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アドレッサブルLEDイルミネーション搭載ハイエンドDDR4メモリ FURY Renegade DDR4 RGBシリーズから、Intel XMP2.0による4600MHzのメモリOCに対応する8GB×2枚組み=16GBのメモリキット「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB(型番:KF446C19RBAK2/16)」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.kingston.com/jp/memory/gaming/kingston-fury-renegade-ddr4-rgb-memory
データシート:https://www.kingston.com/dataSheets/KF446C19RBAK2_16.pdf
Kingston FURY Renegade DDR4 RGB レビュー目次
1.Kingston FURY Renegade DDR4 RGBの外観
2.Kingston FURY Renegade DDR4 RGBのLEDイルミネーション
3.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
4.Kingston FURY Renegade DDR4 RGBのメモリOCを試す
5.Kingston FURY Renegade DDR4 RGBのレビューまとめ
---【注意】--------------------------
メモリOCで有名なXMPプロファイルは「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル」の略称でありIntelの策定した規格なので、AMD Ryzen/Ryzen Threadripper環境において”XMPでOCする”等の表現をするのは厳密には正しくありません。ただしXMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD Ryzen環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されているので、AMD製CPU環境においてもXMPプロファイルを流用したメモリOCを当記事中では便宜上細かいことを気にせずに”XMPを使用したOC”などXMPとして表記します。
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【機材協力:Kingston】
Kingston FURY Renegade DDR4 RGBの外観
まず最初に「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の外観をチェックしていきます。「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」は紙製パッケージ内にプラスチック製スペーサーという一般的な梱包です。
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB KF446C19RBAK2/16」は8GB×2枚組み=16GBの2枚組メモリキットなので2枚のメモリが収められています。
Kingston FURYブランドの経緯について簡単に補足しておくと、KingstonのゲーミングブランドというとHyperXの名前で知られており、今回レビューするゲーミングPC向けハイパフォーマンスメモリ以外にも、マウス・キーボードやヘッドセットなど多くの製品が販売されていました。
2021年2月にゲーマー向け製品部門HyperXがHPに買収され、大半のゲーマー向け周辺機器の取り扱いは移譲されましたが、Kingstonの本業であるSSDやメモリの取り扱いは残ったので、HyperXブランドのメモリやSSDが2021年8月より順次リブランドされたという次第です。
HyperX時代にはミドルネームにFuryを冠する製品が多かったこともあり、Kingstonのゲーミング向けブランドは”FURY”として新生し、DDR4メモリではスタンダードゲーマー向けモデルがFURY Beast (RGB)、ゲーマー&OCer向けモデルはFURY Renegade (RGB)となりました。
そういうわけで、今回レビューする「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の外観については、HyperX時代の「HyperX Predator RGB DDR4」をベースにロゴ等の細かい部分がマイナーチェンジされただけ、と考えればOKです。
「HyperX Predator RGB」には、マットなグレーのベース上に”X”字を模した艶のあるブラックパターンが描かれたデザインのアルミニウム製メモリヒートシンクが装着されています。
LEDイルミネーション非搭載でXMP5000MHz以上のモデルもラインナップされるFURY Renegade無印モデルと比較すると側面はほぼ同じデザインで、上側に少し覗いて見えるLEDイルミネーション用のディフューザーの存在だけが異なっています。
真上から見ると中央にLEDイルミネーションの発光を拡散する半透明ディフューザーがあり、その中央にはFURYのブランドロゴが描かれています。側面はPCゲーマーを意識した凝ったデザインですが、PC組み込み後にメモリの顔になる上側は万人受けを狙えるシンプルなデザインです。
同じくFuryブランドのLEDイルミネーション搭載メモリ FURY Beast RGBと比較すると、デザイン面ではFURY Beast RGBのほうがシンプルです。
ただしメモリヒートシンクの厚みが小さいので、冷却性能は「FURY Renegade RGB」のほうが高く、メインストリーム向け製品と、高クロックOCに対応するハイエンド向け製品とで差別化も確認できます。
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の全高を比較してみると、FURY Beastがないので旧ブランドのHyperX Furyですが、「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のメモリの背の高さは全高42.2mmなので、ロープロファイルなヒートシンク付きメモリに比べると10mm程度高く、空冷CPUクーラー環境では注意が必要です。
ちなみにOCメモリでは定番のG.Skill Trident Zと比較すると、「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のほうが1,2mm程度低くなっています。
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」や比較対象のメモリを実際にマザーボードメモリスロットに装着して高さを比較するとこんな感じになります。
Kingston FURY Renegade DDR4 RGBのLEDイルミネーション
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のLEDイルミネーションをチェックしていきます。「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のメモリモジュール上に実装されたLEDイルミネーションは5つのアドレスに分割されており、個別にライティング制御が可能なアドレッサブルLEDイルミネーションになっています。
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」はソフトウェア制御を行わなくても、アドレッサブルな発光パターンでLEDイルミネーションが点灯します。標準発光パターンではCPUソケットを左、メモリスロットを右として、各メモリで下から上に7色に変化していきます。
他社製品では標準のアドレッサブルな発光パターンは時間の経過とともに各メモリモジュール間で色の遷移のタイミングがズレてくるのですが、Kingston FURY Renegade DDR4 RGBは「赤外線同期テクノロジー(Infrared Sync technology)」という独自機能によって、ソフトウェア制御がない状態で時間が経過しても、全てのメモリモジュールの発光タイミングが綺麗に一致します。(下写真は赤外線通信素子を遮った時の様子)
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の赤外線通信素子はメモリ端子の傍にあるので、Intel X299やAMD TRX40のように、メモリスロットがCPUソケットの左右に分かれている場合は、右側だけや左側だけであれば同期がとれるのですが、左右に分かれているメモリ同士は同期がとれず、時間の経過とともに発光にズレが生じます。
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のLEDイルミネーションのライティング制御については、純正ソフトウェアのKingston FURY CTRLに加えて、ASRock Polychrome RGB Sync、ASUS AURA Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど主要4社のマザーボードで使用可能なライティング制御機能とも互換性があります。
Kingston FURY CTRL公式ページ:https://www.kingston.com/jp/gaming/fury-control
メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の定格動作やXMP/手動設定を使用したオーバークロックの検証を行う前に、検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明をしておきます。「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の検証を行う環境としては、Core i9 11900K&Z590マザーボード、Ryzen 9 5950X&X570マザーボードで構成される検証機を用意しました。
テストベンチ機の構成 | ||
CPU |
Intel Core i9 11900K (レビュー) |
AMD Ryzen 9 5900X (レビュー) |
M/B | ASUS ROG MAXIMUS XIII APEX (レビュー) |
ASUS ROG Crosshair VIII Dark Hero (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
Corsair H150i PRO RGB (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) | |
OS | Windows10 Home 64bit | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) | |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
メモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類である、というのがIntel環境における通説でした。そのため管理人も一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはオススメな買い方だと思っていました。
しかしながらAMD RyzenおよびAMD Ryzen Threadripper環境では、『Infinity FabricというCPU内外のコンポーネントを相互接続するインターコネクトの動作周波数がメモリ周波数に同期する』という構造上、メモリ周波数がエンコードや3Dゲームを含めた総合的なパフォーマンスに大きく影響することが知られています。 またIntel環境においても144FPS~240FPSのハイフレームレートなPCゲーミングではCPUボトルネックの緩和にメモリ周波数のOCが効いてきます。
OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
Kingston FURY Renegade DDR4 RGBのメモリOCを試す
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB(型番:KF446C19RBAK2/16)」をIntel第11世代Core&Z590マザーボードやAMD Ryzen 5000&X570マザーボードの検証機材にセットアップしてメモリオーバークロックの動作検証を行っていきます。Kingston FURY Renegade DDR4 RGBシリーズにはメモリ周波数3000MHzから最大では4600MHzに対応するXMPプロファイル、2枚組or4枚組or8枚組、メモリ容量16GB~256GBなど多種多様なモデルがラインナップされています。
なおOCプロファイル(XMP)についてはあくまでメーカーによる”動作確認済み”の選別品であって”動作保証ではない”ので注意してください。マザーボードやCPUとの相性によってはXMPプロファイル通りに動作しない場合もあります。
OCプロファイルによるメモリ周波数4600MHz/メモリタイミングCL19のオーバークロックに対応する8GB×2=16GBメモリキット「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」については、4000MHz以上のハイクロック耐性が強いと言われるSK Hynix D-Dieの1Rankメモリモジュールが採用されていました。(製品型番およびスペックはそのままでも、メモリモジュールについてはロットやバージョンで変更される可能性があります。)
ちなみに「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB(型番:KF446C19RBAK2/16)」には4600MHz/CL19のOCプロファイルに加えて、4000MHz/CL19のOCプロファイルも収録されています。
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB(型番:KF446C19RBAK2/16)」に収録された4600MHz/CL19のOCプロファイルに補足しておくと、メモリ周波数4600MHzはBCLKのOCを含めた数値となっており、同OCプロファイルを適用すると、BCLKは標準の100.0MHzから、101.5MHzに引き上げられます。
BCLKを100.0MHzにした場合のメモリ周波数は4533MHz(リファレンスクロック133MHz×34)となります。
前置きはこの辺りにして「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」を使用し、各種プラットフォームでメモリOCを実践していきます。
まずはIntelのメインストリーム向けCPUである第11世代Core-Sの8コア16スレッドモデルCore i9 11900KとZ590マザーボードの環境で「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のOCプロファイルによるOCを実践してみました。Intel Z590マザーボードにはASUS ROG MAXIMUS XIII APEXを使用しています。
MSI MEG Z590 ACEの環境では、XMPプロファイルを適用するだけで8GB×2枚組み16GBで4600MHz/CL19の超高メモリ周波数が安定動作しました。なおCPUの仕様上、IMC周波数は2:1で同期するGear2です。
続いてAMDのメインストリーム向けCPUであるRyzen 5000シリーズの12コア24スレッドモデルRyzen 9 5900XとX570マザーボードを組み合わせた環境で「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のOCプロファイルによるOCを実践してみました。AMD X570マザーボードにはASUS ROG Crosshair VIII Dark Heroを使用しています
AMD Ryzen 5000&X570の環境においては、「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB(型番:KF446C19RBAK2/16)」に収録されているOCプロファイルのうち、4600MHz/CL19ではなく、4000MHz /CL19のOCプロファイルを使用して、IF周波数も1:1同期で安定するかどうかチェックしてみました。
ASUS ROG Crosshair VIII Dark Heroの環境では、XMPプロファイルを適用するだけで8GB×2枚組み16GBで4000MHz/CL20が安定動作しました。(Gear Down Mode有効なのでCLが偶数になる)
IF周波数についてはCPU自体のOC耐性も影響しますが。今回の検証では1:1同期の2000MHzで安定しています。
Kingston FURY Renegade DDR4 RGBのレビューまとめ
最後に「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB(型番:KF446C19RBAK2/16)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 5分割(アドレス)のアドレッサブルLEDイルミネーション搭載
- 赤外線同期テクノロジーによってソフトウェアなしでも七色の変化が同期する
- 専用アプリ「Kingston FURY CTRL」によってライティング制御が可能
- ASUS AURA SyncやMSI Mystic LightなどMBのライティング制御機能に対応
- 簡単にメモリのOCが可能なXMPプロファイルを収録
- Intel第11世代環境でXMPによって4600MHz/CL19が正常動作
- AMD Ryzen 5000環境でXMPによって4000MHz/CL20/IF1:1が正常動作
- 赤外線同期テクノロジーによる同期はCPUソケットを挟むと機能しない
「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」の検証ではメーカー動作確認済みのOCプロファイルを使用することによって、Intel第11世代Core-S&Z590マザーボード環境においてメモリ周波数3600MHz/CL19、AMD Ryzen 5000&X570マザーボード環境においてメモリ周波数4000MHz/CL20かつIF周波数の1:1同期など、非常に高いメモリ周波数のオーバークロックが手軽に行え、安定動作が確認できました。
Kingston FURY Renegade DDR4 RGBシリーズには、今回レビューした4600MHz対応品のようにメモリ周波数4000MHz以上のモデルもラインナップされていて、そうなるとピーキーな製品ですが、3200MHzや3600MHzのCL14~CL18であれば最新プラットフォームなら比較的簡単に安定動作を期待できるので、適当なOCプロファイルを搭載したOCメモリは1ランク上の自作PCを目指すユーザーにオススメです。
また3200MHzや3600MHzであれば、4枚組みや8枚組みで64GB~256GBの大容量なメモリキットも展開されているので、AMD Ryzen Threadripperなどエンスージアスト向け環境にも対応できる製品です。
5分割アドレッサブルLEDイルミネーションで色鮮やかにライトアップすることができる「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」はPCをオシャレに装飾したいユーザーにとって非常に魅力的な製品です。
七色に変化するRGBもしくはアドレッサブルな発光パターンを標準にしているLEDイルミネーションは数多く存在するものの、いずれも時間経過とともに各メモリの発光カラーや変化にズレが生じますが、「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」は独自の赤外線同期テクノロジー(Infrared Sync technology)」によって、ソフトウェア制御がない状態で時間が経過しても、全てのメモリモジュールの発光タイミングが綺麗に一致するので、ソフトウェアを使わずそのまま導入するLEDイルミネーション搭載メモリの入門機としてはおすすめメモリだと思います。
以上、「Kingston FURY Renegade DDR4 RGB」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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