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容積30Lのコンパクトサイズながら240mmサイズ大型簡易水冷CPUクーラーや最長340mmのフルサイズグラフィックボードに対応するMicroATX対応PCケース「InWin A3」をレビューします。
同社製240サイズAIO水冷CPUクーラー InWin NR24やTGP300W超のGeForce RTX 3090グラフィックボードを組み合わせて、コンパクトながら高性能なゲーミングPCを組んでみました。
代理店公式ページ:
製品公式ページ:https://www.in-win.com/ja/gaming-chassis/a3
レビュー目次
1.InWin A3の梱包・付属品
2.InWin A3の外観
3.InWin A3の内部構造の概要
4.InWin A3の裏配線スペース
5.InWin A3のストレージ設置スペース
6.InWin A3のグラフィックボード設置スペース
7.InWin A3の電源ユニット設置スペース
8.InWin A3のファン・ラジエーター設置スペース
9.InWin A3のビルドギャラリー
10.InWin A3のレビューまとめ
【機材協力:InWin(国内正規代理店アユート)】
InWin A3の梱包・付属品
早速パッケージを開封して、InWin A3の外観からチェックしていきます。「InWin A3」では製品のオリジナルプリントがされた茶色の段ボール箱にPCケース本体が収められています。パッケージサイズは幅45cm×奥行30m×高さ54cmとコンパクトです。側面には持ち手の穴もあるので、一応、女性でも持ち運べそうです。
段ボール箱の天面を開くと、PCケース本体が現れます。
PCケースを保護する緩衝材については発泡スチロールが採用されていました。発泡スチロールは処分のため解体する際に小さい破片が飛び散るので、個人的には固めのスポンジを採用して欲しいです。
「InWin A3」の左サイドパネルは強化ガラス製ですが、傷や汚れを防止する保護フィルムはありません。
ネジ類等の組み立てに関する付属品はジップロック式ビニール袋に収められていました。
付属品は各種ネジセット、ファン延長ケーブル、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LED延長ケーブル、プレート型GPUホルダー、ケーブルタイとなっています。マニュアルが冊子ではなくQRコードの書かれたシートに簡略化されているところが目新しいです。
InWin A3の外観・梱包・付属品
続いて「InWin A3」の外観について詳しくチェックしていきます。「InWin A3」は寸法が奥行401mmm×幅215mm×高さ347mm、容積30リットルとコンパクトなMicroATX対応のミニタワーPCケースです。
「InWin A3」は容積30Lのコンパクトサイズながら、全高162mmまでの空冷CPUクーラーや240mmサイズのマルチファン大型簡易水冷CPUクーラー、最長340mmのフルサイズグラフィックボードに対応しています。
「InWin A3」のフロントパネルはスチール製です。滑らかで質感の高い黒色塗装が施されています。トップパネル前方に装飾されたゴールドのアルミニウム製シートが高級感を引き上げています。
InWin A3のマザーボード側には強化ガラス製サイドパネルが搭載されています。ガラスパネルは無色透明ではなく、かなり濃いスモークがかかっています。
裏配線側サイドパネルはフラットなスチールパネルです。透明なガラスパネルではないので裏配線にこだわるのが面倒という人には嬉しい設計です。
「InWin A3」の左右サイドパネルは下端の溝(ヒンジ)と上端2か所のボールキャッチによって固定されています。サイドパネル上端の窪みに指を引っ掛けて外に引けば簡単に開くというアクセサビリティの高い構造です。
パネルの装着時もシャーシの溝に上から乗せる形なので位置合わせ中にサイドパネルが脱落する心配はありません。
「InWin A3」のフロントI/Oはトップパネル前方、正面から見て右寄りに実装されています。
手前(下写真では右)から順にパワースイッチ、USB 3.2 Gen 1 (USB3.0) Type-A×2、ヘッドホン出力&マイク入力用4極3.5mmジャック、USB Type-C×1が実装されています。
USB Type-Cは接続するマザーボード次第ですが、最大で20GbpsのUSB 3.2 Gen 2x2に対応します。
フロントI/Oと繋がっている内部ケーブルとしては内部USB3.0ケーブル、内部USB Type-Cケーブル(正式名称はFront USB Type-E)、ヘッドホン・マイク用HDオーディオケーブル、フロントI/Oケーブルがあります。
パワーボタンやパワー/ストレージアクセスLEDについてはリボンケーブルで、コネクタも含めて1つにまとまっているのは着脱が容易になって好印象です。
内部USB3.0ケーブルや内部USB Type-Cケーブルはケーブル直径が太く、取り回しが難しいものも多いですが、「InWin A3」はいずれもリボンケーブルなので折り曲げも容易です。特に内部USB Type-Cケーブルは非常に細くて、柔らかく簡単に曲げられます。
「InWin A3」はPCケースボトムから吸気し、天面や広報に排気するエアフロー設計です。
吸気側の底面から埃の混入を防止するため、底面を覆う大型ダストフィルターが装着されており、PCケース前方に引き出す形で簡単に着脱できます。
「InWin A3」のPCケースボトムには120mm角ケースファン×2に対応したファンマウントスペースがあり、手前に引き出す構造のダストフィルターが装着されています。
PCケース底面には前後で1パーツのプラスチック製ケース足が左右にそれぞれ装着されています。ケース足の設置面となる四隅には滑り止めのゴムキューブが埋め込まれています。足は25mmと十分に高く、PCケースボトムのエアフローを妨げません。
InWin A3の内部構造の概要
続いて「InWin A3」の内部構造について各種要素ごとに細かく見ていく前に内部構造の概要をチェックしていきます。スチール/強化ガラス製サイドパネルを外してマザーボード側を俯瞰すると次のようになっています。
「InWin A3」はPCケース前方に電源ユニットスペースがあるという、一般的なPCケースとは異なる内部構造です。
前端から後端まで内部スペースは貫通しているので、電源ユニットや電源ケーブルと干渉しなければ、グラフィックボード用のスペースは300mm以上も使用できます。
PCケース後方には標準で1基の120mm角ケースファンを搭載しています。
InWin A3のマザーボードトレイやその周辺レイアウトについてチェックしていきます。
InWin A3はMicroATX対応PCケースなので、PCIEスロット数はちょうど4段が設けられています。PCIEブラケットも含めて3スロットを占有するようなグラフィックボードにも対応できます。
InWin A3のマザーボードトレイには標準でMicroATXやMini-ITXに合わせたネジ穴が、板金そのものの変形加工やスペーサーの溶接によって設けられています。
右下の1カ所はMicroATXマザーボードでもネジ穴位置が異なるので六角スペーサーを各自で装着します。プラスネジ変換六角ソケットが付属するので、スペーサーに被せれば一般のプラスドライバーを使用して簡単にスペーサーの着脱が可能です。
またマザーボード固定用スペーサーのうち中央の1つは六角の台座部分から丸いネジ穴が凸状に出っ張っています。マザーボードのネジ止めの際には出っ張りにマザーボードを引っかけて位置を固定することができるので、マザーボードのネジ止めが容易になる賢い構造です。
今回、「InWin A3」のレビューでは検証用マザーボードとして後述のサンプルビルドを含めて、Intel第12世代CPUに対応したB660チップセット搭載MicroATXマザーボードのASUS ROG STRIX B660-G GAMING WIFIを使用しています。
「InWin A3」にMicroATXマザーボードを設置すると下のようになります。「InWin A3」はマザーボードトレイの右隣に電源ユニットを設置し、上下には細かいケーブルホールも開けられているので各種配線もスムーズに行えます。
空冷CPUクーラーの高さクリアランスについては全高162mmまでが確保されているとのことでしたが、実測の高さクリアランスは161mm程度でした。
120mm冷却ファンを搭載する一般的なサイドフロー型CPUクーラーであれば基本的にサイドパネルとの干渉の心配はありません。
InWin A3の裏配線スペース
「InWin A3」の裏配線スペースについてチェックしていきます。左サイドパネルを取り外すとInWin A3のマザーボード裏スペースにアクセスできます。InWin A3の裏配線スペースの全体は次のようになっています。
マザーボードトレイのCPUクーラーメンテナンスホールは大きくとられていて、Intel LGA1700やAMD AM4といった近年主流なCPUソケットがしっかりと収まり、バックプレート型のCPUクーラーでもマザーボードをPCケースに装着したままで着脱が可能です。
裏配線スペースの厚さはマザーボードトレイやシャーシの凹凸で若干前後しますが30mm弱が確保されています。余ったケーブルの収納スペースとしても十分です。
InWin A3のストレージ設置スペース
続いて「InWin A3」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。「InWin A3」にはストレージ設置スペースとして、裏配線スペースの3.5インチストレージトレイと2.5インチストレージトレイ、PCケースボトムの3カ所が設けられています。最大2基の3.5インチストレージと1基の2.5インチストレージが設置可能です。
3.5インチストレージトレイについて
まずは3.5インチストレージトレイを使用したスペースについてチェックしていきます。「InWin A3」のマザーボードトレイ裏側、CPUクーラーメンテナンスホール上には1基の3.5インチストレージを設置可能な3.5インチストレージトレイが装着されています。
3.5インチストレージトレイは1台のストレージを装着な1枚板のスチール製プレートになっており、トレイ短辺(前方向き)にある1カ所の爪と、逆側の脱落防止機能付きハンドスクリューでPCケースに固定する構造になっています。3.5インチHDDに対応しているものの、防振ゴム等はありません。
2.5インチストレージトレイについて
続いて2.5インチストレージトレイを使用したスペースについてチェックしていきます。「InWin A3」のマザーボードトレイ裏、ボトム寄りには1基の2.5インチストレージを設置可能な2.5インチストレージトレイが装着されています。
2.5インチストレージトレイはストレージを1台設置可能な1枚板のスチール製プレートになっており、トレイ短辺(前方向き)にある1カ所の爪と、逆側の脱落防止機能付きハンドスクリューでPCケースに固定する構造になっています。
PCケースボトムのストレージ設置スペースについて
最後にPCケースボトムのストレージ設置スペースについてチェックしていきます。「InWin A3」のPCケースボトム、前方寄りには3.5インチストレージもしくは2.5インチストレージを1台設置可能なネジ穴が設けれています。シャーシに直接固定する構造です。
InWin A3のグラフィックボード設置スペース
「InWin A3」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。まず製品スペックを見ると、「InWin A3」のグラフィックボード設置における長さ方向のクリアランスについて、最大で全長340mmまで対応しています。
NVIDIA GeForce RTX 3080/3090のようなハイエンドGPUを搭載するグラフィックボードのオリファンモデルでも全長340mmを超えるモデルは稀なので基本的に干渉の心配はありません。
「InWin A3」はMicroATX対応PCケースなのでPCIEスロット数は4段が設けられています。PCIEブラケットも含めて3スロットを占有するようなグラフィックボードにも対応できます。
製品スペックの通り300mm超のスペースがあるのでGeForce RTX 3080/3090やRadeon RX 6800/6900 XTなど巨大なオリファンモデルの多いハイエンドグラフィックボードを問題なく設置できるスペースが確保されています。
PCIEブラケットからフロント内壁までは製品スペックの通り340mm程度のスペースがありますが、「InWin A3」はフロントに電源ユニットを設置する構造なので、電源ユニット本体や電源ケーブルと干渉する場合、グラフィックボードの設置スペースが制限されます。
ATXサイズの電源ユニット自体がグラフィックボードと干渉する場合、グラフィックボードの長さスペースは290mm程度になります。
グラフィックボードと電源ユニットが干渉する条件は、1段目のPCIEスロットにグラフィックボードを設置するマザーボードの場合、電源ユニットの奥行が180mm以上となります。2段目のPCIEスロットに設置するマザーボードであれば200mm以上です。
グラフィックボードの高さ方向についてもPCIEブラケットからサイドパネルまで60mm程度と十分な余裕があるので、補助電源ケーブルはもちろん、背の高い基板のオリファンモデルにDIY水冷のフルカバー水冷ブロックを装着してもターミナル部分がサイドパネルと干渉する心配はありません。
「InWin A3」にはハイエンドグラフィックボードユーザーには嬉しい機能としてグラフィックボードホルダーが標準で付属します。
InWin A3の付属GPUホルダーは、縦長のネジ穴スリットに固定する構造になっており、強化ガラスサイドパネルを外してすぐのPSUカバー手前からネジ止めします。
シャーシ側ネジ穴スリットが縦長なので上下方向に移動でき、L字フレーム上でグラフィックボードを保持するゴムカバーを前後移動できます。
「InWin A3」はPCIEスロットの固定ネジ穴が外にあります。拡張ボードを装着する構造上、PCIEブラケットの手前に穴が開いてしまうのですが、ここを隠すための着脱式カバーも設置されています。
「InWin A3」のPCIEスロットカバーは、1段目と2段目は通常のネジ止め式のカバーですが、3段目と4段目はシャーシからカバーが切り離されず、付いたままになっています。細い2点のバリで繋がっているだけなので、3/4段目を使用する場合は折ってPCIEスロットを開放してください。
管理人がPCケースをチェックする時の重箱の隅をつつくような細かい項目、PCIEスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、「InWin A3」では固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーを使用した拡張ボードのネジ止めも簡単です。
InWin A3の電源ユニット設置スペース
InWin A3の電源ユニット設置スペースについてチェックしていきます。近年の自作PCケースでは電源ユニットをボトムに配置して電源のみチャンバー分けしてしまうのが一般的ですが、「InWin A3」はPCケース前方に電源ユニットを設置します。
電源ユニットの吸気ファンはマザーボード側を向いており、チャンバー分けされていません。マザーボード上のスペースを介して、ボトムから吸気し、電源ユニットの後方(天面方向)へ排気するというエアフローです。
PSUカバーには電源ユニットを下から支えるPSUホルダーも設置されています。奥行きが140mm以上のATXサイズ電源ユニットで使用できます。
「InWin A3」では天面の前方寄りに、ぶら下げるような形でATXサイズ電源ユニットを固定するためのネジ穴が配置されています。
PCケース前方に電源ユニットの設置スペースがあるので、延長ケーブルを介してPCケース後方でACケーブルを接続する構造です。
「InWin A3」で電源ユニットの固定ネジ穴にアクセスするには、トップパネルを取り外す必要があります。トップパネルは左側へスライドするだけで簡単に取り外しが可能です。
加えてPCケース前方に設置された電源ユニットや電源ケーブルを隠すPSUカバーは上下2カ所のネジ止めで固定されており、簡単に着脱が可能です。
「InWin A3」はトップパネルとPSUカバーを取り外してしまえば、PCケース前方は遮るものがなく開放されるので、電源ユニットの装着や各種電源ケーブルの配線は容易です。
後述のサンプルビルドを含め、「InWin A3」の検証機材には奥行140mmのATXサイズ電源ユニット SilverStone Strider Platinum ST85F-PTを使用し、さらに別売りオプションのショートケーブルキット PP05-Eを組み合わせています。
「InWin A3」に一般的なATX電源ユニットを組み合わせると各種電源ケーブルは600~700mmの長さなので、ケーブルがケース内で余ってしまいます。裏配線スペースなど空きスペースに余ったケーブルを収納するのは地味に面倒な作業になります。
SilverStone製電源ユニットにショートケーブルキットPP05-Eを組み合わせれば、ATX24PIN電源やPCIE補助電源に必要最小限なケーブル長のショートケーブルが使用できるので、自作PCに不慣れな人でも簡単・綺麗に配線でき、オススメです。
電源ユニットの奥行のクリアランスについて、電源ユニットを吊り下げる上側(下写真では右側)のブラケットからPCケースボトムまではシンプルに貫通しているので、グラフィックボードを考慮しないのであれば、260~270mm程度のスペースが確保されています。
長さが290mm以上のグラフィックボードを使用する場合、グラフィックボードを設置しているのが1段目のPCIEスロットであれば180mmまで、2段目のPCIEスロットであれば200mmまでが電源ユニット本体の物理的なサイズ制限となります。
また電源ユニットの奥行が上記以下であっても電源ケーブルがグラフィックボードと干渉する可能性もあるので、少なくとも30~40mm程度は余裕をもっておきたいところです。
単純な奥行サイズだけでなく、「InWin A3」と組み合わせる電源ユニット選びのポイントの1つとして、フルプラグイン式電源であれば、プラグインコネクタが冷却ファンと逆側に寄っていると、グラフィックボードから電源ケーブルが離れるので干渉し難くなります。
AC延長ケーブルについて、このタイプの構造ではお馴染みですが、電源ユニットに接続するL字プラグのケーブルとPCケースとの干渉に注意が必要です。
「InWin A3」のAC延長ケーブルでは六角形プラグの尖った方向にL字でケーブルが伸びています。
SilverStone Strider Platinum ST85F-PTは下写真のようなACプラグのレイアウトですが、電源ユニットをPCケースに固定後、AC延長ケーブルを問題なく挿抜できました。
一方でCorsair HX1000i(2022)は下写真のようなACプラグのレイアウトですが、こちらもギリギリではあるものの、電源ユニットをPCケースに固定後、AC延長ケーブルを挿抜できました。
「InWin A3」はATX-SFX変換ブラケットを使用すれば、SFXサイズやSFX-Lサイズの電源ユニットを使用することも可能です。
SFX(-L)サイズのコンパクト電源ユニットには一般に300mm程度のショートケーブルが付属しています。しかし、PCケース内の前方の中央にある電源ユニットのプラグイン端子から、マザーボード右上にあってPCケース内で後方上にあるEPS電源端子まで対角線上にケーブルを配線することになります。300mm程度のショートケーブルではプラグイン端子からEPS電源までケーブルの長さが不足する可能性が高いので注意してください。
標準付属の電源ケーブルがショートケーブルの場合はEPS端子用の延長ケーブルを使用すると上手くケーブルの取り回しが可能です。「AINEX EPS12V 8PIN電源延長ケーブル PX-011A」は国内市場でも容易に入手できるのでオススメです。
InWin A3のファン・水冷ラジエーター設置スペース
続いて「InWin A3」の冷却ファンと水冷ラジエーターの設置スペースについてチェックしていきます。ファン・ラジエーター設置スペースの概要
まずは「InWin A3」のファン・ラジエーター積載可能数について概要を紹介します。「InWin A3」はボトムから吸気、トップとリアから排気するというエアフロー構造が採用されており、ボトムには120mm角ケースファン×2、リアには120mmケースファン×1、トップには120mm角ケースファン×2を設置できます。
また水冷ラジエーターについてはトップに最大240サイズ、リアに120サイズをサポートしています。
付属ファンについて
「InWin A3」には20mm厚でスリムな120mm角ケースファン「InWin Mercury AM120S」がリアに1基、標準で付属します。InWin Mercury AM120Sの定格(最大)回転数は2000RPM、PWM速度調整に対応し、400~2000RPMの範囲内で制御可能です。
白色ブレードは軸受け部分に内蔵されたLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体やフレーム状リングに鮮やかな色が行き渡らせる特殊素材です。
120mm角や140mm角の一般的なケースファンは25mm厚ですが、「InWin A3」のようなコンパクトPCケースへの組み込みを想定し、InWin Mercury AM120Sは20mm厚のスリムサイズとなっています。
軸受にはMTBF(平均故障間隔)が60,000時間と高耐久なスリーブベアリングが採用されています。
固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制しています。ファンブレードの付け根部分にある3つの切り込みはファンブレードが固定用の支柱を通るときに発生するノイズを拡散する事で抑制します。
InWin Mercury AM120Sのファンブレードは”タービンブレード”と呼ばれる構造が採用されています。大きく弧を描く長いファンブレードは静圧を生みやすい反面、たわみやすいというデメリットもありますが、内側リングフレームと一体成型することでファンブレードは安定しファンノイズの発生を低減させます。
InWin Mercury AM120Sは水冷ラジエーターのような静圧が求められる環境において一般的なケースファンよりも高い風量を得ることができるとアピールされています。
InWin Mercury AM120Sのファンフレームネジ穴部分には防振ラバーパッドも貼り付けられています。後述の単品パーツでは各自でラバーシールを貼り付けます。
InWin Mercury AM120SからはPWM対応4PINファンケーブルに加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルが伸びています。
いずれも20mm程度で伸びるオス端子から、さらにメス端子が100mm程度で分岐するショートケーブルとなっており、複数ファンでデイジーチェーン接続に対応しています。ファンが連続するPCケースや水冷ラジエーターでもケーブルマネジメントが容易な設計です。
InWin Mercury AM120SのファンケーブルとLEDケーブルはいずれもショートケーブルなので、500mm長の延長ケーブルが付属しています。(InWin A3にはそれぞれ1本ずつ)
LEDケーブルはマザーボードでも採用されているVD-G型汎用3PINですが、他社製品との互換性を維持しつつ、InWin Mercury AM120S等の同社製品において確実に接続できるようロックピン構造が独自に採用されています。
また、InWin Mercury AM120Sは3個セット(型番:IW-FN-AM120S-3PK)がファン単品のアクセサリパーツとして10月14日に発売予定です。「InWin A3」は10月7日発売なので1週間遅れての発売となります。
InWin Mercury AM120Sの3個セット版には、ARGB LEDコントローラーが付属しているので、LEDヘッダーを搭載していないマザーボード環境でもライティング制御が可能です。
InWin Mercury AM120Sは静圧に優れ、水冷ラジエーターの冷却ファンにも最適とアピールされているので、ファン3個パックには長さ25mm、ネジ山 UNC No.6-32の長ネジも付属しています。(ファン1個パックには付属なし)
ファン・ラジエーター設置スペースを実機でチェック
上で解説した概要を念頭に、「InWin A3」のファン・ラジエーター設置スペースについて実機写真からチェックしていきます。PCケースリアのファン・ラジエーター設置スペースについて、20mm厚でスリムな120mm角ケースファンを標準で搭載しています。120mm角のケースファンもしくはラジエーターを1基設置できます。
ネジ穴位置が固定で上下にオフセットできない仕様ですが、上側のクリアランスが広めに設けられているので、天面のファン・ラジエーターと干渉に注意が必要ですが、水冷ラジエーターも問題なく設置できます。
PCケースボトムのファン・ラジエーター設置スペースについて、120mm角ケースファンを最大で2基設置できます。
PCケース内への埃の混入を抑えるためツールレスで着脱可能な防塵ダストフィルターも用意されており、吸気で使用するファンマウントスペースです。
ケース足の方に120mm角ケースファンに合わせてネジ穴が8カ所あります。
なお、PCケース後方寄りについてはネジ穴の1つがケース足の下に隠れています。
ケース足にはゴムキューブが埋め込まれており、これを取り出すとプラスチック製フレームのケース足を固定しているネジが現れます。ネジを外すとケース足が取れて、ファン固定ネジ穴全てにアクセスできるようになります。
ただし、「InWin A3」のボトムについては4段目のPCIEスロットとの隙間は15mm弱しかなく、一般的な25mm厚ファンを設置すると4段目のPCIEスロットが排他利用になります。
「InWin A3」のリアにも搭載されている20mm厚のスリムファン InWin Mercury AM120Sは増設用の単品ファンとしても販売されています。これであればボトムに設置しても4スロット目の半分以下の占有で収まるので、2段目に2.5スロット占有の大型グラフィックボードを設置してもギリギリで干渉を回避できます。
「InWin A3」のPCケースボトムファンにInWin Mercury AM120Sを設置し、なおかつ2.5~3スロット占有グラフィックボードも組み合わせるのであれば、ASUS ROG STRIX B660-G GAMING WIFIのように1段目のPCIEスロットにグラフィックボードを設置できるマザーボードを選択するのがオススメです。
PCケーストップのファン・ラジエーター設置スペースについて、120mm角ケースファンを最大で2基設置でき、240サイズ水冷ラジエーターにも対応します。
天面について、ファン・ラジエーターを固定するシャーシ内壁からマザーボード上端までは60mm弱のクリアランスがあるので、ファン&ラジエーターで52~55mm厚になる一般的な簡易水冷クーラーであればマザーボードやメモリとの干渉を心配する必要はありません。
トップパネルはマザーボード側の強化ガラス製サイドパネルを外した状態で、左側へスライドするだけで簡単に取り外しが可能です。
ツールレスで着脱可能なトップパネルの内側にはナイロン製フィルターが貼り付けられており、トップパネルがそのままダストフィルターとなっています。
「InWin A3」」の天面はフラットなのでキーボードなど物を置くこともできますが、天面にファン・ラジエーターを設置する場合はエアフローの妨げになってしまいます。
「XPG DEFENDER PRO」の天面を物を置くスペースとして活用したいのであれば、「PC MAGLAS ガラストップ」というPCトップガラスカバーがオススメです。
続いてInWin A3のPCケーストップで対応が明記されている240サイズラジエーターについて、今回は検証機材として240サイズ簡易水冷CPUクーラー「InWin NR24」を使用して具体的にチェックしていきます。
InWin製AIO水冷クーラーの最新ロットにはIntel第12世代CPUのLGA1700ソケットに対応したマウントパーツも標準で付属します。
「InWin A3」のPCケース天面は240サイズ水冷ラジエーターに対応しているものの、コンパクトPCケースなので各種部品の配置は結構ギリギリです。
ファンケーブルだけなら難易度はそれほどでもありませんが、今回はLEDケーブルもあるので、隙間に上手く収納するのが大変でした。
予めスペースにケーブルを突っ込んでおいて、被せるようにラジエーターを設置してネジ止め、という手順になります。ファン端子の装着も先に済ませる必要があり、やり直しとなるとラジエーターも取り外すことになるので、自作PC初心者にはハードル高めだと思います。
上で説明したようにマザーボード上端とのクリアランスは60mm程度あるので、CPUソケット上側のVRM電源クーラーを塞ぐこともなく、システムメモリとの干渉を心配する必要もありません。
ただしEPS電源ケーブルが干渉というほどではないものの、ラジエーター&ファンに接触するので、リボンケーブルではなくスリーブまとめ式ケーブルで曲げ難いケーブルの電源ユニットだと上手く設置できないかも。
綺麗なケーブルの取り回しも含めると若干ハードル高めではあるものの、「InWin A3」に同社製の240サイズAIO水冷CPUクーラーInWin NR24を設置できました。
InWin A3のビルドギャラリー
記事冒頭で紹介した自作PCパーツを組み込んで「InWin A3」を使用した自作PCを組んでみたのでその作成例のギャラリーとなります。強化ガラス製ウィンドウパネルは濃いめのスモークがかかっているので、LEDイルミネーションのON/OFFによって内部を隠すシャッターのような演出が可能です。
今回、「InWin A3」のサンプルビルドでは標準搭載のInWin Mercury AM120Sに加えて、同ファンをPCケースボトムに2台増設し、さらに240サイズAIO水冷CPUクーラーInWin NR24を使用しているので、水冷ヘッドを含めて計6基のLED機器がありますが、全てInWin NR24(もしくはInWin Mercury AM120Sの3個セット)に付属するARGB LEDコントローラーで制御しています。
簡単なボタン操作でLEDイルミネーションの消灯も含め、発光カラーや発光パターンをその日の気分に合わせて変更できます。
InWin A3のレビューまとめ
最後に「InWin A3」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 容積30Lのコンパクトサイズ、MicroATX対応PCケース
- 内部を一望できる強化ガラスパネルをマザーボード側に搭載
- サイドパネルはボールキャッチによってツールレスで着脱可能
- 最大340mmの大型グラフィックボードに対応
- 重量級グラボを支えるGPUホルダーを標準搭載
- トップは240サイズ水冷ラジエーターに対応
- 電源ユニットや電源ケーブルを隠すPSUカバーを採用
- 3.5インチ 2基、2.5インチ 1基で計3基のストレージを設置可能
- トップ/ボトムには着脱の容易な防塵ダストフィルター搭載
- 長さ290mm以上のグラフィックボードは電源ユニットの奥行スペースを制限する
- ボトムのファン設置は15~20mm厚でも4段目のPCIEスロットと排他利用に
「InWin A3」は容積30LでコンパクトなMicroATX対応PCケースながら240mmサイズ大型簡易水冷CPUクーラーや最長340mmのフルサイズグラフィックボードに対応しているところが最大の特長です。InWin製PCケースらしい高品質な仕上がりになっており、スマートな見た目も魅力です。
公式仕様値でTGP300Wを超えるというのが近年のハイエンドグラフィックボードのトレンドですが、「InWin A3」はPCケースのボトムから吸気してリア・トップに排気するという効率的なエアフローによって、そういったグラフィックボードを効率的に冷やすことが可能です。
「InWin A3」の内部スペースは開放されており基本的には組みやすいPCケースですが、ATXサイズ電源ユニットに付属する一般的な長さ600~700mmの電源ケーブルはケース内で余ってしまうので、それを上手く収納するのは少々面倒な作業になるかもしれません。
電源ユニット本体や電源ケーブルを含めた占有スペースはグラフィックボードの長さスペースにも影響がありますし、電源ユニットのACプラグの方向によってはAC延長ケーブルを接続できない可能性もあり、電源ユニットの選択で自作PCの知識が要求されます。電源ユニット選びは1つハードルになりそうです。
あと240サイズAIO水冷CPUクーラーを搭載できますが、ファン・LEDケーブルの配線は自作PCに不慣れだと結構難しいと思います。自信がなければPCケーストップは120mm角ケースファン×2にしておいて、「InWin A3」は全高162mmまでと十分なクリアランスがあるので、空冷CPUクーラーを組み合わせるのがオススメです。
以上、「InWin A3」のレビューでした。
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容積30Lのコンパクトサイズながら240mmサイズ大型簡易水冷CPUクーラーや最長340mmのフルサイズグラフィックボードに対応するMicroATX対応PCケース「InWin A3」をレビューhttps://t.co/Fgpd99Ak4T pic.twitter.com/sYVU9kE4UL
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) October 4, 2022
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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