スポンサードリンク
GeForce RTX 3050グラフィックボードとしてMSIからリリースされた、全長172mmのMini-ITX対応ショート基板モデル「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」をレビューしていきます。
NVIDIA Ampere世代のエントリークラスGeForce RTX 3050が、前世代同クラスのGTX 1650 SUPERや1ランク上のGTX 1660 Tiをどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
製品公式ページ:https://jp.msi.com/Graphics-Card/GeForce-RTX-3050-AERO-ITX-8G
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G レビュー目次
1.MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの外観
2.MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの分解
3.MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの検証機材・GPU概要
4.MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gのゲーム性能
5.MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの温度・消費電力・ファンノイズ
6.MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gのレビューまとめ
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの外観
早速、MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gを開封していきます。キャラメルボックス型の外スリーブから取り出した黒色段ボールの内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止ビニール袋という一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。付属品はクイックマニュアルです。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のGPUクーラー外装は黒色プラスチック製、AEROシリーズを象徴する白色ラインやカーボンパターンはあるもののシンプルなデザインです。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」は全長172mm、現在発売中のRTX 3050グラフィックボードの中で最小サイズです。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」はMini-ITXサイズのマザーボードに装着しても右端がマザーボードの外に出ることがなく、文句なしにMini-ITX完全対応です。キューブ型PCケースなどグラフィックボード設置スペースの奥行が短いコンパクトPCケースにも楽々設置できます。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」はショート基板かつPCIEブラケットと同じ高さなので補助電源含めてPCケースとの干渉の心配はありません。GPUクーラー外装は20mmほどPCIEブラケットからはみ出る背の高いデザインではあるものの、PCIE補助電源のクリアランスで十分にカバーできる程度です。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のGPUクーラーには100mm径の冷却ファンが1基だけ搭載されています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」は2スロット占有モデルです。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」は、VRAMチップとVRM電源回路をGPUコアと同様にGPUクーラーヒートシンク本体で冷やすという、理想的な構造が採用されています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」の補助電源数はRTX 3050としては一般的なPCIE 8PIN×1となっています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」の各種ビデオ出力とPCIE端子には黒色の保護カバーが装着されています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」にはGeForce RTXロゴが描かれただけ、プラスチック製バックプレートが装着されています。基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割を果たしています。なお素材もプラスチックですし、基板との間にサーマルパッドが貼られていないので冷却補助の役割はありません。
なおグラフィックボードの重量はMSI GeForce RTX 3060 AERO ITX 12G OCが493g、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3050 Twin Edge OCが607gに対して、「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」は485gでした。コンパクトサイズだけあって軽量です。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの分解
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なお今回は自己責任で(もしくはレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて)分解を行っています。GPUクーラーの取り外し(分解行為)は、一部を除いて多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解していますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
【暇があれば更新予定】
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの検証機材・GPU概要
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1(温度・消費電力) |
ベンチ機2(ゲーム性能) |
|
OS | Windows10 Home 64bit (1909) |
|
CPU |
Intel Core i9 9900K (レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz |
Intel Core i9 10900K (レビュー) Core/Cache:5.2/4.7GHz |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, 17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 4000MHz, 15-16-16-36-CR2 |
システム ストレージ |
Samsung 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
データ ストレージ |
Samsung 860 QVO 4TB (レビュー) | |
CPUクーラー |
Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
|
電源 ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
|
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8GのGPU概要
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gに搭載されているGPU「GeForce RTX 3050」のスペックについて簡単に確認しておきます。「GeForce RTX 3050」はGA106-300コアが使用されておりCUDAコア数は3584、GPUコアクロックはベース1320MHz、ブースト1777MHzです。VRAMには15.0GbpsのGDDR6メモリを12GB容量搭載しています。典型的なグラフィックボード消費電力を示すTGPは170Wに設定されており、PCIE補助電源として8PIN×1以上を要求します。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」については、リファレンス仕様と同じくブーストクロック1777MHz、パワーリミット(TGP)も130Wです。電力制限の解除には非対応です。
GeForce RTX 3050はレイトレーシング&DLSSに対応
GeForce RTX 3050はエントリークラス向けとされる50番台のGPUながら、最新の高画質機能であるレイトレーシング表現や、専用テンサーコアによるAI超解像機能DLSSに対応しています。レイトレーシング(Raytracing)表現では、照明や光源(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射や透過も現実に即して忠実に描写されます。
レイトレーシングを採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。小さい光源や太陽光などが生み出す影が現実に対して忠実に再現されるので、画面の中に引き込まれるような奥行き、陰影を感じる映像が生まれます。
なお高画質機能「Raytracing(レイトレーシング)」はMicrosoftが提供するAPI「DirectX 12」に内包される「DirectX Raytracing」(DXR)を使用したレンダリング機能となっており、後述のDLSSと違ってNVIDIA独自技術というわけではなく、AMD製グラフィックボード、PS5やXbox Series S/Xといったコンソールゲーム機にも互換性のある機能です。
下はPS5のMarvel's Spider-Man Remasteredでレイトレーシング表現のオン/オフを比較したものですが、オフでは鏡面になっている窓ガラスにスパイダーマンの身体の鏡像がないだけでなく、風景の反射も反対側と比較してデタラメなのが一目瞭然です。
次に、「NVIDIA DLSS」は”Deep Learning Super Sampling”の頭文字を取った略称となっており、その名の通り、近年流行りのディープラーニングによって高画質化(超解像化)する機能で、AIレンダリングの名前でもアピールされています。
DLSSが具体的にどのように動作するか簡単に説明すると、フルHD~WQHDのリアルタイムレンダリングソースから4K映像を生み出すDLSSの原型があります。このDLSSの原型が作り出した4K映像を、16Kなど現実的にはリアルタイムでのレンダリングが難しい超々高解像度のレンダリング結果を比較し、DLSSの原型の改良版1をNVIDIAの専用サーバーが作ります。
DLSSの原型の改良版1で再び4K映像を生み出し、16Kレンダリング結果と比較して、DLSSの原型の改良版2を生み出す……、というプロセスを何万回も繰り返すことで、ユーザーに提供される汎用の、もしくは個別ゲームタイトルに特化した専用のDLSSプロファイルが出来上がります。
GeForce RTX 30シリーズの登場と共にアップデートされたDLSS2.0では最終出力解像度に対して3種類のオリジナルレンダー解像度が選択でき、4K解像度の場合は、Quality(2560×1440)、Balanced(2240×1260)、Performance(1920×1080)の3種類から選択できます。
オリジナルのレンダー解像度がフルHD~WQHDなので、DLSSによる超解像(SuperSampling)プロセスを挟むとはいえ、ネイティブに4K解像度をレンダリングするよりもフレームレートは大幅に向上します。
現在のDLSSでは16Kレンダリング結果を目標に学習が繰り返されているので、高画質アンチエイリアス技術として一般的なTAAと比較してフレームレートが大幅に向上するだけでなく、画質も改善するという一挙両得な高画質化機能になっています。
以上のレイトレーシング表現やDLSSに対して、GeForce RTX 30シリーズでは通常のレンダリングに使用するCUDAコアとは別に専用コアを搭載しており、アップグレードされた第2世代レイトレーシングコアと第3世代テンサーコアによって、専用コアを搭載しない旧式GPUはもちろん、従来のGeForce RTX 20シリーズと比較してもさらに高い性能を発揮することが可能になっています。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gのゲーム性能
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GeForce RTX 3060」、「GeForce RTX 2060」、「GeForce GTX 1660 Ti」、「GeForce GTX 1650 SUPER」を使用しています。(特定のモデルや型番を指名していない場合、各GPUメーカーのリファレンスモデルもしくはリファレンス仕様のオリファンモデルです)
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
RTX 3050 MSI ITX |
15679 | 7349 | 3406 |
RTX 3060 |
22034 | 10261 | 4963 |
RTX 2060 |
19909 | 9244 | 4377 |
GTX 1660 Ti |
15524 | 7562 | 3236 |
GTX 1650 SUPER | 12290 | 5402 | 2328 |
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」、およびレイトレーシング対応ベンチマーク「Port Royal」による性能比較となります。
TimeSpy | Extreme | Port Royal |
|
RTX 3050 MSI ITX |
6083 | 2790 | 3521 |
RTX 3060 | 8549 | 4031 | 5077 |
RTX 2060 | 7617 | 3544 | 4308 |
GTX 1660 Ti | 6154 | 2837 | - |
GTX 1650 SUPER |
4636 | 2053 | - |
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードについて、近年普及しつつあるHTC VIVE Pro 2やVALVE INDEX、Meta Quest 2のPCストリーミングなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Orange Room |
Cyan Room |
Blue Room |
|
RTX 3050 MSI ITX |
8618 | 6423 | 1845 |
RTX 3060 | 11733 | 8926 | 2586 |
RTX 2060 |
11814 | 7883 | 2448 |
GTX 1660 Ti | 9462 | 6216 | 1951 |
GTX 1650 SUPER | 7001 | 4788 | 1468 |
続いて近年の最新PCゲームを実際に用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD(1920×1080)解像度で平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem(ウルトラ設定プリセット)、Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)、Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)、CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)、DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)、The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット, NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)、Gears 5(最高設定プリセット)、Horizon Zero Dawn(最高画質設定プリセット)、Marvel's Avengers(最高設定プリセット, TAA)、Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)、Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)以上の15タイトルです。
Anthem(ウルトラ設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Assassin's Creed Odyssey(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield V(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
CONTROL(高設定プリセット, DirectX12, AMD製GPUはDirectX11)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
DEATH STRANDING(最高設定プリセット, TAA)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division 2(ウルトラ設定プリセット, DirectX11)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorksはVXAOを除き有効)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears 5(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Horizon Zero Dawn(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Marvel's Avengers(最高画質設定プリセット, TAA)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Metro Exodus(エクストリーム設定プリセット, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Shadow of the Tomb Raider(最高設定プリセット, TAA, DirectX12)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関する「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gなど5種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gは、前世代同クラスのGeForce GTX 1650 SUPERと比較して平均で40%以上という大幅な性能向上を果たしています。
前世代上位クラスのGTX 1660シリーズと比較すると、初期の下位モデルGTX 1660無印は10%程度上回りますが、初期の上位モデルGTX 1660 Tiや後期マイナーアップデートモデルGTX 1660 SUPERに対しては、リファレンススペック同士なら数%の性能向上は確認できるものの、ゲームタイトルによっては相対的に前後しますし、また性能差が小さいのでファクトリーOCの有無でも変わるので、”RTX 3050はGTX 1660 Tiと同等の性能”と考えるのが無難だと思います。
またVRAM容量はGTX 1650 SUPERの2倍となる8GBへ増量されているので、フルHD解像度ならVRAM容量の不足が原因でGPU性能を発揮できないという問題に遭遇する心配もありません。(今回のベンチマークではMiddle-Earth: Shadow of War)
つい最近発売されたPCゲームではFINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADEのPC版もフルHD解像度でも8GBのVRAM容量が要求されていたので、エントリークラスでも8GBの大容量VRAMが搭載されるようになったのは嬉しいところです。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの温度・消費電力・ファンノイズ
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のテスト終盤におけるGPU温度は最大70度、ファン回転数は2100RPM程度に達しました。TGP130W程度のGPUを搭載したグラフィックボードとしては、Mini-ITX対応サイズとはいえ微妙な性能です。ヒートパイプの本数などGPUクーラーの設計で大きく差が出た形です。
GPU温度的にはまだ余裕があるので、PCケースに組み込んだとしてもGPU温度80度以下を目安にファン速度を下げることができると思いますが、1800RPM程度が限界な気がします。
GPUコアクロックについては「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」の仕様値ではブーストクロック1777MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1885MHzでした。
【備考】AMD、NVIDIAともに最新GPUでは実動コアクロックはGPUコア個体毎に異なる内部設定のV-Fカーブが支配的になっており、加えて負荷中のGPU温度も大きく影響します。ファクトリーOCが施されたオリファンモデルの公式仕様値として公表されているブーストクロックはOC耐性選別の1つの指標にはなると思いますが、実動コアクロックの優劣においてあまりあてになりません。
GeForce RTX 3050のようにTGPが200Wを大きく下回ると、下記のような参考環境のミドルタワーPCではベンチ板測定とあまり差が出ないので、PCケース組み込み時の検証については割愛しています。
TGPが200Wを超える上位GPUでは、実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへグラフィックボードを組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認します。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして3基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
PCケースのエアフローファンには空冷ヒートシンク、水冷ラジエーター、PCケースエアフローの全ての用途で一般的な140mmサイズファンを上回る性能を発揮する「Thermaltake TOUGHFAN 14」を使用しています。140mmサイズファン選びに迷ったらこれを買っておけば問題ない、高性能かつ高静音性なファンです。
・「Thermaltake TOUGHFAN 14」をレビュー。最強140mmファンの登場か!?
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のファンノイズは、2100RPMという高いファン回転数からも想像がつくように、ノイズレベルも約40dBと高めです。ベンチ板上の測定で40dBを大きく上回るようだと、PCケースに入れてもファンノイズはハッキリと聞こえると思います。
GPU温度的には80度以下を目安に多少余裕がありそうなので、1700~1800RPMくらいまでファン速度を下げれば、ノイズレベルが36dB前後になり、PCケース内ならファンノイズが気にならなくなると思います。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
グラフィックボードの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。GPU Power TesterはPCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しているので、シンプルにグラフィックボードそのものの消費電力をしることができます。
消費電力の測定にあたってグラフィック負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1ms間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8Gの消費電力は130W、最大瞬間負荷は150Wでした。MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8GのTDP(パワーターゲット)は130Wに設定されており、概ね仕様値通りの消費電力になっていると思います。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」がグラフィック性能で40%も前世代同ナンバリングのGTX 1650 SUPERと比較すると性能に伴って消費電力が増えており、レイトレーシングやDLSSに対応するとはいえ、一般的なPCゲーミングでは同等性能となるGTX 1660 Tiよりも消費電力は微増となります。
上位モデルのRTX 3060~RTX 3070とは違い、最新世代アーキテクチャによるワットパフォーマンスの向上は感じにくいGPUです。
ともあれ、TGP130Wというのは従来のミドルクラス相当な数値であり、補助電源数もPCIE 8PIN×1からなので、既存環境において電源や冷却を気にせずにアップグレードできるところもRTX 3050の魅力だと思います。
MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G レビューまとめ
最後に「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新高画質ゲームのフルHD/高画質に最適
- 前世代同クラスGTX 1660 SUPERを実ゲームで40%程度上回るグラフィック性能
- 前世代上位のGTX 1660 TiやGTX 1660 SUPERと同等以上のグラフィック性能
- 249ドルからとRTX 30シリーズの中では手を伸ばしやすい価格
- RTX30シリーズでは数少ない全長172mm、Mini-ITX完全互換なコンパクトサイズ
- 非OC版はRTX 3050オリファンモデルの中でも最安値クラスの安価な製品
- GPUクーラーの冷却性能・静音性が低い
- OC版は税込み6万円以上と割高
GeForce RTX 3050は、前世代同クラスのGeForce GTX 1650 SUPERと比較して平均で40%以上という大幅な性能向上を果たし、前世代上位クラスのGTX 1660 TiやGTX 1660 SUPERと同等の性能を実現、さらに最新高画質機能レイトレーシングやDLSSにも対応しています。
VRAM容量はGTX 1650 SUPERの2倍となる8GBへ増量されているので、フルHD解像度ならVRAM容量の不足が原因でGPU性能を発揮できないという問題に遭遇する心配もありません。
つい最近発売されたPCゲームではFINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADEのPC版もフルHD解像度でも8GBのVRAM容量が要求されていたので、エントリークラスで8GBの大容量VRAMが搭載されるようになったのは嬉しいところです。
GeForce RTX 3050については上位モデルのRTX 3060と同じく、やはり『モバイル向けGeForce RTX 3050のついで』という印象の強い製品です。
ハードウェアエンコーダNVEncは搭載しているので動画編集やイラスト作成などクリエイティブタスクの支援用GPUとして導入する分には十分ですが、2022年にPCゲーミング用に新規導入するには力不足を感じます。
最新コンソールゲーム機PlayStation 5のGPU性能がシェーダー数等のスペック概算でちょうどRTX 3060やRX 6600 XTと同じくらいなので、PCゲーミング用にデスクトップPCを構築するのであれば(キーボード&マウス対応等PCゲーミングならではの魅力は他にありますが)、RTX 3060 Ti以上のGPUを選択したい、というのが正直なところです。
RTX 3050の希望小売価格は249ドルからですが、日本国内における実売価格は5万円以上というのがベースラインになっています。
日本NVIDIA公式からアナウンスされている”39,800円”という価格については、一部メーカーからそういった価格のモデルも発売はされているものの、30MHz程度という軽いファクトリーOCの有無で2万円以上の差額があり、5万円の製品を4万円と6万円に分けて売るような”アリバイ工作的値付け”には賛成できません。
マイニング、電子部品の需要増など諸事情があるとは思いますが、やはりRTX 3050の性能的にせいぜい3万円程度が妥当というのが正直な感想で、胡散臭くは感じるものの一応最安値とされる39,800円でもまだ割高感はあり、ベースラインになっている5万円以上を出して買うGPUだとは思えません。
「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」については全長172mmでMini-ITXに完全対応となるショート基板モデルであるところが最大の魅力です。PCIE補助電源も8PIN×1と最小限なので、総合的に互換性の高いモデルです。
「MSI GeForce RTX 3060 AERO ITX 12G OC」に搭載されたGPUクーラーはMini-ITX対応であることを勘案しても、冷却性能と静音性は微妙です。ヒートパイプが2本だけでダイレクトタッチ構造というGPUクーラーの設計が完全に足を引っ張っていると思います。
以上、「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」のレビューでした。
記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
全長172mmのMini-ITX完全対応ショートサイズかつ、RTX 3050の国内最安値クラスな「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) January 29, 2022
GTX 1650 SUPERやGTX 1660 Tiと実ゲーム性能をベンチマークで徹底比較。https://t.co/FdSpQTT79c pic.twitter.com/N6qASRTycN
関連記事
・GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ・Radeon RX 6000シリーズのレビュー記事一覧へ
・おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方
・グラフィックボードのレビュー記事一覧へ
・予算と性能で選ぶオススメのゲーミングモニタを解説
・PCモニタ・ディスプレイのレビュー記事一覧へ
・RTX 3060搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 3060 Ti搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 3070搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 3070 Ti搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RX 6700 XT搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 3080搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 3080 Ti搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RX 6800 XT/RX 6900 XT搭載のおすすめゲーミングBTO PCを徹底比較!
・RTX 3090搭載のおすすめBTO PCを徹底比較! 【TITAN RTX更新に最適】
・おすすめBTO PCまとめ。予算・性能別で比較。カスタマイズ指南も
・【できる!個人輸入】米尼でおすすめなEVGA製グラボのまとめ
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク