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PS5互換サイズのヒートシンクを標準で搭載するPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」でPlayStation 5の拡張スロットで本体ストレージを増設し、PS5ネイティブ対応タイトルを使用してゲームロード時間を比較してみました。
目次
1.Samsung SSD 980 PRO with HeatsinkはPS5の増設用M.2 SSD要件に適合
2.Samsung SSD 980 PRO with Heatsinkの冷え具合をチェック
3.PS5にSamsung SSD 980 PRO with Heatsinkを増設する手順
4.PS5に増設したSamsung SSD 980 PRO with Heatsinkのゲームロード時間を比較
5.レビューまとめ
今回レビューするのはSamsung SSD 980 PROのオリジナルヒートシンク搭載モデルですが、ヒートシンク非搭載モデルについて、PC上での性能を徹底検証したレビュー記事を公開中です。
【機材協力:ITGマーケティング】
Samsung SSD 980 PRO with HeatsinkはPS5の増設用M.2 SSD要件に適合
PlayStation公式から公表されているPS5増設用M.2 SSD要件と照らし合わせて、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」の概要をチェックしてみます。まず、PS5増設用M.2 SSD要件をおさらいしておきましょう。
PlayStation 5の拡張スロットで本体ストレージを増設するのに使用するM.2 SSDは、CSゲーマーには不慣れな自作PC向け部品のSSDを使用することになります。
PS5公式サポートページで公開されている『PlayStation 5にM.2 SSDを取り付ける方法』の要件を重要ポイントに絞ってまとめなおしました。
PS5公式サポートページを見ての通り、PS5のストレージ増設に使用するM.2 SSDには放熱ヒートシンクが必須となっています。
いくつか図解がありますが公式サポートページで掲載されている一番最後の両面ヒートシンク取り付け時の図が一番分かりやすいと思います。難しく考えず、単純に『M.2 SSD基板から上8.0mmまで』、『M.2 SSD基板から下2.45mmまで』の2つの要件を抑えておけばOKです。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」には容量1TB(型番:MZ-V8P1T0C)と容量2TB(型番:MZ-V8P2T0C)の2モデルがラインナップされています。
製品パッケージ状に大きくプリントされている通り、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」はPlayStation 5の拡張スロットを使用したSSD増設に互換性のあるヒートシンク標準搭載SSDとしてアピールされています。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」のSSD本体の外観は次のようになっています。普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色です。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」はM.2 SSDヒートシンクが標準で付属する製品です。
艶のあるアルミニウム製ヒートシンクがバックプレートを挟んで左右3カ所でしっかりネジ止めされており、見ての通り頑丈で高級感も感じる仕上がりです。
天面の2列並んだエアスリット部分はアルミニウムの銀色素地が露出するカッティングになっており、外光の具合によってはキラキラと反射して非常に綺麗です。
ヒートシンクを含むSSDの寸法は幅24.0mm×高さ8.3mm(バックプレート含む)となっており、PS5の増設SSD要件を満たすように大型ヒートシンクが設計されているのがわかります。
もちろん「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」はPS5拡張スロットと干渉せず、問題なく設置できました。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」は標準搭載ヒートシンク込みでPS5増設SSDのサイズ要件を満たしますが、連続読み出し5500MB/s以上という性能要件については、1TBモデルと2TBモデルのいずれも連続読み出しの仕様値は7000MB/sをマークしています。
今回検証する「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」の1TBモデルはPC上のCrystalDiskMark8による実測値で、連続読み出し速度7000MB/s超と公式の推奨性能を余裕で上回ります。
ちなみに「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」の製品スペック一覧は次のようになっています。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」のMTBF(平均故障間隔)は150万時間、書込耐性1TBが600TBW、2TBが1200TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Samsung SSD 980 PRO with Heatsinkの冷え具合をチェック
続いて、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」の冷え具合、長期的に負荷がかかっても安定動作するのかをチェックしていきます。「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」には標準でSSDヒートシンクが付属するので冷却性能が気になるところですが、PlayStation 5組み込み時について検証するのは少々難しいので、今回は自作PCのマザーボードに組み込み、SBファンで緩く風が当たっているというPS5搭載時に近い条件で連続して負荷をかけてもサーマルスロットリング(メモリコントローラーやメモリチップの高温による性能低下)は発生せず、安定した動作が可能かどうかをチェックします。
測定時の検証負荷としてはCrystalDiskMark8.0.4 (NVMe SSD, 8GiB)を使用し、間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWiNFOを使用してログを取得します。5回ループさせるので負荷をかけ続ける時間は25分程度です。
PS5においては基本的にゲームロードによる読み出し負荷しか発生しないはずなので、このテスト方法で温度的、速度的に問題がなければ、PS5組み込み時も安定動作を期待できるはずです。
Samsung SSD 980 PRO with Heatsinkシリーズに製品標準搭載のM.2 SSDヒートシンクを装着した状態で温度や速度をチェックしていきます。
Samsung SSD 980 PROシリーズでは2種類のSSD温度をモニタリングできますが、1つはメモリコントローラー付近、もう1つはメモリチップ付近の温度のようです。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB」に純正ヒートシンクを装着してCrystalDiskMarkで負荷をかけ続けた結果が次のようになっています。
メモリコントローラーは80度以下、メモリチップは70度以下に収まるのですが、テスト終盤に連続読み出しアクセスで速度低下が見られます。モニタリング可能な温度とは別に何かしら過熱保護機能があり、それをソースにサーマルスロットリングが発生しているようです。
ちなみにSamsung SSD 980 PROのヒートシンクが付属しない標準モデルについて同様のテストを行うと、メモリコントローラーは100度前後、メモリチップは80度前後まで温度が上昇しますが、アクセススピードの低下は発生しません。
Samsung SSD 980 PRO with Heatsinkは、標準モデルへ単にオリジナルヒートシンクを追加しただけでなく、PS5への組み込みを想定して温度管理にも若干手が加わっているようです。
サーモグラフィも確認しておくと、CrystalDiskMarkによる上記の負荷テスト終盤において「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB」のヒートシンク表面温度は65度前後でした。
一方でPS5組み込み時、ヒートシンク表面温度は上記テストよりも10~20度低くなります。
PS5組み込みであれば、CrystalDiskMarkを周回させるよりも負荷は小さく、内部で適切なエアフローもあるはずなので、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB」は純正ヒートシンクで問題なく運用できると思います。
PS5にSamsung SSD 980 PRO with Heatsinkを増設する手順
PlayStation 5の拡張スロットに市販のM.2 SSD、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」を増設する手順について紹介します。PS5でカバーが取り外し方向へスライドしないようにロックしているのは、縦置きした時に上側奥に当たる角にある2つの丸形の出っ張りだけなので、ここを外に引っ張って浮かせ、縦置き時の下方向へカバーを押すor引くと簡単に外れます。
M.2 SSD増設用の拡張スロットは正面から見て右側面の手前に配置されています。
拡張スロットにネジ止めされた金属製カバーを取り外すと、最大でM.2 22110サイズに対応したM.2スロットが現れます。なおPS5のSSD増設には1番のプラスドライバーが必要です。
M.2 SSD固定用ネジ&スペーサーが、標準ではM.2 22110サイズに合わせて装着されているので、まずはこれを取り外します。
80(M.2 2280)、110(M.2 22110)のようにサイズに合わせて基板上には数字が記載されています。Samsung SSD 980 PRO with HeatsinkはM.2 2280サイズなので、80の数字が書いてある穴にスペーサーを装着します。
スペーサーを装着したらM.2スロットにM.2 SSDを挿入します。M.2 SSDは水平から10度くらい、少しだけ斜めにしてゆっくりと挿入してください。小さく薄い基板なので、破損しないように注意を。M.2スロットに奥まで挿入出来たらネジを固定します。
あとは金属製カバーを装着しなおして、物理的な作業としての増設は完了です。
M.2 SSDを増設してからPS5の初回起動時、M.2 SSDがPS5用にフォーマットされていない場合、次のようなフォーマット画面が表示されます。
フォーマットを選択すると増設したM.2 SSDのフォーマットが始まります。増設したSSDにデータを保存していた場合、フォーマットによって全て消えるので、大切なデータがある場合は事前にバックアップしておいてください。なお増設SSDのフォーマットは、PS5の内蔵SSDには何も影響しないので安心してください。
M.2 SSDのフォーマットが完了すると、PS5上でそのSSDを使用した時の連続読み出し速度が表示されます。「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB/2TB」の場合は6100~6200MB/s程度と表示されました。OKを選択するとPS5が通常メニューで起動します。
ちなみに増設したM.2 SSDの性能が低いと、”PS5のゲームプレイに支障が出る可能性がある”とアラートが表示されますが、PCIE3.0接続のSSDを増設した時と違って取り外すように指示されることはなく、そのままPS5を起動できます。
増設したM.2 SSDの空き容量やインストール済みコンテンツは、「設定 - ストレージ」から確認できます。
M.2 SSDの増設直後はPS5ネイティブ対応タイトルのインストール先は標準で内蔵SSDになっているので、「インストール先」の項目からM.2 SSDストレージを選択します。
内蔵SSDにインストール済みのゲームについては、同じく「設定 - ストレージ - 本体ストレージ - ゲームとアプリ」の順番にアクセスし、各アプリを選択して表示される「移動する項目を選択」でM.2 SSDへ移動させることができます。
PS5に増設したSamsung SSD 980 PRO with Heatsinkのゲームロード時間を比較
さて、ここからは最も重要な項目、PlayStation 5に市販のM.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」を増設した時に、標準搭載SSDと同等、もしくはそれ以上に高速にPS5ネイティブ対応タイトルをプレイできるのか、ゲームロード時間を比較してみました。「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB」はPC上でアクセススピードを測定すると連続読み出し速度は7000MB/s程度を示します。PS5でフォーマットした際に表示される読み出し速度は6500MB/s程度で、PS5増設SSDの性能要件を問題なくクリアしています。(2021年12月の最新ファームウェアアップデート適用後)
増設可能なストレージ容量について紹介しておくと、まず大前提としてPlayStation 5の標準内蔵SSDではシステム等で容量が使用されるので、ゲームなどのインストール先としてユーザーが自由に使用できるのは650GB程度です。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」の1TB容量モデルをPS5の増設ストレージに使用すると1.00TBを新たにストレージとして使用できました。
USB外付けストレージから、PS5ネイティブ対応タイトル「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」をコピーインストールするのにかかる時間を比較してみました。USB外付けストレージにはUSB3.2 Gen2(10Gbps)対応で連続読み出し速度1000MB/s超を発揮する「Crucial X8 Portable SSD 2TB」を使用しています。
PS5ネイティブ対応タイトル「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」のコピーインストールにかかった時間について、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB/2TB」など各種SSDについて比較した結果が次のようになっています。
続いてM.2 SSD増設でインストール先として指定して起動も可能になったPS5ネイティブ対応タイトルのゲームロード時間を比較します。
ゲームロード時間の比較には、PS5ネイティブ対応タイトルから、「Final Fantasy VII REMAKE INTERGRADE」、「Ghost of Tsushima Director's Cut」、「Marvel's Spider-Man Remastered」、「ラチェット&クランク パラレル・トラブル」、「Tales of ARISE」、以上の5タイトルを使用しています。
Final Fantasy VII REMAKE INTERGRADEについて、『PS5のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Final Fantasy VII REMAKE INTERGRADEについて、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Ghost of Tsushima Director's Cutについて、『PS5のホーム画面から起動し、最終セーブデータ(同一地点)を読み出してプレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Ghost of Tsushima Director's Cutについて、『マップのファストトラベルでプレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Marvel's Spider-Man Remasteredについて、『PS5のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Marvel's Spider-Man Remasteredについて、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Marvel's Spider-Man Remasteredについて、『マップのファストトラベルでプレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
ラチェット&クランク パラレル・トラブルについて、『PS5のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
ラチェット&クランク パラレル・トラブルについて、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Tales of ARISEについて、『PS5のホーム画面から起動し、ニューゲームなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Tales of ARISEについて、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
Tales of ARISEについて、『マップのファストトラベルでプレイ可能になるまで』の時間を比較した結果が次のようになっています。
レビューまとめ
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink」でPlayStation 5の拡張スロットで本体ストレージを増設し、PS5ネイティブ対応タイトルを使用してゲームロード時間を比較してみた結果について箇条書きで簡単にまとめると次の通りです。- PS5のロード時間は内蔵SSDと増設M.2 SSDでほぼ同じ
- SSD容量をそのままPS5ネイティブ対応タイトルのインストール先に使用できる
- Samsung SSD 980 PRO wHSはオリジナルSSDヒートシンクを標準装備
- Samsung SSD 980 PRO wHSの付属ヒートシンクはPS5組み込みに十分な性能
- ヒートシンクを外すと正規保証対象外になるので、USB外付けストレージ化は非推奨
将来的にUSBストレージ化するなら標準モデル&社外製ヒートシンクがオススメ
ゲームロードやUSBストレージからのコピーインストールの検証結果の通り、「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB/2TB」をはじめとして、拡張スロットで増設したM.2 SSDの性能はPS5の内蔵SSDとほぼ同等です。
将来的に差が出る可能性は否定できないのでSSD性能が高いに越したことはありませんが、今回検証したタイトルについて言えば、PC上で連続読み出し7000MB/s超の最新製品でも、5000MB/s程度のPCIE4.0対応初期製品でもパフォーマンスには大きな差はありませんでした。
補足すると、PCIE4.0x4接続対応したNVMe M.2 SSDのアーリーアダプターであるPhison PS5016-E16搭載SSDはPC上での連続読み出し性能は5000MB/s程度となっており、PS5のSSD増設要件を下回りますが、PS5でフォーマットした際に表示される連続読み出し性能は5500MB/s以上をマークしていました。
2021年8月現在市販されているPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDについてはどれを使用しても基本的にゲームロード性能には製品個別の比較でも内蔵SSDとの比較でも大差はないようなので、『1.容量に対して価格が安価である(別売りの場合はヒートシンクも込みで)』、『2.PS5互換サイズのSSDヒートシンクを搭載している』、以上2点を優先して選べばOKだと思います。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB/2TB」に関しては、PS5の拡張スロットに互換サイズのM.2 SSDヒートシンクが標準で装着されており、PS5への組み込み用途であれば安定したSSD性能を発揮できる冷却性能を備えています。
「Samsung SSD 980 PRO with Heatsink 1TB/2TB」はヒートシンクが標準で装着されているので、ストレージを増設する時にPS5の拡張スロットに装着するだけでよく、自作PC部品に不慣れなCSゲーマーに推奨でき、PS5対応がパッケージに大きく描かれているのも納得な製品です。
なおSamsung SSD 980 PRO with Heatsinkは標準搭載のヒートシンクを取り外すと正規保証対象外になってしまいます。
将来的にさらに大容量なSSDに換装して、既存のSSDはUSBケースで外付けUSBストレージとして活用しようと思っている人は、Samsung SSD 980 PROの標準モデルと社外製ヒートシンクの組み合わせも検討してみてください。
以上、『【SSD増設】980 PRO ヒートシンク搭載版でPS5のロード時間を比較してみた』でした。
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