JP5760SP)」の概要と製品スペックについて簡単に紹介しておきます。GIGABYTE AERO 15 OLED (YC-9JP5760SP) 詳細スペック | |
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Intel Core i9-10980HK 8コア16スレッド (2.4GHz / 5.3GHz / TDP45W) |
CPU内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics for 10th Gen Intel Processors |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 3080 Laptop GPU |
ディスプレイ | 15.6インチ 3840x2160 60Hz グレア、有機EL(AMOLED)モニタ |
メモリ | Samsung DDR4-2933 SO-DIMM 32GB×2=64GB(2スロット、最大64GB) |
システムストレージ | Intel 760p 1TB NVMe M.2 SSD |
セカンドストレージ | Intel 760p 1TB NVMe M.2 SSD |
サウンド | 2 x 2Wスピーカー、アレイマイク、Nahimic 3 |
有線ネットワーク | Realtek製2.5Gb LAN (RTL8125-BG) |
無線ネットワーク | Intel AX200 (802.11ax, a/b/g/n/ac互換) Bluetooth V5.0+ LE |
USB | 3× USB3.1 Gen1 Type-A 1x Thunderbolt3 USB Type-C (DP Alt対応) |
ビデオ出力 | HDMI2.1 Mini-DisplayPort1.4、 Thunderbolt3 USB Type-C (DP1.4) |
マイクヘッドホン | ヘッドホン&マイク用4極3.5mmジャック |
キーボード | RGB Fusion対応キーボード 高輝度1670万色 個別キー制御 Nキーロールオーバー(80キー対応) |
ウェブカメラ | HD Webカメラ (スライド式物理カバー付き) |
内蔵バッテリー | 充電式リチウム電池 99Wh |
電源 | 230W ACアダプタ |
オフィスソフト | オフィスソフトなし |
光学ドライブ | なし |
寸法、重量 | 幅356×奥行250×厚さ20(mm)、2.0kg |
GIGABYTE AERO 15 OLEDの外観・付属品
早速、「GIGABYTE AERO 15 OLED」を開封していきます。「GIGABYTE AERO 15 OLED」の製品パッケージはブラックを基調にして、製品ロゴAEROを虹色であしらったシンプルかつポップなデザインです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の製品パッケージは15.6インチのモバイルPCのものとしては、若干厚みがあり、サイズも大きいですが、天面には持ち手も付いているので女性でも問題なく持ち運べると思います。
N式箱型パッケージを開くと、右側には「GIGABYTE AERO 15 OLED」のモバイルPC本体、右側には各種付属品が収められています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のモバイルPC本体は黒地にAEROSロゴの描かれた不織布の袋に封入され、さらにスポンジスペーサーで固定された状態で保護されています。液晶モニタとキーボードの間にはディスプレイクリーニングクロスとしても使用できる布が挟まれており、輸送中に液晶パネルに傷がつかないように保護しています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の付属品はマニュアル冊子、ACアダプタ&ACケーブルとなっています。(M.2スロットに空きのあるモデルでは、M.2 SSD固定ネジも付属します)
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の付属ACアダプタはChicony製で、電源出力は230W(19.5V×11.8A)です。
ACケーブルを接続する端子はミッキー型と呼ばれることの多い3PIN型ではなく、自作PC電源ユニットに採用されることの多い多角形型3PIN端子です。
本体重量は製品スペックでは2000g以下と表記されていましたが、実際に計ってみたところ2220gでした。またACアダプタ&ケーブルは839g程度でした。両方合わせて3000gほどなので持ち運べなくはありませんが、外出時に気軽に、というのは難しい重さだと思います。自宅や職場で持ち運ぶ分には特に問題なさそうな重さです。
続いて「GIGABYTE AERO 15 OLED」の外観を簡単にチェックしていきます。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の天板は黒色アルミニウム製になっています。GIGABYTE AERO 15 OLEDはクリエイター向けモバイルPCらしく、天面のAEROロゴを除いて装飾も少なくシンプルかつスタイリッシュな装いです。
見る角度によって浮かび上がる、斜めに交差したストライプラインはふとした拍子に変化を感じさせるので、シンプルながら飽きの来ないデザインです。
また背面の排気口中央に装着されたAEROロゴのヘアライン性アルミニウムバッジは所有欲をくすぐる意匠です。
GIGABYTE AERO 15 OLEDは15.6インチモニタ搭載モバイルPCとなっており、仕様寸法は幅356mm×奥行250mm×厚さ20mmです。A4サイズの用紙と比較すると下のようになります。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのスペック上の厚みは20mmとなっていますが、これは最薄部の仕様値らしく、地面から高さを測り、ゴム足や最厚部含めて総合的に判断すると実際の厚みは25mmほどになります。
GIGABYTE AERO 15 OLEDは底板も金属製です。金属メッシュで覆われた吸気口が底面のヒンジ側半分を占有しているのが特徴的です。底板はネジで固定されていますが、
「GIGABYTE AERO 15 OLED」では底板を固定するネジのうち手前2つのネジ頭には封印シールが貼られています。
日本GIGABYTE モバイルPC販売部門へ確認したところ、『底板を外してSSDやメモリの換装を行っても保証対象外にはなりませんが、メーカー修理などの保証を受ける際にはSSDやメモリを標準付属品に戻す必要がある』とのことです。内部構造は下のようになっており、底板さえ外してしまえれば、SSDやメモリの交換・増設は容易です。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の吸気口は底面の中央&左右とキーボード上側の左右の計5か所、排気口は背面左右と側面左右後方の計4か所となっており、非常に広いエアフロー面を備えています。
内部構造としてもGIGABYTE独自のWINDFORCE Infinity冷却システムを採用し、進化を果たしています。71枚のファンブレードを持つ2基の巨大ファンと5本のヒートパイプによって、冷却効果が30%向上し、負荷の重い作業を行う時も安定性が確保できます。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のCPU&GPUの冷却機構としては、熱源から5本のヒートパイプによって銅製放熱フィンへ効率的な熱拡散を行い、一般的なファンより50%多い71枚羽で、80mm径12mm厚の巨大な2基の冷却ファンによって排熱します。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのキーボードとI/Oポート
続いて「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボードやI/Oポートなどハードウェアを詳しく見ていきます。まずは本体右側のI/Oポートです。手前(左)から順にはUSB3.1 Gen2対応USB Type-Aポート×2、Thunderbolt3対応USB Type-Cポート×1、UHS-II対応SDXCカードスロット、DC端子です。
最近では無線マウスはBluetoothが主流ですが、個人的な希望としては、USB3.XはLogicoolのUnifyingレシーバーなど一部のワイヤレスUSB機器と干渉するのでUSB3.0から少し離れた場所に追加でUSB2.0端子があればさらに良かったと思います。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の本体右側に実装されたUSB Type-Cポートは最大40Gbpsの高速通信に対応したThunderbolt3に対応しています。DisplayPort Alternate ModeでRTX 30シリーズGPUに接続されたDisplayPort1.4対応ビデオ出力としても機能します。
続いて本体左側のI/Oポートです。手前(右)から順に、Realtek製2.5Gb LANポート、ヘッドホン&マイク用4極3.5mmジャック、USB3.1 Gen1対応USB Type-Aポート、Mini-DisplayPort1.4、HDMI2.1となっています。
FPSなどオンライン対戦PCゲームを主戦場とするガチゲーマーにとって遅延(レイテンシ)や通信安定性から有線LANは必須ですが、大容量データのやり取りを要するクリエイターにとっても重要な要素なので、従来よりも2.5倍高速な2.5Gb対応の有線LANを薄型筐体でも妥協せずに搭載しているのは魅力です。
また次世代規格WiFi6に対応した無線LAN(Intel AX200)を標準で内蔵しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.1に対応しています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」は前述のThunderbolt3対応USB Type-Cポートに加えて、HDMI2.1とMini-DisplayPort1.4の計3基のビデオ出力を搭載しています。HDMIは次世代規格のバージョン2.1に対応しているので8K/60FPSや4K120FPSの表示も可能です。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボード奥、ディスプレイヒンジの中央には電源スイッチとHD Webカメラが実装されています。Webカメラにはスライド式の物理カバーもあるのでWebカメラの電源切り忘れでも安心です。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボード周辺の全体像は次のようになっています。パームレストなどキーボード面は天板同様に質感の高い黒色アルミニウム製です。キーボード右側にはテンキー実装されています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」についてはエンターキーの形を見ると分かりやすいですが、国内モデルは日本語配列キーボードが採用されています。かな英字入力の切り替えを行う「半角/全角/漢字」キーも実装されており、日本語入力もスムーズに行うことができます。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたキーボードのキーサイズは15.1mm、キーピッチは約18.2mmでした。キーの厚みは2mm程度と薄いですがちゃんと押下した感触もあります。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボードのロールオーバー(複数キーの同時押し)については公式に”80キーの同時押し対応!”が謳われており、確かに10個以上のキーを同時に押下しても正常に認識されました。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボードにはRGB Fusionによるライティング制御対応し、キー1つ1つが個別に発光、従来よりも高輝度な1670万色のLEDイルミネーションが内蔵されています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボードに搭載されたLEDイルミネーションはCommand Centerという同PC専用のプリインストールアプリケーション上で発光パターンや発光カラーの設定が可能です。
キーボードのLEDイルミネーション制御だけでなく、アプリケーション別で自動的に切り替わるプロファイル作成や、マクロのプログラム機能も標準で実装されています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のキーボードの手前にはトラックパッドが設置されています。横107mm×縦72mmの幅広なトラックパッドなので16:9アスペクト比のワイド画面に対する操作性も良好です。
タッチパッドの左上にはフィンガープリントセンサーが内蔵されています。Windows Helloによる指紋認証に対応し、高速かつ安全にシステムへサインインできます。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のトラックパッドは様々なジェスチャー操作にも対応しています。
左下の左から2番目にある「Fn」キーと最上段の「F10」キーを同時に押すとトラックパッドのON/OFFをワンタッチで切り替え可能です。PCゲームでキーボードを使うユーザーも多いと思うのでショートカットキーでサクッとトラックパッドの誤反応を防げる機能は便利だと思います。
ちなみにFnキーを押下するとその他のLEDイルミネーションが消灯して、ファンクション機能のあるキーだけが白色に点灯するという親切設計です。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのディスプレイ
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたディスプレイについて詳しくチェックしていきます。「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイには、サイズが15.6インチで3840×2160の4K解像度の有機EL(Samsung製AMOLED)パネルが採用されています。
有機ELディスプレイというと、大型テレビに採用されているLG製パネルのRGB+W配列や、1ピクセル当りにRGB画素が1:1対応ではないペンタイル配列といったサブピクセル構造が有名ですが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に採用されている最新のSamsung製AMOLEDパネルはRGB画素の配列や各画素のサイズこそ独特ですが、1ピクセルに対してRGB画素が1:1で配置されているフルRGBなので、文字や線の滲みは生じません。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイについて注意点として、4K(3840×2160)やフルHD(1920×1080)には対応していますが、WQHD(2560×1440)は解像度として登録されていませんでした。カスタム解像度の作成もラップトップの標準ディスプレイ(内部ディスプレイ)には非対応と表示されます。
また発色やコントラストが非常に優れているので、クリエイター向けだけでなく、4K/60FPSのPCゲーミング的にもかなり魅力的なディスプレイなのですが、可変リフレッシュレート同期機能G-Sync Compatibleに非対応なのは残念でした。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイパネルは鏡面でしっかりと反射する(映り込む)グレアタイプです。映り込みが抑制されたノングレアタイプのほうがPCゲーミング向きですが、グレアタイプのほうが理想的な発色やコントラストを発揮できるので映像クリエイターを重視した選択だと思います。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイのベゼル幅は上左右が約6mm、下が約25mmです。ベゼルと表示領域の間には1mm弱の非表示領域もあります。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイパネルタイプは一般的な液晶パネル(液晶フィルムにバックライトの光を通す)ではなく、画素1つ1つが自発光する有機EL(AMOLED)パネルが採用されています。解像度は3840×2160の4K解像度なので極めて高精細です。
有機ELパネルの特長として左右から見ると若干青みがかる傾向がありますが、有機ELの大型TV(LG製パネル)と比べると、「GIGABYTE AERO 15 OLED」ではその傾向は弱めであまり気になりません。どちらかと言うとガラス面の干渉で虹色っぽくなる方が気になる感じです。
また「GIGABYTE AERO 15 OLED」の有機ELディスプレイは輝度の均一性も非常に高く、液晶モニタと違って四隅の暗がりもなく、全体に均一です。
有機ELパネルの自発光画素の特性、桁違いのコントラスト比による液晶パネルとの差を端的に表しているのが次の写真です。バックライトの影響で黒色が完全に黒にならない液晶パネルに対して、画素1つ1つが自発光する有機ELでは黒背景の中で白色が煌々と浮かび上がります。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」にプリインストールされているデモ動画を使って、Surface Pro 7+の液晶ディスプレイとの発色の違いを比較してみました。有機ELモニタと液晶モニタは上のようにブラックレベルの差を見ると特に差が分かりやすいのですが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイは発色の鮮やかさも優れていることが分かると思います。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
余談ですが、分光式のi1 Basic Pro 3は20万円程と非常に高価ですが、一般的な用途であれば測定精度は十分なので、イラスト製作や写真編集でカラーキャリブレーションを行う場合、カラーフィルター式のX-Rite i1 Display ProかDatacolor SpyderX Proで十分です。ユーザー数の多さで面倒が少ないのはX-Rite i1 Displayだと思います。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度55%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度70%前後です。
比較対象としてグラフに併記しているSurface Pro 7+が最大輝度が高めなので伝わり難いかもしれませんが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」の最大輝度は公式にアピールされている通り、400cd/m^2となっており、モバイルPCとしては非常に明るいディスプレイです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
画面全体の輝度が120cd/m^2を基準に10%以内の誤差に収まっており、上で掲載した白画面の写真の通り、輝度の不均一(液晶パネルで発生しやすい四隅や端辺の暗がり)を感じることはないはずです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたディスプレイは製造ロットの一部代表サンプルではなく、全個体に対して色精度ΔEが1以下となるようカラーキャリブレーションが実行されており、X-Rite Pantone色校正認証を取得しています。キャリブレーションプロファイルもプリインストールされています。
X-Rite PantoneプロファイルはCommand CenterのManagerに表示されるアイコンから有効・無効を切り替えることができます。X-Rite Pantoneプロファイルを無効化するとColor Gammaのアイコンから色温度やブルーライトカットの設定も可能です。
Spyder X Eliteのディスプレイ品質機能でチェックしてみたところ、「GIGABYTE AERO 15 OLED」のディスプレイはsRGBとDCI-P3を100%カバー、Adobe RGBも96%カバーと非常に広い色域を実現しています。色精度も平均ΔEが0.25と申し分ありません。
ただ、X-Rite i1 Display Pro PlusやX-Rite i1 Basic Pro 3でi1 Profilerを使用して、X-Rite Pantoneのカラープロファイルを評価してみたところ、カラープロファイルが正常に動作していないのか、平均ΔEが20程度とかなり酷い数値になりました。
X-Rite i1 Basic Pro 3でカラーキャリブレーションを行って作成したiccプロファイルを使用すると正常な値を示すのですが、Windowsのカラープロファイル周りは管理人もよくわかりません。X-Rite Pantoneのカラープロファイルを使用する場合は各アプリで正常に動作しているか、一応、ご注意ください。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU/GPU/ストレージのスペックについて
GIGABYTE AERO 15 OLEDの各種性能をチェックする前に、同PCに搭載されているCPUとGPUのスペックについて簡単に紹介します。GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPUスペック
GIGABYTE AERO 15 OLEDにはCPUとしてデスクトップPC並みの性能を誇るIntel Core i9 10980HKが搭載されています。Core i9 10980HKのIntel公式仕様はコアスレッド数:8コア16スレッド、ベースクロック:2.4GHz、全コア最大ブーストクロック:4.4GHz、単コア最大ブーストクロック:5.3GHz、L3キャッシュ容量:16 MB SmartCache、TDP:45Wです。Intel第10世代のデスクトップ向け8コア16スレッドCore i7 CPUとそん色ないスペックになっており、最上位のCore i7で2コア4スレッドだった4, 5年前のモバイル向けCPUからは考えられない進化です。
システムメモリには製品公式ページでもアピールされているように、自作PC界隈でも性能の高さで定評のあるSamsung製DDR4メモリが採用されており、メモリ周波数は2933MHz、メモリタイミングは21-21-21-47-CR2です。
CPUスペックの話に戻りますが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されるCore i9 10980HKは8コア16スレッドのCPUであり、1コア~8コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率はコア数1~6に対して順番に[53, 53, 50, 50, 48, 48, 46, 44]です。
デスクトップ向け8コア16スレッドCPUのCore i7 10700Kの動作倍率設定が[51, 51, 51, 48, 48, 47, 47, 47]であることと比較すれば、Core i9 10980HKのモバイル向けCPUらしからぬスペックの高さがわかると思います。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されるCore i9 10980HKはバッテリー駆動時において、Intelの仕様値通り「Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」は45W、「Turbo Boost Short Power Max(短期間電力制限/Power Limit 2)」は56.25W(PL1×1.25)に設定されており、短期間電力制限時間(Tau)は56秒に設定されています。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの電力制限やTDP関連について気になる人はこちらの記事を参考にしてください。
・2019年最新CPUの消費電力・発熱・TDP・温度について - 爆熱評価のウソほんと
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されるCore i9 10980HKはACアダプタに接続されると、動作倍率はそのままですが、CPU動作に関する電力制限がIntel仕様値よりも緩和されるプチOC状態になり、「Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」は52W、「Turbo Boost Short Power Max(短期間電力制限/Power Limit 2)」は135Wへ引き上げられます。
ちなみに「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されるCore i9 10980HKの動作倍率は標準設定の数値で固定されていますが、電圧のオフセットや電力制限などは「Intel Extreme Tuning Utility」から設定が可能です。
Core i9 10980HKの製品スペックからすると、負荷の軽いシーンでは一部コアが最大5.3GHzで動作するはずなのですが、電源プラン等の変更してみても、最大で5.0GHzまでしか確認できませんでした。
Core i9 10980HKは全コア最大動作クロックが4.4GHzに設定されており、短期間電力制限PL2も135Wと十分に高いので、短期間電力制限時間の範囲内ならば電力的には動画エンコードやCinebenchのようなマルチスレッド負荷に対して全コア4.4GHzで動作が可能です。ただし実際のところはCPUクーラーの排熱が追いつかず、すぐに上限温度の90度に達するので短期間電力制限における実動コアクロックは4.0~4.2GHz程度です。
Core i9 10980HKはCPUにフル負荷がかかった場合、長期間電力制限や短期でも排熱性能的にコアクロックが全コア4.4GHzに貼りついて動作するのは難しいですが、全コアが稼働するものの負荷的には低いワークロードであれば、多コア多スレッドなCore i9 10980HKでも全コアが4GHz超の高いコアクロックで動作することが可能です。(NVIDIA GeForce RTX 30シリーズをdGPUとして搭載している場合、CPU&GPUのトータル消費電力で調停するDynamic Boost 2.0が機能するので実際のコアクロック挙動は複雑になりますが。)
TDPに合わせて全コア最大ブーストクロックが低く設定されていた数年前のモバイル向けCPUと違って、
Core i9 10980HKは全コア最大ブーストクロックが高く設定されているので、TDPの低いモバイル向けCPUであってもPCゲームで高いパフォーマンスが発揮できます。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのGPUスペック
「GIGABYTE AERO 15 OLED」はクリエイター向け高性能モバイルPCということで、NVIDIAの次世代GPUであるAmpere世代GeForce RTX 30シリーズにおいてモバイル版では最上位に位置する「GeForce RTX 3080 モバイル版」がディスクリートGPU(dGPU)として搭載されています。NVIDIA製GPUを搭載するゲーミングPCではIntel製CPUの統合グラフィックス(iGPU)とシームレス切り替えを行う「NVIDIA Optimus テクノロジー」が採用された製品が多いですが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」もNVIDIA Optimus テクノロジーに対応していて、アクティブなアプリケーションに応じてシームレスにGPUが切り替わります。
アプリケーションに対して優先して使用されるGPUはNVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理 - プログラム設定」から、個別のアプリケーションに対して設定できます。
NVIDIA製モバイル向けGPUについてはGTX10シリーズおよびRTX20/GTX16シリーズの2世代に渡って、デスクトップ向けGPUとシェーダー数(CUDAコア数)やVRAM容量などハードウェア仕様は完全に同じものがモバイル向けGPUとして採用されていました。そのためモバイル版でも型番を替えずにGTX 1070やRTX 2080と表記されていました。
最新のGeForce RX 30シリーズではデスクトップ版とモバイル版の物理スペックが大幅に異なるため名前は異なるものの、”RTX 30X0 Laptop GPU”という紛らわしい型番が割り当てられているので注意が必要です。省略されることも多く紛らわしいので、GTX9XXシリーズ以前のように末尾にMを付けて”RTX 3080M”にするなど、より分かりやすくモバイル版であることを明示して欲しかったところ。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されている「GeForce RTX 3080 モバイル版」はCUDAコア数:6144、VRAM容量:8GB GDDR6となっており、デスクトップ版のRTX 3080とは物理スペックも大きく異なります。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されているモバイル版RTX 3080とデスクトップ版RTX 3080はCUDAコア数やVRAM容量などハードウェアスペックが異なるだけでなく、実際の動作に関わるベース/ブーストクロックとTDP(パワーリミット)の設定値もまた大きく異なります。
下の表の通り、RTX 3080モバイル版のハードウェアスペックはRTX 3070デスクトップ版に近いですが、RTX 3070デスクトップ版のリファレンス仕様値がTGP220Wに対して、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されているRTX 3080モバイル版のパワーリミットは105Wに設定されていました。
GeForce RTX 3080 Laptop GPU スペック比較 | |||
RTX 3080 Laptop GPU GIGABYTE AERO 15 OLED |
RTX 3080 デスクトップ版 |
RTX 3070 デスクトップ版 |
|
CUDAコア | 6144 | 8704 | 5888 |
ベースクロック | 780 MHz | 1440 MHz | 1500 MHz |
ブーストクロック | 1440 MHz | 1710 MHz | 1725 MHz |
VRAM | 8GB GDDR6 |
10GB GDDR6X |
8GB GDDR6 |
メモリクロック | 12000 MHz | 1440MHz | 14000 MHz |
パワーリミット | 105W(最大) |
320W | 220W |
実際のGPU動作(性能)に大きく影響するパワーリミットにもRTX 30シリーズGPUでは注意が必要です。
デスクトップ版では要求される性能が大きければシンプルにパワーリミットの上限に張り付く形でGPUの最大性能が常に発揮されます。
一方で、NVIDIAコントロールパネルから確認できる最大グラフィックパワーはGPUコアが使用できる最大電力であることには変わりがないのですが、RTX 30モバイル版はGPUとCPU(あとVRAMも)の消費電力のトータルで発熱を調停する「Dynamic Boost 2.0」という機能に対応しています。CPU負荷が大きい時はGPUの発熱を抑制する動きが生じるため、実際には最大グラフィックパワーよりも低い電力で動作します。
静音性の観点からすると悪くない機能ではあるのですが、CPU負荷に依存してGPUパフォーマンスが変動してしまうため、RTX 30モバイル版は性能評価がかなり難しいGPUと言えます。なおDynamic Boost 2.0はユーザーが任意に無効化することはできません。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたモバイル版RTX 3080の動作に関して、もう1点注意事項として、バッテリー駆動時は『最大グラフィックパワーが55W程度に抑制』かつ『3Dグラフィックアプリケーションのフレームレートが30FPSに制限』されました。
バッテリー駆動なので電力制限が強くなるのは仕方ないのですが、30FPS制限を解除できないのはかなり厄介です。
最初はGeForce ExperienceのBattery Boostが機能しているのかと思ったのですが、同機能をOFFにしても挙動は変わらず、Windows10の電力プランやNVIDIAコントロールパネルの最大フレームレート、電源管理モードなど関連しそうな項目を調整してもダメでした。
他社製RTX 30モバイルではBattery Boostの調整や無効化で30FPS制限を解除できました。最新ドライバにアップデート等を試しても解除できなければ、「GIGABYTE AERO 15 OLED」特有の仕様だと思います。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのストレージスペック
「GIGABYTE AERO 15 OLED (型番:YC-9JP5760SP)」には標準搭載のストレージとして、「ESR01TBTLCG-EAC-4」という型番のNVMe M.2 SSDが2台内蔵されています。システム用とデータ用で共通のSSDが使用されているのでバックグラウンドタスクの影響を受けないデータ用SSDの方について、ストレージ性能の測定で定番ベンチマークのCrystalDiskMark8.0を実行した結果が次のようになっています。
連続読み出しが3400MB/s、連続書き込みが3000MB/sに達しており、最新のNVMe(PCIE3.0x4) M.2 SSDとしては理想的な速度です。ストレージの実用性能を測定するPCMark10 Storage Testでもスコアは1700を超えており、やはりNVMe M.2 SSDらしい性能を発揮しています。
今回レビューしている「GIGABYTE AERO 15 OLED (型番:YC-9JP5760SP)」は標準で1TB容量のNVMe M.2 SSDを2台搭載しているので必要はないかもしれませんが、GIGABYTE製モバイルPCを取り扱っているPCショップアークではシステムメモリやSSDの増設・アップグレードに対応しています。
システムメモリやSSDの容量が小さい下位モデルで安全に容量をアップグレードしたり、追加ストレージを増設したい人にオススメなショップです。
ちなみにGIGABYTE製モバイルPCでは『メーカー修理などの保証を受ける際にはSSDやメモリを標準付属品に戻す必要がある』ものの、『底板を外してSSDやメモリの換装・増設を行っても保証対象外にはならない』とのことです。
もちろん底板を外して内部を破損させてしまった場合は、保証対象外もしくは有償保証になりますが、単純に底板を外しただけで即時に保証対象外になることはなく、注意して作業すれば各自で内装SSDやメモリの換装も可能です。
下の記事では、MLC/TLC/QLCのマルチビットセルやNVMe/SATA3.0など2021年最新のSSD事情について徹底解説しています。ストレージについて詳しく知りたい方は参考にしてください。
・おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説
・【SATA SSD vs NVMe SSD vs HDD】 ゲームロード時間を比較
GIGABYTE×Microsoft Azure AIについて
「GIGABYTE AERO 15 OLED」には、マイクロソフトが提供する人工知能(AI)、具体的にはビッグデータを用いた深層学習サービス「Microsoft Azure AI」を利用してPCパフォーマンスの最適化を図る機能が搭載されています。紹介ページ:https://www.gigabyte.com/fileupload/jp/WebPage/408/
「Azure AI」の具体的な使い方を紹介すると、同機能はプリインストールかつスタートアップなアプリケーションとして用意されているので、単純に「GIGABYTE AERO 15 OLED」を起動してしばらくするとデスクトップ右上にアイコンが表示されます。(もしくはシステムアイコンに格納されている) 標準ではアイコンがグレーになっておりAIは無効化されています。
アイコンを右クリックすると、AI設定に関するメニューが表示されるので、「Azure AI」もしくは「Edge AI」を選択すると、アイコンが緑色や水色になりAIによるパフォーマンス最適化が有効になります。
「Azure AI」の効用を上では”パフォーマンス最適化”と表現していますが、同機能が具体的に何をしているのか、というとGIGABYTE×Microsoft Azure AIの紹介ページでもGifアニメーションで表現されていますが、『CPU、GPU、冷却ファンなど主要なハードウェアに対して予め動作設定(プロファイル)が複数用意されており、現在アクティブなアプリケーションをモニタリングし、それに対して最適なプロファイルを選択する』、となっています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」に関してもう少し踏み込んで解説すると、総合管理アプリケーション「Command Center」のトップページ下部に表示されるCPUとGPUに関するインジケータがそのまま上述の動作設定(プロファイル)に当たり、AIが無効の場合は、このアイコンを選択することで任意に選択できます。
CPUにはECO/Normal/Spot/Spot+/Boost/Boost+の6段階、GPUにはMaximum/Turboの2段階のプロファイルが用意されており、標準設定はCPUがSpot、GPUがMaximumです。
ちなみに上記のようにCPU/GPUのプロファイルが切り替わるのはACアダプタ駆動の時のみとなっており、バッテリー駆動の時は項目がグレーアウトします。
このプロファイルを切り替えた時にCPUとGPUの動作が具体的にどう変わるのかというと、
CPUについては非常に分かりやすく、「Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」が、38W、45W、52W、58W、62W、80Wの6段階で切り替わります。
GPUはどうかというと2つのプロファイルを切り替えてもインフォメーションチェックソフトで変化が確認できず分かり難いのですが、3DMark TimeSpy Stress Testの様子を追ってみると、実際の挙動としてGPU消費電力が10W程度増加し、それに伴ってコアクロックも上昇していました。
CPU使用率が高くなるFinal Fantasy XVベンチマークでも同様にGPU消費電力が10W程度上昇しており、GPU+CPU消費電力に着目するといずれのテストでもTurboではMaximumよりも10W増かしています。
どうやらTurboではGPUとCPUのトータルで発熱を調停するDynamic Boost 2.0の上限を10W引き上げているようです。なおグラフィック性能の上昇については5%前後でした。
”AIによるパフォーマンス最適化”と言ってしまうと何やら凄そうな機能で、公式の紹介動画では性能向上もアピールされていますが、実際の動作としては、アクティブなタスクがPCゲームならGPUのプチOCプロファイルを適用、アクティブなタスクが3Dレンダリングや動画のエンコードならCPUのプチOCプロファイルを適用、というのをリアルタイムに行うのが実態です。
AI機能のON/OFFで性能が向上するというのも、CPUやGPUがプチOCされるという裏事情さえわかれば、さもありなんという感じでした。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのファン制御について
Command CenterからのCPU/GPUプロファイルについて触れたので、ここで合わせてCommand Centerから設定が可能なファン制御についても紹介しておきます。RTX 20シリーズを搭載していた前世代のGIGABYTE製モバイルPCでは通常のファンコントロールモード「Fan Control - Normal」とフル回転で固定になる「Fan Control - Maximum」の2種類しか選択ができなかったのですが、RTX 30シリーズを搭載する最新のGIGABYTE製モバイルPCではファン制御が大幅に改良されているので、地味に見逃せない注目ポイントです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のファン制御はCommand CenterのDevice Settingという項目に配置されています。包括的な名前ですが単純にファン制御だけでした。
ファン制御はファンカーブの左に配置されたQuiet/Normal/Gamingの既定プロファイルに加えて、14頂点のファンカーブを任意に設定できるDeep Control、特定のファン速度に固定できるCustomize - Fix Modeの5種類から選択できます。(CustomizeのAuto Modeは動作がよくわからない)
「GIGABYTE AERO 15 OLED」のファン制御の標準設定はNormalです。
Normalプロファイルを例にして簡単に説明すると、CPU温度を制御ソースとしてデューティ比25~55%のファンカーブによって制御されます。左端の頂点0より下のCPU温度では冷却ファンが完全に停止します。
25%のファン速度は2000RPM程度、55%のファン速度は3800RPM程度となっており、Normalプロファイルではファン速度が3800RPMを超過することはないので、高負荷時に4000RPM越えが当たり前だった従来の高性能モバイルPCから考えると静音性は非常に優秀です。
Quietはその名の通り静音性を重視したモードで、CPU温度50度以下ではファンが完全に停止し、ファン速度は最大でも3000RPMまでしか上がらないので、スピーカーを使用した動画視聴やゲームプレイにも最適です。
Gamingは冷却性能を重視したモードとなっており、ファン速度は4000RPMを軽く超過します。従来のゲーミングモバイル相当な動作モードだと思います。
Deep Controlでは14頂点のファンカーブを任意に設定することが可能です。0頂点に設定した温度以下では既定プロファイル同様にファンが完全に停止します。なお各頂点に設定できる最小のデューティ比は25%なので、ファン動作時の最小ファン速度は2000RPM程度です。欲を言えば最小動作のファン速度を1500RPM程度くらいまで下げられると良かったと思います。
Customizeを選択して、さらに右側のFix Modeのアイコンを選択すると、CPU温度に依らずスライダーで設定した特定デューティ比でファンを動作させることができます。
RTX 30シリーズを搭載する「GIGABYTE AERO 15 OLED」ではCPU温度やGPU温度に依存しないファン制御ができるようになったのが大きなポイントだと思います。
従来のモバイルPCの多くはファン速度3000RPMでTGP100WのGPUを冷やせない場合、まずはファン速度を上限までひたすら上昇させましたが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」の場合、Normalプロファイルなら3800RPM、Deep ControlやFixed Modeなら任意の速度でファン速度の上限を指定できます。
放熱性能の上限はファン速度で決まりますが、負荷がかかってCPU温度がGPU温度が上限値に達した後はその放熱性能に収まるようにCPUやGPUの消費電力に対して自動的に制限がかかるので、静音性を優先した疑似的な電力制御が可能です。
簡単に言うとファン速度3000RPMを上限とした時に放熱性能が最大60Wなら、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたRTX 3080をTGP60WのGPUとして運用できます。
GIGABYTE AERO 15 OLEDの温度・消費電力・ファンノイズ
GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU・GPUスペックや具体的な動作設定等について紹介したので、性能をチェックする前に、GIGABYTE AERO 15 OLEDの消費電力・温度・ファンノイズを見ていきます。CPU負荷時のCPU温度とCPUコアクロックについて
まずはGIGABYTE AERO 15 OLEDに搭載されたCPUの「Core i9 10980HK」にフル負荷をかけた時のCPU温度やコアクロックを確認します。ファン速度はCPU温度を制御ソースとして変動しますが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」の標準ファン制御プロファイルではファン速度が3800RPM以上になることはありません。HWiNFO等のモニタリングソフトでファン速度のログを取得できないので、この検証では簡単化してファン速度はFixed Modeで固定しました。
「Core i9 10980HK」をGIGABYTE AERO 15 OLEDのACアダプタ駆動における標準動作プロファイル(PL1:52W、PL2:135W)で動作させて、動画エンコードによって30分ほどフル負荷をかけ続けると、CPU温度とCPUコアクロックは次のようになります。
短期間電力制限PL2:135によってブーストの効く最初の数十秒間は消費電力が大きいのでCPU温度は90度に迫りますが、それ以降、長期間電力制限PL1:52Wによって制御される区間では70度前後に収まり、全コア3.2GHz程度を実動値として安定動作します。
今回はファン速度を3800RPMに固定していますがCPUは十分に冷えており、ファン制御の標準設定であるNormalプロファイルでは最大でもファン速度は3800RPMまでしか上がらないので、CPUの発熱に合わせて上手くファン速度が設定されていることが分かります。
CPU単体の消費電力を示すCPU Package Powerの平均値はPL1で設定した電力制限とほぼ一致して52Wとなっています。デスクトップ向けCPUに近い50W超のCPU消費電力をモバイルPCの薄型筐体で御しきれているのは流石です。
また「GIGABYTE AERO 15 OLED」のAI機能やCommand Centerからの手動設定で切り替わる最速動作プロファイルTurbo+ (PL1:80W、PL2:135W)で動作させると、電力制限が緩和されてCPU消費電力が80Wに増加するので、当然CPU温度も高くなりますが、CPUコアクロックも全コアで約3.8GHzまでブーストされます。
PL1:62WのTurboまでであれば最大ファン速度3800RPMのNormalプロファイルでもファン制御は問題ありませんが、PL1:80WのTurbo+では環境温度にもよるものの数十分のフル負荷がかかり続ける場合はNormalプロファイルでは冷やしきれない可能性が高いので、より高速なGamingプロファイルに切り替えるか、Deep Controlで最大ファン速度4500RPM程度のプロファイルを作成するのがオススメです。
ゲーム負荷時のGPU温度とCPU温度について
続いてGIGABYTE AERO 15 OLEDに搭載されたGPUの「GeForce RTX 3080」とCPUの「Core i9 10980HK」にPCゲームプレイ時に相当する負荷として、Final Fantasy XVベンチマークを30分程度ループ再生させたときのGPU温度とCPU温度をチェックしていきます。「GIGABYTE AERO 15 OLED」の標準動作プロファイルでFinal Fantasy XVベンチマークを30分程度ループ再生させてGPU&CPUにトータルでフル負荷をかけ続けた時、GPU温度とGPUコアクロックとCPU温度は次のようになります。
GPU&CPUにトータルでフル負荷をかけていますが、ファン速度3800RPMでGPU温度は70度前後、CPU温度は80度前後に収まっており、問題ありません。
またGPU動作プロファイルをTurboに切り替えるとGPU&CPUのトータルで許容電力が10W程度引き上げられるので、GPUとCPUは共に温度が上がっていますが、標準設定のファン制御プロファイルNormalの最大ファン速度で十分に冷やしきれています。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのキーボード表面温度について
「GIGABYTE AERO 15 OLED」においてCPUやGPUに対して長時間負荷をかけ続けた時のキーボード等の表面温度とチェックしていきます。表面温度の測定にはサーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用しています。
まずはアイドル状態のまま長時間放置した時の「GIGABYTE AERO 15 OLED」の表面温度です。中央は35度程度に達していますが、キーボードやパームレストなど手が触れる部分の温度はせいぜい20~30度です。
続いて動画のエンコードによってCPUに30分以上フル負荷をかけ続けた時の「GIGABYTE AERO 15 OLED」の表面温度です。キーボード左右は30度前後、中央の黄色い部分は40度程度なので、ほんのりと温かい程度です。
CPUがPL1:80Wで動作する最速動作設定に切り替えるとキーボード中央は40度半ばに達しますが、指先でキートップに触れる程度であれば特に熱いと感じるほどではありません。手のひらを押し付けるような状態でもなければキーボードの熱さについては問題にならない気がします。
最後にPCゲーミング中を想定してFinal Fantasy XVベンチマークを30分以上ループさせてGPUとCPUにフル負荷をかけ続けた時の「GIGABYTE AERO 15 OLED」の表面温度です。中央の大部分部分が50度を大幅に超過しています、キーボード&マウス操作で使用するWASDなど主要な左側キーは30度半ばに収まっていますが、GPUとCPUの両方にフル負荷がかかる状態が長期的に続く場合はさすがに外部キーボードを用意した方が良さそうです。
GIGABYTE AERO 15 OLEDの消費電力とバッテリー持ちについて
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の消費電力についてチェックしていきます。消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力をリアルタイムモニタリング可能なワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニット(ACアダプタ)の変換損を含めた「GIGABYTE AERO 15 OLED」のシステム全体の消費電力をチェックしています。
・ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
「GIGABYTE AERO 15 OLED」はバックグラウンドタスクによって変動もありますが、アイドル状態におけるシステム消費電力は概ね20W前後で推移します。
以前レビューしたAORUS 15-XA (RTX 2070搭載)はNVIDIA Optimus テクノロジーに非対応のためかアイドル時でも消費電力は30W程度でした。低負荷時の省電力性能の高さを確認できます。
動画のエンコードなどCPUに対してフル負荷のかかるシーンでは、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたCore i9 10980HKは負荷がかかった直後の数十秒は短期間電力制限PL2:135Wで動作するため、短期間ではありますが消費電力は200Wにも達します。
その後、標準動作設定においてCore i9 10980HKは長期間電力制限PL1:52Wで動作して、システム消費電力は120W前後で推移します。一方でCPUを最速動作設定にすると長期間電力制限PL1:80Wになるのでシステム消費電力は160W前後に増加します。
PCゲーミングを想定してCPUとGPUの両方に負荷がかかるFinal Fantasy XVベンチマークでは「GIGABYTE AERO 15 OLED」のシステム消費電力は180~200W程度になります。CPUの動作プロファイルはSpotのままで(Dynamic Boost 2.0があるので引き上げてもトータルの消費電力には影響しませんが)、GPUの動作プロファイルをTurboに引き上げるとトータルの許容電力が上がるので、システム消費電力は190~210W程度となりました。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の付属ACアダプタは電力出力230W対応(変換損除く)なので、CPUの最大負荷、およびCPU&GPUのトータル最大負荷のどちらでも電力供給には問題なさそうです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」をバッテリー駆動において、モニタ輝度を56%(約120cd/m^2)に設定し、PCMark 10 バッテリーテスト Modern Officeを使用してバッテリー持続時間を測定しました。フル充電(99~100%)の状態からWindows 10で省電力モードに切り替わる標準設定の10%まで電力が下がる時間を検証しています。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」の電源プランはACアダプタ駆動時はSmartmanager High Performance、バッテリー駆動時はSmartmanager Power Saverに切り替わります。今回の検証では標準動作の通りSmartmanager Power Saverの電源プランを使用しました。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」はNVIDIA Optimus テクノロジーによってiGPUを活用して省電力性能を高めているとはいえ、やはりdGPUを搭載する高性能モバイルPCなので、iGPUのみのモバイルPCと比較するとバッテリー持ちは短めです。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのファンノイズについて
この章の最後に「GIGABYTE AERO 15 OLED」のファンノイズをチェックしていきます。ゲーミングモバイルPCは画面サイズや製品によって冷却ファンの形状やファン径に違いはありますが、ファン回転数で分類してざっくりと以下のように大別できます。
1000~2000RPM : 静かな部屋でファンの動作がわかる(騒音値:30dB前後)
2000~3000RPM : ファンノイズがはっきりと聞こえる(騒音値:40dB以下)
3000~4000RPM : ファンノイズは耳障りでスピーカーによるゲームプレイは難しい(騒音値:50dB以下)
4000~5000RPM : ファンノイズはヘッドホンをしていてもはっきりと聞こえる(騒音値:50dB以上)
5000RPM以上 : かなり煩く、ハンディ掃除機くらい(騒音値:60dB以上)
管理人的に、ゲーミングモバイルPCはゲーム負荷時にファン回転数3000~4000RPM以下に収まるかどうかが快適にプレイできる1つの水準となっています。
主観的な感想を補足しておくと、「GIGABYTE AERO 15 OLED」についてはファン回転数に対してファンノイズが低めなのか、音の性質として煩く感じにくいのか、4000RPM未満であれば、割と我慢できる程度のファンノイズでした。
ファン制御の章で紹介したように「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載された2基の冷却ファンのファン回転数は総合設定アプリケーションCommand Centerトップページ右下のFan Informationから確認でき、Command CenterのDevice Settingという項目からファン制御も行うことができます。
まずアイドル時のファン回転数については、2基のファンはバックグラウンドタスクの状態にもよるのですが、2000~2500RPMの間で遷移しました。1500RPMくらいだとかき消えるのですが、2000RPMを超えているとしっかり耳に届きます。アイドル状態に関しては、dGPU搭載高性能モバイルPCとはいえファンノイズは若干大きい部類だと思います。
CPUにフル負荷のかかる動画エンコードや、PCゲーミング相当の負荷であるFinal Fantasy XVベンチマークによる温度検証でも触れたように、「GIGABYTE AERO 15 OLED」は標準動作ならファン速度は最大でも3500~3800RPM程度までしか上がりません。(下のスクリーンショットは3800RPMに固定していますが、十分にCPUとGPUを冷却できています)
スピーカーで映像・音楽の鑑賞やゲームプレイをするにはファンノイズが気になると思いますが(それでも決して無理ではないレベル)、ヘッドホンをすれば十分にシャットアウトできる程度なので、1世代前の同社製品と比較しても静音性は非常に良くなったと思います。
加えて「GIGABYTE AERO 15 OLED」のファン速度はDeep ControlモードやFixedモードなら任意に最大速度を設定できるので静音性主導で電力制限を課すような運用が可能です。性能は多少トレードオフになりますが、ファンノイズの煩さで購入を躊躇うことの多かったdGPU搭載高性能モバイルPCとしては画期的だと思います。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU性能とGPU性能
最後に「GIGABYTE AERO 15 OLED」のCPU性能とGPU性能をチェックしていきます。GIGABYTE AERO 15 OLEDの基本性能
まずはPCMark 10 Extendedを使用して「GIGABYTE AERO 15 OLED」の基本的な性能をチェックします。PCMark 10は動画再生能力DirectX11のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」はCommand Centerから選択できるCPU/GPUプロファイルによって性能が変わりますが、基本性能の検証では簡単にACアダプタ駆動時の標準設定についてチェックしていきます。
アカデミック・オフィスワークに使用するPCとしては十分に高性能な「Microsoft Surface Pro 7+(Core i7-1165G7)」と比較すると、CPUに8コア16スレッドのCore i9 10980HKそしてdGPUにGeForce RTX 3080 モバイル版を搭載する「GIGABYTE AERO 15 OLED」は余裕で上回るパフォーマンスを発揮しています。
「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、このうち「Essentials」と「Productivity」の2つについて個別にベンチマークスコアを比較してみました。
PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro 7+やSurface旧モデルとの比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUと同じく、「GIGABYTE AERO 15 OLED」は十分な性能を備えています。
ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro 7+やSurface旧モデルとの比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUと同じく、「GIGABYTE AERO 15 OLED」は十分な性能を備えています。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPU性能(クリエイティブタスク)
続いて「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたCore i9 10980HKのCPU性能に大きく依存する、クリエイティブタスクにおけるパフォーマンスをチェックしていきます。「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたCore i9 10980HKは、8コア16スレッドのCPUであり、同PCの標準動作設定では[PL1:52W, PL2:135W, Tau:56s]の電力制限で動作するので、短期的には全コア4.0GHz超、以降は全コア3.2GHz程度となります。
CPUのマルチスレッド性能を測定するベンチマークで定番のCinebench R20のスコアは3500程度でした。
またCommand Centerから変更可能な最速動作プロファイルTurbo+では、[PL1:80W, PL2:135W, Tau:56s]の電力制限で動作するので、短期的には全コア4.0GHz超、以降は全コア3.8GHz程度となります。
CPUのマルチスレッド性能を測定するベンチマークで定番のCinebench R20のスコアは4100程度でした。
CPU性能の詳細な検証に用いるクリエイティブタスクについてはCPU使用率がフルロードになる3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像の3種類となっています。
具体的な測定内容は、3Dレンダリングはオープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、動画のエンコードは無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」のx264エンコーダによる4K動画のエンコード、RAW現像はDxO PhotoLab(PRIMEあり、5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚)です。
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトで測定する3Dレンダリング性能についてはレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、比較対象の中で最も遅いものを基準にして、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたCore i9 10980HKを含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたCore i9 10980HKを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたCore i9 10980HKを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのGPU性能(PCゲーミング)
続いて「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたディスクリートGPUであるGeForce RTX 3080 モバイル版のPCゲーミング性能についてチェックしていきます。国内最大手かつ大人気のMMO RPG「ファイナルファンタジーXIV」の2019年最新大型アップデート「FFXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトで「GIGABYTE AERO 15 OLED」のPCゲーミング性能を測定してみました。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」は4K解像度のグラフィック設定:最高品質においてベンチマークスコアは8800オーバーとなっており、快適度評価も「非常に快適」をマークしています。FFXIV: 漆黒のヴィランズの公式ベンチマークソフトでは総合スコアを1.5×100で割った値がちょうど平均FPSなのでギリギリで平均60FPSを割ってしまいましたが、グラフィック設定を軽く調整すればいい程度です。
RTX 3080モバイル版を搭載した「GIGABYTE AERO 15 OLED」ならFFXIV: 漆黒のヴィランズを4K解像度でも平均60FPSで滑らかにプレイできます。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」と各種デスクトップ向けGPUについて3DMark TimeSpyのベンチマークスコアを比較してみました。グラフィックスコアを参照しているので基本的にCPU性能に依存せずGPU性能にのみ比例します。
なお「GIGABYTE AERO 15 OLED」についてはGPU動作プロファイルの標準設定に加えて、CPU&GPUのトータル許容電力を引き上げるTurboプロファイルについても測定しています。
詳しくは微妙に長くなるので下の記事でまとめましたが、「GIGABYTE AERO 15 OLED」に搭載されたRTX 3080モバイル版を含めRTX30モバイルGPUはDynamic Boost 2.0の影響で大きくGPU性能を損なうことはめったになく、実際のPCゲーム性能は概ね3DMark TimeSpyのベンチマークスコアの傾向と一致します。
GIGABYTE AERO 15 OLEDのCPUとGPU性能のまとめ
CPUに8コア16スレッドのCore i9 10980HK、GPUにRTX30モバイル最速GPUのGeForce RTX 3080 モバイル版を搭載する「GIGABYTE AERO 15 OLED」の性能についてチェックしてきましたが、簡単に箇条書きでまとめると次のようになります。- GIGABYTE AERO 15 OLEDの標準動作をデスクトップ向けCPUで比較すると、
6コア12スレッドCPUのCore i5 10400よりもやや高速な性能
- GIGABYTE AERO 15 OLEDを最速CPU動作プロファイルに切り替えると
8コア16スレッドCPUのCore i7 10700(PL1:65W動作)よりも高速
- GIGABYTE AERO 15 OLEDのRTX 3080モバイル版は最大グラフィックパワー105W
- GIGABYTE AERO 15 OLEDはデスクトップ向けGPUで比較すると、
RTX 3060よりも高速で、RTX 2070 SUPERと同等の性能
- RTX 30モバイル版は、Dynamic Boost 2.0の影響でCPU負荷が高いシーンでは
GPU性能が10%程度下がりRTX 3060と同程度になる
GIGABYTE AERO 15 OLEDのレビューまとめ
最後にRTX30モバイルGPU最速のRTX 3080モバイル版やSamsung製4K有機ELディスプレイを搭載したクリエイター向けウルトラハイエンドモバイルPC「GIGABYTE AERO 15 OLED (型番:YC-9JP5760SP)」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 8コア16スレッドCore i9 10980HKを搭載し、PL1:80Wにも対応
デスクトップ向けではCore i5 10400よりもやや高速な性能
PL1:80WではTDP65W動作のCore i7 10700と同等の性能 - RTX 3080 モバイル版を搭載し、最大グラフィックパワーは105W
デスクトップ版ではRTX 3060よりも10%以上高速で、RTX 2070 SUPERとほぼ同等 - 発色・コントラストに優れた有機ELディスプレイ(Samsung製AMOLED)を搭載
- ファン制御の設定が優秀、最大ファン速度を任意に設定できる
- 標準設定で上限ファン速度が3800RPM程度
- 筐体は厚さ30mm程度で薄い。重量も2.2kgで持ち運びも可能
- システムストレージとデータストレージは共にNVMe M.2 SSDで高速
- ディスプレイ解像度にWQHD(2560x1440)がない
- バッテリー動作時は3Dグラフィックアプリが30FPSに制限
- セミファンレスに対応しているものの、最小ファン速度が2000RPMと高め
「GIGABYTE AERO 15 OLED」はGeForce RTX 3080 モバイル版(最大グラフィックパワー:105W)を搭載しており、デスクトップ版GPUと比較するとGeForce RTX 3060を10%程度上回り、GeForce RTX 2070 SUPERと同等のグラフィック性能を発揮します。
(RTX 3080モバイル版に一般の話ですが、デスクトップ版の手前”RTX 3080”という名前に負ける性能だというのが正直な感想です。ハードウェアスペックが大きく違うので、末尾にMを付けるか、スペックの近いRTX 3070にしておけばもう少し印象も違ったのかなと。)
CPUのCore i9 10980HKは物理的には確かに8コア16スレッドCPUですが、Core i7 10700KやRyzen 7 3700Xなどデスクトップ向け8コア16スレッドCPUと比較するとマルチスレッド性能には大きな差があります。11世代になると多少改善の兆しもあるのですが、第9/10世代のIntel製CPUが8コア16スレッド相応の性能を発揮するにはPL1:95W以上が必要なので。
デスクトップ向けCPUを基準に考えた場合、Core i9 10980HKは6コア12スレッドのCore i5 10400よりも若干速いという感じです。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」はGPU&CPUのスペックも強烈ですが、Samsung製AMOLEDパネルを採用する有機ELディスプレイも大きな特徴の1つです。
sRGBやDCI-P3の色域を100%カバーし、今回の検証ではAdobe RGBも96%カバーと非常に広い色域を実現しています。全個体に対して色精度ΔEが1以下となるようカラーキャリブレーションが実行され、X-Rite Pantone色校正認証を取得しています。キャリブレーションプロファイルがプリインストールされているので、写真や映像を扱うプロフェッショナルクリエイターの業務に耐えるディスプレイです。
欲を言えばG-Sync Compatibleに対応していて欲しかったのと、なぜか標準ディスプレイはWQHD解像度に対応していないのが不満点でした。
RTX20モバイルGPUを搭載した1世代前の同社製品(AORUSブランドの方ですが)を過去にレビューした時はファン制御が既定プロファイルか全開かの2択となっていて、静音性周りは微妙でした。
「GIGABYTE AERO 15 OLED」ではRTX 3080モバイル版とCore i9 10980HKの発熱に対して標準ファン制御では最大ファン速度3800RPM以下に収まるようチューニングされており、性能を追求しつつも、ユーザーがファンノイズを我慢できるという良い線を突いてきたと感心しました。
また手動設定のファンカーブやファン速度固定モードにおいて最大ファン速度は任意に設定できるので、静音性優先で運用することも可能なので、dGPU搭載高性能モバイルPCは気になるけどファンノイズが心配という人にもオススメのモデルです。
以上、「GIGABYTE AERO 15 OLED」のレビューでした。
記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
RTX 3080 モバイル版や8コア16スレッドCPUのCore i9 10980HKを搭載するクリエイター向けハイエンドモバイルPC「GIGABYTE AERO 15 OLED」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) March 9, 2021
DCI-P3を100%カバーでX-Rite Pantone色校正認証を取得する4K有機ELパネル採用ディスプレイの品質も徹底検証https://t.co/GgAOr1Q4yU pic.twitter.com/wFpITdiUfY
関連記事
・Core i7-1165G7搭載「Surface Pro 7+」をレビュー。Pro7無印と徹底比較・Core i7-1065G7搭載「Surface Pro 7」をレビュー
・240Hz/IGZO液晶モニタ搭載「GIGABYTE AORUS 15-XA」をレビュー
・240Hz対応モバイルモニタ「ASUS ROG Strix XG17AHPE」をレビュー
・「FLEXISPOT デスクバイク V9」をレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク